(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023027480
(43)【公開日】2023-03-02
(54)【発明の名称】プラズマ源及びスイッチ装置
(51)【国際特許分類】
H05H 1/24 20060101AFI20230222BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20230222BHJP
【FI】
H05H1/24
H01L21/205
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021132586
(22)【出願日】2021-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157901
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 功
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 久生
(72)【発明者】
【氏名】吉田 学史
(72)【発明者】
【氏名】木村 重哉
(72)【発明者】
【氏名】松本 寿彰
(72)【発明者】
【氏名】村田 隆昭
(72)【発明者】
【氏名】菅沼 亮太
【テーマコード(参考)】
2G084
5F045
【Fターム(参考)】
2G084BB02
2G084CC18
2G084CC21
2G084DD14
2G084DD25
2G084DD63
2G084FF27
2G084FF28
2G084FF29
5F045AB14
5F045AB17
5F045AC16
5F045AC17
5F045AF02
5F045AF03
5F045AF04
5F045AF10
(57)【要約】
【課題】高密度のプラズマを得ることが可能なプラズマ源及びスイッチ装置を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、プラズマ源は、ガスを収容可能な容器と、陰極部材と、陽極部材と、を含む。前記陰極部材は、前記容器のなかに設けられる。前記陰極部材は複数の第1陰極層を含む。前記複数の第1陰極層は、多角形の複数の辺にそれぞれ沿って並ぶ。前記複数の第1陰極層のそれぞれは、前記多角形の内側を向く平面状の第1表面を含む。前記陽極部材は、前記容器のなかに設けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスを収容可能な容器と、
前記容器のなかに設けられた陰極部材であって、前記陰極部材は複数の第1陰極層を含み、前記複数の第1陰極層は、多角形の複数の辺にそれぞれ沿って並び、前記複数の第1陰極層のそれぞれは、前記多角形の内側を向く平面状の第1表面を含む、前記陰極部材と、
前記容器のなかに設けられた陽極部材と、
を備えたプラズマ源。
【請求項2】
前記複数の第1陰極層は、ダイヤモンド、窒化アルミニウム、窒化アルミニウムガリウム、窒化ガリウム、及び、C12A7エレクトライドよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、請求項1に記載のプラズマ源。
【請求項3】
前記複数の第1陰極層の少なくとも1つは、ダイヤモンドを含み、
前記ダイヤモンドに含まれる水素の濃度は、5×1021/cm3以下である、請求項1に記載のプラズマ源。
【請求項4】
前記複数の第1陰極層の少なくとも1つは、ダイヤモンドを含み、
複数の第1陰極層のラマンスペクトルにおいて、440cm-3のラマンシフトにおける強度は、1350cm-3のラマンシフトにおける強度よりも高く、1570cm-3のラマンシフトにおける強度よりも高い、請求項1に記載のプラズマ源。
【請求項5】
前記陰極部材は、複数の第1基板をさらに含み、
前記複数の第1陰極層の1つは、前記複数の第1基板の1つに支持され、
前記複数の第1陰極層の前記1つは、前記複数の第1陰極層の別の1つと、前記複数の第1基板の前記1つとの間にある、請求項1~4のいずれか1つに記載のプラズマ源。
【請求項6】
前記複数の第1陰極層の1つは、前記複数の第1陰極層の別の1つの隣であり、
前記第1陰極層の前記1つの前記第1表面と、前記複数の第1陰極層の前記別の1つの前記第1表面と、の間の角度は、90度を超える、請求項1~5のいずれか1つに記載のプラズマ源。
【請求項7】
前記複数の第1陰極層の1つは、前記複数の第1陰極層の別の1つの隣であり、
前記複数の第1陰極層の前記1つは、前記複数の第1陰極層の前記別の1つから離れ、
前記複数の第1陰極層の前記1つと、前記複数の第1陰極層の前記別の1つと、の間の距離は、前記複数の第1陰極層の前記1つの第1幅方向に沿う幅の0.001倍以上0.1倍以下であり、
前記第1幅方向は、前記複数の第1陰極層の前記1つの前記第1表面に沿い、前記多角形を含む平面に沿う、請求項1~5のいずれか1つに記載のプラズマ源。
【請求項8】
前記陰極部材は、
複数の第2陰極層と、
複数の第1基板と、
をさらに含み、
前記複数の第1基板の1つは、前記複数の第1陰極層の1つと前記複数の第2陰極層の1つとの間にあり、
前記複数の第2陰極層のそれぞれは、前記多角形の外側を向く平面状の第2表面を含む、請求項1~4のいずれか1つに記載のプラズマ源。
【請求項9】
ガスを収容可能な容器と、
前記容器のなかに設けられた陰極部材であって、前記陰極部材は複数の積層体を含み、前記複数の積層体のそれぞれは、第1陰極層と、第2陰極層と、前記第1陰極層と前記第2陰極層との間に設けられた第1基板と、を含み、前記複数の積層体は、多角形の複数の辺にそれぞれ沿って並び、前記第1陰極層の第1表面、及び、前記第2陰極層の第2表面は、平面状である、前記陰極部材と、
前記容器のなかに設けられた陽極部材と、
を備えたプラズマ源。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1つに記載のプラズマ源と、
前記容器のなかに設けられた制御導電部と、
を備えたスイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、プラズマ源及びスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、プラズマを用いたスイッチなどがある。プラズマ源において高密度のプラズマが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一実施形態は、高密度のプラズマを得ることが可能なプラズマ源及びスイッチ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、プラズマ源は、ガスを収容可能な容器と、陰極部材と、陽極部材と、を含む。前記陰極部材は、前記容器のなかに設けられる。前記陰極部材は複数の第1陰極層を含む。前記複数の第1陰極層は、多角形の複数の辺にそれぞれ沿って並ぶ。前記複数の第1陰極層のそれぞれは、前記多角形の内側を向く平面状の第1表面を含む。前記陽極部材は、前記容器のなかに設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1(a)及び
図1(b)は、第1実施形態に係るプラズマ源を例示する模式的断面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係るプラズマ源の動作を例示する模式図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係るプラズマ源の一部を例示する模式的断面図である。
【
図4】
図4(a)~
図4(c)は、第1実施形態に係るプラズマ源の特性を例示するグラフである。
【
図5】
図5(a)及び
図5(b)は、第1実施形態に係るプラズマ源の特性を例示するグラフである。
【
図6】
図6(a)及び
図6(b)は、第1実施形態に係るプラズマ源の特性を例示するグラフである。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係るプラズマ源の特性を例示するグラフである。
【
図8】
図8(a)~
図8(c)は、第1実施形態に係るプラズマ源の一部を例示する電子顕微鏡写真像である。
【
図9】
図9(a)~
図9(c)は、第1実施形態に係るプラズマ源の一部を例示する模式図である。
【
図10】
図10は、第1実施形態に係るプラズマ源の特性を例示するグラフである。
【
図11】
図11は、第1実施形態に係るプラズマ源を例示する模式的断面図である。
【
図12】
図12は、第1実施形態に係るプラズマ源の一部を例示する模式的断面図である。
【
図13】
図13(a)及び
図13(b)は、第2実施形態に係るプラズマ源の一部を例示する模式的断面図である。
【
図14】
図14は、第3実施形態に係るスイッチ装置を例示する模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
図1(a)及び
図1(b)は、第1実施形態に係るプラズマ源を例示する模式的断面図である。
図1(a)は、
図1(b)のY1-Y2線断面図である。
図1(b)は、
図1(a)のY3-Y4線断面図である。
【0009】
図1(a)及び
図1(b)に示すように、実施形態に係るプラズマ源110は、容器50、陰極部材10M、及び、陽極部材40Mを含む。
【0010】
容器50は、ガス50gを収容可能である。ガス50gは、容器50の内部の空間に収容される。ガス50gは、例えば、アルゴン、ヘリウム、水素、及び、重水素の少なくとも1つを含む。プラズマ源110は、ガス50gを含んでも良い。プラズマ源110の使用時に、容器50のなかにガス50gが導入されても良い。例えば、ガス50gは、容器50に設けられる導入口などから容器50の内部に導入されて良い。容器50は、容器50の内部の空間を気密に保持可能である。
【0011】
陰極部材10M及び陽極部材40Mは、容器50のなかに設けられる。陽極部材40Mは、陰極部材10Mから離れる。
【0012】
図1(a)に示すように、陰極部材10Mは、筒状または環状である。陰極部材10Mは複数の第1陰極層10を含む。複数の第1陰極層10は、多角形Q1の複数の辺にそれぞれ沿って並ぶ。この例では、多角形Q1は、六角形である。複数の第1陰極層10のそれぞれは、第1表面10fを含む。第1表面10fは、多角形Q1の内側を向く。第1表面10fは、平面状である。
【0013】
多角形Q1を含む平面をX-Y平面とする。X-Y平面に対して垂直な方向をZ軸方向とする。第1表面10fは、Z軸方向に沿う。例えば、陰極部材10Mから陽極部材40Mへの方向は、Z軸方向に沿う。
【0014】
例えば、複数の第1陰極層10のそれぞれの第1表面10fから電子が放出される。
【0015】
複数の第1陰極層10が結晶性であると、高い効率で電子が放出される。第1陰極層10が曲面状である場合、第1陰極層10において高い結晶性を得ることが実用的に困難である。第1陰極層10が平面状であるときに、第1陰極層10において高い結晶性が得られる。これにより、高い効率での電子の放出が得られる。結果として、高い密度のプラズマが得られる。実施形態によれば、高密度のプラズマを得ることが可能なプラズマ源が提供できる。
【0016】
実施形態において、複数の第1陰極層10は、結晶を含むことが好ましい。複数の第1陰極層10は、ダイヤモンド、窒化アルミニウム、窒化アルミニウムガリウム、窒化ガリウム、及び、C12A7エレクトライドよりなる群から選択された少なくとも1つを含むことが好ましい。これにより、より高い効率での電子の放出が得られる。C12A7は、12CaO・7Al2O3を含む。
【0017】
図1(a)に示すように、複数の第1陰極層10は、例えば、陰極層11a~11fなどを含む。陰極層11a~11fのそれぞれが、平面状の第1表面10fを有する。
【0018】
図1(a)及び
図1(b)に示すように、この例では、陰極部材10Mは、複数の第1基板30をさらに含む。複数の第1陰極層10の1つは、複数の第1基板30の1つに支持される。複数の第1陰極層10の上記の1つは、複数の第1陰極層10の別の1つと、複数の第1基板30の上記の1つとの間にある。例えば、陰極層11aは、陰極層11aを支持する第1基板30と、陰極層11dと、の間にある。
【0019】
第1陰極層10が第1基板30に支持されることで、第1陰極層10が安定する。
【0020】
複数の第1基板30は、例えば、モリブデン、タングステン、ダイヤモンド、シリコン、炭化ケイ素及び窒化ガリウムよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。複数の第1基板30は、導電性でよい。複数の第1基板30は、結晶を含んでも良い。例えば、第1基板30の上に、第1陰極層10が結晶成長により形成されても良い。例えば、エピタキシャル成長により、第1陰極層10が形成されても良い。より高い品質の第1陰極層10が得られる。第1基板30は、単結晶基板でも良い。第1基板30が単結晶基板である場合、第1陰極層10において高い結晶性が得られる。これにより、高い効率での電子の放出が得られる。第1基板30が単結晶基板である場合、基板の面方位により第1陰極層10の結晶の面方位を制御できる。例えば、高い効率での電子の放出が得られる。
【0021】
図1(b)に示すように、制御部70が設けられても良い。制御部70は、例えば、陰極部材10Mと陽極部材40Mとの間に電圧を印加することが可能である。
【0022】
図1(a)及び
図1(b)に示すように、磁場印加部60が設けられても良い。プラズマ源110は、磁場印加部60を含んでも良い。磁場印加部60は、複数の第1陰極層10(陰極部材10M)で囲まれた空間SPに磁場MFを印加可能である。磁場MFは、多角形Q1を含む平面(X-Y平面)と交差する方向(例えばZ軸方向)の成分を含む。例えば、磁場MFは、Z軸方向に沿う。磁場印加部60は、例えば磁石(例えば永久磁石)で良い。磁場印加部60は、例えば電磁石でも良い。
【0023】
このような磁場MFにより、陰極部材10Mは、クロスフィールドホローカソードとして機能して良い。
【0024】
図2は、第1実施形態に係るプラズマ源の動作を例示する模式図である。
図2に示すように、筒状(または環状)の陰極部材10Mで囲まれた空間SPに、磁場MFが印加される。磁場MFは、筒の軸方向(Z軸方向)に沿う。空間SPの中心部に、負グロー81が形成される。負グロー81と陰極部材10Mとの間に電場E1が生じる。電子EL1は、磁場MFと、電場E1と、により、筒内を旋回しながらドリフトする。電子EL1は、ガス50gの粒子(分子など)と衝突を繰り返す。これにより電離が促進される。これにより、高い密度のプラズマが得られる。
【0025】
実施形態において、複数の第1陰極層10の多角形Q1の頂角の角度は、90度を超えることが好ましい。これにより、電子EL1の上記のドリフトが阻害されることを抑制できる。多角形Q1は、例えば正多角形で良い。
【0026】
図3は、第1実施形態に係るプラズマ源の一部を例示する模式的断面図である。
図3に示すように、複数の第1陰極層10の1つ(例えば陰極層11a)は、複数の第1陰極層10の別の1つ(例えば陰極層11b)の隣である。第1陰極層10の上記の1つ(陰極層11a)の第1表面10fと、複数の第1陰極層10の上記の別の1つ(陰極層11b)の第1表面10fと、の間の角度を角度θとする。実施形態において、角度θは、90度を超えることが好ましい。角度θは、例えば120度以上でも良い。角度θは、陰極層11aの第1表面10fを含む平面PL1と、陰極層11bの第1表面10fを含む平面PL2と、の間の角度に対応する。
【0027】
図3に示すように、複数の第1陰極層10の上記の1つ(陰極層11a)は、複数の第1陰極層10の上記の別の1つ(陰極層11b)から離れている。これにより、熱膨張などにより、陰極層(及び基板)のサイズが変化したときにも、安定した陰極層(及び基板)が維持できる。
【0028】
例えば、複数の第1陰極層10の1つ(陰極層11a)と、複数の第1陰極層10の上記の別の1つ(陰極層11b)と、の間の距離を距離g1とする。複数の第1陰極層10の上記の1つ(陰極層11a)の幅を幅W1とする。幅W1は、陰極層11aの第1幅方向Dw1に沿う幅(長さ)である。第1幅方向Dw1は、複数の第1陰極層10の上記の1つ(陰極層11a)の第1表面10fに沿う。第1幅方向Dw1は、多角形Q1を含む平面(X-Y平面)に沿う。この例では、第1幅方向Dw1は、X軸方向に沿う。
【0029】
実施形態において、距離g1は、例えば、幅W1の0.001倍以上0.1倍以下であることが好ましい。距離g1が幅W1の0.001倍以上であることで、例えば、熱膨張などにより、陰極層(及び基板)のサイズが変化したときにも、安定した陰極層(及び基板)が維持し易い。距離g1が幅W1の0.1倍以下であることで、例えば、電子EL1の上記のドリフトに関しての悪影響が抑制し易い。
【0030】
図4(a)~
図4(c)、
図5(a)及び
図5(b)は、第1実施形態に係るプラズマ源の特性を例示するグラフである。
これらの図の横軸は、電流密度CDである。縦軸は電圧V1である。電圧V1は、陰極部材10Mと、陽極部材40Mと、との間の電位差に対応する。
図4(a)、
図4(b)、
図4(c)、
図5(a)及び
図5(b)は、磁場MFの強度B1が0Gauss、470Gauss、590Gauss、990Gauss及び1260Gaussの場合にそれぞれ対応する。
【0031】
図4(a)及び
図4(b)に示すように、強度B1が470Gaussの場合は、同じ電流密度CDのときに、強度B1が0Gaussの場合と比べて、電圧V1が低い。強度B1が470Gaussの場合は、同じ電圧V1のときに、強度B1が0Gaussの場合と比べて、高い電流密度CDが得られる。強度B1が高くなるにつれてこの傾向が強ます。例えば、
図5(a)及び
図5(b)に示すように、強度B1が990Gaussや1260Gaussの場合は、同じ電流密度CDのときに、電圧V1は顕著に低い。
【0032】
図6(a)及び
図6(b)は、第1実施形態に係るプラズマ源の特性を例示するグラフである。
これらの図の横軸は、電流密度CDである。縦軸は電圧V1である。
図6(a)は、高電流密度領域の特性を示している。
図6(b)は、低電流密度領域の特性を示している。これらの図には、第1~第6試料SPL1~SPL6の特性が例示されている。第1試料SPL1において、複数の第1陰極層10の材料はモリブデンである。第2試料SPL2において、複数の第1陰極層10の材料はアモルファスカーボン(a-C)である。第3試料SPL3において、複数の第1陰極層10の材料はダイヤモンドライクカーボンで(DLC)ある。第4試料SPL4において、複数の第1陰極層10の材料はダイヤモンド(p形ダイヤモンド)である。第5試料SPL5において、複数の第1陰極層10の材料は高品質ダイヤモンド(p形ダイヤモンド)である。第6試料SPL2において、複数の第1陰極層10の材料は高品質ダイヤモンド(p形ダイヤモンド)である。
【0033】
図6(a)に示すように、第4~第6試料SPL4~SPL6において、第1~第3試料SPL1~SP3と比べて、同じ電流密度CDのときに電圧V1が低い。すなわち、第4~第6試料SPL4~SPL6においては、第1~第3試料SPL1~SPL3と比べて低い消費電力で、同じ電流密度CDが得られる。複数の第1陰極層10の材料はダイヤモンド(p形ダイヤモンド)であることが好ましい。品質の高い第5試料SPL5及び第6試料SPL6において、より低い電圧V1が得られる。複数の第1陰極層10の材料は品質の高いダイヤモンド(p形ダイヤモンド)であることがより好ましい。
【0034】
図6(b)に示すように、第1~第4試料SPL1~SP4では、電流密度CDが0.8A/cm
2以上1.2A/cm
2以下の領域において、電圧V1が低い。第5試料SPL5及び第6試料SPL6において、電流密度CDが0.8A/cm
2以上1.2A/cm
2以下の領域において、電圧V1が高い。第1~第4試料SPL1~SP4では、アーク放電への移行が生じやすい。この場合、例えば負性抵抗が生じる。これに対して、第5試料SPL5及び第6試料SPL6では、アーク放電への移行が抑制される。複数の第1陰極層10の材料は品質の高いダイヤモンド(p形ダイヤモンド)であることがより好ましい。
【0035】
第4試料SPL4において、ダイヤモンド(p形ダイヤモンド)に含まれるB(ボロン)の濃度は、約2×1021/cm3であり、H(水素)の濃度は約1×1022/cm3であり、N(窒素)の濃度は約1×1019/cm3であり、P(リン)の濃度は、1×1016/cm3以下である。
【0036】
第5試料SPL5において、ダイヤモンド(p形ダイヤモンド)に含まれるB(ボロン)の濃度は、約3×1021/cm3であり、H(水素)の濃度は約5×1020/cm3以下であり、N(窒素)の濃度は約5×1018/cm3であり、P(リン)の濃度は、1×1016/cm3以下である。
【0037】
第6試料SPL6において、ダイヤモンド(p形ダイヤモンド)に含まれるB(ボロン)の濃度は、約7×1020/cm3であり、H(水素)の濃度は約2×1021/cm3以下であり、N(窒素)の濃度は約4×1018/cm3であり、P(リン)の濃度は、1×1016/cm3以下である。
【0038】
このように、第5試料SPL5及び第6試料SPL6のダイヤモンドに含まれる水素の濃度は、第4試料SPL4のダイヤモンドに含まれる水素の濃度よりも低い。このような濃度の差が
図6(b)に関して説明した特性の差に関係していると考えられる。
【0039】
実施形態において、複数の第1陰極層10がダイヤモンドを含む場合、そのダイヤモンドに含まれる水素の濃度は、例えば、5×1021/cm3以下であることが好ましい。そのダイヤモンドに含まれる水素の濃度は、例えば、1×1019/cm3以上でも良い。
【0040】
実施形態において、複数の第1陰極層10がダイヤモンドを含む場合、そのダイヤモンドに含まれるB(ボロン)の濃度は、例えば、1×1020/cm3以上8×1021/cm3以下であることが好ましい。
【0041】
実施形態において、複数の第1陰極層10がダイヤモンドを含む場合、そのダイヤモンドに含まれるP(リン)の濃度は、例えば、1×1016/cm3未満であることが好ましい。そのダイヤモンドに含まれるP(リン)の濃度は、例えば、1×1014/cm3以上でも良い。
【0042】
図7は、第1実施形態に係るプラズマ源の特性を例示するグラフである。
図7は、第4~第6試料SPL4~SPL6についてのラマンスペクトルの測定結果を例示している。
図7の横軸は、ラマンシフトRsである。縦軸は、信号の強度Int(相対値)である。これらの図には、第4~第6試料SPL4~SPL6の結果が示されている。
【0043】
図7において、約440cm
-3のラマンシフトRs、及び、約1205cm
-3のラマンシフトRsは、Bドープトダイヤモンドに対応する。約1305cm
-3のラマンシフトRsは、イントリンシックダイヤモンドに対応する。が約1350cm
-3のラマンシフトRs、乱れたsp
3結合カーボンに対応する。約1570cm
-3のラマンシフトRsは、sp
2結合カーボンに対応する。
【0044】
図7に示すように、第4試料SPL4のラマンスペクトルにおいては、ラマンシフトRsが約1350cm
-3における強度Int、及び、ラマンシフトRsが約1570cm
-3における強度Intが高い。このことは、第4試料SPL4において、sp
2結合カーボンの割合が高いことを示す。第5試料SPL5及び第6試料SPL6においては、これらの強度Intが低い。このことは、第5試料SPL5及び第6試料SPL6において、sp
3結合カーボンの割合が高いことを示す。
【0045】
実施形態において、複数の第1陰極層10のラマンスペクトルにおいて、440cm-3のラマンシフトRsにおける強度Intは、1350cm-3のラマンシフトRsにおける強度Intよりも高く、1570cm-3のラマンシフトRsにおける強度Intよりも高いことが好ましい。複数の第1陰極層10において、1205cm-3のラマンシフトRsにおける強度Intは、1350cm-3のラマンシフトRsにおける強度Intよりも高く、1570cm-3のラマンシフトRsにおける強度Intよりも高いことが好ましい。このような特性により、例えば、放電時の消費電力を低減できる。例えば、高い電流密度までグロー放電を維持できる。例えば、アーク放電への移行が効果的に抑制できる。
【0046】
図8(a)~
図8(c)は、第1実施形態に係るプラズマ源の一部を例示する電子顕微鏡写真像である。
これらの図は、複数の第1陰極層10のダイヤモンド(p形ダイヤモンド)の電子顕微鏡写真像の例を示している。
図8(a)~
図8(b)は、第4~第6試料SPL4~SPL6にそれぞれ対応する。
【0047】
図8(a)に示すように、第4試料SPL4においては、細かい粒子が観察される。
図8(b)及び
図8(c)に示すように、第5試料SPL5及び第6試料SPL6においては、明瞭な結晶形態を有する大きな粒子が観察される。
【0048】
実施形態において、複数の第1陰極層10に含まれる複数の粒子の平均の径は、50nm以上であることが好ましい。これにより、例えば、アーク放電への移行が効果的に抑制できる。複数の粒子の平均の径は、例えば5000nm以下で良い。
【0049】
既に説明したように、第4試料SPL4においては、水素の濃度が高い。これは、第4試料SPL4において、水素が細かい複数の粒子の間の領域に偏在しているためと考えられる。
【0050】
複数の第1陰極層10の互いに対向する2つの間の距離d1(
図1(a)参照)と、ガス50gの圧力と、の積は、1Pa・m以上10Pa・m以下であることが好ましい。
【0051】
複数の第1陰極層10の互いに対向する2つの間の距離は、5mm以上30mm以下であることが好ましい。
【0052】
ガスの圧力は、例えば、1Pa以上3000Pa以下であることが好ましい。ガスの圧力が1Pa未満である場合、例えば、空間SP内に負グロー81を形成させるためには距離d1は、1m以上となる。このため、装置が大型化してしまう。一方、ガス圧力が3000Paを超える場合、電子とガスとの衝突頻度が増大してガスの温度が上昇しやすくなる。このため、アーク放電のへの移行が生じやすくなる。
【0053】
以下、陰極部材10Mに含まれる複数の第1陰極層10に対応する多角形Q1の形状の例について説明する。
【0054】
負グロー81の平面形状(
図2参照)を円形とする。負グロー81がホローカソード内に入ることで、ホローカソード効果が得られる。複数の第1陰極層10に対応する多角形Q1の形状を有する陰極部材10Mにより、負グロー81が閉じ込められる。この場合、負グロー81を閉じ込められる最小の多角形Q1は、負グロー81の円形に外接する。
【0055】
負グロー81の内部における荷電粒子の密度は、負グロー81を形成するプラズマにおけるデバイ長未満の距離では変化できない。換言すると、荷電粒子の密度は、デバイ長以上の距離で変化可能である。そのため、負グロー81の円形の半径は、デバイ長以上である。デバイ長以上の半径を有する円形の負グロー81に外接する多角形Q1を有する陰極部材10Mにより、負グロー81を効率良く閉じ込めることができる。
【0056】
図9(a)~
図9(c)は、第1実施形態に係るプラズマ源の一部を例示する模式図である。
これらの図は、陰極部材10Mに含まれる複数の第1陰極層10に対応する多角形Q2形状を例示している。この例では、多角形Q2は正多角形とする。
図9(a)は、多角形Q2の頂点の数Nsが3である場合に対応する。
図9(b)は、多角形Q2の頂点の数Nsが4である場合に対応する。
図9(a)は、多角形Q2の頂点の数Nsが6である場合に対応する。これらの図に示すように、多角形Q2を、円形の負グロー81の円C1に外接する多角形とする。円C1の半径を、長さLDとする。長さLDは、デバイ長に対応する。円C1の面積を面積S1とする。多角形Q2の面積を面積S2とする。
【0057】
図10は、第1実施形態に係るプラズマ源の特性を例示するグラフである。
図10の横軸は、多角形Q2の頂点の数Nsである。数Nsは、多角形Q2の辺の数に対応する。
図10の縦軸は、比RR1である。比RR1は、円C1の面積S1の多角形Q2の面積S2に対する比(S1/S2)である。比RR1が高く、1に近いほど、プラズマ源を小型化することができる。
【0058】
図10に示すように、多角形Q2の頂点の数Nsが大きくなると、比RR1は、高くなる。数Nsが3の場合、比RR1は低い。数Nsが4の場合における比RR1は、数Nsが3の場合における比RR1よりもかなり高くなる。数Nsが5以下の場合、比RR1は0.9よりも低い。多角形Q2の頂点の数Nsが6以上の場合、比RR1は0.9以上である。多角形Q2の頂点の数Nsが6以上において、数Nsの増大に対する比RR1の変化が小さくなる。
【0059】
実施形態において、数Nsは4以上であることが好ましい。高い効率が得られ、サイズを小さくできる。数Nsは6以上であることがさらに好ましい。サイズをより小さくできる。
【0060】
数Nsが過度に大きくなると、陰極部材10Mの全体のサイズに対する、複数の第1陰極層10のそれぞれのサイズが小さくなる。例えば、複数の第1陰極層10の間の距離g1(
図3参照)によりロスの影響が大きくなる。このため、数Nsは12以下であることが好ましい。
【0061】
図11は、第1実施形態に係るプラズマ源を例示する模式的断面図である。
図11に示すように、実施形態に係るプラズマ源111においては、磁場印加部60は、X-Y平面で、陰極部材10Mと重ならない。例えば、Z軸方向において、陰極部材10Mは、容器50と陽極部材40Mとの間にあっても良い。磁場印加部60の少なくとも一部は、X-Y平面において、容器50と重ならなくても良い。
【0062】
図12は、第1実施形態に係るプラズマ源の一部を例示する模式的断面図である。
図12に示すように、実施形態に係るプラズマ源112においては、陰極部材10Mは、複数の第2陰極層20と、複数の第1基板30と、をさらに含む。複数の第1基板30の1つは、複数の第1陰極層10の1つと、複数の第2陰極層20の1つと、の間にある。例えば、1つの第1基板30の1つの面に第1陰極層10が設けられ、別の面に第2陰極層20が設けられる。1つの第1陰極層10、1つの第1基板30及び1つの第2陰極層20は、1つの積層体35に含まれる。
【0063】
複数の第2陰極層20のそれぞれは、第2表面20fを含む。第2表面20fは、多角形Q1の外側を向き、平面状である。
【0064】
プラズマ源111においては、第1陰極層10から電子EL1が放出される。これに加えて、第2陰極層20からも電子EL1が放出可能である。より高い効率の放出が得られる。
【0065】
このような陰極部材10Mが、複数設けられても良い。例えば、複数の陰極部材10Mは、多角形Q1を含む平面(X-Y平面)に沿って設けられて良い。
【0066】
プラズマ源112において、第1陰極層10及び第2陰極層20は、結晶を含むことが好ましい。第1陰極層10及び第2陰極層20は、ダイヤモンド、窒化アルミニウム、窒化アルミニウムガリウム、窒化ガリウム、及び、C12A7エレクトライドよりなる群から選択された少なくとも1つを含むことが好ましい。第1基板30は、例えば、結晶(例えば単結晶)を含むことが好ましい。
【0067】
(第2実施形態)
図13(a)及び
図13(b)は、第2実施形態に係るプラズマ源の一部を例示する模式的断面図である。
これらの図は、実施形態に係るプラズマ源113における陰極部材10Mを例示している。プラズマ源113における、陰極部材10Mを除く構成は、プラズマ源110または111における構成と同様で良い。プラズマ源113における、陰極部材10Mには、プラズマ源112に関して説明した構成が適用される。
【0068】
図13(b)は、
図13(a)のX1-X2線断面図である。
図13(a)に示すように、プラズマ源113において、複数の陰極部材10Mが設けられる。複数の陰極部材10M、多角形Q1を含む平面(X-Y平面)に沿って設けられている。
【0069】
または、プラズマ源113において、複数の陰極部材10Mの全体が1つの陰極部材と見なされても良い。この場合、例えば、陰極部材10Mは、複数の積層体35を含むと見なされる。複数の積層体35のそれぞれは、第1陰極層10と、第2陰極層20と、第1基板30と、を含む(
図12参照)。既に説明したように、第1基板30は、第1陰極層10と第2陰極層20との間に設けられる。第1陰極層10の第1表面10f、及び、第2陰極層20の第2表面20fは、平面状である。
【0070】
図13(a)に示すように、複数の積層体35は、多角形Q1の複数の辺にそれぞれ沿って並ぶ。このような複数の積層体35を含む複数のグループが、X-Y平面に沿って並ぶ。
【0071】
プラズマ源113において、複数のグループのそれぞれに磁場MFが印加される。第1陰極層10及び第2陰極層20の両方からの電子の放出が利用できる。より高いプラズマ密度が得られる。
【0072】
図13(b)に示すように、プラズマ源113は、支持部38を含んでも良い。支持部38は、複数の陰極部材10Mを支持する。支持部38は、例えば、複数の積層体35を支持する。例えば、支持部38は、第1支持部材38aと、第2支持部材38bと、を含む。複数の陰極部材10Mの1つは、第1支持部材38aと第2支持部材38bと、の間にある。例えば、複数の積層体35の1つは、第1支持部材38aと第2支持部材38bと、の間にある。例えば、複数の第1基板30の1つは、第1支持部材38aと第2支持部材38bと、の間にある。
【0073】
支持部38は、第3支持部材38cを含んでも良い。第3支持部材38cは、第1支持部材38a及び第2支持部材38bを支持する。第3支持部材38cは、ベースである。第1支持部材38a及び第2支持部材38bは、例えば、弾性部材である。
【0074】
プラズマ源112及び113において、多角形Q1の複数の角の数は、4以上であることが好ましい。例えば、多角形Q1は、六角形であることが好ましい。稠密な構造が得られる。
【0075】
(第3実施形態)
第3実施形態は、スイッチ装置に係る。
図14は、第3実施形態に係るスイッチ装置を例示する模式的断面図である。
図14に示すように、実施形態に係るスイッチ装置210は、第1実施形態または第2実施形態に係るプラズマ源(この例では、プラズマ源110)と、制御導電部45と、を含む。制御導電部45は、容器50のなかに設けられる。制御導電部45は、例えば、制御部70と接続される。制御部70により、制御導電部45の電位が制御される。これにより、陰極部材10Mと陽極部材40Mとの間に流れる電流が制御できる。
【0076】
実施形態は、以下の構成(例えば技術案)を含んでも良い。
(構成1)
ガスを収容可能な容器と、
前記容器のなかに設けられた陰極部材であって、前記陰極部材は複数の第1陰極層を含み、前記複数の第1陰極層は、多角形の複数の辺にそれぞれ沿って並び、前記複数の第1陰極層のそれぞれは、前記多角形の内側を向く平面状の第1表面を含む、前記陰極部材と、
前記容器のなかに設けられた陽極部材と、
を備えたプラズマ源。
【0077】
(構成2)
前記複数の第1陰極層は、結晶を含む、構成1に記載のプラズマ源。
【0078】
(構成3)
前記複数の第1陰極層は、ダイヤモンド、窒化アルミニウム、窒化アルミニウムガリウム、窒化ガリウム、及び、C12A7エレクトライドよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、構成1または2に記載のプラズマ源。
【0079】
(構成4)
前記複数の第1陰極層の少なくとも1つは、ダイヤモンドを含み、
前記ダイヤモンドに含まれる水素の濃度は、5×1021/cm3以下である、構成1または2に記載のプラズマ源。
【0080】
(構成5)
前記複数の第1陰極層の少なくとも1つは、ダイヤモンドを含み、
複数の第1陰極層のラマンスペクトルにおいて、440cm-3のラマンシフトにおける強度は、1350cm-3のラマンシフトにおける強度よりも高く、1570cm-3のラマンシフトにおける強度よりも高い、構成1または2に記載のプラズマ源。
【0081】
(構成6)
前記複数の第1陰極層の少なくとも1つは、ダイヤモンドを含み、
複数の第1陰極層のラマンスペクトルにおいて、1205cm-3のラマンシフトにおける強度は、1350cm-3のラマンシフトにおける強度よりも高く、1570cm-3のラマンシフトにおける強度よりも高い、構成1または2に記載のプラズマ源。
【0082】
(構成7)
前記複数の第1陰極層の少なくとも1つに含まれる複数の粒子の平均の径は、50nm以上である、構成1または2に記載のプラズマ源。
【0083】
(構成8)
前記陰極部材は、複数の第1基板をさらに含み、
前記複数の第1陰極層の1つは、前記複数の第1基板の1つに支持され、
前記複数の第1陰極層の前記1つは、前記複数の第1陰極層の別の1つと、前記複数の第1基板の前記1つとの間にある、構成1~7のいずれか1つに記載のプラズマ源。
【0084】
(構成9)
前記複数の第1基板は、結晶を含む、構成8に記載のプラズマ源。
【0085】
(構成10)
前記複数の第1陰極層の1つは、前記複数の第1陰極層の別の1つの隣であり、
前記第1陰極層の前記1つの前記第1表面と、前記複数の第1陰極層の前記別の1つの前記第1表面と、の間の角度は、90度を超える、構成1~9のいずれか1つに記載のプラズマ源。
【0086】
(構成11)
前記複数の第1陰極層の1つは、前記複数の第1陰極層の別の1つの隣であり、
前記複数の第1陰極層の前記1つは、前記複数の第1陰極層の前記別の1つから離れ、
前記複数の第1陰極層の前記1つと、前記複数の第1陰極層の前記別の1つと、の間の距離は、前記複数の第1陰極層の前記1つの第1幅方向に沿う幅の0.001倍以上0.1倍以下であり、
前記第1幅方向は、前記複数の第1陰極層の前記1つの前記第1表面に沿い、前記多角形を含む平面に沿う、構成1~9のいずれか1つに記載のプラズマ源。
【0087】
(構成12)
前記陰極部材は、
複数の第2陰極層と、
複数の第1基板と、
をさらに含み、
前記複数の第1基板の1つは、前記複数の第1陰極層の1つと前記複数の第2陰極層の1つとの間にあり、
前記複数の第2陰極層のそれぞれは、前記多角形の外側を向く平面状の第2表面を含む、構成1~7のいずれか1つに記載のプラズマ源。
【0088】
(構成13)
複数の前記陰極部材を備え、
前記複数の陰極部材は、前記多角形を含む平面に沿って設けられた、構成12に記載のプラズマ源。
【0089】
(構成14)
前記複数の陰極部材を支持する支持部をさらに備えた、構成13に記載のプラズマ源。
【0090】
(構成15)
前記支持部は、第1支持部材と、第2支持部材と、を含み、
前記複数の第1基板の前記1つは、前記第1支持部材と前記第2支持部材と、の間にある、構成14記載のプラズマ源。
【0091】
(構成16)
ガスを収容可能な容器と、
前記容器のなかに設けられた陰極部材であって、前記陰極部材は複数の積層体を含み、前記複数の積層体のそれぞれは、第1陰極層と、第2陰極層と、前記第1陰極層と前記第2陰極層との間に設けられた第1基板と、を含み、前記複数の積層体は、多角形の複数の辺にそれぞれ沿って並び、前記第1陰極層の第1表面、及び、前記第2陰極層の第2表面は、平面状である、前記陰極部材と、
前記容器のなかに設けられた陽極部材と、
を備えたプラズマ源。
【0092】
(構成17)
前記第1陰極層及び前記第2陰極層は、ダイヤモンド、窒化アルミニウム、窒化アルミニウムガリウム、窒化ガリウム、及び、C12A7エレクトライドよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、構成16に記載のプラズマ源。
【0093】
(構成18)
前記複数の第1陰極層で囲まれた空間に磁場を印加可能な磁場印加部をさらに備え、
前記磁場は、前記多角形を含む平面と交差する方向の成分を含む、構成1~17のいずれか1つに記載のプラズマ源。
【0094】
(構成19)
前記複数の第1陰極層で囲まれた空間における前記磁場は、100ガウス以上3000ガウス以下である、構成18に記載のプラズマ源。
【0095】
(構成20)
前記陰極部材から前記陽極部材への方向は、前記多角形を含む前記平面と交差する、構成18または19に記載のプラズマ源。
【0096】
(構成21)
前記複数の第1陰極層の互いに対向する2つの間の距離と、前記ガスの圧力と、の積は、1Pa・m以上10Pa・m以下である、構成1~20のいずれか1つに記載のプラズマ源。
【0097】
(構成22)
前記複数の第1陰極層の互いに対向する2つの間の距離は、5mm以上30mm以下である、構成1~21のいずれか1つに記載のプラズマ源。
【0098】
(構成23)
前記ガスの圧力は、1Pa以上1000Pa以下である、構成1~20のいずれか1つに記載のプラズマ源。
【0099】
(構成24)
構成1~23のいずれか1つに記載のプラズマ源と、
前記容器のなかに設けられた制御導電部と、
を備えたスイッチ装置。
【0100】
実施形態によれば、高密度のプラズマを得ることが可能なプラズマ源及びスイッチ装置が提供できる。
【0101】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、プラズマ源及びスイッチ装置に含まれる陰極部材、陰極層、陽極部材、容器、磁場印加部、及び制御部などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0102】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0103】
その他、本発明の実施の形態として上述したプラズマ源及びスイッチ装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全てのプラズマ源及びスイッチ装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0104】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0105】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0106】
10…第1陰極層、 10M…陰極部材、 10f…第1表面、 11a~11f…陰極層、 20…第2陰極層、 20f…第2表面、 30…第1基板、 35…積層体、 38…支持部、 38a~38c…第1~第3支持部材、 40M…陽極部材、 45…制御導電部、 50…容器、 50g…ガス、 60…磁場印加部、 70…制御部、 81…負グロー、 θ…角度、 110~113…プラズマ源、 210…スイッチ装置、 B1…強度、 C1…円、 CD…電流密度、 Dw1…第1幅方向、 E1…電場、 EL1…電子、 Int…強度、 LD…長さ、 MF…磁場、 Ns…数、 PL1、PL2…第1、第2平面、 Q1、Q2…多角形、 SP…空間、 SPL1~SPL6…第1~第6試料、 V1…電圧、 W1…幅、 d1…距離、 g1…距離