IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝電機サービス株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-検査装置、処理装置及び検査方法 図1
  • 特開-検査装置、処理装置及び検査方法 図2
  • 特開-検査装置、処理装置及び検査方法 図3
  • 特開-検査装置、処理装置及び検査方法 図4
  • 特開-検査装置、処理装置及び検査方法 図5
  • 特開-検査装置、処理装置及び検査方法 図6
  • 特開-検査装置、処理装置及び検査方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023027477
(43)【公開日】2023-03-02
(54)【発明の名称】検査装置、処理装置及び検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/11 20060101AFI20230222BHJP
   G01N 29/48 20060101ALI20230222BHJP
【FI】
G01N29/11
G01N29/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021132583
(22)【出願日】2021-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157901
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 功
(72)【発明者】
【氏名】中井 豊
(72)【発明者】
【氏名】小野 富男
【テーマコード(参考)】
2G047
【Fターム(参考)】
2G047AA08
2G047AB04
2G047AD16
2G047BA02
2G047BC03
2G047BC12
2G047CA01
2G047EA10
2G047GF08
2G047GG24
2G047GG28
(57)【要約】
【課題】検査精度を向上できる検査装置、処理装置及び検査方法を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、検査装置は、送信部、受信部及び処理部を含む。送信部は、第1周期の複数のバースト波を含む第1超音波を送信する。検査対象を通過した第1超音波が受信部に入射する。受信部は、第1超音波に応じた信号を出力する。処理部は、信号を入手して第1動作を実施する。第1動作は、信号から、複数の第1、第2信号値を導出し、複数の第1、第2信号値に基づいて検査対象を検査すること、を含む。複数の第1信号値は、第1周期を有する複数の第1期間における信号の最大値に対応する。複数の第1信号値は、第1超音波の直接波に対応する。複数の第2信号値は、第1周期を有する複数の第2期間における信号の最大値に対応する。複数の第1期間の1つは、複数の第2期間の2つの間にある。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1周期の複数のバースト波を含む第1超音波を送信可能な送信部と、
受信部であって、前記第1超音波は、前記送信部と前記受信部との間の検査対象に入射し、前記検査対象を通過した前記第1超音波が前記受信部に入射し、前記受信部は、前記受信部に入射した前記第1超音波に応じた信号を出力可能である、前記受信部と、
前記信号を入手して第1動作を実施可能な処理部と、
を備え、
前記第1動作は、
前記信号から、複数の第1信号値と、複数の第2信号値と、を導出し、
前記複数の第1信号値の少なくとも1つと、前記複数の第2信号値の少なくとも1つと、に基づいて前記検査対象を検査すること、
を含み、
前記複数の第1信号値は、前記信号から導出され前記第1周期を有する複数の第1期間のそれぞれにおける前記信号の最大値に対応し、前記複数の第1信号値は、前記第1超音波の直接波の強度に対応し、
前記複数の第2信号値は、前記信号から導出され前記第1周期を有する複数の第2期間のそれぞれにおける前記信号の最大値に対応し、
前記複数の第1期間の1つは、前記複数の第2期間の1つと、前記複数の第2期間の別の1つと、の間にあり、前記複数の第2期間の前記別の1つは、前記複数の第2期間のうちで前記複数の第2期間の前記1つに最も近い、検査装置。
【請求項2】
前記複数の第1期間のそれぞれの長さは、前記第1周期の0.5倍よりも小さく、
前記複数の第2期間のそれぞれの長さは、前記第1周期の0.5倍よりも小さい、請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記複数の第1期間のそれぞれの長さは、前記第1周期の0.01倍よりも大きく、0.3倍以下であり、
前記複数の第2期間のそれぞれの長さは、前記第1周期の0.01倍よりも大きく、0.3倍以下である、請求項1に記載の検査装置。
【請求項4】
前記検査することは、第1条件を満たす前記複数の第1信号値の1つの有無に関する検査信号を出力することを含み、
前記第1条件において、前記複数の第1信号値の前記1つは、前記複数の第2信号値の1つよりも小さく、
前記複数の第1信号値の前記1つは、前記複数の第1期間の前記1つにおける前記信号の最大値であり、
前記複数の第2信号値の前記1つは、前記複数の第2期間の前記1つにおける前記信号の最大値である、請求項1~3のいずれか1つに記載の検査装置。
【請求項5】
前記第1条件において、前記複数の第1信号値の前記1つは、前記複数の第2信号値の1つと第1値との積以下であり、前記第1値は、0.4以上0.8以下である、請求項4に記載の検査装置。
【請求項6】
受信部から出力された信号を入手して第1動作を実施可能な処理部を備え、
送信部から送信された第1周期の複数のバースト波を含む第1超音波が前記送信部と前記受信部との間の検査対象に入射し、前記検査対象を通過した前記第1超音波が前記受信部に入射し、前記受信部は、前記受信部に入射した前記第1超音波に応じた前記信号を出力し、
前記第1動作は、
前記信号から、複数の第1信号値と、複数の第2信号値と、を導出し、
前記複数の第1信号値の少なくとも1つと、前記複数の第2信号値の少なくとも1つと、に基づいて前記検査対象を検査すること、
を含み、
前記複数の第1信号値は、前記信号から導出され前記第1周期を有する複数の第1期間のそれぞれにおける前記信号の最大値に対応し、前記複数の第1信号値は、前記第1超音波の直接波の強度に対応し、
前記複数の第2信号値は、前記信号から導出され前記第1周期を有する複数の第2期間のそれぞれにおける前記信号の最大値に対応し、
前記複数の第1期間の1つは、前記複数の第2期間の1つと、前記複数の第2期間の別の1つと、の間にあり、前記複数の第2期間の前記別の1つは、前記複数の第2期間のうちで前記複数の第2期間の前記1つに最も近い、処理装置。
【請求項7】
前記検査することは、第1条件を満たす前記複数の第1信号値の1つの有無に関する検査信号を出力することを含み、
前記第1条件において、前記複数の第1信号値の前記1つは、前記複数の第2信号値の1つと第1値との積以下であり、前記第1値は0.4以上0.8以下であり、
前記複数の第1信号値の前記1つは、前記複数の第1期間の前記1つにおける前記信号の最大値であり、
前記複数の第2信号値の前記1つは、前記複数の第2期間の前記1つにおける前記信号の最大値である、請求項6に記載の処理装置。
【請求項8】
前記処理部は、
前記信号から、複数の第1信号値と、複数の第2信号値と、を導出可能な第1回路部と、
前記複数の第1信号値の少なくとも1つと、前記複数の第2信号値の少なくとも1つと、に基づいて前記検査対象を検査可能な第2回路部と、
を含む、請求項7に記載の処理装置。
【請求項9】
受信部から出力された信号を入手して第1動作を実施する検査方法であって、
送信部から送信された第1周期の複数のバースト波を含む第1超音波が前記送信部と前記受信部との間の検査対象に入射し、前記検査対象を通過した前記第1超音波が前記受信部に入射し、前記受信部は、前記受信部に入射した前記第1超音波に応じた前記信号を出力し、
前記第1動作は、
前記信号から、複数の第1信号値と、複数の第2信号値と、を導出し、
前記複数の第1信号値の少なくとも1つと、前記複数の第2信号値の少なくとも1つと、に基づいて前記検査対象を検査すること、
を含み、
前記複数の第1信号値は、前記信号から導出され前記第1周期を有する複数の第1期間のそれぞれにおける前記信号の最大値に対応し、前記複数の第1信号値は、前記第1超音波の直接波の強度に対応し、
前記複数の第2信号値は、前記信号から導出され前記第1周期を有する複数の第2期間のそれぞれにおける前記信号の最大値に対応し、
前記複数の第1期間の1つは、前記複数の第2期間の1つと、前記複数の第2期間の別の1つと、の間にあり、前記複数の第2期間の前記別の1つは、前記複数の第2期間のうちで前記複数の第2期間の前記1つに最も近い、検査方法。
【請求項10】
前記検査することは、第1条件を満たす前記複数の第1信号値の1つの有無に関する検査信号を出力することを含み、
前記第1条件において、前記複数の第1信号値の前記1つは、前記複数の第2信号値の1つと第1値との積以下であり、前記第1値は0.4以上0.8以下であり、
前記複数の第1信号値の前記1つは、前記複数の第1期間の前記1つにおける前記信号の最大値であり、
前記複数の第2信号値の前記1つは、前記複数の第2期間の前記1つにおける前記信号の最大値である、請求項9に記載の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、検査装置、処理装置及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば超音波などを用いた検査装置がある。検査精度の向上が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-63276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、検査精度を向上できる検査装置、処理装置及び検査方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、検査装置は、送信部、受信部及び処理部を含む。前記送信部は、第1周期の複数のバースト波を含む第1超音波を送信可能である。前記第1超音波は、前記送信部と前記受信部との間の検査対象に入射する。前記検査対象を通過した前記第1超音波が前記受信部に入射する。前記受信部は、前記受信部に入射した前記第1超音波に応じた信号を出力可能である。前記処理部は、前記信号を入手して第1動作を実施可能である。前記第1動作は、前記信号から、複数の第1信号値と、複数の第2信号値と、を導出し、前記複数の第1信号値の少なくとも1つと、前記複数の第2信号値の少なくとも1つと、に基づいて前記検査対象を検査すること、を含む。前記複数の第1信号値は、前記信号から導出され前記第1周期を有する複数の第1期間のそれぞれにおける前記信号の最大値に対応する。前記複数の第1信号値は、前記第1超音波の直接波の強度に対応する。前記複数の第2信号値は、前記信号から導出され前記第1周期を有する複数の第2期間のそれぞれにおける前記信号の最大値に対応する。前記複数の第1期間の1つは、前記複数の第2期間の1つと、前記複数の第2期間の別の1つと、の間にある。前記複数の第2期間の前記別の1つは、前記複数の第2期間のうちで前記複数の第2期間の前記1つに最も近い。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1実施形態に係る検査装置を例示する模式的側面図である。
図2図2(a)及び図2(b)は、第1実施形態に係る検査装置の動作を例示する模式図である。
図3図3(a)~図3(c)は、第1実施形態に係る検査装置の動作を例示する模式図である。
図4図4(a)~図4(c)は、第1実施形態に係る検査装置の動作を例示する模式図である。
図5図5(a)~図5(c)は、第1実施形態に係る検査装置の動作を例示する模式図である。
図6図6は、第1実施形態に係る検査装置の特性を例示するグラフ図である。
図7図7は、第3実施形態に係る検査方法を例示するフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る検査装置を例示する模式的側面図である。
図1に示すように、実施形態に係る検査装置110は、送信部10と、受信部20と、処理部70と、を含む。検査装置110は、支持部60を含んでも良い。
【0009】
送信部10は、第1超音波10wを送信可能である。第1超音波10wは、第1周期の複数のバースト波を含む。第1超音波10wの例については、後述する。
【0010】
第1超音波10wは、送信部10と受信部20との間の検査対象80に入射する。検査対象80を通過した第1超音波10wが、受信部20に入射する。受信部20は、信号Sdを出力可能である。信号Sdは、受信部20に入射した第1超音波10wに応じている。
【0011】
支持部60は、送信部10と受信部20との間に設けられる。支持部60は、検査対象80を支持可能である。検査対象80は、送信部10と受信部20との間の空間SPを、搬送方向80Dに沿って通過する。
【0012】
検査対象80は、例えば紙幣などである。検査対象は、有価証券などの紙葉類でも良い。検査対象80の材料は任意である。検査対象80は、例えば、紙及び樹脂の少なくともいずれかを含む。
【0013】
図1に示すように、送信部10から受信部20への方向を第1方向Dc1とする。第1方向Dc1は、搬送方向80Dと交差する。第1方向Dc1は、搬送方向80Dに対して傾斜しても良い。
【0014】
例えば、支持部60は、第1搬送部61(例えばローラ)及び第2搬送部62(例えばローラ)により搬送される。支持部60の上に検査対象80が置かれる。支持部60の搬送に伴って、検査対象80が搬送方向80Dに沿って搬送される。
【0015】
例えば、送信部10は、第1素子11を含む。第1素子11は、変形可能な膜部を含む。第1素子11の膜部は、第1超音波10wを出射する。第1素子11に送信回路10Dが接続される。送信回路10Dからの駆動信号Svにより、第1素子11の膜部が変形して、第1超音波10wが出射する。第1素子11の膜部の変形は、例えば、圧電素子などにより生じる。
【0016】
例えば、受信部20は、第2素子21を含む。第2素子21は、変形可能な膜部を含む。第2素子21の膜部は、受信した第1超音波10wにより変形する。第2素子21の膜部の変形に伴って信号Swが得られる。例えば、第2素子21の膜部の変形が、圧電素子などにより電気信号に変換される。例えば、第2素子21から出力された信号Swが、受信回路20Dに供給される。受信回路20Dは、信号Swを増幅して、信号Sdを出力する。
【0017】
図1に示すように、送信部10は、第1導波部15を含んでも良い。第1素子11で発生した第1超音波10wは、第1導波部15を通過して、受信部20に向けて進む。受信部20は、第2導波部25を含んでも良い。検査対象80を含む空間SPを通過した第1超音波10wは、第2導波部25を通過して、受信部20に向けて進む。
【0018】
処理部70は、例えば、送信回路10Dに制御信号Scを供給しても良い。送信回路10Dは、制御信号Scに応じて、第1素子11の膜部を変形させる。これにより、送信部10から第1超音波10wが出射する。送信部10から出射した第1超音波10wは、例えば、検査対象80を通過して、受信部20に入射する。受信部20に入射する第1超音波10wは、検査対象80の状態に応じて、変化する。変化する第1超音波10wが受信部20で受信される。受信部20から出力される信号Sdは、検査対象80の状態を反映している。
【0019】
例えば、信号Sdが、処理部70に供給される。処理部70は、信号Sdを処理して、検査信号SI1を出力可能である。検査信号SI1は、検査対象80の検査結果に関する情報を含む。
【0020】
処理部70は、例えば、第1回路部71及び第2回路部72を含む。第1回路部71は、例えば、ピークホールド回路を含む。第1回路部71は、受信部20から得られる信号Sdを入手する。第1回路部71は、信号Sdをサンプリングして複数のピーク値(最大値)を抽出する。第2回路部72は、第1回路部71から得られる複数のピーク値を入手し、複数のピーク値に基づく検査結果を検査信号SI1として出力する。
【0021】
第2回路部72は、アナログ回路を含んでも良い。第2回路部72は、デジタル回路を含んでも良い。第2回路部72は、例えば、比較器などを含んでも良い。処理部70は、CPU(Central Processing Unit)などの電気回路(例えばコンピュータなど)を含んでも良い。
【0022】
送信部10から出射する第1超音波10wは、送信回路10Dからの駆動信号Svにより制御されても良い。例えば、第1超音波10wの第1周期が、駆動信号Svにより制御できる。例えば、複数のバースト波の1つの時間幅が、駆動信号Svにより制御されても良い。送信回路10Dからの駆動信号Svは、処理部70からの制御信号Scで制御されても良い。
【0023】
以下、送信部10から出射する第1超音波10wの例について説明する。
図2(a)及び図2(b)は、第1実施形態に係る検査装置の動作を例示する模式図である。
これらの図の横軸は、時間tmである。これらの図の縦軸は、第1超音波10wの強度Intである。図2(b)は、図2(a)に示す時間tmを拡大して示している。
【0024】
図2(a)に示すように、第1超音波10wは、複数のバースト波10bを含む。複数のバースト波10bの周期は、第1周期Tp1である。1つの例において、第1周期Tp1は、例えば、0.05ms以上1ms以下である。
【0025】
図2(b)に示すように、複数のバースト波10bの1つは、複数の振動波10aを含む。複数の振動波10aは、例えば超音波である。複数の振動波10aの周波数は、例えば30kHz以上120kHz以下である。複数の振動波10aの周期Tr1は、複数の振動波10aの周波数の逆数である。複数のバースト波10bの1つの長さTq1は、例えば、8μs以上0.5ms以下である。
【0026】
このような第1超音波10wが検査対象80に入射する。検査対象80に異物などが付着している場合がある。異物の有無により、受信部20に入射する第1超音波10wの強度などが変化する。強度の変化を検知することで、異物の有無が検知可能である。
【0027】
検査対象80に入射した第1超音波10wの一部は、検査対象80を通過して、受信部20に直接入射する。受信部20に直接入射する成分は、直接波に対応する。
【0028】
例えば、受信部20に入射した第1超音波10wの一部が受信部20で反射し、検査対象80に再度入射する場合がある。検査対象80に再度入射した第1超音波10wは、検査対象80で反射し、受信部20に再度入射する。検査対象80で反射した後に受信部20に入射する成分は、反射波に対応する。
【0029】
このように、受信部20には、直接波及び反射波が入射する。一般に、直接波が検査に用いられ、反射波は、検査のノイズと見なされる場合が多い。このため、一般に、反射波を抑制することが試みられている。
【0030】
実施形態においては、一般にノイズと見なされる反射波が検査に用いられる。以下、実施形態における動作の例について説明する。以下の動作は、例えば、処理部70で実施される第1動作に対応する。
【0031】
図3(a)~図3(c)は、第1実施形態に係る検査装置の動作を例示する模式図である。
これらの図の横軸は、時間tmである。図3(a)の縦軸は、信号Sdの強度Intである。図3(c)の縦軸は、導出される信号値の大きさSg(図1参照)に対応する。
【0032】
図3(a)は、信号Sdに対応する。信号Sdは、受信部20から出力される。信号Sdは、受信回路20Dで増幅された信号でも良い。信号Sdが、処理部70に入力される。
【0033】
図3(a)に示すように、信号Sdは、複数の直接波Dw及び複数の反射波Rwを含む。複数の直接波Dwは、第1周期Tp1と同じ周期を有する。複数の反射波Rwは、第1周期Tp1と同じ周期を有する。異物が無い場合、複数の直接波Dwの強度Int(振幅)は、複数の反射波Rwの強度Int(振幅)よりも大きい。これは、反射波Rwにおいては、反射時に損失が生じるためである。
【0034】
図3(b)は、得られた信号Sdに適用される複数の第1期間T1及び複数の第2期間T2を例示している。複数の第1期間T1は、複数の直接波Dwに対応する期間である。複数の第2期間T2は、複数の反射波Rwに対応する期間である。
【0035】
複数の第1期間T1の周期は、第1周期Tp1と同じである。複数の第2期間T2の周期は、第1周期Tp1と同じである。例えば、複数の第1期間T1のそれぞれの長さt1は、第1周期Tp1の0.5倍よりも小さい。複数の第2期間T2のそれぞれの長さt2は、第1周期Tp1の0.5倍よりも小さい。
【0036】
このような複数の第1期間T1は、信号Sdに含まれる第1周期Tp1の波形から設定できる。例えば、直接波Dwに対応する、強度Intが相対的に高い期間が、複数の第1期間T1と定められる。例えば、複数の第1期間T1の間の少なくとも一部の期間が、複数の第2期間T2と定められる。第1期間T1及び第2期間T2は、交互に設けられる。
【0037】
図3(c)は、複数の第1信号値Sg1と、複数の第2信号値Sg2と、を例示している。複数の第1信号値Sg1は、複数の第1期間T1に基づいて、信号Sdから導出できる。複数の第2信号値Sg2は、複数の第2期間T2に基づいて、信号Sdから導出できる。
【0038】
例えば、第1回路部71(例えば、ピークホールド回路)により、複数の第1期間T1のそれぞれにおけるピーク値(最大値)が導出できる。複数の第1期間T1におけるピーク値が、複数の第1信号値Sg1に対応する。例えば、第1回路部71により、複数の第2期間T2のそれぞれにおけるピーク値(最大値)が導出できる。複数の第2期間T2におけるピーク値が、複数の第2信号値Sg2に対応する。
【0039】
複数の第1信号値Sg1は、例えば、信号値D1、D2、D3…D(n)などを含む。複数の第2信号値Sg2は、例えば、信号値R0、R1、R2、R3…R(n)などを含む。「n」は、例えば、2以上の整数である。
【0040】
実施形態においては、複数の第1信号値Sg1、及び、複数の第2信号値Sg2を用いて、検査対象80が検査される。これにより、複数の第1信号値Sg1だけを用いた検査に比べて、高い精度の検査が実施できる。実施形態によれば、検査精度を向上できる検査装置を提供できる。
【0041】
実施形態において、処理部70は、信号Sdを入手して以下の第1動作を実施可能である。第1動作は、信号Sdから、複数の第1信号値Sg1と、複数の第2信号値Sg2と、を導出することを含む。この導出は、例えば、第1回路部71により、実施可能である。第1回路部71は、信号Sdから、複数の第1信号値Sg1と、複数の第2信号値Sg2と、を導出可能である。
【0042】
第1動作は、複数の第1信号値Sg1の少なくとも1つと、複数の第2信号値Sg2の少なくとも1つと、に基づいて検査対象80を検査することを含む。この検査のための処理は、例えば、第2回路部72により実施できる。第2回路部72は、複数の第1信号値Sg1の少なくとも1つと、複数の第2信号値Sg2の少なくとも1つと、に基づいて検査対象80を検査可能である。
【0043】
上記のように、複数の第1信号値Sg1は、複数の第1期間T1のそれぞれにおける信号Sdの最大値に対応する。複数の第1期間T1は、信号Sdから導出される。複数の第1期間T1は、第1周期Tp1を有する。複数の第1信号値Sg1は、第1超音波10wの直接波Dwの強度に対応する。
【0044】
上記のように、複数の第2信号値Sg2は、複数の第2期間T2のそれぞれにおける信号Sdの最大値に対応する。複数の第2期間T2は、信号Sdから導出される。複数の第2期間T2は、第1周期Tp1を有する。
【0045】
例えば、複数の第1期間T1の1つは、複数の第2期間T2の1つと、複数の第2期間T2の別の1つと、の間にある。複数の第2期間T2の上記の別の1つは、複数の第2期間T2のうちで、複数の第2期間T2の上記の1つに最も近い。
【0046】
例えば、複数の第2期間T2の1つは、複数の第1期間T1の1つと、複数の第1期間T1の別の1つと、の間にある。複数の第1期間T1の上記の別の1つは、複数の第1期間T1のうちで、複数の第1期間T1の上記の1つに最も近い。
【0047】
上記の図3(a)~図3(c)は、検査対象80に異物が存在しない場合に対応する。以下、検査対象80に異物が存在しない場合の誤検知の例について説明する。
【0048】
図4(a)~図4(c)は、第1実施形態に係る検査装置の動作を例示する模式図である。
これらの図の横軸は、時間tmである。図4(a)の縦軸は、信号Sdの強度Intである。図4(c)の縦軸は、導出される信号値の大きさSgに対応する。
【0049】
図4(a)に示すように、この場合も、信号Sdは、複数の直接波Dw及び複数の反射波Rwを含む。この例では、複数の直接波Dwの1つ(波Dw1)の強度Int(振幅)が、図3(a)に例示した強度Intよりも低い。低い強度Intを有する波Dw1は、例えば、検査対象80の端で生じる回折現象などに起因している。検査対象80の端では、超音波の回折などにより、検査対象80の中央部とは異なる波形が得られる場合がある。図4(b)に示すように、この場合も、複数の第1期間T1及び複数の第2期間T2が定められる。
【0050】
図4(c)に示すように、複数の第1信号値Sg1及び複数の第2信号値Sg2が導出される。図4(c)に示すように、この例では、複数の第1信号値Sg1のうちの信号値D1が著しく小さい。信号値D1は、隣の第2信号値Sg2(信号値R0及び信号値R1)よりも小さい。この小さい信号値D1は、上記の波Dw1に対応する。
【0051】
例えば、隣の第2信号値Sg2よりも小さい信号値D1を検出した場合は、検知不可と判断される。例えば、処理部70は、隣の第2信号値Sg2よりも小さい信号値D1を検出した場合に、検知不可に対応する出力信号(検査信号SI1:図1参照)を出力する。検知不可に対応する出力信号は、データ、表示情報及び音情報などのいずれかを含んで良い。例えば、信号値D1が小さい場合でも、異物の有無について判定されない。
【0052】
このように、第1動作において、検査することは、以下の第1条件を満たす複数の第1信号値Sg1の1つの有無に関する検査信号SI1を出力することを含む。第1条件において、複数の第1信号値Sg1の1つは、複数の第2信号値Sg2の1つよりも小さい。既に説明したように、複数の第1信号値Sg1の上記の1つは、複数の第1期間T1の1つにおける信号Sdの最大値である。複数の第2信号値Sg2の上記の1つは、複数の第2期間T2の1つにおける信号Sdの最大値である。
【0053】
図5(a)~図5(c)は、第1実施形態に係る検査装置の動作を例示する模式図である。
これらの図の横軸は、時間tmである。図5(a)の縦軸は、信号Sdの強度Intである。図5(c)の縦軸は、導出される信号値の大きさSgに対応する。
【0054】
図5(a)に示すように、この場合も、信号Sdは、複数の直接波Dw及び複数の反射波Rwを含む。この例では、複数の直接波Dwの1つ(波Dw1)の強度Int(振幅)が、図3(a)に例示した強度Intよりも小さい。図5(b)に示すように、この場合も、複数の第1期間T1及び複数の第2期間T2が定められる。
【0055】
図5(c)に示すように、複数の第1信号値Sg1及び複数の第2信号値Sg2が導出される。図5(c)に示すように、この例では、複数の第1信号値Sg1のうちの信号値D1が少し小さいものの、信号値D1は、隣の第2信号値Sg2(信号値R0及び信号値R1)よりも大きい。信号値D1は、上記の波Dw1に対応する。
【0056】
既に説明したように、例えば、図4(c)ように、隣の第2信号値Sg2よりも小さい信号値D1を検出した場合は、検知不可と判断される。一方、図5(c)の例においては、不良と判断されない。第1信号値Sg1の信号強度に応じて、異物の有無が判定される。
【0057】
複数の第1信号値Sg1だけを用いて検査する参考例がある。参考例においては、複数の第1信号値Sg1に関してしきい値が定められる。例えば、複数の第1信号値Sg1の1つがしきい値よりも小さい場合に、不良と判断される。この参考例においては、図5(c)に例示する信号値D1がしきい値よりも小さいと、不良と判断される。このような参考例においては、小さい信号値D1が検出された場合に、検査対象80に異物に起因した小さい信号値であるのか、検査対象80の端部に起因した小さい信号値であるのか、が区別しにくいことが分かった。検査対象80の端部に起因した小さい信号値の場合は、不良と判断されるべきではない。参考例においては、誤検知が生じやすいことが分かった。
【0058】
これに対して、実施形態においては、複数の第1信号値Sg1だけではなく、複数の第1信号値Sg1及び複数の第2信号値Sg2の両方に基づいて、検査が行われる。これにより、誤検知が抑制できる。これにより、高い検査精度が得られる。
【0059】
例えば、複数の第1信号値Sg1の1つと、複数の第1信号値Sg1の1つの隣の第2信号値Sg2と、が比較される。隣の第2信号値Sg2は、複数の第1信号値Sg1の1つの前でも後でも良い。
【0060】
第1条件の1つの例において、複数の第2信号値Sg2の上記の1つは、複数の第1信号値Sg1の上記の1つの前で良い。第1条件の別の例において、複数の第2信号値Sg2の上記の1つは、複数の第1信号値Sg1の上記1つの後で良い。
【0061】
第1条件において、例えば、複数の第1信号値Sg1の上記の1つは、複数の第2信号値Sg2の上記の1つの0.8倍以下である。例えば、誤検知がより効果的に抑制できる。
【0062】
複数の第1信号値Sg1の上記の1つの、複数の第2信号値Sg2の上記の1つに対応する比を比Cr1とする。例えば、0.8以下の比Cr1を有する第1信号値Sg1を検出した場合に、検知不可と判定される。
【0063】
検査対象80の端部を異物と判断してしまう確率を、誤検知率とする。複数の第1信号値Sg1だけを用いる参考例においては、誤検知率Pe1は、41%である。これに対して、複数の第1信号値Sg1及び複数の第2信号値Sg2を用いる実施形態において、1%以下の誤検知率が得られる。
【0064】
以下、比Cr1を変更したときの誤検知率の変化について説明する。
図6は、第1実施形態に係る検査装置の特性を例示するグラフ図である。
図6の横軸は、比Cr1である。縦軸は、誤検知率Pe1である。誤検知率Pe1は、検査対象80の端部に基づく信号低下を異物として誤って判断する確率である。
【0065】
図6に示すように、比Cr1が0.4以上0.8以下のときに、低い誤検知率Pe1が得られる。比Cr1は、0.4以上0.8以下であることが好ましい。例えば、第1条件において、複数の第1信号値Sg1の上記の1つは、複数の第2信号値Sg2の上記の1つと、第1値と、の積以下であることが好ましい。第1値は、0.4以上0.8以下である。複数の第2信号値Sg2の上記の1つは、複数の第1信号値Sg1の上記の1つの隣である。
【0066】
実施形態において、複数の第1期間T1のそれぞれの長さt1(図3(b)参照)は、第1周期Tp1の0.01倍よりも大きく、0.3倍以下であることが好ましい。これにより、複数の第1信号値Sg1を、より精度良く導出できる。複数の第2期間T2のそれぞれの長さt2(図3(b)参照))は、第1周期Tp1の0.01倍よりも大きく、0.3倍以下であることが好ましい。これにより、複数の第2信号値Sg2を、より精度良く導出できる。
【0067】
第1動作において、検査信号SI1は、以下の第2条件を満たす複数の第1信号値Sg1の別の1つの有無にさらに関しても良い。第2条件において、複数の第1信号値Sg1の上記の別の1つは、複数の第2信号値Sg2の別の1つよりも小さい。複数の第1信号値Sg1の上記の別の1つは、複数の第1期間T1の別の1つにおける信号Sdの最大値である。複数の第2信号値Sg2の上記の別の1つは、複数の第2期間T2の上記の別の1つにおける信号Sdの最大値である。複数の第1期間T1の上記の別の1つは、複数の第1期間T1のうちで複数の第1期間T1の前記1つに最も近い。
【0068】
第1動作の別の例において、複数の第1信号値Sg1の上記の別の1つは、複数の第1期間T1の別の1つにおける信号Sdの最大値である。複数の第2信号値Sg2の上記の別の1つは、複数の第2期間T2のさらに別の1つにおける信号Sdの最大値で良い。複数の第1期間T1の上記の別の1つは、複数の第2期間T2の上記の別の1つと、複数の第2期間T2のさらに別の1つと、の間にある。複数の第2期間T2の上記のさらに別の1つは、複数の第2期間T2のうちで複数の第2期間T2の上記の別の1つに最も近い。
【0069】
実施形態において、処理部70は、例えば、値ID(n)と、値IR(n-1)と、値IR(n)と、に基づく動作を実施可能である。「n」は、2以上の整数である。値ID(n)は、複数の第1期間T1の第n番目の期間における信号Sdの最大値である。値IR(n-1)は、複数の第2期間T2の第(n-1)番目の期間における信号Sdの最大値である。複数の第2期間T2の第(n-1)番目の期間は、複数の第1期間T1の第n番目の期間の直前の期間である。値IR(n)は、複数の第2期間T2の第n番目の期間における信号Sdの最大値である。複数の第2期間T2の第n番目の期間は、複数の第1期間T1の第n番目の期間の直後の期間である。例えば、複数の第1期間T1の第n番目の期間は、複数の第2期間T2の第(n-1)番目の期間と、複数の第2期間T2の第n番目の期間と、の間にある。
【0070】
処理部70は、例えば、複数の第1期間T1の少なくとも1つを検出する。複数の第1期間T1の少なくとも1つは、値ID(n)と、値IR(n-1)と、値IR(n)と、が第1式または第2式を満たす。
ID(n)<IR(n) ・・・(1)
ID(n)<IR(n-1)・・・(2)
【0071】
第1式または第2式を満たす複数の第1期間T1の少なくとも1つを検出することで、検査対象80の異物を効率的に検査できる。例えば、検査対象80の端に起因する信号の影響を抑制できる。低い誤検知率Pe1が得られる。
【0072】
処理部70は、第3式または第4式を満たす第1期間T1を検出しても良い。
ID(n)≦IR(n)×a1 ・・・(3)
ID(n)≦IR(n-1)×a2・・・(4)
第3式において、「a1」は0.4以上0.8以下である。第4式において、「a2」は、0.4以上0.8以下である。
【0073】
処理部70は、例えば、複数の第1期間T1の1つを検出する。複数の第1期間T1の1つは、値ID(n)と、値IR(n+1)と、が第7式を満たす。
ID(n)<IR(n+1) ・・・(5)
【0074】
処理部70は、第8式を満たす第1期間T1を検出しても良い。
ID(n)≦IR(n+1)×a3 ・・・(6)
第6式において、「a3」は0.4以上0.8以下である。
【0075】
値ID(n)及び値IR(n+1)に基づいた判断により、より安定して誤検知を抑制して、高い精度の検査が実施できる。
【0076】
(第2実施形態)
第2実施形態は、処理装置75(図1参照)に係る。
図1に示すように、処理装置75は、処理部70を含む。処理部70は、受信部20から出力された信号Sdを入手して以下の第1動作を実施可能である。送信部10から送信された第1周期Tp1の複数のバースト波10bを含む第1超音波10wが、送信部10と受信部20との間の検査対象80に入射する。検査対象80を通過した第1超音波10wが受信部20に入射する。受信部20は、受信部20に入射した第1超音波10wに応じた信号Sdを出力する。処理部70に入力される信号Sdは、受信部20から出力された信号が増幅された信号でも良い。
【0077】
第1動作は、信号Sdから、複数の第1信号値Sg1と、複数の第2信号値Sg2と、を導出することを含む。第1動作は、複数の第1信号値Sg1の少なくとも1つと、複数の第2信号値Sg2の少なくとも1つと、に基づいて検査対象80を検査することを含む。
【0078】
複数の第1信号値Sg1は、信号Sdから導出され第1周期Tp1を有する複数の第1期間T1のそれぞれにおける信号Sdの最大値に対応する。複数の第1信号値Sg1は、第1超音波10wの直接波の強度に対応する。複数の第2信号値Sg2は、信号Sdから導出され第1周期Tp1を有する複数の第2期間T2のそれぞれにおける信号Sdの最大値に対応する。複数の第1期間T1の1つは、複数の第2期間T2の1つと、複数の第2期間T2の別の1つと、の間にある。複数の第2期間T2の別の1つは、複数の第2期間T2のうちで、複数の第2期間T2の上記の1つに最も近い。
【0079】
第2実施形態において、例えば、複数の第1期間T1のそれぞれの長さt1は、第1周期Tp1の0.5倍よりも小さい。例えば、複数の第2期間T2のそれぞれの長さt2は、第1周期Tp1の0.5倍よりも小さい。
【0080】
第2実施形態において、例えば、複数の第1期間T1のそれぞれの長さt1は、第1周期Tp1の0.01倍よりも大きく、0.3倍以下でも良い。例えば、複数の第2期間T2のそれぞれの長さt2は、第1周期Tp1の0.01倍よりも大きく、0.3倍以下でも良い。
【0081】
第2実施形態において、検査することは、以下の第1条件を満たす、複数の第1信号値Sg1の1つの有無に関する検査信号SI1を出力することを含んで良い。第1条件において、複数の第1信号値Sg1の上記の1つは、複数の第2信号値Sg2の1つと、第1値と、の積以下である。第1値は、例えば、0.4以上0.8以下である。複数の第1信号値Sg1の上記の1つは、複数の第1期間T1の上記の1つにおける信号Sd1の最大値である。複数の第2信号値Sg2の上記の1つは、複数の第2期間T2の上記の1つにおける信号Sdの最大値である。
【0082】
既に説明したように、処理部70は、第1回路部71及び第2回路部72を含んでも良い(図1参照)。第1回路部71は、信号Sdから、複数の第1信号値Sg1と、複数の第2信号値Sg2と、を導出可能である。第2回路部72は、複数の第1信号値Sg1の少なくとも1つと、複数の第2信号値Sg2の少なくとも1つと、に基づいて検査対象80を検査可能である。
【0083】
第2実施形態において、誤検知を抑制できる。検査精度を向上できる検査装置を提供できる。
【0084】
(第3実施形態)
図7は、第3実施形態に係る検査方法を例示するフローチャート図である。
図7に示すように、実施形態に係る検査方法は、受信部20から出力された信号Sdを入手(ステップS110)して、第1動作を実施する(ステップS120)。
【0085】
既に説明したように、送信部10から送信された第1周期Tp1の複数のバースト波10bを含む第1超音波10wが送信部10と受信部20との間の検査対象80に入射する。検査対象80を通過した第1超音波10wが受信部20に入射する。受信部20は、受信部20に入射した第1超音波10wに応じた信号Sdを出力する。
【0086】
図7に示すように、第1動作は、信号Sdから、複数の第1信号値Sg1と、複数の第2信号値Sg2と、を導出すること(ステップS121)を含む。第1動作は、複数の第1信号値Sg1の少なくとも1つと、複数の第2信号値Sg2の少なくとも1つと、に基づいて検査対象80を検査すること(ステップS122)を含む。
【0087】
既に説明したように、複数の第1信号値Sg1は、信号Sdから導出され第1周期Tp1を有する複数の第1期間T1のそれぞれにおける信号Sdの最大値に対応する。複数の第1信号値Sg1は、第1超音波10wの直接波の強度に対応する。複数の第2信号値Sg2は、信号Sdから導出され第1周期Tp1を有する複数の第2期間T2のそれぞれにおける信号Sdの最大値に対応する。複数の第1期間T1の1つは、複数の第2期間T2の1つと、複数の第2期間T2の別の1つと、の間にある。複数の第2期間T2の上記の別の1つは、複数の第2期間T2のうちで複数の第2期間T2の上記の1つに最も近い。
【0088】
例えば、複数の第1期間T1のそれぞれの長さt1は、第1周期Tp1の0.5倍よりも小さい。例えば、複数の第2期間T2のそれぞれの長さt2は、第1周期Tp1の0.5倍よりも小さい。例えば、複数の第1期間Tp1のそれぞれの長さt1は、第1周期Tp1の0.01倍よりも大きく、0.3倍以下でも良い。複数の第2期間T2のそれぞれの長さt2は、第1周期Tp1の0.01倍よりも大きく、0.3倍以下でも良い。
【0089】
検査すること(ステップS122)は、第1条件を満たす複数の第1信号値Sg1の1つの有無に関する検査信号SI1を出力することを含んでも良い。第1条件において、複数の第1信号値Sg1の上記の1つは、複数の第2信号値Sg2の1つと、第1値と、の積以下である。第1値は、例えば、0.4以上0.8以下である。複数の第1信号値Sg1の上記の1つは、複数の第1期間T1の上記の1つにおける信号Sdの最大値である。複数の第2信号値Sg2の上記の1つは、複数の第2期間T2の上記の1つにおける信号Sdの最大値である。
【0090】
検査すること(ステップS122)は、以下のステップS125~S127を含んでも良い。例えば、複数の第1信号値Sg1について、上記の第1条件を満たすかどうかが判断される(ステップS125)。複数の第1信号値Sg1の少なくとも1つが、上記の第1条件を満たす場合は、検査信号SI1を出力する(ステップS126)。複数の第1信号値Sg1が、上記の第1条件を満たさない場合は、検査信号SI1を出力しない(ステップS127)、検査信号SI1は、複数の第1期間T1の信号が検知不可であることに対応する。第1条件が満たされるか満たされないかに応じて、検査結果が変わる。
【0091】
実施形態は、以下の構成(例えば技術案)を含んで良い。
(構成1)
第1周期の複数のバースト波を含む第1超音波を送信可能な送信部と、
受信部であって、前記第1超音波は、前記送信部と前記受信部との間の検査対象に入射し、前記検査対象を通過した前記第1超音波が前記受信部に入射し、前記受信部は、前記受信部に入射した前記第1超音波に応じた信号を出力可能である、前記受信部と、
前記信号を入手して第1動作を実施可能な処理部と、
を備え、
前記第1動作は、
前記信号から、複数の第1信号値と、複数の第2信号値と、を導出し、
前記複数の第1信号値の少なくとも1つと、前記複数の第2信号値の少なくとも1つと、に基づいて前記検査対象を検査すること、
を含み、
前記複数の第1信号値は、前記信号から導出され前記第1周期を有する複数の第1期間のそれぞれにおける前記信号の最大値に対応し、前記複数の第1信号値は、前記第1超音波の直接波の強度に対応し、
前記複数の第2信号値は、前記信号から導出され前記第1周期を有する複数の第2期間のそれぞれにおける前記信号の最大値に対応し、
前記複数の第1期間の1つは、前記複数の第2期間の1つと、前記複数の第2期間の別の1つと、の間にあり、前記複数の第2期間の前記別の1つは、前記複数の第2期間のうちで前記複数の第2期間の前記1つに最も近い、検査装置。
【0092】
(構成2)
前記複数の第1期間のそれぞれの長さは、前記第1周期の0.5倍よりも小さく、
前記複数の第2期間のそれぞれの長さは、前記第1周期の0.5倍よりも小さい、構成1に記載の検査装置。
【0093】
(構成3)
前記複数の第1期間のそれぞれの長さは、前記第1周期の0.01倍よりも大きく、0.3倍以下であり、
前記複数の第2期間のそれぞれの長さは、前記第1周期の0.01倍よりも大きく、0.3倍以下である、構成1に記載の検査装置。
【0094】
(構成4)
前記検査することは、第1条件を満たす前記複数の第1信号値の1つの有無に関する検査信号を出力することを含み、
前記第1条件において、前記複数の第1信号値の前記1つは、前記複数の第2信号値の1つよりも小さく、
前記複数の第1信号値の前記1つは、前記複数の第1期間の前記1つにおける前記信号の最大値であり、
前記複数の第2信号値の前記1つは、前記複数の第2期間の前記1つにおける前記信号の最大値である、構成1~4のいずれか1つに記載の検査装置。
【0095】
(構成5)
前記第1条件において、前記複数の第1信号値の前記1つは、前記複数の第2信号値の1つと第1値との積以下であり、前記第1値は、0.4以上0.8以下である、構成4に記載の検査装置。
【0096】
(構成6)
前記複数の第2信号値の前記1つは、前記複数の第1信号値の前記1つの前である、構成4または5に記載の検査装置。
【0097】
(構成7)
前記複数の第2信号値の前記1つは、前記複数の第1信号値の前記1つの後である、構成4または5に記載の検査装置。
【0098】
(構成8)
前記検査信号は、第2条件を満たす前記複数の第1信号値の別の1つの有無にさらに関し、
前記第2条件において、前記複数の第1信号値の前記別の1つは、前記複数の第2信号値の別の1つよりも小さく、
前記複数の第1信号値の前記別の1つは、前記複数の第1期間の別の1つにおける前記信号の最大値であり、
前記複数の第2信号値の前記別の1つは、前記複数の第2期間の前記別の1つにおける前記信号の最大値であり、
前記複数の第1期間の前記別の1つは、前記複数の第1期間のうちで前記複数の第1期間の前記1つに最も近い、構成4または5に記載の検査装置。
【0099】
(構成9)
前記検査信号は、第2条件を満たす前記複数の第1信号値の別の1つの有無にさらに関し、
前記第2条件において、前記複数の第1信号値の前記別の1つは、前記複数の第2信号値の別の1つよりも小さく、
前記複数の第1信号値の前記別の1つは、前記複数の第1期間の別の1つにおける前記信号の最大値であり、
前記複数の第2信号値の前記別の1つは、前記複数の第2期間のさらに前記別の1つにおける前記信号の最大値であり、
前記複数の第1期間の前記別の1つは、前記複数の第2期間の前記別の1つと、前記複数の第2期間のさらに別の1つと、の間にあり、前記複数の第2期間の前記さらに別の1つは、前記複数の第2期間のうちで前記複数の第2期間の前記別の1つに最も近い、構成4または5に記載の検査装置。
【0100】
(構成10)
前記処理部は、
前記信号から、複数の第1信号値と、複数の第2信号値と、を導出可能な第1回路部と、
前記複数の第1信号値の少なくとも1つと、前記複数の第2信号値の少なくとも1つと、に基づいて前記検査対象を検査可能な第2回路部と、
を含む、構成1~9のいずれか1つに記載の検査装置。
【0101】
(構成11)
受信部から出力された信号を入手して第1動作を実施可能な処理部を備え、
送信部から送信された第1周期の複数のバースト波を含む第1超音波が前記送信部と前記受信部との間の検査対象に入射し、前記検査対象を通過した前記第1超音波が前記受信部に入射し、前記受信部は、前記受信部に入射した前記第1超音波に応じた前記信号を出力し、
前記第1動作は、
前記信号から、複数の第1信号値と、複数の第2信号値と、を導出し、
前記複数の第1信号値の少なくとも1つと、前記複数の第2信号値の少なくとも1つと、に基づいて前記検査対象を検査すること、
を含み、
前記複数の第1信号値は、前記信号から導出され前記第1周期を有する複数の第1期間のそれぞれにおける前記信号の最大値に対応し、前記複数の第1信号値は、前記第1超音波の直接波の強度に対応し、
前記複数の第2信号値は、前記信号から導出され前記第1周期を有する複数の第2期間のそれぞれにおける前記信号の最大値に対応し、
前記複数の第1期間の1つは、前記複数の第2期間の1つと、前記複数の第2期間の別の1つと、の間にあり、前記複数の第2期間の前記別の1つは、前記複数の第2期間のうちで前記複数の第2期間の前記1つに最も近い、処理装置。
【0102】
(構成12)
前記複数の第1期間のそれぞれの長さは、前記第1周期の0.5倍よりも小さく、
前記複数の第2期間のそれぞれの長さは、前記第1周期の0.5倍よりも小さい、構成11に記載の処理装置。
【0103】
(構成13)
前記複数の第1期間のそれぞれの長さは、前記第1周期の0.01倍よりも大きく、0.3倍以下であり、
前記複数の第2期間のそれぞれの長さは、前記第1周期の0.01倍よりも大きく、0.3倍以下である、構成13に記載の処理装置。
【0104】
(構成14)
前記検査することは、第1条件を満たす前記複数の第1信号値の1つの有無に関する検査信号を出力することを含み、
前記第1条件において、前記複数の第1信号値の前記1つは、前記複数の第2信号値の1つと第1値との積以下であり、前記第1値は0.4以上0.8以下であり、
前記複数の第1信号値の前記1つは、前記複数の第1期間の前記1つにおける前記信号の最大値であり、
前記複数の第2信号値の前記1つは、前記複数の第2期間の前記1つにおける前記信号の最大値である、構成11~13のいずれか1つに記載の処理装置。
【0105】
(構成15)
前記処理部は、
前記信号から、複数の第1信号値と、複数の第2信号値と、を導出可能な第1回路部と、
前記複数の第1信号値の少なくとも1つと、前記複数の第2信号値の少なくとも1つと、に基づいて前記検査対象を検査可能な第2回路部と、
を含む、構成11~14のいずれか1つに記載の処理装置。
【0106】
(構成16)
受信部から出力された信号を入手して第1動作を実施する検査方法であって、
送信部から送信された第1周期の複数のバースト波を含む第1超音波が前記送信部と前記受信部との間の検査対象に入射し、前記検査対象を通過した前記第1超音波が前記受信部に入射し、前記受信部は、前記受信部に入射した前記第1超音波に応じた前記信号を出力し、
前記第1動作は、
前記信号から、複数の第1信号値と、複数の第2信号値と、を導出し、
前記複数の第1信号値の少なくとも1つと、前記複数の第2信号値の少なくとも1つと、に基づいて前記検査対象を検査すること、
を含み、
前記複数の第1信号値は、前記信号から導出され前記第1周期を有する複数の第1期間のそれぞれにおける前記信号の最大値に対応し、前記複数の第1信号値は、前記第1超音波の直接波の強度に対応し、
前記複数の第2信号値は、前記信号から導出され前記第1周期を有する複数の第2期間のそれぞれにおける前記信号の最大値に対応し、
前記複数の第1期間の1つは、前記複数の第2期間の1つと、前記複数の第2期間の別の1つと、の間にあり、前記複数の第2期間の前記別の1つは、前記複数の第2期間のうちで前記複数の第2期間の前記1つに最も近い、検査方法。
【0107】
(構成17)
前記複数の第1期間のそれぞれの長さは、前記第1周期の0.5倍よりも小さく、
前記複数の第2期間のそれぞれの長さは、前記第1周期の0.5倍よりも小さい、構成16に記載の検査方法。
【0108】
(構成18)
前記複数の第1期間のそれぞれの長さは、前記第1周期の0.01倍よりも大きく、0.3倍以下であり、
前記複数の第2期間のそれぞれの長さは、前記第1周期の0.01倍よりも大きく、0.3倍以下である、構成16または17に記載の検査方法。
【0109】
(構成19)
前記検査することは、第1条件を満たす前記複数の第1信号値の1つの有無に関する検査信号を出力することを含み、
前記第1条件において、前記複数の第1信号値の前記1つは、前記複数の第2信号値の1つと第1値との積以下であり、前記第1値は0.4以上0.8以下であり、
前記複数の第1信号値の前記1つは、前記複数の第1期間の前記1つにおける前記信号の最大値であり、
前記複数の第2信号値の前記1つは、前記複数の第2期間の前記1つにおける前記信号の最大値である、構成16~18のいずれか1つに記載の検査方法。
【0110】
実施形態によれば、検査精度を向上できる検査装置、処理装置及び検査方法が提供できる。
【0111】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、検査装置に含まれる送信部、受信部、支持部、送信回路、受信回路及び処理部などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0112】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0113】
その他、本発明の実施の形態として上述した検査装置及び検査方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての検査装置及び検査方法も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0114】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0115】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0116】
10…送信部、 10D…送信回路、 10a…振動波、 10b…バースト波、 10w…第1超音波、 11…第1素子、 15…第1導波部、 20…受信部、 20D…受信回路、 21…第2素子、 25…第2導波部、 60…支持部、 61、62…第1、第2搬送部、 70…処理部、 71、72…第1、第2回路部、 75…処理装置、 80…検査対象、 80D…搬送方向、 110…検査装置、 Cr1…比、 D1~D(n)…信号値、 Dc1…第1方向、 Dw…直接波、 Dw1…波、 Int…強度、 Pe1…誤検知率、 R0~R(n)…信号値、 Rw…反射波、 SI1…検査信号、 SP…空間、 Sc…制御信号、 Sd…信号、 Sg…信号値の大きさ、 Sg1、Sg2…第1、第2信号値、 Sv…駆動信号、 T1、T2…第1、第2期間、 Tp1…第1周期、 Tq1…長さ、 Tr1…周期、 t1、t2…長さ、 tm…時間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7