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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023028066
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】燃料電池システム及び作業機械
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0662 20160101AFI20230224BHJP
【FI】
H01M8/0662
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021133525
(22)【出願日】2021-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石野 力
【テーマコード(参考)】
5H127
【Fターム(参考)】
5H127AB04
5H127AB29
5H127AC02
5H127BA02
5H127BA22
5H127BA28
5H127BA33
5H127BA57
5H127BA60
5H127BB02
5H127BB07
5H127BB12
5H127BB37
5H127CC07
5H127EE04
5H127EE11
(57)【要約】
【課題】大気空間のダストが燃料電池に侵入することを抑制すること。
【解決手段】作業機械に搭載される燃料電池システムは、外気導入口を含む外気導入部材と、外気導入口から導入された作業機械の外部の空気と液体とを接触させるエアクリーナ装置と、液体に接触した後の空気と燃料ガスとが供給される燃料電池と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械に搭載される燃料電池システムであって、
外気導入口を含む外気導入部材と、
前記外気導入口から導入された前記作業機械の外部の空気と液体とを接触させるエアクリーナ装置と、
前記液体に接触した後の空気と燃料ガスとが供給される燃料電池と、を備える、
燃料電池システム。
【請求項2】
前記エアクリーナ装置は、前記液体で濡れた多孔部材を有し、
前記多孔部材の孔を通過した空気が前記燃料電池に供給される、
請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記多孔部材の孔に前記液体の膜が形成され、
前記液体の膜に前記外部の空気が当たることにより前記液体のミストが生成され、
前記孔を通過した空気の少なくとも一部は、生成された前記ミストが存在するミスト空間を通過する、
請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記エアクリーナ装置は、
前記液体が貯められる貯留空間を形成する貯留部と、
前記多孔部材の少なくとも一部が前記貯留空間の液体に浸かった第1状態と前記貯留空間の液体から出た第2状態とに変化するように、前記多孔部材を支持する支持部と、
前記第1状態から前記第2状態に変化した前記多孔部材の少なくとも一部に供給される前記外部の空気が流れる流入流路を形成する空気流入部と、を有する、
請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記多孔部材は、円筒状であり、
前記支持部は、前記多孔部材の少なくとも一部が前記第1状態と前記第2状態とに変化するように、前記多孔部材を回転可能に支持する、
請求項4に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記エアクリーナ装置は、
前記多孔部材の少なくとも一部が前記第1状態と前記第2状態とに変化するように、前記多孔部材を回転させるクリーナモータを有する、
請求項5に記載の燃料電池システム。
【請求項7】
前記流入流路からの空気は、前記第2状態の前記多孔部材の外面に供給され、
前記多孔部材の孔を通過した空気は、前記多孔部材の内側空間に流入した後、前記内側空間の軸方向の端部から流出する、
請求項5又は請求項6に記載の燃料電池システム。
【請求項8】
前記多孔部材の回転により前記液体のミストが生成され、
前記内側空間は、生成された前記ミストが存在するミスト空間を含む、
請求項7に記載の燃料電池システム。
【請求項9】
前記貯留空間の液体は、前記第2状態から前記第1状態に変化した前記多孔部材の少なくとも一部からダストを回収する、
請求項4から請求項8のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
【請求項10】
前記ダストは、メタルパウダーを含む、
請求項9に記載の燃料電池システム。
【請求項11】
前記貯留部の底部に開口が設けられ、
前記エアクリーナ装置は、前記開口に配置されるプラグを有する、
請求項9又は請求項10に記載の燃料電池システム。
【請求項12】
前記エアクリーナ装置は、
前記貯留空間に液体を供給する液体供給装置と、
前記貯留空間から液体を回収する液体回収装置と、を有する、
請求項4から請求項11のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
【請求項13】
前記貯留空間の液体は、前記燃料電池において生成された水を含む、
請求項4から請求項12のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の燃料電池システムと、
前記燃料電池が発電した電力に基づいて駆動する電動モータと、
前記電動モータにより駆動される油圧ポンプと、
前記油圧ポンプから吐出された作動油に基づいて駆動する油圧アクチュエータと、を備える、
作業機械。
【請求項15】
車体と、
前記車体に取り付けられる作業機と、を備え、
前記油圧アクチュエータは、前記作業機を動作させる油圧シリンダを含む、
請求項14に記載の作業機械。
【請求項16】
車体と、
前記車体に支持されるダンプボディと、を備え、
前記油圧アクチュエータは、前記ダンプボディを回動させる油圧シリンダを含む、
請求項14に記載の作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃料電池システム及び作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、燃料ガスである水素と酸化ガスである酸素とを化学反応させて発電する。酸化ガスとして大気空間の酸素が使用される場合が多い。酸化ガスとして大気空間の酸素を使用する場合、大気空間のダストが燃料電池に侵入することを抑制する必要がある。特許文献1には、燃料電池本体の酸化剤ガス供給経路内に湿潤フィルタを配置する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-185193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
鉱山、建設現場、及び農地等の作業現場においては、土又は岩を掘削、切削、開墾、及び運搬する作業において、大量のダストが巻き上げられ大気空間を浮遊することになる。作業現場で稼働する作業機械に燃料電池を搭載する場合、多量のダストが大気空間に存在しても、燃料電池にダストが侵入することを抑制できる技術が要望される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に従えば、作業機械に搭載される燃料電池システムであって、外気導入口を含む外気導入部材と、外気導入口から導入された作業機械の外部の空気と液体とを接触させるエアクリーナ装置と、液体に接触した後の空気と燃料ガスとが供給される燃料電池と、を備える、燃料電池システムが提供される。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、大気空間のダストが燃料電池に侵入することが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る作業現場を模式的に示す図である。
図2図2は、実施形態に係るダンプトラックを示す斜視図である。
図3図3は、実施形態に係るダンプトラックを模式的に示す図である。
図4図4は、実施形態に係るエアクリーナ装置を模式的に示す断面図である。
図5図5は、実施形態に係るエアクリーナ装置を模式的に示す断面図である。
図6図6は、実施形態に係る多孔部材の一部を模式的に示す断面図である。
図7図7は、実施形態に係る油圧ショベルを示す斜視図である。
図8図8は、実施形態に係る油圧ショベルを模式的に示す図である。
図9図9は、実施形態に係るエアクリーナ装置を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示は実施形態に限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0009】
[第1実施形態]
第1実施形態について説明する。
【0010】
<作業現場>
図1は、実施形態に係る作業現場1を模式的に示す図である。作業現場1において、複数の作業機械2が稼働する。実施形態において、作業現場1は、鉱山である。鉱山とは、鉱物を採掘する事業場をいう。作業機械2として、油圧ショベル2A及びダンプトラック2Bが例示される。
【0011】
作業現場1は、積込場1Aと、排土場1Bと、搬送路1Cとを有する。積込場1Aとは、油圧ショベル2Aがダンプトラック2Bに積荷を積み込みする積込作業を実施するエリアをいう。排土場1Bとは、ダンプトラック2Bが積荷を排出する排土作業を実施するエリアをいう。搬送路1Cとは、積込場1Aと排土場1Bとを繋ぐダンプトラック2Bの通路をいう。
【0012】
<ダンプトラック>
図2は、実施形態に係るダンプトラック2Bを示す斜視図である。図3は、実施形態に係るダンプトラック2Bを模式的に示す図である。図2及び図3に示すように、ダンプトラック2Bは、燃料電池システム3と、電動モータ104と、パワーテイクオフ106と、油圧ポンプ105と、バルブ装置107と、前輪108Aと、後輪108Bと、左後輪駆動モータ104Aと、右後輪駆動モータ104Bと、ステアリングシリンダ109と、車体110と、ダンプボディ112と、ホイストシリンダ113とを備える。
【0013】
電動モータ104、左後輪駆動モータ104A、及び右後輪駆動モータ104Bのそれぞれは、燃料電池システム3が発電した電力に基づいて駆動する。
【0014】
油圧ポンプ105は、パワーテイクオフ106を介して電動モータ104に接続される。油圧ポンプ105は、電動モータ104により駆動される。油圧ポンプ105から吐出された作動油は、バルブ装置107を介して、ステアリングシリンダ109及びホイストシリンダ113のそれぞれに供給される。
【0015】
前輪108A及び後輪108Bのそれぞれは、車体110を支持する。前輪108Aに前タイヤ108Cが装着される。後輪108Bに後タイヤ108Dが装着される。前輪108Aは、左前輪108Alと、右前輪108Arとを含む。後輪108Bは、左後輪108Blと、右後輪108Brとを含む。
【0016】
前輪108Aは、ステアリングシリンダ109により操舵される操舵輪である。後輪108Bは、左後輪駆動モータ104A及び右後輪駆動モータ104Bが発生する動力により回転する駆動輪である。左後輪108Blは、左後輪駆動モータ104Aに接続される。右後輪108Brは、右後輪駆動モータ104Bに接続される。後輪108Bに装着された後タイヤ108Dが回転することにより、ダンプトラック2Bが走行する。
【0017】
ステアリングシリンダ109は、油圧アクチュエータの一種である油圧シリンダである。ステアリングシリンダ109は、油圧ポンプ105から吐出された作動油に基づいて駆動する。バルブ装置107は、油圧ポンプ5からステアリングシリンダ109に供給される作動油の方向及び流量を調整する。ステアリングシリンダ109は、前輪108Aを操舵する動力を発生する。
【0018】
車体110は、前輪108A及び後輪108Bのそれぞれに支持される。
【0019】
ダンプボディ112は、積荷が積み込まれる部材である。ダンプボディ112は、ホイストシリンダ113により回動される。ダンプボディ112は、リアダンプ方式である。ホイストシリンダ113によりダンプボディ112が後方に回動することにより、ダンプボディ112から積荷が排出される。
【0020】
ホイストシリンダ113は、油圧アクチュエータの一種である油圧シリンダである。ホイストシリンダ113は、油圧ポンプ105から吐出された作動油に基づいて駆動する。バルブ装置107は、油圧ポンプ5からホイストシリンダ113に供給される作動油の方向及び流量を調整する。ホイストシリンダ113は、ダンプボディ112を回動させる動力を発生する。
【0021】
<燃料電池システム>
燃料電池システム3は、ダンプトラック2Bに搭載される。図3に示すように、燃料電池システム3は、燃料電池20と、酸化ガス供給装置30と、燃料ガス供給装置40と、電力調整装置50と、冷媒供給装置60とを有する。
【0022】
燃料電池20は、燃料ガスである水素と酸化ガスである酸素とを化学反応させて発電する。燃料電池20は、複数の単位セル21が積層されたスタック構造を有する。
【0023】
酸化ガス供給装置30は、燃料電池20のカソードに酸素を含む空気を供給する。酸化ガス供給装置30は、外気導入部材31と、給気管32と、エアクリーナ装置33と、エアコンプレッサ34と、排気管36とを有する。
【0024】
外気導入部材31は、ダンプトラック2Bの外部の空気を取り入れる。ダンプトラック2Bの外部の空気は、ダンプトラック2Bの周囲の大気空間の空気である。外気導入部材31は、大気空間の空気を導入する外気導入口31Aを含む。
【0025】
給気管32は、外気導入部材31の外気導入口31Aと燃料電池20のカソード入口とを接続する。
【0026】
エアクリーナ装置33は、給気管32に配置される。エアクリーナ装置33は、外気導入口31Aから導入された空気からダストを取り除く。
【0027】
エアコンプレッサ34は、給気管32においてエアクリーナ装置33と燃料電池20との間に配置される。エアコンプレッサ34は、外気導入口31Aに吸引力を発生させる。外気導入口31Aに吸引力が発生することにより、ダンプトラック2Bの外部の空気は、外気導入口31Aに導入される。外気導入口31Aに導入された空気は、エアクリーナ装置33及びエアコンプレッサ34を通過した後、燃料電池20に供給される。
【0028】
排気管36は、燃料電池20のカソード出口とダンプトラック2Bの周囲の大気空間とを接続する。
【0029】
燃料ガス供給装置40は、燃料電池20のアノードに水素を供給する。燃料ガス供給装置40は、水素タンク41と、給気管42と、調圧弁43と、ドレン管45と、気液分離器46と、循環管47と、水素循環ポンプ48とを有する。
【0030】
水素タンク41は、水素を収容する。水素は、水素タンク41に充填される。
【0031】
給気管42は、水素タンク41と燃料電池20のアノード入口とを接続する。
【0032】
調圧弁43は、給気管42に配置される。水素タンク41から送出された水素の圧力を規定の圧力に低下させる。
【0033】
ドレン管45は、燃料電池20のアノード出口と排気管36とを接続する。
【0034】
気液分離器46は、ドレン管45に配置される。気液分離器46は、燃料電池20のアノード出口から排出された水素から水を分離して貯留する。気液分離器46に貯留された水は、ドレン管45及び排気管36を介して大気空間に排出される。
【0035】
なお、ドレン管45は、排気管36に接続されなくてもよい。
【0036】
循環管47は、気液分離器46と給気管42とを接続する。
【0037】
水素循環ポンプ48は、循環管47に配置される。水素循環ポンプ48は、燃料電池20のアノード出口から排出され、気液分離器46において水分を除去された水素を燃料電池20に戻すように駆動する。水素循環ポンプ48により、燃料電池20から排出された未反応の水素が再利用される。
【0038】
電力調整装置50は、燃料電池20が発電した電力を電動モータ104、左後輪駆動モータ104A、及び右後輪駆動モータ104Bのそれぞれに供給する。電力調整装置50は、DC-DCコンバータ51と、モータインバータ52と、DC-DCコンバータ53と、蓄電池54とを有する。
【0039】
DC-DCコンバータ51は、燃料電池20で発電された電圧を昇圧する。DC-DCコンバータ51は、燃料電池20で発電された直流電流をモータインバータ52に供給する。
【0040】
モータインバータ52は、DC-DCコンバータ51からの直流電流を三相交流電流に変換して電動モータ104、左後輪駆動モータ104A、及び右後輪駆動モータ104Bのそれぞれに供給する。電動モータ104、左後輪駆動モータ104A、及び右後輪駆動モータ104Bのそれぞれは、モータインバータ52から供給された三相交流電流に基づいて駆動される。
【0041】
蓄電池54は、燃料電池20が発電した電力により充電される。燃料電池20と同様、蓄電池54は、作業機械2の電源として機能する。DC-DCコンバータ53は、蓄電池54が燃料電池20と一体となってモータインバータ52への電力供給ができるように、蓄電池54の充放電をコントロールする。
【0042】
なお、DC-DCコンバータ53及び蓄電池54は、省略されてもよい。
【0043】
冷媒供給装置60は、燃料電池20を冷却するために燃料電池20に冷媒を供給する。冷媒として、水が例示される。冷媒供給装置60は、供給管61と、排出管62と、ラジエータ63と、冷媒ポンプ64とを有する。
【0044】
供給管61は、燃料電池20の冷媒入口に接続される。
【0045】
排出管62は、燃料電池20の冷媒出口に接続される。
【0046】
ラジエータ63は、供給管61と排出管62とに接続される。
【0047】
冷媒ポンプ64は、供給管61に配置される。冷媒ポンプ64は、供給管61、燃料電池20、排出管62、及びラジエータ63を含む循環経路において冷媒が循環するように駆動する。ラジエータ63は、燃料電池20から排出された冷媒とダンプトラック2Bの外部の空気とを熱交換して冷媒を冷却する。
【0048】
<エアクリーナ装置>
図4は、実施形態に係るエアクリーナ装置33を模式的に示す断面図である。図5は、実施形態に係るエアクリーナ装置33を模式的に示す断面図である。図4は、エアクリーナ装置33を側方から見たときの断面図である。図5は、エアクリーナ装置33を図4とは90度視点を変えた側方から見たときの断面図である。
【0049】
エアクリーナ装置33は、外気導入口31Aから導入されたダンプトラック2Bの外部の空気からダストを取り除く。エアクリーナ装置33は、外気導入口31Aから導入されたダンプトラック2Bの外部の空気と液体とを接触させる。空気と液体とが接触することにより、空気に含まれているダストが空気から取り除かれる。
【0050】
実施形態において、液体は、水である。なお、液体は、水と水に添加された添加物とを含んでもよい。すなわち、液体は、水を主成分とする液体でもよい。なお、液体は、水でなくてもよい。
【0051】
ダンプトラック2Bが稼働する作業現場1においては、多量のダストがダンプトラック2Bの周囲の大気空間を浮遊する。特に鉱物を採掘する鉱山においては、メタルパウダーと呼ばれる金属を主成分とするダストが大気空間を浮遊する。例えば、鉄を採掘する鉱山においては、メタルパウダーとして鉄の微粒子が大気空間を浮遊する。銅を採掘する鉱山においては、メタルパウダーとして銅の微粒子が大気空間を浮遊する。
【0052】
外気導入口31Aから導入された空気には、メタルパウダーのような多量のダストが含まれている可能性が高い。外気導入口31Aから導入された空気がエアクリーナ装置33において液体と接触することにより、空気に含まれているダストが空気から取り除かれる。エアクリーナ装置33において液体に接触した後の空気が給気管32を介して燃料電池20に供給される。液体に接触した後の空気が燃料電池20に供給されるので、大気空間のダストが燃料電池20に侵入することが抑制される。エアクリーナ装置33において液体に接触した後の空気と水素タンク41からの水素とが燃料電池20に供給されることにより、燃料電池20は、適正に発電することができる。
【0053】
図4及び図5に示すように、エアクリーナ装置33は、ハウジング70と、ダストフィルタ77と、ケミカルフィルタ78と、多孔部材71と、連結部材72と、クリーナモータ73と、プラグ74と、液体供給装置75と、液体回収装置76とを有する。
【0054】
ハウジング70は、空気流入部70Aと、支持部70Bと、貯留部70Cと、空気流出部70Dとを有する。実施形態において、空気流入部70Aと支持部70Bと貯留部70Cと空気流出部70Dとは、単一の部材である。なお、空気流入部70Aと支持部70Bと貯留部70Cと空気流出部70Dとは、別々の部材でもよい。
【0055】
空気流入部70Aは、外気導入口31Aから導入されたダンプトラック2Bの外部の空気が流れる流入流路81を形成する。空気流入部70Aは、給気管32の少なくとも一部を介して外気導入部材31に接続される。図5に示すように、実施形態において、ダストフィルタ77及びケミカルフィルタ78は、流入流路81に配置される。ダストフィルタ77は、外気導入口31Aから導入された空気に含まれるダストを捕集するぺーパフィルタである。ダストフィルタ77は、大きい粒子径のダストを回収する。ケミカルフィルタ78は、外気導入口31Aから導入された空気に含まれる化学物質を捕集する材料を練り込んだぺーパフィルタである。ケミカルフィルタ78が回収可能な化学物質として、硫黄、窒素、及び塩素化合物が例示される。
【0056】
支持部70Bは、空気流入部70Aの下部に接続される。支持部70Bは、多孔部材71の少なくとも一部が配置される処理空間82を形成する。支持部70Bは、多孔部材71を支持する。処理空間82は、流入流路81と接続される。流入流路81は、処理空間82の上端部に接続される。流入流路81を流れた空気は、処理空間82に流入する。
【0057】
貯留部70Cは、支持部70Bの下部に接続される。貯留部70Cは、液体が貯められる貯留空間83を形成する。貯留空間83は、処理空間82と接続される。処理空間82は、貯留空間83よりも上方に配置される。処理空間82と貯留空間83とは、一体である。多孔部材71の少なくとも一部は、貯留空間83に配置される。
【0058】
空気流出部70Dは、支持部70Bの側部に接続される。空気流出部70Dは、処理空間82からの空気が流れる流出流路84を形成する。処理空間82は、流出流路84と接続される。流出流路84は、処理空間82の側部に接続される。空気流出部70Dは、給気管32の少なくとも一部を介して燃料電池20に接続される。処理空間82を流れた空気は、流出流路84に流入する。流出流路84を流れた空気は、エアコンプレッサ34を介して燃料電池20に供給される。図4に示すように、実施形態において、エリミネータ79が流出流路84に配置される。エリミネータ79は、空気に含まれる液体のミストが燃料電池20に入らないように遮断する。
【0059】
多孔部材71は、複数の孔を有する。実施形態において、多孔部材71は、メッシュプレートを含む。空気は、多孔部材71の孔を通過することができる。液体も、多孔部材71の孔を通過することができる。多孔部材71は、液体を保持することができる。
【0060】
実施形態において、多孔部材71は、円筒状である。多孔部材71は、メッシュプレートを曲げることによって形成される。
【0061】
なお、多孔部材71は、複数の繊維又は棒状部材を編んだ網目構造でもよい。
【0062】
連結部材72は、多孔部材71に固定される。連結部材72は、多孔部材71の軸方向一方側の端部に接続される円板部72Aと、円板部72Aから突出するシャフト部72Bとを有する。円板部72Aは、多孔部材71の軸方向一方側に設けられた多孔部材71の開口を塞ぐように、多孔部材71の軸方向一方側の端部に固定される。シャフト部72Bは、円板部72Aの中心から多孔部材71の軸方向一方側に突出する。
【0063】
支持部70Bは、連結部材72を介して多孔部材71を支持する。実施形態において、支持部70Bは、連結部材72のシャフト部72Bを支持する。支持部70Bは、多孔部材71の中心軸AXと鉛直軸とが直交するように、多孔部材71を支持する。すなわち、支持部70Bは、多孔部材71の中心軸AXが横方向に延伸するように、多孔部材71を支持する。
【0064】
支持部70Bは、多孔部材71を回転可能に支持する。支持部70Bは、多孔部材71が中心軸AXを中心に回転するように、多孔部材71を支持する。支持部70Bは、シャフト部72Bが配置される開口を有する。シャフト部72Bは、支持部70Bの開口に配置されたベアリング(不図示)に支持される。
【0065】
クリーナモータ73は、電動モータである。クリーナモータ73は、連結部材72のシャフト部72Bに接続される。クリーナモータ73は、中心軸AXを中心に多孔部材71を回転させる動力を発生する。
【0066】
プラグ74は、貯留部70Cの底部に設けられた開口70Eに配置される。プラグ74は、開口70Eに着脱される。
【0067】
液体供給装置75は、貯留空間83に液体を供給する。液体供給装置75は、供給管75Aを介して貯留空間83に接続される。液体供給装置75は、供給管75Aを介して液体を貯留空間83に供給する。
【0068】
液体回収装置76は、貯留空間83から液体を回収する。液体回収装置76は、回収管76Aを介して貯留空間83に接続される。液体回収装置76は、回収管76Aを介して貯留空間83の液体を吸引することによって貯留空間83から液体を回収する。
【0069】
<動作>
次に、燃料電池システム3の動作について説明する。エアコンプレッサ34が起動されると、ダンプトラック2Bの外部の空気が外気導入口31Aに導入される。外気導入口31Aに導入された空気は、流入流路81を介して処理空間82に流入する。また、貯留空間83に液体が貯められる。
【0070】
図4及び図5に示すように、中心軸AXよりも下方の多孔部材71の下部分は、貯留空間83に配置される。すなわち、多孔部材71の下部分は、貯留空間83の液体に浸かる。中心軸AXよりも上方の多孔部材71の上部分は、処理空間82に配置される。すなわち、多孔部材71の上部分は、貯留空間83の液体に浸からずに、貯留空間83の液体から出ている。
【0071】
支持部70Bは、多孔部材71の少なくとも一部が貯留空間83の液体に浸かった第1状態と貯留空間83の液体から出た第2状態とに変化するように、多孔部材71を回転可能に支持する。クリーナモータ73は、少なくとも外気導入口31Aから処理空間82に空気が流入している期間において、多孔部材71を規定の回転速度で回転し続ける。
【0072】
クリーナモータ73は、多孔部材71の少なくとも一部が第1状態と第2状態とに変化するように、多孔部材71を回転させる。多孔部材71の一部分に着目した場合、多孔部材71が回転することにより、多孔部材71の一部分は、貯留空間83の液体に浸かった第1状態と貯留空間83の液体から出た第2状態とを繰り返す。
【0073】
貯留空間83の液体に浸かった多孔部材71の一部分は、液体で濡れる。第1状態から第2状態に変化した多孔部材71の一部分は、液体に濡れた状態で処理空間82に配置される。
【0074】
空気流入部70Aの流入流路81を流れたダンプトラック2Bの外部の空気は、第1状態から第2状態に変化して処理空間82に配置された多孔部材71の少なくとも一部に供給される。すなわち、外気導入口31Aから導入されて流入流路81を流れた空気は、濡れた状態で処理空間82に配置された多孔部材71の一部分に供給される。
【0075】
上述のように、実施形態において、多孔部材71は、円筒状である。流入流路81からの空気は、第2状態の多孔部材71の外面に上方から供給される。
【0076】
多孔部材71の外面に供給され、多孔部材71の孔を通過した空気は、多孔部材71の内側空間71Aに流入した後、内側空間71Aの軸方向他方側の端部から流出する。内側空間71Aの軸方向他方側の端部から流出した空気は、流出流路84を流れた後、燃料電池20に供給される。
【0077】
図6は、実施形態に係る多孔部材71の一部を模式的に示す断面図である。図6に示すように、第1状態から第2状態に変化した多孔部材71においては、多孔部材71の表面に液体の膜が形成される。また、多孔部材71の孔71Bにも液体の膜が形成される。流入流路81から多孔部材71に供給された空気は、多孔部材71に形成された液体の膜に接触する。空気と多孔部材71に形成された液体の膜とが接触することにより、空気に含まれているダストは、液体に捕らえられる。ダストは、多孔部材71又は多孔部材71を濡らしている液体に保持される。
【0078】
また、孔71Bに形成された液体の膜に空気が当たることにより、液体のミストが生成される。実施形態において、液体のミストは、専ら多孔部材71の内側空間71Aに生成される。また、液体で濡れた多孔部材71が回転することによっても、液体のミストが多孔部材71の内側空間71Aに生成される。多孔部材71の内側空間71Aは、生成されたミストが存在するミスト空間になる。
【0079】
孔71Bを通過した空気の少なくとも一部は、ミスト空間である内側空間71Aを通過する。空気がミスト空間を通過することにより、空気に含まれているダストは、液体に捕らえられる。ダストは、ミストとともに貯留空間83に落下する。貯留空間83の液体は、ミストに含まれているダストを捕らえる。貯留空間83の液体は、落下したダストを回収する。
【0080】
処理空間82においてダストを保持した多孔部材71の一部分が、多孔部材71の回転により第2状態から第1状態に変化すると、貯留空間83の液体に浸かる。多孔部材71の一部分に保持されていたダストは、貯留空間83の液体に捕らえられる。貯留空間83の液体に浸かった多孔部材71の一部分は、貯留空間83の液体でクリーニングされる。貯留空間83の液体は、第2状態から第1状態に変化した多孔部材71の一部分からダストを回収する。
【0081】
図4及び図5に示すように、貯留空間83の液体に回収されたダストは、貯留空間83の底部に沈殿する。開口70Eからプラグ74が外されることにより、貯留空間83の底部に沈殿したダストは、開口70Eを介して貯留空間83から排出される。
【0082】
実施形態において、液体回収装置76は、液体供給装置75による液体供給動作と並行して液体回収動作を実施する。少なくとも外気導入口31Aから処理空間82に空気が流入している期間において、液体供給装置75による液体供給動作と液体回収装置76による液体回収動作とが継続される。これにより、クリーンな液体が貯留空間83に一定量貯留され続ける。
【0083】
<効果>
以上説明したように、実施形態によれば、燃料電池システム3は、外気導入口31Aから導入された大気空間の空気と液体とを接触させるエアクリーナ装置33を備える。外気導入口31Aから導入された空気がエアクリーナ装置33において液体と接触することにより、空気に含まれているダストが空気から取り除かれる。液体に接触した後の空気が供給される燃料電池20に供給されるので、大気空間のダストが燃料電池20に侵入することが防止される。
【0084】
例えばダストフィルタ77でメタルパウダーのような微小なダストを捕集することは困難である。また、微小なダストを捕集するためにダストフィルタ77の目を細かくすると、吸気抵抗が大きくなりすぎて、欲しいだけの空気を吸い込むことができなくなるため、ダストフィルタ77の目はある程度以下にはできない。空気を吸い込めるようするとその結果、メタルパウダーが燃料電池20に入ってしまう。実施形態によれば、エアクリーナ装置33は、液体でダストを捕らえるので、鉱山の作業現場1のように多量のダストが大気空間を浮遊していても、空気からダストを円滑に効率良く取り除くことができる。
【0085】
エアクリーナ装置33は、液体で濡れた多孔部材71を有する。液体で濡れた多孔部材71の孔71Bを空気が通過することにより、空気に含まれるダストは、多孔部材71に保持される液体に捕らえられる。
【0086】
多孔部材71の孔71Bに液体の膜が形成される。液体の膜に空気が当たることにより、内側空間71Aに液体のミストが生成される。孔71Bを通過した空気の少なくとも一部は、生成されたミストが存在するミスト空間である内側空間71Aを通過する。空気に含まれているダストは、液体の膜及び液体のミストの少なくとも一方に捕らえらえる。
【0087】
エアクリーナ装置33は、液体が貯められる貯留空間83を形成する貯留部70Cと、多孔部材71の少なくとも一部が貯留空間83の液体に浸かった第1状態と貯留空間83の液体から出た第2状態とに変化するように、多孔部材71を支持する支持部70Bと、第1状態から第2状態に変化した多孔部材71の少なくとも一部に供給される大気空間の空気が流れる流入流路81を形成する空気流入部70Aと、を有する。これにより、液体で濡れた多孔部材71に大気空間の空気を供給することができる。
【0088】
多孔部材71は、円筒状である。支持部70Bは、多孔部材71の少なくとも一部が第1状態と第2状態とに変化するように、多孔部材71を回転可能に支持する。これにより、多孔部材71の一部分に着目した場合、多孔部材71の一部分は、第1状態と第2状態とを繰り返すことができる。第1状態の多孔部材71の一部分は、空気に含まれるダストを捕らえることができる。第2状態の多孔部材71の一部分は、貯留空間83の液体によりクリーニングされる。
【0089】
エアクリーナ装置33は、多孔部材71の少なくとも一部が第1状態と第2状態とに変化するように、多孔部材71を回転させるクリーナモータ73を有する。クリーナモータ73が発生する動力により、多孔部材71の一部分は、第1状態と第2状態とを繰り返すことができる。
【0090】
流入流路81からの空気は、第2状態の多孔部材71の外面に供給される。多孔部材71の孔71Bを通過した空気は、多孔部材71の内側空間71Aに流入した後、内側空間71Aの軸方向の端部から流出する。これにより、液体に接触した後の空気は、燃料電池20に供給される。
【0091】
多孔部材71の回転により液体のミストが生成される。多孔部材71の内側空間71Aは、生成されたミストが存在するミスト空間を含む。空気が内側空間71Aを通過することにより、空気に含まれているダストは、液体のミストに捕らえらえる。
【0092】
第2状態から第1状態に変化した多孔部材71の一部分は、貯留空間83の液体でクリーニングされる。貯留空間83の液体は、第2状態から第1状態に変化した多孔部材71の少なくとも一部からダストを回収することができる。
【0093】
貯留部70Cの底部に開口70Eが設けられる。エアクリーナ装置33は、開口70Eに配置されるプラグ74を有する。開口70Eからプラグ74が外されることにより、貯留空間83の底部に沈殿したダストは、開口70Eを介して貯留空間83から排出される。
【0094】
エアクリーナ装置33は、貯留空間83に液体を供給する液体供給装置75と、貯留空間83から液体を回収する液体回収装置76とを有する。これにより、クリーンな液体が貯留空間83に貯留される。
【0095】
<変形例>
上述の実施形態において、クリーナモータ73は、省略されてもよい。支持部70Bに回転可能に支持された多孔部材71は、流入流路81から供給される空気の力によって回転してもよい。支持部70Bに回転可能に支持された多孔部材71は、液体供給装置75から供給された液体の力によって回転してもよい。多孔部材71にフィンが設けられてもよい。空気又は液体がフィンに当たることにより、多孔部材71は、円滑に回転することができる。
【0096】
上述の実施形態において、貯留空間83の液体として、燃料電池20において生成された水が使用されてもよい。すなわち、気液分離器46において水素から分離された水が貯留空間83に供給されてもよい。これにより、燃料電池20において生成された水が有効利用される。
【0097】
上述の実施形態において、液体供給装置75及び液体回収装置76は、省略されてもよい。貯留空間83の液体は、定期的に交換されてもよい。
【0098】
上述の実施形態において、外気導入口31Aとダストフィルタ77との間にプリクリーナが配置されてもよい。
【0099】
上述の実施形態において、流入流路81に、磁力によりダストを捕らえるダストフィルタが配置されてもよいし、静電気の力によりダストを捕らえるダストフィルタが配置されてもよい。
【0100】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0101】
上述の実施形態において、燃料電池システム3がダンプトラック2Bに搭載されることとした。燃料電池システム3は、油圧ショベル2Aに搭載されてもよい。
【0102】
図7は、実施形態に係る油圧ショベル2Aを示す斜視図である。図8は、実施形態に係る油圧ショベル2Aを模式的に示す図である。図7及び図8に示すように、油圧ショベル2Aは、燃料電池システム3と、電動モータ4と、油圧ポンプ5と、バルブ装置7と、走行体8と、走行モータ9と、旋回体10と、旋回モータ11と、作業機12と、作業機シリンダ13とを備える。
【0103】
燃料電池システム3は、上述の実施形態で説明したエアクリーナ装置33を有する。電動モータ4は、燃料電池システム3が発電した電力に基づいて駆動する。
【0104】
油圧ポンプ5は、電動モータ4により駆動される。油圧ポンプ5から吐出された作動油は、バルブ装置7を介して、走行モータ9、旋回モータ11、及び作業機シリンダ13のそれぞれに供給される。
【0105】
走行体8は、旋回体10を支持した状態で走行する。走行体8は、駆動輪8Aと、従動輪8Bと、駆動輪8A及び従動輪8Bに支持される履帯8Cとを有する。
【0106】
走行モータ9は、油圧アクチュエータの一種である油圧モータである。走行モータ9は、油圧ポンプ5から吐出された作動油に基づいて駆動する。走行モータ9は、駆動輪8Aを回転させる動力を発生する。
【0107】
旋回体10は、油圧ショベル2Aの車体である。旋回体10は、走行体8に支持された状態で旋回動作する。
【0108】
旋回モータ11は、油圧アクチュエータの一種である油圧モータである。旋回モータ11は、油圧ポンプ5から吐出された作動油に基づいて駆動する。旋回モータ11は、旋回体10を旋回させる動力を発生する。
【0109】
作業機12は、旋回体10に取り付けられる。作業機12は、ブーム12Aと、アーム12Bと、バケット12Cとを含む。
【0110】
作業機シリンダ13は、油圧アクチュエータの一種である油圧シリンダである。作業機シリンダ13は、油圧ポンプ5から吐出された作動油に基づいて駆動する。作業機シリンダ13は、作業機12を動作させる動力を発生する。作業機シリンダ13は、ブームシリンダ13Aと、アームシリンダ13Bと、バケットシリンダ13Cとを含む。
【0111】
以上説明したように、燃料電池システム3が油圧ショベル2Aに搭載されてもよい。燃料電池システム3は、上述の実施形態で説明したエアクリーナ装置33を有する。したがって、大気空間のダストが燃料電池20に侵入することが抑制される。
【0112】
[第3実施形態]
第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0113】
図9は、実施形態に係るエアクリーナ装置133を模式的に示す図である。図9に示すように、エアクリーナ装置133は、ケース170と、多孔部材171と、空気流入管172とを有する。
【0114】
ケース170は、液体を収容する。液体は、ケース170に貯められる。
【0115】
多孔部材171は、ケース170の液体に浸けられる。多孔部材171は、円筒状である。多孔部材171は、複数の孔を有する。空気は、多孔部材171の孔を通過することができる。ダストも、多孔部材171の孔を通過することができる。液体も、多孔部材71の孔を通過することができる。
【0116】
空気流入管172は、外気導入口(不図示)から導入された作業機械2の外部の空気が流れる流入流路181を形成する。流入流路181を流れた空気は、多孔部材171の内側空間171Aに供給される。
【0117】
外気導入口から導入された作業機械2の外部の空気は、流入流路181を流れた後、多孔部材171の内側空間171Aに供給される。内側空間171Aに供給された空気は、多孔部材171の孔を通過する。多孔部材171の孔を通過した空気は、バブルとなって、多孔部材171の周囲の液体に噴出される。多孔部材171の孔を通過した空気は、多孔部材171の周囲の液体に接触する。空気にダストが含まれている場合、ダストは、液体に捕捉される。ケース170に収容されている液体は、ダストを回収する。ダストは、ケース170の底部に沈殿する。
【0118】
以上説明したように、エアクリーナ装置133によっても、大気空間のダストが燃料電池20に侵入することが抑制される。
【符号の説明】
【0119】
1…作業現場、1A…積込場、1B…排土場、1C…搬送路、2…作業機械、2A…油圧ショベル、2B…ダンプトラック、3…燃料電池システム、4…電動モータ、5…油圧ポンプ、7…バルブ装置、8…走行体、8A…駆動輪、8B…従動輪、8C…履帯、9…走行モータ、10…旋回体、11…旋回モータ、12…作業機、12A…ブーム、12B…アーム、12C…バケット、13…作業機シリンダ、13A…ブームシリンダ、13B…アームシリンダ、13C…バケットシリンダ、20…燃料電池、21…単位セル、30…酸化ガス供給装置、31…外気導入部材、31A…外気導入口、32…給気管、33…エアクリーナ装置、34…エアコンプレッサ、36…排気管、40…燃料ガス供給装置、41…水素タンク、42…給気管、43…調圧弁、45…ドレン管、46…気液分離器、47…循環管、48…水素循環ポンプ、50…電力調整装置、51…DC-DCコンバータ、52…モータインバータ、53…DC-DCコンバータ、54…蓄電池、60…冷媒供給装置、61…供給管、62…排出管、63…ラジエータ、64…冷媒ポンプ、70…ハウジング、70A…空気流入部、70B…支持部、70C…貯留部、70D…空気流出部、70E…開口、71…多孔部材、71A…内側空間、71B…孔、72…連結部材、72A…円板部、72B…シャフト部、73…クリーナモータ、74…プラグ、75…液体供給装置、75A…供給管、76…液体回収装置、76A…回収管、77…ダストフィルタ、78…ケミカルフィルタ、79…エリミネータ、81…流入流路、82…処理空間、83…貯留空間、84…流出流路、104…電動モータ、104A…左後輪駆動モータ、104B…右後輪駆動モータ、105…油圧ポンプ、106…パワーテイクオフ、107…バルブ装置、108A…前輪、108B…後輪、108C…前タイヤ、108D…後タイヤ、109…ステアリングシリンダ、110…車体、112…ダンプボディ、113…ホイストシリンダ、133…エアクリーナ装置、170…ケース、171…多孔部材、171A…内側空間、172…空気流入管、181…流入流路、AX…中心軸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9