(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023027800
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】チップ乾燥サイロ
(51)【国際特許分類】
F26B 21/00 20060101AFI20230224BHJP
F26B 9/06 20060101ALI20230224BHJP
F26B 17/20 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
F26B21/00 A
F26B9/06 H
F26B17/20 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021133067
(22)【出願日】2021-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】596049658
【氏名又は名称】青木 加奈子
(74)【代理人】
【識別番号】100110537
【弁理士】
【氏名又は名称】熊谷 繁
(72)【発明者】
【氏名】青木 加奈子
【テーマコード(参考)】
3L113
【Fターム(参考)】
3L113AA07
3L113AA08
3L113AB02
3L113AC08
3L113AC40
3L113AC44
3L113AC51
3L113AC65
3L113AC67
3L113AC74
3L113AC79
3L113BA05
3L113CA02
3L113CB05
3L113CB22
3L113DA13
(57)【要約】
【課題】本発明は、サイロの貯留槽の排出口に多孔板で形成した排出通路を設け、該排出通路を囲む外側の加熱室から排出通路に加熱空気を供給してチップを乾燥させることができるチップ乾燥サイロを提供する。
【解決手段】ウッドチップ等を貯留する横長矩形の貯留槽1と、該貯留槽1の下端部に接続された加熱室2と、該加熱室2内に延出され、前記貯留槽1の排出口に接続される多孔板3で形成された排出通路4と、該排出通路4の下端部に前記排出通路4の出口を塞ぐように設けた一対の回転翼5と、該回転翼5の下部にウッドチップ等を受け取るように配置されたスクリューコンベア6と、から構成される。貯留槽1の天井に設けた吸引ダクト11及び吸引送風機12により貯留槽1内の空気を吸引すると、加熱室2の加熱空気が排出通路4の多孔板3から貯留槽1内に吸引される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウッドチップ等を貯留し、天井に吸引ダクト及び吸引送風機を有する横長矩形の貯留槽と、該貯留槽の下端部に接続された加熱室と、該加熱室内に延出され、前記貯留槽の排出口に接続される多孔板で形成された排出通路と、該排出通路の下端部に前記排出通路の出口を塞ぐように設けた一対の回転翼と、該回転翼の下部にウッドチップ等を受け取るように配置されたスクリューコンベアと、から構成されることを特徴とするチップ乾燥サイロ。
【請求項2】
前記加熱室は、前記貯留槽と略同構造に形成されると共に、前記排出通路を両側から囲むように加熱室が配置され、前記排出通路の外側には排出通路と平行にヒーター等からなる加熱装置が設けられ、前記加熱装置の加熱により加熱室内が加熱されると共に、多孔板自体も加熱され、前記排気通路を貯留槽、吸引ダクト及び吸引送風機に連通することにより前記排気通路の両側から加熱空気が吸引されることを特徴とする請求項1記載のチップ乾燥サイロ。
【請求項3】
前記加熱室は、前記加熱室を排出通路を境に手前側を前室として加熱装置を設け、奥側を後室として温度センサーを設けた空間に形成して、前記後室を吸引ダクト及び吸引送風機に連通することにより前室から後室へ前記排気通路を横断して加熱空気が吸引されることを特徴とする請求項1記載のチップ乾燥サイロ。
【請求項4】
ウッドチップ等を貯留する横長矩形の貯留槽と、該貯留槽の下端部を複数個に分岐させて接続された加熱室と、該加熱室内に延出され、前記貯留槽の排出口に接続される多孔板で形成された排出通路と、前記加熱室を前記貯留槽の分岐部分の排出通路を境に外側を温風供給室として設けた前室と、内側を温風吸引室として設けた後室と、前記温風供給室及び温風吸引室の空間に設けた温度センサーと、前記排出通路の下端部に前記排出通路の出口を塞ぐように設けた一対の回転翼と、該回転翼の下部にウッドチップ等を受け取るように配置されたスクリューコンベアと、から構成されることを特徴とするチップ乾燥サイロ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイロの排出口に多孔板で形成した排出通路を設け、該排出通路を囲む外側の加熱室から加熱空気を供給してチップを乾燥させることができるチップ乾燥サイロに関する。
【背景技術】
【0002】
ウッドチップ等の原料を大型サイロ等から供給機に移行する段階において、貯留槽内に熱風を供給することによりウッドチップ等の含水率を低減し得る供給機における乾燥装置が知られている(特許文献1を参照)。
この公知技術は、貯留槽の中間部よりも下側に熱風導入管を接続し、前記貯留槽の中間部よりも上側に熱風吸引管を接続し、前記貯留槽内に導入された熱風が貯留槽内を上方に移行し、上方に移行した熱風が熱風吸引管により排出されるよう構成した供給機における乾燥装置である。
【0003】
また、ナイロン、ポリカーボネート等の吸水性の高い粒状樹脂や、炭酸飲料用PETボトルの原料となるポリエステルチップ等の乾燥サイロが知られている(特許文献2を参照)。
この公知技術は、ブロワから吹出される空気を、ヒーターで加熱して熱風として容器内に吹込むようになっており、容器内に吹込まれる熱風は、パンチングプレート、焼結金網等からなる多孔板の多数の孔から吹出され、容器内を下から上へ流れるようになっている乾燥サイロである。
【0004】
しかし、これらの公知技術は、チップや粒体の乾燥に熱風を利用する技術で共通するが、1つの大型サイロに原料を投入しているため、大容量のチップや粒体を乾燥させるための大容量の熱風を必要とし、しかも段階的に乾燥度合いを調節しながら取り出しすることができなかった。
本発明は、この欠点を改良し、少量の加熱空気で、しかも左右の温度差により含水率を知り、温度差によって段階的に乾燥度合いを調節しながら少量ずつ取り出すことができるチップ乾燥サイロである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-198434号公報
【特許文献2】特開平7-332851号公報(
図20を参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、サイロの貯留槽の排出口に多孔板で形成した排出通路を設け、該排出通路を囲む外側の加熱室から排出通路に加熱空気を供給して左右の温度差により含水率を知り、温度差によってチップを乾燥させることができるチップ乾燥サイロを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のチップ乾燥サイロは、ウッドチップ等を貯留し、天井に吸引ダクト及び吸引送風機を有する横長矩形の貯留槽と、該貯留槽の下端部に接続された加熱室と、該加熱室内に延出され、前記貯留槽の排出口に接続される多孔板で形成された排出通路と、該排出通路の下端部に前記排出通路の出口を塞ぐように設けた一対の回転翼と、該回転翼の下部にウッドチップ等を受け取るように配置されたスクリューコンベアと、から構成される。
【0008】
前記加熱室は、前記貯留槽と略同構造に形成されると共に、前記排出通路を両側から囲むように加熱室が配置され、前記排出通路の外側には排出通路と平行にヒーター等からなる加熱装置が設けられ、前記加熱装置の加熱により加熱室内が加熱されると共に、多孔板自体も加熱され、前記排気通路を貯留槽、吸引ダクト及び吸引送風機に連通する。
【0009】
前記加熱室は、加熱室を排出通路を境に手前側を前室として加熱装置を設け、奥側を後室として温度センサーを設けた空間に形成して、前記後室を貯留槽、吸引ダクト及び吸引送風機に連通する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のチップ乾燥サイロは、加熱室が、前記貯留槽と略同構造に形成されると共に、前記排出通路を両側から囲むように加熱室が配置されて、前記排出通路の外側には排出通路と平行にヒーター等からなる加熱装置が設けられるので、前記加熱装置の加熱により加熱室内が加熱されると共に、多孔板自体も加熱されて、前記貯留槽の天井に設けた吸引ダクト及び吸引送風機により多孔板の小孔から加熱空気が吸引されて、前記排出通路内のウッドチップを乾燥させることができる。
【0011】
本発明のチップ乾燥サイロは、加熱室を排出通路を境に手前側を前室として加熱装置を設け、奥側を後室として温度センサーを設けた空間に形成して、前記後室を吸引ダクト及び吸引送風機に連通することにより、加熱空気が排出通路を横断してウッドチップを乾燥させることができ、また温度センサーの左右の温度差により含水率を知り、乾燥度合いを測定して回転翼を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明のチップ乾燥サイロの第一実施例の概略正面図である。
【
図2】本発明のチップ乾燥サイロの第一実施例の概略左側面図である。
【
図3】本発明のチップ乾燥サイロの第一実施例の概略右側面図である。
【
図4】本発明のチップ乾燥サイロの第二実施例の概略左側面図である。
【
図5】本発明のチップ乾燥サイロを利用したバイオマス発電用循環型チップ乾燥装置の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のチップ乾燥サイロの第一実施例を添付図面に基づいて、以下に説明する。
図1の概略正面図、
図2の概略左側面図、
図3の概略右側面図に示すように、本発明のチップ乾燥サイロは、ウッドチップ等を貯留する横長矩形の貯留槽1と、該貯留槽1の下端部に接続された加熱室2と、該加熱室2内に延出され、前記貯留槽1の排出口に接続される多孔板3で形成された排出通路4と、該排出通路4の下端部に前記排出通路4の出口を塞ぐように設けた一対の回転翼5と、該回転翼5の下部にウッドチップ等を受け取るように配置されたスクリューコンベア6と、から構成される。
【0014】
前記貯留槽1は、
図2及び
図3に示すように、横長矩形の機枠7の上部に固定され、前記機枠7の下部には加熱室2が固定される。前記貯留槽1は、本体下部の排出口へ向かうほど狭く形成され、該排出口には排出通路4が接続されると共に、上部の天井には開閉蓋8が設けられ、前記機枠7に設けた吊り支柱9の吊りワイヤー10によって前記開閉蓋8が開閉される。また、前記開閉蓋8の近傍には吸引ダクト11及び吸引送風機12が設けられ、前記貯留槽1内の加熱空気を排気するようになっている。
【0015】
前記加熱室2は、前記貯留槽1と略同構造に形成されると共に、前記排出通路4を両側から囲むように加熱室2が配置される。そして、
図2や
図3に示すように、前記排出通路4の外側には排出通路4と平行にヒーター等からなる加熱装置13が設けられる。前記加熱装置13の加熱により加熱室2内が加熱されると共に、多孔板3自体も加熱される。そして、前記貯留槽1の天井に設けた吸引ダクト11及び吸引送風機12により多孔板3の小孔から加熱空気が吸引されて、前記排出通路4内のウッドチップを乾燥させる。
【0016】
前記排出通路4は、パンチングプレート、焼結金網等からなる多孔板3から前記貯留槽1の排出口と同様に適宜寸法の横長矩形に形成される。前記排出通路4の両側の多孔板3の多数の孔からは加熱空気が吸込まれると共に、加熱された多孔板3によりウッドチップが直接加熱される。前記排気通路4を貯留槽1、吸引ダクト11及び吸引送風機12に連通することにより、加熱空気が吸引される。
【0017】
前記回転翼5は、前記排出通路4の出口を塞ぐように翼本体の先端部同士を重ねるように対向して一対設け、
図3に示すように、モーター14の駆動回転をチェーンベルト15を介して回転翼5に伝えて一方を回転駆動し、他方を自由回転とし、一方の回転駆動により移行するチップの移動圧力により他方を自由回転させる。こうすることにより、チップの乾燥度合いを見ながら段階的に少量ずつ取り出しすることができる。
【0018】
前記スクリューコンベア6は、
図3に示すように、モーター16の駆動回転をチェーンベルト17を介して回転駆動され、前記回転翼5により取り出されたチップを貯留槽1外へ搬送するためのものであり、
図1に示すように、ほぼ前記排出通路4全体に亘って機枠7に沿って設けられる。
【0019】
次に、本発明のチップ乾燥サイロの第一実施例の操作動作を添付図面に基づいて、以下に説明する。
図1に示すように、貯留槽1の天井にある開閉蓋8を機枠7に固定された吊り支柱9から吊るされた吊りワイヤー10を引き上げて開閉蓋8を開放して解放部からウッドチップを投入する。投入されたウッドチップは、貯留槽1に堆積され、排出口下部の回転翼5により堰き止められて排出通路4内に充填される。
【0020】
一方、加熱室2内の加熱装置13が加熱され、加熱室2内全体が加熱空気で充満すると、貯留槽1の天井に設けた吸引ダクト11及び吸引送風機12により貯留槽1内の空気を吸引すると、加熱室2の加熱空気が排出通路4の多孔板3の多数の孔から貯留槽1内に吸引される。前記排出通路4の両側から加熱空気が吸引されるため、前記排出通路4内のウッドチップはほぼ均一に乾燥される。乾燥されたウッドチップは、左右の温度差により含水率を知り、一対の回転翼5の回転により少量ずつ下方に送られ、連続的にスクリューコンベア6へ排出される。
【0021】
本発明のチップ乾燥サイロの第二実施例を添付図面に基づいて、以下に説明する。
本発明のチップ乾燥サイロの貯留槽1を大型化して前記貯留槽1下部を分岐させて排出通路4を複数個、本実施例では2個設けて、更に籾殻燃料サイロの籾殻温風ヒーター等からの排熱温風を利用するように構成する。
すなわち、前記加熱室2を前記貯留槽1の分岐部分の排出通路4を境に外側を前室18として温風供給室を設け、内側を後室19として温風吸引室を設け、それぞれに温度センサー20を設けた空間に形成する。そして、前記後室19を吸引ダクト11及び吸引送風機12に連通する。
こうすることにより、籾殻温風ヒーター等からの排熱温風が前室18から後室19へ排出通路4を横断してウッドチップを乾燥させることができ、また温度センサー20の温度変化により乾燥度合いを測定して回転翼5を制御することができる。図示していないが、さらに前記吸引送風機12から前記貯留槽1内へ排熱温風を送り、前記貯留槽1内のウッドチップを予備乾燥させることができる。
【0022】
本発明のチップ乾燥サイロを利用したバイオマス発電用循環型チップ乾燥装置の例を添付図面に基づいて、以下に説明する。
図5の概略説明図に示すように、バイオマス発電用循環型チップ乾燥装置は、籾殻燃料サイロ、籾殻温風ヒーター、温風式乾燥サイロ、燃料サイロ、APL発電機からなる一連のフロー構成である。
前記籾殻燃料サイロからスクリューコンベアにより籾殻を籾殻温風ヒーターに供給し、籾殻を燃料にして籾殻温風ヒーターを燃焼させる。前記籾殻温風ヒーターをボックス状に囲い込み、温風ファンにより送風し前記籾殻温風ヒーターを熱源として温風ダクトを介して温風を温風式乾燥サイロへ送風する。
【0023】
前記温風式乾燥サイロが本発明のチップ乾燥サイロに相当し、加熱室の前室に温風を送り、加熱室の後室で吸引することによりチップを乾燥させる。この実施例では、循環式チップ乾燥機であってチップの乾燥が不十分であればスクリューコンベアから取り出したチップを回転ファンにより循環ダクトを介して貯留槽へ戻す。乾燥が完全であれば、切替ダンパーを切り替えて燃料サイロへ乾燥チップ搬送ダクトを介して乾燥チップを送る。
前記燃料サイロでは、燃料投入口を開けて、手元スイッチを押すと、スクリューコンベアとベルトコンベアが働き、燃料チップが移送されて、APL発電機に燃料チップが投入される。前記APL発電機は、米国APL社のバイオマス発電機である。
【符号の説明】
【0024】
1 貯留槽
2 加熱室
3 多孔板
4 排出通路
5 回転翼
6 スクリューコンベア
7 機枠
8 開閉蓋
9 吊り支柱
10 吊りワイヤー
11 吸引ダクト
12 吸引送風機
13 加熱装置
14 モーター
15 チェーンベルト
16 モーター
17 チェーンベルト
18 前室
19 後室
20 温度センサー