(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023027984
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理プログラム、及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
H04N 23/60 20230101AFI20230224BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20230224BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20230224BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
H04N5/232 220
G06T7/00 Z
G08B25/04 E
G08B25/00 510M
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021133393
(22)【出願日】2021-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 裕介
(72)【発明者】
【氏名】迫水 和仁
【テーマコード(参考)】
5C087
5C122
5L096
【Fターム(参考)】
5C087AA02
5C087DD05
5C087EE08
5C087FF01
5C087FF04
5C087GG02
5C087GG08
5C087GG84
5C122DA11
5C122DA16
5C122EA06
5C122EA69
5C122FH11
5C122GC14
5C122HA13
5C122HA35
5C122HA75
5C122HB01
5C122HB10
5L096BA02
5L096BA18
5L096CA02
5L096FA31
5L096FA32
5L096FA66
5L096GA51
(57)【要約】 (修正有)
【課題】画像に基づき被写体の状態を判定する画像解析装置に適用する、所望しない参照画像を基準に比較することで発生する判定誤りを低減する情報処理装置、情報処理プログラム及び情報処理方法を提供する。
【解決手段】画像解析装置は、開閉可能な閉空間に設置され、少なくとも人感センサを外部デバイスとして備える情報処理装置であって、人感センサから入力される人感データを分析することで、開閉扉の開閉があったか否かを判定し、開閉があったと識別した場合には参照データ取得指示を出力する開閉検知部を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉可能な閉空間に設置され、少なくとも人感センサを外部デバイスとして備えた情報処理装置において、
前記人感センサから入力される人感データを分析することで、開閉扉の開閉があったか否かを判定し、開閉があったと識別した場合には参照データ取得指示を出力する開閉検知部
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記開閉検知部は、
前記人感データを監視し、前記人感データのレベルが変化したときに検出開始信号を出力するトリガ部と、
前記検出開始信号を受けたら前記人感データを解析して人感データ解析値を出力する人感データ解析部と、
前記人感データ解析値に基づき開閉扉の開閉があったか否かを判定し、開閉があったと識別した場合には前記参照データ取得指示を出力する判定部とを備え、
前記判定部は、前記人感データ解析値が変化ありを示している場合、開閉扉の開閉ありと判定し、それ以外の場合には開閉なしと判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
閉空間の開閉部がセンシング範囲に含まれるように設置された測距センサを外部デバイスとして備え、
前記開閉検知部は、
前記人感データを監視し、前記人感データのレベルが変化したときに検出開始信号を出力するトリガ部と、
前記検出開始信号を受けたら前記測距センサから入力される測距データを測距データ取得期間の間にバッファリングして判定用測距データを出力する測距データ収集部と、
前記判定用測距データに基づき開閉扉の開閉があったか否かを判定し、開閉があったと識別した場合には前記参照データ取得指示を出力する判定部とを備え、
前記判定部は、前記判定用測距データが開閉扉以外の距離を取得している場合、開閉扉の開閉ありと判定し、それ以外の場合は開閉なしと判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
閉空間の開閉部がセンシング範囲に含まれるように設置された測距センサを外部デバイスとして備え、
前記開閉検知部は、
前記人感データを監視し、前記人感データのレベルが変化したときに検出開始信号を出力するトリガ部と、
前記検出開始信号を受けたら前記人感データを解析して人感データ解析値を出力する人感データ解析部と、
前記検出開始信号を受けたら前記測距センサから入力される測距データを測距データ取得期間の間にバッファリングして判定用測距データを出力する測距データ収集部と、
前記人感データ解析値及び前記判定用測距データに基づき開閉扉の開閉があったか否かを判定し、開閉があったと識別した場合には前記参照データ取得指示を出力する判定部とを備え、
前記判定部は、前記人感データ解析値が変化ありを示しており、且つ前記判定用測距データも開閉扉以外の距離を取得している場合、開閉扉の開閉ありと判定し、それ以外の場合には開閉なしと判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記人感データ解析部は、予め定められた秒数である第1の所定期間内に到着する一連のパルスをパルスグループとして取り扱い、該パルスグループに対して、1種類以上のパルス統計量を求め、該パルス統計量の何れか1種類以上が予め定めた第1の閾値以上の場合には前記人感データ解析値として変化あり、それ以外の場合には前記人感データ解析値として変化なしを出力する
ことを特徴とする請求項2又は4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記人感データ解析部が前記パルスグループに対して求めた前記人感データ解析値を、予め定められた秒数である第2の所定期間後に出力することを予定し、前記第2の所定期間が経過する前に新しいパルスが届いたら、前記人感データ解析値の出力予定を一度中止し、中止した時刻から改めて前記第2の所定期間後に前記人感データ解析値を出力することを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記判定部は、予め測定しておいた開閉扉までの距離である扉距離と、前記判定用測距データとを比較することで前記判定用測距データが開閉扉以外の距離を取得しているか否かを判定することを特徴とする請求項3又は4に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記測距データ収集部は、前記扉距離と、前記判定用測距データとを比較し、前記判定用測距データが開閉扉以外の距離を取得している場合に前記測距データの取得を中断し、前記判定用測距データを出力することを特徴とする請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記判定部は、
開閉扉が開いたか否かを判定し、開いたことがあったと識別した場合にはオープン検知信号を出力する判定コア部と、
前記オープン検知信号が入力されたときに、開閉扉が閉まったと判定できるまで分析を続け、開閉扉が閉まったと判定した後、前記参照データ取得指示を出力する遅延部とを備える
ことを特徴とする請求項2~8のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項10】
閉空間の開閉部がセンシング範囲に含まれるように設置された測距センサを外部デバイスとして備え、
前記遅延部は、前記測距センサから測距データを取得し、予め測定しておいた開閉扉までの距離である扉距離との差分を求め、その差の絶対値が予め定めた第2の閾値以下になるまで、前記測距データの取得を繰り返し、前記第2の閾値以下になると開閉扉が閉まったと判定する
ことを特徴とする請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
照度センサを外部デバイスとして備え、
前記遅延部は、前記照度センサから照度データを取得し、予め定めた第3の閾値よりも暗くなっていることを比較器により評価することで開閉扉が閉まっていることを判定する
ことを特徴とする請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項12】
カメラを外部デバイスとして備え、
前記遅延部は、前記カメラから画像データを取得し、画素値又は該画素値の平均値などの統計値が予め定めた第4の閾値よりも小さくなってることを比較器により評価することで開閉扉が閉まっていることを判定する
ことを特徴とする請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項13】
カメラを外部デバイスとして備え、
前記遅延部は、前記カメラから圧縮された画像データを取得し、圧縮データのデータ量が予め定めた第5の閾値よりも小さくなっていることを比較器により評価することで開閉扉が閉まっていることを判定する
ことを特徴とする請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記判定部は、開閉扉が開いたと識別した場合にアラートを出力することを特徴とする請求項2~13のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記遅延部は、前記オープン検知信号が入力されてから、予め定めた一定時間以上開閉扉が閉まったと判定できなければ、開閉扉が閉まっていないことを通知するアラートを出力することを特徴とする請求項9~13のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項16】
カメラを制御しデータを取得することで参照画像を取得し更新する参照画像取得部と、
所定のタイミングで前記カメラを制御しデータを取得することで測定画像を取得する測定画像取得部と、
参照画像と測定画像とを比較することで状態信号を計算する画像比較部とを備え、
前記参照画像取得部は、
前記開閉検知部と
前記参照データ取得指示を受けたときに前記カメラを制御しデータを取得することで参照画像を取得し更新する参照画像取得コア部とを備える
ことを特徴とする請求項1~13のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項17】
開閉可能な閉空間に設置され、少なくとも人感センサを外部デバイスとして備えた情報処理装置に搭載されるコンピュータを、
前記人感センサから入力される人感データを分析することで、開閉扉の開閉があったか否かを判定し、開閉があったと識別した場合には参照データ取得指示を出力する開閉検知部と
して機能させることを特徴とする情報処理プログラム。
【請求項18】
開閉可能な閉空間に設置され、少なくとも人感センサを外部デバイスとして備えた情報処理装置に使用する情報処理方法であって、
開閉検知部は、前記人感センサから入力される人感データを分析することで、開閉扉の開閉があったか否かを判定し、開閉があったと識別した場合には参照データ取得指示を出力する
ことを特徴とする情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理プログラム、及び情報処理方法に関し、例えば、画像に基づき被写体の状態を判定する画像解析装置に適用し得る。
【背景技術】
【0002】
近年、監視カメラの普及は進み、画像を用いて被写体の状態を判定する技術も実用化が進んでいる。例えば、特許文献1では、被写体の状態を判定するために、測定画像とは別に、判定を補助する基準となる画像を参照画像として取得し、参照画像と測定画像とを比較することで測定画像の状態を判定するシステムが開示されている。
【0003】
図12は、従来の画像解析装置の一例を示すブロック図である。
図12で示される画像解析装置100は、参照データ取得指示を受けたときにカメラ20を制御しデータを取得することで参照画像を取得し更新する参照画像取得部A1と、予め設定された時刻などの所定のタイミングでカメラ20を制御しデータを取得することで測定画像を取得する測定画像取得部A2と、参照画像と測定画像とを比較することで状態信号を計算する画像比較部A3とから構成される。参照画像と測定画像の比較は、例えば特許文献1にて示されている通り、背景差分法による画像解析処理が存在する。
【0004】
以上のように、
図12の構成を採用することで、参照画像取得時から被写体がどのように変化したのかを画像解析によって判定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、
図12に示すような画像解析装置100が開閉可能な閉空間に設置され、被写体がどのように変化したかを画像解析によって判定することを考えた場合、参照画像の取得タイミングに問題が生じる。
【0007】
例えば、参照データ取得指示を画像解析装置100に備え付けのボタン等によって入力することを考えた場合、閉空間が開状態のときに参照画像を取得してしまうと、測定画像は閉状態のときに取得するため、開閉の違い、つまり照明条件の違いが画像変化の大勢を占めてしまい、照明条件の違いよりも小さな画像変化を解析により判定することは困難になる。
【0008】
また、画像の中に開閉部が映り込んでいる場合、開閉部の位置の違いも画像変化を作り出してしまい、同様の問題を発生させる。
【0009】
なお、
図12では、例えば、閉空間のなかでカメラ20を用いて画像を撮影するため照明を併設している例を示しているが、サーモグラフィカメラのように暗所でも撮影可能なカメラ20を使用する場合には、この限りではない。
【0010】
本問題を回避する方法として、例えばボタン等が操作されてから一定時間後に参照データ取得指示が入力されるようにタイマをセットする方法も考えられるが、開閉扉の開閉者がボタン等の操作を忘れずに行わなければならず、万が一、操作が正しく実施されなかった場合、正しく参照画像が取得されないという問題がある。
【0011】
さらに、タイマを使用する方法は、閉状態になった直後の参照画像取得を保証するものではないから、閉状態になった直後に被写体の変化が起きた場合に、当該変化が起きた後に参照画像を取得してしまい、当該変化を検出できなくなる可能性がある。同様にタイマによる待機時間が十分でなければ、まだ閉状態になっていないにも関わらず開状態のまま参照画像を取得してしまう可能性もある。
【0012】
そのため、所望しない参照画像を基準に比較してしまうことで判定誤りが発生するという問題を低減できる情報処理装置、情報処理プログラム、及び情報処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の本発明は、開閉可能な閉空間に設置され、少なくとも人感センサを外部デバイスとして備えた情報処理装置において、前記人感センサから入力される人感データを分析することで、開閉扉の開閉があったか否かを判定し、開閉があったと識別した場合には参照データ取得指示を出力する開閉検知部を備えることを特徴とする。
【0014】
第2の本発明の情報処理プログラムは、開閉可能な閉空間に設置され、少なくとも人感センサを外部デバイスとして備えた情報処理装置に搭載されるコンピュータを、前記人感センサから入力される人感データを分析することで、開閉扉の開閉があったか否かを判定し、開閉があったと識別した場合には参照データ取得指示を出力する開閉検知部として機能させることを特徴とする。
【0015】
第3の本発明は、開閉可能な閉空間に設置され、少なくとも人感センサを外部デバイスとして備えた情報処理装置に使用する情報処理方法であって、開閉検知部は、前記人感センサから入力される人感データを分析することで、開閉扉の開閉があったか否かを判定し、開閉があったと識別した場合には参照データ取得指示を出力する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、所望しない参照画像を基準に比較してしまうことで被写体の状態の判定誤りが発生するという問題を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態に係る画像解析装置の一例を示すブロック図である。
【
図2】実施形態に係る画像解析装置の配置例を示す説明図である。
【
図3】実施形態に係る画像解析装置の全体的な動作を示すフローチャートである。
【
図4】実施形態に係る参照画像取得部の特徴動作を示すフローチャートである。
【
図5】実施形態に係る判定部の特徴動作を示すフローチャートである。
【
図6】実施形態に係る画像解析装置の配置例(物体有り)を示す説明図である。
【
図7】変形実施形態に係る画像解析装置の一例を示すブロック図(その1)である。
【
図8】変形実施形態に係る参照画像取得部の特徴動作を示すフローチャート(その1)である。
【
図9】変形実施形態に係る判定部の特徴動作を示すフローチャート(その1)である。
【
図10】変形実施形態に係る画像解析装置の一例を示すブロック図(その2)である。
【
図11】変形実施形態に係る参照画像取得部の特徴動作を示すフローチャート(その2)である。
【
図12】従来の画像解析装置の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(A)主たる実施形態
以下、本発明による情報処理装置、情報処理プログラム、及び情報処理方法の一実施形態を、図面を参照しながら詳述する。本実施形態では、本発明の情報処理装置を画像解析装置に適用した例について説明する。
【0019】
(A-1)実施形態の構成
(A-1-1)画像解析装置10の構成
図1は、実施形態に係る画像解析装置の一例を示すブロック図である。画像解析装置は、ハードウェア(例えば、専用の半導体チップ等)で構成するようにしても良いし、一部又は全部を、ソフトウェア的に構成するようにしても良い。
【0020】
図1において、画像解析装置10は、先述の
図12の画像解析装置100と同様に、参照画像取得部A1、測定画像取得部A2、及び画像比較部A3を備える。ただし、画像解析装置10の参照画像取得部A1の機能及び内部構成が、画像解析装置100と異なるので、以下ではこの差異点を中心に詳述する。
【0021】
また、画像解析装置10は、外部デバイスとして、カメラ20に加えて、人感センサ30及び測距センサ40を備えるものとする。なお、このカメラ20、人感センサ30及び測距センサ40は、画像解析装置10と一体化して組み込まれても良い。
【0022】
さらに、この実施形態では、画像解析装置10は、
図2で示すような開閉可能な閉空間に設置され、少なくとも人感センサ30を外部デバイスとして備えることを前提とする。なお、人感センサ30は、開閉部がセンシング範囲に含まれるように設置し、
図2に示すように測距センサ40も備える場合は、測距センサ40も開閉部がセンシング範囲に含まれるように設置することで本実施形態の効果は最大化される。
【0023】
人感センサ30は、例えば、人体などから放射される赤外線を受け、入射赤外線の変化を検出するセンサである。即ち、人感センサ30は、熱源である人体等と、床や壁などの背景との入射赤外線の差、つまり温度差を検出してパルスを出力することで、例えば人体を検出する。人感センサ30は、入射赤外線が変化し続けるとレベルH(例えば、HIGHレベル)を出力し、一方、入射赤外線の変化が停滞するとレベルL(例えばLOWレベル)を出力することで、入射赤外線の変化の有無に応じてパルスを出力する。
【0024】
測距センサ40は、例えば、超音波や電磁波を照射し、反射波を受信するまでの時間に基づき物体までの距離を測定するセンサである。電磁波には、例えば、赤外線や可視光、紫外線、電波など種々の選択肢があり、照射形態にもレーザーなど種々の選択肢がある。その他にも、測距センサ40は、三角測量法を用いて距離を測定する方式のセンサ等でも良い。
【0025】
画像解析装置10の参照画像取得部A1は、開閉検知部B11、及び参照画像取得コア部B12を備える。
【0026】
開閉検知部B11は、人感センサ30から入力される人感データや測距センサ40から入力される測距データを分析することで、開閉扉が開かれて閉じられるという事象が発生したか否か、つまり開閉扉の開閉があったか否かを判定し、開閉があったと識別した場合には参照データ取得指示を出力するものである。
【0027】
参照画像取得コア部B12は、参照データ取得指示を受けたときにカメラ20を制御しデータを取得することで参照画像を取得し更新するものである。
【0028】
(A-1-2)開閉検知部B11の詳細構成
図1に示すように、開閉検知部B11は、トリガ部B111、人感データ解析部B112、測距データ収集部B113、判定部B114、及び判定に必要な情報を保持する記憶部B115を備える。
【0029】
トリガ部B111は、例えば、人感データを監視し、人感データのレベルが変化したときに検出開始信号を出力するものである。
【0030】
人感データ解析部B112は、検出開始信号を受けたら人感データを解析して人感データ解析値を出力するものである。
【0031】
測距データ収集部B113は、検出開始信号を受けたら測距データをバッファリングして判定用測距データを出力するものである。
【0032】
判定部B114は、人感データ解析値や判定用測距データに基づき開閉扉の開閉があったか否かを判定し、開閉があったと識別した場合には参照データ取得指示を出力するものである。
【0033】
判定部B114は、例えば、判定コア部C1141及び遅延部C1142により構成される。
【0034】
判定コア部C1141は、例えば、人感データ解析値や判定用測距データに基づき開閉扉が開いたか否かを判定し、開いたことがあったと識別した場合には、オープン検知信号を出力するものである。また、判定コア部C1141は、人感データ解析値や判定用測距データを分析することで開閉扉が開いたことを検出し、開閉扉が開いたことを通知するアラートを上げる機能を含んでいても良い。このアラートは、例えばアラート用のパケットを画像解析装置10からサーバ等の外部装置に発信するなどの方法で出力すれば良い。
【0035】
遅延部C1142は、オープン検知信号が入力されたときに測距データを取得し分析することで、開閉扉が閉まったと判定できるまで分析を続け、開閉扉が閉まったと判定したのちに参照データ取得指示を出力するものである。また、判定コア部C1141と同様に、遅延部C1142は、オープン検知信号が入力されてから、予め定めた一定時間以上開閉扉が閉まったと判定できなければ、開閉扉が閉まっていないことを通知するアラートを上げる機能を含んでいても良い。
【0036】
(A-2)実施形態の動作
次に、この実施形態に係る画像解析装置10の動作を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0037】
(A-2-1)画像解析装置10の全体的な動作
図3は、実施形態に係る画像解析装置の全体的な動作を示すフローチャートである。
【0038】
まず、画像解析装置10は、参照画像取得部A1において、参照画像を取得して保持し、画像比較部A3に参照画像を出力し続ける(S1)。
【0039】
次に、測定画像取得部A2は、カメラ20により測定画像を取得し、画像比較部A3に出力する(S2)。
【0040】
そして、画像比較部A3は、測定画像と参照画像とを比較し、状態信号を計算する(S3)。
【0041】
(A-2-2)参照画像取得部A1の詳細な動作
次に、参照画像取得部A1内部の詳細な動作(先述のステップS1の詳細な動作)を説明する。
図4は、実施形態に係る参照画像取得部の特徴動作を示すフローチャートである。
【0042】
トリガ部B111は、人感データを監視し、人感データのレベルがレベルHになった場合に検出開始信号を出力する(ステップS111)。
【0043】
なお、検出開始信号の出力タイミングは、当該信号の立ち上がりエッジでも良いし、立ち下がりエッジでも良いし、レベルHの間の任意のタイミングでも良い。
【0044】
また、本実施形態では、人感データ解析部B112と測距データ収集部B113に同時に共通の検出開始信号を出力する例を示しているが、例えば、人感データ解析部B112には立ち下がりエッジで出力し、測距データ収集部B113には立ち上がりエッジで出力するなど、上述の3つのタイミングの何れかであれば、それぞれ別のタイミングであっても良い。なお、人感センサ30をトリガにしているため、本実施形態では、開閉扉を、熱源である人間や機械などが開閉することを前提としている。
【0045】
人感データ解析部B112は、検出開始信号が入力されると、人感データを解析して人感データ解析値を出力する(ステップS112)。人感データの解析は、例えば、以下のような指針で実施する。
【0046】
まず、人感データのレベルがレベルHからレベルLになることを「パルスが立ち下がる」と表現し、レベルLからレベルHになることを「パルスが立ち上がる」と表現する場合、パルスが立ち下がってから、予め定められた所定のパラメータT1秒以内に新しいパルスが立ち上がったとき、その一連のパルスを一つのパルスグループとする。この処理は、具体的には、例えば、パルスが立ち下がってからT1秒後に、パルスをグループ化する処理をリセットして、新たなパルスグループを待つように実装すれば実現できる。
【0047】
次に、パルスグループに対して、1種類以上のパルス統計量として、例えば、パルス数やレベルHの時間の総和を求める。
【0048】
最後に、人感データ解析部B112は、パルス統計量の何れか1種類以上が予め定めた閾値以上の場合には「変化あり」、それ以外の場合は「変化なし」という人感データ解析値を、例えば、予め定めたT2秒後に出力する。T2秒が経過する前に新しいパルスが届いたら、人感データ解析値の出力予定を一度キャンセルし、その時刻から改めてT2秒後に人感データ解析値を出力する。
【0049】
測距データ収集部B113は、検出開始信号が入力されると、測距データを取得してバッファリングし、判定用測距データとして出力する(ステップS113)。
【0050】
判定用測距データは、測距データ取得期間に取得された1個以上の測距データである。また、測距データ取得期間とは、例えば、検出開始信号が入力されてから、予め決められたT3秒間でも良いし、予め決められたN個の測距データを取得する期間でも良いし、
図1に示すように、人感データ解析部B112と測距データ収集部B113とが状態共有し、人感データ解析部B112が人感データ解析値を出力するまでの時間としても良い。
【0051】
判定部B114は、例えば人感データ解析値と判定用測距データの入力を待ち、人感データ解析値や判定用測距データに基づき開閉扉の開閉があったか否かを判定し、開閉があったと識別した場合には参照データ取得指示を出力する(ステップS114)。
【0052】
ここで、判定部B114は、判定用測距データに基づき判定する場合、予め測距センサから開閉扉までの距離を測定しておき、扉距離Rとして記憶部B115に保存しておく。この動作は、例えば、装置の設置時やシステムの初期設定時に1度実施しておけば良い。また、扉距離Rは、任意のユーザのタイミングや、参照データ取得指示が出力されたタイミングで測距データを再取得し、取得された値で更新しても良い。
【0053】
開閉扉の開閉があったか否かの判定は、具体的には、例えば、以下の方法でおこなう。
【0054】
<方法>
人感データ解析値が変化ありを示しており、且つ判定用測距データも開閉扉以外の距離を取得している場合、開閉扉の開閉ありと判定し、それ以外の場合は開閉なしと判定する。開閉扉以外の距離を取得している場合とは、例えば、以下の条件1と条件2(条件2-1、2-2)の何れか又は両方で判定する。
【0055】
<条件1>
判定用測距データの中に、判定用測距データの値から扉距離Rを引いた値が閾値Aよりも大きくなる値が存在する場合、条件1は、開閉扉以外の距離を取得しているとみなす。つまり、開閉扉よりも外側の距離が測定されている場合である。判定部B114は、測距データを変数Xで表すと、以下の(1)式を満たすXが判定用測距データのなかにある場合に開閉扉以外の距離を取得していると判定する。
X-R>A …(1)
【0056】
<条件2(2-1)>
判定用測距データの中に、判定用測距データの値から扉距離Rを引いた値が閾値Bよりも小さくなる値が閾値C以上の割合で存在する場合、条件2は開閉扉以外の距離を取得しているとみなす。つまり、開閉扉よりも内側の距離が測定されている場合である。開閉扉が開いているときは、例えば人の手などが入ってきている場合もあり、本条件はこのような場面を検出する。判定部B114は、測距データを変数Xで表すと、以下の(2)式を満たすXが判定用測距データのなかにあり、且つ該当データが閾値C以上の割合で存在する場合、開閉扉以外の距離を取得していると判定する。
X-R<B …(2)
【0057】
割合を判定基準に加えていることで、判定用測距データの取得中に偶然開閉扉以外の場所から物体が入り、その物体が測距センサの測距範囲を通過したとき、その物体までの距離を瞬間的に取得してしまう可能性があるが、この瞬間的に取得された通過物(配達物)までの距離が開閉扉の開閉判定に影響を及ぼすことを防いでいる。このような場面は、例えば、配達物を入れるポストに本発明の画像解析装置を設置した場合で、測距中に配達物回収用の開閉扉以外の配達物差込口から配達物が入った場合などに発生する。
【0058】
なお、条件2(2-1)は、例えば、以下の条件2-2のように変更しても良い。
【0059】
<条件2-2>
判定用測距データの中に、判定用測距データの値から扉距離Rを引いた値の絶対値が閾値Bよりも大きくなる値が閾値C以上の割合で存在する場合、条件2-2は開閉扉以外の距離を取得しているとみなす。つまり、判定部B114は、測距データを変数Xで表すと、以下の(3)式を満たすXが判定用測距データのなかにあり、且つ該当データが閾値C以上の割合で存在する場合、開閉扉以外の距離を取得していると判定する。
|X-R|>B …(3)
【0060】
割合を判定基準に加えている理由は上記と同様である。加えて、条件2(2-1)や条件2-2は、上述した差分値X-Rの最小値、または差分の絶対値|X-R|の最大値Mと、判定用測距データのうち最後に取得された測距データから求めた差分値または差分の絶対値であるLの差分の絶対値|M-L|が閾値Dよりも小さい場合に開閉扉の距離を取得していると判定する、つまり参照データ取得指示を出さないように判定する補正を加えても良い。
【0061】
このように補正することで、例えば、
図6に示すように開閉扉以外の場所から何か大きな物体(物体50)が挿入された場合(つまり、
図6の例では、開閉扉以外の場所から何か物体が挿入されたことを画像比較部A3で検知したい場合)などを除外することができる。このような場面は、例えば上述したポストの場合、配達物を入れるポストに配達物が入った場合を画像比較部A3で検知したく、つまり参照データ取得指示は出力したくなく、ポストから配達物を回収された際には参照データ取得指示を出力したい場合などが相当する。
【0062】
なお、判定部B114が判定コア部C1141と遅延部C1142とから構成されている場合、上述のステップS114は、以下の
図5で示すステップS1141とステップS1142とになる。
【0063】
判定コア部C1141は、ステップS114に記載の方法で、開閉扉が開いたか否かを判定し、開いたことがあったと識別した場合にはオープン検知信号を出力する(ステップS1141)。なお、ステップS114に記載の方法は、正確には開閉扉が開閉したことを判定しているのではなく、開閉扉が開いたことを判定しており、ステップS112でT2秒間待つことで開閉扉が閉じたと仮定できるようにしている。ステップS1141では、開閉扉が開いたか否かを判定するために、ステップS114に記載の方法を用い、開閉扉が開いたと判定した場合にオープン検知信号を出力する。
【0064】
次に、遅延部C1142は、オープン検知信号が入力されたときに測距データを取得し分析することで、開閉扉が閉まったと判定できるまで分析を続け、開閉扉が閉まったと判定したのちに参照データ取得指示を出力する(ステップS1142)。
【0065】
具体的には、例えば、測距データZを取得し、測距データZから扉距離Rを引いた値の絶対値が予め定めた閾値E以下になるまで、測距データZの取得を繰り返し、閾値E以下になると開閉扉が閉まったと判定する。また、上述したように、遅延部C1142は、オープン検知信号が入力されてから、予め定めた一定時間以上開閉扉が閉まったと判定できなければ、開閉扉が閉まっていないことを通知するアラートを上げる機能を含んでいても良い。判定部B114が判定コア部C1141と遅延部C1142とから構成されている場合は、開閉扉が閉まったことを遅延部C1142で判定するため、ステップS112に記載のT2秒の待機は不要であり、つまり0秒でも良い。
【0066】
参照画像取得コア部B12は、参照データ取得指示を受けたときに、カメラ20を制御しデータを取得することで、参照画像を取得して保持し、画像比較部A3に参照画像を出力し続ける(ステップS12)。
【0067】
なお、本実施形態では、遅延部C1142において、測距データを取得し分析することで、開閉扉が閉まったことを検知しているが、開閉扉が閉まったことを判定するには、種々の方法が考えられ、例えば以下のものが存在する。
【0068】
1つ目の例は、照度センサ(図示せず)から照度データを取得し、予め定めた閾値よりも暗くなっていることを比較器により評価することで開閉扉が閉まっていることを判定する方法である。
【0069】
2つ目の例は、カメラ20から画像データを取得し、画素値またはその平均値などの統計値が予め定めた閾値よりも小さくなってることを比較器により評価することで開閉扉が閉まっていることを判定する方法である。
【0070】
3つ目の例は、カメラ20からJPEG等やMPEG-4/AVC等の圧縮フォーマットで圧縮された画像データを取得し、圧縮データのデータ量が予め定めた閾値よりも小さくなっていることを比較器により評価することで開閉扉が閉まっていることを判定する方法である。開閉扉が閉まっている場合は、空いている場合に比べて相対的に画像全体が黒一色に近づくため、画像情報としてエントロピーが小さくなり、データ量もまた小さな値を取ることになる。3つ目の例は、この性質を利用したものである。
【0071】
また、ステップS114(又はステップS1141)において、判定部B114(又は判定コア部C1141)は、人感データ解析値や判定用測距データに基づき開閉扉が開いたかを判定し、開閉扉が開いたと識別した場合にはアラートを出力しても良い。
【0072】
具体的には、人感データ解析値が変化ありを示しているときに、開閉扉が開いたと識別したり、判定用測距データが開閉扉以外の距離を取得している場合に開閉扉が開いたと識別したり、人感センサが変化ありを示していて且つ判定用測距データが開閉扉以外の距離を取得している場合に開閉扉が開いたと識別したりする。
【0073】
(A-3)実施形態の効果
以上のように、本実施形態によれば、人感センサや測距センサから取得したデータを活用し、解析することで、開閉扉の開閉を検出しており、開閉扉の開閉が検知されたときにのみ参照データ取得指示を出力しているため、望ましくない参照画像を基準に比較してしまうことで判定誤りが発生するという問題を回避できる。
【0074】
また、遅延部C1142が「開閉扉が閉まっていないことを通知するアラート機能」を含んでおり、画像解析装置10を設置する閉空間が機密文書等を保管する場所で、開閉扉が当該文書等を回収する扉である場合には、開閉扉の閉め忘れ等を警告することもできる。
【0075】
(B)他の実施形態
上記実施形態においても種々の変形実施形態を言及したが、本発明は、以下の変形実施形態にも適用できる。
【0076】
(B-1)上記実施形態では、カメラ20を用いて閉空間の状態変化を検知する例を示しているが、必ずしもカメラ20がなくても開閉検知部B11は一部の効果を発揮する。例えば、カメラ20の代わりにもう一つ測距センサを追加し、開閉を検知したタイミングの測距データを基準としたときの、測距データの変化量を状態信号として伝送する場合のように、開閉扉の開閉時の状態を基準として、何らかの変化を求め、通知するようなシステムにおいて、本発明は、望ましくない基準と比較してしまうことで状態変化の程度が誤るという問題を回避できている。
【0077】
(B-2)上記実施形態では、画像解析装置10が人感センサ30と測距センサ40を組み合わせた例を示しているが、変形例として、
図7のように、人感センサ30のみの構成でも一定の効果はある。
【0078】
この場合は動作においても、
図8(参照画像取得部A1の動作)に示すように、上述のステップS113は含まず、ステップS114-2において、画像解析装置10は、人感データ解析値に基づき参照データ取得指示を出力するか否かを判定する。また、判定部B114が判定コア部C1141と遅延部C1142とから構成されている場合には、
図9(判定部B114内の動作)に示すように、遅延部C1142はステップS1142-2において上述したように照度センサやカメラからのデータを分析することで開閉扉が閉まったことを判定する。
【0079】
(B-3)上記実施形態では、画像解析装置10が人感データ解析値と判定用測距データを組み合わせて判定する例を示しているが、変形例として、
図10のように、判定用測距データのみで判定する構成でも一定の効果はある。この場合は動作においても、
図11(参照画像取得部A1の動作)のように、ステップS112は含まず、ステップS114-3において、画像解析装置10は、判定用測距データに基づき参照データ取得指示を出力するか否かを判定する。また、判定部B114が判定コア部C1141と遅延部C1142とから構成されている場合に、遅延部C1142が照度センサやカメラからのデータを分析することで開閉扉が閉まったことを判定する構成であっても良い。
【0080】
(B-4)上記実施形態では、画像解析装置10が、
図4のステップS113で測距データ取得期間を例示しているが、上述の測距データ取得期間の例に加えて、例えば、判定用測距データが開閉扉以外の距離を取得している場合に測距データの取得を中断し、判定用測距データを出力する動作であっても本発明は効果を発揮する。この場合、データの収集数が減る分、消費電力の削減や処理遅延の削減が期待できる。このとき、判定用測距データが開閉扉以外の距離を取得しているか否かは、ステップS114に記載の方法と同様の方法で判定する。
【符号の説明】
【0081】
10、100…画像解析装置、20…カメラ、30…人感センサ、40…測距センサ、50…物体、A1…参照画像取得部、A2…測定画像取得部、A3…画像比較部、B11…開閉検知部、B111…トリガ部、B112…人感データ解析部、B113…測距データ収集部、B114…判定部、B115…記憶部、B12…参照画像取得コア部、C1141…判定コア部、C1142…遅延部。