(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023027540
(43)【公開日】2023-03-02
(54)【発明の名称】起立支持体
(51)【国際特許分類】
E01F 9/654 20160101AFI20230222BHJP
E01F 9/615 20160101ALI20230222BHJP
【FI】
E01F9/654
E01F9/615
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021132694
(22)【出願日】2021-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】000213286
【氏名又は名称】シーキューブ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107700
【弁理士】
【氏名又は名称】守田 賢一
(72)【発明者】
【氏名】谷澤 重樹
(72)【発明者】
【氏名】後藤 波太郎
【テーマコード(参考)】
2D064
【Fターム(参考)】
2D064AA11
2D064AA21
2D064BA03
2D064BA19
2D064CA01
2D064DB01
2D064DB11
2D064EA02
2D064EB05
2D064GA02
(57)【要約】
【課題】路面や床面に自由に設置できるとともに搬送もコンパクトかつ軽量であり、構造も簡易な起立支持体を提供する。
【解決手段】起立支持体Spは、上方へ向いた開口11を有し路面ないし床面上に置かれる搬送可能な台座1と、空気を充填することによって棒状に膨張し、その基端部が台座1の開口11内に差し込まれて起立状態となる密閉袋状の本体2とを備える。本体2の表面に標識部3を設ける。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方へ向いた開口を有し路面ないし床面上に置かれる搬送可能な台座と、空気を充填することによって棒状に膨張し、その基端部が前記台座の開口内に差し込まれて起立状態となる密閉袋状の本体とを備える起立支持体。
【請求項2】
前記本体の表面に照明用発光体を設けた請求項1に記載の起立支持体。
【請求項3】
前記本体の表面に標識部を設けた請求項1又は2に記載の起立支持体。
【請求項4】
前記本体に装着されて略水平に維持されるテーブル板を設けた請求項1ないし3のいずれかに記載の起立支持体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は路面ないし床面上に簡易に起立させられて標識や照明を支持できる起立支持体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、棒状の標識柱本体を、路面に埋設された埋設用脚部に対して螺合することにより路面に立設して使用される道路標識柱が示されており、標識柱本体の頭部には表示装置が着脱可能に取り付けられるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし上記従来の道路標識柱ではその本体が予め決められた路面位置にしか設置できず、しかも上記本体は比較的重量がありコンパクトに搬送できない。また頭部の着脱構造も複雑であるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこのような課題を解決するもので、路面や床面に自由に設置できるとともに搬送もコンパクトかつ軽量であり、構造も簡易な起立支持体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本第1発明では、上方へ向いた開口(11)を有し路面ないし床面上に置かれる搬送可能な台座(1)と、空気を充填することによって棒状に膨張し、その基端部が前記台座(1)の開口(11)内に差し込まれて起立状態となる密閉袋状の本体(2)とを備える。
【0007】
本第1発明においては、台座を搬送して路面や床面上に置き、続いて畳まれた状態で搬送された本体に空気を充填してこれを棒状に膨張させる。そして本体の基端部を台座の開口内に差し込んで起立支持体とする。このような起立支持体は路面や床面の作業現場周辺の必要箇所に自由に設置できる。そして、十分に大きな起立支持体であっても密閉袋状の本体自体は軽量であり、これの空気を抜いて畳むことによって容易かつコンパクトに搬送することができる。また、本体を棒状に膨張させてこれを台座の開口に差し込むだけの簡易な構造で起立支持体を実現することができる。
【0008】
本第2発明では、前記本体(2)の表面に照明用発光体(4)を設ける。
【0009】
本第2発明においては、起立支持体の本体の表面に照明用発光体を設けることで、本第1発明と同様の効果を奏する自立型照明器を実現することができる。
【0010】
本第3発明では、前記本体(2)の表面に標識部(3)を設ける。
【0011】
本第3発明においては、起立支持体の本体の表面に標識部を設けることで、本第1発明と同様の効果を奏する自立型標識を実現することができる。
【0012】
本第4発明では、前記本体(2)に装着されて略水平に維持されるテーブル板(5)を設ける。
【0013】
本第4発明においては、起立支持体の本体に略水平に維持されるテーブル板を装着することで、本第1発明と同様の効果を奏する自立型テーブルを実現することができる。
【0014】
上記カッコ内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を参考的に示すものである。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明の起立支持体は、路面や床面に自由に設置できるとともに搬送もコンパクトかつ軽量であり、構造も簡易なものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1実施形態における起立支持体を使用した自立型標識の全体斜視図である。
【
図4】起立支持体の本体の、エアバルブを設けた端面の斜視図である。
【
図5】起立支持体の本体の基端部を、台座の開口内に差し込む状態を示す斜視図である。
【
図6】本発明の第2実施形態における起立支持体を使用した自立型照明器の全体斜視図である。
【
図8】本発明の第3実施形態における起立支持体を使用した自立型テーブルの全体斜視図である。
【
図9】起立支持体の本体に装着されたテーブル板の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
なお、以下に説明する実施形態はあくまで一例であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が行う種々の設計的改良も本発明の範囲に含まれる。
【0018】
(第1実施形態)
図1には本発明の起立支持体Spを使用した自立型標識を示す。自立型標識に使用している起立支持体Spは台座1と本体2を備えている。台座1は本実施形態では
図2に示すような、上方へ向いた円形開口11を有する有底の円筒状容器体である。
図2は斜視図で、テーパ状の外観をなすが、実際の容器体は下半が大径の平行円筒体、上半が段付きに小径となった平行円筒体である。台座1は搬送可能であり、これを路面や床面上の適当位置に置く。このような台座1としては、上下水用の異径管である市販のインクリーザーの大径側の開口に止水蓋を覆着して利用することができる。
【0019】
図1に示す本体2は密閉袋状のもので、
図3に示すようなエアバルブ21が基端に設けられており、このエアバルブ21に、
図4に示すように、コンプレッサ22を連結して本体2内に空気を充填することで、畳まれた状態から
図1に示すような一定長さの棒状に膨張させられる。そして、棒状に膨張させられた本体2の、エアバルブ21を設けた基端を、
図5に示すように、台座1の上方へ向く開口11内に差し込んで
図1に示すような起立状態にする。なお、本体2の下端部外周にはリング状スペーサ22が嵌着されて(
図3)台座1の開口11内周との間に生じる隙間を閉鎖している(
図1参照)。
【0020】
上記本体2としては、例えば特許第5344863号に示されている長尺袋状の阻止棒を利用したETCバーの定期交換中古品等を流用することができ、これは、ナイロン繊維にウレタンフィルムをラミネート加工した内側袋体と、軟質の塩化ビニルからなる外側袋体の二層構造よりなる耐候性・耐摩耗性に優れたものである。本実施形態ではこのような本体2の、上記スペーサ22が嵌着される部分の外周に保護用シート23(
図5)を巻くとともに、本体2全体を覆うように半透明又は透明なポリエステル樹脂等の外皮カバー24(
図7参照)を被せる。そして、その外周に
図1に示すように標識部3を設ける。
【0021】
標識部3は、ポリエステルサテン等の生地に、
図1に示すような「通行止め」等の文字を印刷したシートを縫い付けたもので、これを面ファスナー等で本体2(正確には外皮カバー24)に取り付ける。あるいは、標識部3として出来合いの印刷シール等がある場合には、これを本体2(外皮カバー24)に直接貼付する。
【0022】
このような自立型標識は、台座1を搬送してその開口11を上に向けた状態で工事現場等の必要な路面上に置き、続いて上記台座1と共に畳まれた状態で搬送された本体2に空気を充填してこれを棒状に膨張させる。そして本体2の基端を台座1の開口11内に差し込んで
図1に示す起立支持体Spとする。そして、起立した本体2の周面の必要箇所に上述のように標識部3を設ける。なお、本体2を確実に起立支持するのに台座1の重量が不足する場合には、予めその開口11から台座1内部へ必要量の水を供給しておく。
【0023】
このように、本実施形態の起立支持体Spを使用することによって、自立型標識を路面や床面の作業現場周辺の必要箇所に自由に設置できる。そして、十分に大きな自立型標識であっても密閉袋状の本体2自体は軽量であり、これの空気を抜いて畳むことによって容易かつコンパクトに搬送することができる。また、本体2を棒状に膨張させてこれを台座1の開口11に差し込むだけの簡易な構造で自立型標識を実現することができる。さらに特に本実施形態のように、本体2としてETCバーの定期交換中古品等を利用し、また台座1として市販のインクリーザーを使用すれば自立型標識を安価に製造することができる。
【0024】
(第2実施形態)
図6には第1実施形態で説明したのと同一構造の起立支持体Spの本体2周面に、上下の長手方向へ帯状の照明用LED発光体4を設けて、自立型照明器としている。この場合の本体2頂部の拡大図を
図7に示す。照明用LED発光体4には図略のバッテリーから給電する。なお、帯状の照明用LED発光体4は本体外周を巻くように設ける等、その配置は自由である。また、照明用LED発光体4は必ずしも帯状である必要はなく、LEDである必要もない。
【0025】
このような自立型照明器も第1実施形態と同様に、路面や床面の作業現場周辺の必要箇所に自由に設置できるとともに、十分に大きな自立型照明器であっても容易かつコンパクトに搬送することができる。また、棒状に膨張させた本体2を台座1の開口11(
図2)に差し込むだけの簡易な構造で自立型照明器を実現することができる。さらに本体2として同様にETCバーの定期交換中古品等を利用し、台座1として市販のインクリーザーを使用することによって自立型照明器を安価に製造することもできる。
【0026】
なお、このような自立型照明器の本体外周にさらに第1実施形態で説明したような標識部3を設けることも可能である。
【0027】
(第3実施形態)
図8、
図9に示すように、起立支持体Spの本体2の上部周面に、上下の長手方向へ一定長の帯状の照明用LED発光体4を設けるとともに、照明用LED発光体4の下方の本体外周に略水平にテーブル板5が装着されている。すなわち、テーブル板5には本体2の外径にほぼ等しい内径の装着穴51(
図9)が設けられており、この装着穴51を、床面上に置いた台座1に起立させられた本体2の外周に上方から嵌め込み、本体2外周に予め装着した受けリング52(
図8)でテーブル板5の一端を支持させる。テーブル板5の他端はこれに設けた支持棒53で床面に直接支持させてテーブル板5全体を略水平に維持する。このようにして自立型テーブルが構成されている。なお、
図8、
図9の照明用LED発光体4は発光した状態を示し、各図中、符号41は給電線である。
【0028】
このような自立型テーブルは、例えば避難所の床面の必要箇所に自由に設置して、
図9に示すように、テーブル板5上に携帯電話Ce等の充電線Lを用意して避難者の便に供することができる。そして、十分に大きな自立型テーブルであっても容易かつコンパクトに搬送することができるとともに、棒状に膨張させた本体2を台座1の開口11(
図2)に差し込むだけの簡易な構造で自立型テーブルを実現することができる。さらに本体2としてETCバーの定期交換中古品等を利用し、台座1として市販のインクリーザーを使用することによって自立型テーブルを安価に製造することもできる。
【0029】
なお、このような自立型テーブルの本体外周にさらに第1実施形態で説明したような標識部3を設けることも可能である。
【符号の説明】
【0030】
1…台座、11…開口、2…本体、3…標識部、4…照明用発光体、5…テーブル板、Sp…起立支持体。