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特開2023-28090工作環境支援システム及び工作環境支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023028090
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】工作環境支援システム及び工作環境支援方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20230224BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20230224BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q50/04
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021133570
(22)【出願日】2021-08-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002745
【氏名又は名称】弁理士法人河崎特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】入野 成弘
(72)【発明者】
【氏名】河合 謙吾
【テーマコード(参考)】
3C100
5L049
【Fターム(参考)】
3C100AA22
3C100AA27
3C100AA38
3C100AA43
3C100BB05
3C100BB12
3C100BB13
3C100BB19
3C100CC03
5L049CC03
(57)【要約】
【課題】適切な工作環境を整えるために指標となる適性評価情報を得ることができる工作環境支援システムを提供する。
【解決手段】ワークに対する工作機械及びツールの適性評価情報を顧客に提供する工作環境支援システムで、ワークの加工情報を入力する入力処理部と、加工情報に適した工作機械及びツールをデータベースから抽出して選択可能に表示部に表示する選択処理部と、選択した工作機械及びツールを用いて加工情報に基づいてワークを加工した場合の結果に基づいて、前記工作機械及びツールの適性評価情報を生成して出力する出力処理部と、を備え、選択処理部は、データベースに登録された属性情報に基づき顧客が所有していると識別した工作機械及びツールのみならず、顧客が所有していないと識別した工作機械及びツールも選択可能に表示部に表示する、ように構成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
評価対象となるワークを加工する工作機械及びツールの適性評価情報を顧客に提供する工作環境支援システムであって、
複数の工作機械及びツールが登録されたデータベースと、
前記ワークの加工情報を入力する入力処理部と、
前記加工情報に適した工作機械及びツールを前記データベースから抽出して選択可能に表示部に表示する選択処理部と、
前記加工情報に基づいて、前記選択処理部で選択した工作機械及びツールを用いて前記ワークを加工した場合の結果に基づいて、前記工作機械及びツールの適性評価情報を生成して出力する出力処理部と、
を備え、
前記工作機械及びツールは前記顧客の所有状態を識別する属性情報とともに前記データベースに登録され、
前記選択処理部は、前記属性情報に基づき前記顧客が所有していると識別した工作機械及びツールのみならず、前記顧客が所有していないと識別した工作機械及びツールも選択可能に前記表示部に表示する、
ように構成されている工作環境支援システム。
【請求項2】
前記選択処理部は、さらに前記加工情報に適したツールホルダを選択可能に表示し、
前記選択処理部で選択した工作機械、ツール及びツールホルダを用いて前記ワークを加工した場合の結果に基づいて、前記出力処理部は、前記工作機械、ツール及びツールホルダの適性評価情報を生成するように構成されるとともに、
前記ツールホルダは、前記工作機械及びツールと共に前記顧客の所有状態を識別する属性情報とともに前記データベースに登録され、
前記選択処理部は、前記属性情報に基づき前記顧客が所有していると識別した工作機械、ツール及びツールホルダのみならず、前記顧客が所有していないと識別した工作機械、ツール及びツールホルダも選択可能に前記表示部に表示する、ように構成されている請求項1記載の工作環境支援システム。
【請求項3】
前記適性評価情報は、前記工作機械、ツール及びツールホルダによる推奨切削条件を含むことを特徴とする請求項2に記載の工作環境支援システム。
【請求項4】
前記加工情報は、前記ワークの材質、加工前形状、加工後形状を含み、前記選択処理部は、前記加工情報を解析して前記加工情報に適した工作機械、ツール及びツールホルダのリストを出力する加工プロセス解析部を備えている請求項2または3記載の工作環境支援システム。
【請求項5】
前記適性評価情報は、選択した工作機械、ツール及びツールホルダにより前記ワークを加工した場合の加工能率、ツール寿命、面粗さ、加工精度の其々に対する評価値を含む請求項2記載の工作環境支援システム。
【請求項6】
前記出力処理部は、前記適性評価情報の何れかの評価値に基づいて、選択した工作機械、ツール及びツールホルダを前記表示部に順序付けて表示する請求項5記載の工作環境支援システム。
【請求項7】
前記出力処理部によって前記表示部に表示された工作機械、ツールまたはツールホルダに、選択すると対応する工作機械、ツールまたはツールホルダを販売する案内サイトに導くリンク情報が付されている請求項6記載の工作環境支援システム。
【請求項8】
評価対象となるワークを加工する工作機械及びツールの適性評価情報を顧客に提供する工作環境支援方法であって、
前記ワークの加工情報を入力する入力処理ステップと、
前記加工情報に適した工作機械及びツールを、複数の工作機械及びツールが登録されたデータベースから抽出して選択可能に表示部に表示する選択処理ステップと、
前記加工情報に基づいて、前記選択処理ステップで選択した工作機械及びツールを用いて前記ワークを加工した場合の結果に基づいて、前記工作機械及びツールの適性評価情報を生成して出力する出力処理ステップと、
を備え、
前記工作機械及びツールは前記顧客の所有状態を識別する属性情報とともに前記データベースに登録され、
前記選択処理ステップは、前記属性情報に基づき前記顧客が所有していると識別した工作機械及びツールのみならず、前記顧客が所有していないと識別した工作機械及びツールも選択可能に前記表示部に表示する、
ように構成されている工作環境支援方法。
【請求項9】
前記選択処理ステップは、さらに前記加工情報に適したツールホルダを選択可能に表示し、
前記選択処理ステップで選択した工作機械、ツール及びツールホルダを用いて前記ワークを加工した場合の結果に基づいて、前記出力処理ステップは、前記工作機械、ツール及びツールホルダの適性評価情報を生成するように構成されるとともに、
前記ツールホルダは、前記工作機械及びツールと共に前記顧客の所有状態を識別する属性情報とともに前記データベースに登録され、
前記選択処理ステップは、前記属性情報に基づき前記顧客が所有していると識別した工作機械、ツール及びツールホルダのみならず、前記顧客が所有していないと識別した工作機械、ツール及びツールホルダも選択可能に前記表示部に表示する、ように構成されている請求項8記載の工作環境支援方法。
【請求項10】
前記適性評価情報は、前記工作機械、ツール及びツールホルダによる推奨切削条件を含むことを特徴とする請求項9記載の工作環境支援方法。
【請求項11】
前記加工情報は、前記ワークの材質、加工前形状、加工後形状を含み、前記選択処理ステップは、前記加工情報を解析して前記加工情報に適した工作機械、ツール及びツールホルダを出力する加工プロセス解析ステップを備えている請求項9または10記載の工作環境支援方法。
【請求項12】
前記適性評価情報は、選択した工作機械、ツール及びツールホルダにより前記ワークを加工した場合の加工能率、ツール寿命、面粗さ、加工精度の其々に対する評価値を含む請求項9記載の工作環境支援方法。
【請求項13】
前記出力処理ステップは、前記適性評価情報の何れかの評価値に基づいて、選択した工作機械、ツール及びツールホルダを前記表示部に順序付けて表示する請求項10記載の工作環境支援方法。
【請求項14】
前記出力処理ステップによって前記表示部に表示された工作機械、ツールまたはツールホルダに、選択すると対応する工作機械またはツールを販売する案内サイトに導くリンク情報が付され、少なくとも在庫情報、納期、価格を確認可能に構成されている請求項13記載の工作環境支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、NC工作機械(Numerically Controlled Machine Tools)を用いてワークを加工する際に、推奨すべき適正な加工が可能となる工作機械やツールなどを提案する工作環境支援システム及び工作環境支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ツールの寿命を、実加工前に、シミュレーションレベルで精度よく予測し、ツール折損、チッピングなどを起こさないようにする改良されたツール管理方法が開示されている。
【0003】
当該ツール管理方法は、NCプログラムからツール情報及び切削条件情報を抽出する工程と、NCプログラムに基づいた加工シミュレーションから切削状況情報を得る工程と、実切削時のツール摩耗量を実測する工程と、前記各工程から得られた情報に基づいてツール切削長とツール摩耗量とを関連づけたツール摩耗データベースを作成する工程と、からなる。
【0004】
特許文献2には、コンピュータ支援数値制御加工機械の状態を把握し、かつ、最適状態での数値制御データを前記コンピュータ支援数値制御加工機械にフィードバックできる加工情報生成による加工システム及び加工情報生成プログラムが開示されている。
【0005】
当該加工システムは、コンピュータ支援数値制御加工機械と、データ収集・予測制御を行う設計用コンピュータとを高速バスで接続してなる加工情報生成による加工システムであって、前記設計用コンピュータは、工作機械状態パラメータやその他の必要なデータを格納する加工データベースと、前記コンピュータ支援数値制御工作機械の工作機械状態パラメータを取得して加工データベースに蓄積し、その蓄積した工作機械状態パラメータを基にデータマイニングして加工データベースに格納するパラメータ取得手段と、前記パラメータ取得手段で取得した工作機械状態パラメータを取込み、前記加工データベースから必要なデータを読み取り、これらデータを解析するパラメータ解析手段と、前記パラメータ解析手段からの最適化データや前記加工データベースからの設計データを基に数値制御データを生成する設計手段と、前記設計手段からの数値制御データ及び前記加工データベースから読み取った必要なデータを基に加工情報生成シミュレーションを行い、そのシミュレーション結果による最適状態での数値制御データを前記コンピュータ支援数値制御加工機械にフィードバックする予測シミュレーション手段と、を備えたことを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開WO00-12260号公報
【特許文献2】特開2004-265321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来技術は、実稼働している工作機械及びツールを対象として加工シミュレーションを実行し、その結果に基づいて加工前にツールの寿命を評価し、或いはその結果に基づいて最適状態での数値制御データをコンピュータ支援数値制御加工機械にフィードバックするように構成されている。
【0008】
しかし、加工対象となるワークを所望の形状に加工するために適切な工作環境が常に整っているとは限らず、現状の工作環境とは異なる工作機械やツールを用いた工作環境の方が、結果として良い製品を生産できる場合もある。
【0009】
つまり、目的とするワークの加工のための現状の工作環境以外の工作環境を含めた工作環境の評価を行なうことができると、様々なワークに対する様々な製品の生産計画などに対応した効果的な設備計画を策定することができるようになる。
【0010】
本発明の目的は、適切な工作環境を整えるために指標となる適性評価情報を得ることができる工作環境支援システム及び工作環境支援方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の工作環境支援システムは、評価対象となるワークを加工する工作機械及びツールの適性評価情報を顧客に提供する工作環境支援システムであって、複数の工作機械及びツールが登録されたデータベースと、前記ワークの加工情報を入力する入力処理部と、前記加工情報に適した工作機械及びツールを前記データベースから抽出して選択可能に表示部に表示する選択処理部と、前記加工情報に基づいて、前記選択処理部で選択した工作機械及びツールを用いて前記ワークを加工した場合の結果に基づいて、前記工作機械及びツールの適性評価情報を生成して出力する出力処理部と、を備え、前記工作機械及びツールは前記顧客の所有状態を識別する属性情報とともに前記データベースに登録され、前記選択処理部は、前記属性情報に基づき前記顧客が所有していると識別した工作機械及びツールのみならず、前記顧客が所有していないと識別した工作機械及びツールも選択可能に前記表示部に表示する、ように構成されていることを特徴とする。
【0012】
ワークの加工情報に対して選択処理部で選択される工作機械及びツールが、顧客が所有しているもののみならず、顧客が所有していない工作機械及びツールも含めて選択され、其々の工作機械及びツールに対して加工が実行される。加工の結果からワークに対する工作環境となる工作機械及びツール毎に適性評価情報が得られ、適性評価情報に基づいて適切な工作機械及びツールを選択することができるようになる。
【0013】
前記選択処理部は、さらに前記加工情報に適したツールホルダを選択可能に表示し、前記選択処理部で選択した工作機械、ツール及びツールホルダを用いて前記ワークを加工した場合の結果に基づいて、前記出力処理部は、前記工作機械、ツール及びツールホルダの適性評価情報を生成するように構成されるとともに、前記ツールホルダは、前記工作機械及びツールと共に前記顧客の所有状態を識別する属性情報とともに前記データベースに登録され、前記選択処理部は、前記属性情報に基づき前記顧客が所有していると識別した工作機械、ツール及びツールホルダのみならず、前記顧客が所有していないと識別した工作機械、ツール及びツールホルダも選択可能に前記表示部に表示する、ように構成されていることが好ましい。
【0014】
前記適性評価情報は、前記工作機械、ツール及びツールホルダによる推奨切削条件を含むことが好ましい。
【0015】
前記加工情報は、前記ワークの材質、加工前形状、加工後形状を含み、前記選択処理部は、前記加工情報を解析して前記加工情報に適した工作機械、ツール及びツールホルダのリストを出力する加工プロセス解析部を備えていることが好ましい。
【0016】
前記適性評価情報は、選択した工作機械、ツール及びツールホルダにより前記ワークを加工した場合の加工能率、ツール寿命、面粗さ、加工精度の其々に対する評価値を含むことが好ましい。
【0017】
前記出力処理部は、前記適性評価情報の何れかの評価値に基づいて、選択した工作機械、ツール及びツールホルダを前記表示部に順序付けて表示することが好ましい。
【0018】
前記出力処理部によって前記表示部に表示された工作機械、ツールまたはツールホルダに、選択すると対応する工作機械、ツールまたはツールホルダを販売する案内サイトに導くリンク情報が付されていることが好ましく、適性評価情報に基づいて迅速に加工環境を整えることができる。
【0019】
また、本発明の工作環境支援方法は、評価対象となるワークを加工する工作機械及びツールの適性評価情報を顧客に提供する工作環境支援方法であって、前記ワークの加工情報を入力する入力処理ステップと、前記加工情報に適した工作機械及びツールを、複数の工作機械及びツールが登録されたデータベースから抽出して選択可能に表示部に表示する選択処理ステップと、前記加工情報に基づいて、前記選択処理ステップで選択した工作機械及びツールを用いて前記ワークを加工した場合の結果に基づいて、前記工作機械及びツールの適性評価情報を生成して出力する出力処理ステップと、
を備え、前記工作機械及びツールは前記顧客の所有状態を識別する属性情報とともに前記データベースに登録され、前記選択処理ステップは、前記属性情報に基づき前記顧客が所有していると識別した工作機械及びツールのみならず、前記顧客が所有していないと識別した工作機械及びツールも選択可能に前記表示部に表示する、ように構成されていることを特徴とする。
【0020】
前記選択処理ステップは、さらに前記加工情報に適したツールホルダを選択可能に表示し、前記選択処理ステップで選択した工作機械、ツール及びツールホルダを用いて前記ワークを加工した場合の結果に基づいて、前記出力処理ステップは、前記工作機械、ツール及びツールホルダの適性評価情報を生成するように構成されるとともに、前記ツールホルダは、前記工作機械及びツールと共に前記顧客の所有状態を識別する属性情報とともに前記データベースに登録され、前記選択処理ステップは、前記属性情報に基づき前記顧客が所有していると識別した工作機械、ツール及びツールホルダのみならず、前記顧客が所有していないと識別した工作機械、ツール及びツールホルダも選択可能に前記表示部に表示する、ように構成されていることが好ましい。
【0021】
前記適性評価情報は、前記工作機械、ツール及びツールホルダによる推奨切削条件を含むことが好ましい。
【0022】
前記加工情報は、前記ワークの材質、加工前形状、加工後形状を含み、前記選択処理ステップは、前記加工情報を解析して前記加工情報に適した工作機械、ツール及びツールホルダを出力する加工プロセス解析ステップを備えていることが好ましい。
【0023】
前記適性評価情報は、選択した工作機械、ツール及びツールホルダにより前記ワークを加工した場合の加工能率、ツール寿命、面粗さ、加工精度の其々に対する評価値を含むことが好ましい。
【0024】
前記出力処理ステップは、前記適性評価情報の何れかの評価値に基づいて、選択した工作機械、ツール及びツールホルダを前記表示部に順序付けて表示することが好ましい。
【0025】
前記出力処理ステップによって前記表示部に表示された工作機械、ツールまたはツールホルダに、選択すると対応する工作機械またはツールを販売する案内サイトに導くリンク情報が付され、少なくとも在庫情報、納期、価格を確認可能に構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、適切な工作環境を整えるために指標となる適性評価情報を得ることができる工作環境支援システム及び工作環境支援方法を提供することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】工作環境支援システムの説明図である。
図2】工作環境支援方法手順を示す説明図である。
図3】加工形状に関するワークWの加工情報の説明図である。
図4】工作機械、ツール、ツールホルダの選択画面の説明図である。
図5】適性評価情報の説明図である。
図6】再生びびり振動が生じやすい加工条件を示す説明図である。
図7】再生びびり振動が生じにくい加工条件を示す説明図である。
図8】ワークWの加工態様を示す図である。
図9】加工条件の編集態様を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明による工作環境支援システム及び工作環境支援方法を説明する。以下に説明する工作環境とは、ワークを加工するために用いる工作機械、ツール、ツールホルダ、及び、それらを用いてワークを加工する加工条件などをいう。加工条件には、ツール移動パス、ツールの送り速度及び主軸の回転速度などで規定される切削速度や、切込幅、切込深さなどが含まれる。
【0029】
工作環境支援システムは、評価対象となるワークを加工する工作機械及びツールの適性評価情報を顧客に提供するシステムである。
【0030】
図1に示すように、工作環境支援システム1は、顧客が所有する工作機械100に備えた操作盤110と、サーバコンピュータ200と、サーバコンピュータ200に接続されたデータベースシステム300とを備え、データベースシステム300はデータベース管理部310とデータベースDBと、ツールやツールホルダを含む部品の販売サイト400などを備えている。
【0031】
操作盤110とサーバコンピュータ200とは、インターネットなどの通信媒体を介して通信可能に接続されている。図1では、サーバコンピュータ200とデータベースシステム300が直結されているが、インターネットなどの通信媒体を介してサーバコンピュータ200とデータベースシステム300が接続される態様であってもよい。
【0032】
サーバコンピュータ200には、工作環境支援システムを統括制御するシステム制御部210と加工シミュレータ250とを備えている。システム制御部210は、入力処理部220と、選択処理部230と、出力処理部240などの機能ブロックを備えている。
【0033】
入力処理部220は、ワークの加工情報を入力するための機能ブロックである。選択処理部230は、加工情報に適した工作機械、ツール及びツールホルダをデータベースDBから抽出して選択可能に表示部に表示する機能ブロックである。加工シミュレータ250は、加工情報に基づいて、選択処理部230で選択した工作機械及びツールを用いてワークを模擬加工する機能ブロックである。出力処理部240は、加工シミュレータ250による模擬加工の結果に基づいて、工作機械及びツールの適性評価情報を生成して出力する機能ブロックである。
【0034】
これらの機能ブロックは、サーバコンピュータ200に備えたメモリに格納されたアプリケーションプログラムが、同じくサーバコンピュータ200に備えたCPUで実行されることにより具現化される。
【0035】
工作機械100は、ベッドに設置されたコラムに沿って上下及び左右方向に移動可能なツール主軸101と、ワークを保持する第1主軸102と、第1主軸102に対向配置され、左右方向に移動可能な第2主軸103と、第1主軸102と第2主軸103との間でツール主軸101に対向するように配置され、上下及び左右方向に移動可能な第2刃物台104と、それらによる作業空間を被覆するカバー体105とを備えた複合加工機で構成されている。
【0036】
カバー体105の外側に操作盤110が設置され、操作盤110に複合加工機をNC制御するNCプログラムを実行するNC装置130や、NC装置130からの指令に基づいてツール主軸101、第1主軸102、第2主軸103、第2刃物台104などをサーボ制御するサーボ制御部140などが通信ケーブルを介して接続されている。
【0037】
操作盤110には、CPUボードやメモリボードが搭載され、メモリボードに格納されたアプリケーションプログラムをCPUが実行することにより、サーボ制御部140を含む工作機械100を操作する操作制御部が構築され、操作制御部によりオペレータが操作する操作画面が表示部120に表示される。
【0038】
さらに、操作盤110には、サーバコンピュータ200との間で必要な情報を遣り取りするためのアプリケーション・プログラム・インタフェースが組み込まれている。当該アプリケーション・プログラム・インタフェースによりサーバコンピュータ200に備えた入力処理部220、選択処理部230、出力処理部240の各機能ブロックに対する入出力処理が可能な入力処理部150、選択処理部160、出力処理部170が構築されている。なお、本実施形態では、工作機械100として複合加工機を例示しているが、工作機械100はマシニングセンタや旋盤など複合加工機以外の工作機械であってもよい。また、工作機械100に備わった操作盤110に代えて、顧客が所有するデスクトップコンピュータやラップトップコンピュータに入力処理部150、選択処理部160、出力処理部170が構築されていてもよい。
【0039】
データベース管理部310により管理されるデータベースDBは、顧客管理情報、工作機械情報、ツール情報、ツールホルダ情報が相互に関連付けて登録されたリレーショナルデータベースであり、工作機械情報に含まれる複数の型式の工作機械の其々には、所有者、取得時期、メンテナンス情報などの属性情報が付加され、ツール情報に含まれる複数種類のツールの其々には、所有者、取得時期、価格、販売業者などの属性情報が付加され、ツールホルダ情報に含まれる複数種類のツールホルダの其々には、所有者、取得時期、価格、販売業者などの属性情報が付加されている。また、工作機械情報、ツール情報、ツールホルダ情報には、販売する販売サイト400に導くリンク情報が付され、販売サイト400では少なくとも在庫情報、納期、価格が確認できる。
【0040】
図2には、上述した工作環境支援システム1により実行される工作環境支援方法のステップが示されている。
入力処理部150,220を介して評価対象となるワークの加工情報を入力する入力処理ステップが実行される(SA1)。ワークの加工情報とは、加工対象となるワークの素材(材質)、初期形状、最終形状、初期形状から最終形状にワークを加工するために使用するツール及び必要な場合にはツールホルダに関する情報などをいう。ワークの加工情報は電子ファイルとして編集された情報で、例えばUSBメモリに格納された加工情報がUSBメモリインタフェースを介して読み込まれるように構成することができる。
【0041】
図3には加工形状に関するワークWの加工情報が例示されている。初期形状が直方体のワークであり、最終形状が切込幅4mm、切込深さ20mmで側面加工されることにより、段差部が形成された最終形状となることが示されている。
【0042】
続いて、選択処理部160,230を介して加工情報に適した工作機械、ツール及びツールホルダを、複数の工作機械、ツール及びツールホルダが登録されたデータベースDBから抽出して、表示部120に選択可能に表示する。表示部120に表示された工作機械、ツール及びツールホルダからオペレータが評価対象となる工作機械、ツール及びツールホルダを選択する選択処理ステップが実行される(SA2)。
【0043】
選択処理部230には、ワークの素材、初期形状、最終形状を含む加工情報から適用可能な工作機械、ツール及びツールホルダを抽出する知識ベースが設けられている。選択処理ステップでは、加工情報に基づいて選択可能な工作機械、ツール及びツールホルダがデータベースDBから抽出されて表示部120に表示される。
【0044】
例えば、図3に示した加工情報と比べて、切込幅が4mmから50mmに、切込深さが20mmから2mmといったように、切込幅が大きく、切込深さが浅い側面加工であれば、エンドミルよりもフェイスミルを用いることが好ましい場合がある。また、加工の進行に伴ってツールがワークと干渉する虞がある場合には、干渉を避けるべく、適切な長さのツールホルダを選択する必要があり、干渉の虞が無い場合には、剛性が高く短いツールホルダを選択することが好ましい。このように、ワークの加工情報に基づいて適切な工作機械、ツール及びツールホルダが選択できる。
【0045】
図4には、表示部120に表示されたリストの一例が示されている。
選択処理ステップは、属性情報に基づき顧客が所有していると識別した工作機械、ツール及びツールホルダのみならず、顧客が所有していないと識別した工作機械、ツール及びツールホルダも選択可能に表示部120に表示される。
【0046】
表示部120に表示された工作機械、ツール及びツールホルダから適切と判断した工作機械、ツール及びツールホルダがオペレータによって選択される。さらに、選択処理ステップでは、オペレータを介することなくシステム側で推奨する工作機械、ツール及びツールホルダを加工情報に適した工作機械、ツール及びツールホルダとして選択する処理が含まれる。
【0047】
図4中、チェックボックスにチェックされた工作機械、ツール及びツールホルダが選択済みの工作機械、ツール及びツールホルダとして目視確認できる。
【0048】
続いて、選択処理部160,230では、加工情報と、選択された単一または複数の工作機械、ツール及びツールホルダの組合せ毎に、複数の加工パラメータを設定する加工プロセス決定処理が実行される(SA3)。
【0049】
加工パラメータとは、例えばツール移動パス、ツールの送り速度及び主軸の回転速度などをいう。選択処理部230には、加工情報と選択された単一または複数の工作機械、ツール及びツールホルダに基づいて加工手順を生成するCAM機能が組み込まれ、当該CAM機能により加工パラメータが生成される。なお、CAM機能により生成された加工パラメータは表示部120に表示され、オペレータにより編集操作可能に構成されている。CAM機能により加工情報を解析して加工情報に適した工作機械、ツール及びツールホルダを出力する加工プロセス解析ステップが実現される。なお、加工プロセス決定処理は後述する加工シミュレータ250で実行されるように構成してもよい。
【0050】
加工プロセス決定処理で決定された複数の加工プロセスが加工シミュレータ250で実行され(SA4)、その結果がメモリに記憶される(SA5)。全ての加工プロセスに対するシミュレーションが終了するまでステップSA4,SA5が繰り返される(SA6)。その後、メモリに記憶されたシミュレーション結果に基づいて、システム制御部210により加工能率評価処理(SA7)、工具寿命評価処理(SA8)、面粗さ評価処理(SA9)、加工精度評価処理(SA10)の各評価処理が実行され、全ての評価が完了すると(SA11)、評価情報を表示部120に表示出力する出力処理ステップが実行される(SA12)。詳細な加工シミュレーションについては後に例示する。
【0051】
図5には、加工シミュレータ250による模擬加工の結果に基づいて生成され、表示部120に表示された適性評価情報が例示されている。適性評価情報には、選択した工作機械、ツール及びツールホルダによりワークを加工した場合の加工能率、ツール寿命、面粗さ、加工精度の其々に対する評価値が含まれる。そして、適性評価情報の何れかの評価値に基づいて、選択した工作機械、ツール及びツールホルダが順序付けて表示される。例えば、図5の左上部に示すプルダウンメニューで加工能率を選択すると、加工能率の高い順に工作環境が表示され、ツール寿命を選択すると、ツール寿命の長い順に工作環境が表示される。加工能率、ツール寿命、面粗さ、加工精度の其々に対して、最初に表示されたものが推奨切削条件となる。
【0052】
適性評価情報は、顧客が所持している工作機械、ツール及びツールホルダと、顧客が所持していない工作機械、ツール及びツールホルダとが、例えば濃淡やカラーを用いて識別可能に表示部120に表示される。「所持していない」とは、全てを所持していない場合ばかりでなく、一部を所持していない場合の双方を含む。例えば、工作機械を所持しているがツール及びツールホルダを所持していない場合を含む。
【0053】
出力処理ステップによって表示部120に表示された工作機械、ツールまたはツールホルダには、選択すると対応する工作機械またはツールを販売する案内サイトに導くリンク情報が付され、少なくとも在庫情報、納期、価格を確認可能に構成されている。
【0054】
従って、出力処理ステップで表示された適性評価情報に基づいて、オペレータが好ましい工作環境と判断した工作機械、ツール及びツールホルダの何れかが未所有であった場合に、その工作機械、ツール及びツールホルダを選択することで、対応する販売サイトに移動することで、速やかに在庫、納期、価格を確認して購入手配を行なうことができるようになる。
【0055】
加工シミュレータ250について補足する。工作機械でワークを加工する際、ツールの刃先に微小振動が生じる場合もある。この振動には、強制振動と、再生びびり振動がある。強制振動は、工作機械が振動源となり発生する振動であり、ツールの振動周波数がツールの固有振動数に等しくなったときに生じる。再生びびり振動は、ツールの振動周波数とツールによるワークの切込み深さとの関係が所定の条件を満たしたときに振動である。加工シミュレータ250は、これらの振動の発生の有無を評価する機能を含む。
【0056】
図6は、再生びびり振動が生じやすい加工条件の一例を示す図である。図6(A)には、前回の切削時におけるワーク上の切削跡が示されている。図6(B)には、今回の切削時におけるツールの振動周波数が示されている。図6(C)には、今回の切削時におけるツールによるワークの切削厚が示されている。
【0057】
ツールは、回転しながらワークを繰り返し切削することでワークを加工する。ツールは、ワークの加工中に振動しており、図6(A)に示されるように、ワークの切削面に起伏が生じる。
【0058】
ツールが次にワークを切削するとき、前回の切削時における切削跡と、今回の切削時におけるツールの振動周波数とがずれることがある。このずれを「φ」で表わすと、図6(A)および図6(B)の例では、ずれφは、π/4(=90度)となっている。このようなずれが生じると、ワークの切削厚が切削位置に応じて変動する。図6(C)には、φ=π/4のずれが生じている場合における切削厚の変動が示されている。切削厚が変動すると、ツールが切削中にワークから受ける力が変動し、再生びびり振動が生じやすくなる。特に、φ=π/4となるときが、再生びびり振動が一番生じやすい。
【0059】
図7は、再生びびり振動が生じにくい加工条件の一例を示す図である。図7(A)には、前回の切削時におけるワーク上の切削跡が示されている。図7(B)には、今回の切削時におけるツールの振動周波数が示されている。図7(C)には、今回の切削時におけるツールによるワークの切削厚が示されている。
【0060】
図7(A)及び図7(B)の例では、ツールの振動周波数は、前回の切削時における切削跡と重なっている。この場合、ずれ「φ」が0となり、ワークの切削厚が一定になる。そのため、ツールが切削中にワークから受ける力が一定になり、再生びびり振動が生じにくくなる。
【0061】
つまり、ずれ「φ」が0に近付くように主軸の回転数が調整されると再生びびり振動が生じにくくなる。一方で、ずれ「φ」がπ/4に近付くように主軸の回転数が調整されると再生びびり振動が生じやすくなる。
【0062】
典型的には、下記式(1)に示される「k」が整数になるとき、ずれ「φ」が0となる。
【0063】
k=60・fc/(n0・N)・・・(1)
式(1)に示される「k」は、ツールの第1の刃がワークに接触してから第2の刃がワークに接触するまでの間にツールの振動によって生じる加工面の波数を表わす。「fc」は、主軸の振動周波数を表わす。「N」は、ツールの刃数を表わす。「n0」は、主軸の回転数を表わす。ここでいう回転数とは、単位時間辺り(たとえば、一分間辺り)における主軸の回転数を意味し、回転速度と同義である。ツールは、主軸に連動するため、主軸の回転数は、ツールの回転数と等しい。そのため、主軸の回転数は、ツールの回転数と同義である。
【0064】
図8は、「k」が整数となる場合におけるワークWの加工態様を示す図である。図8には、主軸の軸方向から見た場合におけるツールおよびワークWの態様が示されている。
【0065】
図8(A)には、「k」が1である場合におけるワークWの加工態様が示されている。図8(A)に示されるように、「k」が1である場合、ツールの刃2AがワークWに接触してからツールの刃2BがワークWに接触するまでの間にツールの振動によって生じる加工面の波数は1となる。
【0066】
図8(B)には、「k」が2である場合におけるワークWの加工態様が示されている。図8(B)の加工態様におけるツールの回転数は、図8(A)の加工態様におけるツールの回転数の1/2に相当する。図8(B)に示されるように、「k」が2である場合、ワークWの加工面における波数は2となる。
【0067】
図8(C)には、「k」が3である場合におけるワークWの加工態様が示されている。図8(C)の加工態様におけるツールの回転数は、図8(A)の加工態様におけるツールの回転数の1/3に相当する。図8(C)に示されるように、「k」が3である場合、ワークWの加工面における波数は3となる。
図8(A)~図8(C)に示される加工態様では、ずれ「φ」がいずれも0となるため、再生びびり振動が生じにくい。
【0068】
図9の上図は、主軸の回転数とワークWの切り込み深さとの関係において再生びびり振動が生じる範囲と生じない範囲とを示す図である。図9に示されるグラフの横軸は、主軸の回転数を表わす。図9に示されるグラフの縦軸は、ワークの切込み深さを表わす。ここでいう切込み深さ(加工深さ)とは、主軸の軸方向におけるツールとワークWとの接触部分の長さのことをいう。
【0069】
ワークの切込み深さが境界線BLよりも小さい範囲は、再生びびり振動が生じにくい加工条件を表わす。以下では、当該範囲を安定範囲Aともいう。ワークの切込み深さが境界線BLよりも大きい範囲は、再生びびり振動が生じやすい加工条件である。以下では、当該範囲を不安定範囲Bともいう。つまり、加工条件に基づいて主軸の回転数が安定領域A、不安定領域Bの何れに該当する事になるかを評価し、安定領域Aに該当する切削条件が抽出される。
【0070】
上述した実施形態では、入力処理部から入力された加工情報に基づいて、加工シミュレータが、選択処理部で選択した工作機械及びツールを用いてワークを模擬加工し、加工シミュレータによる模擬加工の結果に基づいて、出力処理部が振動の発生有無などを評価して、工作機械及びツールの適性評価情報を生成して出力するように構成した例を説明した。
【0071】
しかし、本発明は、加工シミュレータを用いる手法に限られず、加工条件と振動発生状態との関係を機械学習によって学習させ、その学習結果に基づき、加工条件のみから振動の発生有無などを評価して、出力処理部が、その結果に基づいて工作機械及びツールの適性評価情報を生成して出力するように構成してもよい。
【0072】
また、ワークの形状や材質に関する情報、ワークを加工する工作機械の構成及び動作情報、工作機械に用いるツールやツールホルダの形状や材質の情報、ワークの加工情報などを計算機内で正確に表現したデジタル情報に基づいて、計算機がデジタル情報空間でワークを加工し、振動の発生有無などを評価するデジタルツインコンピューティング技術を用いて、出力処理部が、その結果に基づいて工作機械及びツールの適性評価情報を生成して出力するように構成してもよい。
【0073】
即ち、図1に示した「加工シミュレータ250」の機能ブロックが、「機械学習装置」や「デジタルツインコンピュータ」に置換されることになり、加工情報に基づいて、選択処理部で選択した工作機械及びツールを用いて前記ワークを加工した場合の結果に基づいて、出力処理部240が工作機械及びツールの適性評価情報を生成して出力するように構成されていればよい。
【0074】
以上、本発明の実施の形態、実施の態様を説明したが、開示内容は構成の細部において変化してもよく、実施の形態、実施の態様における要素の組合せや順序の変化などは請求された本発明の範囲及び思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【産業上の利用可能性】
【0075】
以上に説明したように、本発明により、適切な工作環境を整えるために指標となる適性評価情報を得ることができる工作環境支援システム及び工作環境支援方法が実現できる。
【符号の説明】
【0076】
1:工作環境支援システム
100:工作機械
110:操作盤
120:表示部
200:サーバコンピュータ
210:システム制御部
150,220:入力処理部
160,230:選択処理部
170,240:出力処理部
250:加工シミュレータ(機械学習装置、デジタルツインコンピュータ)
300:データベースシステム
DB:データベース
400:ツール販売サイト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2021-11-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
評価対象となるワークを加工する工作機械及びツールの適性評価情報を顧客に提供する工作環境支援システムであって、
複数の工作機械及びツールが登録されたデータベースと、
前記ワークの加工情報を入力する入力処理部と、
前記加工情報に適した工作機械及びツールを前記データベースから抽出して選択可能に表示部に表示する選択処理部と、
前記加工情報に基づいて、前記選択処理部で選択した工作機械及びツールを用いて前記ワークを加工した場合の結果に基づいて、前記工作機械及びツールの適性評価情報を生成して出力する出力処理部と、
を備え、
前記工作機械及びツールは前記顧客の所有状態を識別する属性情報とともに前記データベースに登録され、
前記選択処理部は、前記属性情報に基づき前記顧客が所有していると識別した工作機械及びツールのみならず、前記顧客が所有していないと識別した工作機械及びツールも選択可能に前記表示部に表示するように構成され、
前記選択処理部は、さらに前記加工情報に適したツールホルダを選択可能に表示し、
前記選択処理部で選択した工作機械、ツール及びツールホルダを用いて前記ワークを加工した場合の結果に基づいて、前記出力処理部は、前記工作機械、ツール及びツールホルダの適性評価情報を生成するように構成されるとともに、
前記ツールホルダは、前記工作機械及びツールと共に前記顧客の所有状態を識別する属性情報とともに前記データベースに登録され、
前記選択処理部は、前記属性情報に基づき前記顧客が所有していると識別した工作機械、ツール及びツールホルダのみならず、前記顧客が所有していないと識別した工作機械、ツール及びツールホルダも選択可能に前記表示部に表示する、ように構成されている工作環境支援システム。
【請求項2】
前記適性評価情報は、前記工作機械、ツール及びツールホルダによる推奨切削条件を含むことを特徴とする請求項に記載の工作環境支援システム。
【請求項3】
前記加工情報は、前記ワークの材質、加工前形状、加工後形状を含み、前記選択処理部は、前記加工情報を解析して前記加工情報に適した工作機械、ツール及びツールホルダのリストを出力する加工プロセス解析部を備えている請求項または記載の工作環境支援システム。
【請求項4】
前記適性評価情報は、選択した工作機械、ツール及びツールホルダにより前記ワークを加工した場合の加工能率、ツール寿命、面粗さ、加工精度の其々に対する評価値を含む請求項記載の工作環境支援システム。
【請求項5】
前記出力処理部は、前記適性評価情報の何れかの評価値に基づいて、選択した工作機械、ツール及びツールホルダを前記表示部に順序付けて表示する請求項記載の工作環境支援システム。
【請求項6】
前記出力処理部によって前記表示部に表示された工作機械、ツールまたはツールホルダに、選択すると対応する工作機械、ツールまたはツールホルダを販売する案内サイトに導くリンク情報が付されている請求項記載の工作環境支援システム。
【請求項7】
評価対象となるワークを加工する工作機械及びツールの適性評価情報を顧客に提供する工作環境支援方法であって、
前記ワークの加工情報を入力する入力処理ステップと、
前記加工情報に適した工作機械及びツールを、複数の工作機械及びツールが登録されたデータベースから抽出して選択可能に表示部に表示する選択処理ステップと、
前記加工情報に基づいて、前記選択処理ステップで選択した工作機械及びツールを用いて前記ワークを加工した場合の結果に基づいて、前記工作機械及びツールの適性評価情報を生成して出力する出力処理ステップと、
を備え、
前記工作機械及びツールは前記顧客の所有状態を識別する属性情報とともに前記データベースに登録され、
前記選択処理ステップは、前記属性情報に基づき前記顧客が所有していると識別した工作機械及びツールのみならず、前記顧客が所有していないと識別した工作機械及びツールも選択可能に前記表示部に表示するように構成され、
前記選択処理ステップは、さらに前記加工情報に適したツールホルダを選択可能に表示し、
前記選択処理ステップで選択した工作機械、ツール及びツールホルダを用いて前記ワークを加工した場合の結果に基づいて、前記出力処理ステップは、前記工作機械、ツール及びツールホルダの適性評価情報を生成するように構成されるとともに、
前記ツールホルダは、前記工作機械及びツールと共に前記顧客の所有状態を識別する属性情報とともに前記データベースに登録され、
前記選択処理ステップは、前記属性情報に基づき前記顧客が所有していると識別した工作機械、ツール及びツールホルダのみならず、前記顧客が所有していないと識別した工作機械、ツール及びツールホルダも選択可能に前記表示部に表示する、ように構成されている工作環境支援方法。
【請求項8】
前記適性評価情報は、前記工作機械、ツール及びツールホルダによる推奨切削条件を含むことを特徴とする請求項記載の工作環境支援方法。
【請求項9】
前記加工情報は、前記ワークの材質、加工前形状、加工後形状を含み、前記選択処理ステップは、前記加工情報を解析して前記加工情報に適した工作機械、ツール及びツールホルダを出力する加工プロセス解析ステップを備えている請求項または記載の工作環境支援方法。
【請求項10】
前記適性評価情報は、選択した工作機械、ツール及びツールホルダにより前記ワークを加工した場合の加工能率、ツール寿命、面粗さ、加工精度の其々に対する評価値を含む請求項記載の工作環境支援方法。
【請求項11】
前記出力処理ステップは、前記適性評価情報の何れかの評価値に基づいて、選択した工作機械、ツール及びツールホルダを前記表示部に順序付けて表示する請求項記載の工作環境支援方法。
【請求項12】
前記出力処理ステップによって前記表示部に表示された工作機械、ツールまたはツールホルダに、選択すると対応する工作機械またはツールを販売する案内サイトに導くリンク情報が付され、少なくとも在庫情報、納期、価格を確認可能に構成されている請求項11記載の工作環境支援方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本発明の工作環境支援システムは、評価対象となるワークを加工する工作機械及びツールの適性評価情報を顧客に提供する工作環境支援システムであって、複数の工作機械及びツールが登録されたデータベースと、前記ワークの加工情報を入力する入力処理部と、前記加工情報に適した工作機械及びツールを前記データベースから抽出して選択可能に表示部に表示する選択処理部と、前記加工情報に基づいて、前記選択処理部で選択した工作機械及びツールを用いて前記ワークを加工した場合の結果に基づいて、前記工作機械及びツールの適性評価情報を生成して出力する出力処理部と、を備え、前記工作機械及びツールは前記顧客の所有状態を識別する属性情報とともに前記データベースに登録され、前記選択処理部は、前記属性情報に基づき前記顧客が所有していると識別した工作機械及びツールのみならず、前記顧客が所有していないと識別した工作機械及びツールも選択可能に前記表示部に表示するように構成され、前記選択処理部は、さらに前記加工情報に適したツールホルダを選択可能に表示し、前記選択処理部で選択した工作機械、ツール及びツールホルダを用いて前記ワークを加工した場合の結果に基づいて、前記出力処理部は、前記工作機械、ツール及びツールホルダの適性評価情報を生成するように構成されるとともに、前記ツールホルダは、前記工作機械及びツールと共に前記顧客の所有状態を識別する属性情報とともに前記データベースに登録され、前記選択処理部は、前記属性情報に基づき前記顧客が所有していると識別した工作機械、ツール及びツールホルダのみならず、前記顧客が所有していないと識別した工作機械、ツール及びツールホルダも選択可能に前記表示部に表示する、ように構成されていることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
また、本発明の工作環境支援方法は、評価対象となるワークを加工する工作機械及びツールの適性評価情報を顧客に提供する工作環境支援方法であって、前記ワークの加工情報を入力する入力処理ステップと、前記加工情報に適した工作機械及びツールを、複数の工作機械及びツールが登録されたデータベースから抽出して選択可能に表示部に表示する選択処理ステップと、前記加工情報に基づいて、前記選択処理ステップで選択した工作機械及びツールを用いて前記ワークを加工した場合の結果に基づいて、前記工作機械及びツールの適性評価情報を生成して出力する出力処理ステップと、を備え、前記工作機械及びツールは前記顧客の所有状態を識別する属性情報とともに前記データベースに登録され、前記選択処理ステップは、前記属性情報に基づき前記顧客が所有していると識別した工作機械及びツールのみならず、前記顧客が所有していないと識別した工作機械及びツールも選択可能に前記表示部に表示するように構成され、前記選択処理ステップは、さらに前記加工情報に適したツールホルダを選択可能に表示し、前記選択処理ステップで選択した工作機械、ツール及びツールホルダを用いて前記ワークを加工した場合の結果に基づいて、前記出力処理ステップは、前記工作機械、ツール及びツールホルダの適性評価情報を生成するように構成されるとともに、前記ツールホルダは、前記工作機械及びツールと共に前記顧客の所有状態を識別する属性情報とともに前記データベースに登録され、前記選択処理ステップは、前記属性情報に基づき前記顧客が所有していると識別した工作機械、ツール及びツールホルダのみならず、前記顧客が所有していないと識別した工作機械、ツール及びツールホルダも選択可能に前記表示部に表示する、ように構成されていることを特徴とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】削除
【補正の内容】