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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023027533
(43)【公開日】2023-03-02
(54)【発明の名称】収納装置
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/12 20060101AFI20230222BHJP
   F25D 17/06 20060101ALI20230222BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20230222BHJP
   F25B 6/02 20060101ALI20230222BHJP
   B65G 1/04 20060101ALN20230222BHJP
【FI】
F25D23/12 P
F25D17/06 302
F25D11/00 101U
F25B6/02 Z
B65G1/04 561
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021132684
(22)【出願日】2021-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢野 明日香
(72)【発明者】
【氏名】三原 一彦
(72)【発明者】
【氏名】桑原 修
【テーマコード(参考)】
3F022
3L045
3L345
【Fターム(参考)】
3F022BB01
3F022BB02
3F022CC03
3F022FF01
3F022JJ20
3L045AA02
3L045AA03
3L045AA05
3L045CA02
3L045CA03
3L045DA02
3L045EA01
3L045JA15
3L045LA09
3L045NA03
3L045PA03
3L045PA04
3L045PA05
3L345AA02
3L345AA05
3L345AA06
3L345AA16
3L345BB01
3L345BB02
3L345BB07
3L345CC01
3L345DD33
3L345DD35
3L345DD36
3L345DD52
3L345EE04
3L345EE24
3L345EE25
3L345EE53
3L345FF04
3L345FF24
3L345FF25
3L345FF39
3L345FF45
3L345KK03
3L345KK04
3L345KK05
(57)【要約】
【課題】収納装置の構成を複雑にすることなく、低温で保管すべき物品及び低温での保管を避けるべき物品を適切に保管することができる収納装置を提供すること。
【解決手段】収納装置は、冷却保管庫と、常温保管庫と、前記冷却保管庫内を冷却する冷凍装置と、を備え、前記冷凍装置は、導入される冷媒を圧縮する圧縮機、前記圧縮機で圧縮された前記冷媒を冷却する放熱熱交換部、前記放熱熱交換部で冷却された前記冷媒を用いる熱交換により前記冷却保管庫内を冷却する冷却空気を生成する冷却器を備え、前記冷却器において熱交換された前記冷媒が前記圧縮機に導入されるように構成され、前記放熱熱交換部は、前記冷媒を熱交換により冷却する第1放熱熱交換器と、前記冷媒を熱交換により冷却し、前記冷媒から得られた熱により前記常温保管庫内の温度を上げる第2放熱熱交換器と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を冷やして保管する冷却保管庫と、
物品を冷やさずに保管する常温保管庫と、
前記冷却保管庫内を冷却する冷凍装置と、を備え、
前記冷凍装置は、導入される冷媒を圧縮する圧縮機、前記圧縮機で圧縮された前記冷媒を冷却する放熱熱交換部、前記放熱熱交換部で冷却された前記冷媒を用いる熱交換により前記冷却保管庫内を冷却する冷却空気を生成する冷却器を備え、前記冷却器において熱交換された前記冷媒が前記圧縮機に導入されるように構成され、
前記放熱熱交換部は、
前記冷媒を熱交換により冷却する第1放熱熱交換器と、
前記冷媒を熱交換により冷却し、前記冷媒から得られた熱により前記常温保管庫内の温度を上げる第2放熱熱交換器と、を備える、
収納装置。
【請求項2】
前記第2放熱熱交換器は、前記常温保管庫の下側に配置されている、
請求項1に記載の収納装置。
【請求項3】
前記冷媒から得られた熱により温められた空気を、前記常温保管庫内へ、又は、前記常温保管庫の下側へ送る加温空気用ファンを更に備える、
請求項1又は2に記載の収納装置。
【請求項4】
前記冷凍装置は、
前記圧縮機で圧縮された前記冷媒が、前記第1放熱熱交換器のみにおける熱交換に利用された後に、前記冷却器に流入するように構成された第1冷媒流路と、
前記圧縮機で圧縮された前記冷媒のうち一部の冷媒が、前記第1放熱熱交換器における熱交換に利用された後に前記冷却器に流入する一方で、前記圧縮機で圧縮された前記冷媒のうち残りの冷媒が、前記第2放熱熱交換器における熱交換に利用された後に、前記冷却器に流入するように構成された第2冷媒流路と、
前記冷媒が前記第1冷媒流路を流れる状態と、前記第2冷媒流路を流れる状態とに切り替える切替部と、を更に備える、
請求項1から3のいずれか一項に記載の収納装置。
【請求項5】
前記冷凍装置は、
前記常温保管庫内の温度が基準温度以上である場合、前記圧縮機で圧縮された前記冷媒が前記第1冷媒流路を流れるように前記切替部を制御して、前記冷却保管庫内を冷却する一方で、前記常温保管庫内の温度を上げない通常制御と、
前記常温保管庫内の温度が前記基準温度未満である場合、前記圧縮機で圧縮された前記冷媒が前記第2冷媒流路を流れるように前記切替部を制御して、前記冷却保管庫内を冷却すると共に、前記常温保管庫内の温度を上げる低温時制御と、を実施する制御部を更に備える、
請求項4に記載の収納装置。
【請求項6】
前記冷凍装置は、
前記圧縮機で圧縮された前記冷媒が、前記第1放熱熱交換器、前記第2放熱熱交換器及び前記冷却器の順序に流れるように構成された冷媒流路と、
前記放熱熱交換部における前記熱交換時の放熱量を調整する制御部と、を更に備え、
前記制御部は、
前記常温保管庫内の温度が基準温度以上である場合、前記冷却保管庫内を冷却する一方で、前記常温保管庫内の温度を上げないように、前記第1放熱熱交換器及び前記第2放熱熱交換器における前記放熱量を調整する通常制御と、
前記常温保管庫内の温度が前記基準温度未満である場合、前記冷却保管庫内を冷却すると共に、前記常温保管庫内の温度を上げるように、前記第1放熱熱交換器における前記放熱量を前記通常制御時よりも少なくする一方で、前記第2放熱熱交換器における前記放熱量を前記通常制御時よりも多くする低温時制御と、を実施する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、店舗や屋外等に設けられ、食品等の物品の受け渡しに用いられる収納装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の食料品端末(収納装置)は、設定温度が異なる2つの区域を備える。1つの区域は、冷凍食品保管のために-18℃に設定され、もう1つの区域は、乳製品等の保管のために+2℃に設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-193107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の食料品端末では、低温での保管を避けるべき物品を保管することができない。そこで、例えば、上記設定温度が異なる2つの区域に対向する位置に、物品を常温で保管する区域(常温保管区域)を設けることが考えられる。
【0006】
しかし、特許文献1の食料品端末に常温保管区域を設ける構成では、例えば、食料品端末が屋外に設置された場合、冬の常温保管区域内の温度が0℃以下になってしまい、低温での保管を避けるべき物品を適切に保管できないおそれがある。このような不具合を防止するために、常温保管区域の加熱のみに利用するヒータ等の熱源を配置することが考えられるが、食料品端末の構成が複雑になるという別の不具合が発生する。
【0007】
本開示は、上記課題を解決するものであり、収納装置の構成を複雑にすることなく、低温で保管すべき物品及び低温での保管を避けるべき物品を適切に保管することができる収納装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の収納装置は、収納装置は、物品を冷やして保管する冷却保管庫と、物品を冷やさずに保管する常温保管庫と、前記冷却保管庫内を冷却する冷凍装置と、を備え、前記冷凍装置は、導入される冷媒を圧縮する圧縮機、前記圧縮機で圧縮された前記冷媒を冷却する放熱熱交換部、前記放熱熱交換部で冷却された前記冷媒を用いる熱交換により前記冷却保管庫内を冷却する冷却空気を生成する冷却器を備え、前記冷却器において熱交換された前記冷媒が前記圧縮機に導入されるように構成され、前記放熱熱交換部は、前記冷媒を熱交換により冷却する第1放熱熱交換器と、前記冷媒を熱交換により冷却し、前記冷媒から得られた熱により前記常温保管庫内の温度を上げる第2放熱熱交換器と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示の収納装置によれば、収納装置の構成を複雑にすることなく、低温で保管すべき物品及び低温での保管を避けるべき物品を適切に保管することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る収納装置の縦断面図
図2】第1実施形態に係る冷凍装置のブロック図
図3】第1~第3実施形態に係る収納装置が行う温度調整処理のフローチャート
図4A】第1実施形態に係る通常制御の説明図
図4B】第1実施形態に係る低温時制御の説明図
図5】第2,第3実施形態に係る収納装置の縦断面図
図6】第2実施形態に係る冷凍装置のブロック図
図7】第3実施形態に係る冷凍装置のブロック図
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施形態]
本開示の第1実施形態について説明する。
【0012】
<収納装置の構成>
まず、収納装置の構成について説明する。図1は、収納装置の縦断面図である。なお、前側とは、収納装置に物品が出し入れされるときに収納装置のユーザが対面する側であり、後側とは、前側の逆側である。また、右側、左側、上側及び下側とは、ユーザが収納装置への物品の出し入れ動作を行うときに搬送装置から見て右側、左側、上側及び下側である。
【0013】
図1に示される収納装置1は、例えば、鉄道駅の中又はその周辺、コンビニエンスストア又はスーパーマーケット等の商業施設の中又はその周辺、工場又はオフィスビルの中又はその周辺、若しくは、住宅地(具体的には、マンション又は戸建て住宅の入り口付近等)に設置される。収納装置1は、例えば、オンラインショッピング又はネットスーパー等で購入された物品Zを、宅配業者又は店舗と購入者との間で間接的に受け渡す際に使用される。物品Zは、例えば、日用品、生鮮食品及び冷凍食品である。
【0014】
収納装置1は、物品Zを常温、冷蔵温度(例えば、+1℃以上+5℃以下)、冷凍温度(例えば、約-20℃)で保管する。なお、本開示において、「常温」とは、例えば、約+20℃であり、低温での保管が不要あるいは低温での保管を避けるべき物品を保管するための温度帯を意味する。収納装置1は、本体部2と、エアカーテン生成部3と、搬送装置4とを備える。
【0015】
本体部2は、筐体21を備える。筐体21は、それぞれ断熱性を有する上壁211、図示されない底壁、前壁212、後壁213及び左右の側壁214により、直方体箱状に形成されている。筐体21は、後に説明するエアカーテンによって第1物品保管空間R1と第2物品保管空間R2に仕切られる空間を取り囲んでいる。
【0016】
第1物品保管空間R1は、筐体21内部における後側の部位に位置する。第1物品保管空間R1には、仮想的な冷凍保管庫22と、冷蔵保管庫23とが配置されていると考えることが可能である。もちろん、実際にハードウエアとしての冷凍保管庫22と冷蔵保管庫23が配置されていても良い。
【0017】
冷凍保管庫22は、本開示の冷却保管庫の一例であり、冷凍温度で物品Zを保管する。冷凍保管庫22は、第1物品保管空間R1の上側に位置する。冷凍保管庫22は、鉛直方向に並ぶ例えば3個の棚221を備える。各棚221は、左右の側壁214を架け渡すように配置されている。各棚221は、保管箱20を載置できるように構成されている。保管箱20は、上方から保管箱20の内部に物品Zを出し入れできるように構成されている。冷凍保管庫22の前側の開口である上側開口22Aは、塞がれていない。保管箱20は、上側開口22Aを介して、冷凍保管庫22の内部に出し入れされる。
【0018】
冷蔵保管庫23は、本開示の冷却保管庫の一例であり、冷蔵温度で物品Zを保管する。冷蔵保管庫23は、第1物品保管空間R1の下側の部位、つまり冷凍保管庫22の下方に位置する。冷蔵保管庫23は、鉛直方向に並ぶ例えば4個の棚231を備える。各棚231は、左右の側壁214を架け渡すように配置され、保管箱20を載置できるように構成されている。冷蔵保管庫23の前側の開口である下側開口23Aは、塞がれていない。保管箱20は、下側開口23Aを介して、冷蔵保管庫23の内部に出し入れされる。
【0019】
また、筐体21内には、上側背板222と、中間板状部材223と、後方板状部材224と、下方板状部材232とが更に設けられている。
【0020】
上側背板222は、上壁211と、左右の側壁214と、一番下の棚221とで囲まれる後側の開口部のうち、上端側の部位を除く部位を塞ぐように設けられている。
【0021】
中間板状部材223は、一番下の棚221から所定距離下方に離れた位置において、左右の側壁214を架け渡すように配置されている。中間板状部材223は、前端が棚221の前端よりも前方に位置し、後端が上側背板222と後壁213のほぼ中間に位置するように配置されている。中間板状部材223の前端には、上方に延びる延出部223Aが形成されている。延出部223Aの上端は、一番下の棚221よりも下側、かつ、後述するダクト突出部321Bの後端のほぼ真下に位置している。
【0022】
中間板状部材223の後端には、当該後端から上方に延びる後方板状部材224が設けられている。後方板状部材224は、左右の側壁214を架け渡すように配置されている。
【0023】
下方板状部材232は、一番下の棚231から所定距離下方に離れた位置において、左右の側壁214を架け渡すように配置されている。下方板状部材232は、前端がダクト突出部321Bの前端のほぼ真下に位置し、後端が後壁213に固定されている。
【0024】
第2物品保管空間R2は、筐体21内部における前側の部位に位置する。第2物品保管空間R2には、仮想的な常温保管庫24が配置されていると考えることが可能である。もちろん、実際にハードウエアとしての常温保管庫24が配置されていても良い。
【0025】
常温保管庫24は、常温(冷蔵温度及び冷凍温度よりも高温)で物品Zを保管する。常温保管庫24は、搬送空間R3を挟んで、冷凍保管庫22及び冷蔵保管庫23から離れた部位に設けられている。搬送空間R3は、第2物品保管空間R2の一部であり、後に説明する搬送装置4が配置される空間である。
【0026】
常温保管庫24は、鉛直方向に並ぶ6個の棚241を備える。各棚241は、左右の側壁214を架け渡すように配置され、保管箱20を載置できるように構成されている。常温保管庫24の後側の開口である開口24Aは、塞がれていない。保管箱20は、開口24Aを介して、常温保管庫24の内部に出し入れされる。
【0027】
また、筐体21の前壁212には、利用者により操作される操作パネル25が設けられている。前壁212における常温保管庫24の下側に位置する部位には、前側開口212Aが形成されている。前側開口212Aの周辺には、入出庫部26が設けられている。入出庫部26は、開閉可能な開閉扉261と、保管箱20を載置可能な載置部262とを備える。
【0028】
また、第2物品保管空間R2には、後述する冷凍装置5(図2参照)を構成する第2放熱熱交換器513Bが配置されている。第2放熱熱交換器513Bは、例えば第2物品保管空間R2における載置部262の下側に、つまり常温保管庫24の下側に配置されている。なお、複数の第2放熱熱交換器513Bが配置されても良い。第2放熱熱交換器513Bは、詳しくは後述するが、常温保管庫24の温度を上昇させる。
【0029】
エアカーテン生成部3は、第1エアカーテンC1と、第2エアカーテンC2とを生成する。第1エアカーテンC1は、下側開口23Aを覆うことにより冷蔵保管庫23内を冷却して、冷蔵保管庫23の温度を冷蔵温度にする。第2エアカーテンC2は、上側開口22Aを覆うことにより冷凍保管庫22内を冷却して、冷凍保管庫22の温度を冷凍温度にする。エアカーテン生成部3は、第2エアカーテン生成部31と、第1エアカーテン生成部32とを備える。
【0030】
第2エアカーテン生成部31は、第2流路311と、冷凍装置5を構成する第2熱交換器519と、第2ファン312と、を備える。
【0031】
第2流路311は、第2エアカーテンC2の生成に用いられる第2空気A2及び第2エアカーテンC2を構成する空気を、冷凍保管庫22の後側、上側、上側開口22Aの前側、及び冷凍保管庫22と冷蔵保管庫23の間で循環させるように構成されている。
【0032】
第2熱交換器519は、中間板状部材223の上に、つまり第2流路311内における冷凍保管庫22と冷蔵保管庫23の間の部位に配置されている。第2熱交換器519は、当該第2熱交換器519周囲の空気を熱交換により冷却して、第2空気A2を生成する。第2空気A2は、本開示の冷却空気の一例である。第2空気A2の温度は、例えば、-25℃である。
【0033】
第2ファン312は、中間板状部材223の上における第2熱交換器519の前方に配置され、第2熱交換器519での熱交換により得られた第2空気A2を後方に送る。
【0034】
第1エアカーテン生成部32は、第1流路321と、冷凍装置5を構成する第1熱交換器517と、第1ファン322と、を備える。
【0035】
第1流路321は、第1エアカーテンC1の生成に用いられる第1空気A1及び第1エアカーテンC1を構成する空気を、上側開口22A及び下側開口23Aの前側、冷蔵保管庫23の下側、冷蔵保管庫23及び冷凍保管庫22の後側、並びに冷凍保管庫22の上側の間で循環させるように構成されている。
【0036】
第1流路321における冷凍保管庫22の上側の部位を区画する上ダクト321Aは、上壁211の上に配置されている。上ダクト321Aの前端側は、下側に屈曲している。上ダクト321Aの前端側の下方に延びる部位は、上壁211に形成された開口に挿通されて上壁211の下方に突出するダクト突出部321Bを構成する。上ダクト321Aの後端の開口には、後壁213と後方板状部材224と左右の側壁214とで構成された筒状部分の上端の開口が接続される。
【0037】
第1熱交換器517は、上ダクト321A内に配置されている。第1熱交換器517は、当該第1熱交換器517周囲の空気を熱交換により冷却して、第1空気A1を生成する。第1空気A1は、本開示の冷却空気の一例である。第1空気A1の温度は、冷蔵温度よりも高い温度である。第1空気A1の温度は、第1空気A1と第2空気A2とを混合した空気の温度が、冷蔵温度になるような温度であり、例えば、+15℃である。なお、第1空気A1は、冷凍保管庫22の設定温度、冷蔵保管庫23の設定温度及び外気温度によっては、加熱された空気であり得る。
【0038】
第1ファン322は、上ダクト321A内における第1熱交換器517の後方に配置され、第1熱交換器517での熱交換により得られた第1空気A1を前方に送る。
【0039】
なお、第1エアカーテンC1及び第2エアカーテンC2は、筐体21の内部を、第1物品保管空間R1と第2物品保管空間R2に仕切る機能を有する。
【0040】
搬送装置4は、搬送空間R3に配置されており、入出庫部26から入れられた物品Zを物品保持部41で保持し、移動機構42により物品保持部41を移動させることにより、物品Zを冷凍保管庫22、冷蔵保管庫23又は常温保管庫24に入れる入庫処理を行う。また、搬送装置4は、冷凍保管庫22、冷蔵保管庫23又は常温保管庫24で保管されている物品Zを物品保持部41で保持し、移動機構42により物品保持部41を移動させることにより、物品Zを入出庫部26から外に出す出庫処理を行う。
【0041】
図2は、冷凍装置のブロック図である。図2に示されるように、収納装置1は、冷凍装置5を更に備える。冷凍装置5は、第1物品保管空間R1の内部に存在する冷凍保管庫22及び冷蔵保管庫23を冷やす。冷凍装置5は、冷凍回路51を構成する各種機器と、温度センサ54と、制御部55と、を備える。
【0042】
冷凍回路51は、冷媒との熱交換を行うことにより、冷蔵保管庫23の温度を冷蔵温度にするための第1空気A1と、冷凍保管庫22の温度を冷凍温度にするための第2空気A2と、常温保管庫24の温度を上げるための加温空気Bとを生成する。冷凍回路51は、圧縮機511と、第1三方弁512と、放熱熱交換部513と、放熱熱交換部用ファン514と、第2三方弁515と、第1絞り部516と、上述した第1熱交換器517と、第2絞り部518と、上述した第2熱交換器519と、を備える。
【0043】
圧縮機511は、例えばロータリコンプレッサである。圧縮機511には、配管521の一端が接続されている。圧縮機511は、冷媒を圧縮して配管521に送る。
【0044】
第1三方弁512の第1配管接続部、第2配管接続部及び第3配管接続部には、それぞれ配管521の他端と、配管522の一端と、配管523の一端とが接続されている。
【0045】
放熱熱交換部513は、第1放熱熱交換器513Aと、第2放熱熱交換器513Bとを備える。
【0046】
第1放熱熱交換器513Aは、例えば図示されない放熱フィンを有する空冷式の熱交換器により構成されている。なお、第1放熱熱交換器513Aは、水冷式の熱交換器により構成されていても良い。第1放熱熱交換器513Aには、配管522の他端と、配管524の一端とが接続されている。第1放熱熱交換器513Aは、圧縮機511で圧縮された冷媒と、当該第1放熱熱交換器513Aの周囲に存在する空気との熱交換を行い、熱交換後の冷やされた冷媒を配管524に送る。
【0047】
第2放熱熱交換器513Bは、例えば図示されない放熱フィンを有する空冷式の熱交換器により構成されている。第2放熱熱交換器513Bには、配管523の他端と、配管525の一端とが接続されている。第2放熱熱交換器513Bは、圧縮機511で圧縮された冷媒と、常温保管庫24の下側(第2放熱熱交換器513Bの周囲)に存在する空気との熱交換を行い、熱交換後の冷やされた冷媒を配管525に送ると共に、常温保管庫24の下側に存在する空気を温めることにより加温空気Bを生成する。この加温空気Bが常温保管庫24に流れることにより、常温保管庫24の温度が上昇する。
【0048】
放熱熱交換部用ファン514は、第1放熱熱交換器513Aに風を送ることによって、第1放熱熱交換器513Aの冷却効率を上げる。なお、第1放熱熱交換器513Aが水冷式の熱交換器により構成される場合、放熱熱交換部用ファン514は設けられなくても良い。
【0049】
第2三方弁515の第1配管接続部、第2配管接続部及び第3配管接続部には、それぞれ配管524の他端と、配管525の他端と、配管526の一端とが接続されている。
【0050】
第1絞り部516は、例えば電動膨張弁である。第1絞り部516には、配管526の他端と、配管527の一端とが接続されている。第1絞り部516は、放熱熱交換部513で冷やされた冷媒を絞って配管527に送る。
【0051】
第1熱交換器517には、配管527の他端と、配管528の一端とが接続されている。第1熱交換器517は、第1絞り部516で絞られた冷媒と、第1熱交換器517の周囲の空気とを熱交換して第1空気A1を生成し、熱交換後の冷媒を配管528に送る。
【0052】
第2絞り部518は、例えば電動膨張弁である。第2絞り部518には、配管528の他端と、配管529の一端とが接続されている。第2絞り部518は、第1熱交換器517で熱交換された冷媒を絞って配管529に送る。
【0053】
第2熱交換器519には、配管529の他端と、配管530の一端とが接続されている。第2熱交換器519は、第2絞り部518で絞られた冷媒と、第2熱交換器519の周囲の空気とを熱交換して第2空気A2を生成し、熱交換後の冷媒を配管530に送る。配管530の他端は圧縮機511に接続されており、第2熱交換器519から送られた冷媒は、圧縮機511に戻される。
【0054】
以上の構成を有する冷凍回路51において、第1絞り部516、第1熱交換器517、第2絞り部518及び第2熱交換器519は、放熱熱交換部513で冷却された冷媒を用いる熱交換により、第1空気A1及び第2空気A2を生成する冷却器56を構成する。また、第1放熱熱交換器513A及び第2放熱熱交換器513Bは、圧縮機511及び冷却器56の間において、並列に接続されている。
【0055】
また、配管522,524は、圧縮機511で圧縮された冷媒が第1放熱熱交換器513Aにおける熱交換に利用された後に、冷却器56に流入するように構成された第1冷媒流路F1を構成する。配管522,523,524,525は、圧縮機511で圧縮された冷媒が第1放熱熱交換器513A及び第2放熱熱交換器513Bのそれぞれにおける熱交換に利用された後に、冷却器56に流入するように構成された第2冷媒流路F2を構成する。
【0056】
また、第1三方弁512は、圧縮機511、第1放熱熱交換器513A及び第2放熱熱交換器513Bの間に配置され、圧縮機511から流出する冷媒を少なくとも第1放熱熱交換器513Aに流入させるように構成されている。第2三方弁515は、第1放熱熱交換器513A、第2放熱熱交換器513B及び冷却器56の間に配置され、少なくとも第1放熱熱交換器513Aから流出する冷媒を冷却器56に流入させるように構成されている。第1三方弁512及び第2三方弁515は、切替部57を構成する。
【0057】
温度センサ54は、常温保管庫24の温度を検出する。
【0058】
制御部55は、温度センサ54における温度の検出結果に基づいて、冷凍回路51を構成する各種機器を構成する各種機器を制御して、冷凍保管庫22、冷蔵保管庫23及び常温保管庫24の温度を適切な温度に調整する。
【0059】
<収納装置の動作>
次に、収納装置1の動作として、冷凍保管庫22、冷蔵保管庫23及び常温保管庫24の温度調整処理について説明する。図3は、収納装置1が行う温度調整処理のフローチャートである。図4Aは、通常制御の説明図である。図4Bは、低温時制御の説明図である。
【0060】
まず、冷凍装置5の制御部55は、図3に示されるように、通常制御を実施する(ステップS1)。通常制御とは、圧縮機511で圧縮された冷媒が第1冷媒流路F1を流れるように切替部57を制御して、冷凍保管庫22及び冷蔵保管庫23を冷却する一方で、常温保管庫24の温度を上げない制御である。
【0061】
制御部55は、通常制御を実施する場合、切替部57を構成する第1三方弁512及び第2三方弁515を第1状態にする。図4Aに示すように、第1状態では、第1三方弁512に流入する冷媒は、第1冷媒流路F1を構成する実線で示される配管522,524に流れる一方で、二点鎖線で示される配管523,525に流れなくなる。したがって、冷媒は、矢印Yで示す方向に流れることになり、圧縮機511から出た後、第1放熱熱交換器513A、第1絞り部516、第1熱交換器517、第2絞り部518、第2熱交換器519の順に通過し、圧縮機511に戻る。
【0062】
そして、制御部55は、冷凍回路51を制御することにより、第1空気A1を第1熱交換器517で生成すると共に、第2空気A2を第2熱交換器519で生成する。具体的に、制御部55は、第1絞り部516及び第2絞り部518における冷媒の絞り量(弁の開度)を所定状態に設定すると共に、放熱熱交換部用ファン514を駆動する。そして、制御部55は、圧縮機511を所定の運転周波数で駆動することにより、冷媒を圧縮する。圧縮機511で圧縮された冷媒は、第1冷媒流路F1を流れ、第1放熱熱交換器513Aにおける熱交換により冷やされて、第1絞り部516に流入する。第1絞り部516は、第1放熱熱交換器513Aで冷やされた冷媒を絞ることにより、冷媒の温度をさらに下げる。第1熱交換器517は、第1絞り部516により減圧され、所定の温度となった冷媒と空気との熱交換を行うことにより、第1空気A1を生成する。第2絞り部518は、第1熱交換器517で熱交換された冷媒を絞ることにより、冷媒の温度をさらに下げる。第2熱交換器519は、第2絞り部518により温度が下げられた冷媒と空気との熱交換を行うことにより、第2空気A2を生成する。第2熱交換器519で熱交換された冷媒は、圧縮機511に戻される。
【0063】
更に、制御部55は、エアカーテン生成部3の第1ファン322及び第2ファン312を駆動して、第1エアカーテンC1及び第2エアカーテンC2を生成する。
【0064】
図1に示されるように、冷凍保管庫22の下側において生成された第2空気A2が、第2ファン312の駆動によって、後方に送られた後、冷凍保管庫22の後側及び上側を介して上側開口22Aの前に流れることにより、上側開口22A全体を覆う第2エアカーテンC2が生成される。冷凍保管庫22の前を通過した第2エアカーテンC2の空気は、中間板状部材223により冷凍保管庫22の下側において後方に案内され、第2熱交換器519における熱交換に再利用される。このような第2空気A2及び第2エアカーテンC2の空気の循環により、冷凍保管庫22内の温度が冷凍温度(例えば、-20℃)に調整される。
【0065】
また、冷凍保管庫22の上側において生成された第1空気A1が、第1ファン322の駆動によって、前方に送られた後、上側開口22A及び下側開口23Aの前に流れることにより、第1エアカーテンC1が生成される。上側開口22Aの前を流れるときの第1エアカーテンC1の空気の流速は、上側開口22Aの前を流れる第2エアカーテンC2の空気の流速と同じであることが好ましい。第1エアカーテンC1の空気が冷凍保管庫22の前を通過するとき、第1エアカーテンC1の空気と第2エアカーテンC2の空気との間で熱交換が行われる。この熱交換により、第1エアカーテンC1の空気の温度が冷蔵温度まで下がる。冷凍保管庫22の前を通過した空気の一部は、中間板状部材223により冷凍保管庫22の下側において後方に案内され、第2熱交換器519における熱交換に再利用される。
【0066】
第2エアカーテンC2の空気との熱交換が行われた第1エアカーテンC1の空気は、下側開口23A全体を覆う。冷蔵保管庫23の前を通過した第1エアカーテンC1の空気は、下方板状部材232及び後壁213により後方及び上方の順に流れた後、上ダクト321Aに案内され、第1熱交換器517における熱交換に再利用される。このような第1空気A1及び第1エアカーテンC1の空気の循環により、冷蔵保管庫23内の温度が冷蔵温度(例えば、+3℃)に調整される。
【0067】
以上説明したように、通常制御においては、加温空気Bが生成されないため、常温保管庫24内の温度は調整されない。このため、通常制御時における常温保管庫24内の温度は、外気温に応じて変化する。特に、収納装置1が屋外に設置されている場合、冬の常温保管庫24内の温度は、0℃以下になるおそれがある。
【0068】
制御部55は、図3に示されるように、通常制御を実施すると、所定時間毎に、温度センサ54における温度の検出結果に基づいて、常温保管庫24の温度が基準温度未満か否かを判定する(ステップS2)。ここで、基準温度としては、常温保管庫24内の物品Zが凍結したり、物品Zの品質が低下したりすることを防止するための制御の切り替えの基準となる温度である。例えば、物品Zが凍結することを防止するため基準温度としては、+5℃程度の温度を例示することができる。物品Zの品質が低下することを防止するため基準温度は、保管対象の物品Zに応じて設定すれば良い。
【0069】
制御部55は、常温保管庫24の温度が基準温度未満でないと判定した場合(ステップS2:NO)、温度調整処理を終了するか否かを判定する(ステップS3)。制御部55は、温度調整処理を終了すると判定した場合(ステップS3:YES)、温度調整処理を終了する。ここで、制御部55が温度調整処理を終了すると判定する場合としては、収納装置1のスイッチがオフされた場合、又は、温度調整処理を終了する旨の操作が行われた場合を例示することができる。一方、制御部55は、温度調整処理を終了しないと判定した場合(ステップS3:NO)、通常制御を継続する(ステップS1)。
【0070】
また、制御部55は、常温保管庫24の温度が基準温度未満であると判定した場合(ステップS2:YES)、低温時制御を実施する(ステップS4)。低温時制御とは、圧縮機511で圧縮された冷媒が第2冷媒流路F2を流れるように切替部57を制御して、冷凍保管庫22及び冷蔵保管庫23を冷却する一方で、常温保管庫24の温度を上げる制御である。
【0071】
制御部55は、低温時制御を実施する場合、切替部57を構成する第1三方弁512及び第2三方弁515を第2状態にする。図4Bに示すように、第2状態では、第1三方弁512に流入する冷媒は、第2冷媒流路F2を構成する実線で示される配管522,524,523,525に流れる。したがって、冷媒は、矢印Yで示す方向に流れることになり、圧縮機511から出た後、その一部が第1放熱熱交換器513Aに流入し、残りが第2放熱熱交換器513Bに流入する。この後、第1放熱熱交換器513A及び第2放熱熱交換器513Bに流入した冷媒は、第1絞り部516、第1熱交換器517、第2絞り部518、第2熱交換器519の順に通過し、圧縮機511に戻る。
【0072】
低温時制御において、制御部55は、例えば、圧縮機511、第1ファン322、第2ファン312を通常制御時と同じように駆動する。圧縮機511で圧縮された冷媒のうち一部の冷媒は、上述したように、第1放熱熱交換器513Aに流入し、第1放熱熱交換器513Aにおける熱交換により冷やされて、第1絞り部516に流入する。
【0073】
一方、圧縮機511で圧縮された冷媒のうち残りの冷媒は、上述したように、第2放熱熱交換器513Bに流入する。第2放熱熱交換器513Bは、流入した冷媒と、第2放熱熱交換器513B周囲の空気との熱交換を行う。この熱交換により冷やされた冷媒は、第1絞り部516に流入する。また、図1に実線で示されるように、第2放熱熱交換器513Bにおける熱交換により加温空気Bが生成される。この加温空気Bにより、常温保管庫24内の温度が上がり、常温保管庫24の温度が下がりすぎることを抑制することができる。特に、第2放熱熱交換器513Bを常温保管庫24の下側に配置している。このため、自然対流によって、加温空気Bは、常温保管庫24の後側を上昇し、常温保管庫24の上側に到達する。したがって、常温保管庫24内全体を効率良く温めることができる。
【0074】
第1絞り部516により絞られた冷媒は、通常制御時と同様に、第1熱交換器517、第2絞り部518、第2熱交換器519を通過して、圧縮機511に戻る。そして、通常制御時と同様に、第1エアカーテンC1及び第2エアカーテンC2が生成されて、冷凍保管庫22内の温度が冷凍温度に維持されると共に、冷蔵保管庫23内の温度が冷蔵温度に維持される。
【0075】
図3に示されるように、制御部55は、低温時制御を実施した後、常温保管庫24の温度が基準温度未満か否かを判定する(ステップS2)。制御部55は、常温保管庫24の温度が基準温度未満であると判定した場合(ステップS2:YES)、低温時制御を継続する。一方、制御部55は、常温保管庫24の温度が基準温度未満でないと判定し(ステップS2:NO)、かつ、温度調整処理を終了しないと判定した場合(ステップS3:NO)、低温時制御から通常制御に切り替える(ステップS1)。
【0076】
以上のように、収納装置1は、冷凍装置5における第1空気A1及び第2空気A2の生成に利用する冷媒を第2放熱熱交換器513Bにより冷却し、当該冷却された冷媒から得られた熱により常温保管庫24内の温度を上げることができる。つまり、収納装置1は、常温保管庫24内の加熱のみに利用されるヒータ等の熱源を用いること無く、常温保管庫24内の温度を上げることができる。また、収納装置1は、第1空気A1及び第2空気A2により、冷凍保管庫22内及び冷蔵保管庫23内の温度をそれぞれ冷凍温度及び冷蔵温度に調整することができる。したがって、収納装置1の構成を複雑にすることなく、低温で保管すべき物品Z及び低温での保管を避けるべき物品Zを適切に保管することができる収納装置1を提供することができる。
【0077】
また、収納装置1は、常温保管庫24の温度が基準温度以上の場合に通常制御を実施し、基準温度未満の場合に低温時制御を実施する。このように、常温保管庫24の温度を上げる必要が無い場合に、加温空気Bを生成する制御を実施しないため、常温保管庫24の温度が上がりすぎることを抑制することができる。
【0078】
[第2実施形態]
次に、図5及び図6を参照しながら、本開示の第2実施形態について説明する。図5は、収納装置の縦断面図である。図6は、冷凍装置のブロック図である。
【0079】
図5及び図6に示される第2実施形態の収納装置1Aは、第1実施形態の収納装置1に対して以下の2つの点で相違する。1点目は、収納装置1Aの第2放熱熱交換器513Bの下側に、加温空気用ファン27が配置されている点である。加温空気用ファン27は、第2放熱熱交換器513Bでの熱交換時に発生する加温空気Bを、常温保管庫24の下側へ強制的に送る。2点目は、冷凍装置5の制御部55が図3に示される第1実施形態と同じ処理を実施するに際し、通常制御で加温空気用ファン27を駆動しない一方で、低温時制御で加温空気用ファン27を駆動することである。
【0080】
このように加温空気用ファン27を駆動して、加温空気Bを下側へ送ることにより、収納装置1Aの図示されない機械が配置された機械室であって、常温保管庫24の下側に位置する機械室の温度を上げることができ、温度低下に起因する機械の故障を抑制することができる。また、加温空気Bは、常温保管庫24の下側に流れた後、自然対流によって、常温保管庫24の後側を上昇し、常温保管庫24の上側に到達する。したがって、常温保管庫24内全体を効率良く温めることができる。また、加温空気用ファン27の駆動により、第2放熱熱交換器513Bの熱交換効率を上げることができる。このため、加温空気用ファン27が配置されていない第1実施形態の第2放熱熱交換器513Bよりも小さい第2放熱熱交換器513Bを用いても、第1実施形態の第2放熱熱交換器513Bと同等の効率で熱交換を行うことができる。したがって、第2放熱熱交換器513Bの配置スペースを小さくすることができ、第2放熱熱交換器513Bの低コスト化を図ることができる。
【0081】
[第3実施形態]
次に、本開示の第3実施形態について説明する。図7は、冷凍装置のブロック図である。
【0082】
図7に示される収納装置1Bの冷凍装置6は、図2及び図6に示される第1,第2実施形態の収納装置1,1Aの冷凍装置5に対して2つの点で相違する。1点目は、冷凍回路61の構成である。2点目は、制御部65の制御内容である。以下、それぞれについて、詳細に説明する。なお、第3実施形態の収納装置1Bの冷凍装置6以外の構成は、図5に示される第2実施形態の収納装置1Aと同じである。
【0083】
まず、1点目の冷凍回路61の構成について説明する。なお、第1,第2実施形態の冷凍装置5と同じ構成については、同一名称及び同一符号を付し、説明を省略又は簡略にする。冷凍回路61は、圧縮機511と、放熱熱交換部513と、放熱熱交換部用ファン514と、第1絞り部516と、第1熱交換器517と、第2絞り部518と、第2熱交換器519と、を備える。
【0084】
第1放熱熱交換器513Aには、配管521の他端と、配管621の一端とが接続されている。第1放熱熱交換器513Aは、圧縮機511で圧縮された冷媒と当該第1放熱熱交換器513Aを流れる水との熱交換を行い、熱交換後の冷やされた冷媒を配管621に送る。
【0085】
第2放熱熱交換器513Bには、配管621の他端と、配管622の一端とが接続されている。第2放熱熱交換器513Bは、第1放熱熱交換器513Aから流入する冷媒と、常温保管庫24の下側(第2放熱熱交換器513Bの周囲)に存在する空気との熱交換を行う。そして、第2放熱熱交換器513Bは、熱交換後の冷やされた冷媒を配管622に送ると共に、常温保管庫24の下側に存在する空気を温めることにより加温空気Bを生成する。
【0086】
第1絞り部516には、配管622の他端と、配管527の一端とが接続されている。第1絞り部516は、放熱熱交換部513で冷やされた冷媒を絞って配管527に送る。
【0087】
以上の構成を有する冷凍回路61では、第1放熱熱交換器513A及び第2放熱熱交換器513Bは、圧縮機511及び冷却器56の間において、直列に接続されている。また、配管521,621,622は、圧縮機511で圧縮された冷媒が、第1放熱熱交換器513A、第2放熱熱交換器513B及び冷却器56の順序に流れるように構成された冷媒流路Fを構成する。
【0088】
次に、2点目の制御部65の制御内容について説明する。全体的な制御は、図3に示される第1,第2実施形態と同じだが、通常制御及び低温時制御の内容が第1,第2実施形態と異なる。
【0089】
まず、通常制御について説明する。通常制御において、制御部65は、常温保管庫24内の温度が基準温度以上である場合、冷凍保管庫22内及び冷蔵保管庫23内を冷却する。一方で、制御部65は、常温保管庫24内の温度を上げないように、第1放熱熱交換器513A及び第2放熱熱交換器513Bにおける熱交換時の放熱量を調整する。また、制御部65は、加温空気用ファン27を駆動しない。
【0090】
具体的に、制御部65は、圧縮機511で圧縮された冷媒を、第1放熱熱交換器513Aにおける熱交換により冷やして、第2放熱熱交換器513Bに流す。このとき、制御部65は、第2放熱熱交換器513Bで熱交換が行われないように、又は、第2放熱熱交換器513Bで熱交換が行われても常温保管庫24の温度が上がらないように、第1放熱熱交換器513Aにおける放熱量、つまり第2放熱熱交換器513Bに流入する冷媒の温度を調整する。第2放熱熱交換器513Bから流出した冷媒は、第1,第2実施形態と同様に、第1絞り部516、第1熱交換器517、第2絞り部518、第2熱交換器519を通過して、圧縮機511に戻る。そして、第1,第2実施形態と同様に、冷凍保管庫22内の温度が冷凍温度に調整されると共に、冷蔵保管庫23内の温度が冷蔵温度に調整される一方で、常温保管庫24内の温度の調整が実施されない。
【0091】
次に、低温時制御について説明する。低温時制御において、制御部65は、常温保管庫24内の温度が基準温度未満である場合、冷凍保管庫22内及び冷蔵保管庫23内を冷却すると共に、常温保管庫24内の温度を上げるように、第1放熱熱交換器513Aにおける熱交換時の放熱量を通常制御時よりも少なくする。一方で、制御部65は、第2放熱熱交換器513Bにおける熱交換時の放熱量を通常制御時よりも多くすると共に、加温空気用ファン27を駆動する。
【0092】
具体的に、制御部65は、低温時制御を実施する場合、圧縮機511で圧縮された冷媒を、第1放熱熱交換器513Aで冷やさずに、第2放熱熱交換器513Bに流す。冷媒を第1放熱熱交換器513Aで冷やさない方法としては、放熱熱交換部用ファン514を停止させる方法を例示することができる。なお、第1放熱熱交換器513Aが水冷式の熱交換器により構成される場合、冷媒を第1放熱熱交換器513Aで冷やさない方法としては、第1放熱熱交換器513Aに流す水の量を通常制御時よりも減らす方法を例示することができる。第2放熱熱交換器513Bには、通常制御時よりも高い温度の冷媒が流入する。第2放熱熱交換器513Bは、流入した冷媒と、第2放熱熱交換器513B周囲の空気との熱交換を行うことにより、冷やした冷媒を第1絞り部516に流すと共に、図7に実線で示される加温空気Bを生成する。加温空気Bが、第2実施形態と同様に、加温空気用ファン27の駆動に伴い下側へ送られることにより、機械室の温度が上がる。そして、自然対流により、加温空気Bが、常温保管庫24の後側を上昇し、常温保管庫24の上側に到達することにより、常温保管庫24内が温められて、常温保管庫24の温度が下がりすぎることを抑制することができる。また、第2放熱熱交換器513Bから流出した冷媒が通常制御時と同じ流路を流れることにより、冷凍保管庫22内及び冷蔵保管庫23内の温度が通常制御時と同じように調整される。
【0093】
第3実施形態の収納装置1Bでは、常温保管庫24内の加熱のみに利用されるヒータ等の熱源を用いずに、冷凍装置6における第1空気A1及び第2空気A2の生成に利用する冷媒を用いることにより、常温保管庫24内の温度を上げることができる。また、収納装置1Bの冷凍装置6では、第1放熱熱交換器513A及び第2放熱熱交換器513Bを直列に接続しているため、第1,第2実施形態の冷凍装置5のように、第1放熱熱交換器513A及び第2放熱熱交換器513Bを並列に接続するための第1三方弁512及び第2三方弁515が不要になる。したがって、第1,第2実施形態の冷凍装置5と比べて、冷凍装置6の構成を簡略にすることができる。
【0094】
なお、収納装置1Bに、加温空気用ファン27を配置しなくても良い。この場合、第2放熱熱交換器513Bにおける熱交換により生成された加温空気Bが、第1実施形態と同様に、自然対流により、常温保管庫24の後側を上昇し、常温保管庫24の上側に到達することにより、常温保管庫24内が温められる。
【0095】
[実施形態の変形例]
本開示は、これまでに説明した実施形態に示されたものに限られないことはいうまでもなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で、種々の変形を加えることができる。また、上記実施形態及び以下に示される変形例は、正常に機能する限り、どのように組み合わせても良い。
【0096】
例えば、収納装置1,1A,1Bにおいて、制御部55,65が常温保管庫24内の温度に基づいて、通常制御と低温時制御とを切り替えたが、収納装置1,1A,1Bの管理者の判断に基づいて、通常制御と低温時制御とを切り替えるようにしても良い。例えば、収納装置1,1A,1Bが屋外に設置されている場合、最高気温が0℃以下になる日又は季節に、管理者が通常制御から低温時制御に切り替えても良い。管理者が通常制御と低温時制御とを切り替える方法としては、収納装置1,1A,1Bに設置された切り替え用の操作部を管理者が操作する方法、管理者が端末装置等を用いて遠隔操作する方法を例示することができる。
【0097】
収納装置1,1A,1Bが、低温時制御のみを行うようにしても良い。この場合、制御部55,65は、収納装置1,1A,1Bの設置場所の温度に関係なく、常温保管庫24内の温度が物品Zの品質に影響を与えないような温度に維持されるような制御を実施すれば良い。また、第1~第3実施形態において、制御部55,65は、低温時制御を実施している最中にも常温保管庫24内の温度に基づいて、常温保管庫24内の温度が上がりすぎないような制御を実施しても良い。これらのような制御としては、圧縮機511から流出する冷媒の温度の調整、加温空気用ファン27の回転数の調整等を例示することができる。
【0098】
収納装置1,1A,1Bにおいて、第2放熱熱交換器513Bを、常温保管庫24の前側、後側、上側、右側、左側等の常温保管庫24周囲に配置しても良い。この場合、第2放熱熱交換器513Bにより生成された加温空気Bを、常温保管庫24の下側の部位及び機械室に送るために、例えば、図1に二点鎖線で示される貫通孔241A,262Aを設けることが好ましい。貫通孔241Aは、各棚241の前端側において上下に貫通するように形成されている。また、貫通孔262Aは、載置部262の前端側において上下に貫通するように形成されている。このような構成にすれば、例えば、常温保管庫24の上側に到達した加温空気Bは、自然対流により、図1に二点鎖線で示されるように、貫通孔241A,262Aを介して常温保管庫24の前側を下降するように流れる。このため、常温保管庫24の下側の部位及び機械室の温度を上げることができる。特に、常温保管庫24の下側に加温空気Bを送るように、更に加温空気用ファン27を設けることにより、常温保管庫24の下側の部位及び常温保管庫24の下方に位置する機械室の温度を効率的に上げることができる。また、加温空気Bを常温保管庫24内(例えば、常温保管庫24の上側の部位)へ送るように、加温空気用ファン27を配置すれば、常温保管庫24内の温度を早く上げることができる。なお、各棚241の左右両端側にも貫通孔241Aを形成しても良い。また、各棚241を前壁212との間に隙間が形成されるように左右の側壁214に固定して、当該隙間を加温空気Bが通過するようにしても良い。なお、載置部262の左右両端側にも貫通孔262Aを形成しても良い。また、載置部262を前壁212との間に隙間が形成されるように左右の側壁214に固定して、当該隙間を加温空気Bが通過するようにしても良い。
【0099】
収納装置1,1A,1Bの第2放熱熱交換器513Bとして、管式の熱交換器を適用しても良いし、水冷式の熱交換器を適用しても良い。水冷式の熱交換器を適用する場合、熱交換器において温められた湯と空気との熱交換を行うことにより、加温空気Bを生成するようにすれば良い。
【0100】
収納装置1,1A,1Bに設けられる冷却保管庫として、冷凍保管庫22及び冷蔵保管庫23の2つを例示したが、冷凍保管庫22又は冷蔵保管庫23のみを収納装置1,1A,1Bに設けても良いし、更に他の冷凍温度帯又は冷蔵温度帯で物品Zを保管する冷却保管庫を収納装置1,1A,1Bに設けても良い。
【0101】
収納装置1,1Aの第1三方弁512の代わりに分岐管を配置すると共に、配管522,523にそれぞれ弁を配置し、各弁の開閉状態を制御することにより、圧縮機511から流出した冷媒が、第1放熱熱交換器513A及び第2放熱熱交換器513Bのうち少なくとも第1放熱熱交換器513Aに流入するようにしても良い。第2三方弁515の代わりに、上記分岐管及び弁を配置する構成を適用して、第1放熱熱交換器513A及び第2放熱熱交換器513Bのうち少なくとも第1放熱熱交換器513Aから流入した冷媒が、冷却器56に流入するようにしても良い。
【0102】
収納装置1,1A,1Bにおいて、第1エアカーテンC1の空気を第1熱交換器517の周囲に戻すように構成したが、戻さないようにしても良いし、第2エアカーテンC2の空気を第2熱交換器519の周囲に戻すように構成したが、戻さないようにしても良い。
【0103】
収納装置1,1A,1Bにおいて、物品Zが入れられた保管箱20を冷凍保管庫22、冷蔵保管庫23、常温保管庫24に入れる構成を例示したが、保管箱20を使わずに、物品Zを直接冷凍保管庫22、冷蔵保管庫23、常温保管庫24に入れても良い。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本開示は、収納装置に適用できる。
【符号の説明】
【0105】
1,1A,1B 収納装置
2 本体部
3 エアカーテン生成部
4 搬送装置
5,6 冷凍装置
20 保管箱
21 筐体
22 冷凍保管庫
22A 上側開口
23 冷蔵保管庫
23A 下側開口
24 常温保管庫
24A 開口
25 操作パネル
26 入出庫部
27 加温空気用ファン
31 第2エアカーテン生成部
32 第1エアカーテン生成部
41 物品保持部
42 移動機構
51,61 冷凍回路
54 温度センサ
55,65 制御部
56 冷却器
57 切替部
211 上壁
212 前壁
213 後壁
212A 前側開口
214 側壁
221,231,241 棚
222 上側背板
222A 上側貫通孔
223 中間板状部材
223A 延出部
224 後方板状部材
232 下方板状部材
241A,262A 貫通孔
261 開閉扉
262 載置部
311 第2流路
312 第2ファン
321 第1流路
321A 上ダクト
321B ダクト突出部
322 第1ファン
511 圧縮機
512 第1三方弁
513 放熱熱交換部
513A 第1放熱熱交換器
513B 第2放熱熱交換器
514 放熱熱交換部用ファン
515 第2三方弁
516 第1絞り部
517 第1熱交換器
518 第2絞り部
519 第2熱交換器
521,522,523,524,525,526,527,528,529,530,621,622 配管
A1 第1空気
A2 第2空気
B 加温空気
C1 第1エアカーテン
C2 第2エアカーテン
F 冷媒流路
F1 第1冷媒流路
F2 第2冷媒流路
R1 第1物品保管空間
R2 第2物品保管空間
R3 搬送空間
Z 物品
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7