(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023027843
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】除湿機
(51)【国際特許分類】
B01D 53/26 20060101AFI20230224BHJP
D06F 58/38 20200101ALI20230224BHJP
F24F 1/0358 20190101ALI20230224BHJP
F24F 11/61 20180101ALI20230224BHJP
F24F 11/70 20180101ALI20230224BHJP
F24F 110/10 20180101ALN20230224BHJP
F24F 110/20 20180101ALN20230224BHJP
【FI】
B01D53/26 100
D06F58/38
F24F1/0358
F24F11/61
F24F11/70
F24F110:10
F24F110:20
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021133157
(22)【出願日】2021-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】大田 清佳
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 裕香
【テーマコード(参考)】
3B167
3L260
4D052
【Fターム(参考)】
3B167AB22
3B167AB23
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(57)【要約】
【課題】適切な長さでの衣類乾燥運転が実施可能な除湿機を提供する。
【解決手段】制御部55は、衣類乾燥運転の実施時に湿度センサ60での検知湿度Hが60%以下になるまでの時間をカウントし、カウントした時間が3時間以上であれば、60%以下になるまでの間に検知した温度センサ59の検知値での所定の計算式で算出された値、及びカウントした時間に基づき、第1のアフターラン時間を算出し、カウントした時間が3時間未満であれば、湿度センサ60での検知値が50%以下になるまでの時間をカウントし、湿度センサ60での検知値が50%以下になるまでの間に検知した温度センサ59の検知値での所定の計算式で算出された値、及びカウントした時間に基づき、第2のアフターラン時間を算出し、第1のアフターラン時間、又は第2のアフターラン時間が経過したと判断したら、衣類乾燥運転を停止する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内へ吸い込んだ空気を吹出口から吹き出させる送風ファンと、
前記筐体内に収容され、前記筐体に吸い込まれた空気を除湿する除湿手段と、
前記筐体内に収容され、前記筐体に吸い込まれた空気を加熱する加熱ヒータと、
前記筐体に吸い込まれる空気の温度を検知する温度センサと、
前記筐体に吸い込まれる空気の湿度を検知する湿度センサと、
前記除湿手段、前記送風ファン、及び前記加熱ヒータを駆動させ衣類を乾燥させる衣類乾燥運転を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記衣類乾燥運転の実施時に前記湿度センサでの検知値が第1の所定湿度以下になるまでの時間をカウントし、
前記カウントした時間が所定時間以上であれば、前記第1の所定湿度以下になるまでの間に検知した前記温度センサの検知値での所定の計算式で算出された値、及び前記カウントした時間に基づき、第1のアフターラン時間を算出し、
前記カウントした時間が前記所定時間未満であれば、前記湿度センサでの検知値が前記第1の所定湿度よりも低い第2の所定湿度以下になるまでの時間をカウントし、前記第2の所定湿度以下になるまでの間に検知した前記温度センサの検知値での前記所定の計算式で算出された値、及び前記カウントした時間に基づき、第2のアフターラン時間を算出し、
前記第1のアフターラン時間、又は前記第2のアフターラン時間が経過したと判断したら、前記衣類乾燥運転を停止することを特徴とした除湿機。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2の所定湿度以下になるまでにカウントした時間が所定の最小時間未満であると判断したら、前記所定の最小時間以上をカウントするまで運転を継続した後、前記所定の最小時間になるまでの間に検知した前記温度センサの検知値での前記所定の計算式で算出された値、及び前記カウントした所定の最小時間に基づき、第3のアフターラン時間を算出し、前記第3のアフターラン時間が経過したと判断したら、前記衣類乾燥運転を停止することを特徴とした請求項1記載の除湿機。
【請求項3】
前記制御部は、所定の最大時間をカウントするまでの間に前記湿度センサでの検知値が前記第1の所定湿度以下にならなかったら、前記所定の最大時間になるまでの間に検知した前記温度センサの検知値での前記所定の計算式で算出された値、及び前記カウントした所定の最大時間に基づき、第4のアフターラン時間を算出し、前記第4のアフターラン時間が経過したと判断したら、前記衣類乾燥運転を停止することを特徴とした請求項1又は2記載の除湿機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、衣類乾燥機能を有した除湿機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものでは、空気を吹き出す送風ファンと、筐体内へ吸い込まれた空気を除湿する除湿手段と、送風する空気を加熱する加熱ヒータと、を備え、衣類を乾燥させる衣類乾燥運転の開始後、予め設定された所定湿度に達するまでの時間と、所定湿度に達するまでの時間における温度センサでの検知値とでの所定の計算式で算出された値に基づき、所定湿度に達した後のアフターラン時間を算出し、アフターラン時間が経過したら自動停止する除湿機があった。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この従来のものでは、衣類乾燥運転時において所定湿度に達するまでの時間が短いと、室内の湿度が十分に低下しないことで湿気が衣類に戻る湿気戻りが発生し、衣類乾燥運転の終了後に衣類の乾燥不足が発生する虞があり、また、所定湿度に達するまでの時間が長いと、長時間の送風により過乾燥で衣類が傷み、衣類乾燥運転の終了後における衣類の仕上がり状態が悪くなる虞があることから、改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、筐体と、
前記筐体内へ吸い込んだ空気を吹出口から吹き出させる送風ファンと、
前記筐体内に収容され、前記筐体に吸い込まれた空気を除湿する除湿手段と、
前記筐体内に収容され、前記筐体に吸い込まれた空気を加熱する加熱ヒータと、
前記筐体に吸い込まれる空気の温度を検知する温度センサと、
前記筐体に吸い込まれる空気の湿度を検知する湿度センサと、
前記除湿手段、前記送風ファン、及び前記加熱ヒータを駆動させ衣類を乾燥させる衣類乾燥運転を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記衣類乾燥運転の実施時に前記湿度センサでの検知値が第1の所定湿度以下になるまでの時間をカウントし、
前記カウントした時間が所定時間以上であれば、前記第1の所定湿度以下になるまでの間に検知した前記温度センサの検知値での所定の計算式で算出された値、及び前記カウントした時間に基づき、第1のアフターラン時間を算出し、
前記カウントした時間が前記所定時間未満であれば、前記湿度センサでの検知値が前記第1の所定湿度よりも低い第2の所定湿度以下になるまでの時間をカウントし、前記第2の所定湿度以下になるまでの間に検知した前記温度センサの検知値での前記所定の計算式で算出された値、及び前記カウントした時間に基づき、第2のアフターラン時間を算出し、
前記第1のアフターラン時間、又は前記第2のアフターラン時間が経過したと判断したら、前記衣類乾燥運転を停止することを特徴とした。
【0006】
また、請求項2では、前記制御部は、前記第2の所定湿度以下になるまでにカウントした時間が所定の最小時間未満であると判断したら、前記所定の最小時間以上をカウントするまで運転を継続した後、前記所定の最小時間になるまでの間に検知した前記温度センサの検知値での前記所定の計算式で算出された値、及び前記カウントした所定の最小時間に基づき、第3のアフターラン時間を算出し、前記第3のアフターラン時間が経過したと判断したら、前記衣類乾燥運転を停止することを特徴とした。
【0007】
また、請求項3では、前記制御部は、所定の最大時間をカウントするまでの間に前記湿度センサでの検知値が前記第1の所定湿度以下にならなかったら、前記所定の最大時間になるまでの間に検知した前記温度センサの検知値での前記所定の計算式で算出された値、及び前記カウントした所定の最大時間に基づき、第4のアフターラン時間を算出し、前記第4のアフターラン時間が経過したと判断したら、前記衣類乾燥運転を停止することを特徴とした。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、衣類乾燥運転終了後における衣類の乾燥不足、及び過乾燥による衣類の傷みが発生することでの仕上がりの悪化を阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】除湿機の前枠及び後枠を外した状態の右側面図。
【
図5】除湿機の機能構成を示す概略的な機能ブロック図。
【
図6】本実施形態における衣類乾燥運転の制御内容を説明するフローチャート。
【
図7】同実施形態におけるアフターラン時間を算出するための要素を説明する図。
【
図8】同実施形態における衣類乾燥運転時の時間経過による湿度変化を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る空気調和機の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。本実施形態においては、本発明の空気調和機を、蒸気圧縮式冷凍サイクルを利用し空気中に含まれる水分を結露させて除湿する除湿機1に適用して説明する。
【0011】
図1は、本実施形態における除湿機1の外観斜視図である。
【0012】
図2は、除湿機1の前枠11及び後枠12を外した状態の右側面図である。
【0013】
【0014】
【0015】
図5は、除湿機1の機能構成を示す概略的な機能ブロック図である。
【0016】
以下の説明においては、各図面に示される前後上下左右の定義に従って説明する。なお、鉛直方向は上下方向であり、水平方向は前後左右方向を含む面方向に含まれる方向である。
【0017】
除湿機1は、除湿機1の外観をなす筐体10を有する。筐体10は、前枠11と、後枠12と、後枠化粧板13と、上面板14と、ベース15と、を有する。
【0018】
前枠11及び後枠12は、互いに組み合わされ、除湿機1の前後方向に面する筐体10をなす。
【0019】
後枠12は、吸込口21と、タンク挿入口22と、注水口23と、レバー支持口24と、を有する。吸込口21は、複数のスリット26を有し、外表面にフィルタ27及びフィルタケース28を有する。フィルタ27は、樹脂製の網や不織布などからなり、吸入空気に混入する埃やにおい成分などを取り除く。フィルタケース28は、フィルタ27を吸込口21に固定する。タンク挿入口22は、吸込口21の下方に配置され、ここからドレンタンク51が挿入及び取り出される。注水口23及びレバー支持口24は、吸込口21の上方に配置される。後枠化粧板13は、後枠12の上方に取り付けられることで後枠12の視認させたくない部分を覆う目隠しとなる。
【0020】
上面板14は、組み合わされた前枠11及び後枠12の上方に配置され、上方に面する筐体10をなす。上面板14は、吹出口31と、操作部32と、LED表示部33と、を有する。吹出口31は、上面板14の上方を向く面に配置される。吹出口31は、乾燥空気の吹出方向を斜め上方から水平方向に制御可能なルーバユニット35を有する。ルーバユニット35は、ルーバ36と、ルーバ36を駆動するルーバモータ37と、を有する。
【0021】
操作部32及びLED表示部33は、上面から前方に斜め下方に傾斜する面に配置される。操作部32は、例えば、運転スイッチ、タイマースイッチ、運転モード選択スイッチなどを実現するタッチパネルである。LED表示部33は、除湿機1の運転状態などをLED(Light Emitting Diode)の点灯状態で表示する。
【0022】
ベース15は、組み合わされた前枠11及び後枠12の下方に配置され、除湿機1の土台となる。
【0023】
除湿機1は、筐体10に収容される主な内部部品として、ファンケース41と、シロッコファン42と、送風モータ43と、加熱ヒータ44と、圧縮機45と、熱交換器46と、ドレンパン49と、ドレンタンク51と、制御部55と、を有する。
【0024】
ファンケース41は、ベース15上に配置され、主に送風ファンとしてのシロッコファン42、送風モータ43、及びドレンタンク51を支持したり位置決めしたりする。
【0025】
送風ファンとしてのシロッコファン42は、送風モータ43の回転により回転し、吸込口21から空気を吸い込み、吹出口31から吹き出す空気の流れを形成する。シロッコファン42及び送風モータ43は、回転軸が前後方向に沿うようにファンケース41に取り付けられている。送風モータ43は、複数段階の回転数が設定可能であり、運転モードや室内の温湿度に応じて所定の回転数に設定され、シロッコファン42を回転させる。
【0026】
加熱ヒータ44は、熱交換器46と吹出口31との間にある送風経路に設置されており、通電されることでヒータが駆動し、送風経路を通過する空気の温度を上昇させる。特に、除湿機1の吹出口31の上方に洗濯後の衣類を干して乾燥させる衣類乾燥運転時において加熱ヒータ44が駆動することで、高温の温風が吹出口31から吹出され早期に衣類を乾燥させることができるため、衣類乾燥運転の効率を上げることができる。
【0027】
圧縮機45は、ベース15上に固定されており、配管45a及び減圧装置45bを介して熱交換器46に接続される。
【0028】
熱交換器46は、吸込口21から吸い込まれた空気と熱交換を行う。熱交換器46は、吸込口21に近い位置に配置される除湿手段としての蒸発器46aと、蒸発器46aよりも前方に配置される凝縮器46bと、を有する。蒸発器46a及び凝縮器46bは、U字状の冷媒管47にフィン48が取り付けられた、フィンチューブ型の熱交換器である。冷媒管47は、
図2に示すように、水平方向(左右方向)に延びる複数の直線部47aと、上下方向に曲り2本の直線部47aをつなげる曲げ部47bと、を有し、この直線部47aと曲げ部47bとが冷媒管47の長さ方向に渡って連続して現われる。
【0029】
圧縮機45、配管45a、減圧装置45b及び熱交換器46は、冷媒が流れる冷凍サイクルを形成する。冷凍サイクルは、冷媒が流れる順に、圧縮機45、凝縮器46b、減圧装置45b、蒸発器46aを有する。冷媒は、蒸発器46aを流れる際に、蒸発器46aを通過する空気から熱を奪い蒸発する。また、冷媒は、凝縮器46bを流れる際に、凝縮器46bを通過する空気を再加熱し凝縮する。これにより、吸込口21から吸い込まれた空気は、フィルタ27で埃やにおい成分などが取り除かれた後、蒸発器46aで冷却、除湿され、次いで凝縮器46bで加熱されて、低湿度の空気として吹出口31から排出される。
【0030】
ドレンパン49は、ファンケース41のシロッコファン42が配置される側と前後方向における反対側で、熱交換器46を下方で支持し、固定する。ドレンパン49は、熱交換器46の下方に位置する冷媒管47及びフィン48と掛かり合うことで、熱交換器46を前後及び左右方向に支持する。ドレンパン49は、排水口を有し、蒸発器46aで発生し落下するドレン水及び蒸発器46aを洗浄した洗浄水を受け、この排水口から排出する。
【0031】
ドレンタンク51は、ドレンパン49の排水口から排出されるドレン水を貯留する。ドレンタンク51は、タンク挿入口22から前後方向にスライドされることにより、筐体10に対して着脱される。筐体10内に挿入されたドレンタンク51は、ファンケース41により形成されたタンク室41bに配置される。
【0032】
ドレンタンク51は、タンク蓋54と、浮き収容部52と、を有する。タンク蓋54は、ドレンパン49の排水口からのドレン水などをドレンタンク51内に落下させる。浮き収容部52は、ドレンタンク51内の水位を検出するための、例えばマグネットを有する浮き53を収容する。水位に応じたマグネットの磁界は、制御部55などに実装されたAMRセンサ(Anisotropic-Magneto-Resistance、異方性磁気抵抗センサ)62により検出され、ドレンタンク51の満水をユーザに通知する。
【0033】
制御部55は、ケース56に支持されてファンケース41の左方に配置される。制御部55は、操作部32からの指示や予め記憶されたプログラムに基づいてルーバモータ37、送風モータ43や加熱ヒータ44、圧縮機45、LED表示部33などの各部を電気的に制御することにより、除湿機1の動作を統括的に制御する。
図4に示すように、制御部55は、記憶部57及びタイマ58を有する。記憶部57は、各部の動作プログラムなどを記憶する。タイマ58は、除湿機1のタイマ運転などのための計時を行う。
【0034】
制御部55は、温度センサ59及び湿度センサ60を有する。温度センサ59及び湿度センサ60は、除湿機1本体の所定位置に設けられ、除湿機1の周囲温度及び湿度を検知する。制御部55は、温度や湿度を必要に応じて使用し各部を制御する。報知部61は、制御部55の指示に基づいてユーザに状況を知らせるためのアラーム音を出力する。
【0035】
次に、除湿機1における衣類乾燥運転について、
図6のフローチャートに基づいて説明する。
【0036】
制御部55は、操作部32にある図示しない衣類乾燥運転の開始スイッチが押圧され衣類乾燥運転の開始指示があったと判断したら、送風モータ43、圧縮機45、及び加熱ヒータ44を駆動させ、シロッコファン42の送風により筐体10内に吸い込まれる空気を蒸発器46aで除湿し、除湿した後の空気を加熱ヒータ44で加熱して吹出口31から吹出し衣類に当てることで、衣類を乾燥させる衣類乾燥運転を開始する。制御部55は、衣類乾燥運転の開始時から経過した時間tをタイマ58でカウントし、所定の時間間隔で検知した温度センサ59、及び湿度センサ60での検知値を記憶部57で記憶する(ステップS101)。
【0037】
制御部55は、前記ステップS101の処理を完了したら、湿度センサ60で検知された湿度Hが第1の所定湿度である60%以下か判断し(ステップS102)、検知された湿度Hが60%以下であれば、タイマ58でカウントした時間tが所定時間である3時間以上か判断し(ステップS103)、タイマ58でのカウントした時間tが3時間以上だと判断したら、後述する所定の計算式により第1のアフターラン時間を算出する(ステップS104)。制御部55は、前記ステップS102で湿度センサ60で検知された湿度Hが60%を超えていると判断したら、前記ステップS102の判断を繰り返す。
【0038】
制御部55は、前記ステップS103でタイマ58でのカウント時間tが3時間未満であると判断したら、湿度センサ60で検知された湿度Hが第2の所定湿度である50%以下か判断し(ステップS105)、検知された湿度が50%以下だと判断したら、後述する所定の計算式により第2のアフターラン時間を算出する(ステップS106)。制御部55は、前記ステップS105で湿度センサ60で検知された湿度Hが50%を超えていると判断したら、前記ステップS105の判断を繰り返す。
【0039】
制御部55は、前記ステップS104、又は前記ステップS106により第1、2のアフターラン時間を算出したら、算出した第1、2のアフターラン時間が経過したか判断し(ステップS107)、第1、2のアフターラン時間が経過したと判断したら、送風モータ43、加熱ヒータ44、及び圧縮機45の駆動を停止させ、衣類乾燥運転を停止する。制御部55は、前記ステップS107で第1、2のアフターラン時間が経過していないと判断したら、前記ステップS107の判断を繰り返す。
【0040】
ここで、第1、2のアフターラン時間を算出するための所定の計算式について、
図7を参照して説明する。
【0041】
制御部55は、前記ステップS104、又は前記ステップS106に至る時間内で、記憶部57で記憶した所定の時間間隔(例えば、10分間隔)における温度センサ59で検知された室温検知値Tを予め設定された各室温範囲のいずれかに当てはめた後、各室温範囲の発生数K1からK4を算出する。制御部55は、算出した発生数K1からK4と、各室温範囲で予め設定された除湿量係数とに基づき、以下記載の式(1)によりK値を算出する。
(1)K=(K1×0.5+K2×0.7+K3×0.9+K4×1)÷(K1+K2+K3+K4)
【0042】
制御部55は、前記式によりK値を算出したら、タイマ58でカウントした時間tをK値に乗ずる以下記載の式(2)によりアフターラン時間ARtを算出する。
(2)ARt=t×K
【0043】
例えば、第1のアフターラン時間を算出する場合、前記ステップS104に至る時点におけるタイマ58でカウントした時間が200分であり、200分内における10分間隔での室温検知値Tを各室温範囲に当てはめて算出した発生数K1からK4が、それぞれK1=2、K2=10、K3=6、K4=2のとき、制御部55は、上記式(1)によりK値を求め、式(2)により第1のアフターラン時間が154分であると算出する。
【0044】
また、第2のアフターラン時間を算出する場合、前記ステップS106に至る時点におけるタイマ58でカウントした時間が90分であり、90分内における10分間隔での室温検知値Tを各室温範囲に当てはめて算出した発生数K1からK4が、それぞれK1=1、K2=5、K3=3、K4=0のとき、制御部55は、上記式(1)によりK値を求め、式(2)により第2のアフターラン時間が67分であると算出する。
【0045】
以上のように、K値を求める式(1)と、タイマ58でカウントした時間tをK値に乗ずる式(2)とを所定の計算式とすることで、第1、2のアフターラン時間を算出することができる。
【0046】
次に、衣類乾燥運転の実施時における時間経過による湿度Hの変化と衣類の乾燥具合について、
図8に基づき説明する。
【0047】
衣類乾燥運転を開始すると、衣類に送風されることで衣類に含まれる湿気が部屋内に拡散し、湿度センサ60で検知される湿度Hが一時的に上昇する。その後、蒸発器46aにより除湿されることで徐々に室内の湿度が低下し、湿度センサ60で検知される湿度Hが低下する。湿度が低下する方向の傾きは、部屋の大きさ、乾燥させる衣類の種類等によって変化する。除湿機1が設置された部屋が大きいほど湿度低下は緩やかで、乾燥対象の衣類が厚手であれば湿度低下は緩やかになる傾向がある。
【0048】
除湿機1を比較的大きな部屋に設置した、又は/及び厚手の衣類を乾燥対象とした場合における、時間経過に伴う湿度センサ60で検知される湿度Hの変化を
図8(a)で示す。この場合、除湿機1が設置された部屋の湿度Hが下がりにくいことから、湿度センサ60が第1の所定湿度である60%以下を検知するまで3時間以上が経過する。衣類乾燥運転開始から3時間以上経過した後、湿度センサ60で60%以下を検知したら所定の計算式(1)、(2)により第1のアフターラン時間を算出し、衣類乾燥運転を継続する。衣類乾燥運転の開始から約6時間経過したタイミングで第1のアフターラン時間の終了時間となり、衣類乾燥運転が停止される。
【0049】
よって、衣類が乾きにくい環境で衣類乾燥運転が実施される場合、衣類乾燥運転を十分な時間継続して実施することで、除湿機1が設置された部屋の湿度を低下させることができるため、湿気戻りによる衣類の乾燥不足を防ぐことができる。
【0050】
また、除湿機1を比較的小さな部屋に設置した、又は/及び薄手の衣類を乾燥対象とした場合における、時間経過に伴う湿度センサ60で検知される湿度Hの変化を
図8(b)で示す。この場合、除湿機1が設置された部屋の湿度Hが下がりやすいことから、湿度センサ60が第1の所定湿度である60%以下を検知するまで約30分程度であり、1時間を少し超えた時点で湿度センサ60が第2の所定湿度である50%以下を検知する。衣類乾燥運転の開始から1時間を少し超えた時点で、湿度センサ60が50%以下を検知したら所定の計算式により第2のアフターラン時間を算出し、衣類乾燥運転を継続する。衣類乾燥運転の開始から約2時間30分を経過したタイミングで第2のアフターラン時間の終了時間となり、衣類乾燥運転が停止される。
【0051】
よって、衣類が乾きやすい環境で衣類乾燥運転が実施される場合、衣類乾燥運転が短時間で完了することで、衣類を確実に乾燥させると共に、長時間の送風での過乾燥による衣類の傷みの発生により、衣類乾燥完了時の仕上がり状態が悪くなることが防止できる。
【0052】
なお、本実施形態では、前記ステップS105で湿度センサ60で検知された湿度Hが50%以下であれば、前記ステップS106に遷移し所定の計算式により第2のアフターラン時間を算出しているが、これに限られない。
制御部55は、前記ステップS105で湿度センサ60での検知湿度Hが50%以下になったときにおける、タイマ58でカウントした衣類乾燥運転開始から経過した時間が所定の最小時間である60分未満であると判断したら、タイマ58で60分以上をカウントするまで衣類乾燥運転を継続し、60分以上をカウントしたら、温度センサ59での室温検知値Tと、カウントした60分とに基づき、所定の計算式である式(1)、(2)から第3のアフターラン時間を算出する。制御部55は、第3のアフターラン時間が経過したと判断したら、衣類乾燥運転を終了する。
【0053】
除湿機1が設置された部屋の湿度が低く、更に薄手の衣類が乾燥対象であった場合、衣類乾燥運転の開始後、衣類乾燥運転開始から短時間で湿度センサ60での検知湿度Hが50%以下になることがある。この場合、アフターラン時間を含めても衣類乾燥運転が短時間しか継続されず、衣類の乾燥不足発生が懸念される。衣類乾燥運転の開始から湿度センサ60で検知される湿度Hが50%以下になるまでの時間が所定の最小時間である60分未満だった場合、60分以上をカウントするまで衣類乾燥運転を継続することで、アフターラン時間を含めた衣類乾燥時間が短時間で終了することを阻止し、衣類の乾燥不足が発生することが防止できる。
【0054】
また、本実施形態では、前記ステップS102で湿度センサ60で検知される湿度Hが60%を超えていれば、前記ステップS102の判断を繰り返すが、これに限られない。
制御部55は、前記ステップS102で湿度センサ60での検知湿度Hが60%を超えたと判断したときにおける、タイマ58でカウントした衣類乾燥運転開始から経過した時間が所定の最大時間である10時間以上であると判断したら、カウントした10時間における温度センサ59の室温検知値Tと、カウントした10時間とに基づき、所定の計算式である式(1)、(2)から第4のアフターラン時間を算出する。制御部55は、第4のアフターラン時間が経過したと判断したら、衣類乾燥運転を終了する。
【0055】
除湿機1が設置された部屋の湿度が高く、更に厚手の衣類が乾燥対象であった場合、衣類乾燥運転を長時間実施し続けても、湿度センサ60での検知値が60%以下にならないことがある。この場合、アフターラン時間を含めた衣類乾燥運転時間が長時間となり、衣類乾燥運転終了後の衣類が過乾燥により仕上がり状態が悪くなる。衣類乾燥運転の開始から10時間以上経過しても湿度センサ60で検知される湿度Hが60%以下にならなかった場合、10時間をカウントした時点でアフターラン時間を算出することで、長時間に渡り衣類乾燥運転が実施されることを阻止し、乾燥対象の衣類が過乾燥により仕上がり状態が悪くなることを防止する。
【0056】
次に、本発明の効果を説明する。
【0057】
制御部55は、タイマ58で衣類乾燥運転の実施時に湿度センサ60での検知湿度Hが60%以下になるまでの時間をカウントし、タイマ58でカウントした時間が3時間以上であれば、60%以下になるまでの間に検知した温度センサ59の検知値での所定の計算式で算出された値、及びタイマ58でカウントした時間に基づき、第1のアフターラン時間を算出し、タイマ58でカウントした時間が3時間未満であれば、湿度センサ60での検知値が50%以下になるまでの時間をタイマ58でカウントし、湿度センサ60での検知値が50%以下になるまでの間に検知した温度センサ59の検知値での所定の計算式で算出された値、及びタイマ58でカウントした時間に基づき、第2のアフターラン時間を算出し、第1のアフターラン時間、又は第2のアフターラン時間が経過したと判断したら、衣類乾燥運転を停止する。湿度センサ60での検知値が所定の湿度以下になったときに所定の計算式を用いて適切なアフターラン時間だけ衣類乾燥運転を実施して停止するので、衣類乾燥の終了後に乾燥時間が短いことで部屋の湿気が衣類に戻る湿気戻りにより衣類の乾燥不足が発生すること、及び乾燥時間が長いことで過乾燥により衣類が傷み衣類の仕上がり状態が悪くなること、を防止する。
【0058】
また、制御部55は、湿度センサ60での検知値が50%以下になるまでの時間が60分未満であると判断したら、タイマ58で60分以上をカウントするまで衣類乾燥運転を継続した後、タイマ58で60分をカウントするまでの間に検知した温度センサ59での検知値での所定の計算式で算出された値、及びカウントした60分に基づき、第3のアフターラン時間を算出し、第3のアフターラン時間が経過したと判断したら、衣類乾燥運転を停止するので、衣類乾燥運転が短時間で終了したことで衣類の乾燥不足が発生することを防止できる。
【0059】
また、制御部55は、衣類乾燥運転開始から10時間をカウントするまでの間に湿度センサ60での検知値が60%以下にならなかったら、衣類乾燥運転開始から10時間をカウントするまでの間に検知した温度センサ59の検知値での所定の計算式で算出された値、及びカウントした10時間に基づき、第4のアフターラン時間を算出し、第4のアフターラン時間が経過したと判断したら、衣類乾燥運転を停止するので、長時間に渡り衣類乾燥運転が継続されることで、衣類が過乾燥により傷み仕上がり状態が悪くなることを防止することができる。
【0060】
なお、本実施形態では、アフターラン時間の開始前後で衣類乾燥運転の制御内容に差異はないが、これに限られない。例えば、アフターラン時間の開始後は、アフターラン時間の開始前と比較し加熱ヒータ44の出力を低下させる、あるいはシロッコファン42の回転数を低下させる等により、衣類乾燥能力を低下させる制御に変更してもよい。アフターラン開始前の衣類乾燥運転で衣類の乾燥がある程度完了していることから、アフターラン開始後の衣類乾燥運転における衣類乾燥能力を低下させることで、衣類の過乾燥を未然に阻止することができるため、衣類乾燥の仕上がり状態を向上させることができる。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0062】
例えば、本実施形態では除湿手段を蒸発器46aとしたコンプレッサー式の除湿機で説明しているが、ゼオライトに水分を吸着させ加熱ヒータで加熱した空気を吹き出すデシカント式の除湿機であっても本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 除湿機
10 筐体
31 吹出口
42 シロッコファン(送風ファン)
43 送風モータ
44 加熱ヒータ
46 熱交換器
46a 蒸発器(除湿手段)
55 制御部
59 温度センサ
60 湿度センサ