(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023027776
(43)【公開日】2023-03-02
(54)【発明の名称】気体拡散装置、及びそれを含むウェーハ容器
(51)【国際特許分類】
H01L 21/673 20060101AFI20230222BHJP
B65D 85/00 20060101ALI20230222BHJP
【FI】
H01L21/68 T
B65D85/00 H
【審査請求】有
【請求項の数】38
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129888
(22)【出願日】2022-08-17
(31)【優先権主張番号】63/233,878
(32)【優先日】2021-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/284,105
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/316,391
(32)【優先日】2022-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/882,703
(32)【優先日】2022-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506017182
【氏名又は名称】家登精密工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUDENG PRECISION INDUSTRIAL CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】9F.,No.2,Sec.4,Zhongyang Rd.,Tucheng Dist.,New Taipei,Taiwan236
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100123630
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】邱 銘乾
(72)【発明者】
【氏名】荘 家和
(72)【発明者】
【氏名】李 國華
(72)【発明者】
【氏名】林 書弘
(72)【発明者】
【氏名】夏 浩剛
【テーマコード(参考)】
3E068
5F131
【Fターム(参考)】
3E068AA08
3E068AA33
3E068AC06
3E068BB02
3E068BB05
3E068BB11
3E068CC01
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3E068DE12
3E068EE40
5F131AA02
5F131CA02
5F131GA14
5F131GA53
5F131GA74
5F131GA82
5F131GA84
5F131GA92
5F131JA04
5F131JA12
5F131JA33
5F131JA35
(57)【要約】
【課題】気体拡散装置、及びそれを含むウェーハ容器を課題とする。
【解決手段】本発明は、ウェーハ容器及びそれに応用する気体拡散装置を提供する。ウェーハ容器は、ケーシングと、ケーシングに応用される全ての構成要素は、耐熱材料でできている。気体拡散装置とウェーハ容器が組み立てられると、結合構造とカラーとの間の配置を利用して気体拡散装置の保護機能として使用する。かつ気体拡散装置は、気体がウェーハ容器の内部空間に入る前に、気体緩衝余裕或いは気体拡散共通流通空間を提供する緩衝気室を備える。
【選択図】
図20
【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉鎖端と開放端とを有する縦方向空間を備えた少なくとも1つの多孔管と、
前記開放端に連結されて、前記多孔管がウェーハ容器の底部上の対応する結合構造に組み付けられることを緩衝することで、前記開放端の破損を防ぐための少なくとも1つのカラーと、
を含む気体拡散装置。
【請求項2】
前記多孔管の水平断面形状は、長軸と短軸を有する楕円形又は細長い形、或いは直径を有する円形である請求項1に記載の気体拡散装置。
【請求項3】
前記底部の結合構造は、気体が前記縦方向空間に入るのを可能にする貫通通路を画定する請求項1に記載の気体拡散装置。
【請求項4】
前記多孔管又は前記カラーは、PEEK、HTPC、FKM、PPS、PPO、塩素化ポリエーテル、POB、TORLON、EP、PF、PEI、PI、LCP、及びこれらの少なくとも2つの組み合わせから成る群から選択された耐熱材料でできている請求項1に記載の気体拡散装置。
【請求項5】
前記貫通通路は、前記縦方向空間内にある中心軸を有する請求項3に記載の気体拡散装置。
【請求項6】
前記多孔管が前記ウェーハ容器に組み付けられた場合、前記多孔管の一側面がウェーハ容器内の複数のウェーハに面し、前記一側面に複数の凹溝が形成され、各凹溝の水平高さが前記ウェーハ容器内の隣り合うウェーハの間にある請求項1に記載の気体拡散装置。
【請求項7】
前記多孔管は、取り外し可能なキャップ、タワー及び開放端から組み立てられる請求項1に記載の気体拡散装置。
【請求項8】
ウェーハ容器の底部に少なくとも1つの結合構造が設けられ、前記結合構造が中心軸を有する貫通通路を画定する、収容空間を備えたウェーハ容器に取り付けられる気体拡散装置であって、
緩衝気室であって前記ウェーハ容器の前記底部に配置され、前記緩衝気室が少なくとも1つの給気通路を有し、前記給気通路、前記緩衝気室、前記貫通通路及び前記収容空間が互いに連通する緩衝気室と、
少なくとも1つの多孔管であって、縦方向空間を有し、前記ウェーハ容器の前記結合構造に取り付けられ、前記多孔管の前記縦方向空間が前記緩衝気室と連通し、前記緩衝気室が供給する気体が前記多孔管を通り前記収容空間に入り、前記気体の給気中心軸と前記結合構造の中心軸とが同軸となる少なくとも1つの多孔管と
を含む気体拡散装置。
【請求項9】
前記結合構造は、前記ウェーハ容器の前記底部から延びることによって形成され、前記多孔管の開放端は中心軸を有し、前記多孔管の前記縦方向空間は中心軸を有し、前記結合構造の前記中心軸と前記多孔管の前記開放端の前記中心軸と前記給気中心軸とが同軸となる請求項8に記載の気体拡散装置。
【請求項10】
前記結合構造は、前記ウェーハ容器の前記底部から延びることによって形成され、前記多孔管の開放端は中心軸を有し、前記多孔管の前記縦方向空間は中心軸を有し、前記結合構造の前記中心軸と前記多孔管の前記開放端の前記中心軸と前記給気中心軸とが同軸となり、前記多孔管の前記縦方向空間の中心軸が前記結合構造の中心軸、前記多孔管の前記開放端の前記中心軸及び前記給気中心軸からオフセットされる請求項8に記載の気体拡散装置。
【請求項11】
前記多孔管の前記縦方向空間は、閉鎖端と開放端とを有し、前記開放端は対応する前記結合構造に嵌められて、前記気体が前記緩衝気室を経由して前記開放端を通り前記縦方向空間に入ることを可能にする請求項8に記載の気体拡散装置。
【請求項12】
前記多孔管の水平断面形状は、長軸と短軸を有する楕円形又は細長い形、或いは直径を有する円形である請求項8に記載の気体拡散装置。
【請求項13】
前記開放端に設けられ、前記開放端と前記結合構造との間に位置する第1カラーをさらに含む請求項12に記載の気体拡散装置。
【請求項14】
第2カラーであって前記結合構造に設けられたときに、前記第1カラーと前記結合構造との間に位置することで、気密性を高めるための第2カラーをさらに含む請求項13に記載の気体拡散装置。
【請求項15】
前記第1カラーの材料は、前記開放端が破損するのを防ぐため、前記多孔管の材料よりも柔らかい請求項13に記載の気体拡散装置。
【請求項16】
前記開放端が破損するのを防ぐため、前記第2カラーと前記多孔管とが一体に焼結または接合される請求項14に記載の気体拡散装置。
【請求項17】
前記結合構造、前記多孔管、前記第1カラー及び/又は前記第2カラーは、PEEK、HTPC、FKM、PPS、PPO、塩素化ポリエーテル、POB、TORLON、EP、PF、PEI、PI、LCP、及びこれらの少なくとも2つの組み合わせから成る群から選択された耐熱材料でできている請求項15に記載の気体拡散装置。
【請求項18】
前記多孔管の一側に近づくように設けられ、前記気体が前記収容空間に入るように前記気体の気流方向を調整するための気流ガイド部材をさらに含む請求項8に記載の気体拡散装置。
【請求項19】
少なくとも1つの給気モジュールであって前記緩衝気室に連通・結合され、前記給気中心軸を有し、前記給気通路を通り前記緩衝気室に入るように単一の給気方向の前記気体を供給するための少なくとも1つの給気モジュールをさらに含む請求項8に記載の気体拡散装置。
【請求項20】
ウェーハ容器の底部に少なくとも2つの結合構造が設けられ、前記各結合構造が中心軸を有する貫通通路を画定する、収容空間を備えたウェーハ容器に取り付けられる気体拡散装置であって、
気体カートリッジであって、前記ウェーハ容器の前記底部に配置されて緩衝気室を画定し、前記緩衝気室が少なくとも1つの給気通路を有し、前記給気通路、前記緩衝気室、前記貫通通路及び前記収容空間が互いに連通する気体カートリッジと、
少なくとも2つの多孔管であって、各々縦方向空間を有し、前記ウェーハ容器の対応する前記結合構造にそれぞれ取り付けられ、前記縦方向空間が前記緩衝気室と連通し、前記緩衝気室が供給する気体が少なくとも2つの多孔管を通り前記収容空間に入る少なくとも2つの多孔管と、
を含む気体拡散装置。
【請求項21】
前記少なくとも2つの結合構造は、前記ウェーハ容器の前記底部から延びることによって形成され、前記各多孔管の前記縦方向空間の開放端は中心軸を有し、前記縦方向空間は中心軸を有し、各前記貫通通路の前記中心軸と各前記多孔管の前記開放端の前記中心軸と各前記多孔管の前記縦方向空間の前記中心軸と前記気体が通過する給気中心軸とは同軸となる請求項20に記載の気体拡散装置。
【請求項22】
前記少なくとも2つの結合構造は、前記ウェーハ容器の前記底部から延びることによって形成され、各前記多孔管の開放端は中心軸を有し、各前記多孔管の前記縦方向空間は中心軸を有し、各前記貫通通路の前記中心軸と各前記多孔管の前記開放端の前記中心軸と前記気体が通過する給気中心軸とは同軸となり、各前記多孔管の前記縦方向空間の前記中心軸は前記貫通通路の前記中心軸、前記多孔管の前記開放端の前記中心軸及び前記給気中心軸からオフセットされる請求項20に記載の気体拡散装置。
【請求項23】
前記少なくとも2つの結合構造は、前記ウェーハ容器の前記底部から延びることによって形成され、各多孔管の前記縦方向空間の開放端は、中心軸を有し、各多孔管の前記縦方向空間は中心軸を有し、各貫通通路の前記中心軸と各多孔管の前記開放端の前記中心軸と各多孔管の縦方向空間の前記中心軸とは同軸となり、前記気体が通過する給気中心軸の位置は同軸上の前記貫通通路の前記中心軸、前記開放端の中心軸及び前記縦方向空間の前記中心軸からオフセットされる請求項20に記載の気体拡散装置。
【請求項24】
前記少なくとも2つの結合構造は、前記ウェーハ容器の前記底部から延びることによって形成され、各多孔管の開放端は中心軸を有し、各多孔管の前記縦方向空間は中心軸を有し、各前記貫通通路の前記中心軸と各前記多孔管の前記開放端の前記中心軸とは同軸となり、前記気体が通過する給気中心軸及び前記縦方向空間の前記中心軸はいずれも同軸上の前記貫通通路の前記中心軸及び前記開放端の前記中心軸からオフセットされる請求項20に記載の気体拡散装置。
【請求項25】
前記気体カートリッジは、底部と、前記底部から延びる側壁とを備え、前記気体カートリッジの底部に前記給気通路が形成されている請求項20に記載の気体拡散装置。
【請求項26】
前記気体カートリッジが前記ウェーハ容器の底部に取り付けられて、前記気体カートリッジの前記底部、前記側壁及び前記ウェーハ容器の底部で前記緩衝気室を画成する請求項20に記載の気体拡散装置。
【請求項27】
前記気体カートリッジの底部の下面から複数の環状側壁が延在し、各前記環状側壁は前記給気中心軸を有する給気モジュールを装填するための取付空間を画成し、前記取付空間、前記気体カートリッジの前記底部の前記給気通路は前記緩衝気室と連通して、前記給気モジュールが供給する単一の給気方向の前記気体は前記給気通路を経由して前記緩衝気室に入る請求項20に記載の気体拡散装置。
【請求項28】
前記ウェーハ容器は、前記ウェーハ容器の前記底部に取り付けられた基盤を含み、前記緩衝気室が前記ウェーハ容器の前記底部と前記基盤との間に介在する請求項20に記載の気体拡散装置。
【請求項29】
前記基盤の製造材料は、自潤滑性材料を含む請求項28に記載の気体拡散装置。
【請求項30】
底部を含み、前記底部に複数の結合構造が配置され、前記複数の結合構造が複数の貫通通路を画成するケーシングと、
前記底部の下方に形成され、複数の給気通路を備え、前記複数の給気通路が対応する貫通通路に流体的に連通される緩衝気室と、
各多孔管が前記底部の結合構造に対応して嵌められるための開放端を有し、対応する貫通通路を介して前記緩衝気室に連通して、気体が複数の多孔管を経由して前記ケーシングの収容空間に入るようにさせる複数の多孔管と
を含むウェーハ容器。
【請求項31】
前記多孔管は、閉鎖端と開放端とを有する縦方向空間を備え、前記緩衝気室内の気体が前記開放端を通り前記縦方向空間に入ることができる請求項30に記載のウェーハ容器。
【請求項32】
前記開放端と前記結合構造との間に設けられたカラーをさらに含み、前記開放端の破損を避けるため、前記カラーの材料は前記多孔管の材料よりも柔らかい請求項30に記載のウェーハ容器。
【請求項33】
底部と、前記底部から延びる側壁とを備え、前記底部に前記給気通路を形成する前記気体カートリッジをさらに含む請求項30に記載のウェーハ容器。
【請求項34】
前記気体カートリッジが前記ケーシングの前記底部に取り付けられて、前記気体カートリッジと前記ケーシングの前記底部とが前記緩衝気室を画成する請求項33に記載のウェーハ容器。
【請求項35】
前記気体カートリッジの前記底部から複数の環状側壁が延在し、各前記環状側壁は給気モジュールを装填するための取付空間を画成する請求項33に記載のウェーハ容器。
【請求項36】
前記ウェーハ容器は、前記ケーシングに取り外し可能に結合されたドアと、前記ケーシングの内側に配置された一対の支持部とをさらに含み、PEEK、HTPC、FKM、PPS、PPO、塩素化ポリエーテル、POB、TORLON、EP、PF、PEI、PI、LCP、及びこれらの少なくとも2つの組み合わせから成る群から選択された耐熱材料でできている請求項30に記載のウェーハ容器。
【請求項37】
ウェーハ容器は、前記ケーシングの下方に連結されて前記ケーシングを支えるための基盤をさらに含み、前記緩衝気室が前記ケーシングの前記底部と前記基盤との間に介在する請求項30に記載のウェーハ容器。
【請求項38】
前記基盤の製造材料は、自潤滑性材料を含む請求項37に記載のウェーハ容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体拡散装置に関し、特に、特定の気体を充填するためウェーハ容器に設置された気体拡散装置で、より具体的には、ウェーハ容器に設置された気体タワーに関する。
【背景技術】
【0002】
乾燥気体又は不活性気体は、一般的にウェーハ容器内に充填して、ウェーハ容器内の湿度を10%以下に下げさせるために用いられる。ウェーハ容器を開く際、圧力差により外気を容器内の収容空間に導入させることで、湿度が急激に上昇し、かつパーティクルが外気により運んでウェーハ表面に付着する可能性がある。したがって、容器を開けたときに外気が入らないように、乾燥気体又は不活性気体を連続的にウェーハ容器内に充填する必要がある。
【0003】
しかしながら、ウェーハ容器に設置された気体拡散器は、ウェーハ容器の内部面積に制限され、気体充填のため底部に穿設されたスルーホール位置が固定されるので、従来の気体充填技術は給気モジュールをウェーハ容器の気体充填スルーホールに取り付けられ、給気モジュールにおける、給気口から多孔管(気体タワー)を経由した排気経路が非直通方式で配置され、すなわち、給気モジュールの中心軸を多孔管の中心軸に対してオフセットし、この湾曲構造設計を介して気体充填目的を達成し、ウェーハ容器の空間に制限される問題を解決する。このようなオフセット又はずらして配置するストラテジーにより、気体は、湾曲した経路を通り給気モジュールから多孔管に入る必要があることで、気体移動過程で迂回により通流時間が長くなり、流れが悪くなり、パージ効率が低下するという問題が起きていた。また、拡散気体流量の需要の増加に伴い、多孔管の寸法を増加することは解決手段であるが、それでもウェーハ容器のスペース制限の問題に直面し、従来の多孔管(気体タワー)の構造は円管として設計されており、この円管は360度に排気でき、ウェーハ容器の空間内の乱流現象が生じ、半径方向の寸法を増加する多孔管がウェーハに干渉する可能性があった。
【0004】
この種のオフセットされた給気モジュール及び多孔管は、設置が困難であるという欠点を有し、湾曲した経路の下流端、すなわち多孔管の底部に設置された時、容易に曲げ又は破損が生じることで、気流の質に影響を及ぼしていた。従来の多孔管は、単一の材料でできており、多孔管と給気モジュールとの接続構造は、組み立て時にひび割れ又はシール不良という問題が発生しやすいことで、パーティクルがウェーハの表面に付着していた。次に、
図1に示すように、一般的にウェーハ容器(10)に一対のディフューザーアセンブリが配置され、両方にそれぞれの給気モジュール(11)と、多孔管(12)とを備え、給気モジュール(11)は逆止弁(13、check valve)を備える。気体充填パネル(14)は、ウェーハ容器(10)の底部の給気モジュール(11)に接続すると共に気体を供給することができる。逆止弁(13)の1つの性能が低下又は故障すると、2つのディフューザーアセンブリの給気する気流に差が生じることで、容器内部に入る気流が不均一になるか、総流量の不足になる。また、半導体製造工程中でウェーハが高温状態にあり、ウェーハ容器(10)に入れられることで、ウェーハ容器(10)の内部空間の温度が上昇され、さらにはウェーハ容器(10)に組み付けられた要素の性能に影響を及ぼす可能性がある。
【0005】
上記事情に着目して、当業者は、従来の非直通構造、多孔管接続部の構造が弱く、気体充填の性能が一貫しないことにより気流の質が低下するという問題を解決するため、改良した気体拡散装置を開発する必要があり、並びにウェーハ容器内部の高温による性能の低下という問題も解決が急務となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、気体拡散装置及びウェーハ容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、閉鎖端と開放端とを有する縦方向空間を備えた少なくとも1つの多孔管と、前記開放端に連結されて、前記多孔管がウェーハ容器の底部上の対応する結合構造に組み付けられることを緩衝することで、前記開放端の破損を防ぐための少なくとも1つのカラー(collar)とを含む気体拡散装置を提供することである。
【0008】
一具体的実施形態において、前記多孔管の水平断面形状は、長軸と短軸を有する楕円形又は細長い形、或いは直径を有する円形である。
【0009】
一具体的実施形態において、前記底部の結合構造は、気体が前記縦方向空間に入るのを可能にする貫通通路を画定する。
【0010】
一具体的実施形態において、前記多孔管又は前記カラーは、PEEK、HTPC、FKM、PPS、PPO、塩素化ポリエーテル、POB、TORLON、EP、PF、PEI、PI、LCP、及びこれらの少なくとも2つの組み合わせから成る群から選択された耐熱材料でできている。
【0011】
一具体的実施形態において、前記貫通通路は、前記縦方向空間内にある中心軸を有する。
【0012】
一具体的実施形態において、前記多孔管が前記ウェーハ容器に組み付けられた場合、前記多孔管の一側面がウェーハ容器内の複数のウェーハに面し、前記一側面に複数の凹溝が形成され、各凹溝の水平高さが前記ウェーハ容器内の隣り合うウェーハの間にある。
【0013】
一具体的実施形態において、前記多孔管は、取り外し可能なキャップ、タワー及び開放端から組み立てられる。
【0014】
本発明の別の目的は、ウェーハ容器の底部に少なくとも1つの結合構造が設けられ、前記結合構造が中心軸を有する貫通通路を画定する、収容空間を備えたウェーハ容器に取り付けられる気体拡散装置を提供することである。前記気体拡散装置は、緩衝気室であって前記ウェーハ容器の前記底部に配置され、前記緩衝気室が少なくとも1つの給気通路を有し、前記給気通路、前記緩衝気室、前記貫通通路及び前記収容空間が互いに連通する緩衝気室と、少なくとも1つの多孔管であって、縦方向空間を有し、前記ウェーハ容器の前記結合構造に取り付けられ、前記多孔管の前記縦方向空間が前記緩衝気室と連通し、前記緩衝気室が供給する気体が前記多孔管を通り前記収容空間に入り、前記気体の給気中心軸と前記結合構造の中心軸とが同軸となる少なくとも1つの多孔管とを含む。
【0015】
一具体的実施形態において、前記結合構造は、前記ウェーハ容器の前記底部から延びることによって形成され、前記多孔管の開放端は中心軸を有し、前記多孔管の前記縦方向空間は中心軸を有し、前記結合構造の前記中心軸と前記多孔管の前記開放端の前記中心軸と前記給気中心軸とが同軸となる。
【0016】
一具体的実施形態において、前記結合構造は、前記ウェーハ容器の前記底部から延びることによって形成され、前記多孔管の開放端は中心軸を有し、前記多孔管の前記縦方向空間は中心軸を有し、前記結合構造の前記中心軸と前記多孔管の前記開放端の前記中心軸と前記給気中心軸とが同軸となり、前記多孔管の前記縦方向空間の中心軸が前記結合構造の中心軸、前記多孔管の前記開放端の前記中心軸及び前記給気中心軸からオフセットされる。
【0017】
一具体的実施形態において、前記多孔管の前記縦方向空間は、閉鎖端と開放端とを有し、前記開放端は対応する前記結合構造に嵌められて、前記気体が前記緩衝気室を経由して前記開放端を通り前記縦方向空間に入ることを可能にする。
【0018】
一具体的実施形態において、前記多孔管の水平断面形状は、長軸と短軸を有する楕円形又は細長い形、或いは直径を有する円形である。
【0019】
一具体的実施形態において、気体拡散装置は、前記開放端に設けられ、前記開放端と前記結合構造との間に位置する第1カラーをさらに含む。
【0020】
一具体的実施形態において、気体拡散装置は、第2カラーであって前記結合構造に設けられたときに、前記第1カラーと前記結合構造との間に位置することで、気密性を高めるための第2カラーをさらに含む。
【0021】
一具体的実施形態において、前記第1カラーの材料は、開放端が破損するのを防ぐため、前記多孔管の材料よりも柔らかい。
【0022】
一具体的実施形態において、開放端が破損するのを防ぐため、前記第2カラーと多孔管とが一体に焼結または接合される。
【0023】
一具体的実施形態において、前記結合構造、前記多孔管、前記第1カラー及び/又は前記第2カラーは、PEEK、HTPC、FKM、PPS、PPO、塩素化ポリエーテル、POB、TORLON、EP、PF、PEI、PI、LCP、及びこれらの少なくとも2つの組み合わせから成る群から選択された耐熱材料でできている。
【0024】
一具体的実施形態において、気体拡散装置は、前記多孔管の一側に近づくように設けられ、前記気体が前記収容空間に入るように前記気体の気流方向を調整するための気流ガイド部材をさらに含む。
【0025】
一具体的実施形態において、気体拡散装置は、少なくとも1つの給気モジュールであって前記緩衝気室に連通・結合され、前記給気中心軸を有し、前記給気通路を通り前記緩衝気室に入るように単一の給気方向の前記気体を供給するための少なくとも1つの給気モジュールをさらに含む。
【0026】
本発明の別の目的は、ウェーハ容器の底部に少なくとも2つの結合構造が設けられ、前記各結合構造が中心軸を有する貫通通路を画定する、収容空間を備えたウェーハ容器に取り付けられる気体拡散装置を提供することである。前記気体拡散装置は、気体カートリッジであって前記ウェーハ容器の前記底部に配置されて緩衝気室を画定し、前記緩衝気室が少なくとも1つの給気通路を有し、前記給気通路、前記緩衝気室、前記貫通通路及び前記収容空間が互いに連通する気体カートリッジと、少なくとも2つの多孔管であって、各々縦方向空間を有し、前記ウェーハ容器の対応する結合構造にそれぞれ取り付けられ、前記縦方向空間が前記緩衝気室と連通し、前記緩衝気室が供給する気体が少なくとも2つの多孔管を通り前記収容空間に入る少なくとも2つの多孔管とを含む。
【0027】
一具体的実施形態において、前記少なくとも2つの結合構造は、前記ウェーハ容器の前記底部から延びることによって形成され、前記各多孔管の前記縦方向空間の開放端は中心軸を有し、前記縦方向空間は中心軸を有し、各前記貫通通路の前記中心軸と各前記多孔管の前記開放端の前記中心軸と各前記多孔管の前記縦方向空間の前記中心軸と前記気体が通過する給気中心軸とは同軸となる。
【0028】
一具体的実施形態において、前記少なくとも2つの結合構造は、前記ウェーハ容器の前記底部から延びることによって形成され、各前記多孔管の開放端は中心軸を有し、各前記多孔管の前記縦方向空間は中心軸を有し、各前記貫通通路の前記中心軸と各前記多孔管の前記開放端の前記中心軸と前記気体が通過する給気中心軸とは同軸となり、各前記多孔管の前記縦方向空間の前記中心軸は前記貫通通路の前記中心軸、前記多孔管の前記開放端の前記中心軸及び前記給気中心軸からオフセットされる。
【0029】
一具体的実施形態において、前記少なくとも2つの結合構造は、前記ウェーハ容器の前記底部から延びることによって形成され、各多孔管の前記縦方向空間の開放端は、中心軸を有し、各多孔管の前記縦方向空間は中心軸を有し、各貫通通路の前記中心軸と各多孔管の前記開放端の前記中心軸と各多孔管の縦方向空間の前記中心軸とは同軸となり、前記気体が通過する給気中心軸の位置は同軸上の前記貫通通路の前記中心軸、前記開放端の中心軸及び前記縦方向空間の前記中心軸からオフセットされる。
【0030】
一具体的実施形態において、前記少なくとも2つの結合構造は、前記ウェーハ容器の前記底部から延びることによって形成され、各多孔管の開放端は中心軸を有し、各多孔管の前記縦方向空間は中心軸を有し、各前記貫通通路の前記中心軸と各前記多孔管の前記開放端の前記中心軸とは同軸となり、前記気体が通過する給気中心軸及び前記縦方向空間の前記中心軸はいずれも同軸上の前記貫通通路の前記中心軸及び前記開放端の前記中心軸からオフセットされる。
【0031】
一具体的実施形態において、前記気体カートリッジは、底部と、前記底部から延びる側壁とを備え、前記気体カートリッジの前記底部に前記給気通路が形成されている。
【0032】
一具体的実施形態において、前記気体カートリッジは、前記ウェーハ容器の底部に設置されて、前記気体カートリッジの底部、側壁及び前記ウェーハ容器の底部で前記緩衝気室を画成させる。
【0033】
一具体的実施形態において、前記気体カートリッジの底部の下面から複数の環状側壁が延在し、各環状側壁は前記給気中心軸を有する給気モジュールを装填するための取付空間を画成し、前記取付空間、前記気体カートリッジの前記底部の前記給気通路は前記緩衝気室と連通して、前記給気モジュールが供給する単一の給気方向の前記気体は前記給気通路を経由して前記緩衝気室に入いる。
【0034】
一具体的実施形態において、前記ウェーハ容器は、前記ウェーハ容器の前記底部に取り付けられた基盤を含み、前記緩衝気室が前記ウェーハ容器の前記底部と前記基盤との間に介在する。
【0035】
一具体的実施形態において、前記基盤の製造材料は、自潤滑性材料を含む。
【0036】
本発明の更なる目的は、底部を含み、前記底部に複数の結合構造が配置され、前記複数の結合構造が複数の貫通通路を画成するケーシングと、前記底部の下方に形成され、複数の給気通路を備え、前記複数の給気通路が対応する貫通通路に流体的に連通される緩衝気室と、各多孔管が前記底部の結合構造に対応して嵌められるための開放端を有し、対応する貫通通路を介して前記緩衝気室に連通して、気体が複数の多孔管を経由して前記ケーシングの収容空間に入るようにさせる複数の多孔管とを含むウェーハ容器を提供することである。
【0037】
一具体的実施形態において、前記ウェーハ容器は、前記ケーシングに取り外し可能に結合されたドアと、前記ケーシングの内側に配置された一対の支持部とをさらに含み、PEEK、HTPC、FKM、PPS、PPO、塩素化ポリエーテル、POB、TORLON、EP、PF、PEI、PI、LCP、及びこれらの少なくとも2つの組み合わせから成る群から選択された耐熱材料でできている。
【0038】
一具体的実施形態において、ウェーハ容器は、前記ケーシングの下方に連結されて前記ケーシングを支えるための基盤をさらに含み、前記緩衝気室が前記ケーシングの前記底部と前記基盤との間に介在する。
【0039】
本発明をよりよく理解するため、以下の図面及び説明を参照することができる。以下の図面を参照しつつ、非限定的かつ非網羅的な実施形態を説明する。図面中の構成要素は必ずしも実際のサイズに描かれているわけではなく、構造及び原理の説明に焦点を合わせて描かれていることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】一対の拡散組立体を介して気体を充填する従来のウェーハ容器を示す図である。
【
図2】本発明の実施例1に係るウェーハ容器の立体分解図である。
【
図3】本発明の実施例1に係るウェーハ容器の前面図である。
【
図4】本発明の実施例1に係るウェーハ容器内部の上面図である。
【
図6】
図5の本発明の実施例1に係る気体拡散装置を示す部分的拡大図である。
【
図7】本発明の実施例2に係る気体拡散装置を示す図である。
【
図8A】多孔管の形状の異なる変形例を示す図である。
【
図8B】多孔管の形状の異なる変形例を示す図である。
【
図9A】異なる多孔管の形状と給気モジュールの関係を示す図である。
【
図9B】異なる多孔管の形状と給気モジュールの関係を示す図である。
【
図10A】多孔管(同軸)の異なる実施形態を示す図である。
【
図10B】多孔管(同軸)の異なる実施形態を示す図である。
【
図11A】多孔管(非同軸)の異なる実施形態を示す図である。
【
図11B】多孔管(非同軸)の異なる実施形態を示す図である。
【
図12A】本発明の実施例3に係る気体拡散装置を示す図である。
【
図12B】本発明の実施例3に係る気体拡散装置を示す図である。
【
図13A】多孔管及び邪魔板の変形例を示す図である。
【
図13B】多孔管及び邪魔板の変形例を示す図である。
【
図14A】多孔管及び邪魔板の別の変形例を示す図である。
【
図14B】多孔管及び邪魔板の別の変形例を示す図である。
【
図15A】多孔管及び邪魔板の他の変形例を示す図である。
【
図15B】多孔管及び邪魔板の他の変形例を示す図である。
【
図16】多孔管と邪魔板との組み合わせの変形例を示す図である。
【
図17】本発明の実施例2に係るウェーハ容器を示す図である。
【
図18】本発明の気体カートリッジの立体分解図である。
【
図19】本発明の気体カートリッジがウェーハ容器に配置された場合の断面図である。
【
図20】本発明の気体カートリッジがウェーハ容器に配置された場合の部分的拡大断面図である。
【
図21A】それぞれ多孔管と気体カートリッジとの間の配置の実施形態の概略図である。
【
図21B】それぞれ多孔管と気体カートリッジとの間の配置の実施形態の概略図である。
【
図21C】それぞれ多孔管と気体カートリッジとの間の配置の実施形態の概略図である。
【
図21D】それぞれ多孔管と気体カートリッジとの間の配置の実施形態の概略図である。
【
図22】本発明の別の実施例に係る多孔管を示す図である。
【
図24A】多孔管の溝孔の別の変形例を示す図である。
【
図24B】多孔管の溝孔の別の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下は、図面を参照しつつ本発明をより完全に説明し、かつ特定の実施形態を例示する。しかし、請求された主題は、様々な異なる形態で具体的に実施され得、したがって、カバー又は出願の請求する主題の構成は、本明細書に開示された具体的実施形態に限定されない。具体的実施形態は、単なる例示である。同様に、本発明は、出願又はカバーされる請求の主題に対して合理的に広い範囲を提供することを意図している。また、例えば請求された主題は、方法、装置又はシステムとして具体的に実施され得る。
【0042】
本明細書で使用される用語「一実施形態において」は、必ずしも同じ特定の実施形態を指すとは限らず、本明細書で使用される用語「他の(いくつか/特定)の実施形態において」は、必ずしも異なる具体的実施形態を指すとは限らない。請求される主題は、具体的実施形態の全部或いは一部の組み合わせを含むことが意図されている。
【0043】
図2から
図5を同時に参照されたい。
図2は、本発明の実施例1に係るウェーハ容器20の立体分解図である。
図3は、本発明の実施例1に係るウェーハ容器20の前面図(ドアなし)である。
図4は、本発明の実施例1に係るウェーハ容器20内部の上面図(ウェーハWを含む)である。
図5は、
図4のA-A線に沿った断面図である。ウェーハ容器20は、ケーシング21と、ドア22とを含み、ケーシング21はウェーハを収容するための収容空間を有する。ドア22は、ケーシング21の前端の開口部23に取り外し可能に結合されて、収容空間を開閉するために機能している。一対の支持部24は、それぞれケーシング21の収容空間に配置され、ケーシング21の対向する内側壁に位置し、支持部24のサイズと面積は複数のウェーハを支持及び積層するのに十分である。給気モジュール25は、ウェーハ容器20の底部に取り外し可能に組み付けられ、ウェーハ容器20の後端の近くにある。排気モジュール26は、ウェーハ容器20の底部に取り外し可能に組み付けられ、ウェーハ容器20の前端の近くにある。本実施例において、給気モジュール25及び排気モジュール26の数をそれぞれ2つとして例として取り上げ、実際の運用に応じて使用数量を調整することができる。気体タワー(gas tower)とも呼ばれる多孔管27の底端は、ウェーハ容器20の後端に取り外し可能に組み付けられ、給気モジュール25に流体的に接続されている。多孔管27の頂端は、位置決め部材(図示せず)を介してケーシング21の内側に位置決めすることができる。
図2には示されていないが、その後の
図12Aから12Bに示すように多孔管27とケーシング21の後端との間に気流ガイド部材又は邪魔板を設けることができる。ケーシング21の底部は、基盤29に取り外し可能に連結される。
【0044】
図3~
図5に示すように、多孔管27は、ウェーハ容器20の後端に位置し、ウェーハ容器20の底部201から頂部202に垂直に延び、多孔管27の延びた高さはウェーハ容器20の収容空間が収納できる最大数のウェーハWの集積高さを可能な限りカバーし、又は少なくとも、最高位置のウェーハW上面より高い。多孔管27の排気孔は、基本的にウェーハ間の高さに配置され、開口部23の方向に吹く。本発明は、直通型の構成を用いるため、ウェーハとウェーハ容器20の内壁203との間にスペースが残り、このスペースは多孔管27を収容するのに十分であるだけでなく、多孔管27が実際のニーズに応じて構造設計を調整できるため、さまざまな変形例の応用があり、次の通り詳細に説明する。
【0045】
図6は、
図5の部分的拡大図(破線枠)で、本発明の実施例1に係る気体拡散装置を示し、給気モジュール25及び多孔管27がウェーハ容器20のケーシング21に取り付けられた場合の概略図である。給気モジュール25は、弾性スリーブ251と、逆止弁252とを含む。弾性スリーブ251は、その両端を通る給気通路を有し、逆止弁252は給気通路に安定して収容される。ろ過メンブレン253は、弾性スリーブ251とケーシング21の底部201との間に配置されて、給気とろ過するために用いられる。給気圧力が大きすぎることによるろ過メンブレン253の変形又は破損が生じないように、弾性スリーブ251の底部201に近い内壁は大きな直径を有するため、給気通路とろ過メンブレン253との間に緩衝気室254が形成される。ろ過メンブレン253を通過する前に、気体は緩衝気室254内で横方向に分散されることで、ろ過メンブレン253に加えられる圧力を低減する。ケーシング21の底部201に下方に延びる少なくとも1つの環状側壁204が形成され、給気モジュール25を収容するための取付空間を画成する。弾性スリーブ251の外径は、環状側壁204の内径よりわずかに大きくてもよく、弾性スリーブ251と環状側壁204との間に密封環を設けることで、弾性スリーブ251を環状側壁204の取付空間に安定して収容させることができる。弾性スリーブ251の外側に複数のフランジが形成されるが、その他の実施例では弾性スリーブ251の外側面も平坦な面であり得る。
【0046】
基盤29は、給気モジュール25を環状側壁204の取付空間に保持することができる。基盤29がケーシング21の底部201に組み付けられた場合、基盤29の一部が弾性スリーブ251の底端に当接して、弾性スリーブ251が底部201と基盤29との間に挟持される。
図1に示す気体充填パネル14は、基盤29の下方に当接して弾性スリーブ251中の逆止弁252に流体(気体など)の圧力を加えて逆止弁252を開いて、気体が逆止弁252を経由して弾性スリーブ251の給気通路に入ることを可能にする。実施例において、基盤29は、弾性スリーブ251をロック又は解放するための操作可能なロック部材を含む。パーティクルをろ過するため、弾性スリーブ251の給気通路にろ過メンブレン253を構成することで、パーティクルがウェーハ容器20の収容空間に入るのを効果的に防ぐことができる。基盤29は通常、設備のロードポート(load port)に配置され、基本的に少なくとも2つの材料を含む複合材料である自潤滑性材料から選択されることができ、基盤29の全体又は一部の摩擦係数がロードポートの接触界面の摩擦係数より低く、ロードポートの界面上での基盤29の移動を容易にする。
【0047】
ウェーハ容器20の底部201に少なくとも1つの結合構造205が設けられる。例えば結合構造205は、ケーシング21の底部201の内側面から上方に延びることによって形成され、結合構造205の構造が柱状ノズルとして設計することができ、底部201と収容空間を貫通する貫通通路206を備える。結合構造205は、多孔管27に接続するために用いられ、多孔管27は縦方向空間272を有し、縦方向空間272が閉鎖端と開放端271とを有する。結合構造205の外径は、多孔管27の内径よりもわずかに小さいので、多孔管27の底端の開放端271が結合構造205を外嵌でき、気体が貫通通路206を経由して多孔管27の縦方向空間272に入ることができる。
【0048】
次に、本発明は直通型を使用して気体を充填することを説明する。結合構造205は、中心軸Cを有する貫通通路206を画定し、気体の給気中心軸と結合構造205の中心軸Cとが同軸となり、給気モジュール25の中心軸も前記給気中心軸と同軸となることが特筆に価すること。給気モジュール25は給気通路を経由して緩衝気室254に入る単一の給気方向の気体を供給する。
図6に示すように、気体拡散装置の実施例1において、給気通路、緩衝気室254、貫通通路206及び収容空間が互いに連通している。多孔管27は、ウェーハ容器20の結合構造205に設置されるため、多孔管27の縦方向空間272が緩衝気室254に連通され、多孔管27の開放端271は中心軸を有し、多孔管27の縦方向空間272が中心軸を有する。結合構造205の中心軸Cと多孔管27の開放端の中心軸と給気中心軸とが同軸となる場合、給気モジュール25が供給する単一の給気方向の気体は給気通路を経由して緩衝気室254に入り、次に緩衝気室254から供給される気体が多孔管27の開放端271、縦方向空間272の順を通して収容空間に入る。このような直通構成は、気流が基本的に給気モジュール25から多孔管27に直線経路で入り、最短経路によって気体を収容空間内のウェーハに直接パージすることを確保でき、パージ効率を向上するだけではなく、ドア22をケーシング21から開いた時、内部湿度が上昇するという問題を効果的に低減させる。換言すれば、本発明は、従来使用されていた湾曲構造設計により気流の流通経路が長くなり、収容空間内の気体パージ効率が低下し、湿度が上昇するなどの多くの欠点を解決することができる。
【0049】
さらに言えば、本発明は、多孔管27の開放端271に接続するための少なくとも1つのカラー273をさらに含む。カラー273は、緩衝・保護作用を有し、カラー273の材料が多孔管27の材料よりも柔らかい。多孔管27の開放端271がウェーハ容器20の底部201上の対応する結合構造205に組み付けられた時、カラー273は開放端271と結合構造205との間の応力結合による開放端271又は多孔管27全体の破損問題を避けることができる。本発明のカラー273は、独立した構成要素であり得る或いはカラー273と多孔管27とが一体に焼結、接合され得る。多孔管27、カラー273は、PEEK、HTPC、FKM、PPS、PPO、塩素化ポリエーテル、POB、TORLON、EP、PF、PEI、PI、LCP、及びこれらの少なくとも2つの組み合わせから成る群から選択された耐熱材料でできている。
【0050】
図7は、本発明の実施例2に係る気体拡散装置を示す図である。気体拡散装置の実施例2と実施例1との主な相違点:拡散気体流量の需要の増加に伴い、従来のウェーハ容器の収容空間の面積を変えることなく、本発明は、ウェーハとウェーハ容器20の内壁203との間の空間を利用して、空間利用率を最大化し、気流量を増加させることができる多孔管27’構造を設計したことである。多孔管27の寸法を増加し、増加した部分はケーシング21の内壁203に向けて延びる。気体の給気中心軸と結合構造205の中心軸Cとが同軸となる構造設計を変えない場合において、多孔管27’の寸法はケーシング21の内壁203に延びて大きくなるため、多孔管27’の開放端271の中心軸と縦方向空間272’の中心軸C’とが同軸にならないようにさせる。すなわち、多孔管27’の縦方向空間272’の中心軸C’は、結合構造205の中心軸C、多孔管27’の開放端271の中心軸及び給気中心軸からオフセットされる。
【0051】
実施例2の結合構造205の中心軸Cと多孔管27’の縦方向空間272’の中心軸C’とが同軸とならないが、結合構造205の中心軸Cと多孔管27’の開放端271’の中心軸と給気中心軸とはやはり同軸となることが理解されるべきである。給気モジュール25が供給する単一の給気方向の気体は、給気通路を経由して緩衝気室254に入り、次に緩衝気室254から供給される気体は多孔管27’の開放端271’、縦方向空間272’の順を通して収容空間に入り、気流は基本的に最短経路(直通型)によって気体を収容空間ウェーハに直接パージし、かつ多孔管27’の寸法の増加、気流量の増加により、同時もパージ効率を向上する。
【0052】
図8A及び
図8Bは、ウェーハ容器内部の部分的上面図で、多孔管827A、827Bの形状の異なる変形例を示す。ウェーハWエッジとの干渉を避けるため、多孔管827A、827Bの形状は細長い形で、長軸と短軸を有し、短軸は通常、気体拡散の主な方向で、ウェーハの中心を指すことができる。
図8Bの多孔管827Bは、長軸方向に長い延在を有し、多孔管はカバー範囲が比較的広い気体拡散を提供することを可能にする。
【0053】
図9A及び
図9Bは、上面の角度から異なる多孔管の形状と結合構造と給気モジュールの関係を示している。
【0054】
図9Aの多孔管927A、927Bと結合構造9205A、9205Bと給気モジュール925A、925Bとが同軸となる。多孔管927A、927Bの縦方向空間の水平断面形状は、短軸X及び長軸Yを有する細長い形であり、結合構造9205A、9205Bの貫通通路の水平断面が円形である。多孔管927A、927Bの縦方向空間の水平断面形状及び結合構造9205A、9205Bの貫通通路水平断面形状は、両方とも細長い形である。本実施例において、多孔管は、細長い形に限定されず、気体流通方向を変更し、収容空間内のウェーハをパージする面積を増やすため、実際のニーズに応じて形状構造の調整を行うことができ、例えば多孔管927Aの長軸Yは、多孔管927Bの長軸Y断面積より大きいため、排気面積もより大きい。
【0055】
図7及び
図9Bを参照すると、多孔管927C、927D、927Eの開放端の中心軸は結合構造9205C、9205D、9205E及び給気モジュール925C、925D、925Eからオフセットされる。多孔管927C、927D、927Eの縦方向空間の水平断面形状は、それぞれ細長い形、直径を有する円形及び楕円形であり得、結合構造9205C、9205D、9205Eの貫通通路の水平断面形状がそれぞれ細長い形及び円形であり得る。結合構造9205C、9205D、9205Eの中心軸は、均しく多孔管927C、927D、927Eの縦方向空間にある。本実施例において、収容空間内のウェーハへのパージ面積を増やすため、多孔管927C、927D、927Eの短軸X断面積を増加させ、排気面積も相対的に増加する。増加した断面積がウェーハと干渉することを避けるため、多孔管927C、927D、927Eの短軸X断面積はケーシング21の内壁203に向けて延びる。
【0056】
射出成形の制限のいくつかを考慮に入れて、
図10A及び
図10Bは、(同軸)多孔管の異なる実施形態を示す。
図10Aは、多孔管1027Aの組立及び立体分解図であり、多孔管1027Aは縦方向に延びるタワー70と、キャップ71と、開放端72とを備える。キャップ71は閉鎖端とし、開放端72とがタワー70の頂端及び底端にそれぞれ取り外し可能に連結されて、縦方向空間を画定する。
図10Aに示されている縦方向空間の面積は、開放端72の開口部空間の面積より大きい。
図10Bの多孔管1027Bのタワー70、キャップ71及び開放端72は一体的に形成されているため、縦方向空間の面積が開放端72の開口部空間の面積より大きい。この2つの多孔管1027A、1027Bは、異なる気体拡散性能、及び縦方向空間の中心軸と開放端72の中心軸とが同軸となる特性を持っている。
【0057】
図11A及び
図11Bは、(非同軸)多孔管の異なる実施形態を示す。多孔管1027C、1027Dは、縦方向空間が開放端72の中心軸からオフセットされる特性を有する。
図11Aに示すように、多孔管1027Cは、一体的に形成された部材であり得、多孔管1027Cのタワー70の縦方向空間の面積が開放端72の開口部空間より大きい。さらに
図11Bに示すように、多孔管1027Dは、取り外し可能なタワー70と、キャップ71とを有し、タワー70及び開放端72が一体的に形成され、タワー70の縦方向空間の面積が開放端72の開口部空間の面積より大きい。
【0058】
図12A及び
図12Bは、本発明の実施例3に係る気体拡散装置を示す。
図12Aの側面断面図は、多孔管27と内壁203との間に邪魔板274である気流ガイド部材を設け、邪魔板274は多孔管27の縦方向に延在し、かつ同じまたはわずかに高い高さで延在する。
図12Bは、邪魔板274の水平断面形状が多孔管27の周囲の一部を遮蔽するため、少なくとも1つの円弧によって画定されることを示している。多孔管27が放射拡散用に構成されている例では、邪魔板274が気体をガイドしてウェーハ領域に跳ね返らせ、過剰な気体がケーシング内側に不必要に流れるのを防ぐ。本発明は、邪魔板274の構造態様に限定されず、実際のニーズに応じて邪魔板274の構造角度及び形状を調整して、気流方向を制御するという所望の目的を達成することができる。
【0059】
図13A及び
図13Bは、多孔管及び邪魔板の変形例を示している。細長い形の多孔管1327Aを例にすると、邪魔板は、背板80と2つのサイドウィング81、81’で構成される。多孔管1327Aの横方向の長さdは、邪魔板の横方向の長さDより短い。サイドウィング81と背板80との間の夾角は、θ1で、サイドウィング81’と背板80との間の夾角がθ2である。
図13Aは、2つのサイドウィング81、81’の夾角θ1、θ2及び形状が同じであるため、制御された気流方向も同じであることを示している。
図13Bは、2つのサイドウィング81、81’の形状は同じでるが、夾角θ1、θ2が異なるため、制御された気流方向が異なり、夾角θ2の気流拡散方向が夾角θ1より大きい。サイドウィングの夾角及び形状は、気体拡散性能を決定できることが理解されよう。
【0060】
図14A及び
図14Bは、多孔管及び邪魔板の別の変形例を示している。楕円形の多孔管1327Bを例にとると、邪魔板は、円弧状の背板83である。多孔管1327Bの横方向の長さdは、邪魔板の横方向の長さDより短い。円弧状の背板83の頂点から両側端までで夾角θを画定できる。夾角θと両側端の延在長さD)と異なる場合、制御された気流方向も異なる。
図14Aは、円弧状の背板83の両側夾角θ及び円弧状が同じである、すなわち、制御された気流方向が同じであることを示している。
図14Bは、両側の延在長さD及び夾角θ1、θ2が異なるため、制御された気流方向も異なり、夾角θ1の気流拡散方向が夾角θ2より大きいことを示している。
【0061】
図15A及び
図15Bは、多孔管及び邪魔板の他の変形例を示している。円形の多孔管1327Cを例にとると、邪魔板は、円弧状の背板84である。多孔管1327Cの横方向の長さdは、邪魔板の横方向の長さDより短い。円弧状の背板84の頂点から両側端までで夾角θを画定できる。
図15Aは、円弧状の背板84の両側夾角θ及び円弧状が同じである、すなわち、制御された気流方向が同じであることを示している。
図15Bは、両側の延在長さD及び夾角θ1、θ2が異なるため、制御された気流方向も異なり、夾角θ2の気流拡散方向が夾角θ1より大きいことを示している。
【0062】
上記の変形例から分かるように、邪魔板は、多孔管に対して対称的又は非対称的に配置することができる。非対称配置では、前記夾角θによって非対称性の程度を決定することができ、或いは邪魔板と多孔管をずらすことによって実現することができる。夾角θは、0~90度の範囲であるが、本発明はこれに限定されない。多孔管を組み合わせ邪魔板の応用は、気流方向を制御するという所望の目的を達成する以外に、従来の円管構造の360度の排気によるウェーハ容器20の内部空間に生じる乱流現象も解決する。
【0063】
図16は、円形の多孔管、楕円形の多孔管及び細長い形の多孔管と邪魔板との組み合わせの変形例を示している。これらの邪魔板は、これらの多孔管の外面にマッチできるように形作られ、邪魔板をこれらの多孔管の外面に貼着してシームレスな結合を形成することができる。多孔管が放射拡散の例において、拡散孔の一部は邪魔板で遮蔽されて気体が未遮蔽部分から拡散されなければならないことで、各方向の流量を増加する。その他の実施例において、多孔管も同じ目的を達成するため部分拡散孔を備えて形成され得る。
【0064】
図17は、本発明の実施例2に係るウェーハ容器20’を示す。実施例2は、ウェーハ容器20の実施例1と同じ符号を付け、説明も同じため、ここで同じ説明を省略し、相違点のみを説明する。実施例2におけるウェーハ容器20’は、ケーシング21の底部に取り外し可能に連結された気体カートリッジ90を含み、気体カートリッジ90には気体がウェーハ容器20’の内部空間に入る前に気体緩衝余裕及び気体拡散共通流通空間の効果を有する少なくとも2つの給気通路を設けることができ、これについては後で詳しく説明する。基盤29がケーシング21の底部201に組み付けられた時、気体カートリッジ90はケーシング21の底部201と基盤29との間に介在される。実際、
図5に示すようにケーシング21の底部201に傾斜度があり、底部201は、前端から後端に向けて徐々に上昇している。したがって、基盤29の後端及びケーシング21の底部201後端との間に気体カートリッジ90を配置するための十分なスペースがあるが、本発明はこれに限定されない。
【0065】
図18及び
図19を同時に参照すると、
図18は、ウェーハ容器20’の底部201に配置された気体カートリッジ90の立体分解図である。
図19は、本発明の気体カートリッジ90がウェーハ容器20’に配置された場合の断面図である。気体カートリッジ90は、底部91、底部91から延びる側壁92、及びケーシング21の底部201から構成される。底部91及び側壁92は、基本的に気体カートリッジ90の細長い筐体を形成する。ケーシング21の底部201外側面に底部91と側壁92とから成る細長い筐体を収容するための細長い凹溝93が形成される。細長い凹溝93と細長い筐体との間で緩衝気室97を画成する。同時に
図20を参照すると、本発明の気体カートリッジ90がウェーハ容器20’に配置された場合の部分的拡大断面図である。ケーシング21の底部201の内側面に結合構造205及び貫通通路206が形成され、結合構造205は、細長い凹溝93の対向する側面に位置する。細長い凹溝93は、各結合構造205の貫通通路206を介してウェーハ容器20’の収容空間に連通される。細長い凹溝93には収容された細長い筐体を位置決めするための1つ又は複数の位置決め機構94を設けることができる。細長い密封環95は、環状密封機能を達成するように、側壁92と細長い凹溝93との間の接触界面に設けられる。
【0066】
気体カートリッジ90の底部91の下面から複数の環状側壁96が延びられ、従来のウェーハ容器20’及び組み合わせて使用するロードポート(load port)上のノズルの数と位置を変更せずに、本実施において一対の環状側壁96を例として取り上げる。各環状側壁96は、給気モジュール25を装填するための取付空間を画成し、取付空間は給気モジュール25の構造態様に合わせるため、円筒形空間であり得る。気体カートリッジ90の底部91に給気通路98が形成され、給気通路98は取付空間に連通する。
【0067】
給気モジュール25は、弾性スリーブ251と、逆止弁252と、ろ過メンブレン253と、密封環255とを含む。給気モジュール25と環状側壁96との間に密封環255を設けることで、密封を形成して気体カートリッジ90から気体漏れを防止する。また、気体カートリッジ90の細長い筐体は、既知の連結手段によりケーシング21の底部201に固定され得、例えばねじ込み結合(screwing connection)又はいかなる形の連結手段は本発明の特許保護範囲に属する。
【0068】
上記から分かるように、細長い凹溝93と細長い筐体との間で緩衝気室97を画成し、緩衝気室97は細長い空間を有するため、範囲が気体カートリッジ90の底部91に形成された2つの給気通路98をカバーし、2つの給気通路の共通緩衝空間として機能する。本実施例は、2つの給気通路に対応する数の2つの結合構造205、2つの多孔管27が配置される例として説明し、当然数の設計は実際の応用ニーズに応じて調整することができ、本発明は数・配置の実施態様に限定されない。緩衝気室97の給気通路98は、給気モジュール25の気体通路に流体的に連通し、各結合構造205が中心軸を有し、多孔管27と流体的に連通する貫通通路206を画定し、貫通通路206は気体が多孔管27の縦方向空間に入ることを可能にし、気体が最終的に縦方向空間から収容空間にパージされる。
【0069】
前段落の説明に続いて、給気モジュール25が供給する単一の給気方向の気体は、給気通路98を経由して緩衝気室97に入り、緩衝気室97が2つの給気モジュール25の気体圧のバランスをとることができる。換言すれば、2つの給気モジュール25の給気圧が異なる場合、気体は、緩衝気室97の細長い空間で拡散して気体圧のバランスをとることができる。したがって、緩衝気室97から供給される気体圧のバランスをとった気体は各結合構造205の貫通通路206から多孔管27を通りウェーハ容器20’の収容空間に入り、この時多孔管27の気体拡散性能が一貫する。同時に本発明は、従来技術のディフューザーアセンブリが給気気流の差により容器内部に入る気流の不均一又は総流量の不足などの多くの問題も解決する。
【0070】
本発明の構造設計の利点をさらに説明する。多孔管27の開放端である底端は、第2カラーであるカラー273を介して結合構造205を外嵌することができる。また、第1カラーである別のカラー275を多孔管27の開放端に設けることもできる。カラー273、275の材料は、多孔管27の材料よりも柔らかく、ダブルカラー273、275の保護要素により、多孔管27が外嵌の時、応力が大きすぎることによる開放端の破損を避けるだけではなく、多孔管27と結合構造205との間の気密効果をさらに向上することができる。カラー275は、組立式以外に、開放端保護の目的を達成するため、焼結又は接合手段で多孔管27の開放端に付着することもできる。上記の給気モジュール25、結合構造205、多孔管27、カラー273、275、気体カートリッジ90及び/又はウェーハ容器20’に含まれるその他の部材は、1つ或いは複数の耐熱材料の組み合わせでできている。好ましくは、耐熱材料はPEEK、HTPC、FKM、PPS、PPO、塩素化ポリエーテル、POB、TORLON、EP、PF、PEI、PI、LCP、及びこれらの少なくとも2つの組み合わせから成る群から選択される。
【0071】
ウェーハ容器20’の実施例2で各種変化例をさらに説明する。同時に
図18及び
図21A~
図21Dを参照すると、それぞれ多孔管と気体カートリッジとの間の配置の実施例概略図である。
図21Aは、給気方向が同じ中心軸Cであることを示している。結合構造205は、ウェーハ容器20’の底部201から延びることによって形成される。多孔管27の縦方向空間272の開放端271は、中心軸を有し、縦方向空間272が中心軸を有する。貫通通路206の中心軸と多孔管27の開放端271の中心軸と多孔管27の縦方向空間272の中心軸と給気モジュール25の給気中心軸とが同軸となり、中心軸Cで表される。気体の給気方向は、同じ中心軸Cの直通(すなわち、最短経路)で多孔管27の縦方向空間272に入り、ウェーハ容器20’の収容空間にパージされる。
【0072】
図21Bは、給気方向が同じ中心軸ではないことを示している。気体カートリッジ90の底部91に形成された2つの給気通路98は、2つの給気通路の共通緩衝空間として機能するため、給気方向が同じ中心軸でなくても、給気方向の直通技術的特徴に属し、気体移動過程中で迂回により通流時間が長くなり、流れが悪くなるという問題が発生しない。貫通通路206の中心軸と多孔管27の開放端271の中心軸と多孔管27の縦方向空間272の中心軸とが同軸となり、中心軸C’で表される。給気モジュール25の給気中心軸は、中心軸Cで表される。中心軸Cを通過する気体の位置は、中心軸C’からオフセットされる。オフセット配置ではあるが、気体は給気モジュール25から多孔管27の縦方向空間272に直線的には入らないが、気体が多孔管27に入る前に、先に緩衝気室97内ですでに拡散して、比較的安定した気体圧を形成し、これにより、各多孔管27の気体拡散性能が一貫するよう確保する。
【0073】
さらに別の実施形態では、
図21Cに示されるように、給気方向は同じ中心軸ではない。拡散気体流量の需要の増加に伴い、気体流量を増加させるための多孔管27が設計され、多孔管27の寸法を増加し、増加した部分がケーシング21の内壁203に向けて延びる。給気モジュール25の給気中心軸は、中心軸Cで表される。貫通通路206の中心軸と多孔管27の開放端271の中心軸とが同軸となり、中心軸C’で表される。多孔管27の縦方向空間272の中心軸は、中心軸C”で表される。気体カートリッジ90の底部91に形成された2つの給気通路98が2つの給気通路の共通緩衝空間として機能することにより、中心軸C、中心軸C’及び中心軸C”は全てオフセットされたとしても、気体移動経路が増えるだけでなく、気体流量が増えてパージを実施する効果をさらに向上することができる。
【0074】
さらに別の実施形態では、
図21Dに示されるように、給気方向は同じ中心軸ではなく、多孔管27の寸法を増加し、増加した部分がケーシング21の内壁203に向けて延びる。貫通通路206の中心軸と多孔管27の開放端271の中心軸とが同軸となり、中心軸Cで表される。多孔管27の縦方向空間272の中心軸は、中心軸C”で表され、中心軸Cを通過する気体の位置は、中心軸C”からオフセットされる。オフセット配置ではあるが、気体は多孔管27の縦方向空間272に入る前に、先に緩衝気室97内ですでに拡散して、比較的安定した気体圧を形成し、これは各多孔管27の気体拡散性能に一貫性があることを確保するだけではなく、気体流量を増加させることで、多孔管27がウェーハ容器20’の収容空間にパージする効率を向上することができる。
【0075】
図22は、本発明の更なる実施形態に係る多孔管2227及び長軸方向Yに平行な縦方向の断面形状を示している。多孔管2227の開放端は、カラー275に取り外し可能に連結されて、カラー275を開放端の内側に付着させる。図内の縦方向断面に示すように、開放端の内側にカラー275と結合するめの肩部60を有する。カラー275の硬度は、開放端の構造を保護するため、多孔管2227の硬度より低くてもよい。カラー275は、開放端に入りやすいため、テーパー(tapered)を有し得る。代替的にカラー275は、熱焼結などの特定の手段を介して開放端の内側に付着されることができる。これにより、補強された開放端は、結合構造205を外嵌して開放端の破損を防止できる。
【0076】
図23A及び
図23Bは、多孔管の拡散孔(溝孔)の変形例を示している。
図23Aは、多孔管の縦方向空間が円形の水平断面形状を有することを示している。溝孔2300は、内から外への発散スペースである。
図23Bは、溝孔2300の外側にテーパー状空間を有し、かつ溝孔2300が隣り合う上下ウェーハW間に配置され、拡散気流(矢印で示されている)をウェーハ間にスムーズに流れさせることを示している。
【0077】
図24A及び
図24Bは、多孔管の拡散孔(溝孔)の別の変形例を示している。
図24Aは、多孔管の縦方向空間が細長い水平断面形状を有することを示している。溝孔2400は、内から外への発散スペースである。
図24Bは、溝孔2400の外側に曲面によって形成された凹状空間を有し、かつ溝孔2400が隣り合う上下ウェーハW間に配置され、拡散気流(矢印で示されている)をウェーハ間にスムーズに流れさせることを示している。
【0078】
上記をまとめると、本発明は、従来のウェーハのロード過程で製造工程による高温で、ウェーハ容器の内部空間を昇温させて、ウェーハ容器全体及び全ての部品の性能に影響することを解決するため、使用するウェーハ容器及び全ての部品の材料は、耐熱材料であり、すなわち、本発明に開示される全ての要素は、特許保護の範囲に属する。
【0079】
上述の詳細な説明は、本発明の実施可能な実施例を具体的に説明してものであるが、特許請求の範囲から逸脱することなく特定の変更と修正を行うことができるのは、当業者には明らかである。したがって、上記実施例は限定ではなく例示のみを目的としており、かつ本発明は本明細書に記載の詳細に限定されないが、添付する特許請求の範囲における記載の範囲内及び均等物で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0080】
100 ウェーハ容器
11 給気モジュール
12 多孔管
13 逆止弁
14 気体充填パネル
20、20’ ウェーハ容器
201 底部
202 頂部
203 内壁
204 環状側壁
205 結合構造
206 貫通通路
21 ケーシング
22 ドア
23 開口部
24 支持部
25 給気モジュール
251 弾性スリーブ
252 逆止弁
253 ろ過メンブレン
254 緩衝気室
255 密封環
26 排気モジュール
27、27’ 多孔管
271、271’ 開放端
272、272’ 縦方向空間
273 カラー
274 邪魔板
275 カラー
29 基盤
60 肩部
70 タワー
71 キャップ
72 開放端
80 背板
81、81’ サイドウィング
83 円弧状の背板
84 円弧状の背板
90 気体カートリッジ
91 底部
92 側壁
93 細長い凹溝
94 位置決め機構
95 密封環
96 環状側壁
97 緩衝気室
98 給気通路
827A、827B 多孔管
925A~925E 給気モジュール
927A~927E 多孔管
9205A~9205E 結合構造
1027A~1027D 多孔管
1327A~1327C 多孔管
2227 多孔管
2300 溝孔
2400 溝孔
C、C’、C” 中心軸
d、D 横方向の長さ
W ウェーハ
X 短軸
Y 長軸
θ、θ1、θ2 夾角