(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023027824
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】折畳み扉の回転シール体の取付け構造
(51)【国際特許分類】
E06B 7/18 20060101AFI20230224BHJP
E06B 3/48 20060101ALI20230224BHJP
E05D 15/26 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
E06B7/18 A
E06B3/48
E05D15/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021133121
(22)【出願日】2021-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】000220929
【氏名又は名称】株式会社TOKO
(74)【代理人】
【識別番号】100087169
【弁理士】
【氏名又は名称】平崎 彦治
(72)【発明者】
【氏名】野口 友宏
(72)【発明者】
【氏名】浅井 佑介
【テーマコード(参考)】
2E015
2E034
2E036
【Fターム(参考)】
2E015AA01
2E015BA05
2E015DA05
2E034JA01
2E034KA01
2E036AA01
2E036BA01
2E036DA02
2E036EB07
2E036FA10
2E036FB02
2E036HB31
(57)【要約】
【課題】 回転シール体を備えた枠体に折畳み扉であって、回転シール体が簡単に取外しされて盗難に遇うことが出来ないようにした取付け構造の提供。
【解決手段】 上記回転シール体1が回転可能に軸支される軸2は、両側に互い対を成す面8a、8bを形成し、軸受け部3は概略C形断面として下側に開口9を設け、該開口9が軸2を通過することで、回転シール体1は着脱出来るが、向きが変わることで軸2から外れないようにしている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体に折畳み扉を装着し、下桟の上面をフラットにすると共に収容溝を連続して長手方向に設け、該収容溝には回転可能に取付けた回転シール体を収容し、ロックする為のロッドが降下することで上記回転シール体が下桟に設けた軸に軸支されて回転し、起立して上記折畳み扉の表面に当接してシールすることが出来るようにした折畳み扉装置であって、上記軸は両側に互いに対を成す面を設け、軸受け部は概略C形断面をなして下側には開口を設け、該開口を軸が通過することで、回転シール体を軸に取付け・取り外すことが出来るようにしたことを特徴とする回転シール体の取付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折畳み扉が装着される枠体を構成する下桟上面をフラット面で形成した折畳み扉装置であって、下桟と折畳み扉との隙間をシールする回転シール体の取付け構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
間口を開閉する装置として複数枚の扉を連結して構成した折畳み扉が多用されている。ところで、折畳み扉の継手部の中で、折畳み操作の際にレールから張り出さない継手部上端には吊車が取付けられて上桟のレールに吊設され、下端にはスライダーが突出して下桟に設けているガイド溝に沿って移動することが出来る。そして、伸長して閉じた場合にはロック棒が突出してガイド溝へ嵌入し、折畳み扉が開かないようにロックされる。
【0003】
折畳み扉が装着される枠体の上下桟にはシール材を沿設したシール体が設けられ、閉じた折畳み扉の内面が該シール体に当接することが出来、シール材を介して気密性及び水密性が確保される構造と成っている。
その為に、下桟の上面はフラットでなく、内側(室内側)には上記シールが設けられて折畳み扉が当接することが出来るように成っている。これは、折畳み扉と下桟との気密性、水密性を保つ為に必要な形態として従来から採用されて来ている。
【0004】
ところで、近年ではバリアフリーと称されて床面に段差を設けることなく、車椅子が自由に動き易いようなフラット床面が普及している。例えば、部屋の床面とベランダ面とを同一であれば、車椅子が自由にベランダへ移動することが出来る。しかし、フラットな下桟にすればシール体が無くなってしまい、その結果、外から雨水が侵入すると共に外気との気密性が損なわれてしまうといった問題が生じる。
【0005】
そこで、フラットな床面であってもシールを取付けることが出来るように、回転シール体とし、折畳み扉が折畳まれた状態では回転シール体は倒れてフラットな床面なる。しかし、折畳み扉が伸長して間口が閉じられ、ロックするならば回転シール体は回転して起立し、折畳み扉の内面に当接することでシールされ、気密性及び水密性が確保されるように成っている。
【0006】
特開2006-37424号(特許第4264652号)に係る「折畳み扉装置」は、枠体に装着された折畳み扉が伸長して間口を閉じた場合に、フラットな上面を形成した下桟との間をシールすることが出来る折畳み扉装置である。
そこで、下桟の上面をフラットにすると共に溝空間を連続して長手方向に設け、該溝空間には回転可能に取付けた回転シール体を収容し、そして折畳み扉に取付けたロック棒を降下した際にロック棒の降下と連動して上記回転シール体が回転・起立して折畳み扉の下框に当接することが出来る。
【0007】
図3は回転シール体(イ)を下桟(ロ)に取付けている場合を示している。下桟(ロ)には軸(ハ)が設けられ、該軸(ハ)に回転シール体(イ)が軸支されている。同図はロック装置のロッド(ニ)が降下することで回転シール体(イ)が回転して起立している状態であり、縁に取付けたシール(ホ)は折畳み扉(ヘ)の内面に当接している。
【0008】
回転シール体(イ)は押え片(ト)を有し、折畳み扉(ヘ)が折畳まれて間口が開いている場合には嵌入溝(チ)を閉じるように水平になっている。しかし、折畳み扉(ヘ)が伸長して間口が閉じられ、上記ロッド(ニ)が降下するならば、押え片(ト)は同図に示すように押圧されて倒され、回転シール体(イ)は起立する。
したがって、上記回転シール体(イ)を介して、折畳み扉(ヘ)の気密性及び水密性は確保される。
【0009】
ところで、回転シール体(イ)は下桟に設けた軸(ハ)に嵌って取付けられている。
図4は回転シール体(イ)が軸(ハ)に取付けられている場合を示す断面図であり、回転シール体(イ)の軸受け部(リ)は半円弧(C形断面)をなし、該軸受け部(リ)は起立する支柱(ヌ)の上端に設けている軸(ハ)に嵌って支持されている。
【0010】
同図は回転シール体(イ)が倒れている状態であるが、ロッド(ニ)が降下するならば軸受け部(リ)はスムーズに回転して起立することが出来る。
ところで、折畳み扉(ヘ)が折畳まれて間口が開いている状態では、回転シール体(イ)は
図4に示すように倒れていて、回転シール体(イ)を持ち上げるならば、軸受け部(リ)は軸(ハ)から簡単に外れてしまう。
【0011】
その為に、回転シール体(イ)が盗難に遇う場合もあり、また、子供たちが回転シール体(イ)を下桟(ロ)から取外して遊び道具として使用するならば破損し、また事故につながる危険性がある。
勿論、C形をした軸受け部(リ)の断面を変形し、下側に形成している開口を小さくするならば、軸(ハ)から外れることはない。しかし、下側の開口を小さくすると、該軸(ハ)に軸受け部(リ)を上方から嵌めることが出来ない。
【特許文献1】特開2006-37424号に係る「折畳み扉装置」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このように、折畳み扉装置に備わっている回転シール体には上記のような問題が存在している。
本発明が解決しようとする課題はこの問題点であり、軸に嵌って回転可能に支持されている回転シール体を、不特定多数の人が簡単に取り外すことが出来ないようにした回転シール体の取付け構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の折畳み扉装置は、下桟に設けた軸に回転シール体を取付け、該回転シール体が回転して起立することでシールすることが出来るように構成している。したがって、基本的な構造は前記特開2006-37424号に係る「折畳み扉装置」と同じである。
ところで、軸は円形断面ではなく、両側には平坦面を形成し、軸受け部はC形断面をなして下側に開口を有している。従って、軸の両側に形成した平坦面は所定の距離Aを有し、C形断面の両先端は所定の間隔Bの開口を有している。
【0014】
そして、A<Bとし、回転シール体は所定の角度においてのみ軸受け部は軸に嵌り、また軸から取り外される。従って、回転シール体が回転するならば、軸受け部の開口の向きは変わり、その為に軸の両側に形成している両平坦面の位置から位置ズレする。
平坦面は必ずしも垂直に起立する面に限るものではなく、互いに対を成す面であればよい。また、平坦な面に限定するものでもない。
【発明の効果】
【0015】
本発明は下桟に軸を有し、該軸に回転シール体が軸支されて回転することで起立し、縁に取付けたシールは折畳み扉の表面に当接することが出来る。上記軸は両側に互いに平行な平坦面を有し、軸受け部はC形断面を有して下側に開口を設けている。したがって、回転シール体は、C形断面の軸受け部が開口から軸が嵌入して軸支され、そのままの向きで持ち上げるならば軸から外される。
【0016】
しかし、回転シール体が僅か回転して向きが変わるならば、開口は軸を通過することはなく、該回転シール体は持ち上がられても下桟から外れない。
不慣れな人が回転シール体を所定の向きで正しく持ち上げることは出来ず、その為に回転シール体が盗難に遇うことはない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る回転シール体の取付け構造を示す実施例。
【
図2】(a)は回転シール体の軸受け部に形成した開口が軸を通過して外れる場合、(b)は回転シール体が僅かに回転することで、開口が軸を通過することが出来ない場合。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は本発明に係る回転シール体の取付け構造を示す具体例であり、断面図を表している。同図において、1は回転シール体、2は軸、3は軸受け部を表し、該軸受け部3は軸2に嵌り、その為に回転シール体1は軸2を中心として回転し、起立することが出来る。
回転シール体1はアルミ製の押し出し材であって、一方側縁にはシール4が取付けられ、他方側縁にはシール5が取付けられている。
【0019】
そして、軸受け部3には上記シール4とは反対側に押え片6が延び、折畳み扉に設けているロック(図示なし)が降下するならば、押え片6は押し下げられ、回転シール体1は反時計方向に回転して起立することが出来る。同図の回転シール体1は倒れている状態であって、回転シール体1が起立するならば、一方側縁のシール4は折畳み扉の表面に当接し、折畳み扉との隙間を無くし、気密性及び水密性が確保される。
【0020】
ところで、回転シール体1を支える軸2は支柱7の上端に設けられ、下桟に沿って長手方向に延び、その両側には互いに平行を成す平坦面8a、8bを形成している。そして、軸受け部3は概略C形断面を有して下側には開口9を設け、該開口9から上記軸2が軸受け部3に嵌っている。
回転シール体1は、同図に示すような倒れた向きにおいて、開口9を軸2が通過して軸受け部3は軸2に嵌ることが出来る。同じく、同じ向きにある回転シール体1は軸2から取り外すことが出来る。
【0021】
図2(a)は回転シール体1が軸2から取り外される場合を表している。軸受け部3に設けている開口9が軸2を通過し、回転シール体1は該軸2から外される。開口9は軸2の両側に設けている平坦面8a、8bを通過することが出来る。すなわち、開口9の幅寸法は軸2の両平坦面8a、8b間距離より大きくなっている。
(b)は回転シール体1を軸2から取り外すことが出来ない場合であり、開口9は軸2を通過することが出来ない。
【0022】
すなわち、回転シール体1が反時計方向に僅かに回転してその向きが変わるならば、C形断面の軸受け部3の先端10が軸2に係止する。先端10は平坦面8aから外れて軸2の下面11に係止し、開口9は軸2を通過することが出来ない。
回転シール体1を軸2から取り外す際には、その向きが変わらないように持ち上げることが必要であり、例えば、シール4の側ではなく、押え片6を摘まんで持ち上げることが出来る。
【0023】
倒れた状態にある回転シール体1を下桟から外すには、シール4を摘まんで持ち上げる方が便利であるが、シール4の側を摘まむならば回転シール体1は反時計方向に回転して向きが変わり、軸2から外すことは出来ない。
本発明は、回転シール体1が所定の向きにある場合のみ、C形断面の軸受け部3に形成している開口9が軸2を通過することが出来るようにしている。
【符号の説明】
【0024】
1 回転シール体
2 軸
3 軸受け部
4 シール
5 シール
6 押え片
7 支柱
8 平坦面
9 開口
10 先端
11 下面