(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023027570
(43)【公開日】2023-03-02
(54)【発明の名称】ガス絶縁開閉装置
(51)【国際特許分類】
H02B 13/045 20060101AFI20230222BHJP
H02B 13/035 20060101ALI20230222BHJP
H02B 13/02 20060101ALI20230222BHJP
【FI】
H02B13/045 C
H02B13/035 A
H02B13/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021132750
(22)【出願日】2021-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 和弘
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 隆
(72)【発明者】
【氏名】菅井 大介
(72)【発明者】
【氏名】仲野 秀作
(72)【発明者】
【氏名】小林 将人
【テーマコード(参考)】
5G017
【Fターム(参考)】
5G017AA23
5G017BB01
5G017BB02
5G017BB03
5G017FF06
5G017JJ01
(57)【要約】
【課題】
絶縁性能を満足するために絶縁距離を確保するとともに小型化した絶縁開閉装置を提供することにある。
【解決手段】
絶縁ガスが充填された複数の容器を備えるガス絶縁開閉装置であって、
高電圧体と、容器の間に配置される絶縁スペーサと、絶縁スペーサを固定する固定部とを有し、固定部は、厚みの異なる複数の部材を有し、高電圧体との間で絶縁距離を確保する箇所に薄い部材が配置されるガス絶縁開閉装置。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁ガスが充填された複数の容器を備えるガス絶縁開閉装置であって、
高電圧体と、
前記容器の間に配置される絶縁スペーサと、
前記絶縁スペーサを固定する固定部とを有し、
前記固定部は、
厚みの異なる複数の部材を有し、前記高電圧体との間で絶縁距離を確保する箇所に薄い部材が配置されるガス絶縁開閉装置。
【請求項2】
請求項1に記載のガス絶縁開閉装置において、
前記固定部は、複数の止め金具であり、
隣り合う前記止め金具の端部は、重なるように配置されるガス絶縁開閉装置。
【請求項3】
請求項2に記載のガス絶縁開閉装置において、
前記端部の重なる箇所にボルト穴を設け、ボルトで締結したガス絶縁開閉装置。
【請求項4】
請求項1に記載のガス絶縁開閉装置において、
前記固定部の高電圧体側の外周端部は、丸形状であるガス絶縁開閉装置。
【請求項5】
請求項4に記載のガス絶縁開閉装置において、
前記固定部の外周端部は、
前記絶縁スペーサの外周端部から外側に丸形状に突き出ているガス絶縁開閉装置。
【請求項6】
請求項4に記載のガス絶縁開閉装置において、
前記固定部の前記外周端部の厚さが、前記丸形状であるガス絶縁開閉装置。
【請求項7】
請求項1に記載のガス絶縁開閉装置において、
前記固定部は、複数の止め金具であり、
前記止め金具の形状は、その厚みが連続的に薄くなるガス絶縁開閉装置。
【請求項8】
請求項1に記載のガス絶縁開閉装置において、
前記絶縁スペーサを貫通する第1の導体と接続する断路器を有するガス絶縁開閉装置。
【請求項9】
請求項8に記載のガス絶縁開閉装置において、
前記第1の導体と前記断路器との間の複数の第2の導体のうち、最も前記固定部に近い第2の導体が、前記高電圧体であるガス絶縁開閉装置。
【請求項10】
請求項8に記載のガス絶縁開閉装置において、
前記断路器が複数あり、
複数の前記断路器のうち、最も前記固定部に近い前記断路器が、前記高電圧体であるガス絶縁開閉装置。
【請求項11】
請求項1に記載のガス絶縁開閉装置において、
前記容器は、第1の容器、第2の容器、第3の容器を有し、
前記第1の容器と前記第2の容器の間に第1の前記絶縁スペーサが配置され、
前記第2の容器と前記第3の容器の間に第2の前記絶縁スペーサが配置されるガス絶縁開閉装置。
【請求項12】
請求項1に記載のガス絶縁開閉装置において、
前記絶縁スペーサと前記容器の間にOリングが配置され、
前記固定部は、
前記絶縁スペーサの外周端に前記Oリングを圧着する止め金具であるガス絶縁開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス絶縁開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この技術分野における背景技術として、特許文献1がある。特許文献1には、遮断器、接地開閉器と、断路器、接地開閉器とを収納した機器タンクの上に母線と断路器を収納した母線タンクを設け、前面には遮断器、接地開閉器、断路器を操作する操作部を配置したガス絶縁開閉装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、遮断器、接地開閉器と、断路器、接地開閉器とを収納した機器タンクの上側に、母線と断路器を収納した母線タンクを設けたガス絶縁開閉装置が記載されている。母線タンク内の導体は、三相絶縁スペーサを気密に貫通して、隣接するガスタンク内の導体に接続され、また、三相絶縁スペーサと母線タンク間にはガス密閉のためにOリングが配置される。
【0005】
一般的にこのOリングを均一に圧着するためにリング形状の止め金具が三相絶縁スペーサ外周端に配置される。この止め金具は、金属ボルトでガスタンクと締結されるため、接地電位となる。
【0006】
ここで、この止め金具に三相絶縁スペーサを気密に貫通する導体に接続する導体や、断路器などの課電部が近づくと、その近傍が高電界となり、絶縁性能が低下する。この場合、所定の絶縁距離を確保するために絶縁距離を長くする必要があり、ガス絶縁開閉装置のサイズを小さくすることができない。
【0007】
本発明の目的は、絶縁性能を満足するために絶縁距離を確保するとともに小型化した絶縁開閉装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の好ましい一例は、絶縁ガスが充填された複数の容器を備えるガス絶縁開閉装置であって、
高電圧体と、前記容器の間に配置される絶縁スペーサと、前記絶縁スペーサを固定する固定部とを有し、
前記固定部は、
厚みの異なる複数の部材を有し、前記高電圧体との間で絶縁距離を確保する箇所に薄い部材が配置されるガス絶縁開閉装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、絶縁性能を満足するために絶縁距離を確保するとともに小型化することができる。
【0010】
なお、上記した以外の課題、構成及び効果については、下記する実施例の説明により、明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施例1におけるガス絶縁開閉装置の構成図である。
【
図2】実施例1における絶縁スペーサを説明する図である。
【
図3】実施例2における絶縁スペーサを説明する図である。
【
図4】実施例3における絶縁スペーサを説明する図である。
【
図5】実施例4における絶縁スペーサを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のガス絶縁開閉装置の実施例について、図面を用いて説明する。
【実施例0013】
図1は、実施例1であるガス絶縁開閉装置の構成図である。一般需要家向けの受電ユニットとして構成したガス絶縁開閉装置は、各ガス区分毎に絶縁性ガスを充填した密閉容器内に高電圧導体を絶縁支持物によって密閉容器から電気的に絶縁した状態で支持して構成している。
【0014】
例えば、第1の密閉容器1には、真空遮断器2を配置し、この真空遮断器2の一端部に断路器3を介して接続した高電圧導体4をケーブルヘッド5によって第1の密閉容器1の外部に絶縁導出してケーブル6に接続している。また第1の密閉容器1の内部には、点検時にその内部の高電圧導体を接地する接地開閉器7も構成している。
【0015】
これらの真空遮断器2、断路器3および接地開閉器7などを構成する第1の密閉容器1の内部の高電圧導体は、適当な位置を絶縁支持物8によって第1の密閉容器1から電気的に絶縁した状態で支持されている。
【0016】
第1の密閉容器1と第2の密閉容器9との間に絶縁スペーサ10が設けられており、第1の密閉容器1内のガスと区分された第2の密閉容器9の内部に、真空遮断器2の他端部は導体を介して母線側断路器11の一端に接続している。母線側断路器11の他端は母線導体12を介して絶縁スペーサ13によって第2の密閉容器9内のガスと区分された第3の密閉容器における主母線側に接続している。第3の密閉容器は、図示は省略しているが
図1の奥行側に配置される。
【0017】
母線側断路器11を構成する高電圧導体や、母線導体12などの第2の密閉容器9の内部の高電圧導体は、適当な位置を絶縁支持物14によって第2の密閉容器9から電気的に絶縁した状態で支持されている。真空遮断器2の可動電極側、断路器3の可動接触子側、また接地開閉器7の可動接地接触子側、さらに母線側断路器11の可動接触子側は、詳細な図示を省略したリンク機構を介して、それぞれ第1の密閉容器1および第2の密閉容器9の気密を保持しながら可動できる構成であり、操作盤15内に配置した各操作器に連結している。
【0018】
第1の密閉容器1内に配置した真空遮断器2としては、セラミックスで真空容器を成し、その内部に固定電極と可動電極を配置し、可動電極の開閉動作時に真空容器内の真空度を保持して可動電極の動作を許容するベローズを有している。
【0019】
上述したガス絶縁開閉装置は、三相分を一括して配置した三相一括形であり、
図1で、他の二相分の真空遮断器は真空遮断器2の背面側に配置し、同様に他の二相分の母線側断路器も母線側断路器11の背面側に配置している。第1の密閉容器1および第2の密閉容器9内には、それぞれ絶縁性ガスを充填している。
【0020】
図2は、実施例1における絶縁スペーサ13を説明する図である。
図2の上側は絶縁スペーサの平面図(
図1では第2の密閉容器9の側面から見た図に対応する)である。
図2の下側は絶縁スペーサの厚さ方向を説明する図である。絶縁スペーサ13の外周端部には、固定部としての複数の部材である第1の止め金具16A、第2の止め金具16B、第3の止め金具16C、第4の止め金具16Dが配置されている。
【0021】
図2の下側の図で図示は省略したが、絶縁スペーサ13の外周部の下側に第2の密閉容器9が配置され、絶縁スペーサ13の下部と第2の密閉容器9の間には、Oリングが配置される。そのOリングを圧着するように止め金具が配置される。止め金具と絶縁スペーサ13と第2の密閉容器9とは図示はしないが、通常は、ボルトで固定される。
【0022】
本実施例では、この止め金具は、複数の部材で構成され、ここでは第1の止め金具(左側)16Aと、第2の止め金具(上側)16Bと、第3の止め金具(下側)16Cと、第4の止め金具(右側)16Dとで構成される。第1の止め金具16Aが最も厚く、第2の止め金具16Bと第3の止め金具16Cの厚さは第1の止め金具16Aより薄くなっている。そして第4の止め金具16Dの厚さが、他の3つの止め金具の厚さに比べて最も薄くなっている。
【0023】
図2では、複数の止め金具の間は、重なった構成としているが、重ならないで密着させるようにして、互いを固定する構成としてもよい。
【0024】
また、第4の止め金具16Dの近くには、絶縁スペーサ13を気密に貫通する導体に接続する導体部や、断路器の側面部などの、複数の高電圧導体が配置される。これらの高電圧導体のうち止め金具と最も接近する高電圧導体は、絶縁性能を満足するために絶縁距離を確保する必要がある。そこで、第4の止め金具16Dを他の止め金具の厚さに比べて薄くし、高電圧導体との絶縁距離を確保しながら、高電圧導体と止め金具との間を短く配置できる。
【0025】
このように構成されたガス絶縁開閉装置は、第4の止め金具の厚みが薄いため、第4の止め金具に対して、課電された高電圧導体を近づけることができる。この結果、絶縁距離を確保しながら、ガス絶縁開閉装置の小形化を図ることができる。
【0026】
また、本実施例では、止め金具は複数の部材からなる。そのため、一体物の止め金具を、削って製作する場合に、材料の無駄がなく、より安価に製作でき、製作コストを抑制できる。さらに、一体物の止め金具に比べて軽量化できる。
実施例1と同様な部分については説明を省略する。本実施例におけるガス絶縁開閉装置の絶縁スペーサの止め金具は、止め金具の端部が隣り合う止め金具の端部と重なり合うように配置され、重なり合う箇所で、ボルト穴が配置され、ボルト18で締結されている。
本実施例では、第1の止め金具17A、第4の止め金具17Dの端部に、第2の止め金具17B、および第3の止め金具17Cの端部が被さる構成としているが、端部が重なっていればよく、第2の止め金具17B、第3の止め金具17Cの端部に、第1の止め金具17A、第4の止め金具17Dの端部が被さっていてもよい。
このように構成されるガス絶縁開閉装置の絶縁スペーサの止め金具は、実施例1と同様な効果の他に、組み立て作業においても一体物の止め金具に比べて作業が容易となるため、作業時間を削減できる。