(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023028106
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】車両用バックドア
(51)【国際特許分類】
B60J 5/10 20060101AFI20230224BHJP
B60J 5/00 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
B60J5/10 R
B60J5/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021133593
(22)【出願日】2021-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】390026538
【氏名又は名称】ダイキョーニシカワ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 純一郎
(72)【発明者】
【氏名】畠山 一樹
(72)【発明者】
【氏名】松岡 健一郎
(57)【要約】
【課題】バックドアの車室内側の見栄えが損なわれるのを抑制しつつ、ドア本体の天井部の剛性を確保する。
【解決手段】車両用バックドアは、各々樹脂製のインナパネル(10)およびアウタパネル(50)が接合してなるドア本体(5)を備える。アウタパネルの上部は、ドア本体の天井部(7)を形成して、後方へ突出したスポイラー部(56)を構成する。インナパネルにおけるドア本体の天井部を形成する部分には、スポイラー部の後端部分に設けられたランプユニット取付部(58)の前方位置に向けて開口したサービスホール(26)と、先端がアウタパネルの上部と当接または近接した複数の支持リブ(28)とが設けられる。支持リブは、前後方向に延びてサービスホールを跨ぐように形成される。サービスホールは、カバー部材(84)で閉塞される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製インナパネル(10)と樹脂製アウタパネル(50)とが接合してなるドア本体(5)を備え、
前記アウタパネル(50)の上部が、前記ドア本体(5)の天井部(7)を形成して、後方へ突出したスポイラー部(56)を構成し、該スポイラー部(56)の後端部分にハイマウントストップランプユニット(82)を取り付けるランプユニット取付部(58)が設けられる車両用バックドアであって、
前記インナパネル(10)における前記ドア本体(5)の天井部(7)を形成する部分には、前記ランプユニット取付部(58)の前方位置に向けて開口したサービスホール(26)と、先端が前記アウタパネル(50)の上部と当接または近接した複数の支持リブ(28)とが設けられ、
前記支持リブ(28)は、前後方向に延びて前記サービスホール(26)を跨ぐように形成され、
前記サービスホール(26)は、カバー部材(84)で閉塞される
ことを特徴とする車両用バックドア。
【請求項2】
請求項1に記載された車両用バックドアにおいて、
前記支持リブ(28)の前後方向における中間部分には、先端が前記アウタパネル(50)の上部から離れるように凹む凹状に形成された欠損部(38)が設けられる
ことを特徴とする車両用バックドア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用バックドアに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、樹脂製の車両用バックドアが開示される。このバックドアでは、平坦部を有するアウタパネルと、形状変化部を有するインナパネルとが貼り合わせられる。アウタパネルの平坦部とインナパネルの形状変化部との間には、空隙部が形成される。アウタパネルの平坦部の空隙部側には、補強板が貼り付けられる。インナパネルの形状変化部の空隙部側には、補強板に向かって延びるリブが設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のバックドアでは、アウタパネルの平坦部が空隙側に撓むと、補強板がリブで支持されるように見受けられる。しかし、当該リブは、車幅方向に延びる突出物であり、上方に向かって斜め後方に突出するため、アウタパネルの平坦部が下方へ撓むのを規制する構造としては心許ない。そこで、リブを前後方向に延びるように設けることで、アウタパネルの撓みをリブで規制する構造を強化し、ドア本体の天井部の剛性を確保することが考えられる。しかし、リブを前後方向に延びるように設けると、インナパネルの表面にヒケが生じ、バックドアの車室内側の見栄えが損なわれるおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、バックドアの車室内側の見栄えが損なわれるのを抑制しつつ、ドア本体の天井部の剛性を確保することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明では、アウタパネルの天井部を支持するリブを前後方向に延びるように設け、サービスホールおよびサービスホールを閉塞するカバー部材を利用して、当該リブによるインナパネルのヒケを低減し、且つ当該リブ自体が視認され難いようにした。
【0007】
具体的には、第1の発明は、樹脂製インナパネルと樹脂製アウタパネルとが接合してなるドア本体を備える車両用バックドアを対象とする。第1の発明に係る車両用バックドアでは、前記アウタパネルの上部が、前記ドア本体の天井部を形成して、後方へ突出したスポイラー部を構成し、該スポイラー部の後端部分にハイマウントストップランプユニットを取り付けるランプユニット取付部が設けられる。前記インナパネルにおける前記ドア本体の天井部を形成する部分には、前記ランプユニット取付部の前方位置に向けて開口したサービスホールと、先端が前記アウタパネルの上部と当接または近接した複数の支持リブとが設けられる。前記支持リブは、前後方向に延びて前記サービスホールを跨ぐように形成される。そして、前記サービスホールは、カバー部材で閉塞される。
【0008】
第2の発明は、第1の発明の車両用バックドアにおいて、前記支持リブの前後方向における中間部分に、先端が前記アウタパネルの上部から凹む凹状に形成された欠損部が設けられる、車両用バックドアである。
【発明の効果】
【0009】
第1の発明では、複数の支持リブが、インナパネルにおけるドア本体の天井部を形成する部分に前後方向に延びるように設けられる。これら各支持リブの先端は、アウタパネルの上部と当接または近接する。そのことで、アウタパネルの上部が下方へ撓むのを複数の支持リブにより規制できる。また、支持リブは、サービスホールを跨ぐように形成される。これにより、支持リブを設けることでインナパネルにヒケを生じる部分が低減する。そして、サービスホールは、カバー部材で閉塞される。支持リブのサービスホールを跨ぐ部分は、車室内側からはカバー部材により隠蔽される。したがって、バックドアの車室内側の見栄えが損なわれるのを抑制しつつ、ドア本体の天井部の剛性を確保できる。
【0010】
第2の発明では、先端が凹む凹状の欠損部が、支持リブの前後方向における中間部分に設けられる。インナパネルのサービスホール以外の部分には、支持リブを設けることでヒケを生じるおそれがある。このヒケをカバー部材で隠蔽するには、カバー部材の前後方向における幅を長くする必要がある。これに対して、支持リブに欠損部を設けると、支持リブの欠損部を設けた部分では、支持リブの高さが低くなり、支持リブの根元部分の幅を狭くできる。それにより、インナパネルにヒケが生じるのを抑制できるので、カバー部材の前後方向における幅を長くせずに済む。また、支持リブの欠損部は、テールランプやリアウンカーなどに接続されるハーネスを左右方向に通すスペースに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】車両用バックドアの上部を後方右上から見た斜視図である。
【
図3】インナパネルの要部を後方右上から見た斜視図である。
【
図4】
図2のIV-IV線における車両用バックドアの要部を示す断面図である。
【
図5】
図2のV-V線における車両用バックドアの要部を示す断面図である。
【
図6】
図4のVI-VI線における車両用バックドアの要部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態では、説明の便宜上、車両前後方向における前側を「前」、後側を「後」と称し、車両前方を向いて車幅方向における左側を「左」、右側を「右」と称し、車高方向における上側を「上」、下側を「下」と称する。また、この実施形態に係るバックドアについて、特に開閉状態を断り書きしない場合には、車両後部のバックドア開口を閉じた状態での姿勢を前提に説明する。
【0013】
この実施形態の車両用バックドア1は、上下開閉式のバックドアである。このバックドア1は、ハッチバック車の車両後部に設けられたバックドア開口を上下方向への回転動作により開閉する。バックドア1は、
図1に示すように、ドア本体5と、複数のランプユニット90とを主たる構成として備える。
【0014】
図2に示すように、ドア本体5は、天井部7を有する。天井部7は、ドア本体5における車内の天井を構成する部分である。ドア本体5の天井部7は、前後方向に比較的長い。当該天井部7の前後方向の長さLcは、例えば300mm以上且つ450mm以下である(
図4参照)。ドア本体5は、インナパネル10と、アウタパネル50と、窓パネル80とが接合してなる。
【0015】
複数のランプユニット90には、ハイマウントストップランプユニット92およびリアランプユニット94が含まれる。リアランプユニット94は、テールランプおよびリアウンカーを含む。なお、
図1では、リアランプユニット94について、便宜上、左側のリアランプユニット94のみ示すが、バックドア1は、左右一対のリアランプユニット94を備える。
【0016】
〈インナパネル〉
インナパネル10は、一枚物の樹脂製パネルである。インナパネル10は、例えば射出成形により成形される。インナパネル10は、例えば、繊維補強材を含有する熱可塑性樹脂からなる。インナパネル10の材料としては、ガラス繊維入りポリプロピレン(PP-GF:Polypropylene Glass Fiber)や、炭素繊維入りのポリプロピレン(PP-GF:Polypropylene Carbon Fiber)、セルロースナノファイバー入りのポリプロピレン(PP-CNF:Polypropylene Cellulose Nanofiber)などが用いられる。
【0017】
インナパネル10の上半部分には、窓用開口12が形成される。窓用開口12は、左右方向に延びる略台形状の開口である。インナパネル10の窓用開口12よりも上側の部分(以下、単に上部と称する)は、ドア本体5の天井部7を形成する。インナパネル10の窓用開口12の左右両側に位置する部分は、後方に向けて開口する凹状のピラー部14を構成する。インナパネル10の窓用開口12よりも下側の部分(以下、単に下部と称する)は、ドア本体5の下部を構成する。
【0018】
インナパネル10における窓用開口12の周縁部分には、内側立ち壁16が設けられる。内側立ち壁16は、アウタパネル50側に向けて後方に立ち上がる。内側立ち壁16の後端には、内側接合片18が設けられる。内側接合片18は、窓用開口12の内方へ突出する。さらに、インナパネル10の外周縁部には、外側立ち壁20が設けられる。外側立ち壁20は、アウタパネル50側に向けて後方に立ち上がる。外側立ち壁20の後端には、外側接合片22が設けられる。外側接合片22は、インナパネル10の外周側へ突出する。
【0019】
図3および
図5に示すように、インナパネル10の上部における後端部分には、一対のヒンジ取付部24が設けられる。一対のヒンジ取付部24は、左右両側に分けて互いに間隔をあけた位置に形成される。ヒンジ取付部24には、車体本体に連結されるヒンジ部品100が、ボルトなどの留め具102を用いて前方から固定される。バックドア1は、それら一対のヒンジ部品100を介して車体本体に開閉可能に取り付けられる。インナパネル10の上部には、ヒンジ取付部24を含む部分を補強する金属製のインサートレインフォースメント25が設けられる。
【0020】
インナパネル10の上部にはさらに、サービスホール26と、複数の支持リブ28とが設けられる。サービスホール26は、ハイマウントストップランプユニット92を着脱する作業や、ハイマウントストップランプユニット92にハーネスを接続する作業、メンテナンス作業などに用いられる作業用の開口である。サービスホール26は、カバー部材84で下側から閉塞される。複数の支持リブ28はそれぞれ、アウタパネル50の上部を構成するアッパパネル52を支持するための突出物である。
【0021】
インナパネル10の下部における中央上寄りの部分には、ライセンスプレート照明用のランプやノブ機構などが取り付けられる部品取付部30が設けられる。インナパネル10の下部における下縁部分を構成する外側立ち壁20には、図示しないラッチが取り付けられる。このラッチは、車体本体のバックドア開口の下縁部分に設けられたストライカと協働して、バックドア1を閉じた状態でロックするロック機構を構成する。
【0022】
インナパネル10の下部における部品取付部30の下側には、インナパネル10の剛性を補強する補強構造部32が設けられる。補強構造部32には、後方に突出した補強リブ34が複数設けられる。補強構造部32は、車内側(前側)が凹みアウタパネル50側(後側)に突出した凸状に形成された部分を有する。インナパネル10において補強構造部32の前側に形成された凹みなどは、カバー部材86で前側から閉塞される。
【0023】
〈アウタパネル〉
アウタパネル50は、上下に二分割される。アウタパネル50は、アッパパネル52と、ロアパネル54とで構成される。これらアッパパネル52およびロアパネル54はそれぞれ、樹脂製パネルである。アッパパネル52およびロアパネル54は、例えば射出成形により成形される。アッパパネル52およびロアパネル54の材料としては、タルク入りポリプロピレン(PP-T:Polypropylene Talc)や、それにエチレンプロピレンジエンメチレンゴム(EPDM:Ethylene Propylene Diene Monomer)を混合した合成樹脂などが用いられる。
【0024】
図4に示すように、アッパパネル52は、インナパネル10の上部に対向する。アッパパネル52は、アウタパネル50の上部に相当する。アッパパネル52は、ドア本体5の天井部7を形成して、後方に突出したスポイラー部56を構成する。スポイラー部56の後端部分には、ランプユニット取付部58が設けられる。ランプユニット取付部58には、ハイマウントストップランプユニット92が取り付けられる。アッパパネル52は、上パネル部60と、一対のサイドパネル部62と、下パネル部64とを含む。
【0025】
上パネル部60は、前後左右に延びて、天井部7の外壁を構成する。上パネル部60の後側部分は、スポイラー部56の上側の部分を形成する。一対のサイドパネル部62は、アッパパネル52の左右方向における両端部で下側に延びる部分を構成する。サイドパネル部62は、側面視で略三角形状に形成される。スポイラー部56の下側に存在する空間の左右両側には、サイドパネル部62が位置する。下パネル部64は、前後左右に延びて、スポイラー部56の下側の部分を形成する。下パネル部64の前部は、下側斜め後方に折り返され、アッパ接合片66を構成する。
【0026】
図4および
図5に示すように、アッパパネル52の外縁部分は、インナパネル10に接着剤75を用いて接合される。具体的には、上パネル部60の前縁部分および各サイドパネル部62の前縁部分は、インナパネル10の外側接合片22に接着される。アッパパネル52の下縁部分を構成するアッパ接合片66は、インナパネル10の内側接合片18に接着される。このように接合されたアッパパネル52とインナパネル10との間には、内部空間Sが形成される。
【0027】
ロアパネル54は、インナパネル10の窓用開口12よりも下側の部分に対向する。ロアパネル54の左右両側には、ランプユニット取付部68が設けられる。ランプユニット取付部68には、リアランプユニット94が取り付けられる。例えば、リアランプユニット94は、インナパネル10の外側接合片22およびロアパネル54に対して、ナットなどの留め具96を用い、前方から複数箇所で共締めされる。
【0028】
ロアパネル54の中央部分には、プレート取付部70が設けられる。プレート取付部70には、図示しないライセンスプレート(ナンバープレート)が取り付けられる。ロアパネル54の上縁部には、ロア接合片72が設けられる。ロア接合片72は、前後方向に延びる段差部を介して前方に位置する。このロア接合片72は、ロアパネル54の上縁部の左右方向における全体に延びる。
【0029】
ロアパネル54の外縁部分は、インナパネル10に接着剤75を用いて接合される。具体的には、ロアパネル54の上縁部分を構成するロア接合片72は、インナパネル10の内側接合片18に接着される。ロアパネル54の左右両縁部分と下縁部分とは、インナパネル10の外側接合片22に接着される。このように接合されたロアパネル54とインナパネル10との間には、内部空間Sが形成される。
【0030】
窓パネル80は、バックドア1の左右両端に亘って延びる横長パネルである。窓パネル80は、アッパパネル52とロアパネル54との間に配置されてインナパネル10の窓用開口12を塞ぐと共に、インナパネル10のピラー部14の開口を覆う。窓パネル80は、ポリカーボネート(PC)などの透明樹脂やガラスなどからなる。図示しないが、窓パネル80の外周部分には、アウタパネル50との接合部分を隠蔽するために、黒色のセラミックスなどからなる隠蔽層が設けられる。
【0031】
窓パネル80の外縁部分は、アウタパネル50およびインナパネル10に接着剤76を用いて接合される。具体的には、窓パネル80の上縁部分は、アッパパネル52のアッパ接合片66に接着される。窓パネル80の下縁部分は、ロアパネル54のロア接合片72に接着される。窓パネル80の左右両縁部分は、インナパネル10におけるアッパパネル52とロアパネル54との間の外側接合片22に接着される。このように接合された窓パネル80とインナパネル10のピラー部14との間には、内部空間Sが形成される。
【0032】
〈インナパネルの上部〉
図3および
図4に示すように、インナパネル10の上部に設けられた内側立ち壁16は、前後左右に延びて、厚さ方向を上下に対応させて形成される。サービスホール26は、当該内側立ち壁16の左右方向における中央部分に形成される。サービスホール26は、ランプユニット取付部58の前方位置に向けて開口する。インナパネル10におけるサービスホール26の周縁部分は、上方に凹む。カバー部材84は、サービスホール26の周縁部分の凹み36に嵌め込まれて、サービスホール26を閉塞する。
【0033】
複数の支持リブ28は、それぞれ前後方向に直線状に延びて、左右方向に互いに間隔をあけて設けられる。これら各支持リブ28の先端は、
図6にも示すように、アッパパネル52と当接または近接する。アッパパネル52が下方に撓むと、支持リブ28に当接して支持される。そのことで、アッパパネル52の下方への撓みが規制される。複数の支持リブ28のうち左右方向における中程に位置するいくつか(本例では3つ)の支持リブ28は、サービスホール26を跨ぐように形成される。サービスホール26は、支持リブ28によって仕切られる。
【0034】
支持リブ28は、サービスホール26の左右両側の縁部上にも形成される。サービスホール26の左右両側の縁部上に形成された各支持リブ28は、サービスホール26の周縁部分の凹み74に対応し、カバー部材84と重なる位置関係にある。サービスホール26に対応する箇所およびサービスホール26の縁部に位置する各支持リブ28の前後方向における中間部分には、欠損部38が設けられる。欠損部38は、先端がアッパパネル52から下方に離れるように凹む凹状に形成される。
【0035】
インナパネル10におけるサービスホール26の前側の部分は、インナパネル10の成形時の型抜き方向(本例では前方下側から後方上側へ斜め方向)Dmにおいて欠損部38に対応する。各支持リブ28の欠損部38の両側にはそれぞれ、補強リブ40が設けられる。補強リブ40は、支持リブ28の左右両側に突出し、支持リブ28の高さ方向における全体に亘りインナパネル10の成形時の型抜き方向Dmに延びる。前側の補強リブ40の下端部分は、インナパネル10の屈曲部に接続される。後側の補強リブ40の下端部分は、サービスホール26またはサービスホール26の縁部に対応する。
【0036】
上述したアウタパネル50および窓パネル80とインナパネル10との間の内部空間Sには、ハイマウントストップランプユニット92やリアランプユニット94などのランプユニット90に給電を行うハーネス98が敷設される。当該ハーネス98は、インナパネル10の上部における外側立ち壁20に形成された開口42からグロメット44を通じて内部空間Sに引き入れられる。ハーネス98は、インナパネル10の上部では、支持リブ28の欠損部38を通して左右方向に引き延ばされる。
【0037】
-実施形態の特徴-
この実施形態のバックドア1では、複数の支持リブ28が、インナパネル10におけるドア本体5の天井部7を形成する部分に前後方向に延びるように設けられる。これら各支持リブ28の先端は、アッパパネル52と当接または近接する。そのことで、アッパパネル52が下方へ撓むのを複数の支持リブ28により規制できる。また、支持リブ28は、サービスホール26を跨ぐように形成される。これにより、支持リブ28を設けることでインナパネル10にヒケを生じる部分が低減する。そして、サービスホール26は、カバー部材84で閉塞される。支持リブ28のサービスホール26を跨ぐ部分は、車室内側からはカバー部材84により隠蔽される。したがって、バックドア1の車室内側の見栄えが損なわれるのを抑制しつつ、ドア本体5の天井部7の剛性を確保できる。
【0038】
この実施形態のバックドア1では、先端が凹む凹状の欠損部38が、支持リブ28の前後方向における中間部分に設けられる。インナパネル10のサービスホール26以外の部分には、支持リブ28を設けることでヒケを生じるおそれがある。このヒケをカバー部材84で隠蔽するには、カバー部材84の前後方向における幅を長くする必要がある。これに対して、支持リブ28に欠損部38を設けると、支持リブ28の欠損部38を設けた部分では、支持リブ28の高さが低くなり、支持リブ28の根元部分の幅を狭くできる。それにより、インナパネル10にヒケが生じるのを抑制できるので、カバー部材84の前後方向における幅を長くせずに済む。また、支持リブ28の欠損部38は、テールランプやリアウンカーなどに接続されるハーネス98を左右方向に通すスペースに利用できる。
【0039】
この実施形態のバックドア1では、前側の補強リブ40の下端部分がインナパネル10の屈曲部に接続される。それによると、前側の補強リブ40を設けることでインナパネル10にヒケが生じても目立たないようにできる。また、後側の補強リブ40の下端部分は、サービスホール26またはサービスホール26の縁部に対応する。それによると、後側の補強リブ40を設けることでヒケが生じないようにできる。
【0040】
以上のように、本発明の例示として、好ましい実施形態について説明した。しかし、本発明は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。上記各実施形態が例示であり、それらの各構成要素に、さらに色々な変形が可能なこと、またそうした変形も本発明の範囲に属することは当業者に理解されるところである。
【0041】
例えば、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0042】
上記実施形態では、支持リブ28がスポイラー部56よりも前側に設けられる態様を
図4に示して説明したが、これに限らない。支持リブ28は、スポイラー部56の内側に入り込むように設けられていてもよい。
【0043】
上記実施形態では、支持リブ28に欠損部38が形成されるとしたが、これに限らない。支持リブ28には欠損部38が形成されず、支持リブ28の上縁は、アッパパネル52の下面に前後方向の全体に亘って当接または近接してもよい。
【0044】
上記実施形態では、アウタパネル50がアッパパネル52とロアパネル54との2つの分割体で構成されるとしたが、これに限らない。アウタパネル50は、一枚物のパネルで構成されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上説明したように、本発明は、車両用バックドアについて有用である。
【符号の説明】
【0046】
1 バックドア
5 ドア本体
7 天井部
10 インナパネル
26 サービスホール
28 支持リブ
38 欠損部
50 アウタパネル
56 スポイラー部
58 ランプユニット取付部
84 カバー部材
92 ハイマウントストップランプユニット