(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023027958
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】除鉄用角型マグネットバー
(51)【国際特許分類】
B03C 1/00 20060101AFI20230224BHJP
B03C 1/28 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
B03C1/00 F
B03C1/00 A
B03C1/00 B
B03C1/00 C
B03C1/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021133349
(22)【出願日】2021-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】000178664
【氏名又は名称】山信金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】加藤 郁夫
(72)【発明者】
【氏名】渡部 貴彬
(72)【発明者】
【氏名】柿原 拓真
(57)【要約】
【課題】本発明は、除鉄範囲を広げることにより、被分離体からより多くの磁性物をむらなく吸着するマグネットバーを提供することを課題とする。
【解決手段】非磁性体の角型パイプ(1)と、この角型パイプに重ねられて収容され、その磁力作用面(3)が角型パイプの内面と対向する複数の角型永久磁石(2)と、からなる除鉄用角型マグネットバーにおいて、隣接する永久磁石(2)の磁力作用面(3)の中心線が互いにねじれの位置にあるようにすることで解決される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非磁性体の角型パイプ(1)と、この角型パイプに重ねられて収容され、その磁力作用面(3)が角型パイプの内面と対向する複数の角型永久磁石(2)と、からなる除鉄用角型マグネットバーにおいて、隣接する永久磁石(2)の磁力作用面の中心線が互いにねじれの位置にある除鉄用角型マグネットバー。
【請求項2】
各永久磁石(2)は、磁力作用面(3)が90°づつその方向を変えて組み込まれ、これらの永久磁石(2)のN極及びS極が螺旋状に位置するように構成された請求項1記載の除鉄用角型マグネットバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品、原材料、粉体、液体、気体などの被分離体中に散在する鉄粉や極小の磁性物を永久磁石の磁力により取り除くものであって、搬送ダクトやシュート、原料の流れ、液体・気体の流路や貯留槽に設置する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、産業界においては、食品、原材料、粉体、液体、気体などの被分離体中に混入している鉄粉や極小の磁性物を取り除くマグネットバーとして、
図4に示されるものが知られている。そして、このようなマグネットバーは、特許文献1に記載される公知の磁気分離装置、等に用いられている。
【0003】
この
図4に示されるような幅広く使われている従来のマグネットバーは、非磁性体の筒状ケース(パイプ)11の中に円柱状の永久磁石12を複数挿入し、隣接する永久磁石12の同極である磁力作用面13間に継鉄を挟み込んだものである。この挟み込まれた継鉄から磁力を発生させ、
図5に示すように、被分離体中に存在する鉄粉や極小の磁性物16を永久磁石の磁力により吸着し、その後、取り除いている。また、2本以上のマグネットバーを並べて設置することでより多く磁性物16を吸着させている(
図6)。
【0004】
しかし、このようなマグネットバーは、永久磁石12の側面14が全周にわたって存在することから、磁性物16の吸着範囲(除鉄範囲)が制限されて磁性物を効率的に吸引できず、除鉄効率がなかなか向上しないという欠点が存在した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明のマグネットバーは、上記従来技術の欠点を克服するため、マグネットバーの除鉄範囲を広げることにより、被分離体からより多くの磁性物をむらなく吸着しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の課題は、特許請求の範囲に記載された発明特定事項によって解決される。すなわち、非磁性体の角型パイプと、この角型パイプに重ねられて収容され、その磁力作用面(3)が角型パイプの内面と対向する複数の角型永久磁石とからなる除鉄用角型マグネットバーにおいて、隣接する永久磁石の磁力作用面の中心線を互いにねじれの位置に置くことにより、問題の解決を図るものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、マグネットバーの除鉄範囲を広げることにより、被分離体からより多くの磁性物をむらなく吸着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の角型マグネットバーを表わす。
【
図2】
図2は、本発明の角型マグネットバーに吸着される磁性物を示す。
【
図3】
図3は、2本並んだ本発明の角型マグネットバーに吸着される磁性物を示す。
【
図5】
図5は、従来のマグネットバーに吸着される磁性物を示す。
【
図6】
図6は、2本並んだ従来のマグネットバーに吸着される磁性物を示す。
【発明を実施するための形態】
【実施例0010】
以下、本発明に係る除鉄用角型マグネットバーの実施例について説明する。
図1には、本発明の実施例にかかる除鉄用角型マグネットバーが表されている。
【0011】
除鉄用角型マグネットバーは、非磁性体であるステンレス製の角型パイプ(1)と、この角型パイプ内に重ねられて収容され、その磁力作用面(3)が角型パイプの内面と対向する複数の角型ネオジウム磁石(2)と、から構成される。これにより、永久磁石(2)の作用面(3)は、直接マグネットバーの表面に向けて組み込まれることとなり、被分離体に作用する面積が広くなる。このように構成したマグネットバーは、
図4に示す従来のマグネットバーより磁力線を遠くに飛ばすことができるため、除鉄範囲が広くなるとともに吸着力や吸引力がより強くなり、被分離体に混入した磁性物を各方面からより確実に多く吸着する。
【0012】
この角型マグネットバーにおいて、隣接するネオジウム磁石(2)の磁力作用面(3)の中心線は、
図1、
図2に示すように、互いにねじれるような位置にある。これにより、被分離体中の磁性物(6)は隣接するネオジウム磁石のN極とS極にわたってより効率的に吸着される。
【0013】
各ネオジウム磁石(2)は、その磁力作用面(3)が90°づつ順次その方向を変えるように回転させて組み込まれ、組み込まれたこれらのネオジウム永久磁石(2)のN極及びS極は、
図1、
図2に示されるように、マグネットバーの中心線方向に沿って螺旋状に旋回して配置される。そして、
図2に示すように、各方面からの磁性物(6)は角型マグネットバーで強力に吸着される。吸着される磁性物(6)は、
図5に示される従来のマグネットバーと較べて、格段に多い。
【0014】
2本以上の角型マグネットバーを並べて
図3に示すように使用する場合には、角型マグネットバーは、隣接するマグネットバーのN極、S極間に磁力線が作用し、さらに多くの磁性物を吸着することができる。
【0015】
角型永久磁石(2)は、
図1において1つの磁石として示しているが、分割された複数の磁石から構成することもできる。また、非磁性のパイプを内側と外側に設けて2重の入れ子構造とし、内側の非磁性パイプに永久磁石を収納したまま、外側のパイプからそのまま抜き出すことも可能である。