(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023027729
(43)【公開日】2023-03-02
(54)【発明の名称】重循環水型二酸化炭素分離精製貯蔵システム
(51)【国際特許分類】
B01D 53/62 20060101AFI20230222BHJP
B01D 53/78 20060101ALI20230222BHJP
C02F 3/34 20230101ALI20230222BHJP
【FI】
B01D53/62 ZAB
B01D53/78
C02F3/34 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021151578
(22)【出願日】2021-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】504211142
【氏名又は名称】森重 晴雄
(71)【出願人】
【識別番号】520086209
【氏名又は名称】森重 茂美
(71)【出願人】
【識別番号】520086210
【氏名又は名称】北村 康文
(71)【出願人】
【識別番号】520086221
【氏名又は名称】千代谷 晴菜
(71)【出願人】
【識別番号】515186770
【氏名又は名称】森重 晴貴
(71)【出願人】
【識別番号】520086232
【氏名又は名称】梅津 晴賀
(71)【出願人】
【識別番号】520086243
【氏名又は名称】小牧 晴絵
(71)【出願人】
【識別番号】520086254
【氏名又は名称】森重 はるみ
(72)【発明者】
【氏名】森重 晴雄
【テーマコード(参考)】
4D002
4D040
【Fターム(参考)】
4D002AA09
4D002AC04
4D002AC05
4D002AC10
4D002BA02
4D002BA12
4D002BA13
4D002CA06
4D002DA35
4D002EA05
4D002EA07
4D002EA13
4D002FA01
4D002HA08
4D040DD01
4D040DD12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】火力発電所からの排出ガスや大気中の二酸化炭素を回収するシステムを提供する。
【解決手段】『排出ガス熱交換・発電』段階では、高温の排出ガスを第1循環ラインで加圧加熱し熱交換を行い、冷却された排出ガスを第2循環ラインに注入する。『CO2分離・再生』段階では、30mの構台の上に再生タンク、地上に分離タンクが設置されその間を第2循環ラインが循環している。排出ガスが第2循環ラインに送られると断熱膨張を起こし急冷される。CO2が水に溶け込みやすい10℃となるように結合ラインのバルブの弁開度を調整する。CO2は循環水に吸収される。循環水が再生タンクに上がると水圧が揚程差分0.3Mpa下がるのでその時、水中を飽和したCO2が噴出し再生する。『メタノール生成』段階では、再生されたCO2にH2を混合し触媒にてメタノールを生成しメタノールを常温常圧にて保存する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温低圧の排出ガスをポンプで循環させた高圧配管にピトー管効果で注入し加圧加熱し熱交換機にて熱交換を行い、冷却した排出ガスを次の循環配管に注入すること。
【請求項2】
冷却された排出ガスをより低圧の循環管に注入し、水中に気泡として膨張させ、断熱膨張効果により冷却し、排出ガス気泡中の二酸化炭素が低温で水に溶解すること。
【請求項3】
構台の上に再生タンク、地上に分離タンクが設置し、その間を循環ラインを設け循環水を循環させ、その循環水に冷却した排出ガスを注入し、分離タンクでは注入された排出ガスのうち水に溶けにくい窒素,酸素が分離され、二酸化炭素は水に溶けやすく循環水に吸収され、循環水が再生タンクに上がると水圧が揚程差分下がり、二酸化炭素が噴出し再生すること。
【請求項4】
加圧タンクを含む高圧の循環ラインの水にピトー管効果で低圧の空気を注入し、加圧タンク内で空気を徐々に圧力を高め、目標とする圧力を超えると加圧タンクから空気を放出させる圧縮機。
【請求項5】
加圧タンクと膨張タンクを含む高圧の循環ラインの水にピトー管効果で低圧の空気を注入し、加圧タンク内で空気を徐々に圧力温度を高め、加圧タンク外から冷却し、冷却された空気を膨張タンクで減圧し急膨張させ温度が下がった空気を被冷却対象物に放出させるエアコンまたは冷凍機。
【請求項6】
加圧タンクと膨張タンクを含む高圧の循環ラインの水にピトー管効果で低圧の空気を注入し、加圧タンク内で空気を徐々に圧力温度を高め、加圧タンク外から冷却し、冷却された空気を膨張タンク内で減圧し急膨張させた結果、膨張タンク内に溜まった凝縮水を高圧の循環ラインにピトー管効果で戻す。
【請求項7】
加圧タンクと膨張タンクを含む高圧の循環ラインの水にピトー管効果で低圧の空気を注入し、加圧タンク内で空気を徐々に圧力温度を高め、加圧タンク外から冷却し、冷却された空気を膨張タンク内で減圧し急膨張させた結果、膨張タンク内に溜まった凝縮水に循環内にあるに二酸化炭素を吸収させ、その凝縮水を加圧タンクに再度、循環させるエアコンまたは冷凍機。
【請求項8】
加圧タンクと膨張タンクを含む高圧の循環ラインの水にピトー管効果で低圧の空気を注入し、加圧タンク内で空気を徐々に圧力温度を高め、加圧タンク外から冷却し、冷却された空気を膨張タンク内で減圧し急膨張させた結果、膨張タンク内に溜まった凝縮水に循環内にあるに二酸化炭素を吸収させ、その凝縮水の一部をドレンし下水に流すエアコンまたは冷凍機。
【請求項9】
加圧タンクと膨張タンクを含む高圧の循環ラインの水にピトー管効果で低圧の空気を注入し、加圧タンク内の空気を高圧加熱し、加圧タンク周囲の暖かい空気を室内に送風する暖房設備。
【請求項10】
下水に流れた二酸化炭素を含む水を下水処理場で照明の下で植物プランクトンが光合成を行い、下水中の二酸化炭素を植物プランクトン内で固定させること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火力発電所、製鉄所、製油所、セメント工場、ごみ焼却施設から排出される排出ガスや大気中に含まれる二酸化炭素を回収するシステムである。
【背景技術】
【0002】
CCUS(Carbon dioxide Capture Utilization Storage)は火力発電所、製鉄所、製油所、セメント工場、ごみ焼却施設から発生する排出ガスのなから二酸化炭素を回収し、地底や海底に固定あるいは化学的物質を合成して保存するシステムであり、地球温暖化対策の切り札とされているが、コストが問題になっている。
一方、排出ガスはそのエネルギーを十分に利用されないままにエネルギーの50%以上を持ったままガスとして排出される。
【先行技術文献】
【0003】
アミンに二酸化炭素を吸着させているが、二酸化炭素を再生するのに多大なエネルギーを必要としている。現在、RITEでは消費エネルギーを2GJ/t二酸化炭素に低減させることを目標に新吸収液の開発を進めているが、この方法では発電は困難である。大気から二酸化炭素を回収する技術は開発中である。また海水中の二酸化炭素を分離する技術は皆無である。
【特許文献】
【0004】
既存の特許はアミンに二酸化炭素を吸着させ,再生する製法は多数提出されている。
当方からも令和3年7月10日に深海の圧力を利用してCO2を液体として長期保管できる『発電できる二酸化炭素分離精製貯蔵システム』を令和3年7月26日にドライアイスでCO2を固体で保存する『出ガス、大気、海水から二酸化炭素を回収するシステム』をそれぞれ申請している。
【発明の概要】
【0005】
二酸化炭素は窒素、酸素に比べて30℃以内の低温であれば、水によく溶ける。この性質を利用して二酸化炭素を分離、再生する。排出ガスは200℃以上あり。そのままでは水が蒸発してしまうので。本システムは二重の循環ラインをもつ。第1循環ラインは高圧で、排出ガスをピトー管効果で吸収し加圧加熱する。その排ガスを熱交換器で低温する。冷却された排出ガスを次の低圧の循環ラインに注入し断熱膨張させ、急冷にし10℃前後にする。第2循環ラインは地上に分離タンクを、30m高さの構台の上に再生タンクを設置しその間を循環している。この揚程差を利用し、分離タンクでは水に溶けにくい窒素、酸素を分離し、再生タンクでは二酸化炭素を再生する。再生した二酸化炭素は水素と混合し、触媒を使ってメタノールにする。
第1循環ラインは圧縮機、エアコンに応用できる。従来に比べて格段に省電力が図れる。
エアコンでは大気中の水と二酸化炭素が同時に回収でき、二酸化炭素が溶け込んだ水を下水に流し、下水処理場で植物プランクトンが光合成で二酸化炭素を固定する。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
高温の排出ガスは水に溶けない。冷却する必要がある。
【0007】
大気中からも合理的に二酸化炭素を回収すること。
【0008】
排出ガスの熱エネルギーを回収して発電し純度の高い二酸化炭素を得て、石油製品の原料とすること。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本システムは、大まかに『排出ガス熱交換・発電』『CO2分離・再生』『メタノール生成』の3段階に分かれる。
『排出ガス熱交換・発電』では高温の排出ガスを第1循環ラインで加圧加熱し熱交換を行い、冷却された排出ガスを第2循環ラインに注入する、後段で分離・加圧された窒素、酸素を熱交換機で加熱し、タービンを回し発電する。
『CO2分離・再生』では高さ30mの構台の上に再生タンク、地上に分離タンクが設置されその間を第2循環ラインが循環している。第1循環ラインから結合ラインを介して排出ガスが第2循環ラインに送られる。第1循環ラインは第2循環ラインより高圧に設定しているので排出ガスが注入されると断熱膨張を起こし急冷される。CO2が水に溶け込みやすい10℃となるように結合ラインのバルブの弁開度を調整する。分離タンクでは注入された排出ガスのうち水に溶けにくいN2,O2が分離される。CO2は水に溶けやすいので循環水に吸収される。循環水が再生タンクに上がると水圧が揚程差分0.3Mpa下がるのでその時、水中を飽和したCO2が噴出し 再生する。
『メタノール生成』では再生されたCO2にH2を混合し触媒にてメタノールを生成しメタノールを常温常圧にて保存する。
この第1循環ラインは発展すれば圧縮機やエアコンの役割も果たす。ピトー管効果により高圧の循環ラインに引き込むができ、空気は循環ライン内で圧縮される。この圧縮空気を循環ラインから放出すると高圧空気が得れる
この圧縮機のラインに膨張タンクを加えると冷凍機、冷房機になる。加圧タンク周りを冷却し、冷却された空気を膨張タンクに送り、断熱膨張させると空気が零度近くになる。
膨張タンク内で空気中の水蒸気は凝結する。凝結水には空気中の二酸化炭素が吸収される。
凝結水の二酸化炭素濃度が飽和状態に近くなると凝結水をドレンし、下水に放出し、下水処理場で植物プランクトンに光合成によって二酸化炭素を固定させる。
このエアコンは加圧タンク周りの高温になった空気を室内に送風し暖房も行うことができる。
【発明の効果】
【0010】
排出ガスや大気中から二酸化炭素を分離再生できる。
【0011】
水を媒体とすること。
【0012】
再生した二酸化炭素をメタノールなどに貯蔵する。
【0013】
排出ガスの熱エネルギーを回収し、発電すること。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】 重循環水型CCUSのシステムを図-1に示す。大まかに『排出ガス熱交換・発電』1『CO2分離・再生』2『メタノール生成』3の3段階に分かれる。『排出ガス熱交換・発電』1では高温の排出ガス6を第1循環ライン8で加圧加熱し熱交換器吸熱側10で熱交換を行い、冷却された排出ガスを結合ライン17を介して第2循環ライン18に注入する、後段で分離・加圧されたN2,O2 14を熱交換機加熱側11で加熱し、タービン13を回し発電する。『CO2分離・再生』2では30mの構台4の上に再生タンク22、地上に分離タンク21が設置されその間を第2循環ライン18が循環している。第1循環ライン8は第2循環ライン18より高圧に設定しているので排出ガスが注入されると断熱膨張を起こし急冷される。CO2が水に溶け込みやすい10℃となるように結合ラインのバルブの弁開度を調整する。分離タンク21では注入された排出ガスのうち水に溶けにくいN2,O2 14が分離される。CO2は水に溶けやすいので循環水に吸収される。循環水が再生タンク22に上がると水圧が揚程差分0.3Mpa下がるのでその時、水中を飽和したCO2 15が噴出し再生する。第1循環ラインとも第2循環ラインは排出ガスを注入した付近は混相流7となっている。『メタノール生成』3では再生されたCO2 15は除湿器20を通してH2 23を混合し触媒 28にてメタノールを生成しメタノール36を常温常圧にて保存する。反応しないCO2,H2 33は循環ガス27として圧縮機25に戻す。
【
図2】 水ポンプを使ったエアコンを図-2に示す。加圧タンク5、循環ポンプ39を含め循環ライン38を構成する。室内空気41(0.1Mpa、30℃)をピトー管効果47により循環ライン(0.2Mpa)に注入する。空気43が加圧タンク5溜まっていき、加圧タンク5内の空気43は圧力と温度が高まる。空気温度を97℃になるまでこの循環ライン38は閉じたままである。97℃を超えると加圧タンク5周りを空冷し放熱させ、空気43の温度を90℃にする。さらに加圧タンク5の上のバルブを開け空気43を膨張タンク37に送る。膨張タンク37が大気解放されているので、断熱膨張45となり、空気は急冷し2℃になる。膨張タンク37に中の水蒸気が凝縮水42を作る。この凝縮水42を循環ライン38に戻す。試算によると循環ポンプ39が400Wに対して冷熱は6KWを持つ、COP値は10を超える。この要因は気体を対象とするコンプレッサーは10%程度の効率しかないが水力ポンプは100%近く、10倍程度差があるからである。 凝縮水42に大気中のCO2も溶け込む。その増えた凝縮水をドレン49から下水に流せば、まず下水処理場で植物プランクトンがCO2を取り込み、さらに海に放出され、海藻などの植物がCO2を回収する可能性がある。このエアコンは家庭用、自動車用、及びスーパーに設置される冷凍機、冷凍倉庫、ビルなどの事業用にと広範囲に適用できる。エアコン、冷凍機の多くを水力ポンプに切り替えれば消費電力を少なくしかつ全CO2発生量の数割は回収できる可能性がある。
【産業上の利用可能性】
【0015】
メタノール、CCUSS、CO2固定
【符号の説明】
【0016】
1. 排出ガス熱交換・発電 28.触媒
2. CO2分離・再生 29.凝縮器
3. メタノール生成 30.気液分離機
4. 構台 31.オイルヒーター
5. 加圧タンク 32.オイル冷却器
6. 排出ガス 33.CO2,H2
7. 混相流 34.粗メタノールタンク
8. 第1循環ライン 35.ベント
9. 第1循環ポンプ 36.メタノール
10.熱交換器吸熱側 37.膨張タンク
11.熱交換機加熱側 38.循環ライン
12.熱交換器内ポンプ 39.循環ポンプ
13.タービン 40.室内
14.N2,O2 41.室内空気
15.CO2 42.凝縮水
16.N2,O2大気放出 43.空気
17.結合ライン 44.水
18.第2循環ライン 45.断熱膨張
19.第2循環ポンプ 46.架台
20.除湿器 47.ピトー管効果
21.分離タンク 48.放熱
22.再生タンク 49.ドレン
23.H2
24.プレヒーター
25.圧縮機
26.反応炉
27.循環ガス