(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023027905
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】ブース
(51)【国際特許分類】
A47B 17/04 20060101AFI20230224BHJP
A47B 17/00 20060101ALI20230224BHJP
A47B 21/04 20060101ALI20230224BHJP
A47B 96/04 20060101ALI20230224BHJP
A47B 13/00 20060101ALI20230224BHJP
G06F 1/16 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
A47B17/04
A47B17/00 A
A47B21/04
A47B96/04 B
A47B13/00 B
G06F1/16 313A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021133261
(22)【出願日】2021-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 駿
(72)【発明者】
【氏名】西田 大
(72)【発明者】
【氏名】小倉 広漢
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 真生
【テーマコード(参考)】
3B053
【Fターム(参考)】
3B053NN00
3B053SA02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ブース内空間で適切に携帯端末を使用できるようにした、新たなブースを実現する。
【解決手段】一部に利用者Uが出入りするための開口OP1(OP2)を有し内側に居住空間となるブース内空間S1(S2)を形成するブース本体パネル10(20)と、ブース本体パネル10(20)の内側のパネル面10x(20x)に沿って配置される天板14(24)とを備え、天板14(24)に向かって着座する利用者Uの向く方向のパネル面10x(20x)に沿う位置に携帯端末設置部を配置するとともに、この携帯端末設置部の対向側で利用者Uの背面となる位置に開口OP1(OP2)の一部を閉止する背面パネル3を設けることとした。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一部に利用者が出入りするための開口を有し内側に居住空間を形成するブース本体パネルと、前記ブース本体パネルの内側のパネル面に沿って配置される天板とを備え、前記天板に向かって着座する利用者の向く方向のパネル面に沿う位置に携帯端末設置部を配置するとともに、この携帯端末設置部の対向側で利用者の背面となる位置に前記開口の一部を閉止する背面パネルを設けた、ことを特徴とするブース。
【請求項2】
前記携帯端末設置部は、天板上方で、当該天板の左右何れかの奥端部よりの位置またはブース本体パネルの左右何れかのコーナー部近傍に配置され、前記背面パネルは、ブース本体パネルの左右開口縁のうち何れか一方に設けてある、請求項1に記載のブース。
【請求項3】
前記携帯端末設置部に設置した携帯端末の画面に対して、背面パネルは略並行となるように、前記ブース本体パネルを構成する正面パネルに対して斜めに配置される、請求項1又は2に記載のブース。
【請求項4】
前記携帯端末設置部は、立て掛け式のもので、携帯端末の転倒を防ぐ凹部または凸部を有するものである、請求項1~3の何れかに記載のブース。
【請求項5】
前記携帯端末設置部は、三角形状の上面と、その上面の一辺に沿う携帯端末保持用の凹溝とを有し、前記上面は、三角形の頂点が天板上方位置で天板の左右何れかの奥端部またはブース本体パネルを構成する正面パネルと側面パネルが成すコーナー部近傍に配置され、前記凹溝が利用者側に沿うように配置される、請求項4に記載のブース。
【請求項6】
前記携帯端末設置部は、ブース本体パネルの内面に沿って鉛直方向に延びるダクト又はブラケットを利用して取り付けられる、請求項1~5の何れかに記載のブース。
【請求項7】
前記ブース本体パネルは、下端部を直接又は接地部材を介して床面に接地し、前記背面パネルは、下端部を床面よりも高い位置に配置した状態で取り付けられている、請求項1~6の何れかに記載のブース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィスや公共施設等において、個人用の執務や作業に適した使い方を可能とする、ブースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
オフィスや公共施設等において、個人用の執務や作業を行うための空間を形成するものとして、一対の側面パネルと、これらの側面パネルの一端部間を接続する正面パネルとを含んで構成されるブースが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
ブースの内部には、正面パネル及び左右の側面パネルに沿って天板が配置され、天板に向かって着座した利用者が、周囲を気にせずに執務や作業に集中できるような空間が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このようなブース内での執務や作業には、携帯端末の使用が欠かせない。しかしながら、特許文献1のブースでは携帯端末をセットするための配慮がされていないため、WEB会議などを行う際に携帯端末を安定的に設置する場所がなく、不便である。
【0006】
また、たとえ工夫して携帯端末を設置したとしても、ブースは背面側の開口がブース内空間の出入り口となっており、この開口が完全に開放されているため、背後からの視線が気になり、また、通信相手先からブース外の様子が簡単に視認されてしまう。
【0007】
本発明は、これらの課題に着目してなされたものであって、ブース内空間で適切に携帯端末を使用できるようにした、新たなブースを実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0009】
すなわち、本発明のブースは、一部に利用者が出入りするための開口を有し内側に居住空間を形成するブース本体パネルと、ブース本体パネルの内側のパネル面に沿って配置される天板とを備え、天板に向かって着座する利用者の向く方向のパネル面に沿う位置に携帯端末設置部を配置するとともに、この携帯端末設置部の対向側で利用者の背面となる位置に開口の一部を閉止する背面パネルを設けた、ことを特徴とする。
【0010】
このような構成であれば、背後を通る者から携帯端末の画面やブース内空間を見えにくくし、また、携帯端末と通信している通信相手側からもブース外の様子を見えにくくする遮蔽効果を得ることができ、利用者が背後の視線を気にせずにWEB会議を始めとして執務や作業に当たることができる。
【0011】
携帯端末を邪魔にならない位置に配置するとともに、ブース内空間を有効活用するためには、携帯端末設置部は、天板上方で、天板の左右何れかの奥端部よりの位置またはブース本体パネルの左右何れかのコーナー部近傍に配置され、背面パネルは、ブース本体パネルの左右開口縁のうち何れか一方に設けてあることが望ましい。
【0012】
携帯端末による背面パネルまでの撮影距離を適正化し、利用者がその間を動き易くするためには、携帯端末設置部に設置した携帯端末の画面に対して、背面パネルは略並行となるように、ブース本体パネルを構成する正面パネルに対して斜めに配置されていることが望ましい。
【0013】
携帯端末設置部の好適な形態としては、立て掛け式であるものが挙げられる。
【0014】
携帯端末設置部の具体的な実施の態様としては、三角形状の上面と、その上面の一辺に沿う携帯端末保持用の凹溝とを有し、上面は、三角形の頂点が天板上方位置で天板の左右何れかの奥端部またはブース本体パネルを構成する正面パネルと側面パネルが成すコーナー部近傍に配置され、凹溝が利用者側に沿うように配置されるものが挙げられる。
【0015】
携帯端末設置部の好適な取付構造としては、ブース本体パネルの内面に沿って鉛直方向に延びるダクトを利用して取り付けられるものが挙げられる。
【0016】
ブース本体パネルが下端部を直接又は接地部材を介して床面に接地されるのに対して、背面パネルの好ましい態様としては、下端部を床面よりも高い位置に配置した状態で取り付けられるものが挙げられる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、以上説明した構成であるから、ブース内空間で適切に携帯端末を使用できるようにした、新たなブースを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態におけるブースユニットに使用する第1のブース1の斜視図。
【
図5】本実施形態におけるブースユニットに使用する第2のブース2の斜視図。
【
図8】第1のブースと第2のブースを組み合わせて構成されるブースユニットの一例を示す図。
【
図9】ブース内における携帯端末設置部と背面パネルの位置関係を示す平面図。
【
図11】携帯端末設置部と携帯端末を設置した状態で示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0020】
図1は本実施形態におけるブースユニットに使用する第1のブース1の斜視図、
図2は
図1の分解斜視図、
図3は第1のブースの平面図、
図4は同底面図である。
図5は本実施形態におけるブースユニットに使用する第2のブース2の斜視図、
図6は第2のブースの平面図、
図7は同底面図である。
図8は第1のブースと第2のブースを組み合わせて構成されるブースユニットの一例を示す図である。
【0021】
第1のブース1及び第2のブース2は、単独使用できるほか、
図8(a)~(b)に示すように第1のブース1に第2のブース2を隣接配置して使用すること等も可能とされている。
【0022】
図1~
図4に示す第1のブース1は、対向して配置される一対の側面パネル11、12と、これらの側面パネル11、12の一端部11a、12a間に接続される正面パネル13とを含むブース本体パネル10を主体とし、全体が平面視コ字型をなすことによって自立可能とされ、内部に居住空間となるブース内空間S1を形成する。側面パネル11、12の他端部11b、12b間は、ブース内空間S1に利用者が出入りするための開口OP1とされる。
【0023】
側面パネル11、12及び正面パネル13を構成するパネル体11P、12P、13Pは、ペーパーハニカム等の軽量芯材の両面に面材を貼り合わせたものを張地で覆うことによって構成される。正面パネル13は縦長矩形状をなす。側面パネル11、12は、正面パネル13側の一端部11a、12aが鉛直に延びるのに対して、開口OP1側の他端部11b、12bは、略鉛直に延びる上端部11b1、12b1と、この上端部11b1、12b1の下に連なり床に向かうにつれて正面パネル13に近づくように傾斜する傾斜端部11b2、12b2とを含んで構成される矩形に近い形状をなす。
【0024】
正面パネル13及び側面パネル11、12は同一高さに寸法に設定され、一対の側面パネル11、12は同一形状に設定されている。厚み寸法は正面パネル13、側面パネル11、12ともに同一である。
【0025】
正面パネル13と側面パネル11、12の突き合わせコーナー部分の上端部13c-11c間、13c-12c間は、簡易連結手段として平面視L字状の連結具101をボルト101aで止着することによって連結される。正面パネル13と側面パネル11、12の突き合わせコーナー部分の下端部13d-11d間、13d-12d間は、簡易連結手段として底面視L字状の連結具102をボルト102aで止着することによって連結される。正面パネル13の下端部13dにおける左右2箇所、及び、側面パネル11、12の下端部11d、12dにおける前後2箇所には、接地部材として接地高さを調整するアジャスタ103が取り付けられている。
【0026】
第1のブース1には、正面パネル13及び一対の側面パネル11、12を含むブース本体パネル10の内側のパネル面10xに沿って天板14が配置される。天板14の取り付けのために、
図4に示すように、正面パネル13と一方の側面パネル11を接続する位置に第1のブラケット141を備え、正面パネル13と他方の側面パネル12を接続する位置に第2のブラケット142を備えるとともに、天板14の使用端14bに近い位置に側面パネル12に接続された第3のブラケット143を備えている。そして、利用者から見て天板14の奥端部14a側のコーナー部14a1、14a2を第1、第2のブラケット141、142に支持させ、天板14の使用端部14b側のコーナー部14b1、14b2を第3のブラケット144、144に支持させた状態で、下面からボルト止めしている。
【0027】
第1のブラケット141は、矩形状の平板141aの2辺に立面141b、141cを有したもので、その立面141b、141cが正面パネル13と側面パネル11、12のパネル面に設けたインサートナットにボルトを用いて締結されている(不図示)。
【0028】
第2のブラケット142は、矩形状の平板142aの2辺に立面142b、142cを有したもので、その立面142b、142cが正面パネル13と側面パネル11、12のパネル面に設けたインサートナットにボルトを用いて締結されている(不図示)。
【0029】
第3のブラケット143は、矩形状の平板143aの1辺に立面143bを有したもので、その立面143bが側面パネル11、12のパネル面に設けたインサートナットにボルトを用いて締結されている(不図示)。
【0030】
このように正面パネル13及び一対の側面パネル11、12に天板14を連結することによって、ブース1の強度が確保されている。
【0031】
なお、天板14の取付状態で、その奥端部14aと正面パネル13の内側のパネル面との間には隙間Δ1が設けてあり、第1、第2のブラケット141、142の平板141a、142aのコーナー部には鉛直方向に貫通する貫通孔141d、142dが設けてある。
【0032】
一方、
図5~
図7に示す第2のブース2は、1つの側面パネル21と、この側面パネル21の一端部21aに接続される正面パネル23とを含むブース本体パネル20を主体する。側面パネル21と対向する側には側面パネルが設けられておらず開放部22とされている。この開放部22の下方には天板24を支持する天板脚としての脚パネル240が配置される。第2のブース2は、正面パネル23、側面パネル21及び脚パネル240がコ字型に接続されることによって自立可能とされている。
【0033】
この開放部22は、例えば
図5及び
図8(a)、(b)で示すように第1のブース1の側面パネル11に閉止され、或いは
図8(c)に示すように壁Wに閉止されることによって、平面視コ字型のブース内部空間S2を形成し、居住空間とすることができる。第2のブース2の開放部22は、他の第2のブース2の側面パネル21によって閉止することによってもブース内空間S2が形成される。
【0034】
側面パネル21の他端部21bと第1のブース1の側面パネル11の他端部11bとの間(或いは側面パネル21の他端部21bと壁Wとの間、或いは側面パネル21の他端部21bと他の第2ブース2の側面パネル21の他端部21bとの間)は、ブース内空間Sに利用者が出入りするための開口OP2とすることができる。
【0035】
正面パネル23、側面パネル21及び脚パネル240を構成するパネル体23P、21P、240Pは、ペーパーハニカム等の軽量芯材の両面に面材を貼り合わせたものを張地で覆うことによって構成される。正面パネル23は縦長矩形状をなしている。側面パネル21は、正面パネル23側の一端部21aが略鉛直に延びるのに対して、他端部21bは、略鉛直に延びる上端部21b1と、この上端部21bの下に連なり床に向かうにつれて正面パネル21に近づくように傾斜する傾斜端部21b2とを含んで構成される矩形に近い形状をなしている。
【0036】
正面パネル23及び側面パネル21は同一高さに寸法に設定されている。脚パネル240の前方寸法は側面パネル21の前後寸法よりも小さく設定される。厚み寸法は正面パネル23、側面パネル21、脚パネル240とも同一である。
【0037】
正面パネル23と側面パネル21の突き合わせコーナー部分の上端部23c-21c間は、簡易連結手段として平面視L字状の連結具201をボルト201aで止着することによって連結される。正面パネル23と側面パネル21の突き合わせコーナー部分の下端部23d-21d間、及び、正面パネル23と脚パネル240の突き合わせコーナー部分の下端部23d-240d間は、簡易連結手段として底面視L字状の連結具202をボルト202aで止着することによって連結される。正面パネル23の下端部23dにおける左右2箇所、側面パネル21の下端部21dにおける前後2箇所、脚パネル240の下端部240dにおける前後2箇所には、接地部材として接地高さを調整するアジャスタ203が取り付けられている。
【0038】
第2のブース2には、正面パネル23及び1つの側面パネル21を含むブース本体パネル20の内側のパネル面20xに沿って天板24が配置される。脚パネル240は、外面240sを天板24の側端面24sに合致させて天板下面に配置される。天板取り付けのために、正面パネル23と側面パネル21を接続する位置に第1のブラケット241を備え、正面パネル23と脚パネル240を接続する位置に第2のブラケット242を備えるとともに、天板24の使用端24bに近い位置に側面パネル21及び脚パネル240に接続された第3のブラケット143を備えている。そして、利用者から見て天板24の奥端部24a側のコーナー部24a1、24a2を第1、第2のブラケット241、242に支持させ、天板24の使用端部24b側のコーナー部24b1、24b2を側面パネル21と脚パネル240に接続した第3のブラケット143、143に支持させた状態で、下面からボルト止めしている。
【0039】
第1のブラケット241は、矩形状の平板241aの2辺に立面241b、241cを有したもので、その立面241b、241cが正面パネル23と側面パネル21のパネル面に設けたインサートナットにボルトを用いて締結されている(不図示)。
【0040】
第2のブラケット242は、矩形状の平板142aの2辺に立面242b、242cを有したもので、その立面242b、242cが正面パネル23と脚パネル240のパネル面に設けたインサートナットにボルトを用いて締結されている(不図示)。
【0041】
第3のブラケット243は、矩形状の平板243aの1辺に立面243bを有したもので、その立面243bが側面パネル21のパネル面に設けたインサートナットにボルトを用いて締結されている(不図示)。
【0042】
このように正面パネル23、側面パネル21及び脚パネル240を連結することによって、ブース2の強度が確保されている。
【0043】
なお、天板24の取付状態で、その奥端部24aと正面パネル23の内側のパネル面との間には隙間Δ2が設けてあり、第1、第2のブラケット241、242の平板241a、242aのコーナー部には鉛直方向に貫通する貫通孔241d、242dが設けてある。
【0044】
第1のブース1の正面パネル13と第2のブース2の正面パネル23のパネル体13P、23Pには共通のパネル体が用いてあり、第1のブース1の側面パネル11、12と第2のブース2の側面パネル11のパネル体11P、12P、21Pにも共通のパネル体が用いてある。第1のブース1の天板14と第2のブース2の天板24にも共通の面板が用いてある。第1のブース1に用いられている第1、第2のブラケット141、142と第2のブース2に用いられている第1、第2のブラケット241、242は共通のものである。第1のブース1に用いられている第3ブラケット143と第2のブース2に用いられている第3ブラケット243も共通のものである。
【0045】
第1、第2のブース1、2には、必要に応じて背面パネル3が取り付け可能とされている。例えば。
図1に示す第1のブース1では、背面パネル3は、側面パネル21のうち正面パネル13に接続される一端部11aと反対側の他端部11bから正面パネル13と相対する位置に向かって延びる位置に取り付けられる。
【0046】
背面パネル3は、ブース内空間S1への出入口となる開口OP1を一部閉塞することで、ブース内空間S1を利用する利用者の背面からの視線を遮断する。背面パネル3を構成するパネル体3Pは、概略矩形板状のもので、ペーパーハニカム等の軽量芯材の両面に面材を貼り合わせたものを張地で覆うことによって構成される。
【0047】
背面パネル3は、一側縁3aを取付具31を介して一方の側面パネル11の他端部11bに鉛直姿勢で取り付けられる。平面視において背面パネル3は、当該他端部11bから他方の側面パネル12に向かうにつれて正面パネル13から離れる方向に傾斜した状態で取り付けられる。背面パネル3の高さ寸法は、側面パネル11の他端部11bの上端部11b1の長さに対応するもので、下端部3bは床面から上方に離間した位置に配置され、背面パネル3の下方は開放部OP1の開放状態がそのまま維持される。この実施形態で下端部3bの位置は、側面パネル11の高さ方向の中央よりもやや上の位置に設定されている。この位置は、天板面よりもやや高く、したがって椅子の出し入れ時に少なくとも座が背面パネル3と緩衝しない高さ関係にある。背面パネル3は、
図3に想像線で示すように、一側縁3aを他方の側面パネル12の他端部12b側に同じ取付具31を介して付け替えることもできるようにされている。
【0048】
図5に示す第2のブース2においても、背面パネル3は同じ取付具31を用いて同じ状態で側面パネル21への取り付けが可能とされている。
【0049】
なお、本実施形態のブースユニットを構成する第1、第2のブース1、2には、ブース内空間S1、S2での執務や作業の便に資するために、オプション部材として、共通の携帯端末設置部4や、照明器具取付装置5等が設けられている。携帯端末設置部4や照明器具取付装置5は、それぞれ取付具104、105を介して正面パネル13、23に取り付けられ、側面パネル11、12、21、或いは脚パネル240に依存しない取付状態となっている。符号6で示すものはオプション部材たるカップホルダであり、ブラケット143、243を天板14、24に止着する際に共締めされる。
【0050】
図において各パネルにはインサートナットを示す孔が記載されているが、この孔は張地で覆われており、ボルト使用時に張地を貫通させることによってインサートナットへの締結が行われる。天板14、24の下面の孔は当初より開いている。
【0051】
以上において、本実施形態における携帯端末設置部4は、
図9及び
図10に示すように、ブース1、2内に着座した利用者Uとの位置関係や背面パネル3との位置関係を考慮した配置と、携帯端末Mを安定して設置、使用できる構造とを実現している。
【0052】
先ず配置に関しては、携帯端末設置部4は天板14に向かって着座した利用者Uの向く方向のパネル面10xに沿う位置に配置される。携帯端末設置部4と背面パネル3との位置関係は、携帯端末設置部4の対向側で利用者Uの背面となる位置に背面パネル3が位置する関係である。
【0053】
この実施形態の携帯端末設置部4は、立て掛け式のもので、携帯端末Mを立て掛けたときに画面m1の画角内に利用者Uが入るように設置される。利用者Uの背後はブース内空間S1(S2)に出入りする開口OP1(OP2)が存するが、この位置にはブース内空間OP1(OP2)を外部から部分的に遮蔽する背面パネル3が取り付けてある。この背面パネル3は、携帯端末Mを通して通信相手の画面にブース外の背景が写り込むことを遮断する役割も果たす。
図9、
図10に示す2本の破線は携帯端末Mの画角のうち背面パネル3によって背景が遮られる範囲を示している。
【0054】
図2、
図4,
図5、
図7,
図9等に示すように、携帯端末設置部4は、天板14(24)を基準にすれば天板14(24)の上方で天板14(24)の左側の奥端部であるコーナー部14a2(24a2)よりの位置に配置される。ブース本体パネル10(20)を基準にすれば、携帯端末設置部4は正面パネル13(24)と側面パネル12、13(22,12)がなす左右のコーナー部C1、C2のうち左側のコーナー部C2近傍に配置される。勿論、天板14(24)を基準にしたときに携帯端末設置部4を右側の奥端部よりのコーナー部14a1(24a1)に設けてもよく、ブース本体パネル10(20)を基準にしたときに携帯端末設置部4を右側のコーナー部C1近傍に配置してもよい。これと対応して、背面パネル3は携帯端末設置部4に向かって着座した利用者Uの背後に位置するように、右側の側面パネル11(21)又は左側の側面パネル12(21)に取り付けられる。
【0055】
このような位置に配置される関係上、携帯端末Mの画面m1の画角内に利用者Uを収めるために、携帯端末Mは平面視において正面パネル13(23)に対して斜めに配置される。
【0056】
そして、
図9に示すように背面パネル3は、携帯端末設置部4に設置した携帯端末Mの画面m1に対して略並行となるように、ブース本体パネル10(20)を構成する正面パネル13(23)に対して斜めに配置される。
【0057】
また、
図10に示す側面視において、背面パネル3は、携帯端末設置部4に設置した携帯端末Mの画面m1の画角に入る関係下に配置されている。背面パネル3は、高さ方向に対して利用者Uの主要部が画像に収まる範囲をカバーするもので、それを越えて必要以上に下には延びていない。
【0058】
一方、携帯端末設置部4の構造に関して説明すると、この携帯端末設置部は
図11及び
図12に示すように、板金素材を塑性変形加工することによって構成されている。勿論、携帯端末設置部4は樹脂等によって成形したものでも構わない。
【0059】
携帯端末設置部4は、三角形状の面板41の上面41aと、その上面41aの一辺に沿う携帯端末保持用の凹部(凹溝)42とを有する。三角形はほぼ直角三角形であり、凹溝42は直角三角形の斜辺41bに沿っている。そして、上面41aは、三角形の頂点41cが
図2、
図5、
図9等に示したように天板14(24)の上方位置でブース本体パネル10(20)を構成する正面パネル10x(20x)と側面パネル12(23)が成すコーナー部C1、C2近傍に配置され、
図9に示すように凹溝42が利用者U側に沿うように配置される。
【0060】
本実施形態では、携帯端末Mとしてスマートフォンを想定している。そして、凹溝42を構成する一対の起立片42a、42bは、一般的に市販されているスマートフォンを立て掛けて収容、保持できるような間隔及び高さ寸法に設定されている。
【0061】
携帯端末Mとしてタブレットを使用する際は、それに見合った凹溝を有する携帯端末設置部を構成してもよいが、本実施形態の携帯端末設置部4を構成する三角形状の上面41aにタブレットを設置し、正面パネル13(23)と側面パネル12に立て掛けるようにてもよい。勿論、利用者Uから見て右側に携帯端末設置部4を配置する場合も同様である。
【0062】
利用者Uに近い側の起立片42aには、幅方向中央部に切欠状の開口42a1が設けてある。この開口42a1の位置は、スマートフォンを携帯端末設置部4に対して幅方向の所定位置に立て掛けて配置した場合に、大半のスマートフォンが備えるホームボタンm2の位置に対応しており、立て掛けたままでホームボタンm2を操作できるようにしている。
【0063】
面板41は、携帯端末設置部4を所定箇所に取り付けるための取付部104の上に構成されている。取付部104は、面板41の下に連接された立面板141を備え、この立面板141には
図12に示すように一側縁から背面側に突出する平面視コ字型の係合部141aが、また、下縁から背面側に突出する側面視逆L字型の被止着部141bが、それぞれ形成されている。被止着部141bには異形溝141b1が設けてある。
【0064】
異形溝141b1は
図4及び
図7に基づいて説明した第2のブラケット142(242)を
図13に示すように正面パネル13(23)に取り付ける際に使用するボルトに係合し、係合部141aはブース本体パネル10(20)の内面10x(20x)に沿って立ち上がるダクト51に係合して取り付けられる。ダクト51は、照明器具取付装置5の配線を導くためにもので、照明器具取付装置5は幅方向に延びてその両端付近が正面パネル13(23)にねじ止めされるものであり、ダクト51はその際に照明器具取付装置5とともに共締めされる。
【0065】
以上のように構成される本実施形態のブース1(2)は、一部に利用者Uが出入りするための開口OP1(OP2)を有し内側に居住空間となるブース内空間S1(S2)を形成するブース本体パネル10(20)と、ブース本体パネル10(20)の内側のパネル面10x(20x)に沿って配置される天板14(24)とを備え、天板14(24)に向かって着座する利用者Uの向く方向のパネル面10x(20x)に沿う位置に携帯端末設置部4を配置するとともに、この携帯端末設置部4の対向側で利用者Uの背面となる位置に開口OP1(OP2)の一部を閉止する背面パネル3を設けたものである。
【0066】
このように構成することで、背後を通る者から携帯端末Mの画面m1やブース内空間S1(S2)を見えにくくし、また、携帯端末Mと通信している通信相手側からもブース1(2)外の様子を見えにくくする遮蔽効果を得ることができ、利用者Uが背後を気にせずWEB会議を始めとする執務や作業を行うことができる。
【0067】
具体的に携帯端末設置部4は、天板14(24)の上方で、天板14(24)の左右何れかの奥端部よりのコーナー部14a1,14a2(24a1,24a2)またはブース本体パネル10(20)の左右何れかのコーナー部C1(C2)近傍に配置され、背面パネル3は、ブース本体パネル10(20)の左右開口縁11b、12b(21b、21b)のうち何れか一方に設けられる。
【0068】
このようにすれば、携帯端末Mを天板14(24)上の邪魔にならない位置に設けて、背面パネル3による遮蔽効果を併せ持つことができる。特にブース内空間S1、S2を斜めに使うので、限られた空間を有効利用することができる。
【0069】
また、携帯端末設置部4に設置した携帯端末Mの画面m1に対して、背面パネル3は略並行となるように、ブース本体パネル10(20)を構成する正面パネル13(23)に対して斜めに配置されている。
【0070】
これにより、携帯端末Mから背面パネル3までの撮像距離がほぼ等しくなるとともに、携帯端末Mから背面パネル3までの距離が大きく変わらないので、利用者が動き易い状態を確保することができる。
【0071】
特に携帯端末設置部4は立て掛け式のもので、携帯端末Mの転倒を防ぐ凹部42を有している。このため、簡単な構成で使い勝手が良い上に、確実に携帯端末Mの転倒を防ぐことができる。凹部に代わりに凸部を設けても同様の効果を得ることができる。
【0072】
また、携帯端末設置部4は、三角形状の上面41aと、その上面41aの一辺に沿う携帯端末保持用の凹溝42とを有し、上面41aは、三角形の頂点41cが天板14(24)の上方位置で天板14(24)の左右何れかの奥端部14よりのコーナー部14a1、14a2(24a1,24a2)またはブース本体パネル10(20)を構成する正面パネル13(23)と側面パネル11,12(21,12)が成すコーナー部C1、C近傍に配置され、凹溝42が利用者U側に沿うように配置されるため、三角形状の上面41aと凹溝42の存在で携帯端末設置部4の部品強度を高める効果も得ることができる。
【0073】
また、携帯端末設置部4は、ブース本体パネル10(20)の内面10x(20x)に沿って鉛直方向に延びるダクト51を利用して取り付けられているので、ダクト51に沿って天板14(24)の上方所要高さ位置に確実に携帯端末設置部4を取り付けることができる。ダクトはブラケットであっても構わない。
【0074】
また、ブース本体パネル10(20)は下端部を床面に接地するのに対して、背面パネル3は下端部3bを床面よりも高い位置に配置した状態で取り付けられているので、ブース1(2)内の閉塞感をなくし、利用者Uがブース内空間S1(S2)に対して出入りし易い状態を確保することができる。また、背面パネル3が軽量コンパクトになるので、利用し易いものになる。
【0075】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0076】
1…第1のブース
2…第2のブース
3…背面パネル
4…携帯端末設置部
10、20…ブース本体パネル
10x、20x…パネル面
11b、12b、21b、21b…左右開口縁
11,12、21…側面パネル
13、23…正面パネル
14,24…天板
14a1,14a2、24a1,24a2…奥端部よりの位置(コーナー部)
41a…上面
41c…頂点
42…凹部(凹溝)
51…ダクト
M…携帯端末
m1…画面
OP1,OP2…開口
U…利用者