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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023027901
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】自動塗布装置、及び自動塗布方法
(51)【国際特許分類】
   B05C 11/10 20060101AFI20230224BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20230224BHJP
   B05C 1/02 20060101ALI20230224BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20230224BHJP
   B05D 1/28 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
B05C11/10
B05C11/00
B05C1/02 101
B05D3/00 D
B05D1/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021133257
(22)【出願日】2021-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】田名網 克周
(72)【発明者】
【氏名】林 美由希
【テーマコード(参考)】
4D075
4F040
4F042
【Fターム(参考)】
4D075AC57
4D075AC84
4D075AC88
4D075AC91
4D075AC93
4D075AC95
4D075CA47
4D075CA48
4D075DA06
4D075EA05
4D075EA35
4F040AA19
4F040AB01
4F040AB04
4F040AC01
4F040BA04
4F040CA01
4F040CA03
4F040CA05
4F040CA08
4F040CA12
4F040DA02
4F040DA04
4F040DA12
4F040DA14
4F040DA17
4F042AA17
4F042BA06
4F042BA08
4F042BA10
4F042BA12
4F042BA25
4F042BA27
4F042CA03
4F042DH09
4F042ED09
4F042ED10
(57)【要約】
【課題】正確に且つ自動で、液体の塗布を行うことが可能な自動塗布装置を提供する。
【解決手段】自動塗布装置(1)は、ロボットアーム(13)と、ワークに液体である塗料(L1)を塗布するための塗布ハンド(10)と、塗布ハンド(10)に作用する力及びモーメントを検出する力覚センサ(14)と、力覚センサ(14)の出力信号から算出されたパラメータ(FX,FY,FZ,MX,MY,MZ)に基づいて、ロボットアーム(13)を制御する制御部と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットアームと、
前記ロボットアームに取り付けられた、ワークに液体を塗布するための塗布ハンドと、
前記塗布ハンドに作用する力及びモーメントを検出する力覚センサと、
前記力覚センサの出力信号から算出されたパラメータに基づいて前記ロボットアームを制御する制御部と、
を備えていることを特徴とする自動塗布装置。
【請求項2】
前記パラメータは、
前記塗布ハンドが前記ワークから受ける垂直抗力を含み、
前記制御部は、
前記垂直抗力の大きさが一定となるように、前記ロボットアームの動作を制御することを特徴とする請求項1に記載の自動塗布装置。
【請求項3】
前記パラメータは、
前記塗布ハンドが前記ワークから受ける摩擦力を含み、
前記制御部は、
前記摩擦力が第1閾値未満になった場合、前記液体を前記塗布ハンドに補給することを特徴とする請求項1または2に記載の自動塗布装置。
【請求項4】
前記液体を貯留する貯留部を備え、
前記制御部は、
前記摩擦力が第1閾値未満になった場合、前記貯留部の位置に前記塗布ハンドを移動させることにより、前記液体を前記塗布ハンドに補給することを特徴とする請求項3に記載の自動塗布装置。
【請求項5】
前記パラメータは、
前記ワークの塗布面に対して水平な軸を回転軸として前記塗布ハンドを回転させる第1回転モーメント、及び、前記塗布面に対して垂直な軸を回転軸として前記塗布ハンドを回転させる第2回転モーメントを含み、
前記制御部は、前記第1回転モーメント及び前記第2回転モーメントが第2閾値以下となるように、前記ロボットアームの動作を制御することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の自動塗布装置。
【請求項6】
前記ロボットアームを搬送する自動搬送装置を備えたことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の自動塗布装置。
【請求項7】
前記力覚センサは、前記ロボットアームと前記塗布ハンドとの間に配置されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の自動塗布装置。
【請求項8】
前記塗布ハンドは、前記液体を貯留するシリンジと、前記シリンジを前記ロボットアームに取り付けるための取付部とを有し、
前記力覚センサは、前記取付部に配置されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の自動塗布装置。
【請求項9】
ロボットアームと、前記ロボットアームに取り付けられた塗布ハンドと、前記塗布ハンドに作用する力及びモーメントを検出する力覚センサと、を有する自動塗布装置を用いてワークに液体を塗布する自動塗布方法であって、
前記力覚センサの出力信号から算出されたパラメータに基づいて、前記ロボットアームを制御することを特徴とする自動塗布方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料及び接着剤等の液体を自動で塗布する自動塗布装置、及び自動塗布装置による自動塗布方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、塗料及び接着剤等の液体をワークに塗布するための塗布装置においては、種々のセンサを設けることにより、塗布作業の効率化及び高精度化を図っている。例えば、特許文献1には、ローラの柄に加速度センサを取り付け、加速度センサによる検出結果に基づいて、ローラに塗料を自動供給する塗装具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-076911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、ローラをワークに接触させながら塗布作業を行う場合、ローラがワークから力及びモーメントを受ける。しかしながら、特許文献1に記載された塗布装置では、ローラがワークから受けるモーメントを検出することができない。このため、ローラが回転したりワークに対して傾いたりした場合、ローラによりワークに対して正確に塗装を行えないおそれがあるという課題がある。
【0005】
本発明の一態様は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、自動で且つ正確に液体の塗布を行うことが可能な自動塗布装置、及び自動塗布方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するためになされた本発明の一態様に係る自動塗布装置は、ロボットアームと、前記ロボットアームに取り付けられた、ワークに液体を塗布するための塗布ハンドと、前記塗布ハンドに作用する力及びモーメントを検出する力覚センサと、前記力覚センサの出力信号から算出されたパラメータに基づいて前記ロボットアームを制御する制御部と、を備えていることを特徴とする。
【0007】
本発明の一態様に係る自動塗布方法は、ロボットアームと、前記ロボットアームに取り付けられた塗布ハンドと、前記塗布ハンドに作用する力及びモーメントを検出する力覚センサと、を有する自動塗布装置を用いてワークに液体を塗布する自動塗布方法であって、前記力覚センサの出力信号から算出されたパラメータに基づいて、前記ロボットアームを制御することを特徴とする。
【0008】
上記自動塗布装置、又は自動塗布方法によれば、塗布ハンドに作用する力及びモーメントを検出する力覚センサの出力信号から算出されたパラメータに基づいて、塗布ハンドが取り付けられたロボットアームを正確に制御できるので、塗布ハンドによってワークに対して自動で正確に液体を塗布することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、自動で且つ正確に液体の塗布を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態1に係る自動塗布システムの構成を示す斜視図である。
図2図1の自動塗布装置が備える力覚センサが検出する力の方向、及びモーメントの方向を示す斜視図である。
図3図1の自動塗布システムに含まれる自動塗布装置及び制御装置の構成を示すブロック図である。
図4図1の自動塗布装置が備える塗布ハンドがワークに塗料の塗布を行う様子を示す側面図である。
図5図1の自動塗布装置が備える塗布ハンドがワークに水平な軸を回転軸として回転する(傾く)様子を示す側面図である。
図6図1の自動塗布装置が備える塗布ハンドがワークに垂直な軸を回転軸として回転する(傾く)様子を示す平面図である。
図7図1の自動塗布装置がAGVにより搬送される様子を示す斜視図である。
図8】実施形態1に係る自動塗布装置を用いた自動塗布方法の流れを示すフローチャートである。
図9図8の自動塗布方法に含まれる塗布工程の流れを示すフローチャートである。
図10図9の塗布工程に含まれる判定工程の流れを示すフローチャートである。
図11】本発明の実施形態2に係る自動塗布装置の主要な構成を示す側面図である。
図12図11の自動塗布装置が備えるによる塗布ハンドによる接着剤の塗布の様子を示す側面図である。
図13図11の自動塗布装置が備える塗布ハンドがワークに水平な軸を回転軸として回転する様子を示す側面図である。
図14】本発明の実施形態3に係る自動塗布装置の主要な構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態1〕
以下、本発明の実施形態1における自動塗布装置1を備えた自動塗布システム100について、図1図10を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態1の自動塗布システム100の構成を示す斜視図である。
【0012】
図1に示すように、自動塗布システム100は、自動塗布装置1と、制御装置50とを備えている。自動塗布システム100は、制御装置50により制御されることにより、壁等のワークWに対して、液体の一例である塗料L1の塗布を自動的に行うためのものである。自動塗布装置1は、塗布ハンド10と、ロボットアーム13と、力覚センサ14と、AGV(Automatic Guides Vehicle)15と、貯留部16とを備えている。なお、自動塗布システム100は、複数の自動塗布装置1を備えていてもよい。また、ワークWは、平面を有する壁等に限らず、凹凸面を有する立体的な構造物や工作物であってもよい。
【0013】
塗布ハンド10は、塗装ローラ11を有し、塗装ローラ11によりワークWに塗料L1を塗布するための部材である。塗布ハンド10は、力覚センサ14を介して、ロボットアーム13に取り付けられている。
【0014】
ロボットアーム13は、AGV15に搭載されている。AGV15は、自動搬送装置の一例であり、磁気テープ等の誘導体によって設定された固定のルートを走行可能に構成されている。なお、AGV15の代わりに、AMR(Autonomous Mobile Robot)を用いてもよい。この場合、AMRによって、磁気テープ等の誘導体がなくても、周囲の環境に応じて自動的に算出したルートを自律走行させて、ロボットアーム13を移動させることが可能である。また、ロボットアーム13にカメラを設け、カメラによる画像情報をロボットアーム13の姿勢の制御に用いてもよい。
【0015】
ロボットアーム13は、多関節型のロボットであり、ベース部130と、ベース部130に設けられた第1関節131と、第1アーム132と、第2関節133と、第2アーム134と、第3関節135と、第3アーム136とを備えている。
【0016】
ベース部130は、AGV15に対して垂直な軸を回転軸として回転自在な状態で、AGV15に対して固定されている。ベース部130には、第1関節131が設けられている。第1関節131には、第1アーム132の一方の端部が接続されている。第1関節131が可動することによって、第1アーム132は、ベース部130とのなす角を変化させることが可能である。
【0017】
第1アーム132の他方の端部には、第2関節133を介して、第2アーム134の一方の端部が接続されている。第2関節133が可動することによって、第2アーム134は、第1アーム132とのなす角を変化させることが可能である。
【0018】
第2アーム134の他方の端部には、第3関節135を介して、第3アーム136の一方の端部が接続されている。第3関節135が可動することによって、第3アーム136は、第2アーム134とのなす角を変化させることが可能である。第3アーム136は、ロボットアーム13の先端部を構成する。第1関節131、第2関節133、及び第3関節135は、ロボットコントローラ20によって制御される。
【0019】
図2は、図1の自動塗布装置1が備える力覚センサ14が検出する力の方向、及びモーメントの方向を示す斜視図である。図2に示すように、力覚センサ14は、第1面141を有する第1部材と、第2面142を有する第2部材と、第1部材及び第2部材の間に配置された起歪体(図示しない)とを有する。力覚センサ14の第1面141が、ロボットアーム13の第3アーム136に取り付けられ、力覚センサ14の第2面142が、塗布ハンド10に取り付けられる。
【0020】
力覚センサ14は、図1に示すように、ロボットアーム13と塗布ハンド10との間に配置され、内部の起歪体の変形を検出することにより、力覚センサ14に作用する3軸(x軸、y軸、z軸)の各方向に作用する力の大きさ(fx、fy、fz)と、各軸回りのモーメントの大きさ(mx、my、mz)とを検出する(図2参照)。力覚センサ14は、塗布ハンド10を介してワークWから受ける力及びモーメントを検出し、ロボットコントローラ20へ出力する。
【0021】
図3は、実施形態1の自動塗布装置1を備えた自動塗布システム100のブロック図である。図3に示すように、自動塗布装置1は、ロボットコントローラ20を備えている。ロボットコントローラ20は、制御部の一例であり、プロセッサ21と、メモリ22と、通信IF(Interface)23と、入出力IF(Interface)24とを有している。プロセッサ21、メモリ22、通信IF23、及び入出力IF24は、バス5を介して相互に接続されている。なお、制御装置50にロボットコントローラ20の機能を含めるようにして、制御装置50を制御部として用いてもよい。
【0022】
ロボットコントローラ20のプロセッサ21は、力覚センサ14の出力信号に基づいて、塗布ハンド10の塗装ローラ11がワークWから受ける力(FX,FY,FZ)及びモーメント(MX,MY,MZ)を算出する。プロセッサ21は、算出したパラメータ(FX,FY,FZ,MX,MY,MZ)に基づいて、ロボットアーム13及びAGV15を制御する。プロセッサ21としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、MPU(Micro Processing Unit)、又は、これらの組み合わせを用いることができる。
【0023】
メモリ22には、ロボットアーム13及びAGV15の動作を制御するためのプログラム等が記憶されている。プロセッサ21は、メモリ22に記憶されたプログラムに含まれる命令に従って、ロボットアーム13及びAGV15の動作を制御する。
【0024】
通信IF23は、制御装置50との通信を行うためのインタフェースである。通信IF23としては、例えば、イーサネット(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)等のインタフェースを用いることができる。なお、制御装置50は、入出力IF24に接続されてもよい。
【0025】
入出力IF24には、ロボットアーム13及びAGV15がそれぞれの駆動部(図示しない)を介して、電気的に接続されている。ロボットコントローラ20は、入出力IF24を介して、ロボットアーム13及びAGV15の動作を制御する。入出力IF24として、例えばUSB(Universal Serial Bus)、ATA(Advanced Technology Attachment)、SCSI(Small Computer System Interface)、シリアル通信等を用いることができる。なお、ロボットアーム13及びAGV15の一方又は両方が、駆動部を介して通信IF23に接続されてもよい。
【0026】
制御装置50は、後述する塗布プログラムを、ロボットコントローラ20に教示するための装置である。制御装置50は、プロセッサ51と、メモリ52と、通信IF53と、タッチパネル54とを有している。プロセッサ51、メモリ52、通信IF53、及びタッチパネル54は、バス2を介して相互に接続されている。プロセッサ51、プロセッサ21と同様に構成されている。
【0027】
メモリ52には、プロセッサ51に実行させるプログラム、塗料L1の種類に対応した各種データ(密度、粘性係数等)、及び、ワークWの材質に対応した各種データ(動摩擦係数等)の情報が記憶されている。
【0028】
通信IF53は、ロボットコントローラ20との通信を行うためのインタフェースである。タッチパネル54は、ユーザが各種の設定を行うための操作パネルを有して構成される(図1参照)。ユーザは、タッチパネル54を操作することによって、後述する設定工程S1を行うことが可能である。なお、タッチパネル54は、ロボットコントローラ20に配置されていてもよい。
【0029】
[自動塗布方法]
次に、実施形態1の自動塗布装置1を用いた自動塗布方法について、図7及び図8図10のフローチャートを参照して説明する。図8は、実施形態1に係る自動塗布装置1による自動塗布方法の流れを示すフローチャートである。実施形態1の自動塗布方法においては、図8のフローチャートに示すように、まず、制御装置50が自動塗布装置1に対し塗布プログラムを設定する設定工程(S1)が実施される。その後、自動塗布装置1によって、搬送工程(S2)と、塗布工程(S3)とが順に行われる。その後、自動塗布装置1において、塗布プログラムが完了したか否かの判定が行われる(S4)。そして、S1で設定された塗布プログラムが完了するまで(S4:YES)、S2及びS3が繰り返し実行される。以下、各工程について詳しく説明する。
【0030】
設定工程S1において、制御装置50は、自動塗布装置1に塗布プログラムを設定する。「塗布プログラム」とは、ある塗布条件で自動塗布装置1が塗料L1の塗布を実行するためのプログラムである。そして、「塗布プログラムを設定する」とは、(1)自動塗布装置1に適用する塗布プログラムを決定又は作成し、(2)決定又は作成した塗布プログラムを自動塗布装置に送信する処理を示す。
【0031】
具体的には、制御装置50は、まず、ユーザのタッチパネル54に対する入力操作に応じて、自動塗布装置1の塗布条件を決定する。「塗布条件」には、塗料L1の種類、ワークWの寸法、ワークWの材質等が含まれる。制御装置50は、決定した塗布条件に応じた塗布プログラムを決定又は作成する。なお、制御装置50は、予めメモリ52に記憶されている塗布プログラムの中から1つの塗布プログラムを選択することで塗布プログラムを決定してもよい。また、制御装置50は、予めメモリ52に記憶されているテンプレートのプログラムパターンの中から、塗布条件に応じたパターンを選択し組み合わせることで、塗布プログラムを作成してもよい。
【0032】
なお、制御装置50は、塗布プログラムの決定又は作成と順不同で、塗布条件に応じた閾値を決定してもよい。例えば、塗料L1の種類毎に粘性係数が異なり、塗布時に生じる摩擦力FXが異なる。このため、制御装置50は、塗料L1の種類に応じて摩擦力Fxの閾値を決定してもよい。この閾値は、後述する判定工程S13で用いられる。
【0033】
また、塗布プログラムには、ロボットアーム13の動作を規定するプログラムの他に、AGV15の動作を規定するプログラムが含まれていてもよい。ロボットアーム13と、AGV15とが協調して動作することで、ロボットアーム13の動きだけでは塗布対象物全体に塗料L1を塗布できないような場合でも適切に塗布を行うことができる。
【0034】
制御装置50は、通信IF53を介して自動塗布装置1に塗布プログラムを送信する。自動塗布装置1のプロセッサ21は、通信IF23を介して塗布プログラムを受信して、メモリ22に記憶させる。プロセッサ21は、適宜塗布プログラムを読み出して実行することで、以降の搬送工程(S2)、塗布工程(S3)、及び塗装工程(S11)を実行する。
【0035】
S1の後、搬送工程が行われる(S2)。図7は、図1の自動塗布装置1がAGV15により搬送される様子を示す図である。搬送工程S2では、まず、ロボットコントローラ20は、予め定められた初期位置(図示しない)に配置されていたAGV15を、塗布開始位置P1(図7の点線参照)に移動させる。これにより、ロボットアーム13の塗装ローラ11により、塗料L1の塗布がすぐに行える状態にする。なお、S1の処理は必須の処理ではない。例えば、塗布プログラムにAGV15の動作が規定されていない場合は、AGV15による搬送工程S2は省略されてもよい。
【0036】
次に、塗布工程が行われる(S3)。図9は、塗布工程S3の流れを示すフローチャートである。塗布工程S3では、塗装工程(S11)と、検出工程(S12)及び判定工程(S13)とが並行して、又は順不同に行われる。
【0037】
塗装工程(S11)では、ロボットコントローラ20は、入出力IF24を介してロボットアーム13を制御することで、ワークW1に対して塗装ローラ11を接触させながら転がすことにより、塗料L1を塗布する(図4参照)。図4は、図1の自動塗布装置1が備える塗布ハンド10がワークWに塗料L1の塗布を行う様子を示す側面図である。図4に示す例では、塗装ローラ11をワークWの上方向に向かって進行させることにより、ワークWに塗料L1を塗布している。
【0038】
塗装ローラ11が進行方向(図4の矢印参照)に移動すると、塗装ローラ11には進行方向とは反対方向に摩擦力FXが働く。また、塗装ローラ11により所定の押付け力でワークWを押し付けると、塗装ローラ11には垂直抗力FZが働く。このように、塗布ハンド10がワークWから力及びモーメントを受け、当該力及びモーメントが力覚センサ14に加わる。力覚センサ14は、塗布ハンド10を介してワークWから受ける力(fx,fy,fz)、及びモーメント(mx,my,mz)を検出し、ロボットコントローラ20へ出力する(図3参照)。
【0039】
検出工程(S12)では、ロボットコントローラ20は、力覚センサ14の出力信号(fx,fy,fz,mx,my,mz)に基づいて、塗布ハンド10の塗装ローラ11に作用する力(FX,FY,FZ)、及びモーメント(MX,MY,MZ)を算出する。本実施形態では、ロボットコントローラ20は少なくとも、塗布ハンド10がワークWから受ける摩擦力FX、垂直抗力FZ、第1回転モーメントMX、及び第2回転モーメントMZを算出する。
【0040】
図5は、図4の塗布ハンド10がワークWに水平な軸を回転軸として回転する様子を示す図である。図5に示すように、ロボットコントローラ20は、ワークWの塗布面に対して水平な軸を回転軸として塗布ハンド10を回転させる第1回転モーメントMXを算出する。
【0041】
図6は、図4の塗布ハンド10がワークWに垂直な軸を回転軸として回転する様子を示す図である。ロボットコントローラ20は、図6に示すように、塗布面に対して垂直な軸を回転軸として塗布ハンド10を回転させる第2回転モーメントMZを算出する。
【0042】
判定工程(S13)では、ロボットコントローラ20は、検出工程S12にて算出したパラメータ(例えば、FX,FZ,MX,およびMZ)が所定の条件を満たしているか否かを判定する。具体的には、ロボットコントローラ20は、上記パラメータがそれぞれ、図10に示す所定の条件S21~S23を満たしているか否かを判定する。
【0043】
図10は、図9の塗布工程S3に含まれる判定工程S13の流れを示すフローチャートである。図10に示す判定工程S13において、まず、ロボットコントローラ20は、図4の垂直抗力FZが所定範囲内か否かの判定を行う(S21)。ここで、「所定範囲」は、塗料L1の種類、ワークWの材質、及び塗装ローラ11の材質等に応じて設定されているものとする。
【0044】
ロボットコントローラ20は、垂直抗力FZが所定範囲内である場合(S21:YES)、S22へ進む一方、垂直抗力FZが所定範囲内でない場合(S21:NO)、補正工程を行う(S25)。補正工程S25において、ロボットコントローラ20は、垂直抗力FZが所定範囲内になるように、ロボットアーム13の姿勢を制御する。
【0045】
例えば垂直抗力FZの値が大きすぎる場合、ロボットアーム13がワークWに対して塗装ローラ11を押し付け過ぎていると推定される。従って、このような場合には、ロボットコントローラ20は、塗装ローラ11のワークWに対する押し付け力を弱めるように、塗装ローラ11の位置や角度を調節する。これにより、垂直抗力FZの値を小さくすることができる。
【0046】
また、例えば垂直抗力FZの値が小さ過ぎる場合、ワークWに対して塗装ローラ11が十分に押し付けられていないと推定される。従って、このような場合には、ロボットコントローラ20は、塗装ローラ11のワークWに対する押し付け力を強めるように、塗装ローラ11の位置や角度を調節する。これにより、垂直抗力FZの値を大きくすることができる。
【0047】
これにより、塗布ハンド10がワークWへ塗装ローラ11を押し付ける力を一定に維持できるので、ワークWに塗料等の液体Lを均一に塗布できる。また、ワークWの塗布面に凹凸があっても、一定の膜厚で塗料L1を塗布することが可能である。
【0048】
続いて、ロボットコントローラ20は、摩擦力FXが第1閾値未満か否かの判定を行う(S22)。第1閾値は、塗料L1の残量及び粘性係数等に応じて設定されているものとする。なお、上述のように、ここで用いる第1閾値は、設定工程S1において決定され、ロボットコントローラ20に送信された閾値であってもよい。
【0049】
プロセッサ21は、摩擦力FXが第1閾値未満である場合(S22:YES)、S23へ進む。一方、プロセッサ21は、摩擦力FXが第1閾値未満でない場合(S22:NO)、即ち、摩擦力FXが第1閾値以上である場合、塗装ローラ11の塗料L1が不足状態であると判定し、塗料L1を塗布ハンド10に補給する補給工程を行う(S24)。
【0050】
具体的には、補給工程S24において、プロセッサ21は、ロボットアーム13を制御することにより、図1に示す貯留部16の位置に塗布ハンド10を移動させて、貯留部16内の塗料L1を塗装ローラ11に補給する。これにより、塗装ローラ11に塗料L1が不足した場合に、塗料L1の補給を迅速に行うことができる。なお、貯留部16内の塗料L1がなくなった場合には、ユーザは、塗料缶30から貯留部16に塗料L1を注入するものとする。
【0051】
次に、S23において、プロセッサ21は、第1回転モーメントMX及び第2回転モーメントMZが、第2閾値未満か否かの判定を行う。S23において、プロセッサ21は、第1回転モーメントMX及び第2回転モーメントMZが、第2閾値未満でない場合(S23:NO)、即ち第2閾値以上である場合、補正工程を行う(S25)。
【0052】
例えば、第1回転モーメントMXの値が大きすぎる場合、図5に示すように、塗装ローラ11がワークWから浮いて、均一な塗装ができないおそれがある。従って、第1回転モーメントMXの値が第2閾値以上である場合には、ロボットコントローラ20は、第1回転モーメントMXの回転方向と略反対方向に塗装ローラ11が動くよう、塗装ローラ11の位置や角度を調節する。これにより、第1回転モーメントMXの値を小さくすることができる。
【0053】
また、例えば第2回転モーメントMZの値が大きすぎる場合、図6に示すように、塗装ローラ11がワークWの上下に動いて、均一な塗装ができていないおそれがある。従って、第2回転モーメントMZの値が第2閾値以上である場合は、ロボットコントローラ20は、MZの回転方向と略反対方向に塗装ローラ11が動くよう、塗装ローラ11の位置や角度を調節する。これにより、第2回転モーメントMZの値を小さくすることができる。
【0054】
補正工程S25において、プロセッサ21は、第1回転モーメントMX、及び第2回転モーメントMZが、第2閾値未満になるように、ロボットアーム13の姿勢を補正する。このように、塗布ハンド10が、ワークWの塗布面に対して水平な軸を回転軸として回転することを抑制すると共に、ワークWの塗布面に対して垂直な軸を回転軸として回転することを抑制する。これにより、塗布ハンド10とワークWとの接触面積を増やしながら、ワークWへの塗装を正確に行うことができる。
【0055】
一方、第1回転モーメントMX及び第2回転モーメントMZが、第2閾値未満である場合(S23:YES)、ロボットコントローラ20は、図10の判定工程S13を終了する。また、S24又はS25が完了すると、ロボットコントローラ20は、図10の判定工程S13を終了する。判定工程S13、及び図9の塗装工程S11が終了すると、図9の塗布工程S3を終了する。
【0056】
なお、S21、S22、及びS23の条件判定は、順不同で実行されてもよい。また、S22の条件判定を、S21及びS23の条件判定より先に行い、S22でYESの場合は、補給工程S24を実行してから、S21及びS23の条件判定を実行してもよい。もしくは、S21及びS23の条件判定をS22の条件判定より先に行い、S21でNOである場合、及びS23でNOである場合は、それぞれ補正工程S25を経て、次の条件判定を実行してよい。そして、最後にS23の条件判定を実行してもよい。
【0057】
次に、図8のフローチャートにおいて、ロボットコントローラ20は、S4において、設定された塗布プログラムが完了したか否かの判定を行う。塗布プログラムが完了していない場合(S4:NO)、ロボットコントローラ20はS2に戻り、搬送工程を行う。この搬送工程S2では、図7に示すように、ロボットコントローラ20は、AGV15を制御することによって、ロボットアーム13全体の位置を、ワークWに対して右方向に移動させて、塗布開始位置P1から塗布位置P2へ移動させる。なお、塗布プログラムの規定によっては、ここでAGV15の動作が行われない場合がある。例えば、ロボットアーム13が届く範囲内の塗装を行う場合には、S2の工程は省略してもよい。
【0058】
続いて、ロボットコントローラ20は、塗布工程S3において、未塗装のワークW2に対して、塗装済みのワークW1と同様に、自動塗布装置1によって塗料L1の塗布を行う。このように、必要に応じてAGV15でロボットアーム13を搬送し、その後に塗布することを繰り返すことで、塗布ハンド10により広範囲にわたってワークWに対して塗装を行うことができる。
【0059】
S3の後、再び、ロボットコントローラ20は、塗布プログラムが完了したか否かの判定を行い(S4)、設定工程S1にて設定した塗布プログラムが完了した場合(S4:YES)、図8に示すフローを終了する。
【0060】
以上説明したように、実施形態1の自動塗布装置1によれば、力覚センサ14の出力信号(fx,fy,fz,mx,my,mz)から算出されたパラメータ(FX,FY,FZ,MX,MY,MZ)に基づいて、塗布ハンド10が取り付けられたロボットアーム13を正確に制御できるので、塗布ハンド10によってワークWに対して自動で正確に液体である塗料L1を塗布することができる。
【0061】
〔実施形態2〕
次に、本発明の実施形態2の自動塗布装置1Aの塗布ハンド10Aについて、図11図13を参照して説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0062】
図11は、実施形態2における自動塗布装置1Aの主要な構成を示す側面図である。図12は、図11の自動塗布装置1Aが備える塗布ハンド10Aによる接着剤L2の塗布の様子を示す側面図である。図13は、図11の自動塗布装置1Aが備える塗布ハンド10AがワークWに水平な軸を回転軸として回転する様子を示す側面図である。
【0063】
実施形態2の自動塗布装置1Aは、図11に示すように、塗布ハンド10Aと、ロボットアーム13と、力覚センサ14と、貯留部16Aとを備えている。塗布ハンド10Aは、塗装ローラ11Aと、シリンジ17Aと、取付部の一例である第1取付部12A及び第2取付部18Aとを有している。なお、ロボットアーム13は、AGV15に搭載されていてもよい。
【0064】
塗装ローラ11Aは、液体の一例である接着剤L2を、工作物等のワークWに塗布するためのローラ部材である。塗装ローラ11Aは、例えば円盤状であり、シリンジ17Aの先端部に回転可能に取り付けられている。第1取付部12A及び第2取付部18Aは、シリンジ17Aをロボットアーム13に取り付けるための部材である。力覚センサ14は、第1取付部12Aと第2取付部18Aとの間に配置されている。
【0065】
力覚センサ14は、シリンジ17Aに作用する力fx,fy,fz及びモーメントmx,my,mzを検出する(図2参照)。ロボットコントローラ20は、力覚センサ14の検出信号に基づいて、塗装ローラ11Aに作用する力FX,FY,FZ、及びモーメントMX,MY,MZを算出する(図11参照)。
【0066】
シリンジ17Aは、接着剤を貯留するための容器であり、供給管6を介して貯留部16Aに接続されている。シリンジ17A内の接着剤L2の残量が少なくなると、貯留部16Aからシリンジ17A内へ接着剤L2が供給される。
【0067】
[自動塗布方法]
次に、実施形態2の自動塗布装置1Aによる自動塗布方法について、図8図10のフローチャートを参照して説明する。なお、実施形態1の自動塗布装置1による自動塗布方法と同じ処理内容の工程については、その説明を省略し、異なる処理内容の工程についてだけ説明する。
【0068】
図8に示すフローチャートにおいて、設定工程S1にて、ユーザはタッチパネル54を操作することによって、接着剤L2の種類、ワークWの寸法、及びワークWの材質を含む塗布条件を設定する。なお、メモリ52には、接着剤L2の種類に対応した粘性係数、ワークWの材質に対応した摩擦係数等の各種データが記憶されているものとする(図3参照)。プロセッサ51は、タッチパネル54により設定された塗布条件と、メモリ52に記憶された各種データとを参照することにより、塗布工程S3にて用いる閾値等を変更する。
【0069】
続いて、プロセッサ21は、ロボットアーム13を制御することにより、ワークWの塗布開始位置P1にロボットアーム13を配置する搬送工程を行い(S2)、実施形態1と同様にして、図9に示す塗布工程を行う(S3)。そして、塗布プログラムが完了するまで、搬送工程S2及び塗布工程S3を繰り返し行うことで、自動塗布装置1Aにより、接着剤L2を広範囲にわたって自動的に塗布できる。なお、AGV15によりロボットアーム13を塗布開始位置P1に移動させてもよい。
【0070】
図10に示す判定工程S13のS21において、プロセッサ21は、垂直抗力FZが所定範囲内か否かの判定を行い、垂直抗力FZが所定範囲内でない場合(S21:NO)、補正工程を行う(S25)。補正工程S25において、プロセッサ21は、垂直抗力FZが所定範囲内になるように、ロボットアーム13の姿勢を制御する。
【0071】
これにより、図12に示すように、塗布ハンド10AのワークWへの押付け力FZを一定に維持でき、ワークWに対して一定の膜厚で接着剤L2を塗布できる。また、ワークWに傾斜面がある場合であっても、ワークWの表面に倣うようにロボットアーム13の姿勢を制御することにより、接着剤L2をワークWの表面に均一に塗布できる。
【0072】
また、プロセッサ21は、図10のS22において、摩擦力FXが第1閾値未満である場合(S22:YES)、シリンジ17A内の接着剤L2が不足したものと判定し、補給工程S24にて、貯留部16Aに設けられた供給機構(図示しない)を駆動させることにより、貯留部16A内の接着剤L2を、供給管6を介してシリンジ17Aに供給する。これにより、塗装ローラ11Aに、接着剤L2を迅速に補給することができる。なお、供給機構は、ポンプ及び弁等を有して構成される。また、S24において、プロセッサ21は、シリンジ17Aから塗装ローラ11Aへの接着剤L2の供給経路にて接着剤L2が詰まる等の不具合が生じたものと判定し、作業者に対してエラーが発生した旨を通知してもよい。
【0073】
また、図13に示すように、塗布ハンド10AにモーメントMXが作用して、塗布ハンド10AがワークWに対して傾いた場合であっても、図10に示すS22の判定及び補正工程S25にて、塗布ハンド10Aの回転量を少なくすることで、シリンジ17AをワークWに対して垂直な状態に維持させることができる。これにより、塗装ローラ11Aによって、ワークWに対して接着剤L2を正確に塗布できる。
【0074】
〔実施形態3〕
次に、本発明の実施形態3における自動塗布装置1Bについて、図14を参照して説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態2にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0075】
図14は、実施形態3における自動塗布装置1Bの主要な構成を示す概略図である。図14に示すように、実施形態3の自動塗布装置1Bでは、塗布ハンド10Bのシリンジ17Bの側面に、支持棒18Bを有する取付部12Bが設けられている。支持棒18Bの先端には、ローラ19Bが回転可能に設けられている。ローラ19Bは、ワークWと接触しながら回転することにより、塗布ハンド10Bの移動を補助する機能を有する。
【0076】
シリンジ17Bの先端には、接着剤L2を吐出するための吐出部11Bが設けられている。ローラ19BがワークWに接触した状態において、吐出部11BとワークWとの間には、垂直方向に間隔が生じるようになっている。
【0077】
支持棒18Bと取付部12Bとの間には、力覚センサ14が配置されている。ロボットコントローラ20は、力覚センサ14からの出力信号に基づいて、ローラ19Bを介して塗布ハンド10BがワークWから受ける力(FX,FY,FZ)及びモーメント(MX,MY,MZ)を良好に算出することが可能である。
【0078】
取付部12Bには、調整部40が配置されている。調整部40は、マイクロゲージ41と、第1部材42と、第2部材43とを有している。調整部40は、マイクロゲージ41を回転させることにより、第2部材43に対して第1部材42を図14の上下方向に移動可能な構成となっている。
【0079】
調整部40の第1部材42は、取付部12Bを介して、シリンジ17Bに接続されている。また、第2部材43は、取付部12Bを介して、ロボットアーム13に接続されている。これにより、作業者は、調整部40のマイクロゲージ41を回転させることで、ワークWに対して垂直な方向のシリンジ17Bの位置を微調整することが可能である。
【0080】
[自動塗布方法]
次に、実施形態3の自動塗布装置1Bによる自動塗布方法について、図8図10のフローチャートも参照して説明する。なお、実施形態2の自動塗布装置1Bによる自動塗布方法と同じ処理内容の工程については、その説明を省略し、異なる処理内容の工程についてだけ説明する。
【0081】
続いて、プロセッサ21は、図7に示すAGV15を移動させることにより、ワークWの塗布開始位置P1にロボットアーム13を配置する搬送工程を行う(S2)。そして、実施形態1と同様にして、図9に示す塗布工程を行う(S3)。これにより、自動塗布装置1Bにより、広範囲にわたって接着剤L2を自動的に塗布することができる。なお、ユーザが、搬送車等を使用してロボットアーム13を塗布開始位置P1に移動させてもよい。
【0082】
実施形態3では、プロセッサ21は、図10に示す判定工程S13のS22において、摩擦力FXが第1閾値未満である場合(S22:YES)、補給工程S24において、貯留部16Aに設けられた供給機構(図示しない)を駆動させることにより、貯留部16A内の接着剤L2を、供給管6を介してシリンジ17Aに供給する。これにより、塗装ローラ11Aに、接着剤L2を迅速に補給することが可能である。
【0083】
また、図12に示すように、ワークWに傾斜面がある場合であっても、図10に示すS21の判定、及び補正工程S25において、塗装ローラ11AがワークWを押し付ける押付け力FZが一定となるように、プロセッサ21によりロボットアーム13の動作が制御される。このため、ワークWに対して接着剤L2を均一に塗布することができる。
【0084】
また、図13に示すように、塗布ハンド10AがワークWの塗布面に対して傾いた場合であっても、図10に示すS22の判定、及び補正工程S25において、塗布ハンド10Aの回転を抑制できる。これにより、塗布ハンド10Aの塗布面との接触面積を増やしながら、ワークWに対して接着剤L2を確実に塗布できる。
【0085】
以上説明した実施形態3の自動塗布装置1Bによっても、実施形態2の自動塗布装置1Aと同様の効果を得ることができる。即ち、自動塗布装置1Bによれば、吐出部11BとワークWとの距離を一定に保つことができ、一定の膜厚で接着剤L2をワークWに塗布できる。特に、吐出部11BとワークWとの間に隙間があるので、塗布工程S3において、吐出部11BをワークWに接触させなくてもよく、接着剤L2を良好に塗布することができる。
【0086】
更に、自動塗布装置1Bには、ロボットアーム13とシリンジ17Bとの間に、マイクロゲージ41を有する調整部40が配置されている。このため、作業者がマイクロゲージ41を回転させて、ワークWに対して垂直な方向のシリンジ17Bの位置を微調整することにより、吐出部11Bから塗布される接着剤L2の塗布量を精密に調整することができる。
【0087】
〔その他の実施形態〕
上記した実施形態1の自動塗布装置1では、塗装ローラ11によって塗料L1の塗布を行うものとしたが、これに限らず、例えばハケを用いて塗装を行ってもよい。また、自動塗布装置1により、図7に示すように、ワークWの表面に塗料L1を全体的に塗布するものとしたが、これに限らず、例えば、道路等のワークWの表面に塗料L1を塗布することで、ラインや文字等を描いてもよい。
【0088】
上記した実施形態1~3では、図10に示す判定工程S13のS22において、プロセッサ21は、摩擦力FXが第1閾値未満か否かの判定を行うものとしたが、これに限らず、複数の閾値を設け、段階的に閾値判定を行うようにしてもよい。また、ワークWの摩擦抵抗値が大きく、塗料L1の粘性係数よりもワークWの摩擦抵抗の方が、摩擦力FXに与える影響が大きい場合、S22において、プロセッサ21は、摩擦力FXが所定の閾値以上になった場合に、塗料L1が不足したものと判定して、補給工程S24を行ってもよい。
【0089】
本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0090】
1、1A、1B 自動塗布装置
10、10A、10B 塗布ハンド
11、11A 塗装ローラ
13 ロボットアーム
14 力覚センサ
15 AGV(自動搬送装置)
16、16A 貯留部
17A、17B シリンジ
18B 支持棒
20 ロボットコントローラ(制御部)
50制御装置
100 自動塗布システム
W、W1、W2 ワーク
L1 塗料
L2 接着剤
S1 設定工程
S2 搬送工程
S3 塗布工程
S11 塗装工程
S12 検出工程
S13 判定工程
S24 補給工程
S25 補正工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14