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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023000279
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】飲用容器
(51)【国際特許分類】
   A47G 19/22 20060101AFI20221222BHJP
   B65D 25/34 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
A47G19/22 A
B65D25/34 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021101014
(22)【出願日】2021-06-17
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1) ウェブサイトの掲載日 令和2年7月17日 ウェブサイトのアドレス https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000026.000040531.html <資 料> 株式会社PR TIMES ニュースリリース ウェブページ (2) ウェブサイトの掲載日 令和2年7月17日 ウェブサイトのアドレス https://www.instagram.com/p/CCuVbBfgXaG/ <資 料> インスタグラム 販売告知キャンペーン記事 ウェブページ (3) ウェブサイトの掲載日 令和2年7月17日 ウェブサイトのアドレス https://www.riveret.jp/ https://www.riveret.jp/collection.html <資 料> 仲吉商事株式会社 製品販売 ウェブページ (4) 販売日(公開日) 令和2年8月3日~令和3年6月17日 販売した場所 以下のウェブサイトによりオンライン販売 https://www.riveret.jp/collection_rv-128wb.html https://www.riveret.jp/collection_rv-128b.html https://www.riveret.jp/collection_rv-128.html <資 料> 仲吉商事株式会社 製品販売・注文 ウェブページ
(71)【出願人】
【識別番号】513125304
【氏名又は名称】仲吉商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(72)【発明者】
【氏名】屋田 高路
【テーマコード(参考)】
3B001
3E062
【Fターム(参考)】
3B001AA02
3B001CC36
3B001DA02
3B001DB20
3E062AA10
3E062AB02
3E062AC04
3E062CA02
3E062JA01
3E062JA08
3E062JB23
3E062JC02
3E062JD02
(57)【要約】
【課題】木材の優れた手触り感及び美観を保ちつつ、強度と耐久性を確保できる飲用容器を提供する。
【解決手段】ベッセル1は、上方に開口する有底円筒状に形成されたカップ本体部11と、カップ本体部11の開口縁部に設けられる環状のリム部19と、を有し、内側に飲料を収容可能な収容凹部15が設けられたカップ部10と、カップ部10よりも下方において、カップ部10の中心軸Oと同軸に配置される円板状の台座部20と、カップ部10と台座部20とを接続し、中心軸Oと同軸に配置される柱状の脚部30と、カップ部10のカップ本体部11、台座部20及び脚部30は、単一の木材により形成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開口する有底円筒状に形成されたカップ本体部と、前記カップ本体部の開口縁部に設けられる環状のリム部と、を有し、内側に飲料を収容可能な収容凹部が設けられたカップ部と、
前記カップ部よりも下方において、前記カップ部の中心軸と同軸に配置される円板状の台座部と、
前記カップ部と前記台座部とを接続し、前記中心軸と同軸に配置される柱状の脚部と、
少なくとも前記カップ部の前記カップ本体部、前記台座部及び前記脚部は、単一の木材により形成されることを特徴とする飲用容器。
【請求項2】
前記カップ部の外径は、前記中心軸の軸方向の内側から外側に向かって漸次大きくなるように形成され、
前記カップ部の最小外径部は、前記軸方向における中間部分よりも上方に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の飲用容器。
【請求項3】
前記カップ部の前記リム部の最大外径をB1とし、前記カップ部の底部の最大外径をF1としたとき、
B1<F1
の関係を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の飲用容器。
【請求項4】
前記台座部の外径をC1としたとき、
B1<C1<F1
の関係を満たすことを特徴とする請求項3に記載の飲用容器。
【請求項5】
前記リム部の厚さは、上方に向かうに従い漸次薄くなるように形成されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の飲用容器。
【請求項6】
前記リム部は、前記カップ本体部、前記台座部及び前記脚部とは異なる別体の木材により形成されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の飲用容器。
【請求項7】
前記収容凹部の底面は、凹曲面状に形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の飲用容器。
【請求項8】
前記カップ部と前記脚部との接続部分の第一隅部、及び前記台座部と前記脚部との接続部分の第二隅部は、それぞれR面取りされることにより互いに滑らかに接続されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の飲用容器。
【請求項9】
前記カップ部、前記台座部及び前記脚部の表面には、緑茶成分を含有したウレタン塗膜が塗布されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の飲用容器。
【請求項10】
前記ウレタン塗膜は、複数層で形成されるとともに、前記緑茶成分が各層内に均一に分布していることを特徴とする請求項9に記載の飲用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲料を収容する金属製の内容器部と、内容器部の外周部を覆う断熱性の外筒部とを有し、外筒部は内容器部の上縁部より上方に突出した口元部と、口元部の下側にスカート部を有する飲用容器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この飲用容器は、外筒部が木製となっており、木製の外筒部の内周面と内容器部の外周面の間は接着剤により接着されている。
【0003】
特許文献1に記載の技術によれば、内側を金属製にしつつ、口元部及びその下側のスカート部を木等の断熱性素材からなる外筒部としたので、金属の有する容器の特性を活かしつつ、飲みやすい飲用容器となるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-013735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の技術にあっては、外筒部を木製とすることにより、木材製品特有の優れた手触り感が得られるとともに、木材の柔らかく美しい木目模様により優れた美観が得られるとされている。
【0006】
しかしながら、木材の外筒部の内周面と内容器部の外周面の間は接着剤により接着されているため、例えば木材と金属材料との線膨張係数差や経年劣化等により接着剤が剥離するおそれがある。したがって、従来技術にあっては、木材の優れた手触り感及び美観を保ちつつ、強度と耐久性を確保するという点で改善の余地がある。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、木材の優れた手触り感及び美観を保ちつつ、強度と耐久性を確保できる飲用容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、本発明は以下の態様を採用した。
(1)本発明の一態様に係る飲用容器(例えば実施形態におけるベッセル1)は、上方に開口する有底円筒状に形成されたカップ本体部(例えば実施形態におけるカップ本体部11)と、前記カップ本体部の開口縁部に設けられる環状のリム部(例えば実施形態におけるリム部19)と、を有し、内側に飲料を収容可能な収容凹部(例えば実施形態における収容凹部15)が設けられたカップ部(例えば実施形態におけるカップ部10)と、前記カップ部よりも下方において、前記カップ部の中心軸(例えば実施形態における中心軸O)と同軸に配置される円板状の台座部(例えば実施形態における台座部20)と、前記カップ部と前記台座部とを接続し、前記中心軸と同軸に配置される柱状の脚部(例えば実施形態における脚部30)と、少なくとも前記カップ部の前記カップ本体部、前記台座部及び前記脚部は、単一の木材により形成されることを特徴としている。
【0009】
(2)上記(1)に記載の飲用容器では、前記カップ部の外径は、前記中心軸の軸方向の内側から外側に向かって漸次大きくなるように形成され、前記カップ部の最小外径部(例えば実施形態における最小外径部12)は、前記軸方向における中間部分よりも上方に設けられていてもよい。
【0010】
(3)上記(1)または(2)に記載の飲用容器では、前記カップ部の前記リム部の最大外径をB1とし、前記カップ部の底部(例えば実施形態における底部13)の最大外径をF1としたとき、
B1<F1
の関係を満たしていてもよい。
【0011】
(4)上記(3)に記載の飲用容器では、前記台座部の外径をC1としたとき、
B1<C1<F1
の関係を満たしていてもよい。
【0012】
(5)上記(1)から(4)のいずれか1つに記載の飲用容器では、前記リム部の厚さは、上方に向かうに従い漸次薄くなるように形成されていてもよい。
【0013】
(6)上記(1)から(5)のいずれか1つに記載の飲用容器では、前記リム部は、前記カップ本体部、前記台座部及び前記脚部とは異なる別体の木材により形成されていてもよい。
【0014】
(7)上記(1)から(6)のいずれか1つに記載の飲用容器では、前記収容凹部の底面(例えば実施形態における底面16)は、凹曲面状に形成されていてもよい。
【0015】
(8)上記(1)から(7)のいずれか1つに記載の飲用容器では、前記カップ部と前記脚部との接続部分の第一隅部(例えば実施形態における第一隅部31)、及び前記台座部と前記脚部との接続部分の第二隅部(例えば実施形態における第二隅部33)は、それぞれR面取りされることにより互いに滑らかに接続されていてもよい。
【0016】
(9)上記(1)から(8)のいずれか1つに記載の飲用容器では、前記カップ部、前記台座部及び前記脚部の表面には、緑茶成分を含有したウレタン塗膜が塗布されていてもよい。
【0017】
(10)上記(9)に記載の飲用容器では、前記ウレタン塗膜は、複数層で形成されるとともに、前記緑茶成分が各層内に均一に分布していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
上記(1)によれば、少なくともカップ本体部、台座部及び脚部は、単一の木材により形成されているので、例えば接着剤等により固定することなくカップ本体部、台座部及び脚部を一体的に形成できる。したがって、木材の優れた手触り感及び美観を保ちつつ、強度と耐久性を確保できる。また、カップ本体部の開口縁部に設けられる環状のリム部について、カップ本体部、台座部及び脚部とともに単一の木材で形成することにより、リム部についてもカップ本体部、台座部及び脚部と同様に強度と耐久性を確保できる。また、カップ部の開口縁部に設けられる環状のリム部について、カップ本体部、台座部及び脚部とは異なる別体の木材で形成することにより、例えばリム部と、カップ本体部、台座部及び脚部とを異なる色や木目模様にすることができる。したがって、美観をさらに向上しつつ、強度と耐久性を確保できる飲用容器とすることができる。
【0019】
上記(2)の場合、カップ部の外径は、中心軸の軸方向の内側から外側に向かって漸次大きくなるように形成されているので、例えばカップ部の外径が軸方向に均等な場合と比較して美観を向上することができる。また、カップ部の外径は、中心軸の軸方向の内側から外側に向かって漸次大きくなるように形成されているので、カップ部を把持したときに軸方向に沿って飲用容器が滑るのを抑制できる。また、カップ部の最小外径部は、軸方向における中間部分よりも上方に設けられているので、カップ部の中間部分よりも底部側に重心を配置できる。したがって、飲用容器の使用者は、テーブル等に安定して飲用容器を載置できる。
【0020】
上記(3)の場合、カップ部のリム部の最大外径をB1とし、カップ部の底部の最大外径をF1としたとき、B1<F1の関係を満たしているので、リム部よりも底部の最大外径を大きく確保できる。これにより、飲用容器は、カップ部の底部に重心を配置できる。したがって、飲用容器の使用者は、テーブル等に安定して飲用容器を載置できる。
【0021】
上記(4)の場合、台座部の外径をC1としたとき、B1<C1<F1の関係を満たしているので、台座部よりもカップ部の底部の最大外径を大きく確保できる。これにより、飲用容器は、カップ部の底部に重心を配置できる。したがって、飲用容器の使用者は、テーブル等に安定して飲用容器を載置できる。
【0022】
上記(5)の場合、リム部の厚さは、上方に向かうに従い漸次薄くなるように形成されているので、口触りの良い飲用容器とすることができる。
【0023】
上記(6)の場合、リム部は、カップ本体部、台座部及び脚部とは異なる別体の木材により形成されているので、例えばリム部と、カップ本体部、台座部及び脚部とを異なる色や木目模様にすることができる。したがって、美観をさらに向上しつつ、強度と耐久性を確保できる飲用容器とすることができる。
【0024】
上記(7)の場合、収容凹部の底面は、凹曲面状に形成されているので、例えばビール等の炭酸飲料を飲用容器に注いだ際に、収容凹部の底面に沿って液体が移動するとともに程よい泡立ちを発生させることができる。したがって、本発明の飲用容器は、炭酸飲料に好適である。
【0025】
上記(8)の場合、カップ部と脚部との接続部分の第一隅部、及び台座部と脚部との接続部分の第二隅部は、それぞれR面取りされることにより互いに滑らかに接続されている。これにより、飲用容器は、使用者に対して優しい美観の印象を与えることができる。また、例えば脚部をもって飲み物を飲む際や、飲用容器に飲料を入れた状態でテーブル等に飲用容器を載置した際に、第一隅部及び第二隅部に応力が集中するのを抑制できる。したがって、美観をさらに向上しつつ、強度と耐久性を確保できる飲用容器とすることができる。
【0026】
上記(9)の場合、カップ部、台座部及び脚部の表面には、緑茶成分を含有したウレタン塗膜が塗布されている。このように、ウレタン塗料に緑茶成分を配合したものを木製の飲用容器に塗布することで、木製の飲用容器の表面に緑茶成分を含有したウレタン塗膜を形成できる。したがって、作業工程を最小限にするとともに、製造コストをおさえつつ、抗菌性能ある木製の飲用容器を提供することができる。
【0027】
上記(10)の場合、ウレタン塗膜は、複数層で形成されるとともに、緑茶成分が各層内に均一に分布しているので、緑茶成分の抗菌作用が、木製の飲用容器の表面全体で、まんべんなく発揮される。したがって、衛生的な木製の飲用容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の第1実施形態のベッセルの斜視図。
図2】本発明の第1実施形態のベッセルの中心軸に沿う断面図。
図3】本発明の第2実施形態のベッセルの斜視図。
図4】本発明の第2実施形態のベッセルの中心軸に沿う断面図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係るベッセル(請求項の「飲用容器」に相当。)について、添付図面を参照しながら説明する。以下の説明において、上下方向は鉛直上下方向と一致している。
図1は、第1実施形態のベッセル1の斜視図である。
図2は、本発明の第1実施形態のベッセル1の中心軸Oに沿う断面図である。
図1に示すように、ベッセル1の中心軸Oに沿う高さA1は、例えば180mmである。第1実施形態のベッセル1は、カップ部10と、台座部20と、脚部30と、を有する。カップ部10、台座部20、脚部30及びリム部19に使用する木材としては、竹が最適である。竹は、スギやヒノキ等と比較して強度が高い。また、竹は、フィトンチッドを多く含み、抗菌、殺菌、脱臭性能を有する。竹は、キノン類やタンニン類化合物等の抗菌成分を含有する。竹は、フェノール類、フラボン類化合物等の消臭成分を含有する。したがって、竹は、木製のベッセル1や、皿等の食器を形成する木材として好適である。
【0030】
図2に示すように、カップ部10は、全体として有底円筒状に形成されている。以下の説明において、カップ部10の中心軸Oに沿う方向を「軸方向」とし、中心軸Oに直交する方向を「径方向」とし、中心軸O周りの方向を「周方向」とする。
カップ部10は、カップ本体部11と、リム部19と、を有する。
カップ本体部11は、上方に開口する有底円筒状に形成されている。カップ本体部11は、単一の木材を削り加工することにより、後述する台座部20及び脚部30と一体形成される。
リム部19は、カップ本体部11とは異なる別体の木材により形成されている。リム部19は、環状に形成されている。リム部19は、カップ本体部11と同軸に配置されている。リム部19は、カップ本体部11の開口縁部に例えば接着剤等により固定されて設けられている。
【0031】
カップ部10の軸方向に沿う長さL1は、例えば130mmとなっている。
カップ部10の外径は、中心軸Oの軸方向の内側から外側に向かって漸次大きくなるように形成されている。カップ部10の最小外径部12は、カップ本体部11の軸方向における中間部分よりも上方に設けられている。カップ部10の最小外径E1は、例えば60mmとなっている。
カップ部10の底部13は、カップ部10の最大外径F1となっている。カップ部10の最大外径F1は、例えば77mmとなっている。
カップ部10のリム部19の最大外径B1は、例えば70mmとなっている。
【0032】
ここで、カップ部10のリム部19の最大外径B1と、カップ部10の底部13の最大外径F1とは、
B1<F1・・・(1)
の関係を満たすことが望ましい。(1)式の関係を満たすことにより、リム部19の最大外径B1よりも底部13の最大外径F1を大きく確保できる。これにより、ベッセル1は、カップ部10の底部13に重心を配置できる。したがって、ベッセル1の使用者は、例えばテーブル等に安定してベッセル1を載置できる。
【0033】
カップ部10は、内部に例えばビール等の飲料を収容可能な収容凹部15を有している。カップ部10の収容凹部15の深さD1は、例えば130mmとなっている。
カップ部10の収容凹部15は、軸方向の中間部分から下方に向かって、略一定の内径を有している。収容凹部15の軸方向の中間部分は最小内径E2となっている。収容凹部15の最小内径E2は、例えば54mmとなっている。
カップ部10の収容凹部15は、軸方向の中間部分から上方に向かって、漸次内径が大きくなっている。を有している。リム部19に対応する収容凹部15の開口縁部は、最大内径E3となっている。収容凹部15の最大内径E3は、例えば66mmとなっている。
収容凹部15の底面16は、凹曲面状に形成されている。収容凹部15の底面16の曲率半径R1は、例えば27mmとなっている。
【0034】
台座部20は、円板状である。台座部20は、カップ部10よりも下方において、カップ部10の中心軸Oと同軸に配置される。台座部20の底面は、縁部から中央に行くに従い上方に凹となる凹曲面となっている。カップ部10から台座部20の底面までの距離H1は、例えば50mmとなっている。台座部20の外径C1は、75mmとなっている。台座部20の厚さI1は、例えば3.5mmとなっている。
【0035】
ここで、カップ部10のリム部19の最大外径B1と、カップ部10の底部13の最大外径F1と、台座部20の外径C1とは、
B1<C1<F1・・・(2)
の関係を満たすことが望ましい。(2)式の関係を満たすことにより、台座部20よりもカップ部10の底部13の最大外径を大きく確保できる。これにより、ベッセル1は、カップ部10の底部13に重心を配置できる。したがって、ベッセル1の使用者は、例えばテーブル等に安定してベッセル1を載置できる。
【0036】
脚部30は、円柱状である。脚部30は、カップ部10の中心軸Oと同軸に配置されている。脚部30は、カップ部10の底部13と、台座部20の上面23とを接続している。カップ部10の底部13と脚部30との接続部分の第一隅部31は、R面取りされる。
台座部20と脚部30との接続部分の第二隅部33は、R面取りされる。これにより、カップ部10の底部13と台座部20と脚部30とは、それぞれ互いに滑らかに接続されている。脚部30の最小外径部35の直径G1は、例えば6mmとなっている。
【0037】
上述のように構成されたベッセル1のカップ部10におけるカップ本体部11、台座部20及び脚部30は、単一の木材を削り加工することにより、一体形成される。また、ベッセル1のカップ部10におけるリム部19は、カップ本体部11、台座部20及び脚部30とは異なる別体の木材により形成される。リム部19は、カップ本体部11に対して、例えば接着剤で固定される。以下、ベッセル1の製造工程について説明する。
【0038】
まず、準備工程を行う。準備工程では、カップ本体部11、台座部20及び脚部30の素材である竹を薄板状にした後に積層し、ブロック状に圧着して製材した第一の竹材を準備する。また、リム部19の素材である竹を薄板状にした後に積層し、ブロック状に圧着して製材した第二の竹材を準備する。なお、リム部19の素材である第二の竹材は、予め炭化をすることにより、第一の竹材よりも濃い色となるようにしてもよい。第一の竹材及び第二の竹材は、必要に応じて煮沸処理等して殺菌する。その後、第一の竹材及び第二の竹材を乾燥させる。続いて、第一の竹材と第二の竹材とを、互いに接着固定する。以上で、準備工程が終了する。
【0039】
続いて、切削工程を行う。切削工程では、互いに接着固定された第一の竹材及び第二の竹材を削り加工することにより、カップ部10、台座部20及び脚部30を有するベッセル1の素材を形成する。続いて、ベッセル1の素材の仕上げを行う。ベッセル1の素材の表面を、やすり等で研削する。また、必要に応じて、ベッセル1の素材に対して名入れやロゴマーク、模様等の装飾をレーザ等により彫り込む。ベッセル1の素材を仕上げた後、乾燥させる。以上で、切削工程が終了する。
【0040】
続いて、ウレタン塗布工程を行う。ウレタン塗布工程では、ベッセル1の素材の表面にウレタン塗料を塗布し、ウレタン塗膜を形成する。
まず、ウレタン塗膜を形成するためのウレタン塗料を準備する。ウレタン塗料は、主剤、硬化剤、シンナーの3つを配合したものである。本実施形態のベッセル1では、ウレタン塗料に緑茶成分を配合したものを準備する。以下、主剤に緑茶成分をウレタン塗料に配合する手順を説明する。
【0041】
まず、油性緑茶成分液を準備する。油性緑茶成分液は、緑茶抽出成分を6パーセント含有する油性緑茶成分液を使用する。緑茶抽出成分とは、テアニン、タンニン、カテキン、カフェイン、ビタミンC、ビタミンB2、葉酸、ベータカロテン、ビタミンE、サポニン、フッ素、γ―アミノ酪酸(通称GABA)、ミネラル(カリウム・カルシウム・ナトリウム・銅・亜鉛・セレン・ニッケル・モリブデン等)、クロロフィルの中から、少なくとも1つ以上を選択したものである。
【0042】
ウレタン塗料に添加する緑茶成分液は、6パーセント含有油性緑茶成分液に限定されることはなく、様々な濃度の緑茶成分液を使用することができる。緑茶成分液は、水溶性より油性のものが望ましい。添加する量は、使用する緑茶成分液の濃度に応じて調節する。油性緑茶成分液は、粘性のある液体である。油性緑茶成分液をボウル容器等、攪拌しやすい容器に入れる。
続いて、油性緑茶成分液にシンナーを配合する。シンナーを配合する際は、シンナーを少量ずつ油性緑茶成分液に加えるとともによく攪拌しながら、複数回に分けて行う。これにより、緑茶成分配合ウレタン塗料が作成される。
【0043】
続いて、ベッセル1の素材の表面に、緑茶成分配合ウレタン塗料を薄く塗布する。緑茶成分配合ウレタン塗料を塗布する際、ベッセル1の素材の表面にウレタン塗料の層であるウレタン塗膜が薄く均一に形成されるように留意する。塗布方法について、1回の塗布でも、抗菌性能のあるベッセル1を作成できるが、抗菌性能を上げるために、複数回、塗布工程を設けてもよい。複数回塗布する場合、1回目の塗布完了後、数分間の乾燥工程を経て、再度、ベッセル1の素材の表面に均一に緑茶成分配合ウレタン塗料を塗布する。再塗布後、乾燥させ、必要に応じて、さらに、塗布工程及び乾燥工程を繰り返す。このように、ウレタン塗料塗布及び乾燥工程を1回から数十回繰り返すことで、抗菌効果を備えたベッセル1を作成できる。以上で、ウレタン塗布工程が終了する。
【0044】
続いて、磨き上げ工程を行う。磨き上げ工程では、ベッセル1の表面を磨くことにより、表面の凹凸をなくすとともに滑らかにして、美しい光沢を出す。以上で、磨き上げ工程が終了する。
続いて湯煎工程を行う。湯煎工程では、ベッセル1を湯煎処理する。ベッセル1を湯煎処理することにより、ウレタン塗料のウレタン臭を消失でき、殺菌・防カビ・防虫効果も期待できる。また、ベッセル1にお湯を満たし、水漏れや水染みの有無の確認を行ってもよい。その後、ベッセル1を室温でねかせることにより、ウレタン塗料の臭いを飛ばす。以上で、湯煎工程が終了するとともに、ベッセル1の製造工程が終了する。
【0045】
上述したように、第1実施形態によれば、カップ本体部11、台座部20及び脚部30は、単一の木材により形成されているので、接着剤等により固定することなくカップ本体部11、台座部20及び脚部30を一体的に形成できる。したがって、木材の優れた手触り感及び美観を保ちつつ、強度と耐久性を確保できる。また、カップ部10の開口縁部に設けられる環状のリム部19について、カップ本体部11、台座部20及び脚部30とは異なる別体の木材で形成することにより、例えばリム部19と、カップ本体部11、台座部20及び脚部30とを異なる色や木目模様にすることができる。したがって、美観をさらに向上しつつ、強度と耐久性を確保できるベッセル1とすることができる。
【0046】
カップ部10の外径は、中心軸Oの軸方向の内側から外側に向かって漸次大きくなるように形成されているので、例えばカップ部10の外径が軸方向に均等な場合と比較して美観を向上することができる。また、カップ部10の外径は、中心軸Oの軸方向の内側から外側に向かって漸次大きくなるように形成されているので、カップ部10を把持したときに軸方向に沿ってベッセル1が滑るのを抑制できる。また、カップ部10の最小外径部12は、軸方向における中間部分よりも上方に設けられているので、カップ部10の中間部分よりも底部13側に重心を配置できる。したがって、ベッセル1の使用者は、テーブル等に安定してベッセル1を載置できる。
【0047】
カップ部10のリム部19の最大外径をB1とし、カップ部10の底部13の最大外径をF1としたとき、カップ部10のリム部19の最大外径B1と、カップ部10の底部13の最大外径F1とは、
B1<F1・・・(1)
の関係を満たしているので、リム部19よりも底部13の最大外径を大きく確保できる。これにより、ベッセル1は、カップ部10の底部13に重心を配置できる。したがって、ベッセル1の使用者は、テーブル等に安定してベッセル1を載置できる。
【0048】
台座部20の外径をC1としたとき、カップ部10のリム部19の最大外径B1と、カップ部10の底部13の最大外径F1と、台座部20の外径C1とは、
B1<C1<F1・・・(2)
の関係を満たしているので、台座部20よりもカップ部10の底部13の最大外径を大きく確保できる。これにより、ベッセル1は、カップ部10の底部13に重心を配置できる。したがって、ベッセル1の使用者は、テーブル等に安定してベッセル1を載置できる。
【0049】
リム部19の厚さは、上方に向かうに従い漸次薄くなるように形成されているので、口触りの良いベッセル1とすることができる。
【0050】
収容凹部15の底面16は、凹曲面状に形成されているので、例えばビール等の炭酸飲料をベッセル1に注いだ際に、収容凹部15の底面16に沿って液体が移動するとともに程よい泡立ちを発生させることができる。したがって、本実施形態のベッセル1は、炭酸飲料に好適である。
【0051】
カップ部10と脚部30との接続部分の第一隅部31、及び台座部20と脚部30との接続部分の第二隅部33は、それぞれR面取りされることにより互いに滑らかに接続されている。これにより、ベッセル1は、使用者に対して優しい美観の印象を与えることができる。また、脚部30をもって飲み物を飲む際や、ベッセル1に飲料を入れた状態でテーブル等にベッセル1を載置した際に、第一隅部31及び第二隅部33に応力が集中するのを抑制できる。したがって、美観をさらに向上しつつ、強度と耐久性を確保できるベッセル1とすることができる。
【0052】
カップ部10、台座部20及び脚部30の表面には、緑茶成分を含有したウレタン塗膜が塗布されている。このように、ウレタン塗料に緑茶成分を配合したものを木製のベッセル1に塗布することで、木製のベッセル1の表面に緑茶成分を含有したウレタン塗膜を形成できる。したがって、作業工程を最小限にするとともに、製造コストをおさえつつ、抗菌性能ある木製のベッセル1を提供することができる。
【0053】
ウレタン塗膜は、複数層で形成されるとともに、緑茶成分が各層内に均一に分布しているので、緑茶成分の抗菌作用が、木製のベッセル1の表面全体で、まんべんなく発揮される。したがって、衛生的な木製のベッセル1を提供することができる。
【0054】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について説明する。なお、上述した第1実施形態と同一部分については、説明を省略又は簡略化する。
図3は、第2実施形態のベッセル1Aの斜視図である。
図4は、本発明の第2実施形態のベッセル1Aの中心軸Oに沿う断面図である。
図3及び図4に示すように、第2実施形態のベッセル1Aは、カップ部10Aと、台座部20Aと、脚部30Aと、を有する。第1実施形態のベッセル1(図1及び図2参照)と第2実施形態のベッセル1Aとでは、カップ部10A、台座部20A及び脚部30Aの寸法が異なっている。
【0055】
図3に示すように、ベッセル1Aの中心軸Oに沿う高さA1は、例えば120mmである。
カップ部10Aの軸方向に沿う長さL1は、例えば85mmとなっている。カップ部10Aの最小外径E1は、例えば66mmとなっている。カップ部10Aの最大外径F1は、例えば80mmとなっている。カップ部10Aのリム部19Aの最大外径B1は、例えば70mmとなっている。
【0056】
カップ部10Aの収容凹部15Aの深さD1は、例えば85mmとなっている。収容凹部15Aの最小内径E2は、例えば60mmとなっている。収容凹部15Aの最大内径E3は、例えば66mmとなっている。収容凹部15Aの底面16Aの曲率半径は、例えば27mmとなっている。
【0057】
カップ部10Aから台座部20Aの底面までの距離H1は、例えば40mmとなっている。
台座部20Aの外径C1は、75mmとなっている。台座部20Aの厚さI1は、例えば3.5mmとなっている。脚部30の最小外径部35の直径G1は、例えば6mmとなっている。
第2実施形態のベッセル1Aによれば、第1実施形態のベッセル1と同様に、木材の優れた手触り感及び美観を保ちつつ、強度と耐久性を確保できる。
【0058】
本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0059】
上述した第1実施形態及び第2実施形態では、カップ部10の開口縁部に設けられる環状のリム部19について、カップ本体部11、台座部20及び脚部30とは異なる別体の木材で形成されていた。これに対して、リム部は、カップ本体部、台座部及び脚部とともに単一の木材で形成されていてもよい。
【0060】
上述した第1実施形態及び第2実施形態のベッセル1,1Aにおいて、各部の寸法は各実施形態に限定されることはない。
【0061】
上述した第1実施形態及び第2実施形態のベッセル1,1Aは、木材としては、竹を使用していたが、使用する木材は竹に限定されることはない。また、第1実施形態及び第2実施形態のベッセル1,1Aに使用する竹の種類としては、孟宗竹が特に好適である。
【0062】
上述した第1実施形態及び第2実施形態では、カップ部10の開口縁部に設けられる環状のリム部19について、予め炭化をすることにより、カップ本体部11、台座部20及び脚部30よりも濃い色となるようにしていた。これに対して、リム部19については素材である竹を炭化することなく使用し、カップ本体部11、台座部20及び脚部30については予め炭化をすることにより、リム部19について、カップ本体部11、台座部20及び脚部30よりも薄い色となるようにしてもよい。
【0063】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1,1A ベッセル(飲用容器)
10,10A カップ部
11,11A カップ本体部
12,12A 最小外径部
13,13A 底部
15,15A 収容凹部
16,16A 底面
19,19A リム部
20,20A 台座部
30,30A 脚部
31,31A 第一隅部
33,33A 第二隅部
O 中心軸
図1
図2
図3
図4