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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023028124
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】距離測定システム
(51)【国際特許分類】
   G01C 3/06 20060101AFI20230224BHJP
   G01J 5/48 20220101ALI20230224BHJP
   G01S 17/894 20200101ALI20230224BHJP
   G01S 17/86 20200101ALI20230224BHJP
【FI】
G01C3/06 120Q
G01C3/06 140
G01J5/48 A
G01J5/48 E
G01S17/894
G01S17/86
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021133626
(22)【出願日】2021-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】501009849
【氏名又は名称】株式会社日立エルジーデータストレージ
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】高橋 司
(72)【発明者】
【氏名】泉 克彦
【テーマコード(参考)】
2F112
2G066
5J084
【Fターム(参考)】
2F112AD01
2F112CA12
2F112FA03
2F112FA45
2G066AC13
2G066CA02
2G066CA08
2G066CA16
5J084AA04
5J084AA05
5J084AA13
5J084AA14
5J084AB07
5J084AD01
5J084AD05
5J084BA02
5J084BA04
5J084BA34
5J084BA40
5J084CA03
5J084CA10
5J084CA53
5J084CA65
5J084CA67
(57)【要約】
【課題】
物体検知精度を良好に確保することができる距離測定システムを提供する。
【解決手段】
本発明に関する距離測定システムは、プロセッサと、距離測定装置と、熱検知装置と、を備えている。前記の距離測定システムにおいて、前記の距離測定装置は、被写体までの距離を測定することができ、距離を測定した被写体に関する距離画像を生成することができる。前記の熱検知装置は、被写体の温度を測定することができ、温度を測定した被写体に関する温度画像を生成することができる。前記のプロセッサは、同一視点で取得される前記の距離画像と前記の温度画像を連携させ、画像中の同一位置の距離値と温度値に基づいて、被写体を物体であると判定することができる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと、
距離を測定して距離画像を生成する距離測定装置と、
温度を測定して温度画像を生成する熱検知装置と、
を備え、
前記プロセッサは、
同一視点で取得される前記距離画像と前記温度画像を連携させ、画像中の同一位置の距離値と温度値に基づいて、被写体を物体であると判定する、
ことを特徴とする距離測定システム。
【請求項2】
請求項1に記載の距離測定システムであって、
前記プロセッサは、
前記被写体の判定において、温度値が所定の温度範囲にあるかどうかについて判定する、
ことを特徴とする距離測定システム。
【請求項3】
請求項2に記載の距離測定システムであって、
前記プロセッサは、
前記距離画像の距離値を有する画素または点群から、物体であると判定する被写体を検出する、
ことを特徴とする距離測定システム。
【請求項4】
請求項2に記載の距離測定システムであって、
前記プロセッサは、
前記距離画像と前記温度画像を連携させることで、前記被写体の形状と温度情報を含む3次元画像である連携画像を生成する、
ことを特徴とする距離測定システム。
【請求項5】
請求項2に記載の距離測定システムであって、
前記プロセッサは、
前記距離画像と前記温度画像を連携させることで、前記被写体の形状と温度情報を含む2次元画像である連携画像を生成する、
ことを特徴とする距離測定システム。
【請求項6】
請求項4に記載の距離測定システムであって、
前記プロセッサは、
前記連携画像における温度値が所定の温度範囲にある距離値の点群から、物体であると判定する前記被写体を検出する、
ことを特徴とする距離測定システム。
【請求項7】
請求項5に記載の距離測定システムであって、
前記プロセッサは、
前記連携画像における温度値が所定の温度範囲にある距離値の各画素から、物体であると判定する前記被写体を検出する、
ことを特徴とする距離測定システム。
【請求項8】
請求項1に記載の距離測定システムであって、
前記プロセッサは、
距離値に応じて温度値を補正して処理を行う、
ことを特徴とする距離測定システム。
【請求項9】
請求項2に記載の距離測定システムであって、
前記プロセッサは、
距離値に応じて温度値を補正して処理を行う、
ことを特徴とする距離測定システム。
【請求項10】
請求項3に記載の距離測定システムであって、
前記プロセッサは、
距離値に応じて温度値を補正して処理を行う、
ことを特徴とする距離測定システム。
【請求項11】
請求項4に記載の距離測定システムであって、
前記プロセッサは、
距離値に応じて温度値を補正して処理を行う、
ことを特徴とする距離測定システム。
【請求項12】
請求項5に記載の距離測定システムであって、
前記プロセッサは、
距離値に応じて温度値を補正して処理を行う、
ことを特徴とする距離測定システム。
【請求項13】
請求項6に記載の距離測定システムであって、
前記プロセッサは、
距離値に応じて温度値を補正して処理を行う、
ことを特徴とする距離測定システム。
【請求項14】
請求項7に記載の距離測定システムであって、
前記プロセッサは、
距離値に応じて温度値を補正して処理を行う、
ことを特徴とする距離測定システム。
【請求項15】
請求項1に記載の距離測定システムであって、
前記熱検知装置は、
前記距離測定装置の下部に設けられる、
ことを特徴とする距離測定システム。
【請求項16】
請求項2に記載の距離測定システムであって、
被写体を人物として判定する場合の温度範囲は、
人間の体温に相当する範囲内で設定される、
ことを特徴とする距離測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、距離測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、物体の検知に距離測定装置が用いられることがある。ここで、特許文献1は、人物を誤検知することを抑制する技術を開示する。
【0003】
すなわち、特許文献1は、ユーザの存在を検出するための温度センサと測距センサが設けられている情報処理装置(PC)を開示する。温度センサの電子基板には温度センサ素子が取り付けられ、温度センサ素子は検出対象エリアに存在する物体の温度を検出する。これにより、温度センサは、非接触でPCの表示画面に対向する対象となる物体の温度を検出する。測距センサは、PCの表示画面に対向するユーザや物体までの距離を測ることができ、ユーザの在席と離席を検知することができる。そして、情報処理装置は、測距センサにより測定された物体までの距離が所定の距離閾値より小さく、かつ、温度センサにより検知された物体の温度が所定の温度閾値より大きいときに、物体を該情報処理装置のユーザの人体であると判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-149761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、閾値判定を単純に行うだけでは、物体の検知精度が不十分になることがあり得ると考えられた。
【0006】
そこで、本発明は、物体検知精度を良好に確保することができる距離測定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、下記の距離測定システムが提供される。距離測定システムは、プロセッサと、距離測定装置と、熱検知装置と、を備える。距離測定装置は、距離を測定して距離画像を生成する。熱検知装置は、温度を測定して温度画像を生成する。プロセッサは、同一視点で取得される距離画像と温度画像を連携させ、画像中の同一位置の距離値と温度値に基づいて、被写体を物体であると判定する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、物体検知精度を良好に確保することができる距離測定システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】距離測定システムのハードウェア構成の一例を示す図。
図2】3次元距離測定装置が生成する距離画像の一例を示す図。
図3】熱検知端末が生成する温度画像の一例を示す図。
図4】物体検知プログラムの処理の一例を説明するためのフローチャート。
図5】距離画像と温度画像を連携させた連携画像の一例を示す図。
図6】距離データに基づく物体検知の一例について説明するための図。
図7】温度センサが取得する温度値の距離依存性について説明するための図。
図8】距離測定システムの使用の一例について説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、距離測定システムのハードウェア構成の一例を示す図である。図1に示すように、距離測定システム1は、3次元距離測定装置11(距離測定装置)と、熱検知端末31(熱検知装置)と、PC51(パーソナルコンピュータ)と、を備える。
【0011】
本実施形態では、3次元距離測定装置11と熱検知端末31は、同一視点で測定を行うように配置される。また、3次元距離測定装置11、熱検知端末31、および、PC51は、インタフェース(不図示)を備える。そして、PC51は、インタフェースを介して3次元距離測定装置11および熱検知端末31からデータを取得し、データ処理を行うことができる。
【0012】
先ず、3次元距離測定装置11について詳しく説明する。3次元距離測定装置11は、被写体までの距離を測定して距離画像I1を生成することができる装置であり、本実施形態では、TOFセンサとされている。TOFセンサは、いわゆるTOF(タイムオブフライト)に基づいて距離を測定する。3次元距離測定装置11は、発光部12と、受光部13と、距離計算部16と、距離画像生成部17と、を備える。
【0013】
発光部12は、レーザダイオード(LD)や発光ダイオード(LED)等の光源で発光したパルス状の照射光を出射する。受光部13は、反射して戻ってきたパルス状の反射光を、CCDやCMOSなどの2次元状に画素を配列したイメージセンサで露光し、電気信号に変換する。
【0014】
距離計算部16は、受光部13の出力信号から被写体までの距離を計算する。距離画像生成部17は、計算した距離に基づいて、被写体までの距離をカラーで表現した距離画像I1を生成する。距離画像生成部17は、一例として、被写体までの距離が近いほど赤色となり、被写体までの距離が遠いほど青色となる画像を生成することができる(なお、都合上、図面ではグレースケールで示される)。
【0015】
ここで、図2を参照しながら、3次元距離測定装置11が生成する距離画像I1について詳しく説明する。図2は、3次元距離測定装置が生成する距離画像の一例を示す図である。
【0016】
3次元距離測定装置11の発光部12から照射光が照射され、測定方向(すなわち、3次元距離測定装置11の視点となる方向)に位置する被写体P1および被写体P2から反射した反射光を受光部13が受光する。そして、距離計算部16により、被写体P1および被写体P2までの距離が計算され、距離画像生成部17により、その距離に応じたカラーの画素を含む距離画像I1が生成される。なお、この例では、被写体P2の方が被写体P1よりも遠い。そのため、この例では、距離画像I1において、被写体P2は、被写体P1よりも遠い位置を示すカラーにより表される。詳細には、この例では、被写体P2は青色で表現されており、被写体P1は緑色で表現されている。さらに、イメージセンサの各画素位置での受光タイミングのずれから、被写体各部分までの距離値の差(すなわち被写体の凹凸形状)が、カラーにより表現される。
【0017】
また、被写体P1は被写体P2よりも左側に位置している。従って、距離画像I1において、被写体P2の左側に被写体P1が表示される。ここで、距離画像I1において、左右方向をx方向とし上下方向をy方向とし、画素のカラーで距離zを考えるときに、距離z1の被写体P1は、距離画像I1において(x1、y1)の位置に表示され、距離z2の被写体P2は、距離画像I1において(x2、y2)の位置に表示される。
【0018】
上記では2次元画像の距離画像I1について説明されたが、距離画像生成部17は、2次元画像に対応する3次元画像の距離画像I1を生成することもできる。この3次元画像においては、被写体は点群で示され、被写体までの距離が点群の有するカラーにより表現される。この例では、2次元画像の場合と同様に、被写体P1は、緑色で表現され、被写体P2は、青色で表現される。
【0019】
なお、3次元距離測定装置11の距離計算部16と距離画像生成部17はプログラムであり、これらの処理は、3次元距離測定装置11が備える適宜の処理装置21(例えば、CPU)によって実行される。また、3次元距離測定装置11は、他のプログラム(例えば、動作制御に関するプログラム)を備えてもよい。3次元距離測定装置11は、プログラム等のデータを記憶する適宜の記憶装置22(例えば、ROM)を備えてもよい。また、3次元距離測定装置11は、データ処理時にデータを一時的に記憶するRAMを備えてもよい。
【0020】
次に、熱検知端末31について詳しく説明する。熱検知端末31は、非接触で被写体の温度を測定し、被写体の温度の2次元画像を生成することができる装置である。熱検知端末31は、温度センサ32と、温度計算部36と、温度画像生成部37と、を備える。
【0021】
温度センサ32は、温度の計測に用いるセンサであり、公知の非接触式のセンサとすることができる。温度センサ32は、例えば、物体から放射される赤外線強度の情報を取得する。
【0022】
温度計算部36は、温度センサ32の出力信号から被写体の温度を計算する。温度画像生成部37は、計算した温度に基づいて、被写体の温度T(図において、Temp)をカラーで表現した2次元の温度画像I2を生成する。温度画像生成部37は、一例として、高温になるほど赤色や白色になり、低温になるほど青色や黒色になる画像を生成することができる(なお、都合上、図面ではグレースケールで示される)。
【0023】
ここで、図3を参照しながら、熱検知端末31が生成する温度画像I2について詳しく説明する。図3は、熱検知端末が生成する温度画像の一例を示す図である。
【0024】
測定方向(つまり、熱検知端末31の視点となる方向)に位置する被写体P1および被写体P2から放射される赤外線等から、被写体P1および被写体P2の温度を熱検知端末31が測定する。ここで、温度画像生成部37により、その温度に応じたカラーの画素を含む温度画像I2が生成される。なお、この例では、被写体P1および被写体P2からは同程度の温度が測定されるので、温度画像I2における被写体P1と被写体P2は、同様のカラーにより表される。
【0025】
被写体P1および被写体P2は、上記した3次元距離測定装置11の場合と同じ場所で測定される。そして、上述したように3次元距離測定装置11と熱検知端末31は、同一視点で測定するので、温度画像I2における被写体P1および被写体P2は、距離画像I1と同じ位置に表示される。すなわち、温度画像I2において、左右方向をx方向とし上下方向をy方向とし、カラーで温度Tを考えるときに、温度T1(Temp1)の被写体P1は、距離画像I1に対応する(x1、y1)の位置に表示され、温度T2(Temp2)の被写体P2は、距離画像I1に対応する(x2、y2)の位置に表示される。
【0026】
なお、温度計算部36と温度画像生成部37はプログラムであり、これらの処理は、熱検知端末31が備える適宜の処理装置41(例えば、CPU)によって実行される。また、熱検知端末31は、温度画像I2を適切に生成することができればよく、例えば、カメラを備えてもよい。そして、熱検知端末31は、カメラが取得する画像データを用いて温度画像I2を生成してもよい。また、熱検知端末31は、他のプログラム(例えば、動作制御に関するプログラム)を備えてもよい。熱検知端末31は、プログラム等のデータを記憶する適宜の記憶装置42(例えば、ROM)を備えてもよい。また、熱検知端末31は、データ処理時にデータを一時的に記憶するRAMを備えてもよい。
【0027】
PC51は、一般的なコンピュータとすることができ、プロセッサ52と、記憶装置53と、を備える。プロセッサ52は、所定の処理を実行する主体であればよく、一例として、CPUとすることができるが、他の半導体デバイス(例えば、GPU)であってもよい。記憶装置53は、処理に用いるデータを記憶することができ、ROM等の適宜の装置とすることができる。また、PC51は、データ処理時にデータを一時的に記憶するRAMを備えてもよい。本実施形態では、プロセッサ51は、物体検知プログラム61を実行することにより、被写体が物体であるかどうかについての判定を行う。
【0028】
次に、物体検知プログラム61の処理について説明する。図4は、物体検知プログラムの処理の一例を説明するためのフローチャートである。本実施形態では、物体検知プログラム61の処理の主体は、PC51のプロセッサ52である。
【0029】
物体検知プログラム61の実行では、先ず、3次元距離測定装置11と熱検知端末31から、位置情報となる距離データと温度情報となる温度データが取得され、距離データと温度データを連携させる処理が行われる(S101)。ステップ101では、一例として、距離値が含まれ位置情報となる距離画像I1と、温度値が含まれ温度情報となる温度画像I2と、が取得され、これらのデータを連携させる処理が行われ、距離画像I1と温度画像I2が連携された連携画像I3が生成されてもよい。
【0030】
一例として、図5に示すような3次元画像の連携画像I3が生成されてもよい。この連携画像I3では、3次元画像の距離画像I1と同様に点群で被写体が表されることにより、被写体の形状が示される。また、連携画像I3は、取得した温度画像I2に基づく被写体の温度情報を含む。なお、連携画像I3として3次元画像が生成される例について説明されたが、ステップ101では、2次元画像の連携画像I3が生成されてもよい。2次元画像の連携画像I3では、被写体を示す画素により被写体の形状が示され、この連携画像I3は、取得した温度画像I2に基づく被写体の温度情報を含む。
【0031】
次に、距離データによる物体検知が行われる(S102)。ここで、図6を参照しながら、ステップ102の物体検知の一例について詳しく説明する。図6は、距離データによる物体検知の一例について説明するための図である。
【0032】
図6に示すように、3次元画像が用いられる場合、3次元画像において距離値が出力されている点群の部分が、ボクセル群として扱われ、2つ以上のボクセルが縦に並んだ部分が、物体として検知される。ここで、一例として、被写体の大きさに対して20×20×20cmとなるように、1つのボクセルの大きさが設定されるが、ボクセルの大きさは、例えば、対象とする被写体の一般的な大きさを考慮するなどして適宜に変更してもよい。
【0033】
また、2つ以上のボクセルが縦に並んだ部分の移動距離や移動速度に基づいて、当該部分が物体として検知されてもよい。また、ボクセルは、所定数以上の点群が含まれるように形成されてもよい。ここで、ボクセルに含まれる点群の数は、距離値に応じて定められてもよい。
【0034】
3次元画像に基づく物体の検知について説明されたが、2次元画像に基づく物体の検知が行われてもよい。2次元画像が用いられる場合、一例として、距離値が出力されている画素の集合部分のうちで、所定のサイズ以上(もしくは、所定のサイズよりも大きい)の集合部分が物体として検知されてもよい。
【0035】
ステップ102において、物体が検知された場合、ステップ103の処理が行われる。その一方で、ステップ102で物体が検知されない場合、被写体が物体であると判定しない(S106)。
【0036】
次に、温度データによる温度検知が行われ、物体が検知される(S103)。すなわち、ステップ103では、ステップ102において物体を検知した部分の温度が所定の範囲内であるかどうかについての判定が行われる。
【0037】
そして、ステップ102において物体が検知された部分について所定範囲の温度が検知された場合、物体が検知され、この部分(すなわち、検出された被写体)は物体であると判定する(S105)。その一方で、所定範囲の温度が検知されない場合、この部分が物体であると判定されない(S106)。なお、ステップ102において物体が検知された部分の全体の温度が所定範囲内であるかの判定が行われてもよいし、その一部分の温度が所定範囲内であるかの判定が行われてもよい。
【0038】
また、温度センサ32が測定する温度は、被写体までの距離に依存する。すなわち、図7に示すように、温度センサは、対象(図7において黒体)までの距離値が短いほど被写体の温度を実際の温度よりも高く測定する。そこで、ステップ103において熱検知端末31が測定する温度が距離値に応じて補正されてもよい(S104)。そして、ステップ104では、距離値に応じて補正された温度値が所定範囲内であるかどうかに基づいて、物体の検知が行われ、物体の判定が行われてもよい。なお、補正に用いるデータ(図7に示すように、例えば、距離値と温度値を関連付けたデータ)は、例えば、PC51の記憶装置53に予め準備しておくことができる。
【0039】
上記したステップ102では、ステップ101で取得した連携画像I3に基づく処理が行われてもよい。すなわち、連携画像I3において距離値が出力されている部分を対象として処理が行われてもよい。その一方で、連携画像I3ではなく、3次元距離測定装置11から取得する距離画像I1において距離値が出力されている部分を対象として処理が行われてもよい。
【0040】
また、上記したステップ103では、ステップ101で取得した連携画像I3に基づく処理が行われてもよい。すなわち、ステップ103では、ステップ102において物体を検知した部分の温度を連携画像I3より取得し、温度値が所定の範囲内であるかどうかについての判定が行われてもよい。その一方で、連携画像I3ではなく、ステップ102において物体を検知した部分の温度を熱検知端末31から取得する温度画像I2より取得し、温度値が所定の範囲内であるかどうかについての判定が行われてもよい。また、同様にして、ステップ104において補正する温度が取得されてもよい。
【0041】
ステップ102~ステップ104に関する処理で連携画像I3を使用しない場合(すなわち、距離画像I1の距離値を有する画素または点群から、物体であると判定する被写体を検出し、温度値が所定の温度範囲であるかどうかについて判定する場合)、ステップ101において連携画像I3を生成する処理が省略されてもよい。
【0042】
物体検知プログラム61の処理によれば、物体検知処理で物体を検知し、所定範囲の温度値を有するかどうかについての判定を行うことで、被写体が物体であるかどうかについて良好に判定することができる。
【0043】
次に、図8を参照しながら、距離測定システム1の使用の一例について説明する。なお、この例では、3次元距離測定装置11は、屋内の天井Cに設置され、対象となるエリアの測定を行う。また、熱検知端末31は、3次元距離測定装置11の下部に設けられ(例えば、3次元距離測定装置11の下部に固定され)、3次元距離測定装置11と同一視点で対象となるエリアの測定を行う。PC51は、3次元距離測定装置11および熱検知端末31からデータを取得することができればよく、一例として、同じ屋内に配置され、有線通信によりデータを取得してもよい。その一方で、PC51は、外部の遠隔地などに配置され、無線通信によりデータを取得してもよい。
【0044】
3次元距離測定装置11は、照射光を照射し、被写体からの反射光を受光することにより、被写体までの距離を測定し、距離画像I1を生成することができる。ここで、被写体が反射率の高い物(例えば、鏡やガラス、透明なパーティション等であり、反射体Rと呼ぶことがある)の傍に位置するときに、測定に用いる光が反射体Rで反射することがある。そして、3次元距離測定装置11が反射体Rで反射された光を受光することで、3次元距離測定装置11は、反射体Rに反射して写り込んだ被写体の偽物を誤検出することがある。これにより、3次元距離測定装置11は、被写体の偽物を含んだ距離データを出力することがある。すなわち、3次元距離測定装置11は、被写体の偽物に関する距離値を計算し、被写体の偽物を含む距離画像I1を生成することがある。従って、このような環境において3次元距離測定装置11で単純に測定を行うだけでは、良好な物体検知精度を確保することができない。
【0045】
そこで、本実施形態の距離測定システム1では、距離画像I1に対応する温度画像I2を熱検知端末31から取得し、画像における同一位置の距離値と温度値に基づいて物体を判定する。これにより、物体の誤検出を抑制して良好な物体検知精度を確保することができる。
【0046】
なお、この例では、被写体として人体を対象としているので、測定する温度値が人体に対応する温度範囲(例えば、35℃~40℃)にあるかどうかに基づいて、物体であるかどうかについての判定を行うことができる。すなわち、被写体を人体(人物)として判定する場合、温度範囲は、人間の体温に相当する範囲内で設定することができる。ただし、被写体として人体以外を対象としてもよい。被写体に対応する温度範囲が適宜に設定され、この温度範囲に基づく判定が行われてもよい。
【0047】
物体と判定された被写体のみをデータ処理の対象とし、物体と判定されていない被写体をデータ処理の対象としないことで、動線追跡や人数カウントの精度を良好にすることができる。ここで、一例として、動線追跡や人数カウントは、適宜のアプリを用いて実行することができる。一例として、PC51のプロセッサ52は、物体検知プログラム61とアプリを連携させた処理を行うことにより、動線追跡や人数カウントに関する処理を行ってもよい。
【0048】
以上、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明のより良い理解のために詳細に説明したのであり、必ずしも説明の全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、本実施形態によれば、プロセッサ52と、距離を測定して距離画像I1を生成する距離測定装置(3次元距離測定装置11)と、温度を測定して温度画像I2を生成する熱検知装置(熱検知端末31)と、を用いた距離測定方法であって、プロセッサ52は、同一視点で取得される前記距離画像I1と前記温度画像I2を連携させ、画像中の同一位置の距離値と温度値に基づいて、被写体を物体であると判定する、ことを特徴とする距離測定方法が提供される。
【0049】
距離測定システム1は、3次元距離測定装置11および熱検知端末31を複数備え、これらの装置から取得するデータを用いて処理を行ってもよい。ここで、3次元距離測定装置11および熱検知端末31は、1ペアずつ同一視点で測定するように適宜に配置される。そして、プロセッサ52は、物体検知プログラム61の実行において、3次元距離測定装置11および熱検知端末31のペアのそれぞれから取得するデータに基づいて、被写体が物体であるかどうかについての判定を行ってもよい。
【0050】
上記の説明では、PC51は記憶装置53を備えるとされていた。しかしながら、プロセッサ52が所定の処理を行うことができればよく、プロセッサ52は外部(例えば、外部に設けられる記憶装置)からデータを取得して処理を行ってもよい。この場合、PC51の記憶装置53は省略されてもよい。
【0051】
上記の説明では、PC51を用いる例について説明された。しかしながら、プロセッサ52による所定の処理を実現することができればよく、PC51に代えて他の種類の電子計算機等が用いられてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 距離測定システム
11 3次元距離測定装置(距離測定装置)
12 発光部
13 受光部
16 距離計算部
17 距離画像生成部
21 処理装置
22 記憶装置
31 熱検知端末(熱検知装置)
32 温度センサ
36 温度計算部
37 温度画像生成部
41 処理装置
42 記憶装置
51 PC
52 プロセッサ
53 記憶装置
61 物体検知プログラム
I1 距離画像
I2 温度画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8