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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023027560
(43)【公開日】2023-03-02
(54)【発明の名称】車両用ドアの操作装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 81/90 20140101AFI20230222BHJP
   E05B 77/14 20140101ALI20230222BHJP
   E05B 79/20 20140101ALI20230222BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20230222BHJP
【FI】
E05B81/90
E05B77/14
E05B79/20
B60J5/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021132731
(22)【出願日】2021-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】000148896
【氏名又は名称】三井金属アクト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083389
【弁理士】
【氏名又は名称】竹ノ内 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100198317
【弁理士】
【氏名又は名称】横堀 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】安藤 公佑
(72)【発明者】
【氏名】中塚 冬樹
(72)【発明者】
【氏名】アニール ジェイン
(72)【発明者】
【氏名】タンヴィエ アーメッド
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH01
2E250JJ48
2E250LL01
2E250MM01
(57)【要約】
【課題】車両用ドアの操作装置において、エマージェンシハンドルでドアを開けたあと、ドアが閉鎖位置に保持されないようにする。
【解決手段】車体に開閉可能に支持されるドア4を閉鎖位置に保持可能な閉鎖ラッチユニット17と、ドア4を全開位置に保持可能な全開ラッチユニット18と、モータを有するアクチュエータ172と、車内側から手動操作可能なエマージェンシハンドル27と、アクチュエータ172の駆動に基づいて、閉鎖ラッチユニット17及び全開ラッチユニット18をラッチ解除作動させ、エマージェンシハンドル27の手動操作に基づいて、閉鎖ラッチユニット17をラッチ解除作動させてアンラッチ状態に保持可能な操作中継ユニット19と、を備える。

【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に開閉可能に支持されるドアを閉鎖位置に保持可能な閉鎖ラッチユニットと、
前記ドアを全開位置に保持可能な全開ラッチユニットと、
モータを有するアクチュエータと、
車内側から手動操作可能なエマージェンシハンドルと、
前記アクチュエータの駆動に基づいて、前記閉鎖ラッチユニット及び前記全開ラッチユニットをラッチ解除作動させ、かつ前記エマージェンシハンドルの手動操作に基づいて、前記閉鎖ラッチユニットをラッチ解除作動させてアンラッチ状態に保持可能な操作中継ユニットと、を備えることを特徴とする車両用ドアの操作装置。
【請求項2】
前記操作中継ユニットは、前記エマージェンシハンドルの手動操作に基づいて、前記全開ラッチユニットをラッチ解除作動させないことを特徴とする請求項1記載の車両用ドアの操作装置。
【請求項3】
前記操作中継ユニットは、
ベースプレートと、
前記ベースプレートに支持されて、前記全開ラッチユニットに連結されると共に、前記アクチュエータの駆動に基づいて作動して、前記全開ラッチユニットをラッチ解除作動させる全開解除レバーと、
前記ベースプレートに支持されて、前記閉鎖ラッチユニットに連結されると共に、前記アクチュエータの駆動に基づいて作動して、前記閉鎖ラッチユニットをラッチ解除作動させる閉鎖解除レバーと、
前記ベースプレートに支持されると共に、前記エマージェンシハンドルの手動操作に基づいてラッチ解除方向へ作動することにより、前記全開解除レバーをラッチ解除作動させることなく前記閉鎖解除レバーをラッチ解除作動させるエマージェンシレバーと、
前記エマージェンシレバーがラッチ解除方向へ回動した際、前記閉鎖解除レバーをラッチ解除位置に保持し得るように、前記エマージェンシレバーをラッチ解除位置に保持可能な保持部材と、
を有することを特徴する請求項1又は2記載の車両用ドアの操作装置。
【請求項4】
前記保持部材は、前記エマージェンシハンドルの手動操作に基づいて、前記ベースプレートに設けた被係合部に係合することにより前記エマージェンシレバーをラッチ解除位置に保持し、前記アクチュエータの駆動による前記全開解除レバーのラッチ解除作動に基づいて、前記被係合部との係合が解除されることにより前記エマージェンシレバーのラッチ解除位置から初期位置への戻りを可能にすることを特徴とする請求項3記載の車両用ドアの操作装置。
【請求項5】
前記保持部材は、前記エマージェンシレバーに支持され、スプリングの付勢力により前記被係合部に係合することを特徴とする請求項4記載の車両用ドアの操作装置。
【請求項6】
前記エマージェンシハンドルは、前記ドアのドアトリムに設けた開口部を開放することで操作部が前記開口部に露呈して、初期位置からラッチ解除方向へ手動操作可能であって、かつ前記エマージェンシレバーがラッチ解除位置に保持されている場合には、前記操作部を手動操作できないように前記操作部の一部が前記ドアトリムの裏側に隠れることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の車両用ドアの操作装置。
【請求項7】
前記操作中継ユニットと前記エマージェンシハンドルとの間で、かつ前記ドアトリムの前記開口部に臨む位置に、前記操作中継ユニットと前記開口部との間を遮断するガードプレートを設けたことを特徴とする請求項6記載の車両用ドアの操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ドア、特に機械式のドアハンドルを有しない車両用ドアの操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車体の側面に形成される乗降口を略中央を境にして前後に開閉するフロントスライドドア及びリアスライドドアを備える両開き式の車両が記載されている。フロントスライドドアは、前方にスライドすることにより乗降口の前半分を開放し、リアスライドドアは、後方にスライドすることにより乗降口の後半分を開放する。
【0003】
また、近年、特にライドシェア車等の車両においては、可動部分の電動化、自動運転化が進められており、特に、電動により自動開閉を可能にしたスライドドアについては、スライドドアを閉鎖位置に保持するための閉鎖ラッチユニット、及びスライドドアを全開位置に保持するための全開ラッチユニットをそれぞれ電動によりラッチ解除作動させることで、従前のように、各スライドドアを開閉操作する際に操作される機械式のドアハンドルを有していないものが出現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-88813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、スライドドアに機械式のドアハンドルを有しない車両においては、電気系統に故障が発生した場合には、スライドドアを開けることができなくなる。これを解消する手段として、電気系統に故障が発生した場合には、不正者の車内への不正侵入を阻止する観点から、車内側からのみ操作可能としたエマージェンシハンドルを車内に設けることが考えられるが、このように、エマージェンシハンドルを車内に設けただけでは、エマージェンシハンドルの操作に基づいてスライドドアを車内から一旦開けたものの、その後、降車を終えてスライドドアを車外から閉じてしまうと、閉鎖ラッチユニットがラッチ状態となってスライドドアが閉鎖位置に保持されてしまい、その後、スライドドアを再び開けることができなくなる事態が発生し、その後の修理に対して悪影響を及ぼす虞がある。
【0006】
したがって、エマージェンシハンドルでスライドドアを開けたあとは、その後の修理が容易に行うことができるように、車両が修理工場に搬送されるまでは、スライドドアが閉鎖位置に保持されないようにすることが望ましい。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑み、エマージェンシハンドルでドアを開けたあとは、ドアが閉鎖位置に保持されないようにした車両用ドアの操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
車両用ドアの操作装置において、車体に開閉可能に支持されるドアを閉鎖位置に保持可能な閉鎖ラッチユニットと、前記ドアを全開位置に保持可能な全開ラッチユニットと、モータを有するアクチュエータと、車内側から手動操作可能なエマージェンシハンドルと、前記アクチュエータの駆動に基づいて、前記閉鎖ラッチユニット及び前記全開ラッチユニットをラッチ解除作動させ、かつ前記エマージェンシハンドルの手動操作に基づいて、前記閉鎖ラッチユニットをラッチ解除作動させてアンラッチ状態に保持可能な操作中継ユニットと、を備えることを特徴とする。
【0009】
好ましくは、前記操作中継ユニットは、前記エマージェンシハンドルの手動操作に基づいて、前記全開ラッチユニットをラッチ解除作動させない。
【0010】
好ましくは、前記操作中継ユニットは、ベースプレートと、前記ベースプレートに支持されて、前記全開ラッチユニットに連結されると共に、前記アクチュエータの駆動に基づいて作動して、前記全開ラッチユニットをラッチ解除作動させる全開解除レバーと、前記ベースプレートに支持されて、前記閉鎖ラッチユニットに連結されると共に、前記アクチュエータの駆動に基づいて作動して、前記閉鎖ラッチユニットをラッチ解除作動させる閉鎖解除レバーと、前記ベースプレートに支持されると共に、前記エマージェンシハンドルの手動操作に基づいてラッチ解除方向へ作動することにより、前記全開解除レバーをラッチ解除作動させることなく前記閉鎖解除レバーをラッチ解除作動させるエマージェンシレバーと、前記エマージェンシレバーがラッチ解除方向へ回動した際、前記閉鎖解除レバーをラッチ解除位置に保持し得るように、前記エマージェンシレバーをラッチ解除位置に保持可能な保持部材と、を有する。
【0011】
好ましくは、前記保持部材は、前記エマージェンシハンドルの手動操作に基づいて、前記ベースプレートに設けた被係合部に係合することにより前記エマージェンシレバーをラッチ解除位置に保持し、前記アクチュエータの駆動による前記全開解除レバーのラッチ解除作動に基づいて、前記被係合部との係合が解除されることにより前記エマージェンシレバーのラッチ解除位置から初期位置への戻りを可能にする。
【0012】
好ましくは、前記保持部材は、前記エマージェンシレバーに支持され、スプリングの付勢力により前記被係合部に係合する。
【0013】
好ましくは、前記エマージェンシハンドルは、前記ドアのドアトリムに設けた開口部を開放することで操作部が前記開口部に露呈して、初期位置からラッチ解除方向へ手動操作可能であって、かつ前記エマージェンシレバーがラッチ解除位置に保持されている場合には、前記操作部を手動操作できないように前記操作部の一部が前記ドアトリムの裏側に隠れる。
【0014】
好ましくは、前記操作中継ユニットと前記エマージェンシハンドルとの間で、かつ前記ドアトリムの前記開口部に臨む位置に、前記操作中継ユニットと前記開口部との間を遮断するガードプレートを設ける。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、電気系統に故障が発生する等して、アクチュエータの駆動が不能となった場合、エマージェンシハンドルでドアを開けたあとはドアが閉鎖位置に保持されないため、そのあとの修理を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る車両用ドアの操作装置を適用した車両の側面図である。
図2】フロントスライドドア及びリアスライドドアの内部構造を示す側面図である。
図3】車外側から見た操作中継ユニットの側面図である。
図4】車内側から見た操作中継ユニットの側面図である。
図5】操作中継ユニットの斜視図である。
図6】操作中継ユニットの分解斜視図である。
図7図4におけるVII-VII線断面図である。
図8】初期状態における操作中継ユニットの要部の側面図である。
図9】アクチュエータが駆動したときの操作中継ユニットの側面図である。
図10】エマージェンシハンドルが操作されたときの操作中継ユニットの側面図である。
図11】アクチュエータの駆動により保持部材の係合状態を解除したときの操作中継ユニットの側面図である。
図12図8におけるXII-XII線拡大断面図である。
図13図9におけるXIII-XIII線断面図である。
図14図10におけるXIV-XIV線断面図である。
図15図11におけるXV-XV線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態により限定されるものではなく、以下の実施形態から当業者が自明の範囲内で適宜変更したものも含む。
【0018】
図1は、本発明に係る車両用ドアの操作装置1が適用される車両の側面図を示す。当該車両は、車体2の側面に設けた乗降口を開閉可能なフロントスライドドア3及びリアスライドドア4を備えた両開き式の車両であって、車外側及び車内側には、通常時にはユーザによって手動操作可能なドアハンドル及びロックノブが設けられていない。したがって、各ドア3、4の開閉操作は、ユーザが携帯している遠隔操作スイッチ又は各ドア3、4に設けられる操作スイッチの操作に基づいて駆動する電気的駆動源を有する後述のアクチュエータ26の作動によって行われる。本実施形態に係る車両用ドアの操作装置1は、リアスライドドア4に適用される。しかし、本発明は、本実施形態に限定されるものでなく、フロントスライドドア3に対しても適用可能である。
【0019】
フロントスライドドア3は、乗降口の前上部に取り付けられた図示略のアッパガイドレール、車体2の前中央部に取り付けられた図示略のセンターガイドレール及び乗降口の前下部に取り付けられた図示略のロアガイドレールにそれぞれ前後方向に移動自在に支持されて、車体2に配置される図示略の自動開閉装置のモータ等の動力により図1に示す閉位置から前方へ自動開作動することで乗降口の前半分を開放し、また、全開位置から後方へ自動閉作動することで乗降口の前半分を閉じる。
【0020】
リアスライドドア4は、乗降口の後上部に取り付けられた図示略のアッパガイドレール、車体2の後中央部に取り付けられた図示略のセンターガイドレール及び乗降口の後下部に取り付けられた図示略のロアガイドレールにそれぞれ前後方向に移動自在に支持されて、車体2に配置される図示略の自動開閉装置のモータ等の動力により図1に示す閉位置から後方へ自動開作動することで乗降口の後半分を開放し、また、全開位置から前方へ自動閉作動することで乗降口の後半分を閉じる。
【0021】
図1、2に示すように、フロントスライドドア3には、車体2の上、下部にそれぞれ固着された図示略のストライカに噛合することにより、フロントスライドドア3を閉鎖位置に保持するアッパ閉鎖ラッチユニット5及びロア閉鎖ラッチユニット6と、車体2に固着された図示略のストライカに噛合することにより、アッパ閉鎖ラッチユニット5及びロア閉鎖ラッチユニット6と共にフロントスライドドア3を閉鎖位置に保持するセンター閉鎖ラッチユニット7と、車体2に固着された図示略の全開ストライカと噛合することにより、フロントスライドドア3を全開位置に保持する全開ラッチユニット8と、緊急事態が発生した場合に操作可能なエマージェンシハンドル9と、各閉鎖ラッチユニット5、6、7、全開ラッチユニット8及びエマージェンシハンドル9がそれぞれ連結される操作中継ユニット10とが取り付けられ、フロントスライドドア3を開けるための機械式のドアハンドル、施解錠用の操作ノブは設けられていない。したがって、フロントスライドドア3を開ける際の各閉鎖ラッチユニット5、6、7の解除操作、及びフロントスライドドアを閉じる際の全開ラッチユニット8の解除操作は、緊急時以外は全て操作中継ユニット10に設けられる電動式のアクチュエータ101により行われる。
【0022】
センター閉鎖ラッチユニット7は、図示略のストライカに噛合することによりフロントスライドドア3を閉鎖位置に保持するためのラッチ機構部71と、フロントスライドドア3を閉鎖直前位置(ハーフラッチ位置)から閉鎖位置(フルラッチ位置)に電動力で強制的に移動させる電動式のクロージャ機構部72とを有する。
【0023】
エマージェンシハンドル9は、フロントスライドドア3の後端面に設けられて、フロントスライドドア3及びリアスライドドア4が共に閉じている場合には、リアスライドドア4の前端面に覆い隠されることで操作不能であるが、リアスライドドア4を開くことで出現して操作可能になる、これにより、電気系統に故障が発生してアクチュエータ101の駆動が不能になる等の緊急事態が発生した場合には、リアスライドドア4が開いた状態にあれば、エマージェンシハンドル9を操作することで、各閉鎖ラッチユニット5、6、7をラッチ解除作動させてフロントスライドドア3を開けることができる。
【0024】
操作中継ユニット10は、各種レバーがボーデンケーブル等の操作力伝達部材11、12、13、14、15を経由してアッパ閉鎖ラッチユニット5、ロア閉鎖ラッチユニット6、センター閉鎖ラッチユニット7、全開ラッチユニット8及びエマージェンシハンドル10にそれぞれ連結されることで、アクチュエータ71の電動作動及びエマージェンシハンドル9の手動操作に基づいてアッパ閉鎖ラッチユニット5、ロア閉鎖ラッチユニット6、センター閉鎖ラッチユニット7及び全開ラッチユニット8を解除作動させる。なお、フロントスライドドア3の操作中継ユニット10は、リアスライドドア4に設けられる後述の操作中継ユニット19と前後対象構造で基本構成は同一であるので、ここでの詳細説明は省略する。
【0025】
リアスライドドア4には、車体2に固着された閉鎖ストライカ16(図8参照)に噛合することにより、リアスライドドア4を閉鎖位置に保持する閉鎖ラッチユニット17と、車体2に固着された図示略の全開ストライカと噛合することにより、リアスライドドア4を全開位置に保持する全開ラッチユニット18と、各ラッチユニット17、18にそれぞれ連結される操作中継ユニット19とが取り付けられ、機械式のドアハンドルは設けられていない。したがって、リアスライドドア4を開ける際の閉鎖ラッチユニット17の解除操作、及びリアスライドドア4を閉じる際の全開ラッチユニット18の解除操作は、電気系統に故障が発生する等の緊急事態が発生した場合以外は全て操作中継ユニット19に設けられる電動式のアクチュエータ26により行われる。
【0026】
閉鎖ラッチユニット17は、閉鎖ストライカ16に噛合することによりリアスライドドア4を閉鎖位置に保持するためのラッチ機構部171と、リアスライドドア4を閉鎖直前位置(ハーフラッチ位置)から閉鎖位置(フルラッチ位置)に電動力で強制的に移動させるクロージャ機構部172とを有する。
【0027】
図8~11に示すように、ラッチ機構部171は、図示略のベースに回動可能に支持されると共に、リアスライドドア4の閉鎖時、閉鎖ストライカ16に噛合可能なラッチ173と、ベースに回動可能に支持されると共に、ラッチ173に設けた係合爪部173aに係合することにより、ストライカ16に噛合しているラッチ173の回動を阻止してラッチ173と閉鎖ストライカ16との噛合状態を保持可能なラチェット174とを有する。
【0028】
なお、本実施形態の説明で使用する表現「ラッチ状態」は、ラッチ173に閉鎖ストライカ16が噛合し、かつラッチ173の係合爪部173aにラチェット174が係合した状態と定義し、表現「アンラッチ状態」は、ラチェット174がラッチ173の係合爪部173aから離脱している状態と定義する。
【0029】
図3~7に示すように、操作中継ユニット19は、リアスライドドア4のインナパネルの内側面に固定されるベースプレート20と、車内外方向を向く軸21によりそれぞれ回動可能に支持される全開解除レバー22、閉鎖解除レバー23及びエマージェンシレバー24と、エマージェンシレバー24をラッチ解除位置に保持可能な保持部材25と、モータ262を内蔵した電動式のアクチュエータ26と、軸21に固定されるエマージェンシハンドル27と、ベースプレート20に固定されるガードプレート28とを備える。
【0030】
アクチュエータ26は、ベースプレート20の車外側を向く面に固定されるケーシング261と、ケーシング261内に内蔵されるモータ262及びモータ262の回転を減速する減速ギヤ263、264、265と、最終の減速ギヤ265と一体回動し得るようにケーシング261に回動可能に支持される出力レバー266を有し、ユーザが所持する携帯用のスイッチ又はリアスライドドア4に設けられる操作スイッチの操作に応じてモータ262が駆動して、出力レバー266が初期位置(図3、4に示す位置)からラッチ解除方向(図3において時計方向、図4において反時計方向)へ所定角度回動することで、後述のように全開解除レバー22及び閉鎖解除レバー23を解除作動させてリアスライドドア4の閉操作及び開操作を可能にする。
【0031】
全開解除レバー22は、ベースプレート20の車内を向く面側に軸21と独立して回動し得るように軸21により回動可能に支持されて、スプリング29により図4において時計方向へ付勢されて図4に示す初期位置に保持されると共に、アクチュエータ26における出力レバー266のラッチ解除作動に応じて初期位置からラッチ解除方向(図4において反時計方向)へ所定角度回動する。
【0032】
全開解除レバー22には、アクチュエータ26が駆動して出力レバー266が解除方向へ作動した際、出力レバー266が上方から当接可能な第1アーム部221と、下端が全開ラッチユニット18の図示略のラチェットに連結されるボーデンケーブル等の第1操作力伝達部材30の上端が連結される第2アーム部222と、出力レバー266の解除作動によりラッチ解除作動した際、当該ラッチ解除作動を閉鎖解除レバー23に伝達可能な第3アーム部223と、保持部材25が後述のように係合位置にあるとき、出力レバー266の解除作動によりラッチ解除作動した際、保持部材25と後述の被係合部201aとの係合関係を解除可能な解除部224とを有する。
【0033】
上記構成により、アクチュエータ26の出力レバー266が解除作動することにより、これに応じて、全開ラッチ解除レバー22は、図4に示す初期位置から反時計方向へラッチ解除作動する。そして、全開ラッチ解除レバー22のラッチ解除作動は、第1操作力伝達部材30を経由して全開ラッチユニット18のラチェット、また、第3アーム部223を経由して閉鎖解除レバー23にそれぞれ伝達される。
【0034】
閉鎖解除レバー23は、ベースプレート20の車内を向く面側に軸21及び全開解除レバー22と独立して回動し得るように軸21により回動可能に支持されて、スプリング31により図4において時計方向へ付勢されて図4に示す初期位置に保持されると共に、前述のように全開解除レバー22のラッチ解除作動に連動して初期位置(図4に示す位置)から図4において反時計方向へラッチ解除作動する。
【0035】
閉鎖解除レバー23には、後端が閉鎖ラッチユニット17のラチェット174に連結されたボーデンケーブル等の第2操作力伝達部材32の前端が連結される。これにより、閉鎖解除レバー23のラッチ解除作動は、第2操作力伝達部材32を経由して閉鎖ラッチユニット17のラチェット174に伝達されて、ラチェット174をラッチ解除作動させる。さらに、閉鎖解除レバー23には、全開解除レバー22がラッチ解除作動した際、全開解除レバー22に連動し得るように、全開解除レバー22の第3アーム部223に当接し得るように折曲形成された当接部231が設けられる。
【0036】
エマージェンシレバー24は、ベースプレート20の車外を向く面側とアクチュエータ26との間に、エマージェンシハンドル27と一体回動し得るようにベースプレート20に軸21により回動可能に支持されると共に、スプリング33により図8において時計方向へ付勢されて図8に示す初期位置に保持されて、エマージェンシハンドル27の手動操作により初期位置からラッチ解除方向(図8において反時計方向)へ所定角度回動する。なお、エマージェンシレバー24は、アクチュエータ26の駆動によってはラッチ解除作動しない。
【0037】
エマージェンシレバー24の手動操作は、全開解除レバー22、すなわち全開ラッチユニット18のラチェットに伝達されることなく、閉鎖解除レバー23、すなわち閉鎖ラッチユニット17のラチェット174のみに伝達される。閉鎖解除レバー23に対するエマージェンシレバー24の操作は、エマージェンシレバー24の上部に設けた上アーム部241が閉鎖解除レバー23の当接部231に対して図8において反時計方向から当接することにより伝達される。
【0038】
エマージェンシレバー24の下部には、エマージェンシレバー24を図10に示すラッチ解除位置に保持可能な保持部材25が設けられる。これにより、エマージェンシハンドル27の手動操作によりエマージェンシレバー24がラッチ解除作動すると、エマージェンシレバー24は、保持部材25によりをラッチ解除位置に保持され、これに伴って、閉鎖解除レバー23もラッチ解除位置に保持される。また、閉鎖解除レバー23がラッチ解除位置に保持されると、閉鎖ラッチユニット17はアンラッチ状態に保持される。したがって、エマージェンシレバー24がラッチ解除位置に保持されている状態においては、ラチェット174がラッチ173の係合爪部173aに係合できないため、リアスライドドア4は閉じられても閉鎖位置に保持されない。
【0039】
図6に示すように、保持部材25は、エマージェンシレバー24の下部に設けた上下の支持片242、242に上下方向を向く軸部251により所定角度回動可能に支持されて、スプリング34により例えば図12において時計方向へ付勢されると共に、前部に山形状の凸部252と段差を有する係合段部253を有する。
【0040】
凸部252は、保持部材25の前部にあって、かつベースプレート20の車外側を向く面に向けて突出するように設けられ、エマージェンシレバー24が初期位置とラッチ解除位置手前との間の範囲にあるとき、図12、13に示すように、エマージェンシレバー24の作動を阻害しないようにベースプレート20の車外側を向く面に接触し、また、エマージェンシレバー24がラッチ解除位置に移動した場合には、図14に示すように、スプリング34の付勢力によりベースプレート20に設けた開口部201に突入する。これにより、保持部材25は、凸部252が開口部201に突入することで係合状態となって、凸部252の前側に設けた係合段部253が開口部201の縁である被係合部201aに係合して、エマージェンシレバー24をラッチ解除位置に保持する。
【0041】
保持部材25と被係合部201aとの係合関係は、アクチュエータ26の駆動に基づく全開解除レバー22のラッチ解除作動によって解除される。具体的には、保持部材25が係合状態にあるとき、アクチュエータ26の駆動に基づいて全開解除レバー22がラッチ解除作動すると、図11、15に示すように、全開解除レバー22の解除部224が保持部材25の凸部252に当接することで、保持部材25を図15に2点鎖線で示す係合位置から実線で示す解除位置へ押し込む。これにより、保持部材25の係合段部253がベースプレート20における開口部201の被係合部201aから外れて、エマージェンシレバー24及び閉鎖解除レバー23の初期位置への戻りを可能にする。そして、エマージェンシレバー24及び閉鎖解除レバー23がスプリング33、31の付勢力によりそれぞれの初期位置に戻ると、これに伴って、閉鎖ラッチユニット17のラチェット174がラッチ173の係合爪部173aに対して係合可能な状態となる。したがって、この状態で、リアスライドドア4を閉じると、ラッチ173に閉鎖ストライカ16が噛合すると共に、ラッチ173の係合爪部173aにラチェット174が係合することで、リアスライドドア4は閉鎖位置に保持される。
【0042】
エマージェンシハンドル27は、リアスライドドア4の内部にあって、エマージェンシレバー24と一体回動し得るように軸21の車内側を向く端部に止着される。さらに、エマージェンシハンドル27の操作部(ユーザにより把持可能な部分)271は、リアスライドドア4のドアトリム41(図7参照)に設けた開口部41aに臨むようにして設けられる。ドアトリム41の開口部41aは、通常時はエマージェンシハンドル27が車内側に露呈しないように蓋42(図7参照)により隠蔽される。これにより、エマージェンシハンドル27は、通常時には蓋42により隠蔽されるため操作不能であるが、電気系統に故障が発生してアクチュエータ26の駆動が不能となって、電気的作動によりリアスライドドア4を開けることができなくなる等の緊急事態が発生した場合には、蓋42を取り外して、エマージェンシハンドル27の操作部271を車内側に露呈させることで、エマージェンシハンドル27の手動操作が可能となる。
【0043】
エマージェンシハンドル27の手動操作を可能にした状態で、ユーザの指をドアトリム41の開口部41aに差し入れて、エマージェンシハンドル27の操作部271を手動操作することで、エマージェンシレバー24を介して閉鎖解除レバー23をラッチ解除作動させることができる。これにより、電気系統に故障が発生し、かつリアスライドドア4が閉鎖位置に保持されている状態であっても、エマージェンシハンドル27の手動操作に基づいて、リアスライドドア4を開けることができる。
【0044】
さらに、エマージェンシハンドル27は、自体の手動操作に伴ってエマージェンシレバー24がラッチ解除位置に保持された状態においては、図10に示すように、操作部271が開口部41aから外れてドアトリム41の裏側に隠れる。これにより、エマージェンシハンドル27が操作された操作位置に保持された状態においては、エマージェンシハンドル27を操作位置から通常時(初期位置)に戻す場合には、図10において時計方向に操作する必要があるが、エマージェンシハンドル27と開口部41aとの間には指が入る隙間が存在しないため、ユーザにより操作位置から初期位置へ移動させられるような誤操作を防止することができる。
【0045】
ガードプレート28は、ドアトリム41の開口部41aを臨む位置にあって、かつ操作中継ユニット19のベースプレート20とエマージェンシハンドル27との間の隙間に位置するように、ベースプレート20に固定されることにより、操作中継ユニット19と開口部41aとの間を遮断する。これにより、エマージェンシハンドル27を手動操作する際、ユーザの指が誤って操作中継ユニット19の各種作動要素に接触するようなことがないので、操作中継ユニット19の誤作動を防止できる。
【0046】
次に、図8~15に基づいて、本実施形態に係る車両用ドアの操作装置1の作用について説明する。
(通常時の電気的作動によるドア開操作及びドア閉操作)
リアスライドドア4が閉鎖位置に保持されている場合には、閉鎖ラッチユニット17は、閉鎖ストライカ16に噛合してラッチ状態にあり、全開ラッチユニット18は、ストライカに噛合していない。また、リアスライドドア4が全開位置に保持されている場合には、全開ラッチユニット18はストライカに噛合してラッチ状態にあり、閉鎖ラッチユニット17は閉鎖ストライカ16に噛合していない。また、操作中継ユニット19は、リアスライドドア4が閉鎖位置又は全開位置のいずれの場合も、図8に示すようにすべての作動要素は初期位置にある。
【0047】
リアスライドドア4を閉鎖位置から開ける場合には、ユーザが携帯する操作スイッチまたはリアスライドドア4に設けられる操作スイッチが操作される。操作スイッチが操作されると、アクチュエータ26のモータ262が駆動し、当該駆動は減速ギヤ263、264、265を介して出力レバー266に伝達される。これにより、出力レバー266は、図8に示す初期位置から反時計方向へ回動して図9に示すように解除作動する。
【0048】
出力レバー266の解除作動は、出力レバー266が全開解除レバー22の第1アーム部221に当接することで、全開解除レバー22に伝達される。これにより、全開解除レバー22は、図8に示す初期位置からスプリング29の付勢力に抗して図9に示すラッチ解除位置に作動する。全開解除レバー22のラッチ解除作動は、第3アーム部223が閉鎖解除レバー23の当接部231に当接することで閉鎖解除レバー23に伝達される。これにより、閉鎖解除レバー23は初期位置からラッチ解除作動する。
【0049】
全開解除レバー22及び閉鎖解除レバー23のラッチ解除作動は、それぞれ第1操作力伝達部材30及び第2操作力伝達部材32を経由して全開ラッチユニット18及び閉鎖ラッチユニット17に伝達される。これにより、全開ラッチユニット18及び閉鎖ラッチユニット17は、それぞれアンラッチ状態となる。したがって、リアスライドドア4が閉鎖位置に保持されている場合には、閉鎖ラッチユニット17がアンラッチ状態となることでリアスライドドア4を開けることができ、また、リアスライドドア4が全開位置に保持されている場合には、全開ラッチユニット18がアンラッチ状態となることでリアスライドドア4を閉じることができる。
【0050】
(電気系統に故障が発生した場合)
電気系統に故障が発生すると、アクチュエータ26の駆動が不能になる。したがって、ユーザが携帯している操作スイッチ又はリアスライドドア4に設けられている操作スイッチを操作しても、リアスライドドア4が閉鎖位置に保持されている場合には、リアスライドドア4を開けることができない。
【0051】
しかし、本実施形態においては、アクチュエータ26の駆動が不能になった場合でも、車内からはエマージェンシハンドル27を手動操作することによって、リアスライドドア4を開けることができる。
【0052】
エマージェンシハンドル27を手動操作する場合には、リアスライドドア4のドアトリム41に取り付けられた蓋42を取り外して、エマージェンシハンドル27の操作部271を露呈させる。そして、車内に乗っているユーザの手をドアトリム41の開口部41aに差し入れて、エマージェンシハンドル27を図8に示す初期位置から反時計方向へ操作して図10に示すように作動させる。エマージェンシハンドル27の操作は、軸21、エマージェンシレバー24、閉鎖解除レバー23及び第2操作力伝達部材32を経由して閉鎖ラッチユニット17のラチェット174に伝達される。これにより、ラチェット174がラッチ解除作動することで、リアスライドドア4を開けることができる。
【0053】
また、エマージェンシハンドル27の操作に伴って、エマージェンシレバー24が初期位置からラッチ解除位置に作動する。これにより、保持部材25は、図12に示すように凸部252がベースプレート20の面に接触した位置から後方へ移動して、図14に示すように、スプリング34の付勢力により回動して、凸部252が開口部201に突入する係合状態となる。
【0054】
エマージェンシレバー24は、係合状態に変位すると、係合段部253がベースプレート20の開口部201の被係合部201aに係合することで、エマージェンシレバー24の初期位置への戻りを阻止して、エマージェンシレバー24をラッチ解除位置に保持する。
【0055】
エマージェンシレバー24がラッチ解除位置に保持されると、エマージェンシハンドル27及び閉鎖解除レバー23もラッチ解除位置に保持され、さらには、閉鎖ラッチユニット17はアンラッチ状態に保持される。
【0056】
閉鎖ラッチユニット17がアンラッチ状態に保持されると、ラチェット174がラッチ173に係合不能であるため、リアスライドドア4を閉じても、閉鎖ラッチユニット17はラッチ状態にならない。したがって、エマージェンシハンドル27の手動操作によりリアスライドドア4を開けたにも係わらず、その後、誤って、リアスライドドア4を閉じても閉鎖位置に保持されない。
【0057】
上述により、電気系統に故障が発生してアクチュエータ26の駆動が不能になって、リアスライドドア4を電気的駆動により開けられなくなった場合には、エマージェンシハンドル27の手動操作に基づいてリアスライドドア4を開けることができ、また、エマージェンシハンドル27の手動操作によりリアスライドドア4を開けたあとは、閉鎖ラッチユニット17がラッチ状態にならないため、折角開けたリアスライドドア4が誤って閉鎖されることはない。
【0058】
エマージェンシハンドル27の手動操作により開けられたリアスライドドア4は、その後の修理工場までの車両搬送、及び修理を容易にするため、全開位置まで移動させて、全開ラッチユニット18をラッチ状態とすることで、全開位置に保持する。また、リアスライドドア4が全開位置に保持された状態においては、フロントスライドドア3に設けたエマージェンシハンドル9の操作も可能になるため、必要に応じて、エマージェンシハンドル9の操作に基づいて、フロントスライドドア3も開けることができる。
【0059】
なお、エマージェンシハンドル27がラッチ解除位置に保持された状態においては、エマージェンシハンドル27の操作部271の一部がドアトリム41の開口部41aから外れてドアトリム41の裏側に隠れる。これにより、ラッチ解除位置に保持されているエマージェンシハンドル27を初期位置に戻すような誤操作を防止できる。
【0060】
修理が終えて、アクチュエータ26の駆動が可能になった場合には、アクチュエータ26を駆動させて、全開解除レバー22をラッチ解除作動せる。全開解除レバー22がラッチ解除作動すると、図11、15に示すように、全開解除レバー22の解除部224が保持部材25の凸部252に乗り上げて、保持部材25を図15に示す2点鎖線で示す位置から実線で示す位置へ押し込む。これにより、保持部材25の係合段部253がベースプレート20の開口部201の被係合部201aから外れることで、エマージェンシレバー24は、スプリング33の付勢力により初期位置へ戻る。また、これに伴って、エマージェンシハンドル27、閉鎖解除レバー23もそれぞれの初期位置に戻る。さらには、閉鎖ラッチユニット17のラチェット174も係合位置に戻って、閉鎖ラッチユニット17を閉鎖ストライカ16に対して噛合可能な状態とする。
【0061】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、上記実施形態に対して、次のような種々の変形や変更及び組み合わせを施すことが可能である。
【0062】
(1)車両用ドアの操作装置1をスイング式のドアに適用する。
【0063】
(2)保持部材25をベースプレート20に支持し、被係合部201aをエマージェンシレバー24に設ける。
【符号の説明】
【0064】
1 車両用ドアの操作装置 2 車体
3 フロントスライドドア 4 リアスライドドア
41 ドアトリム 41a 開口部
42 蓋 5 アッパ閉鎖ラッチユニット
6 ロア閉鎖ラッチユニット 7 センター閉鎖ラッチユニット
71 ラッチ機構部 72 クロージャ機構部
8 全開ラッチユニット 9 エマージェンシハンドル
10 操作中継ユニット 101 アクチュエータ
11、12、13、14、15 操作力伝達部材
16 閉鎖ストライカ 17 閉鎖ラッチユニット
171 ラッチ機構部 172 クロージャ機構部
173 ラッチ 173a 係合爪部
174 ラチェット 18 全開ラッチユニット
19 操作中継ユニット 20 ベースプレート
201 開口部 201a 被係合部
21 軸 22 全開解除レバー
221 第1アーム部 222 第2アーム部
223 第3アーム部 224 解除部
23 閉鎖解除レバー 231 当接部
24 エマージェンシレバー 241 上アーム部
242 支持片 25 保持部材
251 軸部 252 凸部
253 係合段部 26 アクチュエータ
261 ケーシング 262 モータ
263、264、265 減速ギヤ 266 出力レバー
27 エマージェンシハンドル 271 操作部
28 ガードプレート 29 スプリング
30 第1操作力伝達部材 31 スプリング
32 第2操作力伝達部材 33 スプリング
34 スプリング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15