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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023027927
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】パタン検査装置およびパタン検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/956 20060101AFI20230224BHJP
【FI】
G01N21/956 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021133293
(22)【出願日】2021-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】503098724
【氏名又は名称】株式会社オキサイド
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今井 信一
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA51
2G051AA61
2G051AA65
2G051AB06
2G051AC21
2G051BA06
2G051BA10
2G051BB01
2G051CA03
2G051CA04
2G051CB01
2G051CB02
2G051EB05
(57)【要約】
【課題】3D化された回路における、内部の回路パタンの欠陥についても検出することの可能なパタン検査装置およびパタン検査方法を提供する。
【解決手段】本発明の一側面に係るパタン検査装置は、光源部、検出部および検査部を備えている。光源部は、積層された複数のSi基板を含む被検査体に向けて、1.2μm以上5.0μm以下の波長帯の光を出射する。検出部は、光源から出射された光のうち、被検査体の透過光もしくは被検査体での反射光を検出する。検査部は、検出部の検出結果に基づいてパタン検査を行う。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数のSi基板を含む被検査体に向けて、1.2μm以上5.0μm以下の波長帯の光を出射する光源部と、
前記光源部から出射された光のうち、前記被検査体の透過光もしくは前記被検査体での反射光を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づいてパタン検査を行う検査部と
を備えた
パタン検査装置。
【請求項2】
前記光源部の位置を変化させることで、前記光源部から出射される光の、前記被検査体に対する入射角を変化させる移動部を更に備え、
前記検査部は、前記移動部によって前記入射角が変化する過程で前記検出部によって得られた複数の前記検出結果に基づいてパタン検査を行う
請求項1に記載のパタン検査装置。
【請求項3】
前記光源部は、前記波長帯の範囲内で出射光の波長を変化させ、
前記検査部は、前記光源部によって前記出射光の波長が変化する過程で前記検出部によって得られた複数の前記検出結果に基づいてパタン検査を行う
請求項1に記載のパタン検査装置。
【請求項4】
前記反射光は、前記被検査体での内部反射光による回折像(反射ブラッグ回折光)であり、
前記透過光は、前記被検査体の透過光による体積回折像(透過ブラッグ回折光)である
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のパタン検査装置。
【請求項5】
積層された複数のSi基板を含む被検査体に向けて、1.2μm以上5.0μm以下の波長帯の光を出射する工程と、
前記被検査体に向けて出射された光のうち、前記被検査体の透過光もしくは前記被検査体での反射光を検出する工程と、
検出により得られた検出結果に基づいてパタン検査を行う工程と
を含む
パタン検査方法。
【請求項6】
前記被検査体に向けて出射された光の、前記被検査体に対する入射角を変化させる工程と、
前記入射角が変化する過程で得られた複数の前記検出結果に基づいてパタン検査を行う工程と
を更に含む
請求項5に記載のパタン検査方法。
【請求項7】
前記波長帯の範囲内で出射光の波長を変化させる工程と、
前記出射光の波長が変化する過程で得られた複数の前記検出結果に基づいてパタン検査を行う工程と
を更に含む
請求項5に記載のパタン検査方法。
【請求項8】
前記反射光は、前記被検査体での内部反射光による回折像(反射ブラッグ回折光)であり、
前記透過光は、前記被検査体の透過光による体積回折像(透過ブラッグ回折光)である
請求項5から請求項7のいずれか一項に記載のパタン検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パタン検査装置およびパタン検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、集積回路の高集積化のための微細化が物理的限界となり、回路の積層化、すなわち3D化が行われている。従来の平面回路であれば、実際に使用される製品全数の欠陥検査が非破壊検査により可能であった。例えば、nmオーダの光を回路パタンに照射し、それにより得られる回折像に基づいて、回路パタンの欠陥を検出することが特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-68551号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、3D化された回路については、内部の回路パタンの欠陥を検出することができないという問題があった。従って、3D化された回路における、内部の回路パタンの欠陥についても検出することの可能なパタン検査装置およびパタン検査方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面に係るパタン検査装置は、光源部、検出部および検査部を備えている。光源部は、積層された複数のSi基板を含む被検査体に向けて、1.2μm以上5.0μm以下の波長帯の光を出射する。検出部は、光源部から出射された光のうち、被検査体の透過光もしくは被検査体での反射光を検出する。検査部は、検出部の検出結果に基づいてパタン検査を行う。
【0006】
本発明の一側面に係るパタン検査方法は、以下の3つの工程を含む。
(1)積層された複数のSi基板を含む被検査体に向けて、1.2μm以上5.0μm以下の波長帯の光を出射する工程
(2)被検査体に向けて出射された光のうち、被検査体の透過光もしくは被検査体での反射光を検出する工程
(3)検出により得られた検出結果に基づいてパタン検査を行う工程
【0007】
本発明の一側面に係るパタン検査装置およびパタン検査方法では、被検査体に向けて出射された、1.2μm以上5.0μm以下の波長帯の光のうち、被検査体の透過光もしくは被検査体での反射光が検出される。これにより、検出により得られた検出結果に基づいてパタン検査を行うことができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一側面に係るパタン検査装置およびパタン検査方法によれば、被検査体に向けて出射された、1.2μm以上5.0μm以下の波長帯の光のうち、被検査体の透過光もしくは被検査体での反射光を検出するようにしたので、検出により得られた検出結果に基づいてパタン検査を行うことができる。これにより、3D化された回路における、内部の回路パタンの欠陥についても検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明のパタン検査装置における検査対象の一例を表す図である。
図2】本発明の第1の実施の形態に係るパタン検査装置の概略構成例を表す図である。
図3】Si基板の透過特性の一例を表す図である。
図4図2のパタン検査装置における検査手順の一例を表す図である。
図5】本発明の第2の実施の形態に係るパタン検査装置の概略構成例を表す図である。
図6図5のパタン検査装置における検査手順の一例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明は本発明の一具体例であって、本発明は以下の態様に限定されるものではない。また、本発明は、各図に示す各構成要素の配置や寸法、寸法比などについても、それらに限定されるものではない。
【0011】
<1.被検査体>
図1は、本発明のパタン検査装置における検査対象の一例である被検査体10の断面構成例を表したものである。被検査体10は、中間基板11上に複数のLSI(Large-Scale Integration)チップ12が積層された3D(three dimensions)チップである。LSIチップ12の層数は、図1に示した5層に限定されるものではなく、例えば、100層程度であってもよい。積層された複数のLSIチップ12の間には、チップ間の空隙を埋めるための樹脂充填層17が設けられている。樹脂充填層17は、例えば、ポリイミドなどの樹脂材料で構成されている。
【0012】
各LSIチップ12は、Si基板上に集積回路が形成されたものである。各LSIチップ12において、Si基板上の集積回路には、例えば、多数のCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)や、多数の配線パタンが含まれている。
【0013】
各LSIチップ12には、Si基板を貫通する信号用貫通ビア13や電源用貫通ビア15が形成されている。積層された複数のLSIチップ12は、信号用貫通ビア13や、チップ間に設けられた信号用バンプ14によって電気的に接続されている。各LSIチップ12の集積回路には、信号用貫通ビア13や信号用バンプ14を介して外部から各種信号が入力される。また、各LSIチップ12の集積回路から、信号用貫通ビア13や信号用バンプ14を介して外部に各種信号が出力される。積層された複数のLSIチップ12は、電源用貫通ビア15や、チップ間に設けられた電源用ブリッジ16によって電気的に接続されている。電源用ブリッジ16は、例えば、無電解めっきによって形成されている。各LSIチップ12の集積回路には、電源用貫通ビア15や電源用ブリッジ16を介して外部から各種電源電圧が供給される。
【0014】
中間基板11は、積層された複数のLSIチップ12に対して各種信号を伝送したり各種電源電圧を供給したりするための配線層と、配線層を支持する樹脂層とを有している。配線層には、例えば、抵抗などの受動部品が含まれていてもよい。中間基板11には、1または複数のインターフェース部18が接続されている。インターフェース部18は、中間基板11の配線層に電気的に接続されており、外部からの各種信号や各種電源電圧を中間基板11に供給したり、中間基板11からの各種信号を外部に出力したりする。
【0015】
従来のパタン検査装置では、検査対象が上述したような3Dチップである場合、チップ表面には見えない内部の回路パタンの欠陥を検出することが難しい。そこで、本願発明者は、チップ表面には見えない内部の回路パタンの欠陥も検出することの可能なパタン検査装置を以下に提案する。
【0016】
<2.第1の実施の形態>
[構成]
次に、本発明の第1の実施の形態に係るパタン検査装置100について説明する。図2は、パタン検査装置100の概略構成の一例を表したものである。パタン検査装置100は、被検査体10の欠陥を非破壊で検査する装置である。パタン検査装置100は、例えば、図2に示したように、被検査体10を支持する支持台110と、支持台110上の被検査体10に向けて光Laを出射(照射)する光源部120とを備えている。
【0017】
支持台110は、例えば、被検査体10を吸着し、支持台110の上面に固定する。支持台110は、さらに、例えば、支持台110の上面を、支持台110の上面と平行な面内において2軸方向に変位させる機構を有していてもよい。また、支持台110は、さらに、例えば、支持台110の上面を、支持台110の上面と平行な面内において方位角方向に回転させる機構を有していてもよい。
【0018】
光源部120は、光Laを出射することの可能なレーザと、レーザの発光を制御する制御回路とを有している。制御回路は、後述の制御部160に基づいて、レーザの発光を制御する。上記レーザは、光Laとして、1.2μm以上5.0μm以下の波長帯(中赤外領域)のコリメート光を出射することが可能なレーザである。上記レーザは、例えば、波長2.0μm(一定波長)の光Laを出射することの可能なTm:YAGレーザである。なお、上記レーザは、Tm:YAGレーザに限定されるものではない。光源部120は、例えば、上記レーザの代わりに、波長2.0μmの光Laを出射することの可能な発光素子、例えば、半導体レーザであってもよい。ところで、上記中赤外領域は、例えば、図3に示したように、Si基板における光透過領域の一部に該当している。従って、光Laは、Si基板や、Si基板を含む被検査体10を透過することの可能な光である。
【0019】
光Laが被検査体10に入射すると、入射した光Laの一部が被検査体10で反射され、反射光Lbとなって後述の光検出部130に入射し、入射した光Laの一部が被検査体10を透過し、透過光Lcとなって後述の光検出部140に入射する。ここで、被検査体10は、光学的には体積型ブラッグ素子として扱うことが可能である。このとき、反射光Lbは、被検査体10での内部反射光による回折像(反射ブラッグ回折光)であり、反射光Lbの回折強度は特定の方向において強くなる。透過光Lcは、被検査体10の透過光による体積回折像(透過ブラッグ回折光)であり、透過光Lcの強度も、特定の方向において強くなる。
【0020】
パタン検査装置100は、さらに、例えば、図2に示したように、光検出部130,140を備えている。
【0021】
光検出部130は、反射光Lbの光路上に配置されている。光検出部130は、後述の制御部160に基づいて反射光Lbを検出する。光検出部130は、検出した結果(検出結果D1)に基づいて画像データIbを生成し、後述の検査部150に出力する。なお、光検出部130は、検出結果D1を検査部150に出力してもよい。
【0022】
光検出部140は、透過光Lcの光路上に配置されている。光検出部140は、後述の制御部160に基づいて透過光Lcを検出する。光検出部140は、検出した結果(検出結果D2)に基づいて画像データIcを生成し、後述の検査部150に出力する。なお、光検出部140は、検出結果D2を検査部150に出力してもよい。
【0023】
光検出部130,140は、例えば、上記中赤外領域の光を検出可能なイメージセンサを含んで構成されている。このようなイメージセンサでは、例えば、可視領域から波長1.7μmまでの波長帯に感度のあるInGaAs素子が画素ごとに設けられている。なお、画素ごとに設けられる素子は、InGaAs素子に限定されるものではない。
【0024】
パタン検査装置100は、さらに、例えば、図2に示したように、光源部120の位置を変化させる移動部121と、光検出部130の位置を変化させる移動部131と、光検出部140の位置を変化させる移動部141とを備えている。移動部121は、光源部120から出射される光Laが被検査体10の表面に対して斜めに入射するように光源部120の位置を設定する。移動部121は、後述の制御部160に基づいて光源部120の位置を変化させることで、光源部120から出射される光Laの、被検査体10に対する入射角を変化させる。移動部131は、後述の制御部160に基づいて光検出部130の位置を変化させることで、光検出部130(イメージセンサの受光面)を反射光Lbの光路上に維持する。
【0025】
パタン検査装置100は、さらに、例えば、図2に示したように、検査部150、制御部160および表示部170を備えている。
【0026】
検査部150は、光検出部130から得られた検出結果D1と、光検出部140から得られた検出結果D2とに基づいて、被検査体10のパタン検査を行う。具体的には、検査部150は、画像データIbおよび画像データIcを用いて、被検査体10のパタン検査を行う。検査部150は、移動部121によって光Laの、被検査体10に対する入射角が変化する過程で得られた複数の検出結果D1,D2(テストデータ)に基づいてパタン検査を行う。具体的には、検査部150は、移動部121によって光Laの、被検査体10に対する入射角が変化する過程で得られた複数の画像データIb,Ic(テストデータ)に基づいてパタン検査を行う。つまり、テストデータには、入射角が互いに異なる複数の検出結果D1,D2または複数の画像データIb,Icが含まれる。
【0027】
なお、検査部150は、光検出部130,140から検出結果D1,D2を取得する場合には、光検出部130から取得した検出結果D1に基づいて画像データIbを生成するとともに、光検出部140から取得した検出結果D2に基づいて画像データIcを生成してもよい。
【0028】
検査部150は、不良の無い被検査体10から得られた複数の検出結果D1,D2もしくは複数の画像データIb,Icをマスターデータとして有している。マスターデータには、入射角が互いに異なる複数の検出結果D1,D2もしくは複数の画像データIb,Icが含まれる。検査部150は、入射角の共通するマスターデータおよびテストデータを比較することにより、テストデータが取得された被検査体10に対する特異点(欠陥の存在を疑う要素)の有無を判定する。比較方法としては、例えば、マスターデータとテストデータとの差分を取る方法が挙げられる。その結果、検査部150は、特異点がないと判断したときには、特異点が無かったことを示す情報を生成し、制御部160に出力する。一方、検査部150は、特異点があると判断したときには、特異点を示す情報を生成し、制御部160に出力する。
【0029】
検査部150は、例えば、入射角が互いに共通する検出結果D1,D2同士もしくは画像データIb,Ic同士を比較することにより、被検査体10に対する特異点の有無を判定してもよい。比較方法としては、例えば、検出結果D1と検出結果D2との差分を取ったり、画像データIbと画像データIcとの差分を取ったりする方法が挙げられる。このときは、判定に際してマスターデータが不要である。
【0030】
検査部150は、不良の無い被検査体10から得られた検出結果D1,D2もしくは画像データIb,Icや、不良の場所や種類の互いに異なる複数の被検査体10から得られた複数の検出結果D1,D2もしくは複数の画像データIb,Icを教示データとして学習させた学習モデルを有していてもよい。この場合、検査部150は、テストデータを学習モデルに入力することにより、テストデータが取得された被検査体10に対する特異点の有無を学習モデルに判定させる。検査部150は、学習モデルによる判定結果を制御部160に出力する。
【0031】
検査部150は、不良の無い被検査体10から得られた検出結果D1および検出結果D2の差分や、不良の場所や種類の互いに異なる複数の被検査体10から得られた検出結果D1および検出結果D2の差分を教示データとして学習させた学習モデルを有していてもよい。この場合、検査部150は、テスト用の被検査体10から得られた検出結果D1および検出結果D2の差分を学習モデルに入力することにより、テスト用の被検査体10に対する特異点の有無を学習モデルに判定させる。検査部150は、学習モデルによる判定結果を制御部160に出力する。
【0032】
検査部150は、不良の無い被検査体10から得られた画像データIbおよび画像データIcの差分や、不良の場所や種類の互いに異なる複数の被検査体10から得られた画像データIbおよび画像データIcの差分を教示データとして学習させた学習モデルを有していてもよい。この場合、検査部150は、テスト用の被検査体10から得られた画像データIbおよび画像データIcの差分を学習モデルに入力することにより、テスト用の被検査体10に対する特異点の有無を学習モデルに判定させる。検査部150は、学習モデルによる判定結果を制御部160に出力する。
【0033】
制御部160は、光源部120、光検出部130,140および移動部121,131,141を制御する。制御部160は、光源部120の発光・消光を制御する。制御部160は、光検出部130,140の受光を制御する。制御部160は、移動部121による光源部120の位置や、移動部131による光検出部130の位置、移動部141による光検出部140の位置を制御する。制御部160は、検査部150での判定結果を含む画像データを表示部170に出力する。表示部170は、制御部160から入力された画像データを表示する。
【0034】
[動作]
次に、パタン検査装置100による被検査体10の検査の一例について説明する。
【0035】
まず、制御部160は、光Laの入射角を設定する(ステップS101)。制御部160は、光Laの入射角を掃引範囲における所定の値(開始点)に設定するために、位置情報に関する信号を移動部121に出力する。すると、移動部121は、制御部160から入力された信号に基づいて、光Laの入射角が所定の値(開始点)となるように光源部120を移動させる。次に、制御部160は、光出力を開始する信号を光源部120に出力する。すると、光源部120は、制御部160から入力された信号に基づいて、光Laを出力する(ステップS102)。
【0036】
次に、制御部160は、光検出を開始する信号を光検出部130,140に出力する。すると、光検出部130は、制御部160から入力された信号に基づいて、反射光Lbを検出する(ステップS103)。光検出部130は、検出結果D1に基づいて画像データIbを生成し、検査部150に出力する(ステップS104)。光検出部140は、制御部160から入力された信号に基づいて、透過光Lcを検出する(ステップS103)。光検出部140は、検出結果D2に基づいて画像データIcを生成し、検査部150に出力する(ステップS104)。
【0037】
制御部160は、現在設定している入射角が、掃引範囲における最後の入射角(終点)であるか否かを判定する(ステップS105)。現在設定している入射角が、掃引範囲における最後の入射角(終点)ではない場合には(ステップS105;N)、制御部160は、光Laの入射角を掃引範囲内において変更する(ステップS106)。制御部160は、例えば、光Laの入射角を終点に向かって所定の大きさだけずらした値に設定するために、位置情報に関する信号を移動部121に出力する。その後は、ステップS103~ステップS105が実行される。
【0038】
一方、現在設定している入射角が、掃引範囲における最後の入射角(終点)に該当する場合には(ステップS105;Y)、制御部160は、光Laの入射角の変更を終了し、テストデータである画像データIb,Icと、マスターデータである画像データIr1,Ir2との、入射角ごとの比較を開始する信号を検査部150に出力する。すると、検査部150は、上記比較を行う(ステップS107)。画像データIr1は、不良の無い被検査体10から得られた画像データIbに相当する。画像データIr2は、不良の無い被検査体10から得られた画像データIcに相当する。
【0039】
検査部150は、例えば、画像データIbと画像データIr1との差分(以下、「差分α」と称する。)を取るとともに、画像データIcと画像データIr2との差分(以下、「差分β」と称する。)を取る。検査部150は、例えば、差分α,βに特異点があるか否かを判定する(ステップS108)。その結果、差分αおよび差分βの少なくとも一方に特異点があると判定された場合には(ステップS108;Y)、検査部150は、被検査体10に欠陥ありと判定する(ステップS110)。一方、差分αおよび差分βのいずれにも特異点が無いと判定された場合には(ステップS108;N)、検査部150は、被検査体10に欠陥なしと判定する(ステップS109)。
【0040】
制御部160は、検査部150による判定結果を含む画像データを生成し、表示部170に出力する。表示部170は、制御部160から入力された画像データを表示する。このようにして、パタン検査装置100による被検査体10の検査が行われる。
【0041】
[効果]
次に、本実施の形態に係るパタン検査装置100の効果について説明する。
【0042】
近年、集積回路の高集積化のための微細化が物理的限界となり、回路の積層化、すなわち3D化が行われている。従来の平面回路であれば、実際に使用される製品全数の欠陥検査が非破壊検査により可能であった。例えば、nmオーダの光を回路パタンに照射し、それにより得られる回折像に基づいて、回路パタンの欠陥を検出することが特許文献1に開示されている。しかしながら、3D化された回路については、内部の回路パタンの欠陥を検出することができないという問題があった。
【0043】
一方、本実施の形態では、被検査体10に向けて出射された、1.2μm以上5.0μm以下の波長帯の光Laのうち、被検査体10の透過光Lcもしくは被検査体10での反射光Lbが検出される。これにより、検出により得られた検出結果に基づいてパタン検査を行うことができる。これにより、3D化された回路における、内部の回路パタンの欠陥についても検出することができる。
【0044】
また、本実施の形態では、入射角が変化する過程で光検出部130,140によって得られた複数の検出結果D1,D2もしくは画像データIb,Icに基づいてパタン検査が行われる。これにより、3D化された回路における、内部の回路パタンの欠陥についても検出することができる。
【0045】
なお、本実施の形態において、検査部150は、検出結果D1または検出結果D2に基づいてパタン検査を行ってもよい。また、本実施の形態において、検査部150は、画像データIbまたは画像データIcに基づいてパタン検査を行ってもよい。このようにした場合であっても、3D化された回路における、内部の回路パタンの欠陥についても検出することができる。
【0046】
<3.第2の実施の形態>
[構成]
次に、本発明の第2の実施の形態に係るパタン検査装置200について説明する。図5は、パタン検査装置200の概略構成の一例を表したものである。パタン検査装置200は、被検査体10の欠陥を非破壊で検査する装置である。パタン検査装置200は、例えば、図5に示したように、上述のパタン検査装置100において、移動部121,131,141を省略し、光源部120の代わりに光源部180を設けたものに相当する。以下では、第1の実施の形態と共通する構成に対しては同一の符号を付与し、第1の実施の形態と共通する構成についての記載は適宜、省略するものとする。
【0047】
光源部180は、光Ldを出射することの可能なレーザと、レーザの発光を制御する制御回路とを有している。上記レーザは、上記レーザから出射される光Ldが被検査体10の表面に対して斜めに入射するように配置されている。制御回路は、制御部160に基づいて、レーザの発光を制御する。上記レーザは、光Ldとして、1.2μm以上5.0μm以下の波長帯(中赤外領域)のコリメート光を出射することが可能なレーザである。上記レーザは、例えば、波長1.9μm以上2.5μm以下の範囲内の任意の波長の光Ldを出射することの可能なGaSbベースの半導体レーザである。上記レーザは、半導体レーザに限られるものではなく、固体レーザであってもよい。上記レーザは、例えば、波長2.2μm以上2.9μm以下の範囲内の任意の波長の光Ldを出射することの可能なCr:ZnSeレーザであってもよい。上記レーザは、Cr:ZnSeレーザに限定されるものではない。光源部180は、例えば、上記レーザの代わりに、波長2.2μm以上2.9μm以下の範囲内の任意の波長の光Ldを出射することの可能な発光素子を有していてもよい。ところで、上記中赤外領域は、例えば、図3に示したように、Si基板における光透過領域に含まれる。従って、光Ldは、Si基板や、Si基板を含む被検査体10を透過することの可能な光である。
【0048】
光Ldが被検査体10に入射すると、入射した光Ldの一部が被検査体10で反射され、反射光Lbとなって光検出部130に入射し、入射した光Laの一部が被検査体10を透過し、透過光Lcとなって光検出部140に入射する。ここで、被検査体10は、光学的には体積型ブラッグ素子として扱うことが可能である。このとき、反射光Lbは、被検査体10内部による回折光(ブラッグ反射光)であり、反射光Lbの回折強度は特定の方向において強くなる。同様に、透過光Lcの強度も、特定の方向において強くなる。
【0049】
検査部150は、光検出部130から得られた検出結果D1と、光検出部140から得られた検出結果D2とに基づいて、被検査体10のパタン検査を行う。具体的には、検査部150は、画像データIbおよび画像データIcを用いて、被検査体10のパタン検査を行う。検査部150は、光Ldの波長が変化する過程で得られた複数の検出結果D1,D2(テストデータ)に基づいてパタン検査を行う。具体的には、検査部150は、光Ldの波長が変化する過程で得られた複数の画像データIb,Ic(テストデータ)に基づいてパタン検査を行う。つまり、テストデータには、光Ldの波長が互いに異なる複数の検出結果D1,D2または複数の画像データIb,Icが含まれる。
【0050】
検査部150は、不良の無い被検査体10から得られた複数の検出結果D1,D2もしくは複数の画像データIb,Icをマスターデータとして有している。マスターデータには、光Ldの波長が互いに異なる複数の検出結果D1,D2もしくは複数の画像データIb,Icが含まれる。検査部150は、光Ldの波長の共通するマスターデータおよびテストデータを比較することにより、テストデータが取得された被検査体10に対する特異点(欠陥の存在を疑う要素)の有無を判定する。比較方法としては、例えば、マスターデータとテストデータとの差分を取る方法が挙げられる。その結果、検査部150は、特異点がないと判断したときには、特異点が無かったことを示す情報を生成し、制御部160に出力する。一方、検査部150は、特異点があると判断したときには、特異点を示す情報を生成し、制御部160に出力する。
【0051】
検査部150は、例えば、光Ldの波長が互いに共通する検出結果D1,D2同士もしくは画像データIb,Ic同士を比較することにより、被検査体10に対する特異点の有無を判定してもよい。比較方法としては、例えば、検出結果D1と検出結果D2との差分を取ったり、画像データIbと画像データIcとの差分を取ったりする方法が挙げられる。このときは、判定に際してマスターデータが不要である。
【0052】
制御部160は、光源部180および光検出部130,140を制御する。制御部160は、光源部180の発光・消光や発光波長を制御する。制御部160は、光検出部130,140の受光を制御する。制御部160は、検査部150での判定結果を含む画像データを表示部170に出力する。表示部170は、制御部160から入力された画像データを表示する。
【0053】
[動作]
次に、パタン検査装置200による被検査体10の検査の一例について説明する。
【0054】
まず、制御部160は、光Ldの波長を設定する(ステップS201)。制御部160は、光Ldの波長を掃引範囲における所定の値(開始点)に設定するために、波長に関する信号を光源部180に出力する。すると、光源部180は、制御部160から入力された信号に基づいて、所定の値(開始点)の波長で光Laを出力する(ステップS102)。
【0055】
次に、制御部160は、光検出を開始する信号を光検出部130,140に出力する。すると、光検出部130は、制御部160から入力された信号に基づいて、反射光Lbを検出する(ステップS203)。光検出部130は、検出結果D1に基づいて画像データIbを生成し、検査部150に出力する(ステップS204)。光検出部140は、制御部160から入力された信号に基づいて、透過光Lcを検出する(ステップS203)。光検出部140は、検出結果D2に基づいて画像データIcを生成し、検査部150に出力する(ステップS204)。
【0056】
制御部160は、現在設定している光Ldの波長が、掃引範囲における最後の波長(終点)であるか否かを判定する(ステップS205)。現在設定している光Ldの波長が、掃引範囲における最後の波長(終点)ではない場合には(ステップS205;N)、制御部160は、光Ldの波長を掃引範囲内において変更する(ステップS206)。制御部160は、例えば、光Ldの波長を終点に向かって所定の大きさだけずらした値に設定するために、波長に関する信号を光源部180に出力する。その後は、ステップS203~ステップS205が実行される。
【0057】
一方、現在設定している光Ldの波長が、掃引範囲における最後の波長(終点)に該当する場合には(ステップS205;Y)、制御部160は、光Ldの波長の変更を終了し、テストデータである画像データIb,Icと、マスターデータである画像データIr3,Ir4との、波長ごとの比較を開始する信号を検査部150に出力する。すると、検査部150は、上記比較を行う(ステップS207)。画像データIr3は、不良の無い被検査体10から得られた画像データIbに相当する。画像データIr4は、不良の無い被検査体10から得られた画像データIcに相当する。
【0058】
検査部150は、例えば、画像データIbと画像データIr3との差分(以下、「差分α」と称する。)を取るとともに、画像データIcと画像データIr4との差分(以下、「差分β」と称する。)を取る。検査部150は、例えば、差分α,βに特異点があるか否かを判定する(ステップS208)。その結果、差分αおよび差分βの少なくとも一方に特異点があると判定された場合には(ステップS208;Y)、検査部150は、被検査体10に欠陥ありと判定する(ステップS210)。一方、差分αおよび差分βのいずれにも特異点が無いと判定された場合には(ステップS208;N)、検査部150は、被検査体10に欠陥なしと判定する(ステップS209)。
【0059】
制御部160は、検査部150による判定結果を含む画像データを生成し、表示部170に出力する。表示部170は、制御部160から入力された画像データを表示する。このようにして、パタン検査装置100による被検査体10の検査が行われる。
【0060】
[効果]
次に、本実施の形態に係るパタン検査装置200の効果について説明する。
【0061】
本実施の形態では、被検査体10に向けて出射された、1.2μm以上5.0μm以下の波長帯の光Ldのうち、被検査体10の透過光Lcもしくは被検査体10での反射光Lbが検出される。これにより、検出により得られた検出結果に基づいてパタン検査を行うことができる。これにより、3D化された回路における、内部の回路パタンの欠陥についても検出することができる。
【0062】
また、本実施の形態では、光Ldの波長が変化する過程で光検出部130,140によって得られた複数の検出結果D1,D2もしくは画像データIb,Icに基づいてパタン検査が行われる。これにより、3D化された回路における、内部の回路パタンの欠陥についても検出することができる。
【符号の説明】
【0063】
10…被検査体、11…中間基板、12…LSIチップ、13…信号用貫通ビア、14…信号用バンプ、15…電源用貫通ビア、16…電源用ブリッジ、17…樹脂充填層、18…インターフェース部、100,200…パタン検査装置、110…支持台、120,180…光源部、121,131,141…移動部、130,140…光検出部、150…検査部、160…制御部、170…表示部、D1,D2…検出結果、Ib,Ic,Ir1,Ir2,Ir3,Ir4…画像データ、La…光、Lb…反射光、Lc…透過光。
図1
図2
図3
図4
図5
図6