(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023027903
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】ブース
(51)【国際特許分類】
A47B 96/04 20060101AFI20230224BHJP
A47G 5/00 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
A47B96/04 B
A47G5/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021133259
(22)【出願日】2021-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 駿
(72)【発明者】
【氏名】西田 大
(72)【発明者】
【氏名】小倉 広漢
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 真生
(57)【要約】 (修正有)
【課題】側面パネルと背面パネルを簡単確実に取り付けることを可能なブースを提供する。
【解決手段】ブースは、ブース本体が、側面パネルの隣接位置に利用者の出入り口となる開口を有し、開口の一部を閉止する背面パネルを、取付具を介して側面パネルに取り付けるようにしたものであって、取付具は、背面パネルのパネル本体3Pの縁部を両面から挟んで取り付ける構造のものである。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブース本体が、側面パネルの隣接位置に利用者の出入り口となる開口を有し、前記開口の一部を閉止する背面パネルを、取付具を介して前記側面パネルに取り付けるようにしたものであって、
前記取付具は、前記側面パネル又は前記背面パネルの少なくとも一方のパネル本体の縁部を両面から挟んで取り付ける構造のものである、ことを特徴とするブース。
【請求項2】
前記側面パネル又は前記背面パネルの少なくとも一方のパネル本体に、前記取付具の取付高さを決める凹凸又は孔による位置決め部が設けてある、請求項1に記載のブース。
【請求項3】
前記取付具は、反転させることによってブース本体の開口に対して左右何れの側面パネルにも取付可能である、請求項1又は2に記載のブース。
【請求項4】
前記パネル本体は、芯材の表面に張地を設けたもので、前記位置決め部は芯材に設けてあり、張地で覆われている、請求項2又は3に記載のブース。
【請求項5】
前記位置決め部は孔であり、取付具の取り付け時に張地を貫通して位置決め部に取り付けられる、請求項2~4の何れかに記載のブース。
【請求項6】
前記位置決め部は凹部であり、取付具の取り付け時に取付具が凹部に嵌合するだけで張地を貫通しない、請求項2~4の何れかに記載のブース。
【請求項7】
取付具は、第1の片と第2の片をパネル本体を介して対向させ、一方の片に設けたナットに他方の片から差し込んだボルトを、パネル本体に設けた孔を通して締結している、請求項1~6の何れかに記載のブース。
【請求項8】
前記ナットは一方の片から突出し、ナットとボルトは前記パネル本体の孔の内部で締結する、請求項7に記載のブース。
【請求項9】
第1の片と第2の片の基端部を、側面パネルの内面に重ねた状態で共締している、請求項7又は8に記載のブース。
【請求項10】
前記背面パネルは、下端部を床面よりも高い位置に配置した状態でとりつけられている、請求項1~9の何れかに記載のブース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィスや公共施設等において、個人用の執務や作業に適した使い方を可能とする、ブースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
オフィスや公共施設等において、個人用の執務や作業を行うための空間を形成するものとして、一対の側面パネルと、これらの側面パネルの一端部間を接続する正面パネルとを含んで構成されるブースが知られている(例えば特許文献1参照)。ブースの内部には、正面パネル及び左右の側面パネルに沿って天板が配置され、天板に向かって着座した利用者が、周囲を気にせずに執務や作業に集中できるような空間が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のブースは、背面側の開口がブース内空間の出入り口となっており、この開口が完全に開放されているため、背後からの視線が気になり、ブース内の様子が外部から簡単に視認されてしまう。
【0005】
本発明は、これらの課題に着目してなされたものであって、簡単な構造でブース内空間の背後を遮蔽できるようにした新たなブースを実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0007】
すなわち、本発明のブースは、ブース本体が、側面パネルの隣接位置に利用者の出入り口となる開口を有し、前記開口の一部を閉止する背面パネルを、取付具を介して前記側面パネルに取り付けるようにしたものであって、前記取付具は、前記側面パネル又は前記背面パネルの少なくとも一方のパネル本体の縁部を両面から挟んで取り付ける構造のものである、ことを特徴とする。
【0008】
このようにすると、側面パネルと背面パネルを簡単確実に取り付けることができるため、ブース本体の開口の一部を閉止する背面パネルを取り付けることで、ブース内空間の背後を遮蔽できる。
【0009】
本発明のブースにおいて、前記側面パネル又は前記背面パネルの少なくとも一方のパネル本体に、前記取付具の取付高さを決める凹凸又は孔による位置決め部が設けてあることが好適である。
【0010】
このようにすると、背面パネルの位置決めを正確に行うことができる。
【0011】
本発明のブースにおいて、前記取付具は、反転させることによってブース本体の開口に対して左右何れの側面パネルにも取付可能であることが好適である。
【0012】
このようにすると、取付具をブース本体の開口に対して左右何れの側面パネルに取付可能にする場合でも、構成部品の共有がし易いものとなる。
【0013】
本発明のブースにおいて、前記パネル本体は、芯材の表面に張地を設けたもので、前記位置決め部は芯材に設けてあり、張地で覆われていることが好適である。
【0014】
このようにすると、パネル本体の芯材に位置決め部を設けた場合でも、パネルの外観に影響がない。
【0015】
本発明のブースにおいて、前記位置決め部は孔であり、取付具の取り付け時に張地を貫通して位置決め部に取り付けられることが好適である。
【0016】
このようにすれば、背面パネルを取り付ける前は位置決め部がブースの外観に影響を与えず、背面パネルを使用する際には取付具によって確実に固定することができる。
【0017】
本発明のブースにおいて、前記位置決め部は凹部であり、取付具の取り付け時に取付具が凹部に嵌合するだけで張地を貫通しないことが好適である。
【0018】
このようにすると、背面パネルを取り付ける前は位置決め部がブースの外観に影響を与えず、取付時には張地が一時的に凹むだけで、背面パネルを取り除いても位置決め部がブースの外観に影響を与えることがない。
【0019】
本発明のブースにおいて、取付具は、第1の片と第2の片をパネル本体を介して対向させ、一方の片に設けたナットに他方の片から差し込んだボルトを、パネル本体に設けた孔を通して締結していることが好適である。
【0020】
このようにすると、ボルトとナットの締め付け力を第1の片と第2の片の挟み込み力に分散するので、パネル本体の一部を局所的に挟み込むことがない。このため、背面パネルを軽量素材で構成しても、変形を防止することができる。
【0021】
本発明のブースにおいて、前記ナットは一方の片から突出し、ナットとボルトは前記パネル本体の孔の内部で締結することが好適である。
【0022】
このようにすると、ボルトとナットの締結部分が外観を棄損することを防止することができる。また、ナットがパネル本体の孔の内部に嵌まり込むため、一方の片がパネル本体に対してこじれ難くなる。
【0023】
本発明のブースにおいて、第1の片と第2の片の基端部を、側面パネルの内面に重ねた状態で共締していることが好適である。
【0024】
このようにすると、背面パネルを側面パネルに取り付ける取付作業の簡略化が図れる。
【0025】
本発明のブースにおいて、前記背面パネルは、下端部を床面よりも高い位置に配置した状態でとりつけられていることが好適である。
【0026】
このようにすると、背面パネルの下端部が解放されているので、利用者がブース内空間に出入りし易く、閉塞感が緩和される。背面パネルが軽量になる。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、以上説明した構成であるから、側面パネルと背面パネルを簡単確実に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本実施形態のブースである第1のブース1の斜視図。
【
図5】本実施形態のブースである第2のブース2の斜視図。
【
図8】第1のブース1と第2のブース2を組み合わせて構成されるブースユニットの一例を示す図。
【
図12】取付具を背面パネルのパネル体に取り付ける方法を示す図。
【
図13】第1部材を背面パネルのパネル体に取り付ける方法を示す図。
【
図14】第1部材を背面パネルのパネル体に取り付ける方法を示す図。
【
図15】背面パネルのパネル体に取り付けた第1部材に第2部材を取り付ける方法を示す図。
【
図16】背面パネルのパネル体に取り付けた第1部材に第2部材を取り付ける方法を示す図。
【
図17】背面パネルに取り付けた取付具を側面パネルに取り付ける方法を示す図。
【
図18】背面パネルに取り付けた取付具を側面パネルに取り付ける方法を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0030】
図1は本実施形態
の第1のブース1の斜視図、
図2は
図1の分解斜視図、
図3は第1のブースの平面図、
図4は同底面図である。
図5は本実施形態の第2のブース2の斜視図、
図6は第2のブースの平面図、
図7は同底面図である。
図8は第1のブースと第2のブースを組み合わせて構成されるブースユニットの一例を示す図である。
【0031】
第1のブース1及び第2のブース2は、単独使用できるほか、
図8(a)~(b)に示すように第1のブース1に第2のブース2を隣接配置して使用すること等も可能とされている。
【0032】
図1~
図4に示す第1のブース1は、対向して配置される一対の側面パネル11、12と、これらの側面パネル11、12の一端部11a、12a間に接続される正面パネル13とを含むブース本体10を主体とし、全体が平面視コ字型をなすことによって自立可能とされ、内部に居住空間となるブース内空間S1を形成する。側面パネル11、12の他端部11b、12b間は、ブース内空間S1に利用者が出入りするための開口OP1とされる。
【0033】
側面パネル11、12及び正面パネル13を構成するパネル体11P、12P、13Pは、ペーパーハニカム等の軽量芯材の両面に面材を貼り合わせたものを張地で覆うことによって構成される。正面パネル13は縦長矩形状をなす。側面パネル11、12は、正面パネル13側の一端部11a、12aが鉛直に延びるのに対して、開口OP1側の他端部11b、12bは、略鉛直に延びる上端部11b1、12b1と、この上端部11b1、12b1の下に連なり床に向かうにつれて正面パネル13に近づくように傾斜する傾斜端部11b2、12b2とを含んで構成される矩形に近い形状をなす。
【0034】
正面パネル13及び側面パネル11、12は同一高さに寸法に設定され、一対の側面パネル11、12は同一形状に設定されている。厚み寸法は正面パネル13、側面パネル11、12ともに同一である。
【0035】
正面パネル13と側面パネル11、12の突き合わせコーナー部分の上端部13c-11c間、13c-12c間は、簡易連結手段として平面視L字状の連結具101をボルト101aで止着することによって連結される。正面パネル13と側面パネル11、12の突き合わせコーナー部分の下端部13d-11d間、13d-12d間は、簡易連結手段として底面視L字状の連結具102をボルト102aで止着することによって連結される。正面パネル13の下端部13dにおける左右2箇所、及び、側面パネル11、12の下端部11d、12dにおける前後2箇所には、接地部材として接地高さを調整するアジャスタ103が取り付けられている。
【0036】
第1のブース1には、正面パネル13及び一対の側面パネル11、12を含むブース本体10の内側のパネル面10xに沿って天板14が配置される。天板14の取り付けのために、
図4に示すように、正面パネル13と一方の側面パネル11を接続する位置に第1のブラケット141を備え、正面パネル13と他方の側面パネル12を接続する位置に第2のブラケット142を備えるとともに、天板14の使用端14bに近い位置に側面パネル12に接続された第3のブラケット143を備えている。そして、利用者から見て天板14の奥端部14a側のコーナー部14a1、14a2を第1、第2のブラケット141、142に支持させ、天板14の使用端部14b側のコーナー部14b1、14b2を第3のブラケット144、144に支持させた状態で、下面からボルト止めしている。
【0037】
第1のブラケット141は、矩形状の平板141aの2辺に立面141b、141cを有したもので、その立面141b、141cが正面パネル13と側面パネル11のパネル面に設けたインサートナットにボルトを用いて締結されている(不図示)。
【0038】
第2のブラケット142は、矩形状の平板142aの2辺に立面142b、142cを有したもので、その立面142b、142cが正面パネル13と側面パネル12のパネル面に設けたインサートナットにボルトを用いて締結されている(不図示)。
【0039】
第3のブラケット143は、矩形状の平板143aの1辺に立面143bを有したもので、その立面143bが側面パネル11、12のパネル面に設けたインサートナットにボルトを用いて締結されている(不図示)。
【0040】
このように正面パネル13及び一対の側面パネル11、12に天板14を連結することによって、ブース1の強度が確保されている。
【0041】
なお、天板14の取付状態で、その奥端部14aと正面パネル13の内側のパネル面との間には隙間Δ1が設けてあり、第1、第2のブラケット141、142の平板141a、142aのコーナー部には鉛直方向に貫通する貫通孔141d、142dが設けてある。
【0042】
一方、
図5~
図7に示す第2のブース2は、1つの側面パネル21と、この側面パネル21の一端部21aに接続される正面パネル23とを含むブース本体20を主体する。側面パネル21と対向する側には側面パネルが設けられておらず開放部22とされている。この開放部22の下方には天板24を支持する天板脚としての脚パネル240が配置される。第2のブース2は、正面パネル23、側面パネル21及び脚パネル240がコ字型に接続されることによって自立可能とされている。
【0043】
この開放部22は、例えば
図5及び
図8(a)、(b)で示すように第1のブース1の側面パネル11に閉止され、或いは
図8(c)に示すように壁Wに閉止されることによって、平面視コ字型のブース内部空間S2を形成し、居住空間とすることができる。第2のブース2の開放部22は、他の第2のブース2の側面パネル21によって閉止することによってもブース内空間S2が形成される。
【0044】
側面パネル21の他端部21bと第1のブース1の側面パネル11の他端部11bとの間(或いは側面パネル21の他端部21bと壁Wとの間、或いは側面パネル21の他端部21bと他の第2ブース2の側面パネル21の他端部21bとの間)は、ブース内空間Sに利用者が出入りするための開口OP2とすることができる。
【0045】
正面パネル23、側面パネル21及び脚パネル240を構成するパネル体23P、21P、240Pは、ペーパーハニカム等の軽量芯材の両面に面材を貼り合わせたものを張地で覆うことによって構成される。正面パネル23は縦長矩形状をなしている。側面パネル21は、正面パネル23側の一端部21aが略鉛直に延びるのに対して、他端部21bは、略鉛直に延びる上端部21b1と、この上端部21bの下に連なり床に向かうにつれて正面パネル21に近づくように傾斜する傾斜端部21b2とを含んで構成される矩形に近い形状をなしている。
【0046】
正面パネル23及び側面パネル21は同一高さに寸法に設定されている。脚パネル240の前方寸法は側面パネル21の前後寸法よりも小さく設定される。厚み寸法は正面パネル23、側面パネル21、脚パネル240とも同一である。
【0047】
正面パネル23と側面パネル21の突き合わせコーナー部分の上端部23c-21c間は、簡易連結手段として平面視L字状の連結具201をボルト201aで止着することによって連結される。正面パネル23と側面パネル21の突き合わせコーナー部分の下端部23d-21d間、及び、正面パネル23と脚パネル240の突き合わせコーナー部分の下端部23d-240d間は、簡易連結手段として底面視L字状の連結具202をボルト202aで止着することによって連結される。正面パネル23の下端部23dにおける左右2箇所、側面パネル21の下端部21dにおける前後2箇所、脚パネル240の下端部240dにおける前後2箇所には、接地部材として接地高さを調整するアジャスタ203が取り付けられている。
【0048】
第2のブース2には、正面パネル23及び1つの側面パネル21を含むブース本体20の内側のパネル面20xに沿って天板24が配置される。脚パネル240は、外面240sを天板24の側端面24sに合致させて天板下面に配置される。天板取り付けのために、正面パネル23と側面パネル21を接続する位置に第1のブラケット241を備え、正面パネル23と脚パネル240を接続する位置に第2のブラケット242を備えるとともに、天板24の使用端24bに近い位置に側面パネル21及び脚パネル240に接続された第3のブラケット243を備えている。そして、利用者から見て天板24の奥端部24a側のコーナー部24a1、24a2を第1、第2のブラケット241、242に支持させ、天板24の使用端部24b側のコーナー部24b1、24b2を側面パネル21と脚パネル240に接続した第3のブラケット243、243に支持させた状態で、下面からボルト止めしている。
【0049】
第1のブラケット241は、矩形状の平板241aの2辺に立面241b、241cを有したもので、その立面241b、241cが正面パネル23と側面パネル21のパネル面に設けたインサートナットにボルトを用いて締結されている(不図示)。
【0050】
第2のブラケット242は、矩形状の平板242aの2辺に立面242b、242cを有したもので、その立面242b、242cが正面パネル23と脚パネル240のパネル面に設けたインサートナットにボルトを用いて締結されている(不図示)。
【0051】
第3のブラケット243は、矩形状の平板243aの1辺に立面243bを有したもので、その立面243bが側面パネル21、脚パネル240のパネル面に設けたインサートナットにボルトを用いて締結されている(不図示)。
【0052】
このように正面パネル23、側面パネル21及び脚パネル240を連結することによって、ブース2の強度が確保されている。
【0053】
なお、天板24の取付状態で、その奥端部24aと正面パネル23の内側のパネル面との間には隙間Δ2が設けてあり、第1、第2のブラケット241、242の平板241a、242aのコーナー部には鉛直方向に貫通する貫通孔241d、242dが設けてある。
【0054】
第1のブース1の正面パネル13と第2のブース2の正面パネル23のパネル体13P、23Pには共通のパネル体が用いてあり、第1のブース1の側面パネル11、12と第2のブース2の側面パネル11のパネル体11P、12P、21Pにも共通のパネル体が用いてある。第1のブース1の天板14と第2のブース2の天板24にも共通の面板が用いてある。第1のブース1に用いられている第1、第2のブラケット141、142と第2のブース2に用いられている第1、第2のブラケット241、242は共通のものである。第1のブース1に用いられている第3ブラケット143と第2のブース2に用いられている第3ブラケット243も共通のものである。
【0055】
第1、第2のブース1、2には、必要に応じて背面パネル3が取り付け可能とされている。例えば。
図1に示す第1のブース1では、背面パネル3は、側面パネル11のうち正面パネル13に接続される一端部11aと反対側の他端部11bから正面パネル13と相対する位置に向かって延びる位置に取り付けられる。
【0056】
背面パネル3は、ブース内空間S1への出入口となる開口OP1を一部閉塞することで、ブース内空間S1を利用する利用者の背面からの視線を遮断する。背面パネル3を構成するパネル体3Pは、概略矩形板状のもので、ペーパーハニカム等の軽量芯材の両面に面材を貼り合わせたものを張地で覆うことによって構成される。
【0057】
背面パネル3は、一側縁3aを取付具31を介して一方の側面パネル11の他端部11bに鉛直姿勢で取り付けられる。平面視において背面パネル3は、当該他端部11bから他方の側面パネル12に向かうにつれて正面パネル13から離れる方向に傾斜した状態で取り付けられる。背面パネル3の高さ寸法は、側面パネル11の他端部11bの上端部11b1の長さに対応するもので、下端部3bは床面から上方に離間した位置に配置され、背面パネル3の下方は開放部OP1の開放状態がそのまま維持される。この実施形態で下端部3bの位置は、側面パネル11の高さ方向の中央よりもやや上の位置に設定されている。この位置は、天板面よりもやや高く、したがって椅子の出し入れ時に少なくとも座が背面パネル3と緩衝しない高さ関係にある。背面パネル3は、
図3に想像線で示すように、一側縁3aを他方の側面パネル12の他端部12b側に同じ取付具31を介して付け替えることもできるようにされている。
【0058】
図5に示す第2のブース2においても、背面パネル3は同じ取付具31を用いて同じ状態で側面パネル21への取り付けが可能とされている。
【0059】
なお、本実施形態のブースユニットを構成する第1、第2のブース1、2には、ブース内空間S1、S2での執務や作業の便に資するために、オプション部材として、共通の携帯端末の立て掛け部4や、照明器具取付装置5等が設けられている。携帯端末の立て掛け部4や照明器具取付装置5は、それぞれ取付具104、105を介して正面パネル13、23に取り付けられ、側面パネル11、12、21、或いは脚パネル240に依存しない取付状態となっている。符号6で示すものはオプション部材たるカップホルダであり、ブラケット143、243を天板14、24に止着する際に共締めされる。
【0060】
図において各パネルにはインサートナットを示す孔が記載されているが、この孔は張地で覆われており、ボルト使用時に張地を貫通させることによってインサートナットへの締結が行われる。天板14、24の下面の孔は当初より開いている。
【0061】
以上において、本実施形態の背面パネル3については、できるだけ簡易且つ適切に側面パネル11などに取り付けることが望まれる。そこで、本実施形態では、背面パネル3の取付具31には、背面パネル3のパネル本体3Pの縁部を両面から挟んで取り付ける構造を採用している。以下、第1のブース1において背面パネル3を側面パネル11に取り付ける場合について説明するが、第2のブース2において背面パネル3を側面パネル21に取り付ける場合も同様である。
【0062】
背面パネル3の取付具31の構成について説明する。
図9は、背面パネル3を取付具31により側面パネル11に取り付けた部分の拡大平面図である。
【0063】
取付具31は、第1部材51と、第2部材61とを有している。
【0064】
第1部材51は、
図10に示すように、背面パネル3の一側縁3aと略同一長さの部材である。第1部材51は、取付面51aと、第1接続面51bと、第2接続面51cと、保持面51dとを有している。取付面51aは、平板状に形成される。第1接続面51bは、取付面51aの一端部から略垂直に折れ曲がった平板状の部分である。第2接続面51cは、第1接続面51bの他端部から取付面51aと対向しない方向に略垂直に折れ曲がった平板状の部分である。
【0065】
保持面51dは、第2接続面51cの他端部から第1接続面51bと対向する方向に折れ曲がった平板状の部分である。保持面51dは、第2接続面51cの他端部から離れるにつれて第1接続面51bからの距離が大きくなるように傾斜している。そのため、第1接続面51b、第2接続面51c及び保持面51dは、背面パネル3の一側縁3aを収容可能な収容凹部51Tを形成する。
【0066】
保持面51dの裏面には、収容凹部51T内に突出する3つの突出部52が形成されている。3つの突出部52は、第1部材51の長手方向一端部近傍と長手方向中央部と長手方向他端部近傍とに互いに離れて形成される。3つの突出部52は、
図10において、3つの(a2-a2線断面)にそれぞれ形成される。突出部52は、略円筒形状の内周面を有しており、その内周面にネジ溝が形成されている。そのため、突出部52は、背面パネル3を保持するための保持ボルト80が締結されるナット52Nを構成している。
【0067】
取付面51a及び第1接続面51bには、3つの突出部52とそれぞれ対向する位置に配置された3つの開口53が形成される。開口53は、矩形状に形成されており、突出部52のナット52Nに締結される保持ボルト80(
図16参照)を通過させるためのものである。また、取付面51aには、取付具31を側面パネル11に取り付ける際に使用する3つの取付開口54が形成される。
【0068】
第2部材61は、
図11に示すように、背面パネル3の一側縁3aと略同一長さの部材である。第2部材61は、取付面61aと、第1接続面61bと、第2接続面61cと、保持面61dとを有している。取付面61aは、平板状に形成され、第1部材51の取付面51aと略同一の大きさを有している。第1接続面61bは、取付面51aの一端部から折れ曲がった平板状の部分である。第2接続面61cは、第1接続面61bの他端部から取付面61aと対向しない方向に略垂直に折れ曲がった平板状の部分である。
【0069】
保持面61dは、第2接続面61cの他端部から第1接続面61bと対向する方向に略垂直に折れ曲がった平板状の部分である。保持面61dには、3つの開口62が形成されている。3つの開口62は、第2部材61の長手方向一端部近傍と長手方向中央部と長手方向他端部近傍とに互いに離れて形成される。3つの開口62は、
図11において、3つの(a4-a4線断面)にそれぞれ形成される。開口62は、円形状に形成されており、突出部52のナット52Nに締結される保持ボルト80(
図16参照)を通過させるためのものである。
【0070】
すなわち、後述するように、第1部材51の取付面51aと第2部材61の取付面61aとを、背面パネル3のパネル本体3Pを介して対向させると、3つの開口62が第1部材51の3つの突出部52とそれぞれ対向する位置に配置される。
【0071】
また、取付面61aには、取付具31を側面パネル11に取り付ける際に使用する3つの取付開口63が形成される。
【0072】
取付具31を背面パネル3のパネル体3Pに取り付ける手順について、
図12~
図16に基づいて説明する。
【0073】
まず、
図12(a)及び
図12(b)に示すように、取付具31の第1部材51を背面パネル3のパネル体3Pの一側縁3aに取り付ける。パネル体3Pの一側縁3aには、第1部材51の3つの突出部52と等間隔に配置された3つの取り付け穴3cが形成されている。取り付け穴3cは円形であり、その直径は突出部52の外径と略同一である。そのため、
図13(a)及び
図13(b)、
図14(a)及び
図14(b)に示すように、第1部材51の3つの突出部52を、パネル体3Pの3つの取り付け穴3cにそれぞれ嵌め込む。
【0074】
引き続き、
図12(b)及び
図12(c)に示すように、パネル体3Pに取り付けた第1部材51に対して第2部材61を取り付ける。その際、
図15(a)及び
図15(b)、
図16(a)及び
図16(b)に示すように、第2部材61の取付面61aを、背面パネル3のパネル本体3Pを介して第1部材51の取付面51aと対向するように配置する。すると、第2部材61の保持面61dに形成された3つの開口62が3つの突出部52にそれぞれ対向する位置に配置される。
【0075】
その状態で、保持ボルト80を第1部材51の第1接続面51bに形成された開口53を通過させて、
図16(a)及び
図16に示すように、第2部材61の保持面61dに形成された開口62を介して、パネル本体11Pに設けた孔を通して、保持ボルト80の先端を突出部52内に挿入して、ナット52Nに締結する。このように、ナット52Nと保持ボルト80は、パネル本体3Pの取り付け孔3cの内部で締結する。
【0076】
その後、六角レンチを第1部材51の開口53を通過させて、六角レンチにより保持ボルト80を回転させて、突出部52内のナット52Nに締結する。このようにして、取付具31(第1部材51及び第2部材61)は、パネル体3Pの一側縁3aを両面から挟んで取り付けられる。
【0077】
上述したように、取付具31をパネル体3Pに取り付けた後、取付具31を取り付けた背面パネル3を側面パネル11に取り付ける方法について、
図17及び
図18に基づいて説明する。
【0078】
側面パネル11のパネル本体11Pは、
図18(a)に示すように、芯材11aの表面に張地11cを設けたものである。芯材11aには、パネル体3Pの取付高さを決める位置決め部11Aが設けられている。位置決め部11Aは、インサートナット11Tの内側に形成される孔である。位置決め部11Aは、芯材11aの表面に設けられた張地11cで覆われている。
【0079】
取付具31を取り付けたパネル体3Pを側面パネル11に取り付ける際、作業者は、張地11cの表面を押圧しながら触れることにより、
図17(a)に示すように、張地11cの内側に設けられた位置決め部11Aの位置を特定する。
【0080】
作業者は、位置決め部11Aの位置を特定すると、
図17(b)に示すように、取付具31において第1部材51の取付面51aと第2部材61の取付面61aとを重ねた部分に形成された取付開口54及び取付開口63を、位置決め部11Aと対向する位置に配置する。
【0081】
その状態で、
図18(a)及び
図18(b)に示すように、取付ボルト81の先端を位置決め部11Aに向かって進入させて、取付ボルト81を張地11cを貫通させてインサートナット11T(位置決め部11A)に締結する。このように、第1部材51の取付面51aと第2部材61の取付面61aを、側面パネル11の内面に重ねた状態で共締している。背面パネル3は、その下端部を床面よりも高い位置に配置した状態で取り付けられる。
【0082】
以上説明したように、本実施形態のブース1は、ブース本体10が、側面パネル11、12の隣接位置に利用者の出入り口となる開口OP1を有し、開口OP1の一部を閉止する背面パネル3を、取付具31を介して側面パネル11に取り付けるようにしたものであって、取付具31は、背面パネル3のパネル本体3Pの縁部を両面から挟んで取り付ける構造のものである。
【0083】
このようにすると、側面パネル11と背面パネル3を簡単確実に取り付けることができるため、ブース本体10の開口OP1の一部を閉止する背面パネル3を取り付けることで、ブース内空間の背後を遮蔽できる。
【0084】
側面パネル11のパネル本体11Pに、取付具31の取付高さを決める孔による位置決め部11Aが設けてある。
【0085】
このようにすると、背面パネル3の位置決めを正確に行うことができる。
【0086】
本実施形態のブース1において、取付具31は、反転させることによってブース本体の開口OP1に対して左右何れの側面パネル11、12にも取付可能である。
【0087】
このようにすると、取付具31をブース本体10の開口OP1に対して左右何れの側面パネル11、12に取付可能にする場合でも、構成部品の共有がし易いものとなる。
【0088】
本実施形態のブース1において、側面パネル11のパネル本体11Pは、芯材11aの表面に張地11cを設けたもので、位置決め部11Aは、芯材11cに設けてあり、張地11cで覆われている。
【0089】
このようにすると、側面パネル11のパネル本体11Pの芯材11aに位置決め部11Aを設けた場合でも、パネルの外観に影響がない。
【0090】
本実施形態のブース1において、位置決め部11Aは、孔であり、取付具31の取り付け時に張地11cを貫通して位置決め部11Aに取り付けられる。
【0091】
このようにすれば、背面パネル3を取り付ける前は位置決め部11Aがブース1の外観に影響を与えず、背面パネル3を使用する際には取付具31によって確実に固定することができる。
【0092】
本実施形態のブース1において、取付具31は、第1の片である第1部材51の保持面51dと第2の片である第2部材61の保持面61dを背面パネル3のパネル本体3Pを介して対向させ、一方の片である第1部材51の保持面51dに設けたナット52Nに、他方の片である第2部材61の保持面61dから差し込んだ保持ボルト80を、背面パネル3のパネル本体3Pに設けた取り付け孔3cを通して締結している。
【0093】
このようにすると、保持ボルト80とナット52Nの締め付け力を、第1部材51の保持面51dと第2部材61の保持面61dの挟み込み力に分散するので、背面パネル3のパネル本体3Pの一部を局所的に挟み込むことがない。このため、背面パネル3を軽量素材で構成しても、変形を防止することができる。
【0094】
本実施形態のブース1において、ナット52Nは、一方の片である第1部材51の保持面51dから突出し、ナット52Nと保持ボルト80は、背面パネル3のパネル本体3Pの取り付け孔3cの内部で締結する。
【0095】
このようにすると、保持ボルト80とナット52Nの締結部分が外観を棄損することを防止することができる。また、ナット52Nが背面パネル3のパネル本体3Pの取り付け孔3cの内部に嵌まり込むため、一方の片である第1部材51の保持面51dが背面パネル3のパネル本体3Pに対してこじれ難くなる。
【0096】
本実施形態のブースにおいて、第1の片である第1部材51の取付面51aと第2の片である第2部材61の取付面61aを、側面パネル11の内面に重ねた状態で共締している。
【0097】
このようにすると、背面パネルを側面パネルに取り付ける取付作業の簡略化が図れる。
【0098】
本実施形態のブース1において、背面パネル3は、下端部を床面よりも高い位置に配置した状態で取り付けられている。
【0099】
このようにすると、背面パネル3の下端部が解放されているので、利用者がブース内空間に出入りし易く、閉塞感が緩和される。背面パネル3が軽量になる。
【0100】
以上、本発明の実施形態について説明したが、各部の構成は上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0101】
上記実施形態では、位置決め部11Aが孔であり、取付具31の取り付け時に取付ボルト81が張地11cを貫通して位置決め部11Aに取り付けられるが、それに限られない。
【0102】
例えば、
図19(a)に示すように、位置決め部111Aは、取付部材111Tに形成された凹部でもよい。この場合。取付具31の取り付け時に、その先端に凸部を有する取付部材181を位置決め部111A内に進入させた場合、
図19(b)に示すように、張地11cが凹部内において取付部材181の凸部に沿って撓む。このように、位置決め部111Aは凹部であり、取付具31の取り付け時に取付部材181が凹部に嵌合するだけで張地11cを貫通しないものでもよい。なお、位置決め部111Aが、取付部材111Tに形成された凸部であり、その先端に凹部を有する取付部材181を位置決め部111A内に向かって移動させた場合も同様に、張地11cが凹部内において凸部に沿って撓む。
【0103】
このようにすると、背面パネル3を取り付ける前は位置決め部111Aがブース1の外観に影響を与えず、取付時には張地11cが一時的に凹むだけで、背面パネル3を取り除いても位置決め部111Aがブース1の外観に影響を与えることがない。
【0104】
上記実施形態では、取付具31の第1部材51及び第2部材61の形状の例を示したが、第1部材51及び第2部材61の形状は、背面パネル3のパネル本体3Pの縁部を両面から挟んで取り付ける構造のものであれば、任意である。
【0105】
例えば、
図20に示すように、第1部材151が、取付面51aと、第1接続面51bと、第2接続面51cと、保持面151dとを有し、第2部材161が、取付面161aと、保持面161bと有するものでもよい。この場合、保持面151dは、上記実施形態の保持面51dよりも長く形成されており、保持面151dの裏面に、3つの突出部52が形成されている。
【0106】
上記実施形態では、取付具31が、背面パネル3のパネル本体3Pの縁部を両面から挟んで取り付ける構造のものであり、取付具31を取り付けた背面パネル3を側面パネル11に取り付ける場合を説明したが、それに限られない。取付具31が、側面パネル11のパネル本体11Pの縁部を両面から挟んで取り付ける構造のものであり、取付具31を取り付けた側面パネル11に背面パネル3を取り付けてもよい。
【0107】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0108】
1 ブース
2 ブース
3 背面パネル
3c 取り付け孔
3P パネル本体
10 ブース本体
20 ブース本体
11 側面パネル
11a 芯材
11c 張地
11P パネル本体
11A 位置決め部
12 側面パネル
31 取付具
51 第1部材(第1の片)
51a 取付面
51d 保持面
61 第2部材(第2の片)
61a 取付面
61d 保持面
52N ナット
80 保持ボルト
81 取付ボルト
111A 位置決め部
181 取付部材
151 第1部材(第1の片)
151d 保持面
161 第2部材(第2の片)
161a 取付面
161d 保持面