(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023027750
(43)【公開日】2023-03-02
(54)【発明の名称】ロッドリデューサー
(51)【国際特許分類】
A61B 17/70 20060101AFI20230222BHJP
【FI】
A61B17/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096314
(22)【出願日】2022-06-15
(31)【優先権主張番号】P 2021132692
(32)【優先日】2021-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】508282465
【氏名又は名称】帝人ナカシマメディカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 宗介
(72)【発明者】
【氏名】藤田 圭生
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 雄一
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL63
(57)【要約】
【課題】ペディクルスクリューのヘッドの雌ねじに止めねじを容易にねじ込むことができるロッドリデューサーを提供する。
【解決手段】ロッドリデューサー1は、ペディクルスクリューに取り付けられるエクステンダーとの結合用のコネクタ4と、コネクタ4を貫通する中空のリダクションシャフト6と、リダクションシャフト6内に配置された中央シャフト7を含む。コネクタ4には第1グリップ5が回転可能に保持されており、リダクションシャフト6には第1グリップ5の雌ねじ51と螺合する雄ねじ64が形成されている。中央シャフト7の末端部71は脊椎ロッド固定用の止めねじが装着されるインターフェースであり、基端部72には第2グリップ9が設けられている。中央シャフト7とリダクションシャフト6との間には、中央シャフト7を基端部72から末端部71へ向かう方向に付勢するスプリング8が設けられている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペディクルスクリューに取り付けられるエクステンダーとの結合用のコネクタと、
前記コネクタに回転可能に保持された、雌めじが形成された第1グリップと、
前記コネクタを貫通する中空のリダクションシャフトであって、前記第1グリップの雌ねじと螺合する雄ねじが形成され、前記エクステンダーに挿入される部分の先端である末端で脊椎ロッドを押圧するリダクションシャフトと、
軸方向に摺動可能となるように前記リダクションシャフト内に配置された中央シャフトであって、前記リダクションシャフトから前記リダクションシャフトの前進方向に張り出す末端部が脊椎ロッド固定用の止めねじが装着されるインターフェースであり、前記リダクションシャフトから前記リダクションシャフトの後退方向に張り出す基端部に第2グリップが設けられた中央シャフトと、
前記中央シャフトと前記リダクションシャフトとの間に設けられた、前記中央シャフトを前記基端部から前記末端部へ向かう方向に付勢するスプリングと、
を備える、ロッドリデューサー。
【請求項2】
前記リダクションシャフトは、前記脊椎ロッドと当接する、前記中央シャフトを挟んで互いに対向する一対の押圧片と、前記一対の押圧片と前記雄ねじとの間に介在する管状部を含み、
前記管状部の外周面には、前記一対の押圧片と同一円周上に位置するスペースを前記リダクションシャフトの軸方向に延長する切欠きが形成されている、請求項1に記載のロッドリデューサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脊椎固定術に用いられるロッドリデューサーに関する。
【背景技術】
【0002】
脊椎固定術の一つの手技では、連続して並ぶ椎弓根にペディクルスクリューがねじ込まれ、それらのペディクルスクリュー同士が脊椎ロッドにより連結される。ペディクルスクリューは、雄ねじが形成されたアンカーと、アンカーを回転可能に保持するヘッドを含む。ヘッドには当該ヘッドをアンカーの軸方向と直交する方向に横断するチャンネルが設けられ、このチャンネルに脊椎ロッドが挿入される。チャンネルに挿入された脊椎ロッドは止めねじによってヘッドに固定される。
【0003】
より詳しくは、ペディクルスクリューのヘッドは、脊椎ロッド挿入用のチャンネルを挟んで互いに対向する一対の対向壁を含み、これらの対向壁の内側面には、脊椎ロッド固定用の止めねじと螺合する雌ねじが形成されている。
【0004】
脊椎ロッドは一般的に金属製であり、予めまたは術中に、脊椎の理想的(生理学的)な湾曲に沿うように曲げ加工される。脊椎ロッドを反力を受けながらペディクルスクリューのヘッドのチャンネルに押し入れることで、リダクション(整復)が行われる。このリダクションには、ロッドリデューサーと呼ばれる器具が用いられることがある。
【0005】
例えば、特許文献1には、
図16に示すようなロッドリデューサー100が開示されている。このロッドリデューサー100は、
図18に示すようにペディクルスクリュー300に取り付けられる筒状のエクステンダー200に結合されるものである。
【0006】
具体的に、ロッドリデューサー100は、
図17に示すように、エクステンダー200との結合用のコネクタ110と、コネクタ110を貫通する中空のリダクションシャフト130を含む。リダクションシャフト130は、エクステンダー200内に挿入される部分の先端である末端で脊椎ロッド400(
図18参照)を押圧するものである。
【0007】
コネクタ110には第1グリップ120が回転可能に保持されている。第1グリップ120には雌ねじ121が形成されている。一方、リダクションシャフト130には、第1グリップ120の雌ねじと螺合する雄ねじ131が形成されている。このため、第1グリップ120を回転させると、リダクションシャフト130が軸方向に移動(ペディクルスクリュー300に近づくように前進するか、ペディクルスクリュー300から遠ざかるように後退)する。
【0008】
リダクションシャフト130内には、軸方向に摺動可能となるように中央シャフト140が配置されている。中央シャフト140は、リダクションシャフト130からリダクションシャフト130の前進方向に張り出す末端部141と、リダクションシャフト130からリダクションシャフト130の後退方向に張り出す基端部142を含む。
【0009】
末端部141は、脊椎ロッド固定用の止めねじ(図示せず)が装着されるインターフェースである。基端部142には、第2グリップ150が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
図16に示すロッドリデューサー100を使用する際は、まず中央シャフト140の末端部141に止めねじを装着する。ついで、エクステンダー200内にリダクションシャフト130を挿入しながらエクステンダー200にロッドリデューサー100を結合し、第1グリップ120を回転させてリダクションシャフト130を前進させる。これにより、リダクションシャフト130が脊椎ロッド400を押圧して脊椎ロッド400がペディクルスクリュー300のヘッド310のチャンネル320に挿入される。その後、止めねじがヘッド310に当接するまで中央シャフト140を前進し、第2グリップ150を回転させることで、ヘッド310の雌ねじに止めねじがねじ込まれる。
【0012】
しかしながら、
図16に示すロッドリデューサー100では、止めねじをペディクルスクリュー300のヘッド310の雌ねじにねじ込みために、中央シャフト140を末端部141に向かって押しながら第2グリップ150を回転させる必要がある。
【0013】
そこで、本発明は、ペディクルスクリューのヘッドの雌ねじに止めねじを容易にねじ込むことができるロッドリデューサーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するために、本発明は、ペディクルスクリューに取り付けられるエクステンダーとの結合用のコネクタと、前記コネクタに回転可能に保持された、雌めじが形成された第1グリップと、前記コネクタを貫通する中空のリダクションシャフトであって、前記第1グリップの雌ねじと螺合する雄ねじが形成され、前記エクステンダーに挿入される部分の先端である末端で脊椎ロッドを押圧するリダクションシャフトと、軸方向に摺動可能となるように前記リダクションシャフト内に配置された中央シャフトであって、前記リダクションシャフトから前記リダクションシャフトの前進方向に張り出す末端部が脊椎ロッド固定用の止めねじが装着されるインターフェースであり、前記リダクションシャフトから前記リダクションシャフトの後退方向に張り出す基端部に第2グリップが設けられた中央シャフトと、前記中央シャフトと前記リダクションシャフトとの間に設けられた、前記中央シャフトを前記基端部から前記末端部へ向かう方向に付勢するスプリングと、を備える、ロッドリデューサーを提供する。
【0015】
上記の構成によれば、中央シャフトがスプリングによって基端部から末端部へ向かう方向に付勢されているので、中央シャフトの末端部に装着された止めねじはスプリングの付勢力によってペディクルスクリューの雌ねじに押し付けられる。このため、第2グリップを回転させるだけで止めねじがペディクルスクリューの雌ねじにねじ込まれる。従って、ペディクルスクリューのヘッドの雌ねじに止めねじを容易にねじ込むことができる。
【0016】
前記リダクションシャフトは、前記脊椎ロッドと当接する、前記中央シャフトを挟んで互いに対向する一対の押圧片と、前記一対の押圧片と前記雄ねじとの間に介在する管状部を含み、前記管状部の外周面には、前記一対の押圧片と同一円周上に位置するスペースを前記リダクションシャフトの軸方向に延長する切欠きが形成されてもよい。この構成によれば、エクステンダーがペディクルスクリューのヘッドに係合する場合においてそのエクステンダーにロッドリデューサーを結合したときに、ロッドリデューサーの管状部の外周面とエクステンダーの内周面との間に比較的に大きな隙間が形成される。このため、ペディクルスクリューがタブ付きである場合はリダクションシャフトがタブと干渉することが回避される。従って、ロッドリデューサーを、タブ無しペディクルスクリューとタブ付きペディクルスクリューの双方に使用することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ペディクルスクリューのヘッドの雌ねじに止めねじを容易にねじ込むことができるロッドリデューサーが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係るロッドリデューサーの使用状態を示す図である。
【
図2】(a)はタブ付きペディクルスクリューの斜視図、(b)はタブ無しペディクルスクリューの斜視図である。
【
図9】(a)は
図8のIXA-IXA線に沿った横断面図、(b)は
図8のIXB-IXB線に沿った横断面図である。
【
図10】タブ付きペディクルスクリューに取り付けられたエクステンダーにロッドリデューサーが結合されたときのタブ付きペディクルスクリューのヘッド付近の縦断面図であり、ヘッドの雌ねじに止めねじをねじ込む前の状態を示す。
【
図11】タブ付きペディクルスクリューに取り付けられたエクステンダーにロッドリデューサーが結合されたときのタブ付きペディクルスクリューのヘッド付近の縦断面図であり、ヘッドの雌ねじに止めねじをねじ込んだ後の状態を示す。
【
図12】タブ付きペディクルスクリューに取り付けられたエクステンダーにロッドリデューサーが結合されたときの、
図9(a)と同じ位置での横断面図である。
【
図13】別の形状のタブ付きペディクルスクリューの斜視図である。
【
図14】
図13に示すタブ付きペディクルスクリュー用のエクステンダーの斜視図である。
【
図16】従来のロッドリデューサーの斜視図である。
【
図17】従来のロッドリデューサーの断面図である。
【
図18】従来のロッドリデューサーが結合されるエクステンダーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1に、本発明の一実施形態に係るロッドリデューサー1の使用状態を示す。ロッドリデューサー1は、ペディクルスクリュー2に取り付けられるエクステンダー3に結合されるものである。そこで、以下では、まずペディクルスクリュー2およびエクステンダー3について説明し、その後にロッドリデューサー1について説明する。
【0020】
(ペディクルスクリュー)
椎弓根にねじ込まれるペディクルスクリュー2は、
図2(a)に示すタブ付きペディクルスクリュー2Aであってもよいし、
図2(b)に示すタブ無しペディクルスクリュー2Bであってもよい。
【0021】
タブ無しペディクルスクリュー2Bは、雄ねじが形成されたアンカー21と、アンカー21を回転可能に保持する、略円柱状のヘッド22を含む。ヘッド22には当該ヘッド22をアンカー21の軸方向と直交する方向に横断するチャンネル25が設けられている。チャンネル25には、脊椎ロッド10(
図1参照)が挿入される。
【0022】
より詳しくは、ヘッド22は、アンカー21に貫通される円盤部23と、円盤部23から立ち上がる、チャンネル25を挟んで互いに対向する一対の対向壁24を含む。対向壁24の内側面には、脊椎ロッド10の固定用の止めねじと螺合する雌ねじ26が形成されている。
【0023】
さらに、双方の対向壁24の外側面には、エクステンダー3との係合用の係合溝27がそれぞれ設けられている。各係合溝27は、略円柱状のヘッド22の径方向外向きに開口
するとともに、ヘッド22の周方向に延びている。
【0024】
タブ付きペディクルスクリュー2Aがタブ無しペディクルスクリュー2Bと相違する点は、一対のタブ28を有する点のみである。タブ付きペディクルスクリュー2Aでは、脊椎ロッド挿入用のチャンネル25を延長するように一対の対向壁24に一対のタブ28がそれぞれ設けられている。また、タブ付きペディクルスクリュー2Aでは、雌ねじ26が対向壁24の内側面だけでなくタブ28の内側面の根元部分にも形成されている。
【0025】
(エクステンダー)
本実施形態では、エクステンダー3がペディクルスクリュー2のヘッド22に係合する。具体的に、エクステンダー3は、
図3および
図4に示すように、アウタースリーブ31と、アウタースリーブ31内に配置された一対のインナーアーム36およびアクチュエータ38を含む。
【0026】
アウタースリーブ31は、筒状の基部32と、基部32からアウタースリーブ31の軸方向に沿って突出する一対のアーム部33を含む。アーム部33は互いに対向しており、各アーム部33の断面形状は円弧状である。基部32のアーム部33と反対側の基端部には、ロッドリデューサー1との結合用の一対のスロット32a(
図3および
図4では一方のスロット32aのみを図示)が設けられている。
【0027】
アーム部33同士の間にはスリット34が形成されている。このスリット34は、エクステンダー3がペディクルスクリュー2に取り付けられたときに、ヘッド22に設けられた脊椎ロッド挿入用のチャンネル25と連続する。すなわち、チャンネル25およびスリット34は、脊椎ロッド10の可動範囲を規定する。
【0028】
各アーム部33の先端からアーム部全長の約1/4の範囲では、各アーム部33の幅が細くなっている。各アーム部33の先端には、ペディクルスクリュー2のヘッド22に設けられた係合溝27との係合用のリッジ35が設けられている。
【0029】
各インナーアーム36は、ほぼ一定の円弧状の断面形状で基端36aから末端36bまで延びている。換言すれば、双方のインナーアーム36は、アウタースリーブ31のアーム部33の内側面に当接するパイプが、スリット34と同じ幅でカットされたような形状を有する。
【0030】
各インナーアーム36は、対応するアーム部33の内側面に沿ってアウタースリーブ31の軸方向に摺動可能となるようにアウタースリーブ31に保持されている。具体的には、各インナーアーム36の外側面には一対の突起36cが設けられており、アウタースリーブ31の各アーム部33にはその突起36cをガイドする一対のスロット33aが設けられている。
【0031】
アクチュエータ38は、回転操作を受けて双方のインナーアーム36を移動するものであり、アウタースリーブ31の基部32に取り付けられている。アクチュエータ38は筒状体であり、アクチュエータ38のインナーアーム36側の末端が双方のインナーアーム36のアクチュエータ38側の基端36aと係合する。
【0032】
また、アウタースリーブ31の基部32の内周面には雌ねじが形成されている一方、アクチュエータ38の外周面には、その雌ねじと螺合する雄ねじが形成されている。このため、アクチュエータ38が回転操作を受けると、双方のインナーアーム36がアクチュエータ38と共にアウタースリーブ31の軸方向に移動する。
【0033】
各インナーアーム36のアクチュエータ38と反対側の末端36bには、基端36aから末端36bに向かう方向に開口する切欠き37が形成されており、当該末端36bは略U字状となっている。上述したアウタースリーブ31のリッジ35は、その切欠き37内に位置する。
【0034】
図10に示すように、アウタースリーブ31のリッジ35がペディクルスクリュー2のヘッド22の対向壁24に設けられた係合溝27に係合した状態でインナーアーム36が前進すると、インナーアーム36の末端36bの上述したU字状の底に位置する支持面が対向壁24の端面に当接し、これによりヘッド22にエクステンダー3が固定される。
【0035】
(ロッドリデューサー)
ロッドリデューサー1は、
図5~
図7に示すように、エクステンダー3との結合用のコネクタ4と、コネクタ4を貫通する中空のリダクションシャフト6と、軸方向に摺動可能となるようにリダクションシャフト6内に配置された中央シャフト7を含む。
【0036】
コネクタ4は、エクステンダー3の基端部(正確には、アウタースリーブ31の基部32の基端部)が内部に挿入される筒状の本体41と、本体に揺動可能に取り付けられた一対の揺動片42を含む。各揺動片42は、アウタースリーブ31のスロット32aと係合可能なフックを有し、そのフックがスロット32aと係合する通常位置(
図5および
図6に示す位置)と、フックとスロット32aとの係合が解除される係合解除位置との間で揺動する。なお、図示は省略するが、揺動片42と本体41との間には、揺動片42を通常位置に維持するためのスプリングが配置されている。
【0037】
コネクタ4には、第1グリップ5が回転可能に保持されている。第1グリップ5は、コネクタ4の本体41内に保持されており、その約半分が本体41からエクステンダー3とは反対向きに突出している。第1グリップ5は筒状であり、第1グリップ5の内周面には雌ねじ51が形成されている。
【0038】
リダクションシャフト6は、エクステンダー3に挿入される部分の先端である末端で脊椎ロッド10を押圧するものである。つまり、リダクションシャフト6は、ペディクルスクリュー2に近づくように前進するか、ペディクルスクリュー2から遠ざかるように後退)する。中央シャフト7は、リダクションシャフト6からリダクションシャフト6の前進方向に張り出す末端部71と、リダクションシャフト6からリダクションシャフト6の後退方向に張り出す基端部72を含む。
【0039】
より詳しくは、リダクションシャフト6は、脊椎ロッド10と当接する一対の押圧片61と、押圧片61に隣接する第1管状部62と、第1管状部62を挟んで押圧片61と反対側に位置する第2管状部63を含む。換言すれば、第1管状部62は、押圧片61と第2管状部63との間に介在する。一対の押圧片61は、
図8および
図9(b)に示すように、中央シャフト7の末端部71を挟んで互いに対向する。
【0040】
図6に示すように、第2管状部63の外周面には、第1グリップ5の雌ねじ51と螺合する雄ねじ64が形成されている。このため、第1グリップ5を回転すれば、リダクションシャフト6が軸方向に移動する。なお、具体的な構造の説明は省略するが、リダクションシャフト6とコネクタ4の本体41との係合によってリダクションシャフト6の回転が阻止される。
【0041】
本実施形態では、第1管状部62および第2管状部63の外周面の断面形状が非円形である。より詳しくは、第1管状部62の外周面には、
図6ならびに
図9(a)および(b)に示すように、押圧片61と同一円周上に位置する円弧状のスペース61aをリダクションシャフト6の軸方向に延長する切欠き62aが形成されている。換言すれば、第1管状部62の外周面は、押圧片61の外側面と連続する一対の大径面と、この大径面よりも直径の小さい一対の小径面を有する。小径面が切欠き62aの底面を構成する。
【0042】
同様に、第2管状部63の外周面には、
図6に示すように、押圧片61と同一円周上に位置するスペース61aをリダクションシャフト6の軸方向にさらに延長する切欠き63aが形成されている。本実施形態では、双方の切欠き63aが互いに平行なフラット面を形成する。換言すれば、第2管状部63の外周面の断面形状は、押圧片61同士の対向方向に長い略長丸状となっている。
【0043】
中央シャフト7の上述した末端部71は、脊椎ロッド固定用の止めねじ11(
図10参照)が装着されるインターフェースである。中央シャフト7の上述した基端部72には第2グリップ9が設けられている。第2グリップ9を回転すれば、末端部71に装着された止めねじ11が中央シャフト7と共に回転する。
【0044】
さらに、本実施形態では、
図6および
図7に示すように、中央シャフト7とリダクションシャフト6との間にスプリング8が設けられている。スプリング8は、中央シャフト7を基端部72から末端部71に向かう方向に付勢する。
【0045】
より詳しくは、
図7および
図8に示すように、リダクションシャフト6の第2管状部63の内径および第1管状部62の第2管状部63側の所定範囲の内径は中央シャフト7の直径とほぼ等しく設定されているが、第1管状部62の押圧片61側の所定範囲の内径は、中央シャフト7の直径よりも大きく設定されている。つまり、第1管状部62の内周面には、段差面62bが形成されている。
【0046】
一方、中央シャフト7には、段差面62bと対向する拡径部73が設けられている。スプリング8は、圧縮コイルスプリングであり、中央シャフト7に挿通されている。スプリング8の一端はリング81を介して拡径部73と当接し、他端はリング82を介して段差面62bと当接する。なお、中央シャフト7は、第2グリップ9が取り付けられる前にリダクションシャフト6内に挿入され、その後に中央シャフト7の基端部72に第2グリップ9が固定される。
【0047】
次に、
図10および
図11を参照して、ロッドリデューサー1の使用方法を説明する。
図10および
図11では、ペディクルスクリュー2がタブ付きペディクルスクリュー2Aであるが、上述したようにペディクルスクリュー2はタブ無しペディクルスクリュー2Bであってもよい。
【0048】
まず中央シャフト7の末端部71に止めねじ11を装着する。ついで、ペディクルスクリュー2に取り付けられたエクステンダー3内にリダクションシャフト6を挿入するとともにコネクタ4の揺動片42のフックをエクステンダー3のアウタースリーブ31のスロット32aに係合することで、エクステンダー3にロッドリデューサー1を結合する。その状態で第1グリップ5を回転させてリダクションシャフト6を前進させる。これにより、リダクションシャフト6が脊椎ロッド10を押圧して脊椎ロッド10がペディクルスクリュー2のヘッド22のチャンネル25に挿入される。
【0049】
このとき、本実施形態では中央シャフト7がスプリング8によって基端部72から末端部71へ向かう方向に付勢されているので、中央シャフト7の末端部71に装着された止めねじ11はスプリング8の付勢力によってペディクルスクリュー2の雌ねじ26に押し付けられる。しかも、リダクションシャフト6が前進しても中央シャフト7は止めねじ11が雌ねじ26に押し付けられる位置に維持されるため、リダクションシャフト6が前進するにつれてスプリング8が圧縮される。
【0050】
その後、第2グリップ9を回転させることで、
図11に示すように雌ねじ26に止めねじ11がねじ込まれる。上述したように止めねじ11はスプリング8の付勢力によって雌ねじ26に押し付けられるため、第2グリップ9を回転させるだけで止めねじ11が雌ねじ26にねじ込まれる。従って、ペディクルスクリュー2のヘッド22の雌ねじ26に止めねじ11を容易にねじ込むことができる。
【0051】
しかも、本実施形態では、リダクションシャフト6の第1管状部62に切欠き62aが形成されているので、ロッドリデューサー1をエクステンダー3に結合したときに、
図12に示すようにロッドリデューサー1の第1管状部62の外周面とエクステンダー3の内周面(正確には、インナーアーム36の内周面)との間に比較的に大きな隙間が形成される。このため、ペディクルスクリュー2がタブ付きペディクルスクリュー2Aである場合はリダクションシャフト6がタブ28と干渉することが回避される。従って、ロッドリデューサー1を、タブ無しペディクルスクリュー2Bとタブ付きペディクルスクリュー2Aの双方に使用することができる。
【0052】
(変形例)
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0053】
例えば、ペディクルスクリュー2がタブ無しペディクルスクリュー2Bである場合は、リダクションシャフト6の第1管状部62に切欠き62aが形成されずに、第1管状部62の外周面の断面形状が円形であってもよい。
【0054】
また、前記実施形態では、エクステンダー3がペディクルスクリュー2(タブ付きペディクルスクリュー2Aまたはタブ無しペディクルスクリュー2B)のヘッド22に係合していたが、
図13に示すタブ付きペディクルスクリュー2Cのようにタブ28の先端に係合溝29が形成される場合は、
図14および
図15に示すようなタブ28の先端に係合するエクステンダー3Aが採用され、このエクステンダー3Aにロッドリデューサー1が結合されてもよい。
【0055】
具体的に、エクステンダー3Aは、筒状の本体12と、本体12に揺動可能に取り付けられた一対の揺動片14を含む。本体12の基端部には、ロッドリデューサー1との結合用の一対のスロット12aが設けられている。本体12の末端部には、互いに対向する位置に一対の開口12bが形成されている。なお、以下では説明の便宜のために本体12の基端部側を上方、末端部側を下方という。本体12における開口12bの上側で開口12bに隣接する部分13は、タブ付きペディクルスクリュー2Cのタブ28の先端面と当接する。
【0056】
各揺動片14は、対応する開口12b内に位置するフックを有する。フックは、タブ付きペディクルスクリュー2Cの係合溝29と係合可能なものである。各揺動片14は、揺動シャフト15を介して本体12に取り付けられるとともに、スプリング16によってフックが係合溝29と係合する位置に付勢されている。
【0057】
さらに、本体12には、揺動片14の上方にロック部材17が取り付けられている。ロック部材17は、揺動片14の揺動を禁止するロック位置と、揺動片14の揺動を許容するアンロック位置との間で、本体12の周方向に回旋可能である。ロック部材17にはプランジャを構成するスプリング18およびボール19が設けられており、ボール19が本体12に形成された窪みに嵌まり込むことで、ロック部材17がロック位置またはアンロック位置に固定される。ロック位置では、ロック部材17の一部が揺動片14の操作部14aと本体12との間に入り込むことで、揺動片14の揺動が禁止される。
【0058】
このような構造のエクステンダー3Aであれば、タブ付きペディクルスクリュー2Cのタブ28の先端にエクステンダー3Aを押し付けるだけで(すなわち、ワンタッチで)、エクステンダー3Aがタブ付きペディクルスクリュー2Cに取り付けられる。
【符号の説明】
【0059】
1 ロッドリデューサー
10 脊椎ロッド
11 止めねじ
2 ペディクルスクリュー
3,3A エクステンダー
4 コネクタ
5 第1グリップ
51 雌ねじ
6 リダクションシャフト
61 押圧片
61a スペース
62,63 管状部
62a 切欠き
64 雄ねじ
7 中央シャフト
71 末端部
72 基端部
8 スプリング
9 第2グリップ