(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023027692
(43)【公開日】2023-03-02
(54)【発明の名称】自動車の電光表示器
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/50 20060101AFI20230222BHJP
【FI】
B60Q1/50 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021132959
(22)【出願日】2021-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】518205999
【氏名又は名称】アイザック国際知財コンサルタント合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148127
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 耕太
(72)【発明者】
【氏名】小川 耕太
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA39
3K339BA03
3K339BA22
3K339CA21
3K339DA01
3K339EA01
3K339EA05
3K339EA10
3K339FA04
3K339GB23
3K339JA21
3K339JA26
3K339KA07
3K339KA37
3K339MA03
3K339MB02
3K339MC52
3K339MC77
(57)【要約】 (修正有)
【課題】バックミラーの視界を特段に遮ることなく、後方の車へ効果的に意思表示をすることのできる電光表示器を提供する。
【解決手段】車両のリアワイパーの回転軸に取り付けられる取付部2と、この取付部2から先端方向へ連続的に設置された電光部3と、この電光部3へ電光イメージ信号を送信する送信部、この電光イメージ信号を記憶する記憶部、及び電源部を内蔵する制御ユニット4と、前記送信部の作動を入切するスイッチ5とを備える電光表示器1を構成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のリアワイパーの回転軸に取り付けられる取付部と、
この取付部から先端方向へ連続的に設置された電光部と、
この電光部へ電光イメージ信号を送信する送信部と、
この電光イメージ信号を記憶する記憶部と、
前記送信部の作動を入切するスイッチと、
を備える電光表示器。
【請求項2】
前記電光部は一列に並んだ複数のLEDであり、
前記送信部はこの複数のLEDに電光イメージ信号として所定のタイミングで発光するよう電力を供給する、
請求項1に記載の電光表示器。
【請求項3】
前記スイッチは加速度スイッチである、請求項1または2に記載の電光表示器。
【請求項4】
前記加速度スイッチは、一方へのリアワイパーの作動と他方へのリアワイパーの作動との両方を検知するものである、請求項3に記載の電光表示器。
【請求項5】
一方へのリアワイパーの作動と他方へのリアワイパーの作動との間の時間に対し、表示する電光イメージをワイパーに並行する線により分割して得られた明滅パターンを均等に割り付ける、請求項1から4のいずれかに記載の電光表示器。
【請求項6】
他方へのリアワイパーの作動と一方へのリアワイパーの作動との間の時間に対し、表示する電光イメージをワイパーに並行する線により分割して得られた明滅パターンを逆順で均等に割り付ける、請求項5に記載の電光表示器。
【請求項7】
受信部を備え、前記受信部への外部からの信号入力により、前記記憶部に記憶された複数の電光イメージ信号のうち実際に電光部に送る電光イメージ信号を切り替える、請求項1から6のいずれかに記載の電光表示器。
【請求項8】
電光イメージの入力部を備え、この入力部から入力した電光イメージを前記記憶部に記憶する、請求項1から7のいずれかに記載の電光表示器。
【請求項9】
前記LEDが前記入力部を兼ね、描かれた電光イメージの原画を前記LEDにより読み取ることで、新たな電光イメージを記憶することができるように構成されている、請求項2を引用する請求項8に記載の電光表示器。
【請求項10】
前記入力部は外部電子機器すなわちスマートフォン等とのコネクターである、請求項8に記載の電光表示器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に用いられる電光表示器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の電光表示は、例えばブレーキランプやハザードランプなどが備えられており、特にハザードランプは、後方の車への意思表示として、本来の「停車します」という意味のほか、「前に入れてくれてありがとう」「渋滞発生」などの意味で使われることもある。しかし、文字による意思表示ではないので細かい意思表示はできない。
【0003】
このような問題に対し、特許文献1には、車の後方部に点灯表示するマナー灯装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の車の後方部に点灯表示するマナー灯装置は、後方から見えやすいリアウィンドウの一部に設置した場合には、バックミラーの視界を一部遮ってしまう。リアウインドウの内部に置いた場合にはリアウインドウへの反射も視界を妨げる。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであり、バックミラーの視界を特段に遮ることなく、後方の車へ効果的に意思表示をすることのできる電光表示器を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の電光表示器は、車両のリアワイパーの回転軸に取り付けられる取付部と、この取付部から先端方向へ連続的に設置された電光部と、この電光部へ電光イメージ信号を送信する送信部と、この電光イメージ信号を記憶する記憶部と、前記送信部の作動を入切するスイッチと、を備える電光表示器である。
このような電光表示器によれば、リアワイパーの回転軸に取り付けられることにより、不使用時はバックミラーの視界を妨げない位置に配置し、使用時にリアワイパーを作動することにより後方車から視認しやすい位置に電光部により表示を行うことができる。また、車外に設置されることから、リアウィンドウへ映り込んで視界の妨げとなることも防ぐことができる。
【0008】
前記電光部は一列に並んだ複数のLEDであり、前記送信部はこの複数のLEDに電光イメージ信号として所定のタイミングで発光するよう電力を供給する。
これにより、LEDが所定のタイミングで発光し、一列に並んだ複数のLEDという1次元の情報をリアワイパーの作動と合わせることで2次元の情報とし、後方の車へ広い面積を使って電光イメージを見せることができる。
【0009】
前記スイッチは加速度スイッチであることが望ましい。
これにより、リアワイパーの作動を契機として電光イメージの表示を開始できる。
【0010】
前記加速度スイッチは、一方へのリアワイパーの作動と他方へのリアワイパーの作動との両方を検知するものであることが望ましい。
これにより、一方へのリアワイパーの作動により電光イメージを表示するのみならず、他方へのリアワイパーの作動によっても電光イメージを表示できる。
【0011】
また、一方へのリアワイパーの作動と他方へのリアワイパーの作動との間の時間に対し、表示する電光イメージをワイパーに並行する線により分割して得られた明滅パターンを均等に割り付けることが望ましい。
これにより、電光イメージをリアワイパーの作動範囲全体に対して均等に表示することができる。
【0012】
さらに、他方へのリアワイパーの作動と一方へのリアワイパーの作動との間の時間に対し、表示する電光イメージをワイパーに並行する線により分割して得られた明滅パターンを逆順で均等に割り付けることが望ましい。
これにより、電光イメージをリアワイパーの行きと帰りにおいて同じ位置に表示することができる。
【0013】
また、受信部を備え、前記受信部への外部からの信号入力により、前記記憶部に記憶された複数の電光イメージ信号のうち実際に電光部に送る電光イメージ信号を切り替えてもよい。
これにより、複数の電光イメージを切り替えて適宜表示することができる。
【0014】
電光イメージの入力部を備え、この入力部から入力した電光イメージを前記記憶部に記憶してもよい。
これにより、新規の電光イメージを入力し、記憶することができる。
【0015】
前記LEDが前記入力部を兼ね、描かれた電光イメージの原画を前記LEDにより読み取ることで、新たな電光イメージを記憶することができるように構成されていてもよい。
これにより、ユーザーが他の機器を使う必要がなく、自由に電光イメージを作成することが可能となる。
【0016】
前記入力部は外部電子機器すなわちスマートフォン等とのコネクターであってもよい。
これにより、スマートフォン等と接続して、スマートフォン等に記憶された新たな電光イメージを前記記憶部に記憶させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第一実施形態の電光表示器を示す模式図である。
【
図3】
図1の電光表示器の動作を示すフローチャートである。
【
図4】
図1の電光表示器を使用した場合の状態を示す図である。
【
図5】
図1の電光表示器における明滅パターンの割付を示す模式図である。
【
図6】
図1の電光表示器を使用して新たな電光イメージをスキャンする状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の電光表示器の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態の電光表示器の模式図である。
図2は、
図1の電光表示器を含むブロック図である。
【0019】
図1~2に示すように、実施形態の電光表示器1は、車両のリアワイパーの回転軸に取り付けられる取付部2と、この取付部2から先端方向へ連続的に設置された電光部3と、この電光部3へ電光イメージ信号を送信する送信部、この電光イメージ信号を記憶する記憶部、及び電源部を内蔵する制御ユニット4と、先端に設けられ、前記送信部の作動を入切するスイッチ5と、先端において車内側に設けられた受信部としての赤外線受光部6と、を備える電光表示器である。
【0020】
このような電光表示器1は、取付部2によりリアワイパーの回転軸に取り付けられる。これは、リアワイパーを取り外さないでリアワイパーに被せる形で取り付ける場合と、リアワイパーを取り外し、その軸に螺着して取り付ける場合とが考えられ、取付部2はそれぞれの場合に適した形状に設計される。いずれの場合にも、電光表示器1の不使用時はリアワイパーの待機位置に近い、バックミラーの視界を妨げない位置に配置され、使用時にドライバーがハンドルのリアワイパーのスイッチを作動することにより後方車から視認しやすい位置に電光部により表示を行うことができる。
【0021】
制御ユニット4に内蔵される電源部は乾電池または充電池であり、乾電池の場合は交換可能で、充電池の場合はコネクターを有して外部電源から充電可能なものであってもよい。また、配線により自動車のバッテリーに繋がり、自動車のバッテリーを電源部としてもよい。
【0022】
電光部3は一列に並んだ複数のLEDであり、制御ユニット4に内蔵された送信部はこの複数のLEDに電光イメージ信号として所定のタイミングで発光するよう電力を供給する。
これにより、それぞれのLED3が所定のタイミングで発光し、周囲が暗い状況においてはこのLED3の残像が目に残る。結果、
図4に示すように、一列に並んだ複数のLEDという1次元の情報をリアワイパーの作動と合わせることで2次元の情報とし、後方の車へ広い面積を使って電光イメージを見せることができる。
【0023】
スイッチ5は加速度スイッチである。スイッチが入らない状態、すなわちワイパーを作動させない状態において、電光表示器1は待機状態に入っている。ドライバーがワイパーを操作すると、スイッチ5が加速度を検知し、送信部が電光部3へ電光イメージ信号を送信する。
このように、スイッチ5により、リアワイパーの作動を契機として電光イメージの表示を開始できる。
【0024】
加速度スイッチ5は、一方へのリアワイパーの作動と他方へのリアワイパーの作動とのそれぞれを検知するものである。これは、一方へのリアワイパーの作動を検知するスイッチを2つ、互いに逆向きに設置することもできるし、1つのスイッチが両方向の作動を検知するものであってもよい。ただし、両方向の作動を別々のものとして検知し、別々の信号を発することができる必要がある。
これにより、一方へのリアワイパーの作動により電光イメージを表示するのみならず、他方へのリアワイパーの作動によっても電光イメージを表示できる。この場合、一般的には、一方へのリアワイパーの作動により表示する電光イメージを逆順に表示するものが他方へのリアワイパーの作動によって表示される電光イメージであり、これにより、ワイパーの行きと帰りで同じメッセージを表示することができる。
【0025】
また、一方へのリアワイパーの作動と他方へのリアワイパーの作動との間の時間に対し、表示する電光イメージをワイパーに並行する線により分割して得られた明滅パターンを均等に割り付けるよう設計されている。
これにより、電光イメージをリアワイパーの作動範囲全体に対して均等に表示することができる。
【0026】
さらに、他方へのリアワイパーの作動と一方へのリアワイパーの作動との間の時間に対し、表示する電光イメージをワイパーに並行する線により分割して得られた明滅パターンを逆順で均等に割り付けることができる。
これにより、電光イメージをリアワイパーの行きと帰りにおいて同じ位置に表示することができる。これについて
図5を用いて説明する。
図5において、表示する電光イメージDは、明滅する9個のLEDが一列に並び、これらが、ワイパーに並行する線により分割して得られた19の明滅パターンに従って明滅することで残像により人の目に電光イメージDとして感知される。なお、LEDの点灯を塗りつぶしマスD1、消灯を塗りつぶさないマスD2で表現している。ここで、ワイパーの往路の動きD3は、スイッチ5が一方へのリアワイパーの作動を検知してから他方へのリアワイパーの作動を検知するまでの時間に行われる。この時間をこの例では均等に19に割り、それぞれの単位時間に対し、対応する明滅パターンで9個のLEDを明滅させることで、「THANK YOU」の文字を偏りなくリアワイパーの動作幅いっぱいに表示させることができる。さらに、復路D4はスイッチ5が他方へのリアワイパーの作動を検知してから一方へのリアワイパーの作動を検知するまでの時間に行われる。ここで、リアワイパーが当初の位置に戻って止まった場合も含む。また、一般的に往路と復路は同じ時間であるから、往路と復路にかかる時間はイコールであるとみなしてもよい。いずれにしても、この時間を均等に19に割り、それぞれの単位時間に対し、対応する明滅パターン、すなわち往路とは逆順の明滅パターンで9個のLEDを明滅させることで、「THANK YOU」の文字を偏りなくリアワイパーの動作幅いっぱいに表示させることができる。このようにすることで、電光イメージDは、往路と復路において同じ場所に表示することが可能となるから、視認性が向上する。
【0027】
また、受信部としての赤外線受光部6を備え、この赤外線受光部6への外部からの信号入力により、記憶部に記憶された複数の電光イメージ信号のうち実際に電光部に送る電光イメージ信号を切り替えることができる。
より具体的には、運転席に設けられた赤外線送信器7には例えば「THANK YOU」「渋滞」「配達中」「AFTER YOU」といった複数のボタンが用意されており、これらのボタンを押すと、これらのボタンに対応したユニークな赤外線信号が発信される。この赤外線信号を赤外線受光部6が受信することで、次に表示する電光イメージを対応するメッセージに切り替える。その後、ドライバーがリアワイパーを作動させると、上述のような仕組みにより、切り替え後の電光イメージが表示される。このように、複数の電光イメージを切り替えて適宜表示することができる。もちろん、電光イメージは文字に限らず、絵やイラストであってもよい。
【0028】
電光表示器1は、電光イメージの入力部を備え、この入力部から入力した電光イメージを前記記憶部に記憶する。
これにより、新規の電光イメージを入力し、記憶する。
【0029】
より具体的には、電光部であるLED3が入力部を兼ねている。これは、LEDが発光機能と感光機能とを有することを利用している。このようなLED3を使用して新規の電光イメージを入力するには、
図6に示すように、LED3に対応した幅に設けられたマス目を有する紙Pに電光イメージの原画を描き、これを各明滅パターンごとLED3により読み取る。この際、ボタン8を押すことでLED3が明滅パターンを読み取る。これにより、読み取られた電光イメージ信号が記憶部に記憶される。なお、ボタン8を押すのではなく、車のリアウィンドウに原画を描いた紙を貼り付け、電光表示器1を表裏逆にLED3がリアウィンドウに向くようにリアワイパー軸に取り付け、リアワイパーを作動させることで、LED3が原画を読み取るようにしてもよい。
このように、マス目の描かれた紙に絵や字を書いて読み込むというアナログ的な処理だけで、他の機器を使う必要もなく、オリジナルで自由に電光イメージを作成することが可能となる。
【0030】
図示省略するが、入力部として外部電子機器すなわちスマートフォンやPCとのコネクターを設けてもよい。
これにより、スマートフォン等と接続して、スマートフォン等に記憶された新たな電光イメージを前記記憶部に記憶させることができる。この場合、電光イメージをデジタル上で編集したり、サイト上からダウンロードしたり、シェアするという運用が可能となり、用途の幅が広がる。
【0031】
さらに、受信部としての赤外線受光部6が、入力部を兼ねていても良い。例えば、スマートフォン内のアプリでイラストなどの電光イメージを作成し、スマートフォンに外付けした赤外線エミッターで赤外線の形で電光イメージを送信し、赤外線受光部6でこれを受信し、記憶部に記憶させることができる。このような赤外線エミッターを利用する場合、スマートフォン及び赤外線エミッターを赤外線送信機7として利用できる。
【0032】
続いて、
図2を用いて本実施形態の電光表示ユニット10について説明する。電光表示ユニット10は、
図2(a)に示すメイン装置である電光表示器1と、
図2(b)に示すモード選択装置であるリモコン8とを有する。リモコン8は、例えば運転席に取り付けられ、赤外線などの信号を発信する装置であり、上述のようにスマートフォンと赤外線エミッターであってもよいし、赤外線以外の無線通信、例えばブルートゥース(登録商標)により信号を発信するものであってもよい。
【0033】
リモコン8は、動作モード入力回路81を有する。この動作モード入力回路81は、電光イメージごとに割り当てられた複数のボタンを含む。また、この動作モード入力回路81に接続されたCPU82を有する。動作モード入力回路81から入力された信号によりCPU82がどのボタンが押されたかを判別し、CPU82に接続された動作モード送信回路83へ信号を発する。これを受けて動作モード送信回路83は、電光表示器1へ信号を発する。
【0034】
電光表示器1は、赤外線受光部を含む動作モード受信回路6と、加速度スイッチを含む往路復路スタート検出回路6とが、記憶部及び送信部を含む制御ユニットとしてのCPU4に接続されている。動作モード受信回路6が動作モード送信回路83からの信号を受信した場合には、この信号に従って次に表示する電光イメージが用意される。そして、往路復路スタート検出回路6がワイパーのスタートを検知した場合には、この電光イメージを送信する。ここで、往路と復路では電光イメージの表示順が逆になる。なお、往路復路スタート検出回路は加速度スイッチのみならず他のセンサーとすることができる。例えば光センサーによってリアウィンドウに貼り付けたマーカーを検出してもよいし、リモコン8からの赤外線信号を往路復路スタートの信号としてもよい。
【0035】
CPU4から送信された電光イメージの表示信号に従って表示回路4が電光部3を明滅させる。この明滅の残像によりワイパーの動作と相まって電光イメージが視認される。
【0036】
続いて、本実施形態の電光表示器1の処理について
図3のフローチャートに基づいて説明する。
図3(a)に示すように、メインの処理として、まず各種設定及び初期化が行われる(ステップs1)。これは、電源投入時に一度だけ行われる処理であり、以降、電源が切られない限り、ステップs2以降が繰り返し処理または割り込み処理される。
【0037】
続いて、往路復路スタート検出回路6により、スイッチ状態読み取り及び往路復路スタート読み取りが行われる(ステップs2)。これにより、スイッチ変数が読み取られる。さらに、動作モードの判定が行われる(ステップs3)。これは、スイッチ変数による動作変移である。初回のリアワイパー動作であれば、イニシャルモードとして、表示タイミング調整(ステップs4)が行われる。具体的には、表示内容の上下割り振り、及び、スイッチ5により検出したリアワイパーの往路の開始から終了、復路の開始から終了までの時間が割り出される。これに対し、判定されたリアワイパーの往路(または復路)の時間に対して、往路(または復路)において表示する電光イメージをワイパーに並行する線により分割して得られた明滅パターンが均等に割り付けられる。なお、イニシャルモードとして、上下の判定が行われても良い。すなわち、リアワイパーには軸が上になるものと下になるものがあり、それによって明滅パターンを変える必要があるので、上付き、下付きのどちらであるかを加速度センサー等を用いて判定しても良い。
【0038】
一方、表示モードの場合は、スイッチ変化の有無が判定される(ステップs5)。すなわち、前回のスイッチ変数と比較して、スイッチ5に変化がない場合は、ステップs2まで戻り、処理がループされる。ここで、スイッチ5に変化がある場合は、表示ステップ(ステップs6)において電光部への往路(または復路)表示が行われる。表示される内容は表示タイミング調整(ステップs4)でセットされた通りである。また、復路(または往路)の表示内容すなわち電光イメージがセットされる。
【0039】
その後、ステップs2からの処理がループされ、復路(または往路)の表示処理が行われる。
【0040】
図3(b)は、受信割り込み処理のフローチャートである。この処理は、リモコン8からの信号を受信した際に行われる。この信号を受信した際には、受信した内容がスイッチ変数に割り当てられ、すなわち受信した信号に対応する表示内容のセットが行われ(ステップs7)、また、イニシャル動作のセットが行われる。これにより、次の動作モード(ステップs3)がイニシャルモードになる。
【0041】
その後、割り込みから復帰し(ステップs8)、メインのフローに戻る。
【0042】
以上のように、実施形態の電光表示器1によれば、リアワイパーという既存の機構を利用し、リアウィンドウ越しの視界を狭めることなく、後続車に対して大きな面積を使ってメッセージやイメージを視認させることができる。合流時の「ありがとう」、渋滞発生時の「渋滞」、あおり運転を回避するための「お先にどうぞ」といった表示や停車中の「配達中」といった表示によりコミュニケーションを行うことができ、安全性、利便性を高めることができる。
【0043】
なお、実施形態の電光表示器1は一例であり、様々な設計変更が可能である。例えば赤外線ではなくワイファイ、ブルートゥース(登録商標)、有線などの方法での通信が可能であるし、電光表示は一色のみならず多色のLEDでも良いし、LEDに限らず、発光するものであれば、例えば有機ELによる細長いディスプレイとしてもよい。
【0044】
本発明の電光表示器は自動車に限らず、工事車両などに使用することができる。また、工事現場で使用される電光表示としても、ワイパー状にモーターで自動的に往復運動を行う電光誘導棒を本発明の電光表示器に置き換えることでメッセージの表示効果を得られるから、本発明の技術的範囲に属する。また、リモコンを使わずに表示内容を変更しない場合や、本体に直接的な操作を行って表示内容を変更するといった場合も、本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0045】
1 電光表示器
2 取付部
3 電光部
4 制御ユニット
5 スイッチ