(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023028159
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】管理システム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20230224BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021133682
(22)【出願日】2021-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】保地 和博
【テーマコード(参考)】
3C100
【Fターム(参考)】
3C100AA29
3C100AA38
3C100AA56
3C100AA57
3C100AA62
3C100BB05
3C100BB12
3C100BB13
3C100BB17
3C100BB27
3C100BB34
(57)【要約】
【課題】複数の工程を含む製品の製造工程で生じた異常を検出し、異常品の流出防止が可能な管理システムを提供する。
【解決手段】管理システムは、異常製品の識別情報を少なくとも含む管理データを生成する異常情報生成部と、異常情報生成部が生成した管理データを制御装置に送信可能な通信部とを備える機器10と、異常製品の識別情報を読み取る読取部と、読取部によって読み取られた読取情報を制御装置に送信可能な通信部とを備える解体用機器15と、解体用機器15から送信された管理データ及び読取情報を受信可能な通信部と、機器10から送信された管理データを記憶する記憶部と、管理データ及び解体用機器15から送信された情報に基づいて異常製品の状態について判定する判定部とを備える制御装置20とを備える。判定部は、所定条件が満たされても隔離施設から読取情報が送信されない場合、異常製品の取り扱いに異常が生じたと判定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品を製造する全体工程に含まれる複数の工程の順序に従って順次使用される複数の機器と、未完成の製品であって前記複数の工程のいずれかで異常を生じた異常製品を隔離するための隔離施設と、制御装置とが通信可能に接続され、前記制御装置が前記複数の機器の動作及び前記複数の機器を利用して製造される製品を管理する管理システムであって、
前記機器は、
当該機器を利用した工程で異常を生じた場合、前記異常製品の識別情報を少なくとも含む管理データを生成する異常情報生成部と、
前記異常情報生成部が生成した管理データを前記制御装置に送信可能な通信部とを備え、
前記隔離施設は、
前記異常製品の識別情報を読み取る読取部と、
前記読取部によって読み取られた読取情報を前記制御装置に送信可能な通信部とを備え、
前記制御装置は、
前記機器から送信された前記管理データ及び前記隔離施設から送信された前記読取情報を受信可能な通信部と、
前記機器から送信された前記管理データを記憶する記憶部と、
前記管理データ及び前記隔離施設から送信された情報に基づいた処理を行う判定部とを備え、
前記判定部は、所定条件が満たされても前記隔離施設から前記読取情報が送信されない場合、前記異常製品の取り扱いに異常が生じたと判定する
管理システム。
【請求項2】
前記異常情報生成部は、前記管理データとして、前記機器の動作に応じた識別情報を示すデータを生成する生成部を備え、
前記記憶部は、予め登録された識別情報を示すデータを記憶し、
前記生成部は、
製造に用いる部品の各々に与えられた第1識別情報を読み取る第1読取部を含み、
前記機器を用いた工程の開始及び完了の少なくとも一方を示す情報に前記第1読取部で読み取った前記第1識別情報と当該工程に予め与えられた第2識別情報を含ませ、
前記記憶部は、前記複数の工程の一部を完了した中間製品を個別に識別可能な一時データを前記記憶部に記憶し、
前記一時データは、
前記中間製品の製造に用いられた部品に与えられた前記第1識別情報と、
当該中間製品の製造に関与した最後の工程を示す前記第2識別情報と、
滞留カウントの値が前記中間製品毎に対応付けられ、
前記滞留カウントの値は、前記最後の工程と同一の工程で製造された他の中間製品が先に次の工程の開始若しくは完了を経た回数を示す数値、又は、当該中間製品が製造された後に前記最後の工程と同一の工程で製造された他の中間製品が製造を開始若しくは完了した回数を示す数値であり、
前記第1識別情報は、前記異常製品の識別情報として機能し、
前記判定部は、前記機器から送信されたデータに含まれる識別情報と前記記憶部に記憶された識別情報と前記滞留カウントの値と所定の閾値とに基づいて前記所定条件が満たされたか判定する
請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
前記所定の閾値は、前記複数の機器のうち少なくとも前記最後の工程で用いられる機器を停止させるための第1閾値を含み、
前記判定部は、前記滞留カウントの値と前記第1閾値とに基づいて前記異常製品の取り扱いに異常が生じたか判定し、前記異常製品の取り扱いに異常が生じたと判定された場合、前記複数の機器のうち少なくとも前記最後の工程で用いられる機器を停止させる
請求項2に記載の管理システム。
【請求項4】
前記複数の機器及び前記制御装置の少なくとも一方は、前記機器の作業者に報知を行う報知部を備え、
前記所定の閾値は、前記報知部の動作の是非を判定するための第2閾値を含み、
前記判定部は、前記滞留カウントの値と前記第2閾値とに基づいて前記異常製品の取り扱いに異常が生じたか判定し、前記異常製品の取り扱いに異常が生じたと判定された場合、前記報知部を動作させる
請求項2又は3に記載の管理システム。
【請求項5】
前記判定部は、前記異常製品の識別情報として機能する前記第1識別情報を含む前記一時データを前記記憶部に記憶した後に所定時間が経過するか所定時刻になった場合、前記報知部を動作させる
請求項4に記載の管理システム。
【請求項6】
前記機器は、前記異常製品に生じた異常に関する付加情報を前記管理データに付加する付加部を備える
請求項1から5のいずれか一項に記載の管理システム。
【請求項7】
前記隔離施設は、前記異常製品を前記複数の工程のいずれかに再投入するための作業を行う作業用機器を備え、
前記記憶部は、前記付加情報に応じた作業内容を表示出力するための表示データを記憶し、
前記制御装置の通信部は、前記表示データを前記作業用機器に送信し、
前記隔離施設の通信部は、前記表示データを受信し、
前記作業用機器は、前記表示データを表示可能な表示部を備える
請求項6に記載の管理システム。
【請求項8】
前記記憶部は、前記付加情報に応じた作業内容によって生じる再投入可能な部品と当該部品の再投入先となる工程との対応関係を示す対応関係データを記憶し、
前記制御装置の通信部は、前記対応関係データを前記作業用機器に送信し、
前記隔離施設の通信部は、前記対応関係データを受信し、
前記表示部は、前記対応関係データに基づいた表示をさらに行う
請求項7に記載の管理システム。
【請求項9】
前記再投入可能な部品が前記識別情報を個別に与えられない部品である場合、専用の前記識別情報を生成して出力する出力部を備え、
前記記憶部は、前記専用の前記識別情報を記憶する
請求項8に記載の管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の工程を含む製造工程を経て製造される製品のデータを管理する方法として、IDを利用したトレーサビリティが知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
製品の製造工程では異常の発生を完全になくすことは極めて困難である。従って、トレーサビリティの運用に係り、異常を検知し、異常品の流出を防ぐ仕組みが求められていた。
【0005】
本発明は、複数の工程を含む製品の製造工程で生じた異常を検出し、異常品の流出防止が可能な管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本発明の管理システムは、製品を製造する全体工程に含まれる複数の工程の順序に従って順次使用される複数の機器と、未完成の製品であって前記複数の工程のいずれかで異常を生じた異常製品を隔離するための隔離施設と、制御装置とが通信可能に接続され、前記制御装置が前記複数の機器の動作及び前記複数の機器を利用して製造される製品を管理する管理システムであって、前記機器は、当該機器を利用した工程で異常を生じた場合、前記異常製品の識別情報を少なくとも含む管理データを生成する異常情報生成部と、前記異常情報生成部が生成した管理データを前記制御装置に送信可能な通信部とを備え、前記隔離施設は、前記異常製品の識別情報を読み取る読取部と、前記読取部によって読み取られた読取情報を前記制御装置に送信可能な通信部とを備え、前記制御装置は、前記機器から送信された前記管理データ及び前記隔離施設から送信された前記読取情報を受信可能な通信部と、前記機器から送信された前記管理データを記憶する記憶部と、前記管理データ及び前記隔離施設から送信された情報に基づいた処理を行う判定部とを備え、前記判定部は、所定条件が満たされても前記隔離施設から前記読取情報が送信されない場合、前記異常製品の取り扱いに異常が生じたと判定する。
【0007】
これによって、隔離施設からの読取情報の送信の有無に基づいて異常製品の取り扱いに異常が生じたか判定できる。すなわち、隔離施設に移動されるべき異常製品が隔離施設に移動したかを判定できる。従って、複数の工程を含む製品の製造工程で生じた異常を検知できる。
【0008】
本発明の管理システムでは、前記異常情報生成部は、前記管理データとして、前記機器の動作に応じた識別情報を示すデータを生成する生成部を備え、前記記憶部は、予め登録された識別情報を示すデータを記憶し、前記生成部は、製造に用いる部品の各々に与えられた第1識別情報を読み取る第1読取部を含み、前記機器を用いた工程の開始及び完了の少なくとも一方を示す情報に前記第1読取部で読み取った前記第1識別情報と当該工程に予め与えられた第2識別情報を含ませ、前記記憶部は、前記複数の工程の一部を完了した中間製品を個別に識別可能な一時データを前記記憶部に記憶し、前記一時データは、前記中間製品の製造に用いられた部品に与えられた前記第1識別情報と、当該中間製品の製造に関与した最後の工程を示す前記第2識別情報と、滞留カウントの値が前記中間製品毎に対応付けられ、前記滞留カウントの値は、前記最後の工程と同一の工程で製造された他の中間製品が先に次の工程の開始若しくは完了を経た回数を示す数値、又は、当該中間製品が製造された後に前記最後の工程と同一の工程で製造された他の中間製品が製造を開始若しくは完了した回数を示す数値であり、前記第1識別情報は、前記異常製品の識別情報として機能し、前記判定部は、前記機器から送信されたデータに含まれる識別情報と前記記憶部に記憶された識別情報と前記滞留カウントの値と所定の閾値とに基づいて前記所定条件が満たされたか判定する。なお、「完了」は、機器(又は機器の製造の過程で生じる中間製品であるワーク)の製造における各工程の意図された通りの完了をさす「正常完了」だけでなく、意図しない過程又は成果物を生じた正常でない「異常完了」も含む。
【0009】
滞留カウントが増加するということは、ある中間製品が何らかの理由によって次の工程を開始されない状態であることが示唆される。これによって、滞留カウントの値に基づいて複数の工程のいずれかに異常が生じていることを判定できる。従って、複数の工程を含む製品の製造工程で生じた異常を検知可能になる。
【0010】
本発明の管理システムでは、前記所定の閾値は、前記複数の機器のうち少なくとも前記最後の工程で用いられる機器を停止させるための第1閾値を含み、前記判定部は、前記滞留カウントの値と前記第1閾値とに基づいて前記異常製品の取り扱いに異常が生じたか判定し、前記異常製品の取り扱いに異常が生じたと判定された場合、前記複数の機器のうち少なくとも前記最後の工程で用いられる機器を停止させる。
【0011】
従って、滞留カウントの値に基づいて複数の工程のいずれかに異常が生じていることが検知された場合に機器を停止できる。
【0012】
本発明の管理システムでは、前記複数の機器及び前記制御装置の少なくとも一方は、前記機器の作業者に報知を行う報知部を備え、前記所定の閾値は、前記報知部の動作の是非を判定するための第2閾値を含み、前記判定部は、前記滞留カウントの値と前記第2閾値とに基づいて前記異常製品の取り扱いに異常が生じたか判定し、前記異常製品の取り扱いに異常が生じたと判定された場合、前記報知部を動作させる。
【0013】
従って、滞留カウントの値に基づいて複数の工程のいずれかに異常が生じていることが検知された場合にその旨に関する報知を行える。
【0014】
本発明の管理システムでは、前記判定部は、前記異常製品の識別情報として機能する前記第1識別情報を含む前記一時データを前記記憶部に記憶した後に所定時間が経過するか所定時刻になった場合、前記報知部を動作させる。
【0015】
従って、複数の工程のいずれかに異常が生じていることが検知された場合にその旨に関する報知を行える。
【0016】
本発明の管理システムでは、前記機器は、前記異常製品に生じた異常に関する付加情報を前記管理データに付加する付加部を備える。
【0017】
従って、異常製品に生じた異常に関する情報管理を行える。
【0018】
本発明の管理システムでは、前記隔離施設は、前記異常製品を前記複数の工程のいずれかに再投入するための作業を行う作業用機器を備え、前記記憶部は、前記付加情報に応じた作業内容を表示出力するための表示データを記憶し、前記制御装置の通信部は、前記表示データを前記作業用機器に送信し、前記隔離施設の通信部は、前記表示データを受信し、前記作業用機器は、前記表示データを表示可能な表示部を備える。
【0019】
従って、異常製品を複数の工程のいずれかに再投入するための作業を行える。また、当該作業の内容を表示によってガイドできる。
【0020】
本発明の管理システムでは、前記記憶部は、前記付加情報に応じた作業内容によって生じる再投入可能な部品と当該部品の再投入先となる工程との対応関係を示す対応関係データを記憶し、前記制御装置の通信部は、前記対応関係データを前記作業用機器に送信し、前記隔離施設の通信部は、前記対応関係データを受信し、前記表示部は、前記対応関係データに基づいた表示をさらに行う。
【0021】
従って、作業後に生じた部品の再投入先をガイドできる。
【0022】
本発明の管理システムでは、前記再投入可能な部品が前記識別情報を個別に与えられない部品である場合、専用の前記識別情報を生成して出力する出力部を備え、前記記憶部は、前記専用の前記識別情報を記憶する。
【0023】
従って、再投入される部品に識別情報を与えることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の管理システムによれば、複数の工程を含む製品の製造工程で生じた異常を検出し、異常品の流出防止ができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、管理システムの主要構成例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、機器の主要構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、PLCの主要構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、工程順序マスターの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、工程順序マスターが示す各生産品番の全体工程に含まれる複数の工程の関係の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、工程マスターの一例を示す図である。
【
図8A】
図8Aは、工程マスターに対応した工程を示す模式図である。
【
図9】
図9は、入数マスターの一例を示す図である。
【
図11】
図11は、BOMマスターの一例としての模式的なデータを示す図である。
【
図13】
図13は、実施形態でBOMマスターBOMMとして機能するデータを示す図である。
【
図14】
図14は、
図13のデータから導出されたBOMツリー構造であるツリー構造を示す図である。
【
図15】
図15は、管理個体シリアルマスターの一例を示す図である。
【
図16】
図16は、個体管理ワーク状態テーブルの一状態例を示す図である。
【
図18】
図18は、
図16の状態とは異なる状態の個体管理ワーク状態テーブルを示す図である。
【
図26】
図26は、実績登録データの一状態例を示す図である。
【
図30】
図30は、Lot部品カウンタの一状態例を示す図である。
【
図33】
図33は、全体工程に含まれる複数の工程の関係の一例を示す図である。
【
図35】
図35は、状態テーブルの「状態」のフィールドが「異常完了」とされるワークを管理するための処置待ちNG品管理テーブルの一例を示す図である。
【
図38】
図38は、
図37の再投入マスターから導出されたBOMツリー構造BOMTであるツリー構造B13を示す図である。
【
図41】
図41は、タッチパネルの表示内容の一例を示す模式図である。
【
図43】
図43は、再投入指示書表示画面の一例を示す図である。
【
図44】
図44は、
図40に示す解体用機器の再利用パレットの開閉蓋が開いた状態を示す図である。
【
図45】
図45は、
図40に示す解体用機器のNGシューターの開閉蓋が開いた状態を示す図である。
【
図47】
図47は、
図46で個別に管理されていた構成同士が組付けられた後の再投入カウンタの一例を示す図である。
【
図48】
図48は、再利用パレットに再利用部品として載置されたワーク等の一例を示す模式図である。
【
図49】
図49は、解体作業で生じる複数種類のワーク等を個別に載置可能に設けられた再利用パレットを示す模式図である。
【
図50】
図50は、生産ラインの稼働開始処理として演算部が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図51】
図51は、認定作業者のチェック処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図52】
図52は、プログラム選択部によって選択されたプログラムのチェック処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図53】
図53は、現品票の読取チェック処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図54】
図54は、工程の1サイクル起動チェック処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図55】
図55は、Lot部品カウンタチェック処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図56】
図56は、工程の1サイクル完了チェック処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図57】
図57は、滞留カウンタチェック処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する各実施形態の要件は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0027】
図1は、管理システムの主要構成例を示す模式図である。管理システムは、複数の機器10と、制御装置20とを備える。制御装置20は、例えばPLC(Programmable Logic Controller)であるが、これに限られるものでなく、以下で説明する制御装置20の機能を奏する装置であればよく、適宜変更可能である。
図1では、複数の機器10の一例として第1機器11、第2機器12、第3機器13及び第4機器14の4つの機器10を示しているが、これは一例であってこれに限られるものでない。機器10は、2つ以上であれば3つ以下でもよいし5つ以上でもよい。
【0028】
複数の機器10は、管理システムで製造される製品を製造するための製造工程(全体工程)に含まれる複数の工程に対応して設けられる。
図1では、第1機器11が用いられる第1工程F1、第2機器12が設けられる第2工程F2、第3機器13が設けられる第3工程F3及び第4機器14が設けられる第4工程F4の4つの工程を例示している。当該全体工程は、第1工程F1、第2工程F2、第3工程F3、第4工程F4の順で実施される複数の工程を含む。以下、複数の工程と記載した場合、特に断りがない限り管理システムで製造される製品を製造するための製造工程(全体工程)に含まれる複数の工程をさすものとする。機器10が3つ以下又は5つ以上である場合、複数の工程の数と機器10の数とは対応する。
【0029】
また、実施形態では、複数の工程の各々で機器10を用いて製造された製造途上の製品(ワーク)又は完成された製品(完成品)の移動先として、正常品置場及びNG品置場が設けられる。正常品置場は、正しく製造された、正常なワーク又は正常な完成品が置かれる。NG品置場は、製造の過程で何らかの異常が生じた、異常なワーク又は異常な完成品が置かれる。なお、NGは「No Good」(不良)を示す和製英語のアクロニム(頭字語)である。
【0030】
図1に示す例では、正常品置場として、第1正常品置場52、第2正常品置場54、第3正常品置場56及び第4正常品置場58が設けられている。また、NG品置場として、第1NG品置場53、第2NG品置場55、第3NG品置場57及び第4NG品置場59が設けられている。第1正常品置場52には、第1機器11を用いた第1工程F1を完了(正常終了)したワークが置かれる。第2正常品置場54には、第2機器12を用いた第2工程F2を完了(正常終了)したワークが置かれる。第3正常品置場56には、第3機器13を用いた第3工程F3を完了(正常終了)したワークが置かれる。第4正常品置場58には、第4機器14を用いた第4工程F4の正常な完成品が置かれる。第1NG品置場53には、第1機器11を用いた第1工程F1で異常終了となったワークが置かれる。第2NG品置場55には、第2機器12を用いた第2工程F2で異常終了となったワークが置かれる。第3NG品置場57には、第3機器13を用いた第3工程F3で異常終了となったワークが置かれる。第4NG品置場59には、第4機器14を用いた第4工程F4の異常な完成品が置かれる。
【0031】
また、
図1に示す例では、第1工程F1で製造されるワークを製造するための部品の置場として初期部品置場51が設けられている。第1工程F1は、初期部品置場51に置かれた部品を材料として第1機器11を用いて製造されたワークを第1正常品置場52又は第1NG品置場53に置く工程である。第2工程F2は、第1正常品置場52に置かれたワークを材料として第2機器12を用いて製造されたワークを第2正常品置場54又は第2NG品置場55に置く工程である。第3工程F3は、第2正常品置場54に置かれたワークを材料として第3機器13を用いて製造されたワークを第3正常品置場56又は第3NG品置場57に置く工程である。第4工程F4は、第3正常品置場56に置かれたワークを材料として第4機器14を用いて製造された完成品を第4正常品置場58又は第4NG品置場59に置く工程である。NG品置場(第1NG品置場53、第2NG品置場55及び第3NG品置場57)に置かれたワークは、次の工程で材料として用いられない。
【0032】
複数の機器10の各々を用いて工程を実施するのは、作業者である。
図1では、第1機器11を用いて第1工程F1を実施する作業者H1、第2機器12を用いて第2工程F2を実施する作業者H2、第3機器13を用いて第3工程F3を実施する作業者H3及び第4機器14を用いて第4工程F4を実施する作業者H4を例示しているが、作業者は1つの工程に1人に限定されるものでなく、複数人であってもよい。また、各工程の作業者は、予め定められた認定作業者である。認定作業者は、後述する認定作業者リストD5によって定められる。
【0033】
さらに、管理システムには、解体用機器15が設けられる。解体用機器15は、異常終了したワークや異常な完成品の解体、分解、手直し、廃却等の異常対応処置を行うための1以上の機器や、操作画面として機能するタッチパネル152を含む。解体用機器15は、機器10で製造された結果、異常が生じたワークの移動先として設けられる。
【0034】
図2は、機器10の主要構成を示すブロック図である。機器10は、通信部31、記憶部32、個体管理シリアル読取部33、組付けLot部品ID読取部34、作業者ID読取部35、駆動部36、報知部37、プログラム選択部38、センシング部39、判定部40、動作制御部41、入力部42等を備える。
【0035】
通信部31は、制御装置20と通信を行う。具体的には、通信部31は、NIC(Network Interface Controller)として機能する回路その他の部品を含み、制御装置20との通信に係る各種の処理を行う。通信部31を介して行われる機器10と制御装置20との通信で採用されるプロトコルは所謂インターネットのような公共の通信回線網で採用されるプロトコルと同様のプロトコルであってもよいし、専用のプロトコルであってもよい。また、機器10と制御装置20との通信で利用される通信回線の形態は、有線であってもよいし、無線であってもよいし、有線と無線とが混在した形態であってもよい。
【0036】
記憶部32は、機器10の動作に際して利用される各種のソフトウェア・プログラム及びデータを記憶する。当該データは、当該機器10が用いられる工程の工程IDを示す情報を含む。以下、プログラム等と記載した場合、ソフトウェア・プログラム及びデータをさす。具体的には、記憶部32は、フラッシュメモリー、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)のような記憶装置のうち少なくとも1つ以上を含む。記憶部32は、係る記憶装置にプログラム等を記憶する。
【0037】
個体管理シリアル読取部33は、機器10を用いる工程で材料とされる部品又はワークに与えられたID(シリアル)を読み取る。組付けLot部品ID読取部34は、機器10を用いる工程で材料とされるロット部品(Lot部品)に与えられたID(組付けLot部品ID)を読み取る。作業者ID読取部35は、機器10を用いる工程を実施する作業者に与えられたID(作業者ID)を読み取る。シリアル、組付けLot部品ID及び作業者IDについては後述する。なお、IDは、Identificationであり、識別情報として機能する情報をさす。
【0038】
なお、個体管理シリアル読取部33と組付けLot部品ID読取部34と作業者ID読取部35の一部又は全部は、物理的に共通の構成を利用するものであってもよい。例えば、シリアル、組付けLot部品ID及び作業者IDの一部又は全部が共通のフォーマットに基づいて付された文字、文字列、記号若しくは模様又はこれらの一部若しくは全部の組み合わせによるものである場合、個体管理シリアル読取部33と組付けLot部品ID読取部34と作業者ID読取部35の一部又は全部は、当該フォーマットに対応した読取装置として設けられる。より具体的には、シリアル、組付けLot部品ID及び作業者IDの一部又は全部がバーコードである場合、個体管理シリアル読取部33と組付けLot部品ID読取部34と作業者ID読取部35の一部又は全部は、物理的に共通なバーコードリーダーである。また、シリアル、組付けLot部品ID及び作業者IDの一部又は全部が文字、文字列若しくは記号又はこれらの一部又は全部の組み合わせによるものである場合、個体管理シリアル読取部33と組付けLot部品ID読取部34と作業者ID読取部35の一部又は全部は、これらを撮像可能な撮像素子を含むカメラ等の構成である。無論、個体管理シリアル読取部33と組付けLot部品ID読取部34と作業者ID読取部35がそれぞれ物理的に異なる構成であってもよい。
【0039】
駆動部36は、ワーク又は完成品の製造のために機器10に各種の物理的な動作を行わせる。具体的には、駆動部36は、電動機、電動機に電力を供給する電源装置、電動機と駆動部36が備える可動部とを連結する歯車等の連結機構等を含む。なお、駆動部36及び駆動部36によって動作する機械の具体的な構成は、各工程で要求される機器10の具体的な動作内容に対応する。従って、複数の機器10に共通する駆動部36は機能的、概念的な駆動部36のことであって、第1機器11に設けられる具体的な駆動部36と、第2機器12に設けられる具体的な駆動部36と、第3機器13に設けられる具体的な駆動部36と、第4機器14に設けられる具体的な駆動部36とはそれぞれ異なる。
【0040】
報知部37は、機器10の動作に係る各種の情報を作業者その他のヒトに報知する。具体的には、報知部37は、音声の出力によって警告又は情報の提供を行うためのスピーカ、画像の表示出力を行う表示装置等のうち少なくとも1つを含む。報知部37は、さらに、光の明滅によって警告を行うための電灯等を含んでいてもよい。
【0041】
プログラム選択部38は、予め複数種類設けられた機器10の具体的な動作内容の各々に対応する複数のプログラム等のうちいずれか1つを選択する作業者その他のヒトの選択操作を受け付ける。
図2では、選択可能なプログラムとして、第1プログラム38a、第2プログラム38b、…、を図示しているが、選択可能なプログラムの数は2以上であればよい。駆動部36の具体的な構成と同様、複数の各々の機器10が備えるプログラム選択部38によって選択可能な複数のプログラム等による具体的な制御内容は、各工程で要求される機器10の具体的な動作内容に対応する。プログラム選択部38で選択可能な複数のプログラム等の各々は、異なる動作に対応する。プログラム選択部38で選択可能な複数のプログラム等の各々は、記憶部32に記憶されていてもよいし、他に機器10が備える図示しない記憶装置に記憶されていてもよい。
【0042】
センシング部39は、機器10の動作に係る各種のセンシングを行う。具体的には、センシング部39は、例えば、駆動部36の動作によって製造中又は製造前後のワーク、部品等の状態に関する情報を取得するための各種のセンサ、カメラ等を含む。判定部40は、センシング部39によるセンシングに基づいて、ワーク又は完成品が正常であるかNGであるかの判定を行う。センシング部39及び判定部40の具体的な構成は、各工程で要求される機器10の具体的な構成に対応する。
【0043】
動作制御部41は、機器10の各種の動作制御を行うコントローラであり、記憶部32に記憶されているプログラム等を読み出して実行する演算回路の他、コントローラとして機能するための各種の回路等を含む。動作制御部41による動作制御は、制御装置20の命令に従って行われる。動作制御部41による機器10の動作制御内容の詳細については後述する演算部23の処理内容の説明に伴い記載する。
【0044】
入力部42は、プログラム選択部38によるプログラムの選択以外の、機器10に対する各種の入力を受け付ける。具体的には、入力部42は、例えば各種の操作内容に対応したスイッチ等を含む。なお、プログラム選択部38と入力部42は物理的に共通の構成を利用するものであってもよいし、物理的に異なる構成であってもよい。また、報知部37として機能する表示装置と、プログラム選択部38及び入力部42として機能するタッチ操作検出部とが一体的に設けられた所謂タッチパネルのような構成が採用されてもよい。
【0045】
なお、図示しないが、解体用機器15には、少なくとも上述の通信部31及び個体管理シリアル読取部33を備える機器が設けられる。解体用機器15に設けられた機器の個体管理シリアル読取部33で読取されたシリアルを示す情報は、通信部31を介して制御装置20に送信される。なお、通信部31を介して制御装置20に送信される情報に作業者ID読取部35と同様の構成で読取された情報も含めれば、異常終了したワークや異常な完成品の解体、分解、手直し、廃却等の作業を実施した作業者を記録することもできる。
【0046】
図3は、制御装置20の主要構成を示すブロック図である。制御装置20は、通信部21、記憶部22、演算部23及び報知部24、入力部25等を備える。
【0047】
通信部21は、複数の機器10と通信を行う。具体的には、通信部21は、通信部31と同様、NICとして機能する回路その他の部品を含み、複数の機器10との通信に係る各種の処理を行う。
【0048】
記憶部22は、制御装置20の動作に際して利用される各種のプログラム等を記憶する。具体的には、記憶部22は、記憶部32と同様、フラッシュメモリー、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)のような記憶装置のうち少なくとも1つ以上を含む。記憶部22は、係る記憶装置にプログラム等を記憶する。
【0049】
演算部23は、制御装置20の動作に係る各種の処理を行う。具体的には、演算部23は、CPU(Central Processing Unit)として機能する演算回路等を含み、当該演算回路が記憶部22から処理内容に対応したプログラム等を実行処理することで、制御装置20の動作に係る各種の処理を行う。
【0050】
報知部24は、管理システムの動作に係る各種の情報を作業者その他のヒトに報知する。具体的には、報知部24は、報知部37と同様、音声の出力によって警告又は情報の提供を行うためのスピーカ、画像の表示出力を行う表示装置等のうち少なくとも1つを含む。報知部37は、さらに、光の明滅によって警告を行うための電灯等を含んでいてもよい。
【0051】
入力部25は、制御装置20に対する各種の入力を受け付ける。具体的には、入力部25は、例えば上述の入力部42の説明で例示した構成と同様の構成の一部又は全部を備える。
【0052】
次に、管理システムで利用される各種のデータ及び係る各種のデータを利用した工程の流れについて、
図4から
図32を参照して説明する。
【0053】
図4は、工程リストD1の一例を示す図である。工程リストD1は、「LineID」のカラムと、「工程No」のカラムと、各生産ラインで行われる全体工程に含まれる複数の工程の各々に対応する「工程ID」のカラムとを有するデータである。なお、カラムと記載した場合、
図4等で示すテーブル形式のデータにおける縦方向のデータの並びをさす。また、レコードと記載した場合、
図4等で示すデータの最上段に示すカラムの名称を除いた横方向のデータの並びをさす。また、フィールドと記載した場合、カラム間を区切る縦方向の直線と、縦方向に並ぶカラムの名称と最上段のレコード及び複数のレコード間を区切る横方向の直線と、による格子状の区切りによって形成されている複数の矩形のうち1つをさす。1つのレコードに含まれる複数のフィールドが、1つのデータの組である。係る1つのデータの組は、管理システムや管理システムで行われる工程、管理システムで取り扱われる製品、ワーク、部品その他の事物等に関する情報を示す。
【0054】
1つの生産ラインは、同一の「LineID」を有する。
図4に示す例では、「LineID」として、「LINE1」と「LINE2」が例示されている。「工程No」のフィールドには、各生産ラインで行われる複数の工程の順序に対応した数値が登録される。「工程ID」のフィールドには、各工程を区別する識別符号として機能する文字列が登録される。
図4では、「LineID」のフィールドに「LINE1」が登録されているレコードとして、4つのレコードが登録されている。当該レコードは、「工程No」のフィールドに「1」が登録され、「工程ID」のフィールドに「PRCS01A」が登録されたレコードと「工程No」のフィールドに「2」が登録され、「工程ID」のフィールドに「PRCS02A」が登録されたレコードと、「工程No」のフィールドに「3」が登録され、「工程ID」のフィールドに「PRCS03A」が登録されたレコードと、「工程No」のフィールドに「4」が登録され、「工程ID」のフィールドに「PRCS04A」が登録されたレコードと、を含む。
【0055】
詳細は省略するが、「LineID」のフィールドに「LINE2」が登録されているレコードについても、制御装置20によって同様の仕組みで工程リストD1の内容が解釈される。なお、実施形態では、「PRCS01A」の工程IDが付された工程は、第1機器11で行われる。また、「PRCS02A」の工程IDが付された工程は、第2機器12で行われる。また、「PRCS03A」の工程IDが付された工程は、第3機器13で行われる。また、「PRCS04A」の工程IDが付された工程は、第4機器14で行われる。
【0056】
図5は、工程順序マスターD2の一例を示す図である。工程順序マスターD2は、「生産品番」のカラムと、「工程ID」のカラムと、「部品識別」のカラムと、「前工程識別」のカラムと、「前工程ID」のカラムと、「部品No」のカラムとを有するデータである。「生産品番」のカラムに含まれるフィールドには、製造される製品に与えられるIDが登録される。当該製品は、当該フィールドを含むレコードの「工程ID」のフィールドに登録された工程IDが与えられた工程を経て製造される。従って、
図5に示す「PRDCT001」、「PRDCT002」、「PRDCT003」の生産品番が与えられた製品は、
図4の工程リストD1で表されている「LINE1」の生産ラインに属する「PRCS01A」、「PRCS02A」、「PRCS03A」、「PRCS04A」の工程IDが付された工程で製造されることが、
図4の工程リストD1と
図5の工程順序マスターD2との組み合わせによって示されている。
【0057】
工程順序マスターD2の各レコードは、各工程IDが付された工程のより詳細な情報を示す。「部品識別」のフィールドに登録される値は、特筆事項に該当しない限り0である。当該特筆事項については後述する。「前工程識別」のフィールドに登録される値は、特筆事項に該当しない限り1である。当該特筆事項については後述する。「前工程ID」のフィールドには、各レコードの工程IDが示す工程の前に行われる工程の工程IDが登録される。ただし、各「生産品番」の製品の製造において最初に行われる工程を示すフィールドのレコードは、「前工程ID」のフィールドに工程IDが登録されない(
図5では、「-」としている)。
【0058】
図6は、工程順序マスターD2が示す各生産品番の全体工程に含まれる複数の工程の関係の一例を示す図である。まず、「PRDCT001」の生産品番が付された製品(以下、第1製品と記載)の製造に係る工程について、
図5の工程順序マスターD2に含まれるレコードを上から順次説明する。「工程ID」に「PRCS01A」が付されたレコードは、「前工程ID」が「-」である。すなわち、第1製品の製造で最初に行われる工程が、「PRCS01A」の工程IDを付された工程であることが当該レコードで示されている。また、「工程ID」に「PRCS02A」が付されたレコードは、「前工程ID」が「PRCS01A」である。すなわち、第1製品の製造では、「PRCS01A」の工程IDを付された工程の後に「PRCS02A」の工程IDを付された工程が行われることが当該レコードで示されている。また、「工程ID」に「PRCS03A」が付されたレコードは、「前工程ID」が「PRCS02A」である。すなわち、第1製品の製造では、「PRCS02A」の工程IDを付された工程の後に「PRCS03A」の工程IDを付された工程が行われることが当該レコードで示されている。また、「工程ID」に「PRCS04A」が付されたレコードは、「前工程ID」が「PRCS03A」である。すなわち、第1製品の製造では、「PRCS03A」の工程IDを付された工程の後に「PRCS04A」の工程IDを付された工程が行われることが当該レコードで示されている。そして、「PRDCT001」の生産品番が付されたレコードは、以上のように説明した4つのレコードである。すなわち、第1製品の製造は、「PRCS04A」の工程IDを付された工程を以て完了することが工程順序マスターD2によって示されている。
図6の「PRDCT001」欄は、当該4つのレコードに対応している。
【0059】
次に、「PRDCT002」の生産品番が付された製品(以下、第2製品と記載)の製造に係る工程について、
図5の工程順序マスターD2に含まれるレコードを上から順次説明する。「工程ID」に「PRCS01A」が付されたレコードは、「前工程ID」が「-」である。すなわち、第2製品の製造で最初に行われる工程が、「PRCS01A」の工程IDを付された工程であることが当該レコードで示されている。また、「工程ID」に「PRCS02A」又は「PRCS03A」が付されたレコードは、「前工程ID」が「PRCS01A」である。すなわち、第2製品の製造では、「PRCS01A」の工程IDを付された工程の後に「PRCS02A」又は「PRCS03A」の工程IDを付された工程が行われることが当該レコードで示されている。また、「工程ID」に「PRCS04A」が付されたレコードは、2つある。当該2つの一方では、「前工程ID」が「PRCS02A」である。また、当該2つの他方では、「前工程ID」が「PRCS03A」である。すなわち、第2製品の製造では、「PRCS02A」又は「PRCS03A」の工程IDを付された工程の後に「PRCS04A」の工程IDを付された工程が行われることが当該レコードで示されている。さらに、当該2つの他方では、「前工程識別」のフィールドに「2」が登録されている。これは、第2製品の製造における「PRCS04A」の工程のように、「PRCS02A」又は「PRCS03A」の工程IDを付された工程のいずれでも前工程にできる場合に、そのことを示す複数のレコードのうち一方に付される。これが、「前工程識別」のフィールドに登録される値が1でなくなる特筆事項である。そして、「PRDCT002」の生産品番が付されたレコードは、以上のように説明した4つのレコードである。すなわち、第2製品の製造は、「PRCS04A」の工程IDを付された工程を以て完了することが工程順序マスターD2によって示されている。
図6の「PRDCT002」欄は、当該4つのレコードに対応している。
図6を参照して例示した「PRDCT002」のように、第1工程F1と第4工程F4との間で第2工程F2と第3工程F3とが並立する工程の形態は、例えば、第1工程F1と第4工程F4との間に必要な1種類の工程が、第1工程F1及び第4工程F4よりも工程の開始から完了までの時間が長大な工程である場合に採用される。このような時間が長大な工程を、第2工程F2と第3工程F3として並行して実施することで、係る工程が全体の進捗のボトルネックとなることを抑制できる。
【0060】
次に、「PRDCT003」の生産品番が付された製品(以下、第3製品と記載)の製造に係る工程について、
図5の工程順序マスターD2に含まれるレコードを上から順次説明する。「工程ID」に「PRCS01A」又は「PRCS02A」が付されたレコードは、「前工程ID」が「-」である。すなわち、第3製品の製造で最初に行われる工程が、「PRCS01A」又は「PRCS02A」の工程IDを付された工程であることが当該レコードで示されている。言い換えれば、第3製品の製造に係る工程では、「PRCS01A」の工程IDを付された工程と「PRCS02A」の工程IDを付された工程とが、前工程を経ずに個別に行われることが示されている。また、「工程ID」に「PRCS03A」が付されたレコードは、2つある。当該2つの一方では、「前工程ID」が「PRCS01A」である。また、当該2つの他方では、「前工程ID」が「PRCS02A」である。さらに、当該2つの他方では、「部品識別」が「1」である。これは、「PRCS03A」の工程IDを付された工程で、「部品識別」が「0」であるレコードの工程IDを付された工程で製造されたワークと、「部品識別」が「1」であるレコードの工程IDを付された工程で製造されたワークの両方を使うことを示す。すなわち、第3製品の製造では、「PRCS01A」の工程IDを付された工程で製造されたワークと、「PRCS02A」の工程IDを付された工程で製造されたワークの両方を使って、「PRCS03A」の工程IDを付された工程が行われることが、当該2つのレコードによって示されている。これが、「部品識別」のフィールドに登録される値が0でなくなる特筆事項である。なお、「工程ID」に「PRCS04A」が付されたレコードは、「前工程ID」が「PRCS03A」である。すなわち、第3製品の製造では、「PRCS03A」の工程IDを付された工程の後に「PRCS04A」の工程IDを付された工程が行われることが当該レコードで示されている。そして、「PRDCT003」の生産品番が付されたレコードは、以上のように説明した4つのレコードである。すなわち、第3製品の製造は、「PRCS04A」の工程IDを付された工程を以て完了することが工程順序マスターD2によって示されている。
図6の「PRDCT003」欄は、当該4つのレコードに対応している。
【0061】
なお、
図5及び
図6では、並行する工程が2つである場合を例示しているが、3つ以上の工程が並行する製品の製造工程についても、同様の仕組みで登録可能である。その場合、前工程を複数持つ工程の工程IDが付されたレコードの数が、3つ以上になる。「PRDCT002」の例で示したように前工程を複数持つ工程で製造されるワーク又は製品は、前工程のワークのいずれか一つを使ってよい。また、
図5に示す工程順序マスターD2の「部品No」については後述する。
【0062】
図7は、工程マスターD3の一例を示す図である。工程マスターD3は、「工程ID」のカラムと、「生産品番」のカラムと、生産品番に対応する製品の製造においてプログラム選択部38によって選択されるプログラムの番号を示す値が登録されるカラムとを有するデータである。「工程ID」のカラムは、工程リストD1における同名のカラムと対応するカラムである。また、「工程ID」のカラムに含まれるフィールドに登録されるIDと、工程順序マスターD2における各生産ラインで行われる全体工程に含まれる複数の工程の前後関係を示す工程IDが登録されるカラムに含まれるフィールドに登録されるIDとは対応し、係るIDは工程リストD1、工程順序マスターD2に含まれる工程IDのいずれかである。「生産品番」のカラムは、工程順序マスターD2における同名のカラムと対応するカラムである。
【0063】
生産品番に対応する製品の製造においてプログラム選択部38によって選択されるプログラムの番号を示す値が登録されるカラムとして、
図7では、「適正Prg.選択No.」のカラムが例示されている。なお、「Prg.」は、プログラム(Program)の略である。また、
図7では、当該値として、「PRDCT001」のレコードのフィールドに「1」が登録され、「PRDCT002」のレコードのフィールドに「2」が登録されている。
【0064】
図8Aは、工程マスターD3に対応した工程を示す模式図である。
図8Bは、
図8Aの工程リストの一例を示す図である。
図8Aに示すように、「PRDCT001」の工程では、「Prg.選択No.」として、
図7に示す「PRDCT001」のレコードのフィールドに登録されている「1」が選択されている。また、
図8Aに示すように、「PRDCT002」の工程では、「Prg.選択No.」として、
図7に示す「PRDCT002」のレコードのフィールドに登録されている「2」が選択されている。なお、「Prg.選択No.」が「1」のプログラムは、例えば第1プログラム38aである。また、「Prg.選択No.」が「2」のプログラムは、例えば第2プログラム38bである。このような「Prg.選択No.」に対応したプログラムの選択操作は、例えば、機器10のプログラム選択部38に対する作業者の選択操作によって行われる。すなわち、
図7に示すレコードにおいて「適正Prg.選択No.」のカラムに登録されているフィールドは、当該レコードの「生産品番」の製造に際して行われる「工程ID」の工程で選択されるべきプログラムを識別する符号(例えば、番号等)を示している。なお、当該符号は数字に限られるものでなく、アルファベット等であってもよく、適宜変更可能である。また、生産品番に対応する製品の製造においてプログラム選択部38によって選択されるプログラムの番号を示す値が登録されるカラムは、2つ以上であってもよいが、1つであることが好ましい。
【0065】
なお、
図8Aに示すように、生産品番に対応する製品の製造にLot部品が供されることがある。Lot部品は、各々の部品そのものにIDが付されず、複数の部品単位で一括してIDが与えられる部品である。Lot部品の具体例として、ボルトやナット等のようなワーク同士の締結に供される部品やその他の微細部品等が挙げられる。
図8Bでは、生産品番が「PRDCT001」である製品P001には、「PRCS01A」の工程IDが与えられた工程で、「LPART001」のIDが与えられたLot部品L1と「LPART002」のIDが与えられたLot部品L2と「LPART003」のIDが与えられたLot部品L3とが組付けられている。また、生産品番が「PRDCT002」である製品P002には、「PRCS01A」の工程IDが与えられた工程で、「LPART001」のIDが与えられたLot部品L1と「LPART002」のIDが与えられたLot部品L2と「LPART004」のIDが与えられたLot部品L4とが組付けられている。
【0066】
なお、
図8Aでは、Lot部品の種類及び数が3つである場合を例示しているが、製品の製造に供されるLot部品は2つ以下であってもよいし、4つ以上であってもよい。
【0067】
図9は、入数マスターD4の一例を示す図である。入数マスターD4は、生産品番に対応する製品の製造に供されるLot部品を示すIDが登録されるカラムと、1つのLot現品票データに対応するLot部品の数(入数)を示す値が登録されるカラムとを有するデータである。
【0068】
Lot部品は、同一種類のものが複数個収められた収容物(例えば、箱)単位で管理される。1つの収容物には、現品票が付されている。現品票は、前述の組付けLot部品ID読取部34によって読み取られ、Lot部品の数(入数)に対する使用数(出数)の管理に利用される。係る現品票の取り扱いについては後述する。
【0069】
1つのLot現品票データに対応するLot部品の数(入数)とは、すなわち、一種類のLot部品が収められた収容物に収容されている、当該種類のLot部品の数をさす。
図9では、生産品番に対応する製品の製造に供されるLot部品を示すIDが登録されるカラムのフィールドに、
図7及び
図8Aを参照した説明における「LPART001」、「LPART002」、「LPART003」、「LPART004」のIDが登録された4つのレコードが例示されている。また、「入数」のカラムのフィールドに登録された値として、「LPART001」、「LPART002」及び「LPART003」のレコードでは「10」が例示され、「LPART004」のレコードでは「20」が例示されている。このように、入数マスターD4の各レコードによって各Lot部品の入数が管理される。
【0070】
入数マスターD4で入数が登録されるLot部品として、
図9では、「LPART001」、「LPART002」、「LPART003」及び「LPART004」のIDが与えられたLot部品を例示しているが、これに限られるものでない。入数マスターD4で入数が登録されるLot部品は、製品の製造に供される全てのLot部品である。係る全てのLot部品の数は、4つに限られるものでなく、3つ以下であってもよいし、5つ以上であってもよい。
【0071】
図10は、認定作業者リストD5の一例を示す図である。認定作業者リストD5は、「工程ID」のカラムと、「生産品番」のカラムと、認定作業者を示すIDが登録されるカラムとを有するデータである。認定作業者を示すIDが登録されるカラムとして、
図10では、「作業者識別」のカラムと、「作業者ID」のカラムが例示されている。認定作業者とは、「生産品番」のカラムに登録されたIDに対応する製品の製造に係る全体工程に含まれる「工程ID」のカラムのIDに対応する工程を担当することが許可された作業者をさす。なお、「工程ID」のカラムは、工程リストD1、工程順序マスターD2の「工程ID」のカラムと同様である。また、「生産品番」のカラムは、工程順序マスターD2における「生産品番」のカラムと同様である。
【0072】
図10では、認定作業者リストD5における1つのレコードが、「工程ID」と「生産品番」の組み合わせに対する1人の認定作業者に関する情報を示す。具体的には、「PRCS01A」と「PRDCT001」との組み合わせ、すなわち、「PRDCT001」の生産品番を付された製品の製造において「PRCS01A」の工程IDを付された工程の認定作業者を示すレコードが4つある。また、
図10に示す認定作業者リストD5には、「PRCS01A」と「PRDCT002」との組み合わせ、すなわち、「PRDCT002」の生産品番を付された製品の製造において「PRCS01A」の工程IDを付された工程の認定作業者を示すレコードが4つある。このように同じ「工程ID」と「生産品番」の組み合わせを有するレコードは、それぞれ異なる「作業者識別」の番号を与えられている。
図10では、「作業者識別」の番号が1~4であり、各々の組み合わせに対して4人の認定作業者が登録されているが、これは4人に限られるものでない。3人以下であってもよいし5人以上であってもよい。すなわち、「工程ID」と「生産品番」の組み合わせに対する認定作業者の人数に応じて作業者識別の番号の最大値は増減する。また、
図10では、作業者IDの例として「OPE001」、「OPE002」、…、「OPE008」が例示されているが、これは一例であってこれに限られるものでない。例えば、「PRCS01A」と「PRDCT001」との組み合わせの作業者IDと、「PRCS01A」と「PRDCT002」との組み合わせの作業者IDとが同じであってもよい。この場合、その作業者IDを付された認定作業者は、「PRDCT001」及び「PRDCT002」の両方の製品の「PRCS01A」の工程における認定作業者であることになる。
【0073】
図8Aに示す例では、認定作業者IDが「OPE001」である作業者H1が認定作業者「PRDCT001」の工程を行っており、
図10に示すレコードと合致している。また、認定作業者IDが「OPE005」である作業者H5が認定作業者「PRDCT002」の工程を行っており、
図10に示すレコードと合致している。
【0074】
次に、実施形態で利用されるBOM(Bill Of Materials)について、
図11と
図12を参照して説明する。
【0075】
図11は、BOMマスターBOMMの一例としての模式的なデータを示す図である。
図12は、
図11のBOMマスターBOMMが表すBOMツリー構造BOMTを示す図である。BOMマスターBOMMは、「No」のカラムと、「部品名」のカラムと、「部品CD」のカラムと、「区分」のカラムと、「階層」のカラムと、「使用個数」のカラムとを有するデータである。
【0076】
「No」のフィールドには、
図12に示すBOMツリー構造BOMTにおいて最上段に配置されるものを開始番号とし、当該開始番号から漸増するように各レコードに割り当てられる固有の数値が割り当てられる。
図11では、BOMマスターBOMMが有する9つのレコードに対して、1,2,…,9のように、1を開始番号として漸増する値がレコードの並び順に沿って「No」の値が割り当てられている。「No」のフィールドの番号は、制御装置20による各レコードの読み出し及び解釈順序を示すと共に、各レコードの構成を示す識別番号としても機能する。
【0077】
「部品名」のフィールドには、BOMマスターBOMMの各レコードが示す製品、ワーク又は部品の名称が登録される。ここで、「No」のフィールドに開始番号が割り当てられているレコードの「部品名」は、BOMマスターBOMMが示す製品の製品名に対応する。また、「No」のフィールドに開始番号以外の番号が割り当てられているレコードの「部品名」は、BOMマスターBOMMが示す製品を構成するワーク又は部品の名称に対応する。すなわち、
図11に示す例では、「No」が1である「EPS Assy」が製品の名称であり、当該「EPS Assy」という名の製品の構成が他のレコードとの関係で示されているといえる。「部品CD」のフィールドには、部品名に対応したコードネーム(Code Name)が登録される。
【0078】
「区分」のフィールドには、各レコードが示す製品、ワーク又は部品が「個体部品」として扱われるか、「Lot部品」として扱われるかを示すデータが登録される。
図11では、「区分」のフィールドに「個」と記載されているレコードが「個体部品」として扱われる。また、「区分」のフィールドに「Lot」と記載されているレコードが「Lot部品」として扱われる。
【0079】
なお、「個体部品」は、
図5に示す「部品識別」で定義される「親」と「子」に分けられる。親部品とは、ワークのトレーサビリティを確保するために付される識別情報(ID)の主従関係において、主となる識別情報が付される製品、ワーク又は部品をさす。また、子部品とはワークのトレーサビリティを確保するために付される識別情報の主従関係において、従となる識別情報が付されるワーク又は部品をさす。Lot部品については、上述した通りである。
【0080】
「階層」のフィールドには、BOMツリー構造BOMTにおける階層を示す値が登録される。なお、
図12の例では、BOMツリー構造BOMTの階層構造における最上位階層の番号を0とし、以下、階層を下るごとに番号が漸増する例を示している。
図11の「階層」のフィールドに登録される数値は、このようなBOMツリー構造BOMTの階層構造における番号に対応した数値になる。以下、
図11と
図12との対応関係を説明することで、BOMマスターBOMMがBOMツリー構造BOMTとして制御装置20によって解釈されることを説明する。
【0081】
制御装置20は、「No」に登録される値の順にBOMマスターBOMMのレコードを読み出す。従って、制御装置20は、まず、
図11のBOMマスターBOMMにおいて「No」が1であるレコードを読み出す。「No」が1であるレコードは、「部品名」が「EPS Assy」であり、「階層」が「0」である。従って、
図12に示すように、BOMツリー構造BOMTの最上段、最上位階層(0)に「EPS Assy」が配置される。なお、「階層」のフィールドに「0」が登録されているレコードの「区分」には、必ず「個」が登録されている。
【0082】
制御装置20は、次に、
図11のBOMマスターBOMMにおいて「No」が2であるレコードを読み出す。「No」が2であるレコードは、「部品名」が「GB Shaft Assy」であり、「階層」が「1」である。従って、
図12に示すように、BOMツリー構造BOMTにおいて最上段、最上位階層(0)にある「EPS Assy」の一段下の階層(1)に「GB Shaft Assy」が配置される。
【0083】
制御装置20は、次に、
図11のBOMマスターBOMMにおいて「No」が3であるレコードを読み出す。「No」が3であるレコードは、「部品名」が「GB Assy」であり、「階層」が「2」である。従って、
図12に示すように、BOMツリー構造BOMTにおいて2番目の階層(1)にある「GB Shaft Assy」の一段下の階層(2)に「GB Assy」が配置される。
【0084】
制御装置20は、次に、
図11のBOMマスターBOMMにおいて「No」が4であるレコードを読み出す。「No」が4であるレコードは、「部品名」が「GB」であり、「階層」が「3」である。従って、
図12に示すように、BOMツリー構造BOMTにおいて3番目の階層(2)にある「GB Assy」の一段下の階層(3)に「GB」が配置される。
【0085】
制御装置20は、次に、
図11のBOMマスターBOMMにおいて「No」が5であるレコードを読み出す。「No」が5であるレコードは、「部品名」が「Bolt」であり、「階層」が「3」である。さらに、当該レコードは、「区分」が「Lot」である。従って、
図12に示すように、BOMツリー構造BOMTにおいて4番目の階層(3)にある「GB」と同じ階層(3)に「Bolt」が配置される。ここで、「GB」及び「Bolt」は、4番目の階層(3)にある構成である。また、「GB」を示すレコードの「区分」のフィールドに「個」が登録されている。これに対し、「Bolt」を示すレコードの「区分」のフィールドには「Lot」が登録されている。これは、「GB」を親部品として、「Bolt」というLot部品が当該親部品に組付けられることで「GB Assy」が生成されることを示す。
【0086】
制御装置20は、次に、
図11のBOMマスターBOMMにおいて「No」が6であるレコードを読み出す。「No」が6であるレコードは、「部品名」が「Shaft Assy」であり、「階層」が「2」である。さらに、当該レコードは、「区分」が「個」である。従って、
図12に示すように、BOMツリー構造BOMTにおいて3番目の階層(2)にある「GB Assy」と同じ階層(2)に「Shaft Assy」が配置される。ここで、「GB Assy」及び「Shaft Assy」は、3番目の階層(2)にある構成である。また、「GB Assy」を示すレコードの「区分」のフィールドに「個」が登録されている。これに対し、「Shaft Assy」を示すレコードの「区分」のフィールドには「個」が登録されている。これは、「GB Assy」を親部品として、「Shaft Assy」という子部品が当該親部品に組付けられることを示す。
図5に示すように、「部品識別」の「0」が、「親」であり、「部品識別」の「1」が、「子」である。なお、子部品が2以上の場合も有り得る。例えば、ギアボックス、シャフト、センサが一つの工程で組み合わさる時、ギアボックスが「親」(0)となり、シャフトが「子」(1:子部品1)となり、センサが「子」(2:子部品2)となる。
【0087】
さらに、「No」が5であるレコードの階層が「3」であったのに対し、「No」が6であるレコードの階層は「2」である。このように、階層のフィールドに登録されている値が減少した場合、それ以前に読み出されたレコードのうち減少する前の番号の階層(例えば、3)の階層に含まれる構成同士が組付けられて、その1つ上の階層の1つのワークを構成することを示す。ただし、既に1つのワークを構成するものとして解釈済みのレコードは除かれる。
図11及び
図12で例示する場合、階層が「2」である「No」が6のレコードが読み出される前に、階層が「3」である「No」が4,5のレコードが読み出されている。従って、「No」が4のレコードで表される「GB」に対して「No」が5のレコードで表される「Bolt」が組付けられて、1つ上の階層(2)の「GB Assy」のワークが構成されるものとして解釈される。
【0088】
制御装置20は、次に、
図11のBOMマスターBOMMにおいて「No」が7であるレコードを読み出す。「No」が7であるレコードは、「部品名」が「Shaft」であり、「階層」が「3」である。従って、
図12に示すように、BOMツリー構造BOMTにおいて3番目の階層(2)にある「Shaft Assy」の一段下の階層(3)に「Shaft」が配置される。
【0089】
制御装置20は、次に、
図11のBOMマスターBOMMにおいて「No」が8であるレコードを読み出す。「No」が8であるレコードは、「部品名」が「C-Ring」であり、「階層」が「3」である。さらに、当該レコードは、「区分」が「Lot」である。従って、
図12に示すように、BOMツリー構造BOMTにおいて4番目の階層(3)にある「Shaft」と同じ階層(3)に「C-Ring」が配置される。ここで、「Shaft」及び「C-Ring」は、4番目の階層(3)にある構成である。また、「Shaft」を示すレコードの「区分」のフィールドに「個」が登録されている。これに対し、「C-Ring」を示すレコードの「区分」のフィールドには「Lot」が登録されている。
【0090】
制御装置20は、次に、
図11のBOMマスターBOMMにおいて「No」が9であるレコードを読み出す。「No」が9であるレコードは、「部品名」が「ECU」であり、「階層」が「1」である。さらに、当該レコードは、「区分」が「個」である。従って、
図12に示すように、BOMツリー構造BOMTにおいて2番目の階層(1)にある「GB Shaft Assy」と同じ階層(1)に「ECU」が配置される。ここで、「GB Shaft Assy」及び「ECU」は、2番目の階層(1)にある構成である。また、「GB Shaft Assy」を示すレコードの「区分」のフィールドに「個」が登録されている。これに対し、「ECU」を示すレコードの「区分」のフィールドには「個」が登録されている。これは、「GB Shaft Assy」を親部品として、「ECU」という子部品が当該親部品に組付けられることを示す。
【0091】
さらに、「No」が8であるレコードの階層が「3」であったのに対し、「No」が9であるレコードの階層は「1」である。上述したように、階層のフィールドに登録されている値が減少した場合、それ以前に読み出されたレコードのうち減少する前の番号の階層(例えば、3)の階層に含まれる構成同士が組付けられて、その1つ上の階層の1つのワークを構成することを示す。ただし、既に1つのワークを構成するものとして解釈済みのレコードは除かれる。ここでは、階層が「1」である「No」が9のレコードが読み出される前に、階層が「3」である「No」が7,8のレコードの組み合わせと、階層が「2である「No」が3,6のレコードの組み合わせが読み出されている。従って、「No」が7のレコードで表される「Shaft」に対して「No」が8のレコードで表される「C-Ring」が組付けられて、1つ上の階層(2)の「Shaft Assy」のワークが構成されるものとして解釈される。ここで、「No」が4,5のレコードも階層が「3」であるが、「No」が6であるレコードの読み出しが完了した時点で解釈済みであるので、ここでは参照されない。また、「No」が3のレコードで表される「GB Assy」に対して「No」が6のレコードで表される「Shaft Assy」が組付けられて、1つ上の階層(1)の「GB Shaft Assy」のワークが構成されるものとして解釈される。
【0092】
そして、
図11に示すBOMマスターBOMMは、「No」が9であるレコードが最後のレコードである。この場合、制御装置20は、当該BOMマスターBOMMで表される製品のBOMツリー構造BOMTが当該最後のレコードを以て完成するものと解釈する。この解釈では、同一階層にあるにも関わらずまだ組付けられていない構成同士が組み付けられて、その1つ上の階層の1つのワーク又は製品を構成するものとして解釈される。この場合、階層が「1」である「No」が2,9のレコードの組み合わせが、同一階層にあるにも関わらずまだ組付けられていない構成に該当する。従って、「No」が2のレコードで表される「GB Shaft Assy」に対して「No」が9のレコードで表される「ECU」が組付けられて、1つ上の階層(0)の「EPS Assy」の製品が構成されるものとして解釈される。このようにして、BOMマスターBOMMからBOMツリー構造BOMTが導出される。言い換えれば、BOMマスターBOMMは、BOMツリー構造BOMTとして解釈されるよう予めデータ構成が決定されている。
【0093】
なお、「使用個数」欄は、各レコードが示す構成の数を示す。
図11に示す例の場合、「No」が「5」のレコードの「使用個数」は、3である。これは、「No」が「5」のレコードが示す「Bolt」が3つ組付けられることを示す。また、「No」が「8」のレコードの「使用個数」は、2である。これは、「No」が「8」のレコードが示す「C-Ring」が2つ組付けられることを示す。それ以外のレコードの「使用個数」は、1である。従って、上述した「使用個数」が2以上の構成を除いて、他の部品、ワーク又は製品は1つの構成物であることが示されている。
【0094】
以上、BOMマスターBOMMからBOMツリー構造BOMTを導出可能であることについて例示したが、以下の説明では、
図13に示すデータB1から導出される、
図14に示すツリー構造B2によって表される製品の構成に基づいて説明を行う。
図13は、実施形態でBOMマスターBOMMとして機能するデータB1を示す図である。
図14は、
図13のデータB1から導出されたBOMツリー構造BOMTであるツリー構造B2を示す図である。
図13に示すデータB1から
図14に示すツリー構造B2が導出される仕組みは、
図11に示すBOMマスターBOMMから
図12に示すBOMツリー構造BOMTが導出される仕組みと同様である。
【0095】
図14に示すツリー構造B2では、最上位階層(0)の「製品」が、その直下の階層(1)の「中間製品1」と「個体部品5」との組み合わせで構成されている。また、階層が「1」である「中間製品1」が、その直下の階層(2)の「中間製品2」と「子部品3」との組み合わせで構成されている。また、階層が「2」である「中間製品2」が、その直下の階層(3)の「中間製品3」と「個体部品3」との組み合わせで構成されている。また、階層が「3」である「中間製品3」が、その直下の階層(4)の「個体部品1」と「個体部品2」と「Lot部品1」と「Lot部品2」と「Lot部品3」との組み合わせで構成されている。なお、「Lot部品1」、「Lot部品2」、「Lot部品3」の部品CDは、
図9を参照して説明した入数マスターD4の「組付けLot部品ID」に対応している。すなわち、実施形態の生産ラインで製造される製品に使用される「Lot部品1」と「Lot部品2」と「Lot部品3」の管理には、入数マスターD4が利用される。
【0096】
図15は、管理個体シリアルマスターD6の一例を示す図である。管理個体シリアルマスターD6は、「生産品番」のカラムと、「No」のカラムと、「個体管理シリアル」のカラムとを有するデータである。「生産品番」のカラムは、工程順序マスターD2における「生産品番」のカラムと同様である。「No」のカラムは、実施形態で用いられるBOMマスターデータ、すなわち、
図13に示すデータB1における「No」のカラムに対応する。「個体管理シリアル」のフィールドには、各々にIDが付される部品(個体)を管理するためのID(シリアル)が登録される。以下、「個体」と記載した場合、特に断りがない限り、製品の製造に用いられる部品であってLot部品と異なり各々にID(シリアル)が付される部品をさす。また、以下、「シリアル」と記載した場合、特に断りがない限り、個体にIDとして付される文字列等をさす。係る文字列は、数値を含んでもよい。また、シリアルは、文字列に限られず、単一の文字又は数値及びこれの組み合わせ、記号、符号又はこれらの混在によって表されてもよいし、一次元又は多次元のバーコード等の識別可能な画像によって表されてもよい。
【0097】
管理個体シリアルマスターD6の各レコードは、各個体がどの「生産品番」の製造に供される個体であるかを「生産品番」のフィールドの登録内容によって示す。
図15では、例示する全てのレコードの「生産品番」のフィールドに「PRDCT001」が登録されている。従って、管理個体シリアルマスターD6に含まれる各レコードが「PRDCT001」を付される製品の製造に用いられる個体に関する情報であることが示されている。
【0098】
また、管理個体シリアルマスターD6の各レコードは、各個体がどの「No」の構成に該当するかを「No」のフィールドの登録内容によって示す。例えば、
図15に示す管理個体シリアルマスターD6は、「No」のフィールドに「5」が登録されているレコードを含む。当該レコードは、
図13に示すデータB1において「No」のフィールドに「5」が登録されている個体、すなわち、「部品名」が「個体部品」に関する情報を示すレコードである。また、
図15に示す管理個体シリアルマスターD6は、「No」のフィールドに「6」が登録されているレコードを含む。当該レコードは、
図13に示すデータB1において「No」のフィールドに「6」が登録されている個体、すなわち、「部品名」が「個体部品2」である個体に関する情報を示すレコードである。また、
図15に示す管理個体シリアルマスターD6は、「No」のフィールドに「10」が登録されているレコードを含む。当該レコードは、
図13に示すデータB1において「No」のフィールドに「30」が登録されている個体、すなわち、「部品名」が「個体部品3」である個体に関する情報を示すレコードである。また、
図15に示す管理個体シリアルマスターD6は、「No」のフィールドに「11」が登録されているレコードを含む。当該レコードは、
図13に示すデータB1において「No」のフィールドに「11」が登録されている個体、すなわち、「部品名」が「個体部品4」である個体に関する情報を示すレコードである。また、
図15に示す管理個体シリアルマスターD6は、「No」のフィールドに「12」が登録されているレコードを含む。当該レコードは、
図13に示すデータB1において「No」のフィールドに「12」が登録されている個体、すなわち、「部品名」が「個体部品5」である個体に関する情報を示すレコードである。
【0099】
また、管理個体シリアルマスターD6の各レコードは、各個体にどのシリアルが与えられているのかを「個体管理シリアル」のフィールドの登録内容によって示す。例えば、「No」のフィールドに「5」が登録されているレコードには、「個体管理シリアル」のフィールドに、「ABC001」、「ABC002」、「ABC003」、「ABC004」又は「ABC005」が登録されており、各レコードの「個体管理シリアル」の登録内容は異なる。また、「No」のフィールドに「6」が登録されているレコードには、「個体管理シリアル」のフィールドに、「DEF007」又は「DEF005」が登録されており、各レコードの「個体管理シリアル」の登録内容は異なる。また、「No」のフィールドに「10」が登録されているレコードには、「個体管理シリアル」のフィールドに、「GHI009」が登録されている。また、「No」のフィールドに「11」が登録されているレコードには、「個体管理シリアル」のフィールドに、「JKL010」が登録されている。また、「No」のフィールドに「12」が登録されているレコードには、「個体管理シリアル」のフィールドに、「MNO011」が登録されている。図示しないが、「No」のフィールドに登録されている番号の異同に関わらず、各レコードの「個体管理シリアル」のフィールドの登録内容は固有である。
【0100】
なお、実施形態では、各個体が固有のシリアルを付されているという事実そのものは、管理個体シリアルマスターD6によって対応付けを担保されるのではなく、各個体に刻印、印刷その他の方法で実際に付されることによって担保される。すなわち、各個体のシリアルは各個体固有のものとして現に存在する。
【0101】
また、
図13と
図15との対応で「No」が同一であるレコード同士の関係において、
図13における「部品CD」の冒頭3文字(例えば、ABC等)と
図15における「個体管理シリアル」の冒頭3文字とは同一であるが、これは実施形態の説明における対応関係の分かりやすさを考慮した例であるに過ぎず、実際の部品CDと個体管理シリアルとの関係を限定するものでない。
【0102】
図15で例示する内容はあくまで説明のためのものであって、実際の個体に付されるシリアルの具体的態様及び個体数を示すものでない。なお、管理個体シリアルマスターD6が予め用意される場合、製造される完成品の数に対応して用意された全ての個体に関する情報が管理個体シリアルマスターD6に登録される。管理個体シリアルマスターD6が予め用意されることは必須でない。具体的には、製品(例えば、「PRDCT001」の製品)の製造に関わる生産ラインで利用される各機器10において、製品の製造の開始後の各工程の流れの中で初めて個体が利用されるタイミングで個体管理シリアル読取部33が当該個体のシリアルを読み取ることによって各個体のシリアルを取得するようにしてもよい。ただし、この場合、各工程で製造に供される個体の種類(親部品、子部品)毎の読取順序が予め定められており、かつ、作業者が当該読取順序に従って正しくシリアルを読み取ることが必要になる。仮にこの手順が守られず、読取順序が入れ替わった場合、親部品である個体のシリアルが誤って子部品のシリアルとして読み取られたり、子部品である個体のシリアルが誤って親部品のシリアルとして読み取られたりすることがある。このような誤りの発生を抑制しようとする場合、例えば、「No」に対応した個体の種類を示す識別情報をシリアルとは別に個体に設け、当該識別情報を併せて個体管理シリアル読取部33のような読取機器で読み取って取得する方法を採用することも一手段として考えられる。個体の種類とシリアルとの区別は通信エリア(パケットの範囲等)で分けても良いし、通信タイミング(読取順序)で分けても良い。
【0103】
以下では、個体とシリアルとの関係を分かりやすくする目的で、管理個体シリアルマスターD6の内容に基づいた説明を行う。
【0104】
なお、どの個体がどの「工程ID」の工程で投入されるのかを示すデータは、上述の工程順序マスターD2(
図5参照)である。工程順序マスターD2は、「部品No」のカラムを有する。「部品No」のフィールドには、各レコードが示す各「生産品番」の製造に係る各「工程ID」の工程で、どの「No」の部品が投入されるのかを示す番号が登録される。工程順序マスターD2の「部品No」は、
図13に示すデータB1の「No」と対応する。
【0105】
例えば、工程順序マスターD2において「生産品番」のフィールドに「PRDCT001」が登録され、「工程ID」のフィールドに「PRCS01A」が登録され、「部品No」のフィールドに、25,26が登録されているレコードがある。このレコードは、「PRDCT001」の製造における「PRCS01A」の工程で、
図13には明示しないが、データB1において「No」が「25」である親部品と、当該「No」が「26」である子部品1と、が組付けられることを示す。
図8Bに示す工程順序マスターD2Aには、「生産品番」のフィールドに「PRDCT001」が登録され、「工程ID」のフィールドに「PRCS01A」が登録され、「Lot部品識別」のフィールドに、「1」,「2」,「3」が登録され、「Lot部品ID」のフィールドに、「LPART001」,「LPART002」,「LPART003」が登録されている。
図8Aに示すように、「PRCS01A」の工程IDが与えられた工程で、「LPART001」のIDが与えられたLot部品L1と「LPART002」のIDが与えられたLot部品L2と「LPART003」のIDが与えられたLot部品L3とが組付けられている。
【0106】
また、工程順序マスターD2において「生産品番」のフィールドに「PRDCT001」が登録され、「工程ID」のフィールドに「PRCS02A」が登録され、「部品No」のフィールドに、24,30が登録されているレコードがある。このレコードは、「PRDCT001」の製造における「PRCS02A」の工程で、
図13には明示しないが、データB1において「No」が「24」である中間製品1と、当該「No」が「30」である子部品2と、が組付けられることを示す。
図8Bに示す工程順序マスターD2Aには、「生産品番」のフィールドに「PRDCT002」が登録され、「工程ID」のフィールドに「PRCS01A」が登録され、「Lot部品識別」のフィールドに、「1」,「2」,「3」が登録され、「Lot部品ID」のフィールドに、「LPART001」,「LPART002」,「LPART004」が登録されている。
図8Aに示すように、「PRCS01A」の工程IDが与えられた工程で、「LPART001」のIDが与えられたLot部品L1と「LPART002」のIDが与えられたLot部品L2と「LPART004」のIDが与えられたLot部品L4とが組付けられている。以降、工程順序マスターD2の他のレコードについても同様に、「部品No」が、データB1における「No」を付された構成に対応する。
【0107】
工程リストD1、工程順序マスターD2、工程マスターD3、入数マスターD4、認定作業者リストD5及びデータB1は、記憶部22に記憶される。また、管理個体シリアルマスターD6が予め用意される場合、管理個体シリアルマスターD6は、記憶部22に記憶される。演算部23は、記憶部22に記憶されているこれらのデータと、機器10から送信されるデータに基づいて各種の処理を行う。管理システムの各構成は、係る処理に基づいて生じた命令に応じて動作する。
【0108】
図16は、個体管理ワーク状態テーブルTの一状態例を示す図である。個体管理ワーク状態テーブルTは、演算部23が行う判定のために制御装置20で管理されるデータである。個体管理ワーク状態テーブルTは、記憶部22に記憶、保持されてもよいし、演算部23がプログラム等を読み出して展開する図示しない一次記憶装置に格納されていてもよい。個体管理ワーク状態テーブルTは、演算部23が行う処理に応じて生成、更新される。
【0109】
個体管理ワーク状態テーブルTは、「個体管理シリアル」のカラムと、「工程ID」のカラムと、「個体種別」のカラムと、「状態」のカラムと、「滞留カウンタ」のカラムとを有するデータである。「個体管理シリアル」及び「個体種別」のカラムは、管理個体シリアルマスターD6における同名のカラムと対応するカラムである。「工程ID」のカラムに含まれるフィールドには、「個体管理シリアル」のフィールドに登録されたシリアルが示す部品又はワークがどの工程IDを与えられた工程(例えば、第1工程F1、第2工程F2、第3工程F3又は第4工程F4)に属する状態であるかを示す工程IDが登録される。「状態」のカラムに含まれるフィールドには、「個体管理シリアル」のフィールドに登録されたシリアルが示す部品又はワークが、「工程ID」のフィールドに登録された工程においてどのような状態であるかを識別可能なパラメータ(例えば、文字列等)が登録される。「滞留カウンタ」のカラムに含まれるフィールドには、「個体管理シリアル」のフィールドに登録されたシリアルが示す部品又はワークが、「工程ID」のフィールドに登録された工程での作業を完了されてから次の工程での作業に投入されるまでの間に「先入れ先出し」のルールに反して次の工程に投入されず取り残されている回数を管理するための数値が登録される。
【0110】
例えば、「個体管理シリアル」のフィールドに「ABC001」又は「ABC003」が登録されているレコードは、「工程ID」のフィールドに「PRCS01A」が登録され、「個体種別」のフィールドに「親」が登録され、「状態」のフィールドに「正常完了」が登録されている。これは、シリアルが「ABC001」又は「ABC003」である個体を親部品として第1工程F1で製造されたワークが第1工程F1を正常に完了して第1正常品置場52に置かれたことを示している。
【0111】
図17は、
図16に対応した第1工程F1及び第2工程F2の状態を示す模式図である。
図17では、シリアルが「ABC001」であるワークP1とシリアルが「ABC003」であるワークP3が第1正常品置場52に置かれている。
【0112】
また、
図16に示すように、「個体管理シリアル」のフィールドに「ABC002」が登録されているレコードは、「工程ID」のフィールドに「PRCS01A」が登録され、「個体種別」のフィールドに「親」が登録され、「状態」のフィールドに「異常完了」が登録されている。これは、シリアルが「ABC002」である個体を親部品として第1工程F1で製造されて工程を完了したワークが異常を生じたことによって第1NG品置場53に置かれたことを示している。
図17では、シリアルが「ABC002」であるワークP2が第1NG品置場53に置かれている。
【0113】
また、
図16に示すように、「個体管理シリアル」のフィールドに「ABC005」が登録されているレコードは、「工程ID」のフィールドに「PRCS01A」が登録され、「個体種別」のフィールドに「親」が登録され、「状態」のフィールドに「未完了」が登録されている。これは、シリアルが「ABC005」である個体を親部品としたワークが第1工程F1で第1機器11に投入済みであり、製造が完了していないことを示している。
図17では、シリアルが「ABC005」である個体P5が第1機器11内にある。
【0114】
また、
図16に示すように、「個体管理シリアル」のフィールドに「DEF007」が登録されているレコードは、「工程ID」のフィールドに「PRCS01A」が登録され、「個体種別」のフィールドに「子」が登録され、「状態」のフィールドに「未完了」が登録されている。これは、シリアルが「DEF007」である個体を子部品としたワークが第1工程F1で第1機器11に投入済みであり、製造が完了していないことを示している。
図17では、シリアルが「DEF007」である個体C7が第1機器11内にある。
【0115】
なお、「個体種別」のフィールドに「子」が登録され、「状態」のフィールドに「未完了」が登録されているレコードがある場合、必ず、当該レコードと「工程ID」のフィールド及び「状態」のフィールドの登録内容が同一であって、かつ、「個体種別」のフィールドに「親」が登録されている他のレコードが同時に個体管理ワーク状態テーブルTに保持されている。
【0116】
また、第1工程F1を完了したワークP1,P2,P3や、後述するワークP4も、「DEF007」と同種の子部品を含む。具体的には、
図17に示す子部品Cx,Cy,Cz,C8が係る子部品である。
【0117】
また、
図16に示すように、「個体管理シリアル」のフィールドに「ABC004」が登録されているレコードは、「工程ID」のフィールドに「PRCS02A」が登録され、「個体種別」のフィールドに「親」が登録され、「状態」のフィールドに「未完了」が登録されている。これは、シリアルが「ABC004」であるワークを親部品としたワークが第2工程F2で第2機器12に投入済みであり、製造が完了していないことを示している。
図17では、シリアルが「ABC004」であるワークP4が第2機器12内にある。
【0118】
また、
図16に示すように、「個体管理シリアル」のフィールドに「GHI009」が登録されているレコードは、「工程ID」のフィールドに「PRCS02A」が登録され、「個体種別」のフィールドに「子」が登録され、「状態」のフィールドに「未完了」が登録されている。これは、シリアルが「GHI009」である個体を子部品としたワークが第2工程F2で第2機器12に投入済みであり、製造が完了していないことを示している。
図17では、シリアルが「GHI009」である個体C9が第2機器12内にある。
【0119】
図18は、
図16の状態T1とは異なる状態T2の個体管理ワーク状態テーブルTを示す図である。個体管理ワーク状態テーブルTは、管理システムにおける工程の進捗に応じて演算部23によって書き換えられる。ここでは、書き換えの対象となる個体管理ワーク状態テーブルTのそれぞれ異なる状態に対して状態T1,T2のように個別に符号を付すことで、対象としての同一性と係る対象のそれぞれ異なる状態とを区別して表現している。状態T2では、状態T1において「状態」のフィールドが「未完了」であった「ABC005」のレコードの「状態」が「正常完了」になっている。これは、シリアルが「ABC005」である個体を親部品として第1工程F1で製造されたワークが第1工程F1を正常に完了して第1正常品置場52に置かれたことを示している。
【0120】
図19は、
図18に対応した第1工程F1及び第2工程F2の状態を示す模式図である。
図17において第1機器11内にあった個体P5は、
図19において第1正常品置場52に移動している。
【0121】
また、状態T2では、状態T1に存在していた「DEF007」のレコードが削除されている。これは、第1工程F1における子部品である個体C7が、当該工程の親部品である他の個体(個体P5)に組付けられたことによる。このように、個体管理ワーク状態テーブルTでは、子部品を用いる工程が完了すると、当該工程の親部品のシリアルを含むレコードによってその後のワークの管理が行われ、子部品のレコードは削除される。
図19では、個体P5に組付けられた個体C7が図示されている。
【0122】
このように、工程を完了したワークのシリアルは親部品のもので一元的に管理される。なお、親部品のシリアルで管理されるワーク又は完成品に含まれる子部品やLot部品を示す情報は、後述する実績登録データMによって親部品のシリアルと対応付けられる。これによって、親部品、子部品及びLot部品のトレーサビリティが確保されている。すなわち、親部品を主とした識別情報の主従関係が成立している。
【0123】
さらに、状態T2では、「工程ID」のフィールドに「PRCS01A」が登録されているレコードの「滞留カウンタ」のフィールドに登録されている数値が状態T1の数値から更新されている。以下、滞留カウンタの値と記載した場合、特に断りがない限り、「滞留カウンタ」のフィールドに登録されている数値をさす。
【0124】
実施形態では、演算部23は、ある工程IDに対応する工程でのワークの製造が完了した場合、当該工程と同一の工程IDが登録されているレコードの滞留カウンタの値をインクリメント(+1)する。
図16及び
図18に示す例の場合、「工程ID」のフィールドに「PRCS01A」が登録されている「ABC005」のレコードの「状態」が、状態T1における「未完了」から状態T2における「正常完了」になったことによって、「工程ID」のフィールドに「PRCS01A」が登録されているレコードの滞留カウンタの値がインクリメントされている。
【0125】
具体的には、「工程ID」のフィールドに「PRCS01A」が登録されているレコードは、「個体管理シリアル」のフィールドに「ABC001」、「ABC002」、「ABC003」又は「ABC005」が登録されているレコードである。「個体管理シリアル」のフィールドに「ABC001」が登録されているレコードの滞留カウンタの値は、状態T1では「4」であったものが状態T2で「5」に更新されている。「個体管理シリアル」のフィールドに「ABC002」が登録されているレコードの滞留カウンタの値は、状態T1では「3」であったものが状態T2で「4」に更新されている。「個体管理シリアル」のフィールドに「ABC003」が登録されているレコードの滞留カウンタの値は、状態T1では「2」であったものが状態T2で「3」に更新されている。
【0126】
なお、演算部23は、新たに生じたレコードについては、滞留カウンタの値を初期値(0)にする。後述するが、各レコードに対応する「正常完了」のワークが次の工程に投入された場合、次の工程に対応する当該ワークのレコードが新たに登録されてそれ以前の当該ワークのレコードは削除される。また、「異常完了」のワークについては、解体用機器15で個体管理シリアル読取部33によるシリアルの取得が行われることで滞留カウンタの値が初期値(0)に更新される。従って、滞留カウンタの値が1以上になったレコードに対応するワークについては、然るべき移動先に移動することで滞留状態が解消される。
【0127】
滞留カウンタの値は、ある工程での作業を終えたワークが次の工程に投入されるという作業の流れが、工程間の「先入れ先出し」に従っているかの管理に用いられる。前後関係で連続する2工程の間で、理想的には、前の工程でより先に製造されたワークが後の工程でより先に機器10に投入されることが望ましく、このような望ましい状態を工程間の「先入れ先出し」に従っている状態とする。しかしながら、前後の工程でのワークの移動が正常品置場を介してヒト(作業者)の手によって行われるため、前の工程を完了した複数のワークのうち相対的に後に製造されたワークが後の工程でより先に機器10に投入されてしまうことがありうる。また、NG品置場に置かれた「異常完了」のワークは次の工程に投入されないことから、放置されることがある。このような「異常完了」のワークが長期間にわたって放置されてから発見された場合、何らかの理由によって「正常完了」のワークと混同されてしまう可能性はゼロではない。
【0128】
そこで、演算部23は、個体管理ワーク状態テーブルTの各レコードに滞留カウンタの値を登録、更新する。これによって、既に「正常完了」又は「異常完了」したものとして扱われているワークが然るべき移動先に移動せず滞留している度合いを、各ワークに対応する各レコードの滞留カウンタの値によって監視できる。
【0129】
上述の状態T1と状態T2との滞留カウンタの値の相違で説明したように、既に「正常完了」又は「異常完了」しているレコードが個体管理ワーク状態テーブルTに登録済みの状態で、当該登録済みのレコードと工程IDが同一であって、「状態」のフィールドに「正常完了」又は「異常完了」が登録されたレコードが新たに生じた場合に滞留カウンタの値がインクリメント(+1)される。従って、例えば滞留カウンタの値が「5」であるレコードに対応するワークは、当該ワークが製造されてから当該ワークを製造する工程で新たに5つのワークが製造され、かつ、当該ワークが次の工程の機器10に投入されていないことを示す。このように、滞留カウンタの値は、各レコードに対応するワークが正常品置場又はNG品置場に滞留し続けている度合いを示す。
【0130】
また、滞留カウンタの値に基づいた処理を行うための閾値が設けられている。具体的には、例えば特定のワークが然るべき移動先に移動せず滞留し続けている場合に管理システムの一部又は全部の工程の進行を停止させることを目的として、停止閾値が設定される。停止閾値は、ある程度の一時的なワークの滞留については看過することを目的として、1よりも十分に大きい値(例えば、10又は20等)であることが望ましい。
【0131】
演算部23は、滞留カウンタの値が停止閾値と等しくなったレコードが生じた場合にワーク滞留異常が生じたものとして扱い、演算部23がワーク滞留異常に対応した処理を行う。
【0132】
ワーク滞留異常に対応した処理の具体的内容は任意であるが、例えば、停止閾値と等しい滞留カウンタの値になったレコードに対応するワークを製造した工程の機器10又は全ての機器10を停止させる命令として機能するデータ(停止命令)を演算部23が生成、送信する処理、当該ワークを製造した機器10及び当該機器10が用いられる工程の次の工程の機器10の報知部37及び制御装置20の報知部24の少なくとも一方を動作させてワーク滞留異常が検知されたことを報知させるための命令として機能するデータ(報知命令)を演算部23が生成、送信する処理等が挙げられる。各機器10や報知部24は、係る命令に応じて動作する。
【0133】
なお、滞留カウンタの値に基づいた判定のための閾値は多段階で設けられてもよい。例えば、上述の停止閾値を第1閾値とし、当該第1閾値よりも小さい閾値(第2閾値)として警告閾値を設けてもよい。この場合、滞留カウンタの値が警告閾値と等しくなったレコードが生じたときにワーク滞留兆候が生じたものとして扱い、演算部23がワーク滞留兆候に対応した処理を行う。警告閾値は、ある程度の一時的なワークの滞留については看過することを目的として、1よりも十分に大きい値であって停止閾値より小さい値(例えば、5~9等)であることが望ましい。
【0134】
ワーク滞留兆候に対応した処理の具体的内容は任意であるが、例えば、警告閾値と等しい滞留カウンタの値になったレコードに対応するワークを製造した工程の機器10が用いられる工程の次の工程の機器10の報知部37及び制御装置20の報知部24の少なくとも一方を動作させてワーク滞留異常が検知されたことを報知させるための命令として機能するデータ(報知命令)を演算部23が生成、送信する処理等が挙げられる。各機器10や報知部24は、係る命令に応じて動作する。
【0135】
停止閾値や警告閾値のような閾値を示すデータは、記憶部22に記憶、保持されてもよいし、演算部23からアクセス可能な図示しない他の記憶装置に格納されていてもよい。
【0136】
なお、後述する
図40の説明でも述べるが、滞留カウンタの値の更新及び更新に伴う検知、報知等については「ある工程が完了したタイミング」に限られない。「ある工程が開始されたタイミング」であってもよい。
【0137】
また、
図16から
図19では図示を省略しているが、
図7及び
図8Bを参照して説明している通り、第1工程F1では、Lot部品の組付けも行われている。また、図示しないが、個体管理ワーク状態テーブルTは、「生産品番」のカラムを含む。すなわち、個体管理ワーク状態テーブルTでは、どの生産品番のどの工程IDがどのような状態であるかを管理可能に設けられている。
図7及び
図8Bを参照して説明した工程マスターD3や工程マスター2Aに含まれる各種情報(生産品番、組付けLot部品ID、親部品のシリアル及び子部品のシリアル等)と、個体管理ワーク状態テーブルTに含まれる情報との組み合わせによって、個体管理ワーク状態テーブルTで管理されている各種の部品(親部品、子部品)がどの生産品番のどの工程に対応するものであるかを管理可能になっている。
【0138】
図20は、
図16の状態T1及び
図18の状態T2とは異なる状態T3の個体管理ワーク状態テーブルTを示す図である。状態T3では、状態T1及び状態T2において「状態」のフィールドが「未完了」であった「ABC004」のレコードの「状態」が「正常完了」になっている。これは、シリアルが「ABC004」であるワークを親部品として第2工程F2で製造されたワークが第2工程F2を正常に完了して第2正常品置場54に置かれたことを示している。また、状態T3では、状態T1及び状態T2に存在していた「GHI009」のレコードが削除されている。これは、第2工程F2における子部品である個体C9が、当該工程の親部品である他の個体(ワークP4)に組付けられたことによる。
【0139】
以下、ある工程に対する個体又はワークの投入から当該工程の完了までの個体管理ワーク状態テーブルTの状態の変化について、
図21から
図24を参照して説明する。
【0140】
図21は、
図16の状態T1、
図18の状態T2及び
図20の状態T3とは異なる状態T4の個体管理ワーク状態テーブルTを示す図である。状態T4では、「工程ID」のフィールドに「PRCS03A」が登録されている「ABC004」のレコードの「状態」が「投入済」として新規登録されている。これは、「工程ID」のフィールドに「PRCS02A」が登録されている「ABC004」のレコードが示す、状態T3で第2工程F2を正常に完了して第2正常品置場54に置かれた「ABC004」のシリアルが与えられたワークが親部品として第3機器13に投入されたことを示している。
【0141】
また、状態T4では、「工程ID」のフィールドに「PRCS03A」が登録されている「JKL010」のレコードの「状態」が「投入済」として新規登録されている。これは、「JKL0101」のシリアルが与えられた部品が子部品として第3機器13に投入されたことを示している。
【0142】
図22は、
図16の状態T1、
図18の状態T2、
図20の状態T3及び
図21の状態T4とは異なる状態T5の個体管理ワーク状態テーブルTを示す図である。「工程ID」のフィールドに「PRCS03A」が登録されている「ABC004」のレコードの「状態」及び「工程ID」のフィールドに「PRCS03A」が登録されている「JKL010」のレコードの「状態」について、状態T4では「投入済」であったものが状態T5では「未完了」に更新されている。これは、第3機器13に投入された「ABC004」のシリアルが与えられたワーク及び「JKL010」のシリアルが与えられた部品によって第3工程F3が開始されたことを示している。
【0143】
また、状態T4にあった「工程ID」のフィールドに「PRCS02A」が登録されていた「ABC004」が削除されている。これは、第3機器13に投入された「ABC004」のシリアルが与えられたワーク及び「JKL010」のシリアルが与えられた部品によって第3工程F3が開始されたことで、「PRCS02A」に対応する第2工程F2を完了した「ABC004」が次の工程待ちをする状態ではなくなったことによる。
【0144】
図23は、
図16の状態T1、
図18の状態T2、
図20の状態T3、
図21の状態T4及び
図22の状態T5とは異なる状態T6の個体管理ワーク状態テーブルTを示す図である。状態T6では、「工程ID」のフィールドに「PRCS03A」が登録されている「ABC004」のレコードの「状態」が「正常完了」として新規登録されている。これは、シリアルが「ABC004」である個体を親部品として第3工程F3で製造されたワークが第3工程F3を正常に完了して第3正常品置場56に置かれたことを示している。
【0145】
図24は、
図16の状態T1、
図18の状態T2、
図20の状態T3、
図21の状態T4、
図22の状態T5及び
図23の状態T6とは異なる状態T7の個体管理ワーク状態テーブルTを示す図である。状態T7では、状態T6にあった「工程ID」のフィールドに「PRCS03A」が登録され、「状態」のフィールドに「未完了」が登録されていた2つのレコード(「ABC004」のレコード及び「JKL010」のレコード)が削除されている。これは、状態T5の時点まで第3工程F3の工程を完了していないと扱われていた当該2つのレコードについて、状態T6で新規登録されたレコードによって第3工程F3の工程が完了したことが確認されたことで、当該2つのレコードが管理上不要になったことによる。
【0146】
以上、
図21から
図24を参照して説明したように、個体管理ワーク状態テーブルTでは、工程(「工程ID」のレコード)及び工程内における状態(「状態」のフィールド)の少なくとも一方が変化する前後のレコードが登録され、当該前後のレコードが照合されたうえで照合が成立した場合に前のレコードが削除される処理が行われることで、親部品のシリアルをキーとした工程及び状態の管理が行われる。
【0147】
これらのレコードの新規登録は、機器10から送信される情報に基づいて行われる。具体的には、機器10を利用した工程(例えば、第1工程F1~第4工程F4のいずれか)が開始される場合、当該工程の機器10(例えば、第1機器11~第4機器14のいずれか)の個体管理シリアル読取部33によって当該工程に投入される個体又は個体を含むワークのシリアルが読み取られる。係るシリアルの読取に応じて、動作制御部41の制御下で、通信部31を介して機器10から当該シリアルを示す情報が送信される。制御装置20の記憶部22は、通信部21を介して当該情報を受信する。記憶部22は、受信した情報に基づいて個体管理ワーク状態テーブルTにレコードを登録する。これによって、
図21を参照して説明したような、「状態」のフィールドが「投入済」であるレコードが新規登録される。記憶部22は、新規登録されたレコードと「個体管理シリアル」が同一のレコードであり、「工程ID」が新規登録されたレコードのものを基準として直前のものであり、個体種別が「親」であり、かつ、状態が「正常完了」であるレコードを個体管理ワーク状態テーブルTから抽出する。抽出された場合、記憶部22は、新規登録レコードが正常に登録されたものと扱う。また、この場合、記憶部22は、
図22を参照して説明したように、当該新規レコードの「状態」を「未完了」にするとともに、抽出されたレコード、すなわち、旧「状態」のレコードを削除する。一方、抽出されなかった場合、記憶部22は、新規登録レコードが異常なものであると判定し、工程進捗異常が検知されたものとして扱う。演算部23は、工程進捗異常に対応した処理を行う。
【0148】
工程進捗異常に対応した処理の具体的内容は任意であるが、例えば、新規登録されたレコードの「工程ID」が示す工程に設けられた機器10を停止させる命令として機能するデータ(停止命令)を演算部23が生成、送信する処理、当該機器10の報知部37及び制御装置20の報知部24の少なくとも一方を動作させて工程進捗異常が検知されたことを報知させるための命令として機能するデータ(報知命令)を演算部23が生成、送信する処理等が挙げられる。各機器10や報知部24は、係る命令に応じて動作する。
【0149】
なお、新規登録されたレコードの「工程ID」のフィールドに登録されている内容が工程順序マスターD21で「前工程」(例えば、前工程1及び前工程2)を有しない最初の工程であることを示している場合、この抽出及び正常/異常判定は省略される。ただし、この場合、記憶部22は、「個体管理シリアル」、「工程ID」及び「個体種別」のフィールドに登録されている内容が当該新規登録レコードと同一であるレコードが管理個体シリアルマスターD6に含まれているか判定する。含まれているとき、記憶部22は、新規登録レコードが正常に登録されたものと扱う。また、このとき、記憶部22は、
図22を参照して説明したように、当該新規レコードの「状態」を「未完了」にする。一方、含まれていないとき、記憶部22は、上述と同様、工程進捗異常が検知されたものとして扱ってもよい。このようにして、工程の開始が管理される。なお、予め全ての個体とシリアルとの関係を示す管理個体シリアルマスターD6が記憶部22に用意されていない場合、個体管理シリアル読取部33による読取の時点で「新規シリアルであるか」の判定が行われ、新規シリアルである場合に当該新規シリアルと個体の種類(上記「No」、「部品No」)との対応付けが行われ、当該対応付けに基づいた管理が以降継続する。
【0150】
上述のような管理下で開始した工程が完了した場合、当該工程の機器10から工程の完了状態(正常完了又は異常完了)を示す情報が送信される。制御装置20の記憶部22は、受信した情報に基づいて個体管理ワーク状態テーブルTにレコードを登録する。これによって、
図23を参照して説明したような、「状態」のフィールドが「正常完了」であるレコードが新規登録される。なお、工程が異常完了である場合には、当該フィールドが「異常完了」になる。「正常完了」と「異常完了」との区別は、センシング部39によるワーク又は完成品に対するセンシングの結果に基づいていてもよいし、作業者による入力部42への入力に基づいてもよい。
【0151】
係るレコードの新規登録に応じて、記憶部22は、「工程ID」が新規登録されたレコードと同一であって、「状態」が「未完了」であるレコードを個体管理ワーク状態テーブルTから抽出する。抽出された場合、記憶部22は、抽出されたレコードに「個体管理シリアル」が同一であるレコードが含まれるか判定する。抽出されたレコードに「個体管理シリアル」が同一であるレコードが含まれると判定された場合、記憶部22は、新規登録レコードが正常に登録されたものと扱う。また、この場合、記憶部22は、
図24を参照して説明したように、抽出されたレコード、すなわち、旧「状態」のレコードを削除する。具体的には、抽出されなかった場合又は抽出されても「個体管理シリアル」が同一であるレコードが抽出されたレコードに含まれなかった場合、記憶部22は、新規登録レコードが異常なものであると判定し、登録データ異常が検知されたものとして扱う。演算部23は、登録データ異常に対応した処理を行う。
【0152】
登録データ異常に対応した処理の具体的内容は任意であるが、例えば、新規登録されたレコードの「工程ID」が示す工程に設けられた機器10を停止させる命令として機能するデータ(停止命令)を演算部23が生成、送信する処理、当該機器10の報知部37及び制御装置20の報知部24の少なくとも一方を動作させて登録データ異常が検知されたことを報知させるための命令として機能するデータ(報知命令)を演算部23が生成、送信する処理等が挙げられる。各機器10や報知部24は、係る命令に応じて動作する。
【0153】
次に、各工程の正常管理に伴い生成、更新される実績登録データMと、その基準となる製品マスターD7について
図25から
図29を参照して説明する。
【0154】
図25は、製品マスターD7の一例を示す図である。製品マスターD7は、「生産品番」のカラムと、「個体管理シリアル1(親部品)」のカラムと、「個体管理シリアル2(子部品)」のカラムと、「個体管理シリアル3(子部品)」のカラムと、「個体管理シリアル4(子部品)」のカラムと、「個体管理シリアル5(子部品)」のカラムと、「組付けLot部品ID1」のカラムと、「組付けLot部品ID2」のカラムと、「組付けLot部品ID3」のカラムと、とを有するデータとである。「生産品番」のカラムは、工程順序マスターD2における同名のカラムと対応するカラムである。製品マスターD7は、「生産品番」のフィールドに登録されたIDが示す製品に含まれるべき親部品、子部品及びLot部品を示すデータである。なお、
図25では、1つのレコードを例示しているが、実際には各生産品番に対応するレコードが登録される。
【0155】
具体的には、製品マスターD7の各レコードの「個体管理シリアル1(親部品)」のカラムに含まれるフィールドには、「ABC***」が登録されている。これは、そのレコードの「生産品番」に対応する製品の製造において親部品として扱われる個体のシリアルが「ABC***」であることを示している。なお、「***」はワイルドカードを示す代替文字である。
【0156】
また、「個体管理シリアル2(子部品)」のカラムに含まれるフィールドには、「DEF***」が登録されている。また、「個体管理シリアル3(子部品)」のカラムに含まれるフィールドには、「GHI***」が登録されている。また、「個体管理シリアル4(子部品)」のカラムに含まれるフィールドには、「JKL***」が登録されている。また、「個体管理シリアル5(子部品)」のカラムに含まれるフィールドには、「MNO***」が登録されている。これらは、そのレコードの「生産品番」に対応する製品の製造において子部品として扱われる個体のシリアルが「DEF***」、「GHI***」、「JKL***」、「MNO***」であることを示している。
【0157】
また、「組付けLot部品ID1」のカラムに含まれるフィールドには、「LPART001」が登録されている。「組付けLot部品ID2」のカラムに含まれるフィールドには、「LPART002」が登録されている。「組付けLot部品ID3」のカラムに含まれるフィールドには、「LPART003」が登録されている。これらは、そのレコードの「生産品番」に対応する製品の製造において組付けられるLot部品のシリアルが「LPART001」、「LPART002」、「LPART003」であることを示している。
【0158】
なお、子部品の数は4つに限られるものでなく、Lot部品の数も3つに限られるものでない。管理システムで製造される製品は、1つ以上の親部品と、複数の工程を経て親部品に組付けられる他の複数の部品(子部品及びLot部品の少なくとも一方)を含む製品であればよく、係る親部品と他の複数の部品のシリアル、IDに対応するデータが製品マスターD7に登録されていればよい。
【0159】
なお、
図25で例示する製品マスターD7の記載内容は、必ずしも記憶部22に記憶されるデータの実態を示すものでない。例えば、上記の「ABC***」は、データB1において「ABC***」の部品CDを有するレコードの「No」である「25」が登録されていてもよい。「DEF***」等、製品マスターD7の他のフィールドについても、データB1において同一の部品CDを有するレコードの「No」に代えてよい。
図25で例示する製品マスターD7であえて「ABC***」等としているのは、製品マスターD7が以降の実績登録データMのフォーマットとしての概念であることを分かりやすく説明するための便宜的なものであって、製品マスターD7の実態をこれに限定するものでない。
【0160】
また、製品マスターD7は予め記憶部22に記憶されていなくてもよい。製品マスターD7は、工程順序マスターD2とデータB1に基づいて導出可能なデータの組み合わせに対応する内容を反映したものであり、工程順序マスターD2とデータB1があれば予め製品マスターD7が用意されていなくても、制御装置20は、1つの完成品に関わる各種の部品の関係性を工程順序マスターD2とデータB1の読み出しによって導出できる。無論、製品マスターD7が予め記憶部22に記憶されていてもよい。
【0161】
図26は、実績登録データMの一状態例を示す図である。実績登録データMは、製品のトレーサビリティの確保のために制御装置20で管理されるデータである。実績登録データMは、記憶部22に記憶、保持されてもよいし、演算部23からアクセス可能な図示しない他の記憶装置に格納されていてもよい。実績登録データMは、演算部23が行う処理に応じて生成、更新される。
【0162】
実績登録データMは、製品マスターD7に含まれる複数のカラムと同一の名称のカラムと、「状態」のカラムとを有する。実績登録データMに含まれるカラムのうち、製品マスターD7に含まれる複数のカラムと同一の名称のカラムに含まれるフィールドには、各製品の親部品のシリアルと、親部品に組付けられる子部品のシリアル、Lot部品のIDとがレコード単位で対応付けられて記録される。また、各レコードの「状態」のカラムに含まれるフィールドには、製品の最新の状態が記録される。
【0163】
図26に示す状態M1は、
図16に示す状態T1に対応した状態の実績登録データMである。従って、親部品として扱われる「ABC001」、「ABC002」、「ABC003」、「ABC004」のシリアルが「個体管理シリアル1(親部品)」のフィールドに登録されたレコードが状態M1に登録されている。また、各レコードの「状態」のフィールドに「正常完了」又は「異常完了」が登録されている。また、第1工程F1の完了によってこれらのシリアルが示す親部品に組付けられた子部品のシリアル及びLot部品のIDが各レコードに登録されている。例えば、「ABC001」のレコードを例とすると、「ABC001」のシリアルが与えられた個体が親部品であり、「DEF00x」のシリアルが与えられた個体が「個体管理シリアル2(子部品)」に対応する子部品であり、さらに「LPART001」、「LPART002」、「LPART003」のIDが与えられたLot部品が組付けられた第1工程F1完了後のワークが正常な状態で製造されたことが記録されている。他のレコード(「ABC002」、「ABC003」、「ABC004」のレコード)についても、記録の仕組みは同様である。なお、
図26から
図29を参照した説明において「LPART001」、「LPART002」、「LPART003」のように示されているフィールドの情報は、どのLot部品IDを与えられたLot部品が組付けられたかを示す便宜的な例示であって、実際に実績登録データMのフィールドに登録される情報(文字列)は、「LPART001」、「LPART002」、「LPART003」という文字列ではない。係る情報(文字列)は、例えば、「yyyymmdd」のように各Lot部品の製造年月日を示す数字の組み合わせを含んでいてもよいし、「A05C」のようなLot部品の材料を示す文字列を含んでいてもよい。このような数字や文字列が採用される場合、その数字や文字列がどのLot部品を示すものであるかは、予め製品マスターD7によってどのフィールド(カラム)がどの事項を示すのかを定義し、係る数字や文字列が登録されるフィールド(カラム)の位置によって管理されるようにしてもよいし、どのLot部品であるかを示す情報(文字列)をさらに含ませるようにしてもよい。
【0164】
なお、第1工程F1を完了していない「ABC005」については、状態M1の時点では未登録である。
【0165】
図27は、
図26の状態M1とは異なる状態M2の実績登録データMを示す図である。実績登録データMは、管理システムにおける工程の進捗に応じて演算部23によって書き換えられる。ここでは、書き換えの対象となる実績登録データMのそれぞれ異なる状態に対して状態M1,M2のように個別に符号を付すことで、対象としての同一性と係る対象のそれぞれ異なる状態とを区別して表現している。
【0166】
図27に示す状態M2は、
図18に示す状態T2に対応した状態の実績登録データMである。従って、状態M2では、状態M1で示した内容に対して、新たに第1工程F1を完了した「ABC005」のシリアルが「個体管理シリアル1(親部品)」のフィールドに登録されたレコードが状態M2に新規登録されている。また、新規登録されたレコードには、「ABC005」のシリアルが与えられた個体を親部品として、「DEF007」のシリアルが与えられた個体が「個体管理シリアル2(子部品)」に対応する子部品及び「LPART001」、「LPART002」、「LPART003」のIDが与えられたLot部品が第1工程F1で正常に組付けられたことが記録されている。
【0167】
図28は、
図26の状態M1及び
図27の状態M2とは異なる状態M3の実績登録データMを示す図である。
図28に示す状態M3は、
図20に示す状態T3に対応した状態の実績登録データMである。従って、状態M3では、状態M2で登録された「ABC004」のレコードが示すワークに対して「GHI009」のシリアルが与えられた個体が「個体管理シリアル3(子部品)」に対応する子部品として第2工程F2で正常に組付けられたことが記録されている。
【0168】
図29は、
図26の状態M1、
図27の状態M2及び
図28の状態M3とは異なる状態M4の実績登録データMを示す図である。
図29に示す状態M4は、
図24に示す状態T7に対応した状態の実績登録データMである。従って、状態M4では、状態M2で登録されて状態M3で更新された「ABC004」のレコードが示すワークに対して「JKL010」のシリアルが与えられた個体が「個体管理シリアル4(子部品)」に対応する子部品として第3工程F3で正常に組付けられたことが記録されている。
【0169】
以上、実績登録データMのうち、個体のシリアルとLot部品のIDと状態とについて説明したが、実績登録データMに記録可能な事項はこれに限られるものでない。例えば、実績登録データMは、各機器10の作業者ID読取部35によって読み取られて各工程を担当した作業者(認定作業者)を示すIDを登録するためのカラムをさらに含んでいてもよい。その場合、認定作業者を示すIDが登録されているカラムの位置によってどの工程を担当したのかが特定できるように、予め製品マスターD7によってカラム位置が定義される。また、組付けられたLot部品の現品票データを特定可能な情報が登録されるカラムをさらに含んでいてもよい。また、各工程の完了した時刻(通過時刻)を示す情報(例えば、年月日及び時刻)を登録するためのカラムをさらに含んでいてもよい。また、工程が正常完了又は異常完了したことの根拠を示すセンサの測定値等を登録するためのカラムをさらに含んでいてもよい。また、
図26から
図29において「正常完了」又は「異常完了」が登録されている「状態」のカラムには、さらに、どの工程までが「正常完了」したのか、どの工程でどのような理由で「異常完了」したのかを示す情報が登録されてもよい。具体例を挙げると、「第○工程まで正常完了」のような情報や、「第×工程でxxにより異常完了」のような情報が「状態」のカラムに登録されてもよい。この場合、「xx」は、異常完了の原因を示す文字列として登録される。
【0170】
次に、Lot部品の入数と出数の管理について、
図30から
図32を参照して説明する。
【0171】
図30は、Lot部品カウンタLCの一状態例を示す図である。Lot部品カウンタLCは、演算部23が行う判定のために制御装置20で管理されるデータである。個体管理ワーク状態テーブルTは、記憶部22に記憶、保持されてもよいし、演算部23がプログラム等を読み出して展開する図示しない一次記憶装置に格納されていてもよい。個体管理ワーク状態テーブルTは、演算部23が行う処理に応じて生成、更新される。
【0172】
図30に示すLot部品カウンタLCは、「組付けLot部品ID」のカラムと、「入数」のカラムと、「出数」のカラムとを有するデータである。「組付けLot部品ID」のカラムは、
図9を参照した説明における「生産品番に対応する製品の製造に供されるLot部品を示すIDが登録されるカラム」に対応するカラムである。「入数」のカラムは、
図9を参照した説明における「1つのLot現品票データに対応するLot部品の数(入数)」に対応するカラムである。上述の
図9を参照した入数マスターD4と同様、Lot部品カウンタLCでは、各レコードによって各Lot部品の入数が管理される。すなわち、各レコードが登録される場合、各レコードの「組付けLot部品ID」及び「入数」のカラムのフィールドの初期値は、入数マスターD4に対応したものになる。
【0173】
「出数」のカラムに含まれるフィールドには、工程で使用済みのLot部品の数(出数)を示す値が登録される。「出数」のカラムに登録される初期値は、0である。Lot部品カウンタLCの各レコードは、「組付けLot部品ID」のフィールドに登録されたIDに対応する各Lot部品の現品票の読取に応じて設定される。係る読取は、機器10の組付けLot部品ID読取部34を用いて作業者によって行われる。すなわち、Lot部品が組付けられる工程の機器10が備える組付けLot部品ID読取部34によって現品票が読み取られることに応じて、各Lot部品に対応したレコードがLot部品カウンタLCに登録される。係るレコードの登録の詳細については、後述する
図36を参照したフローチャートで説明する。
【0174】
「出数」のカラムに含まれるフィールドに登録された値は、各Lot部品を組付ける工程の実施回数に応じて更新される。具体的には、例えば個体管理ワーク状態テーブルTにおいて対応する工程の親部品が「投入済」として登録されること若しくは当該親部品が「正常完了」又は「異常完了」として登録されることをトリガーとして、各工程で使用されるLot部品の数だけ値が増加するよう更新される。実施形態の説明では、第1工程F1で組付けられる「LPART001」、「LPART002」、「LPART003」のIDが与えられた3種類のLot部品の各々の入数が「10」であり、第1工程F1が1回実施される毎にこれらの「出数」がインクリメント(+1)されるものとして扱う。
【0175】
図31は、
図30の状態LC1とは異なる状態LC2のLot部品カウンタLCを示す図である。状態LC2は、状態LC1のように「出数」が初期値(0)で登録されてから、「LPART001」、「LPART002」、「LPART003」のIDが与えられた3種類のLot部品を使用する第1工程F1(PROCS01A)が1回実施されたことによって、これらのIDを含むレコードの「出数」が「1」に更新されている。
【0176】
図32は、
図30の状態LC1及び
図31の状態LC2とは異なる状態LC3のLot部品カウンタLCを示す図である。状態LC3は、状態LC1のように「出数」が初期値(0)で登録されてから、「LPART001」、「LPART002」、「LPART003」のIDが与えられた3種類のLot部品を使用する第1工程F1(PROCS01A)が10回実施されたことによって、これらのIDを含むレコードの「出数」が「10」に更新されている。すなわち、状態LC3は、「入数」のカラムに含まれるフィールドに登録されている値と「出数」のカラムに含まれるフィールドに登録されている値が同一になっているレコード(「LPART001」、「LPART002」及び「LPART003」のレコード)を含む状態である。この状態は、「LPART001」、「LPART002」、「LPART003」のIDが与えられた3種類のLot部品は、その時点で読取済みの現品票で管理されている入数を使い果たしたことを示している。このように、「入数」のカラムに含まれるフィールドに登録されている値と「出数」のカラムに含まれるフィールドに登録されている値が同一になったレコードが生じた場合、演算部23は、当該レコードの「組付けLot部品ID」に登録されているIDが与えられたLot部品の現品票を新たに組付けLot部品ID読取部34によって読み取るよう要求する命令として機能するデータ(読取要求)を生成する。演算部23は、読取要求を、当該Lot部品が組付けられる作業を含む工程の機器10に送信する。読取要求は、通信部21を介して機器10に送信され、通信部31を介して機器10に受信される。動作制御部41は、報知部37を動作させて読取要求に対応した報知(例えば、表示出力、音声出力等)を行い、当該機器10を扱う作業者(認定作業者)に現品票の読取を促す。
【0177】
また、状態LC3のように、「入数」のカラムに含まれるフィールドに登録されている値と「出数」のカラムに含まれるフィールドに登録されている値が同一になっているレコードがある状態で、当該レコードの「組付けLot部品ID」に登録されているIDが与えられたLot部品が組付けられる工程の機器10に新たな親部品が「投入済」になる情報の更新が個体管理ワーク状態テーブルTで生じた場合、演算部23は、当該工程の機器10を停止させる命令として機能するデータ(停止命令)を生成し、通信部21を介して当該機器10に送信する。すなわち、既に読取済みの現品票で管理されている入数を使い果たしたLot部品をさらに使おうとする工程を進めることは、新たな現品票を付された当該Lot部品を導入しない限り不可能なはずである。従って、演算部23は、当該Lot部品の新たな現品票が当該工程の機器10が備える組付けLot部品ID読取部34によって読み取られるまで、当該機器10の動作による工程の進行を許可しない。機器10の動作制御部41は、係る停止命令に応じて駆動部36の動作を停止させる。ここで、動作制御部41は、Lot部品の現品票の読取待ちによって機器10が停止していることを示す情報を報知部37に報知させてもよい。
【0178】
次に、「状態」のフィールドが「異常完了」とされるワークの取り扱いについて、より詳細に説明する。
【0179】
図33は、全体工程に含まれる複数の工程の関係の一例を示す図である。
図33における「P-n」は、「PRCSn」の工程IDを意味する省略標記であり、「PRCSn」と読み替えられる。ここで、nには1から工程数に対応する数(例えば、26)までの範囲内のいずれかの数値が十進法のm桁表記(例えば、m=2)であてはめられる。すなわち、m=2である場合、nが1から9までの範囲内のいずれかの数値である場合、10の位には「0」があてはめられる。
図33に示す全体工程に含まれる工程の数や各工程の前後関係はあくまで一例であってこれに限られるものでない。また、全ての工程で必ず個体管理シリアルを与えられた個体が利用されることが必須ということではない。例えば、「P-17」がLot部品のみが投入される工程であってもよい。
【0180】
図33に示す全体工程は、「P-01」から「P-26」までの工程を含む。「P-01」、「P-03」、「P-05」、「P-14」及び「P-17」には前工程がない。「P-02」の前工程は「P-01」である。「P-04」の前工程は「P-02」と「P-03」である。「P-06」の前工程は「P-05」である。「P-07」の前工程は「P-04」である。「P-08」の前工程は「P-07」である。「P-09」の前工程は「P-06」及び「P-08」である。「P-10」の前工程は「P-9」である。「P-11」の前工程は「P-10」である。「P-12」の前工程は「P-11」である。「P-13」の前工程は「P-12」である。「P-15」の前工程は「P-14」である。「P-16」の前工程は「P-13」及び「P-15」である。「P-18」の前工程は「P-16」及び「P-17」である。n≧19である「P-n」の前工程は「P-(n-1)」である。
【0181】
図33に示す全体工程に含まれる一部の工程は、工程での異常発生時に適用される対処のルールが別途定められている工程である。
図33では、係るルールが定められた工程に「Q-*」を付している。*には、1から係るルールが適用される工程の数(例えば、7)までの範囲内のいずれかの数値があてはめられる。
図33では、「P-13」に「Q-1」が付されている。また、「P-19」に「Q-2」が付されている。また、「P-20」に「Q-3」が付されている。また、「P-21」に「Q-4」が付されている。また、「P-23」に「Q-5」が付されている。また、「P-24」に「Q-6」が付されている。また、「P-26」に「Q-7」が付されている。すなわち、
図33に示す例では、「PRCS13」、「PRCS19」、「PRCS20」、「PRCS21」、「PRCS23」、「PRCS24」及び「PRCS26」の工程IDが付された工程での異常発生時に係るルールが適用される。係るルールが適用される工程が異常完了した場合、当該異常完了により生じたワークの解体作業が行われる。また、当該解体作業で生じた解体後のワーク等が、いずれかの工程に再投入される。なお、「解体後のワーク等」は、個体管理シリアルで管理される部品だけとは限らない(例えば、Lot部品も含む)。個体管理シリアルで管理されない部品については、後述する再利用IDタグ発行部156が出力する再利用IDタグによってトレーサビリティが確保される。
【0182】
図33では、解体後のワーク等が再投入される可能性を有する工程に「G-※」を付している。※には、それぞれ異なる文字(例えば、アルファベット)があてはめられる。
図33では、「P-04」に「G-A」が付されている。また、「P-07」に「G-B」が付されている。また、「P-09」に「G-C」が付されている。また、「P-10」に「G-D」が付されている。また、「P-11」に「G-E」が付されている。また、「P-16」に「G-F」が付されている。また、「P-17」に「G-G」が付されている。また、「P-18」に「G-H」が付されている。また、「P-19」に「G-I」が付されている。すなわち、
図33に示す例では、「PRCS04」、「PRCS07」、「PRCS09」、「PRCS10」、「PRCS11」、「PRCS16」、「PRCS17」、「PRCS18」及び「PRCS19」の工程IDが付された工程が、解体後のワークや部品が再投入される可能性を有する工程である。
【0183】
図33に示す全体工程は、工程順序マスターD2,D2A等で予め規定され、登録されている。以下、
図33を参照して説明した全体工程により製造される製品の製造過程で生じ得る解体作業とワークや部品の再投入に係る各種の事項について、
図34から
図49を参照して説明する。
【0184】
図34は、NGモードデータD11の一例を示す図である。NGモードデータD11は、工程での異常発生時に適用される対処のルールが別途定められている一部の工程と、係る一部の工程で発生し得る異常との対応関係を示すデータである。NGモードデータD11は、予め記憶部22に記憶されている。
【0185】
NGモードデータD11は、少なくとも、「工程ID」のカラムと、NGコードの「番号」のカラムとを有するデータである。「工程ID」のカラムは、工程リストD1における同名のカラムと対応するカラムである。ただし、
図34の「工程ID」のカラムに含まれるフィールドに登録されている工程IDの文字列は、「PRCS00」を除いて、
図33を参照して説明した全体工程に含まれる工程の工程IDである。「PRCS00」については後述する。
【0186】
NGコードの「番号」は、「工程ID」のカラムに含まれるフィールドに登録された工程IDとの組み合わせによって、当該工程IDが示す工程で生じた異常の種類を特定できるよう登録される。
【0187】
具体的には、ある工程で生じる異常の種類が1種類である場合、NGコードの「番号」は「1」のみである。
図34に示す例の場合、工程IDが「PRCS13」、「PRCS23」、「PRCS26」、「PRCS00」のいずれかである工程については異常の種類が1種類であるため、NGコードのフィールドに登録された番号が「1」であるレコードのみ存在する。
【0188】
また、ある工程で生じる異常の種類が複数種類である場合、NGコードの「番号」は「1」に限らず、他の値も登録される。例えば、
図34では、工程IDが「PRCS19」については異常の種類が2種類であるため、NGコードのフィールドに登録された番号が「1」であるレコードと、「2」であるレコードとが存在する。また、工程IDが「PRCS24」である工程については異常の種類が3種類であるため、NGコードのフィールドに登録された番号が「1」であるレコードと、「2」であるレコードと、「3」であるレコードとが存在する。また、工程IDが「PRCS20」、「PRCS21」である工程については異常の種類が4種類であるため、NGコードのフィールドに登録された番号が「1」であるレコードと、「2」であるレコードと、「3」であるレコードと、「4」であるレコードとが存在する。
【0189】
NGモードデータD11は、レコードに含まれるフィールドに登録されている「工程ID」とNGコードの「番号」との組み合わせによって、どの工程でどのような異常が生じたかを表せるようにデータが構成されている。例えば、工程IDが「PRCS26」である工程の場合、当該工程で行われた製品の外観チェックの結果がNGであったことが、NGコードの「1」の番号によって表される。他の「工程ID」とNGコードの「番号」との組み合わせについても、各工程で生じ得る異常の種類を特定できるようあらかじめ「工程ID」とNGコードの「番号」との対応関係が決定されている。
【0190】
なお、
図34では、各工程IDに対応する工程がどのような工程であるかを示す「工程名(詳細)」のカラムと、
図33における「Q-*」との対応関係を示す「番号(Q-*)」のカラムと、異常コードの「番号」がどのような異常を示すのかを表す異常コードの「NG項目詳細」のカラムがさらに設けられている。これらのカラムは、ヒトがNGモードデータD11の内容を理解できるよう記載されているものであり、NGモードデータD11のデータの実態としては必須でなく、省略可能である。
【0191】
図35は、状態テーブルの「状態」のフィールドが「異常完了」とされるワークを管理するためのNG品管理テーブルUの一例を示す図である。NG品管理テーブルUは、上述の個体管理ワーク状態テーブルTのような他のデータと統合されたデータであってもよいし、他のデータから独立したデータであってもよい。
図35では、他のデータから独立したデータとしてのNG品管理テーブルUを例示している。
【0192】
NG品管理テーブルUは、少なくとも、「個体管理シリアル」のカラムと、「NG発生工程」のカラムと、「NGコード」のカラムと、「連続NG回数」のカラムとを有するデータである。また、
図35で例示するNG品管理テーブルUは、さらに「解体済フラグ」のカラムを有する。
【0193】
演算部23は、個体管理ワーク状態テーブルTの「状態」のフィールドにおいて「異常完了」が登録されるレコードが生じた場合、当該レコードに対応する新たなレコードをNG品管理テーブルUに設定する。
【0194】
「個体管理シリアル」のカラムに含まれるフィールドには、製品又はワークのシリアルが登録される。当該シリアルは、個体管理ワーク状態テーブルTの「状態」のフィールドにおいて「異常完了」が登録されたレコードの「個体管理シリアル」のフィールドに登録されたシリアルと同一のシリアルである。
【0195】
「NG発生工程」のカラムに含まれるフィールドには、工程IDが登録される。当該工程IDは、個体管理ワーク状態テーブルTの「状態」のフィールドにおいて「異常完了」が登録されたレコードの「工程ID」のフィールドに登録されたシリアルと同一のシリアルである。演算部23は、個体管理ワーク状態テーブルTの「状態」のフィールドにおいて「異常完了」が登録されるレコードが生じた場合、当該レコードの「個体管理シリアル」と「工程ID」のフィールドの登録内容に対応する登録内容をNG品管理テーブルUの新たなレコードの「個体管理シリアル」と「NG発生工程」のフィールドに登録する。
【0196】
「NGコード」のカラムに含まれるフィールドには、NGモードデータD11のNGコードの「番号」に対応する値が登録される。NG品管理テーブルUの1つのレコードに含まれる「NG発生工程」と「NGコード」のフィールドの登録内容の組み合わせによって、当該レコードの「個体管理シリアル」に対応する製品がどの工程でどのような異常を生じたのかが特定可能になっている。
【0197】
「NGコード」のフィールドに登録される値は、各工程で行われる入力に対応する。例えば、「状態」が「異常完了」とされた原因がセンシング部39により自動的に検出された製品の異常である場合、センシング部39が検出した異常の内容に対応してセンシング部39が自動的に行う出力に対応した値が「NGコード」のフィールドに登録される。また、「状態」が「異常完了」とされた原因が工程の作業者によって認識された製品の異常である場合、入力部42を介して行われる入力に対応して機器10が行う出力に対応した値が「NGコード」のフィールドに登録される。他に、解体用機器15から、「状態」を「異常完了」扱いとして個体を隔離する任意の理由(テストピースや異常など)を手動で選択できるようにしても良い。また、そのように手動で隔離された個体の工程の管理については、工程IDのワイルドカードとして機能する特別なID(例えば、「PRCS00」)を利用して管理するようにしてもよい。このように、「NGコード」のフィールドに登録される値に対応する出力が、工程での異常の発生に応じて行われる。また、係る出力は、当該出力を生じた工程の機器10が設けられた工程IDを示す情報と、当該出力を生じた際に工程の実施対象となっていたワークのシリアル、すなわち、「個体管理シリアル」に登録されるシリアルと同一のシリアルを示す情報とを含む。言い換えれば、係る出力は、個体管理ワーク状態テーブルTの「状態」のフィールドにおいて「異常完了」が登録されるレコードが生じることに対応して生じる。係る出力は、通信部31と通信部21との間で行われる通信を介して機器10から制御装置20に送信される。従って、係る出力における「個体管理シリアル」と工程IDとの組み合わせは、個体管理ワーク状態テーブルTの「状態」のフィールドにおいて「異常完了」が登録されるレコードの「個体管理シリアル」と工程IDとの組み合わせに対応し、NG品管理テーブルUの「個体管理シリアル」と「NG発生工程」との組み合わせに対応する。演算部23は、係る出力に対応した値を「NGコード」のフィールドに登録する。
【0198】
「連続NG回数」のフィールドに登録される値は、「個体管理シリアル」と「NG発生工程」と「NGコード」との組み合わせが同一である異常が生じた回数を示す値である。これは、「解体作業で生じた解体後のワーク等の再投入」と関連する事項であり、後述する。
【0199】
なお、
図35に示すNG品管理テーブルUには、さらに「異常発生日時」のカラムが設けられている。係るカラムが設けられる場合、制御装置20には、現在日時を計時する計時部(タイマー回路等)が設けられる。演算部23は、NG品管理テーブルUに新たなレコードが設定された場合、当該レコードが設定された日時を当該計時部から取得し、当該日時を示す文字列を当該レコードの「異常発生日時」のフィールドに登録する。
【0200】
図36は、解体モードデータD12の一例を示す図である。解体モードデータD12は、異常が発生した工程(NG発生工程)の「工程ID」とNGコードの「番号」との組み合わせに対応して適用される対処のルールを定めるデータである。より具体的には、実施形態では解体モードデータD12によって複数種類の解体作業のうちどの解体作業を行うかが特定される。解体モードデータD12は、予め記憶部22に記憶されている。
【0201】
解体モードデータD12は、「NG発生工程」のカラムと、NGコードの「番号」のカラムと、連続NG回数に応じて予め定められた「NG回数r回目」のカラムとを有するデータである。
図36に示す例では、rは、1から3の範囲内のいずれかの自然数である。従って、
図36の解体モードデータD12には、「NG回数1回目」のカラムと、「NG回数2回目」のカラムと、「NG回数3回目」のカラムとが設けられている。ただし、rは2以下の自然数であってもよいし、4以上の自然数であってもよい。
【0202】
「NG発生工程」のカラム及びNGコードの「番号」のカラムは、NG品管理テーブルUと同様の意図で設けられたカラムである。ただし、NG品管理テーブルUと異なり、解体モードデータD12における各フィールドの登録内容は不変である。演算部23は、NG品管理テーブルUに登録されたレコードにおけるNG発生工程の「工程ID」とNGコードの「番号」の組み合わせに応じて、解体モードデータD12を読み出して当該組み合わせに対応する解体モードデータD12のレコードを特定する。これによって、演算部23は、解体モードデータD12に基づいて、異常が発生した工程(NG発生工程)の「工程ID」とNGコードの「番号」との組み合わせに対応して適用される対処のルールを特定できる。
【0203】
「NG回数r回目」のカラムに含まれるフィールドには、異常が発生した工程(NG発生工程)の「工程ID」とNGコードの「番号」との組み合わせに対応して適用される対処のルールとしての「適用される解体モードの種類」を示す情報が登録されている。
【0204】
上述のように、実施形態では、ある製品の製造のための全体工程に含まれる複数の工程のうち、異常発生時に適用される対処のルールが別途定められている工程が異常完了した場合、当該異常完了により生じたワークの解体作業が行われる。実施形態では、この解体作業には、複数種類ある。
図36では、解体作業の種類として、「解体モード1」、「解体モード2」、「解体モード3」、「解体モード4」、「解体モード5」、「解体モード6」及び「解体モード7」の計7種類がある場合を例示しているが、解体作業の種類の数は6以下であってもよいし、8以上であってもよい。
【0205】
まず、ある製品に初めて異常が発生した場合、すなわち「NG回数1回目」である場合について説明する。どの解体作業が採用されるかは、NG品管理テーブルUに登録されたレコードにおけるNG発生工程の「工程ID」とNGコードの「番号」の組み合わせに応じて決定される。例えば、NG発生工程の工程IDが「PRCS13」である場合、「NG回数1回目」には「解体モード6」が適用される。また、NG発生工程の工程IDが「PRCS19」である場合、NGコードの番号に関わらず、「NG回数1回目」には「解体モード2」が適用される。また、NG発生工程の工程IDが「PRCS20」、「PRCS21」、「PRCS23」、「PRCS24」、「PRCS26」のいずれかである場合、NGコードの番号に関わらず、「NG回数1回目」には「解体モード1」が適用される。
【0206】
次に、解体作業の種類に応じて生じる差異について、
図37から
図39を参照して説明する。
【0207】
図37は、BOMマスターD13の一例を示す図である。
図38は、
図37のBOMマスターD13から導出されたBOMツリー構造BOMTであるツリー構造B13を示す図である。
図37に示すBOMマスターD13から
図38に示すツリー構造B13が導出される仕組みは、
図11に示すBOMマスターBOMMから
図12に示すBOMツリー構造BOMTが導出される仕組みと同様である。なお、
図37に示すBOMマスターD13は、「No」の開始番号が「1」である。また、
図37に示すBOMマスターD13は、
図11を参照して説明したBOMマスターBOMMの内容に加えて、さらに「再利用回数上限」のカラムを有している。「再利用回数上限」については後述する。
【0208】
図38に示すツリー構造B13では、最上位階層(0)の「フルAssy」が、その直下の階層(1)の「チルト前Assy」と「ブラケット」と「レバー」との組み合わせで構成されている。また、階層が「1」である「チルト前Assy」が、その直下の階層(2)の「部品Assy」と「モータECU」との組み合わせで構成されている。また、階層が「2」である「部品Assy」が、その直下の階層(3)の「調整前Assy」で構成されている。「調整前Assy」に対して部品を追加しない調整工程が施されたものが「部品Assy」である。また、階層が「3」である「調整前Assy」が、その直下の階層(4)の「HGSB」と「ウォーム」と「コラム」と「ボルト」との組み合わせで構成されている。BOMマスターD13は、上述のデータBBと同様のデータとして機能する。さらに、BOMマスターD13は、異常完了した工程のワークに解体作業が適用されることによって生じるワークや部品に関する情報を含むデータとして機能する。具体的には、ある階層のワーク、部品は、その直上であって1つ上の階層の製品又はワークを解体することで生じ得る部品と解される。
【0209】
以下、解体作業が適用される前後のワークを区別する目的で、「解体前のワーク」及び「解体後のワーク」という記載を用いる。「解体前のワーク」とは、異常完了した工程のワークであって、いずれかの種類の解体作業が適用されるワークである。「解体後のワーク」とは、解体前のワークに解体作業が適用された後のワークである。解体作業によって、1以上の「解体後のワーク」のみが生じることもあってよいし、解体作業によって「解体前のワーク」から分離された部品(解体後の部品)がさらに生じてもよい。
【0210】
解体マスターD14は、解体作業の種類と、各々の解体作業によって生じる解体後のワーク等との対応関係を示す情報を含む。具体的には、「解体モード1」のレコードには、「部品1索引」のフィールドに「1」が登録されている。これは、「解体モード1」の解体作業後に生じるワークが、BOMマスターD13において「1」の「No」を付されたワークであることを示している。また、「解体モード2」のレコードには、「部品1索引」のフィールドに「2」が登録され、「部品2索引」のフィールドに「10」が登録され、「部品3索引」のフィールドに「11」が登録されている。これは、「解体モード2」の解体作業後に生じるワーク等が、BOMマスターD13において「2」、「10」、「11」のいずれかの「No」を付された3つのワーク等であることを示している。解体マスターD14に含まれる他のレコードも、上述の説明と同様、レコードのタイトルが示す種類の解体作業後に生じるワーク等が、当該レコードのフィールドに登録されている符号のワーク等であることを示している。
図37に示すBOMマスターD13は、
図11を参照して説明したBOMマスターBOMMの内容に含めてもよい。
【0211】
図39では、解体マスターD14の1つのレコードに登録されている符号のフィールドの最大数が「部品1索引」から「部品7索引」までの計7つになっているが、実際には、解体作業で生じ得る解体後のワーク等の最大数に対応するよう設けられる。従って、解体マスターD14の1つのレコードに登録されている符号のフィールドの最大数は、6以下であってもよいし8以上であってもよい。
【0212】
解体作業は、解体用機器15で行われる。以下、解体用機器15に関する事項について、
図40から
図45を参照して説明する。
【0213】
図40は、解体用機器15の一例を示す図である。解体用機器15は、例えば、作業台151と、タッチパネル152と、再利用パレット153と、NGシューター154と、工具置場155と、再利用IDタグ発行部156とを有する。他に、解体用機器15は、IDタグ置場やIDタグ書込み装置、バーコード発行装置などを有してもよい。
【0214】
作業台151は、解体作業の対象となるワーク、解体作業によって生じた解体後のワーク等であって再利用パレット153又はNGシューター154に投入される前の状態のワーク等、解体作業のために使用中の工具等が一時的に載置される台である。解体作業を行う作業者は、作業台151を利用して解体作業を行う。他に、解体せずに廃却する異常品などのシリアル登録や、工程飛び解除、滞留解除などの機能を解体用機器15に統合して持たせてもよい。
【0215】
再利用IDタグ発行部156は、個体管理シリアルが付されていない部品(例えば、Lot部品)が再利用される場合にその再利用回数を管理するための識別情報を付す構成として機能する再利用IDタグを発行する。再利用IDタグ発行部156の具体的動作例については後述する。
【0216】
図41は、タッチパネル152の表示内容の一例を示す模式図である。タッチパネル152は、解体作業に関する各種の表示出力を行う表示装置として機能するとともに、解体作業に関する各種の入力を受け付ける入力装置として機能する。
【0217】
図41に示すように、タッチパネル152に表示される表示内容は、「個体管理シリアル」、「生産品番」、「解体理由」、「部品名」の各々の項目に対応する表示領域152a,152b,152c,152eを有する。「個体管理シリアル」の表示領域152aは、解体作業の対象となるワークのシリアル、すなわち、当該ワークの親部品のシリアルが表示される。
【0218】
図示しないが、解体用機器15は、機器10が有する個体管理シリアル読取部33と同様の構成を備える。解体用機器15が備える当該構成によって、解体作業の対象となるワークのシリアルを読み取ることができる。表示領域152aには、読み取られたシリアルが表示される。より具体的には、解体用機器15は、機器10が備える構成のうち、組付けLot部品ID読取部34とプログラム選択部38が省略された構成である。ただし、解体用機器15の報知部37と入力部42は、タッチパネル152として設けられる。また、解体用機器15の駆動部36は、後述する開閉蓋153a、開閉蓋154aを動作させる電動機等を備える構成である。なお、タッチパネル152の表示内容の制御及びタッチパネル152を介して行われる入力(タッチ操作)に対応した解体用機器15の動作制御は、例えば動作制御部41が行うが、専用の動作制御回路が行ってもよい。
【0219】
「生産品番」の表示領域152bは、表示領域152aに表示されたシリアルが与えられたワークに対応する生産品番のIDが表示される。表示領域152aに表示されたシリアルと表示領域152bに表示される生産品番のIDとの対応関係は、例えば実績登録データMに基づいて行われる。また、表示領域152aに表示されたシリアルが与えられたワークを解体することで生じたワーク等に付されているシリアルの特定も、実績登録データMにおいて当該表示領域152aに表示されたシリアルを含むレコードに登録されている他のシリアルによって行える。
【0220】
解体用機器15の個体管理シリアル読取部33によって解体作業の対象となるワークのシリアルが読み取られると、解体用機器15の動作制御部41は、通信部31を介して当該シリアルを示す情報を制御装置20に送信する。制御装置20の演算部23は、解体用機器15から受信した情報に含まれる当該シリアルと実績登録データMに含まれるレコードの「個体管理シリアル1(親部品)」とを照合し、当該シリアルに対応するレコードの「生産品番」のフィールドの登録内容を表示領域152bに表示される生産品番のIDとして取得する。演算部23は、このようにして取得された生産品番のIDを示す情報を、通信部21を介して解体用機器15に送信する。解体用機器15の動作制御部41は、受信した情報に含まれる生産品番のIDを表示領域152bに表示させるようタッチパネル152の動作を制御する。なお、NG品管理テーブルUに「生産品番」のカラムをさらに含ませてもよい。
【0221】
「解体理由」の表示領域152cは、表示領域152aに表示されたシリアルが与えられたワークに生じた異常の種類を示すNGコードの「詳細」に対応する内容が表示される。
【0222】
解体用機器15の個体管理シリアル読取部33によって解体作業の対象となるワークのシリアルが読み取られると、解体用機器15の動作制御部41は、通信部31を介して当該シリアルを示す情報を制御装置20に送信する。ここまでは表示領域152bの表示制御に係る動作内容と共通であり、制御装置20の演算部23は、表示領域152b,152cに表示される内容の決定に係る処理において当該情報を共通して利用可能である。後述する表示領域152e,152f,152g,152h,152jに表示される内容の決定に係る処理においても同様である。
【0223】
制御装置20の演算部23は、解体用機器15から受信した情報に含まれるシリアルとNG品管理テーブルUに含まれるレコードの「個体管理シリアル」とを照合し、当該シリアルに対応するレコードの「NG発生工程」及び「NGコード」のフィールドの登録内容を取得する。同一のシリアルが複数存在する場合は「解体済フラグ」が「False」のレコードから取得する。演算部23は、NGモードデータD11を参照し、取得された登録内容の「NG発生工程」と「NGコード」の組み合わせに対応するレコードを特定する。演算部23は、NGモードデータD11を参照して特定されたレコードの「詳細」の登録内容を表示領域152cの表示内容として取得する。演算部23は、このようにして取得された表示内容を示す情報を、通信部21を介して解体用機器15に送信する。解体用機器15の動作制御部41は、受信した情報に含まれる表示内容を表示領域152cに表示させるようタッチパネル152の動作を制御する。なお、この動作制御部41の機能は、制御装置20が内包していてもよい。
【0224】
「部品名」の表示領域152eは、解体作業後のワーク等の名称を一覧表示する。より厳密には、実施形態では作業中の手順で外す個体が表示される。従って、
図41では、(手順1(丸の内側に1の数字の記号)の時にブラケットだけが表示される。演算部23は、表示領域152cの表示内容の決定に際して取得された「NG発生工程」と「NGコード」の組み合わせに対応する解体モードの特定を解体モードデータD12を参照して行う。なお、この特定は、さらに連続NG回数が考慮されるが、それについては後述する。
【0225】
演算部23は、「NG発生工程」と「NGコード」の組み合わせに対応する解体モードで生じるワーク等の「No」を、解体マスターD14を参照して特定する。例えば、解体モード3である場合、「3」、「8」、「9」、「10」、「11」が当該解体モードで生じるワーク等の「No」として特定される。演算部23は、解体マスターD14を参照して特定されたワーク等の「No」の各々の名称について、BOMマスターD13を参照して対応するレコードを特定し、特定されたレコードの「名称」のフィールドの登録内容を表示領域152eの表示内容として取得する。演算部23は、このようにして取得された表示内容を示す情報を、通信部21を介して解体用機器15に送信する。解体用機器15の動作制御部41は、受信した情報に含まれる表示内容を表示領域152eに表示させるようタッチパネル152の動作を制御する。なお、この動作制御部41の機能は、制御装置20が内包していてもよい。
【0226】
なお、表示領域152eで一覧表示されるワーク等の名称の各々のレコードには、
図41に示すように、再利用ボタンBU1と、廃却ボタンBU2とが設けられる。再利用ボタンBU1及び廃却ボタンBU2は、作業者が解体後のワーク等の再利用又は廃却を手動で選択する場合に利用され、タッチ操作に応じて反応する。
【0227】
さらに、表示領域152eで一覧表示されるワーク等の名称の各々のレコードには、再利用回数を示す情報が付加的に表示される。この再利用回数については、後述する再投入カウンタECを参照して特定される。
【0228】
また、タッチパネル152に表示される表示内容は、「解体手順」の項目に対応する表示領域152fを有する。表示領域152fと表示領域152gの表示内容を参照して、作業者は解体作業の手順を把握できる。演算部23は、表示領域152eの表示内容の決定に際して特定された解体モードに対応する「解体手順」の表示内容を記憶部22から読み出して取得する。解体モード毎の「解体手順」と、表示領域152gで表示される「解体指示写真」の表示内容を示すデータ(例えば、後述する手順データD15)は、予め記憶部22に記憶されている。演算部23は、手順データD15を参照して表示領域152eの表示内容の決定に際して特定された解体モードに対応する「解体手順」の表示内容を取得する。演算部23は、このようにして取得された表示内容を示す情報を、通信部21を介して解体用機器15に送信する。解体用機器15の動作制御部41は、受信した情報に含まれる表示内容を表示領域152fと表示領域152gに表示させるようタッチパネル152の動作を制御する。
【0229】
図42は、手順データD15の一例を示す図である。手順データD15は、「手順No」のカラムと、「作業内容」のカラムと、「再利用可(再利用or廃却)」のカラムと、「再利用不可(廃却のみ)」のカラムと、「写真」のカラムとを有する。
【0230】
「手順No」のフィールドには、表示領域152fに表示される「解体手順」の表示順に対応する番号(数値)が登録される。すなわち、表示領域152fにおける上から下に向かう「解体手順」の並び順に対応する番号が、当該「手順No」のフィールドに登録されている。
図41と
図42との対応関係では、
図42における「手順No」のフィールドに登録されている数値が
図41の表示領域152fにおいて丸付き数字になっているが、このような表示編集は必須なものでない。なお、「手順No」のフィールドに丸付き数字を登録可能としてもよいし、表示領域152fにおいて丸付き数字でなく単なる数字を表示してもよい。「作業内容」のフィールドには、表示領域152fに表示される「解体手順」の表示内容に直接対応する文字列が登録される。従って、手順データD15の各々のレコードにおける「手順No」と「作業内容」との組み合わせによって、表示領域152fにおける表示順と表示内容が決定している。
【0231】
「再利用可(再利用or廃却)」のフィールドには、表示領域152fに表示された「解体手順」に従って解体作業が行われた結果生じるワーク等のうち、再利用されるワーク等を示す情報が登録される。当該情報は、BOMマスターD13における「部品名」に対応したものが表記されているが、記憶部22にはBOMマスターの部品Noが登録されておれば、演算部23がBOMマスターと手順データD15を取得して、「部品名」を特定する仕組みとしてもよい。
【0232】
図42に示す手順データD15において「作業No」が「1」であるレコードは、「再利用可(再利用or廃却)」のフィールドに「部品No10」が登録されている。これは、「作業No」が「1」であるレコードに対応して表示領域152fで表示された解体手順が行われた場合、「部品No10」という名称の部品が解体元のワークから再利用可能な状態で取り外されることを示している。また、
図42に示す手順データD15において「作業No」が「2」であるレコードは、「再利用可(再利用or廃却)」のフィールドに「部品No11」が登録されている。これは、「作業No」が「2」であるレコードに対応して表示領域152fで表示された解体手順が行われた場合、「部品No11」という名称の部品が解体元のワークから再利用可能な状態で取り外されることを示している。また、
図42に示す手順データD15において「作業No」が「4」であるレコードは、「再利用可(再利用or廃却)」のフィールドに「部品No9」と「部品No3」が登録されている。これは、「作業No」が「4」であるレコードに対応して表示領域152fで表示された解体手順が行われた場合、解体元のワークが「部品No9」と「部品No3」に分離されて再利用可能な状態となることを示している。
【0233】
「再利用不可(廃却のみ)」のフィールドには、表示領域152fに表示された「解体手順」に従って解体作業が行われた結果生じるワーク等のうち、再利用されないワーク等を示す情報が登録される。例えば、
図42に示す手順データD15において「作業No」が「3」であるレコードは、「再利用不可(廃却のみ)」のフィールドに「部品No8」が登録されている。これは、「作業No」が「3」であるレコードに対応して表示領域152fで表示された解体手順が行われた場合、「部品No8」という名称の部品(実際には、Lot部品の一種)が解体元のワークから再利用不可能な状態で取り外されることを示している。
【0234】
「写真」のフィールドには、表示領域152gの表示内容に対応する画像データに関する情報が登録されている。なお、
図42に示す例では、分かりやすさを目的として「写真」のフィールドの登録内容自体が画像になっているが、画像データの所在を示すハイパーリンク又はデータのパス(path)として機能する文字列等が登録されていてもよい。なお、
図41や
図42、後述する
図48、
図49等では、解体後のワーク等の各々の外観を矩形や円形の組み合わせで示しているが、これは実際の解体後のワークの形態を示すものでなく、便宜的なものである。
【0235】
さらに、
図42では図示しないが、手順データD15は、解体後のワーク等が全体工程に含まれる複数の工程のうちどの工程に再投入されるかを示す情報を含む。当該情報は、例えば、
図41に示すタッチパネル152の表示内容に従って解体作業が行われた後に表示される再投入指示書表示画面152kで表示される。
【0236】
図43は、再投入指示書表示画面152kの一例を示す図である。再投入指示書表示画面152kは、タッチパネル152の表示態様の一つである。すなわち、
図41に示す表示内容も、
図43に示す表示内容も、タッチパネル152で表示される。なお、解体用機器15に複数のタッチパネル152が設けられ、当該複数のタッチパネル152の一つで
図41に示す表示内容を表示し、他の一つで
図43に示す再投入指示書表示画面152kを表示するようにしてもよい。
【0237】
再投入指示書表示画面152kの表示内容は、「再投入部品」のカラムと、「再投入先」のカラムとを含むテーブルデータである。「再投入部品」のフィールドには、「再利用可(再利用or廃却)」のフィールドに登録されている内容が反映される。「再投入先」のフィールドには、解体作業によって解体元から独立したワーク等であって、再利用されるワーク等が再投入される工程IDが反映されている。
図43に示す例では、解体作業によって生じた「部品No9」が「PRCS16」の工程IDを付された工程に再投入され、「部品No3」が「PRCS11」の工程IDを付された工程に再投入されることが示されている。再投入指示書表示画面152kのような表示内容を実現するデータ構成例として、手順データD15の内容に、さらに
図43に示す「再投入先」のカラムを加えることが挙げられる。これによって、動作制御部41は、手順データD15の「再利用可(再利用or廃却)」のカラムの内容を再投入指示書表示画面152kにおける「再投入部品」のカラムの内容として、「再投入部品」と「再投入先」との対応関係を示す再投入指示書表示画面152kを手順データD15に基づいて表示できる。
【0238】
このように、手順データD15に含まれる1つのレコードにおける「再利用可(再利用or廃却)」と「再投入先」のフィールドの登録内容の組み合わせと、手順データD15とBOMマスターD13との組み合わせと、によって、解体後のワーク等がそれぞれどの工程に再投入されるのかを特定可能になっている。「再利用可(再利用or廃却)」、すなわち、
図43における「再投入部品」と「再投入先」との組み合わせによって、「部品No9」が「PRCS16」の工程IDを付された工程に再投入され、「部品No3」が「PRCS11」の工程IDを付された工程に再投入されることが特定可能になっている。さらに、手順データD15におけるBOMマスターD13において「9」の「No」を付された部品から、「モータECU」がであり、手順データD15におけるBOMマスターD13において「3」の「No」を付されたワークが「部品Assy」であることが、BOMマスターD13によって特定可能になっている。さらに、このようにBOMマスターD13の「No」で管理されるワーク等が解体作業によって生じることが、解体マスターD14によって示されている。
【0239】
なお、再投入指示書表示画面152kの「再投入部品」では、
図41に示す「再利用可(再利用or廃却)」のフィールドに登録されている内容のうち、「部品No10」と「部品No11」が含まれていないが、これは「部品No10」と「部品No11」が再利用回数の上限に達したことで再利用の対象から外されて廃却されるものとして制御装置20の演算部23に判定されたことによる。再利用回数の上限に関する具体的説明は後述する。
【0240】
なお、
図41で例示する表示領域152fの表示内容は、丸数字の1番から4番までの4つの手順を列挙する内容であるが、これに限られるものでなく、手順データD15のレコード数に対応する。表示領域152fの表示内容及び手順データD15のレコード数は、3つ以下の手順であってもよいし、5つ以上の手順であってもよい。また、各手順の内容も、
図41で例示する内容に限られるものでなく、解体モード毎の解体作業の具体的な内容に対応する内容となる。
【0241】
図41に示す例では、1番目の手順が強調表示されている。これは、行われている解体作業の工程が1番目の手順を実施する工程であることを示す。係る強調表示の対象は、作業者が行う所定の作業に従って遷移する。当該所定の作業として、例えば解体作業で生じた解体後のワーク等を再利用パレット153又はNGシューター154に移動させることで、当該工程が完了したものとして判定される。表示領域152gの表示内容は、表示領域152fで強調表示され、現在進行中であるものと解されている工程に対応する。表示領域152fの表示内容と表示領域152gの表示内容との対応関係は、手順データD15のレコード単位の登録内容によって裏付けられる。動作制御部41は、まず、手順データD15において「手順No」が「1」であるレコードの「作業内容」に対応した表示領域152fの表示と当該レコードの「写真」に対応した表示領域152gの表示とをタッチパネル152に行わせる。その後、解体作業で生じた解体後のワーク等(例えば、部品No10)が再利用パレット153又はNGシューター154に移動されることで、動作制御部41は、表示領域152f及び表示領域152gの表示内容を、手順データD15において「手順No」が「2」であるレコードに対応したものに変更する。以降、解体作業の進行に応じて同様に表示領域152f及び表示領域152gの表示内容の変更が行われる。表示領域152fに表示された全ての工程が完了すると、制御装置20の演算部23は、当該表示領域152fの表示内容に応じて解体作業が行われた「解体前のワーク」のシリアルが登録されたNG品管理テーブルUのレコードの「解体済フラグ」のフィールドの値を「True」にする。言い換えれば、NG品管理テーブルUのレコードの「解体済フラグ」のフィールドの値(初期値)は、解体用機器15における解体作業が完了するまで「False」である。
【0242】
図44は、
図40に示す解体用機器15の再利用パレット153の開閉蓋153aが開いた状態を示す図である。
図45は、
図40に示す解体用機器15のNGシューター154の開閉蓋154aが開いた状態を示す図である。再利用パレット153及びNGシューター154は、解体後のワーク等を載置可能に設けられた解体用機器15の開口部を有する。当該開口部は、個別の可動蓋によって開閉可能に設けられる。再利用パレット153には、開閉蓋153aが設けられる。NGシューター154には、開閉蓋154aが設けられる。開閉蓋153a、154aは、解体用機器15の駆動部36の動作に応じて開閉する。
【0243】
再利用パレット153又はNGシューター154のどちらが開放され、どちらが閉鎖されるかは、解体後のワーク等が廃却となる条件が満たされない限り、再利用パレット153が開放され、NGシューター154が閉鎖されるようになっている。なお、解体後のワークを廃却することを当該ワークの廃却ボタンBU2に対する入力によって作業者が選択可能となっていてもよい。その場合、当該ワークについては解体後のワーク等が廃却となる条件が満たされたものとされ、NGシューター154が開放され、再利用パレット153が閉鎖される。なお、この場合、再利用ボタンBU1に対する入力によって、再度再利用パレット153が開放され、NGシューター154が閉鎖された状態にすることもできる。また、後述する再利用回数の限度回数に達した解体後のワーク等についても、解体後のワーク等が廃却となる条件が満たされたものとされる。解体用機器15の動作制御部41は、解体後のワーク等が廃却となる条件が満たされているかに応じて開閉蓋153a,154aを動作させるよう駆動部36の動作を制御する。なお、この動作制御部41の機能は、制御装置20が内包していてもよい。
【0244】
再利用パレット153とNGシューター154にはそれぞれセンシング部39のようにワークを検出可能な構成が設けられ、それぞれに設けられたセンシング部39の検出結果に応じてワークが適正に再利用又は廃却の手順を踏んでいるかが判定可能になっている。なお、係るセンシング部39は、例えば、再利用パレット153(又はNGシューター154)に置かれたワーク等の画像を撮像して当該ワーク等のシリアルを検出可能な構成であるが、これに限られるものでない。単に何らかのワークが置かれたことを検知する接触センサ又は重量センサのような構成であってもよい。その場合、解体用機器15の動作制御部41は、センサの検出によって「手順に対応した解体後のワーク等」が置かれたものとみなす。その場合、ワーク等の画像を撮像する機能はなくてもよい。解体用機器15の動作制御部41は、再利用パレット153(又はNGシューター154)のセンシング部39の検出結果に応じて強調表示の対象を、現在強調表示されている番号の手順から当該番号+1の手順に遷移させる。例えば、
図41に示すように「部品No10を外す。」という手順に対応して部品No10が再利用パレット153(又はNGシューター154)に載置された場合、動作制御部41は、強調表示の対象を2番目の「部品No11を外す。」に遷移させる。これに伴い、表示領域152eの表示内容は、
図41で例示する「部品No10」に関する内容から「部品No11」に関する内容へと切り替わる。他の手順へ強調表示の対象が移行する場合についても、同様の仕組みで行われる。
【0245】
さらに、タッチパネル152に表示される表示内容は、上述したように、「解体手順」のうち現在選択されている手順に対応する解体内容の模式図を表示する表示領域152gを有する。上述したように、当該表示領域152gの表示内容は、表示領域152fにおける強調表示の対象に対応する。上述したように、表示領域152gの表示内容に対応する画像データは、手順データD15に含まれる。演算部23は、手順データD15を参照して表示領域152eの表示内容の決定に際して特定された解体モードに対応する「解体手順」の表示内容に対応する画像データを取得する。演算部23は、このようにして取得された画像データを、通信部21を介して解体用機器15に送信する。なお、表示領域152gに表示される画像データは解体用機器15の中で保持し、解体の進行に応じて表示する画像のアクセスパスを切り替えるようにしてもよい。解体用機器15の動作制御部41は、受信した情報に含まれる画像データのうち表示領域152fにおける強調表示の対象に対応するものを表示領域152gに表示させるようタッチパネル152の動作を制御する。なお、この動作制御部41の機能は、制御装置20が内包していてもよい。
【0246】
さらに、タッチパネル152に表示される表示内容は、「解体手順」のうち現在選択されている手順で生じるワーク等の処分方法を示す表示領域152hを有する。表示領域152hは、再利用パレット153、NGシューター154又は後述する再利用IDタグ発行部156のいずれが使用されるのかに応じた内容が表示される。当該表示領域152hの表示内容は、表示領域152fにおける強調表示の対象の手順を実行することで解体前のワークから外される解体後のワーク等に対応する。例えば、表示領域152fで「部品No10を外す。」が強調表示されている場合、表示領域152hの表示内容は「部品No10」になる。また、表示領域152hの表示領域には、複数の表示位置が設けられている。複数の表示位置を設けることに代えて、1つの表示位置で表示内容を切り替えてもよい。再利用パレット153が開放されている場合、「を再利用パレットに置いてください」に対応する表示位置に当該表示内容が表示される。NGシューター154が開放されている場合、「をNGシューターに廃棄してください」に対応する表示位置に当該表示内容が表示される。後述する再利用IDタグ発行部156が使用される手順である場合、「に再利用IDタグを付けてください」に対応する表示位置に当該表示内容が表示される。
【0247】
また、タッチパネル152に表示される表示内容は、「解体回数」の表示領域152jを有する。表示領域152jの表示制御については後述する。
【0248】
再利用パレット153に置かれた解体後のワーク等は、BOMマスターD13および工程順序マスターD2によって予め定められた工程に再投入可能になる。なお、再利用パレット153に置かれた解体後のワーク等のシリアルが工程順序マスターD2によって予め定められた工程に再投入可能になるタイミングは、任意である。例えば、当該タイミングは、1つの解体モードに含まれる各手順の実施に応じて解体前のワークから外される解体後のワークが再利用パレット153に置かれる毎に各解体後のワークに個別に生じるものであってもよい。また、当該タイミングは、1つの解体モードに含まれる最後の手順の実施に応じて解体前のワークから外される解体後のワークが再利用パレット153に置かれることで、当該解体モードで生じる全ての解体後のワーク等に対して同時に生じるものであってもよい。
【0249】
解体後のワークのシリアルは、解体作業が完了するまでの間、実績登録データMにおいて「状態」のフィールドが「異常終了」であったレコードに登録されている各部品のシリアルに基づいて特定可能である。すなわち、解体後のワーク等は、当然、Lot部品を除いてシリアルを個別に与えられた状態で解体前のワークに組付けられていたワーク等であるので、Lot部品を除いて各々がシリアルを有する。どのシリアルがどの部品であるのかの特定は、管理個体シリアルマスターD6に基づいて特定可能である。従って、BOMマスターD13で管理されるワーク等のいずれかである「解体後のワーク等」のシリアルは、実績登録データMや管理個体シリアルマスターD6との関係に基づいて演算部23によって特定可能である。
【0250】
1つの解体モードに含まれる全ての解体手順が完了されると、解体用機器15の動作制御部41が、通信部31を介して、解体作業の完了を示す情報と、当該解体作業で解体された解体前のワークの個体管理シリアルを示す情報を含む完了通知情報を制御装置20へ送信する。ここで、当該解体作業で解体された解体前のワークの個体管理シリアルは、当該解体作業の開始時に解体用機器15の個体管理シリアル読取部33で読み取られたシリアルである。制御装置20の演算部23は、当該完了通知情報を受信すると、実績登録データMにおいて「状態」のフィールドが「異常終了」であったレコードのうち当該解体作業で解体された解体前のワークの個体管理シリアルが「個体管理シリアル1(親部品)」のフィールドに登録されているレコードの「状態」を「解体済み」にする。ここで、「状態」に登録される内容を、「どの解体モードで解体済み」であるかをさらに示す情報が付加された内容としてもよい。
【0251】
実施形態では、「解体済み」である実績登録データMのレコードはその時点で内容が確定して残存し続ける。再投入された解体後のワーク等の親部品を含むワークは、再投入されることに応じて新たなレコードで管理される。再投入された解体後のワーク等のうち親部品から外された子部品は、必ずしも同一の親部品と再度組付けられる必要はない。どの親部品のワークにどの再投入済みの子部品のワーク等が組付けられたかは、実績登録データMの「解体済み」のレコードと、実績登録データMの「解体済み」以外のレコードとで重複するシリアルがあるか否かによって特定可能である。なぜなら、再投入された子部品は再投入でない通常の子部品と同様にいずれかの親部品と組み付けられるが、再投入された子部品は通常の子部品と異なり、実績登録データMの「解体済み」のレコードに登録されている。すなわち、実績登録データMに同一のシリアルが含まれる場合、それは1つ以上の「解体済み」のレコードと、他の1つの「解体済み」でないレコードとに含まれることになる。演算部23は、このような仕組みで解体後のワーク等を管理可能である。
【0252】
なお、再利用パレット153から再投入対象となる工程の機器10でどのように解体後のワーク等を移動させるかは任意である。例えば、再利用パレット153と再投入対象となる工程の正常品置場(又は初期部品置場51)との間で部品を搭載して移動するよう設けられたベルトコンベアやAGV(Automated guided vehicle)等の機械を利用して自動的に解体後のワーク等を移動させるようにしてもよいし、ヒト(作業者等)による運搬を介してもよい。ただし、演算部23は、実績登録データMのレコードのうち「状態」が「異常完了」であるレコードに登録されている全てのシリアルについて、いずれの工程の機器10の個体管理シリアル読取部33でシリアルが読み取られてもエラーとする。すなわち、実績登録データMで「異常完了」になっているレコードに含まれるシリアルがいずれかの工程の個体管理シリアル読取部33で読み取られた場合、後述するステップS42の処理の後にステップS43の処理に移行せず、ステップS47の処理のように所謂エラーとしての対応が行われる。また、実績登録データMで「解体済み」になっているレコードに含まれるシリアルについては、BOMマスターD13の「投入先」のフィールドに登録されている工程(再投入対象の工程)に設けられた機器10の個体管理シリアル読取部33以外で読み取られた場合、後述するステップS42の処理の後にステップS43の処理に移行せず、ステップS47の処理のように所謂エラーとしての対応が行われる。
【0253】
NGシューター154に置かれた解体後のワーク等は、再投入不可になる。具体的には、廃却となる条件が満たされた状態でNGシューター154に置かれた解体後のワーク等のシリアルを示すデータは、解体用機器15の動作制御部41によって通信部31を介して制御装置20に送信される。演算部23は、当該データに含まれるシリアルを図示しない廃却シリアルデータに記録する。廃却シリアルデータに記録されているシリアルを与えられたワーク等は、どの工程の機器10の個体管理シリアル読取部33に読み取られたとしても、演算部23による処理(後述するステップS42の処理とステップS43の処理との間で行われる図示しない再投入判定処理)でエラーとなる。すなわち、ステップS47の処理のように所謂エラーとしての対応が行われる。廃却シリアルデータは、例えば記憶部22に記憶されるが、演算部23が参照可能な他の記憶装置に記憶されていてもよい。
【0254】
工具置場155には、解体作業で利用可能な工具(例えば、ドライバー等)が用意されている。当該工具は、解体用機器15で解体作業を行う作業者が利用可能に設けられている。他に、解体後に再投入されるLot部品に取り付けられるIDタグやバーコード発行装置などが置かれていてもよい。
【0255】
次に、あるワークについて、再投入前後で同一の工程で異常完了が連続して生じた場合の取り扱いについて説明する。
【0256】
ある「親部品のシリアル」、すなわち「個体管理シリアル」を有するワークのレコードがNG品管理テーブルUに登録される場合、それまでにNG品管理テーブルUに当該「個体管理シリアル」が登録されていない場合、当該「個体管理シリアル」がフィールドに登録されたレコードが新規生成される。また、既にNG品管理テーブルUに当該「個体管理シリアル」が登録されていたとしても、「NG発生工程」の工程IDと「NGコード」の番号との組み合わせが異なる場合、レコードは「NG発生工程」の工程IDと「NGコード」の番号との組み合わせ毎に個別に管理される。すなわち、最新の「異常完了」工程の工程IDと、当該最新の「異常完了」を生じた「個体管理シリアル」との組み合わせに対応するレコードがNG品管理テーブルUに登録済みでないならば、当該「個体管理シリアル」と「NG発生工程」と「NGコード」の組み合わせによるレコードが新規生成される。ここで、新規作成されたNG品管理テーブルUのレコードの「連続NG回数」は、初期値(例えば、0)である。
【0257】
「連続NG回数」が初期値である場合、解体モードデータD12を参照して決定される解体モードは、「NG回数1回目」のカラムに含まれるフィールドに登録されている解体モードになる。なお、「NG発生工程」と「NGコード」の組み合わせによる条件は、上述の通りである。
【0258】
NG品管理テーブルUに「個体管理シリアル」が登録されたワークは、解体前のワークとして扱われる。その後、上述のように、解体用機器15での解体作業が行われ、解体後のワーク等が生じる。ここで、解体後のワーク等のうち「親部品のシリアル」、すなわち「個体管理シリアル」を有するワークが再度同じ工程、同じNG内容(NGコード)で「異常完了」を生じたとする。その場合、演算部23は、当該「異常完了」を生じた「個体管理シリアル」と「NG発生工程」と「NGコード」の組み合わせに対応するレコードの「NG発生工程」の値をインクリメント(+1)する。従って、例えば3回連続で同一の親部品を含むワークが同じ工程、同じNG内容(NGコード)で「異常完了」を生じたとすると、「NG発生工程」の値は、初期値+2(2)になる。
【0259】
「連続NG回数」が初期値+1である場合、解体モードデータD12を参照して決定される解体モードは、「NG回数2回目」のカラムに含まれるフィールドに登録されている解体モードになる。また、「連続NG回数」が初期値+2である場合、解体モードデータD12を参照して決定される解体モードは、「NG回数3回目」のカラムに含まれるフィールドに登録されている解体モードになる。なお、「NG発生工程」と「NGコード」の組み合わせによる条件は、上述の通りである。
【0260】
演算部23は、タッチパネル152に表示される各種の情報に対応するデータを通信部21を介して解体用機器15へ送信するとともに、表示領域152jに表示される解体回数:q回目の「q」の値を示す情報を通信部21を介して解体用機器15へ送信する。ここで、qは、「連続NG回数」の値+1である。解体用機器15の動作制御部41は、受信した情報に含まれる「q」の値を表示領域152jに表示させるようタッチパネル152の動作を制御する。なお、この動作制御部41の機能は、制御装置20が内包していてもよい。
【0261】
解体モードデータD12に登録されている「NG回数」(r)の最大値を超えた場合の対処は任意である。例えば、「連続NG回数」が初期値+2以上であるならば「NG回数3回目」が適用され続けるようにしてもよいし、「連続NG回数」が初期値+r以上であるならばその「個体管理シリアル」を有するワークは、解体後のワーク等が廃却となる条件が満たされ、廃却対象としてNGシューター154に置かれるよう演算部23に決定されるルールであってもよい。係るルールを示すデータは、予め記憶部22等の演算部23が参照可能な記憶装置に記憶されている。
【0262】
次に、解体後のワーク等のうち子部品として扱われるものの再利用回数の管理について説明する。
【0263】
図46は、再投入カウンタECの一例を示す図である。再投入カウンタECは、再投入された解体後のワーク等のうち子部品として扱われるものがどの親部品に組付けられたかを管理するためのカウンタである。
【0264】
再投入カウンタECは、「個体管理シリアル」のカラムと、カウンタの値が登録されるカラムとを有するデータである。カウンタの値が登録されるカラムとして
図46に示されている「部品再利用回数」欄は、BOMマスターD13の「No」の各々に対応するカラムを含む。
【0265】
再投入カウンタECのカウンタの値は、上述の実績登録データMにおいて「状態」が「解体済み」であるレコードと、「状態」が「解体済み」でないレコードとで重複しているシリアルの数に応じて値が登録される。演算部23は、実績登録データMで2回以上重複して登録されたシリアルがあるかチェックする。実績登録データMで2回以上重複して登録されたシリアルがある場合、当該シリアルを含むレコードのうち「状態」が「解体済み」でないレコードの「個体管理シリアル1(親部品)」のフィールドに登録されているシリアルと同一のシリアルを再投入カウンタECの「個体管理シリアル」のフィールドに登録する。また、演算部23は、当該「状態」が「解体済み」でないレコードに含まれるシリアルが実績登録データMで登録されている数から1を減じた値を、当該シリアルに対応する「No」のフィールドの値として登録する。なお、「No」とシリアルとの対応関係の特定については、記憶部22に記憶される各種のデータの組み合わせに基づいて特定可能である。具体例を挙げると、実績登録データMにおける親部品のシリアルのうち、再利用部品が組付けられた親部品のシリアルは、再投入カウンタECに登録される。当該親部品のうち、再利用部品として投入された子部品のシリアルは、解体作業前に当該子部品が組付けられていた親部品の情報を実績登録データMにおいて登録していたレコードによって特定可能である。制御装置20の演算部23は、解体作業が生じる場合、解体作業後に生じる部品であって再利用、再投入される子部品のシリアルを実績登録データMを参照して特定する。ここで、当該子部品のシリアルと、BOMマスター(BOMマスターD13)における「No」との関係は、製品マスターD7の「No」と「個体管理シリアル」との関係によって特定可能である。そして、再投入後に行われた生産ラインにおける製造工程で当該子部品のシリアルを付された子部品が組付けられた親部品の情報として、当該子部品のシリアルを実績登録データMにおける当該親部品のレコードに登録する。さらに、制御装置20の演算部23は、当該親部品のシリアルを再投入カウンタECに登録する。これによって対応関係が成立する。なお、再投入カウンタECに登録されたシリアルと、BOMマスター(BOMマスターD13)における「No」との関係は、製品マスターD7の「No」と「個体管理シリアル」との関係によって特定可能である。また、再投入カウンタECにおいて、どの「No」の部品が再利用、再投入された部品であるのかは、実績登録データMにおける当該親品のレコードと、製品マスターD7の「No」と「個体管理シリアル」との関係によって特定可能である。このように、記憶部22は、解体後のワーク及び解体後の部品を個別に識別するための情報を記憶する。また、この処理内容では、再投入カウンタECによって実質上「親部品のシリアル」の重複回数も管理されるが、「親部品のシリアル」を除外するようにしてもよい。
【0266】
なお、再投入カウンタECでは、解体作業後に独立したワーク等の各々について個別のレコードが設けられる。
図46に示す例では、「HS002」、「MO002」、「HS002」のシリアルを付されたワーク等が再投入カウンタECの個別のレコードで管理されている例をしめしている。
【0267】
また、再利用可能な構成同士が組付けられた場合、再投入カウンタECにおける管理は統合される。
図47は、
図46で個別に管理されていた構成同士が組付けられた後の再投入カウンタECの一例を示す図である。例えば、
図46における「MO002」のシリアルを付された子部品が「HS002」のシリアルを付された親部品に対して解体作業後に再度実施された生産ラインでの製造工程で組付けられた場合、
図47に示すように、
図46における「MO002」のレコードが削除され、「HS002」に統合される。
図46において「MO002」のレコードでは「No」のうち「9」のフィールドに「1」が設定され、他のフィールドに「0」が設定されていた。従って、
図46において「HS002」のレコードの「9」のフィールドが「0」であったのに対し、
図47では、当該フィールドが「1」になっている。
【0268】
解体作業の対象となった解体前のワークの個体管理シリアルを含むレコードが再投入カウンタECに登録されている場合、当該レコードの「No」のフィールドに登録されている値が
図41における表示領域152eの再利用回数に反映される。一方、解体作業の対象となった解体前のワークの個体管理シリアルを含むレコードが再投入カウンタECに登録されていない場合、
図41における表示領域152eの再利用回数は0になる。
【0269】
次に、「再利用回数上限」について説明する。再利用回数が予め定められた限度回数以上になると、「再利用」と「廃却」のうち「廃却」のみが選択可能になり、「再利用」が選択不可能になるという制限を設けてもよい。このように、再利用回数に基づいて解体後のワーク等が廃却となる条件が満たされるようにしてもよい。この場合、限度回数の値は例えば3であるが、2以下であってもよいし4以上であってもよい。また、限度回数はワーク、部品の種類を問わず共通であってもよいし、個別にさだめられてもよい。限度回数を示すデータは、記憶部22等の演算部23が参照可能な他の記憶装置に記憶される。
【0270】
実施形態では、BOMマスターD13の「再利用回数上限」のフィールドに登録された値によって各ワーク等の再利用回数の限度回数が定められている。例えば、BOMマスターD13において「No」が「3」、「9」であるレコードでは「再利用回数上限」が2であるので、部品Assy、モータECUの再利用回数の限度回数は2である。また、BOMマスターD13において「No」が「10」、「11」であるレコードでは「再利用回数上限」が1であるので、ブラケット、レバーの再利用回数の限度回数は1である。また、BOMマスターD13において「No」が「8」であるレコードでは「再利用回数上限」が0であるので、ボルトの再利用回数の限度回数は0、すなわち再利用不可である。
【0271】
動作制御部41は、
図41を参照して説明したタッチパネル152の表示制御において、解体作業後に生じるワーク等の再利用回数の限度回数を示す表示をさらに行う。
図41では、例えば「部品Assy」の再利用回数が「1/2」となっている。これは、過去の実績としての当該部品Assyの既再利用回数が1であり、BOMマスターD13で定められる部品Assyの再利用回数の限度回数が2であることを示している。
図41における他の再利用回数の表示についても、同様に解釈できる。なお、分母(再利用回数の限度回数)が0であるもの及び分母と分子(既再利用回数)とが等しいものは、再利用不可となり、廃却対象となる。従って、
図41に示す例では、ブラケット、レバー及びボルトが廃却対象となり、再利用ボタンBU1を選択不可能になっている。また、
図42で例示した再投入指示書表示画面152kでブラケット及びレバーが表示に含まれないのは、このように分母と分子(既再利用回数)とが等しくなって廃却対象とされたことによる。動作制御部41は、このように再利用回数の限度回数に至ったワーク等について、再利用させずに廃却させるための表示制御を行う。
【0272】
次に、解体後のワーク等のうち、Lot部品に関する特筆事項について説明する。
【0273】
解体用機器15は、上述のように、再利用IDタグ発行部156を備える。再利用IDタグ発行部156は、例えば、Lot部品に付与されるIDが画像形成された媒体(紙等)を出力する画像形成装置(プリンタ)を構成に含む。ここで、Lot部品に付与されるIDは、演算部23がランダム又は予め記憶部22に記憶されたルールに従って生成する。演算部23は、生成された当該IDを記憶部22に記憶させる。また、演算部23は、通信部21を介して当該IDを示す情報を解体用機器15に送信する。解体用機器15の動作制御部41は、受信した情報に含まれる当該IDを媒体に画像形成して出力するよう、再利用IDタグ発行部156を動作させる。解体用機器15で解体前のワークから外されて再投入されるLot部品は、当該媒体と対応付けられて管理されて再投入される。再投入されたLot部品のIDは、実績登録データMと記憶部22に記憶された当該IDとの対応関係によって管理される。すなわち、再投入されたLot部品のIDが、実績登録データMにおける「組付けLot部品ID1」等のフィールドに登録されることで、Lot部品に付与されるIDと、当該IDが付されたLot部品が組付けられた親部品のシリアルとの関係が対応付けられる。
【0274】
図48は、再利用パレット153に再利用部品として載置されたワーク等の一例を示す模式図である。
図48に示す例では、ワークPT1、部品PT2、Lot部品PT3,PT4が再利用パレット153に載置されている。このうち、Lot部品PT3には再利用IDタグID1が付されている。また、Lot部品PT4には再利用IDタグID2が付されている。再利用IDタグID1,ID2は、再利用IDタグ発行部156で発行された再利用IDタグが付されている。
【0275】
なお、再利用パレット153は、解体作業で生じる複数種類のワーク等を個別に載置可能に設けられてもよい。
図49は、解体作業で生じる複数種類のワーク等を個別に載置可能に設けられた再利用パレット153Aを示す模式図である。再利用パレット153Aは、
図48で例示したワークPT1、部品PT2、Lot部品PT3,PT4を種類別に区分するための仕切りを有する点を除いて、再利用パレット153と同様である。
【0276】
なお、
図33から
図49を参照した説明では、工程での異常発生時に適用される対処のルールが別途定められている工程が、複数の工程のうち一部の工程であるが、複数の工程の全ての工程であってもよい。また、複数の工程で共通して利用される工程IDとNGコードの番号との組み合わせがあってもよい。例えば、解体モードデータD12における「PRCS00」の工程IDは、解体マスターD14の「解体モード5」で例示するように、解体後のワーク等が「5」、「6」、「7」、「8」、「9」、「10」、「11」の「No」を付されたワーク等(BOMマスターD13参照)になる工程であって、解体モードデータD12に個別の工程IDが登録されていない全ての工程(例えば、「P-22」及び「P-25」)に適用されるものであってもよい。この例のように、工程IDのワイルドカードとして機能する特別なID(例えば、「PRCS00」)を利用して、複数の工程で共通する解体作業の内容を定めるようにしてもよい。また、複数の工程の全てについて、個別に工程での異常発生時に適用される対処のルールが定められてもよいし、上述の工程IDのワイルドカードとしての機能を利用して、工程ID毎の作業内容(解体モード)が定められていない工程については一律で共通の作業内容が適用されることにしてもよい。また、「解体モード」と同様の取り扱いで、解体せず廃却のみを行う作業内容をさらに設け、一部の工程で異常が発生した場合に廃却のみを行う作業内容が適用されるよう解体モードデータD12、解体マスターD14、手順データD15等にデータを追加するようにしてもよい。また、BOMマスターD13はデータB1と独立して設けられてもよいし、BOMマスターD13がデータB1を含むデータとして設けられてもよい。言い換えれば、BOMマスターD13があることによって、データB1の全ての機能をBOMマスターD13が兼ねることができる。
【0277】
次に、異常製品の取り扱いで生じ得る異常の管理について説明する。異常製品とは、例えば、実績登録データMで「状態」のフィールドに「異常完了」を示す旨の登録が行われるレコードの「個体管理シリアル」のフィールドに登録されているシリアル付与された構成を親部品とするワークである。これは、複数の工程のいずれかで異常を生じた結果、個体管理ワーク状態テーブルT、実績登録データM及びNG品管理テーブルUに対応するレコードが登録されることから、そのようにして個体管理ワーク状態テーブルT、実績登録データM及びNG品管理テーブルUで管理される未完成の製品としてのワークは、異常製品である。
【0278】
個体管理ワーク状態テーブルTで「状態」が「異常完了」であるレコードに対応するワークは、当該ワークの後工程の機器が解体用機器15であるものとして管理されるようルールが定められる。当該ルールを示す情報は、記憶部22等、演算部23が参照可能な記憶装置に記憶されるか、そのようなロジックが予め演算部23に実装される。これによって、「状態」が「正常完了」であって、後工程に移行せず滞留しているワークと同様の方法で、「状態」が「異常完了」であるレコードに対応するワーク、すなわち、異常製品を管理できる。具体的には、異常製品であるワークが解体用機器15に移動したことが解体用機器15の個体管理シリアル読取部33による当該ワークのシリアルの読取によって検知されなければ、解体用機器15に移動されるべき当該ワークの移動が滞っているという異常が生じているものと判定される。
【0279】
なお、演算部23は、異常製品の識別情報として機能する第1識別情報を含む一時データ(例えば、個体管理ワーク状態テーブルTにおいて「状態」が「異常完了」であるレコード)を記憶部22に記憶した後に所定時間が経過するか所定時刻になった場合、報知部37を動作させるようにしてもよい。この場合、所定時間及び所定時刻を示すデータは、記憶部22に記憶される。具体的な運用例を述べると、例えば「異常製品が生じてから15分以内に当該異常製品を解体用機器15に移動させる」旨のルールが定められている生産ラインでは、所定時間が15[分]として定められる。また、生産ラインで作業者が入れ替わる時刻を所定時刻とすることで、作業者の入れ替わりによる「異常製品がどれであるかという認識の喪失」の発生を抑制できる。
【0280】
以下、管理システムで行われる各種の処理の流れについて、
図50から
図57のフローチャートを参照して説明する。
【0281】
図50は、生産ラインの稼働開始処理として演算部23が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、「生産品番」のIDの取得が行われる(ステップS1)。具体的には、例えば入力部25を介して管理システムの管理者によって当該IDの入力が行われる。演算部23は、係る入力が示す「生産品番」のIDを取得する。
【0282】
次に、演算部23は、ステップS1で取得された「生産品番」のIDに対応する工程リストD1及び工程順序マスターD2を取得する(ステップS2)。具体的には、演算部23は、工程順序マスターD2を読み出して、ステップS1で取得された「生産品番」のIDを含むレコードを抽出し、抽出されたレコードに含まれる「複数の工程の前後関係を示すIDが登録されるカラム」のフィールドに登録されている工程IDを取得する。これによって、ステップS1で取得された生産品番に対応する製品を製造するための工程及び工程の実施順序を取得する。また、演算部23は、工程リストD1を読み出して、工程順序マスターD2から抽出されたレコードに含まれる工程IDを含むレコードの「生産ライン」に含まれるフィールドに登録されているIDを特定することで、ステップS1で取得された生産品番に対応する製品を製造可能な生産ラインを特定する。
【0283】
また、演算部23は、ステップS1で取得された「生産品番」のIDに対応する工程マスターD3及び認定作業者リストD5を取得する(ステップS3)。具体的には、演算部23は、工程マスターD3を読み出して、ステップS2で特定された「生産品番に対応する製品を製造するための工程」において組付けられる「Lot部品」、すなわち、「生産品番に対応する製品の製造に供されるLot部品」を示すIDを取得する。また、演算部23は、工程マスターD3から「生産品番に対応する製品の製造においてプログラム選択部38によって選択されるプログラムの番号」を取得する。また、演算部23は、認定作業者リストD5を読み出して、ステップS1で取得された「生産品番」のID及び「生産品番に対応する製品を製造するための工程」の工程IDを含むレコードに含まれる「認定作業者を示すID」を取得する。
【0284】
図51は、認定作業者のチェック処理の流れの一例を示すフローチャートである。機器10では、作業者によって作業者ID読取部35による作業者IDの読取が行われる。具体的には、各作業者(例えば、作業者H1,H2,H3,H4,H5等)には予め作業者ID及び当該作業者IDを作業者ID読取部35で読取可能とするための媒体(IDカード等)が与えられている。各作業者は、機器10を起動させる処理の1つとして、当該媒体を作業者ID読取部35で読み取らせて機器10に作業者IDを取得させる。動作制御部41は、作業者ID読取部35によって取得された作業者IDを示す情報を、作業者ID情報として通信部31を介して制御装置20に送信する。制御装置20の演算部23は、通信部21を介して当該作業者ID情報を受信する(ステップS11)。作業者ID情報は、作業者ID読取部35によって取得された作業者IDを示す情報と、当該作業者IDを取得した機器10を用いる工程の工程IDとを含む。
【0285】
演算部23は、ステップS11で受信した情報が示す作業者IDと当該作業者IDを取得した機器10を用いる工程の工程IDとの組み合わせに基づいて、照合を行う。照合されるのは、当該作業者IDと、ステップS3で取得した認定作業者リストD5のうちステップS1で取得された「生産品番」のID及び「生産品番に対応する製品を製造するための工程」の工程IDを含むレコードに含まれる「認定作業者を示すID」と、である(ステップS12)。すなわち、ステップS12では、ステップS11で受信した情報に含まれる当該作業者IDを取得した機器10を用いる工程の工程IDと、認定作業者リストD5における「生産品番に対応する製品を製造するための工程」の工程IDとが一致していることが前提である。認定作業者リストD5の該当レコードと記載した場合、当該前提が満たされているものとする。
【0286】
ステップS11で受信した情報(作業者ID情報)が示す作業者IDが、ステップS12の照合によって認定作業者リストD5の該当レコードに含まれている場合(ステップS13;Yes)、演算部23は、認定作業者による機器10の起動が行われているものと判定し、作業者IDの異常による機器の停止を行わない。
【0287】
一方、ステップS11で受信した情報が示す作業者IDが、ステップS12の照合によって認定作業者リストD5の該当レコードに含まれていない場合(ステップS13;No)、演算部23は、認定作業者でない作業者による機器10の起動が行われているものと判定し、作業者IDの異常による機器の停止処理を行う(ステップS14)。具体的には、演算部23は、当該機器10を停止させる命令(停止命令)を生成し、通信部21を介して当該機器10に送信する。機器10の動作制御部41は、通信部31を介して当該停止命令を受信し、係る停止命令に応じて駆動部36の動作を停止させる。ここで、動作制御部41は、機器10の停止原因が、認定作業者でない作業者IDが作業者ID読取部35によって取得されたことによるものであることを示す情報を報知部37に報知させてもよい。
【0288】
図52は、プログラム選択部38によって選択されたプログラムのチェック処理の流れの一例を示すフローチャートである。機器10では、作業者によってプログラム選択部38によるプログラムの選択が行われる。動作制御部41は、プログラム選択部38によって取得されたプログラムの番号を示す情報を、選択中動作Prg.情報として通信部31を介して制御装置20に送信する。制御装置20の演算部23は、通信部21を介して選択中動作Prg.情報を受信する(ステップS21)。選択中動作Prg.情報は、当該プログラムの番号を示す情報と、当該プログラムの番号が選択されたプログラム選択部38を備える機器10を用いる工程の工程IDとを含む。
【0289】
演算部23は、ステップS21で受信した情報が示すプログラムの番号と当該プログラムの番号が選択されたプログラム選択部38を備える機器10を用いる工程の工程IDとの組み合わせに基づいて、照合を行う。照合されるのは、当該プログラムの番号と、ステップS3で取得した工程マスターD3のうちステップS1で取得された「生産品番」のID及び「生産品番に対応する製品を製造するための工程」の工程IDを含むレコードに含まれる「生産品番に対応する製品の製造においてプログラム選択部38によって選択されるプログラムの番号を示す値」と、である(ステップS22)。すなわち、ステップS22では、ステップS21で受信した情報に含まれる工程IDと、工程マスターD3における「生産品番に対応する製品を製造するための工程」の工程IDとが一致していることが前提である。工程マスターD3の該当レコードと記載した場合、当該前提が満たされているものとする。要するに、実施形態では、プログラム選択部38で選択されたプログラムが、工程マスターD3の「適正Prg.選択No.」の値が示すプログラムと一致するか、の照合がステップS22で行われる。
【0290】
ステップS21で受信した情報(選択中動作Prg.情報)が示すプログラムの番号が、ステップS22の照合によって工程マスターD3の該当レコードに含まれている場合(ステップS23;Yes)、演算部23は、適正なプログラムがプログラム選択部38によって選択されたと判定し、動作Prg.の異常による機器の停止を行わない。
【0291】
一方、ステップS21で受信した情報が示すプログラムの番号が、ステップS22の照合によって工程マスターD3の該当レコードに含まれていない場合(ステップS23;No)、演算部23は、誤ったプログラムがプログラム選択部38によって選択されたと判定し、動作Prg.の異常による機器の停止処理を行う(ステップS24)。具体的には、演算部23は、当該機器10を停止させる命令(停止命令)を生成、送信する。機器10の動作制御部41は、通信部31を介して当該命令を受信し、係る命令に応じて駆動部36の動作を停止させる。ここで、動作制御部41は、機器10の停止原因がプログラム選択部38によって選択されたプログラムの誤りによるものであることを示す情報を報知部37に報知させてもよい。
【0292】
図53は、現品票の読取チェック処理の流れの一例を示すフローチャートである。機器10では、作業者によって組付けLot部品ID読取部34によるLot部品の現品票の読取が行われる。動作制御部41は、組付けLot部品ID読取部34によって取得された現品票で管理されるLot部品のIDを示す情報を、Lot現品票データとして通信部31を介して制御装置20に送信する。制御装置20の演算部23は、通信部21を介してLot現品票データを受信する(ステップS31)。Lot現品票データは、当該Lot部品のIDを示す情報と、日付や材料といったLot部品を絞り込むための情報と、現品票の読取を行った組付けLot部品ID読取部34を備える機器10を用いる工程の工程IDとを含む。
【0293】
演算部23は、ステップS31で受信した情報が示す当該Lot部品のIDを示す情報と現品票の読取を行った組付けLot部品ID読取部34を備える機器10を用いる工程の工程IDとの組み合わせに基づいて、照合を行う。照合されるのは、当該Lot部品のIDと、ステップS3で取得した工程マスターD3のうちステップS1で取得された「生産品番」のID及び「生産品番に対応する製品を製造するための工程」の工程IDを含むレコードに含まれる「生産品番に対応する製品の製造に供されるLot部品を示すID」と、である(ステップS32)。すなわち、ステップS32では、ステップS31で受信した情報に含まれる工程IDと、工程マスターD3における「生産品番に対応する製品を製造するための工程」の工程IDとが一致していることが前提である。工程マスターD3の該当レコードと記載した場合、当該前提が満たされているものとする。要するに、実施形態では、組付けLot部品ID読取部34で読取された現品票で管理されるLot部品が、工程マスターD3の「組付けLot部品ID*」として登録されたIDを与えられたLot部品であるか、ステップS32で照合が行われる。
【0294】
ステップS31で受信した情報(Lot現品票データ)が示すLot部品のIDが、ステップS32の照合によって工程マスターD3の該当レコードに含まれている場合(ステップS33;Yes)、演算部23は、適正なLot部品の現品票が組付けLot部品ID読取部34によって読み取られたものと判定し、Lot部品カウンタLCを設定する。具体的には、演算部23は、入数マスターD4を読み出し、ステップS31で受信したLot現品票データに対応する組付けLot部品IDとその入数との組み合わせをLot部品カウンタLCのレコードに登録する(ステップS35)。そして、演算部23は、ステップS35で登録されたレコードの出数を初期値(0)とする(ステップS36)。
【0295】
一方、ステップS21で受信した情報が示すLot部品のIDが、ステップS22の照合によって工程マスターD3の該当レコードに含まれていない場合(ステップS33;No)、演算部23は、誤った現品票が組付けLot部品ID読取部34によって読み取られたと判定し、Lot部品の異常による機器の停止処理を行う(ステップS34)。具体的には、演算部23は、当該機器10を停止させる命令を生成、送信する。機器10の動作制御部41は、通信部31を介して当該命令を受信し、係る命令に応じて駆動部36の動作を停止させる。ここで、動作制御部41は、機器10の停止原因が組付けLot部品ID読取部34によって読み取られた現品票(Lot部品)の誤りによるものであることを示す情報を報知部37に報知させてもよい。
【0296】
図51から
図53を参照して説明した各種の処理で機器10が停止に至らない場合、後述する
図54以降の処理を各機器10が行うことができる状態になる。すなわち、演算部23は、機器10を停止させるべき異常が検知された場合に機器10を停止させ、そうでない場合に機器10の起動を許可する。なお、読取前(照合前)の機器10は起動の不許可状態から始まる。
【0297】
図54は、工程の1サイクル起動チェック処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、演算部23によって、「工程の開始を示す情報」が機器10から入力されたかのチェックが行われる(ステップS41)。「工程の開始を示す情報」とは、個体管理シリアル読取部33で読取される個体又はワークのシリアルと、当該個体管理シリアル読取部33を備える機器10を用いる工程の工程IDとを含む。係る「工程の開始を示す情報」は、個体管理シリアル読取部33で個体又はワークのシリアルが読み取られることに応じて個体管理シリアル読取部33又は動作制御部41によって生成される。動作制御部41は、生成された情報を、通信部31を介して制御装置20に送信する。制御装置20の演算部23は、通信部21を介して当該情報を受信し、「工程の開始を示す情報」の入力として受け付ける。なお、個体管理シリアル読取部33で個体又はワークのシリアルが読み取られた際、当該個体管理シリアル読取部33を備える機器10を用いるにおいて親部品に該当するシリアルが読み取られた場合に「工程の開始を示す情報」として機能する。仮に、親部品に組付けられている子部品のシリアル等、他の部品のシリアルが読み取られた場合、親部品のシリアルが読み取られた場合とは区別される(エラーとして扱われる等)。どの工程でどの部品が親部品に該当するかを示す情報は、工程マスターD3に含まれる。全行程を通して親部品が共通である場合、工程マスターD3の各レコードには1つの親部品のシリアルが登録される。並行する複数の工程からワークが合流して製品を構成する場合、各工程の親部品のシリアルが工程マスターD3のレコードに登録される。
【0298】
「工程の開始を示す情報」に含まれる工程IDは、以降のステップにおいて「開始した工程のID」として扱われる。また、「工程の開始を示す情報」に含まれるシリアルは、以降のステップにおいて「投入されたワークのシリアル」として扱われる。演算部23は、「工程の開始を示す情報」が機器10から入力されるまで待機する(ステップS41;No)。
【0299】
「工程の開始を示す情報」が機器10から入力されると(ステップS41;Yes)、演算部23は、ステップS41で入力された「工程の開始を示す情報」から、「開始した工程のID」及び「投入されたワークのシリアル」を取得する(ステップS42)。演算部23は、個体管理ワーク状態テーブルTに新たなレコード(新規登録データ)を生成する(ステップS43)。具体的には、演算部23は、生成された新たなレコードの「個体管理シリアル」のフィールドに、ステップS42で取得された「投入されたワークのシリアル」を登録する。また、演算部23は、生成された新たなレコードの「工程ID」のフィールドに、ステップS42で取得された「開始した工程のID」を登録する。また、演算部23は、生成された新たなレコードの「状態」のフィールドに、「投入済」を登録する。また、演算部23は、生成された新たなレコードの滞留カウンタの値として、初期値(0)を登録する。
【0300】
なお、生成された新たなレコードの「個体種別」のフィールドの「親」(親部品)と「子」(子部品)の区別は、予め定められた処理に基づいて行われる。予め定められた処理とは、例えば演算部23が管理個体シリアルマスターD6を読み出して管理個体シリアルマスターD6の各レコードにおける「個体管理シリアル」と「個体種別」との対応付け関係に基づいて、「投入されたワークのシリアル」と一致する「個体管理シリアル」と対応付けられた「個体種別」(「親」又は「子」)が特定される。
【0301】
演算部23は、「開始した工程のID」が、ステップS1で取得された「生産品目」のIDを与えられた製品を製造するための全体工程に含まれる複数の工程における最初の工程であるか、工程順序マスターD2に基づいて判定する(ステップS44)。ここで、最初の工程でないと判定された場合(ステップS44;No)、演算部23は、工程順序マスターD2を参照して、「開始した工程のID」が与えられた工程の直前の工程の工程IDを取得する(ステップS45)。演算部23は、「投入されたワークのシリアル」と同一のシリアルが登録された他のレコードが個体管理ワーク状態テーブルTに登録済みであり、かつ、所定条件を満たすか判定する(ステップS46)。所定条件とは、当該他のレコードの「工程ID」のフィールドにステップS45で取得された工程ID(「開始した工程のID」が与えられた工程の直前の工程の工程ID)が登録され、かつ、当該他のレコードの「状態」が「正常完了」であることである。
【0302】
所定条件を満たす他のレコードが個体管理ワーク状態テーブルTに登録済みでないと判定された場合(ステップS46;No)、演算部23は、工程進捗異常を検知したものとして扱い(ステップS47)、上述したような、工程進捗異常に対応した処理を行う(ステップS48)。
【0303】
一方、ステップS46で、所定条件を満たす他のレコードが個体管理ワーク状態テーブルTに登録済みであると判定された場合(ステップS46;Yes)、演算部23は、所定条件を満たす他のレコードを個体管理ワーク状態テーブルTから削除する(ステップS49)。そして、演算部23は、ステップS43で登録された生成された新たなレコード(新規登録データ)の「状態」のフィールドを「未完了」に更新する(ステップS50)。また、ステップS44で、最初の工程であると判定された場合(ステップS44;Yes)、ステップS50の処理に移行する。なお、この場合、ステップS50の処理に移行する前に、ステップS43で登録された生成された新たなレコード(新規登録データ)と管理個体シリアルマスターD6とを照合し、新規登録データの「個体管理シリアル」と「工程ID」との組み合わせと、管理個体シリアルマスターD6における「個体管理シリアル」と「初期投入工程ID」との組み合わせとが一致するか判定し、一致するときにステップS50の処理に移行し、一致しないときにステップS47の処理に移行するようにしてもよい。
【0304】
ステップS50の処理後、演算部23は、Lot部品カウンタチェック処理を行い(ステップS51)、工程の1サイクル起動チェック処理を終了する。
【0305】
図55は、Lot部品カウンタチェック処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、演算部23は、ステップS50で状態が更新されたレコードに登録されている工程IDが与えられた工程は、Lot部品を使用する工程であるか判定する(ステップS61)。Lot部品を使用しない工程であると判定された場合(ステップS61;No)、演算部23は、Lot部品カウンタチェック処理を終了する。
【0306】
一方、ステップS61でLot部品を使用する工程であると判定された場合(ステップS61;Yes)、演算部23は、Lot部品カウンタLCを参照し、当該工程で使用されるLot部品の出数が当該Lot部品の入数と等しいか判定する(ステップS62)。ここで、当該工程で使用されるLot部品の出数が当該Lot部品の入数と等しくない場合(ステップS62;No)、すなわち、まだ当該工程で使用されるLot部品が残っている場合、演算部23は、当該工程で使用されるLot部品の出数をインクリメント(+1)する(ステップS63)。ステップS63の処理で出数に加算される数値は、工程で組付けられるLot部品の数に応じる。なお、ここでは1つの工程で組付けられる1種類のLot部品の数が1つである場合を例示しているが、1つの工程で同一の種類のLot部品が複数組付けられてもよい。その場合、インクリメントされる数値は、1つの工程で組付けられる各Lot部品の数に対応する。1つの工程で組付けられる各Lot部品の数を示す情報は、例えば工程マスターD3に登録されるが、これに限られるものでなく、工程マスターD3と紐付けされた独立したデータ(例えば、製品マスターD7)に登録されていてもよい。
【0307】
ステップS63の処理後、演算部23は、更新後のLot部品の出数が当該Lot部品の入数と等しいか判定する(ステップS64)。ここで、当該工程で使用されるLot部品の出数が当該Lot部品の入数と等しくない場合(ステップS64;No)、すなわち、まだ当該工程で使用されるLot部品が残っている場合、演算部23は、Lot部品カウンタチェック処理を終了する。
【0308】
一方、ステップS64でLot部品の出数が当該Lot部品の入数と等しいと判定された場合(ステップS64;Yes)、演算部23は、当該Lot部品の現品票の読取要求を生成し、通信部21を介して当該工程の機器10に送信し(ステップS65)、Lot部品カウンタチェック処理を終了する。当該機器10では、上述のように読取要求に応じた動作が行われる。すなわち、ステップS63の処理によって当該工程で使用されるLot部品の残りが0になるカウントの進行が行われた判定された場合、その後の工程の繰り返しに備えた読取要求が行われる。
【0309】
また、ステップS62でLot部品の出数が当該Lot部品の入数と等しいと判定された場合(ステップS64;Yes)、演算部23は、機器10の機器の停止処理を行う(ステップS66)。具体的には、演算部23は、当該Lot部品が組付けられる工程の機器10を停止させる命令(停止命令)を生成し、通信部21を介して当該機器10に送信する。すなわち、当該Lot部品が組付けられる工程を開始しようとしているにも関わらず、当該Lot部品の残りが0であるために工程を開始できないと判定される。従って、演算部23は、上述のように、当該Lot部品の新たな現品票が当該工程の機器10が備える組付けLot部品ID読取部34によって読み取られるまで、当該機器10の動作による工程の進行を許可しない。機器10の動作制御部41は、係る停止命令に応じて駆動部36の動作を停止させる。上述のように、動作制御部41は、Lot部品の現品票の読取待ちによって機器10が停止していることを示す情報を報知部37に報知させてもよい。係る報知のための命令が停止命令に含まれていてもよい。
【0310】
ステップS66の処理後、演算部23は、使用されるLot部品の出数が初期値(0)に更新されたかチェックし(ステップS67)、初期値(0)に更新されるまで待機する(ステップS67;No)。その後、ステップS66で停止された機器10からLot現品票データを受信することで、Lot部品カウンタLCの出数が初期値(0)に更新された場合(ステップS67;Yes)、ステップS63の処理に移行する。
【0311】
図56は、工程の1サイクル完了チェック処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、演算部23によって、「工程の完了を示す情報」が機器10から入力されたかのチェックが行われる(ステップS71)。「工程の完了を示す情報」とは、
図54及び
図55を参照して説明した処理を経て開始された工程の機器10における当該工程の完了をトリガーとして当該機器10から制御装置20に送信されるデータに含まれる情報をさす。エラーが生じない限り、当該データには、
図20を参照して説明したように、当該工程を示す工程IDと、当該工程で製造されたワークのシリアルと、「正常完了」又は「異常完了」のいずれであったかを示す情報が含まれる。
【0312】
「工程の完了を示す情報」に含まれる工程IDは、以降のステップにおいて「完了した工程のID」として扱われる。また、「工程の完了を示す情報」に含まれるシリアルは、以降のステップにおいて「製造されたワークのシリアル」として扱われる。演算部23は、「工程の完了を示す情報」が機器10から入力されるまで待機する(ステップS71;No)。
【0313】
「工程の完了を示す情報」が機器10から入力されると(ステップS71;Yes)、演算部23は、ステップS61で入力された「工程の完了を示す情報」から、「完了した工程のID」及び「製造されたワークのシリアル」を取得する(ステップS72)。演算部23は、個体管理ワーク状態テーブルTに新たなレコード(新規登録データ)を生成する(ステップS73)。具体的には、演算部23は、生成された新たなレコードの「個体管理シリアル」のフィールドに、ステップS72で取得された「製造されたワークのシリアル」を登録する。また、演算部23は、生成された新たなレコードの「工程ID」のフィールドに、ステップS72で取得された「完了した工程のID」を登録する。また、演算部23は、生成された新たなレコードの「状態」のフィールドに、「正常完了」又は「異常完了」を、「工程の完了を示す情報」に従って登録する。また、演算部23は、生成された新たなレコードの滞留カウンタの値として、初期値(0)を登録する。また、演算部23は、生成された新たなレコードの「個体種別」のフィールドに「親」を登録する。
【0314】
演算部23は、ステップS72で取得された「製造されたワークのシリアル」と同一のシリアルが登録された他のレコードが個体管理ワーク状態テーブルTに登録済みであり、かつ、第2所定条件を満たすか判定する(ステップS74)。第2所定条件とは、当該他のレコードの「工程ID」のフィールドにステップS52で取得された工程ID(「完了した工程のID」)が登録され、かつ、当該他のレコードの「状態」が「未完了」であることである。
【0315】
第2所定条件を満たす他のレコードが個体管理ワーク状態テーブルTに登録済みでないと判定された場合(ステップS74;No)、演算部23は、登録データ異常を検知したものとして扱い(ステップS75)、上述したような、登録データ異常に対応した処理を行う(ステップS76)。
【0316】
一方、ステップS74で、第2所定条件を満たす他のレコードが個体管理ワーク状態テーブルTに登録済みであると判定された場合(ステップS74;Yes)、演算部23は、「工程ID」のフィールドにステップS71で取得された工程ID(「完了した工程のID」)が登録され、かつ、「状態」が「未完了」であるレコードを個体管理ワーク状態テーブルTから削除する(ステップS77)。そして、演算部23は、「工程の完了を示す情報」に応じて、
図23から
図26を参照して説明したように、実績登録データMを更新する(ステップS78)。
【0317】
実施形態では、ステップS78の処理後、演算部23は、滞留カウンタチェック処理を行い(ステップS79)、工程の1サイクル起動チェック処理を終了する。
【0318】
図57は、滞留カウンタチェック処理の流れの一例を示すフローチャートである。演算部23は、個体管理ワーク状態テーブルTを参照して、ステップS73の処理で個体管理ワーク状態テーブルTに登録された新規登録データ(のレコード)と同一の工程IDが登録され、「状態」のフィールドに「正常完了」又は「異常完了」が登録されている新規登録データ以外のレコード(登録済みデータ)を特定し、特定されたレコードの「滞留カウンタ」の値をインクリメント(+1)する(ステップS81)。
【0319】
演算部23は、ステップS81の処理によって、滞留カウンタの値が停止閾値に等しい登録済みデータが生じたか判定する(ステップS82)。ここで、滞留カウンタの値が停止閾値に等しい登録済みデータが生じたと判定された場合(ステップS82;Yes)、演算部23は、ワーク滞留異常を検知したものとして扱い(ステップS83)、上述したような、ワーク滞留異常に対応した処理を行う(ステップS84)。
【0320】
ステップS82で滞留カウンタの値が停止閾値に等しい登録済みデータが生じていないと判定された場合(ステップS82;No)、演算部23は、ステップS81の処理によって、滞留カウンタの値が警告閾値に等しい登録済みデータが生じたか判定する(ステップS85)。ここで、滞留カウンタの値が警告閾値に等しい登録済みデータが生じたと判定された場合(ステップS85;Yes)、演算部23は、ワーク滞留兆候を検知したものとして扱い(ステップS86)、上述したような、ワーク滞留兆候に対応した処理を行う(ステップS87)。
【0321】
ステップS85で滞留カウンタの値が警告閾値に等しい登録済みデータが生じていないと判定された場合(ステップS85;No)、ステップS84の処理後又はステップS87の処理後、演算部23は、滞留カウンタチェック処理を終了する。
【0322】
ここで、
図56に示すフローチャートのように処理された場合、滞留カウンタの値は、
「中間製品(ワーク)が製造された後に当該ワークの製造に係り実施済みの最後の工程と同一の工程で製造された他の中間製品が製造を完了した回数を示す数値」になる。
【0323】
なお、滞留カウンタチェック処理は、ステップS51の処理後に行ってもよい。その場合、ステップS81の処理における「ステップS73の処理で個体管理ワーク状態テーブルTに登録された新規登録データ(のレコード)」を「ステップS50の処理で状態が更新された新規登録データ(のレコード)」と読み替える。この場合、滞留カウンタの値は、「中間製品(ワーク)が製造された後に当該ワークの製造に係り実施済みの最後の工程と同一の工程で製造された他の中間製品が製造を開始した回数を示す数値」になる。
【0324】
また、滞留カウンタチェック処理は、ある工程の次の工程が開始(例えば、ステップS51の処理後)又は完了(例えば、ステップS78の処理後)されたタイミングで行ってもよい。その場合、ステップS81の処理で滞留カウンタの値がインクリメント(+1)される対象となるレコードは、新規登録データ(のレコード)に含まれる工程IDを基準として、その直前の工程IDが登録された個体管理ワーク状態テーブルTの新規登録データ(のレコード)以外のデータ(他のレコード)である。
【0325】
なお、ある工程の次の工程が開始したタイミングで滞留カウンタチェック処理が行われた場合、滞留カウンタの値は、「ある中間製品(ワーク)の製造に係り実施済みの最後の工程と同一の工程で製造された他の中間製品が先に次の工程の開始を経た回数を示す数値」になる。
【0326】
また、ある工程の次の工程が完了したタイミングで滞留カウンタチェック処理が行われた場合、滞留カウンタの値は、「ある中間製品(ワーク)の製造に係り実施済みの最後の工程と同一の工程で製造された他の中間製品が先に次の工程の完了を経た回数を示す数値」になる。
【0327】
以上説明したように、実施形態は、製品を製造する全体工程に含まれる複数の工程の順序に従って順次使用される複数の機器(例えば、第1機器11、第2機器12、第3機器13、第4機器14等の機器10等)と、未完成の製品であって複数の工程のいずれかで異常を生じた異常製品を隔離するための隔離施設(例えば、解体用機器15)と、制御装置(例えば、制御装置20)とが通信可能に接続され、制御装置が前記複数の機器の動作及び前記複数の機器を利用して製造される製品を管理する管理システムである。ここで、異常製品とは、例えば、実績登録データMで「状態」のフィールドに「異常完了」を示す旨の登録が行われることになるレコードの「個体管理シリアル」のフィールドに登録されているシリアル付与された構成を親部品とするワークである。実施形態の機器は、当該機器を利用した工程で異常を生じた場合、異常製品の識別情報を少なくとも含む管理データ(例えば、演算部23が個体管理ワーク状態テーブルT、実績登録データM及びNG品管理テーブルUのレコードを生成するために機器10から送信される情報)を生成する異常情報生成部(例えば、動作制御部41)と、異常情報生成部が生成した管理データを制御装置に送信可能な通信部(例えば、通信部31)とを備える。実施形態の隔離施設は、異常製品の識別情報を読み取る読取部(例えば、解体用機器15が備える個体管理シリアル読取部33)と、読取部によって読み取られた読取情報を制御装置に送信可能な通信部(例えば、解体用機器15が備える通信部31)とを備える。実施形態の制御装置は、機器から送信された管理データ及び隔離施設から送信された読取情報を受信可能な通信部(例えば、通信部21)と、機器から送信された管理データを記憶する記憶部(例えば、記憶部22)と、管理データ及び隔離施設から送信された情報に基づいた処理を行う判定部(例えば、演算部23)とを備える。判定部は、所定条件が満たされても隔離施設から読取情報が送信されない場合、異常製品の取り扱いに異常が生じたと判定する。これによって、隔離施設からの読取情報の送信の有無に基づいて異常製品の取り扱いに異常が生じたか判定できる。すなわち、隔離施設に移動されるべき異常製品が隔離施設に移動したかを判定できる。従って、複数の工程を含む製品の製造工程で生じた異常を検知できる。また、複数の工程を含む製品の製造工程で生じた異常によって生じた異常品(製品、ワーク、部品等)に対する適切な処置(例えば、隔離施設への移動)の実施状況を検知できる。
【0328】
また、異常情報生成部は、管理データとして、機器の動作に応じた識別情報を示すデータを生成する生成部(例えば、個体管理シリアル読取部33、組付けLot部品ID読取部34、作業者ID読取部35、プログラム選択部38の1つ以上)を備える。記憶部は、予め登録された識別情報を示すデータを記憶する。製造に用いる部品の各々に与えられた第1識別情報(シリアル)を読み取る第1読取部(例えば、個体管理シリアル読取部33)を含み、機器を用いた工程の開始及び完了の少なくとも一方を示す情報に第1読取部で読み取った第1識別情報と当該工程に予め与えられた第2識別情報(例えば、工程ID)を含ませる。記憶部は、複数の工程の一部を完了した中間製品を個別に識別可能な一時データ(例えば、個体管理ワーク状態テーブルT)を記憶部に記憶する。一時データは、中間製品(例えば、実施形態における「ワーク」)の製造に用いられた部品に与えられた第1識別情報(例えば、親部品のシリアル)と、当該中間製品の製造に関与した最後の工程を示す第2識別情報(例えば、工程ID)と、滞留カウントの値が中間製品毎に対応付けられる。第1識別情報は、異常製品の識別情報として機能する。判定部は、機器から送信されたデータに含まれる識別情報と記憶部に記憶された識別情報と滞留カウントの値と所定の閾値とに基づいて所定条件が満たされたか判定する。これによって、滞留カウントの値に基づいて複数の工程のいずれかに異常が生じていることを判定できる。従って、複数の工程を含む製品の製造工程で生じた異常を検知可能になる。また、異常品(製品、ワーク、部品等)に対する適切な処置が行われていないことを検知できる。滞留カウントの代わりに、滞留時間で監視しても良いし、両方で監視しても良い。例えば極端に生産数が少ないときなど滞留カウントはインクリメントされにくく、ワークの滞留を検出しにくい。この時に滞留時間による監視が有効である。その場合、
図16には通過時刻情報を含むカラムが追加される。
【0329】
また、所定の閾値は、複数の機器のうち少なくとも最後の工程で用いられる機器を停止させるための第1閾値(停止閾値)を含む。判定部は、滞留カウントの値と第1閾値とに基づいて異常製品の取り扱いに異常が生じたか判定し、異常製品の取り扱いに異常が生じたと判定された場合、複数の機器のうち少なくとも前記最後の工程で用いられる機器を停止させる。従って、滞留カウントの値に基づいて複数の工程のいずれかに異常が生じていることが検知された場合に機器を停止できる。後述するように、滞留検知は、カウンタ以外に未処置のまま経過した時間(所定時間の経過)を用いてもよい。
【0330】
また、複数の機器及び制御装置の少なくとも一方は、機器の作業者に報知を行う報知部(例えば、報知部37、報知部24)を備える。所定の閾値は、報知部の動作の是非を判定するための第2閾値(警告閾値)を含む。判定部は、滞留カウントの値と第2閾値とに基づいて異常製品の取り扱いに異常が生じたか判定し、異常製品の取り扱いに異常が生じたと判定された場合、報知部を動作させる。従って、滞留カウントの値に基づいて複数の工程のいずれかに異常が生じていることが検知された場合にその旨に関する報知を行える。
【0331】
また、判定部は、異常製品の識別情報として機能する第1識別情報を含む一時データを記憶部に記憶した後に所定時間が経過するか所定時刻になった場合、報知部を動作させる。従って、複数の工程のいずれかに異常が生じていることが検知された場合にその旨に関する報知を行える。
【0332】
また、機器は、異常製品に生じた異常に関する付加情報(例えば、NG発生工程の工程IDとNGコード)を管理データに付加する付加部(例えば、センシング部39、入力部42)を備える。従って、異常製品に生じた異常に関する情報管理を行える。なお、当該付加部は、上述の生成部(例えば、個体管理シリアル読取部33、組付けLot部品ID読取部34、作業者ID読取部35、プログラム選択部38の1つ以上)と統合された構成であってもよい。
【0333】
また、隔離施設は、異常製品を前記複数の工程のいずれかに再投入するための作業を行う作業用機器(例えば、解体用機器15の各構成)を備える。記憶部は、付加情報に応じた作業内容を表示出力するための表示データを記憶する。制御装置の通信部は、表示データを作業用機器に送信する。隔離施設の通信部は、表示データを受信する。作業用機器は、表示データを表示可能な表示部(例えば、タッチパネル152)を備える。従って、異常製品を複数の工程のいずれかに再投入するための作業を行える。また、当該作業の内容を表示によってガイドできる。さらに、実施形態では、作業内容の記録(何を廃却したか等)を行える。
【0334】
また、記憶部は、付加情報に応じた作業内容によって生じる再投入可能な部品と当該部品の再投入先となる工程との対応関係を示す対応関係データ(例えば、BOMマスターD13に含まれる1つ以上のレコード)を記憶する。制御装置の通信部は、対応関係データを作業用機器に送信する。隔離施設の通信部は、対応関係データを受信する。表示部は、対応関係データに基づいた表示をさらに行う(例えば、再投入指示書表示画面152kの表示)。従って、作業後に生じた部品の再投入先をガイドできる。また、処置ミスによる異常品の流出を防げる。さらに、実施形態では、同時に再投入の履歴を管理できる。
【0335】
また、再投入可能な部品が識別情報を個別に与えられない部品である場合、専用の前記識別情報を生成して出力する出力部(例えば、上述の再利用IDタグ発行部156)を備える。記憶部は、専用の前記識別情報を記憶する。従って、再投入される部品に識別情報を与えることができる。再利用IDタグには、再利用した回数を示す情報を含ませてもよい。
【0336】
さらに、実施形態は、製品を製造する全体工程に含まれる複数の工程の順序に従って順次使用される複数の機器(例えば、第1機器11、第2機器12、第3機器13、第4機器14等の機器10)と、制御装置(例えば、制御装置20)とが通信可能に接続され、制御装置が複数の機器の動作及び複数の機器を利用して製造される製品を管理する管理システムである。実施形態の機器は、機器の動作に応じた識別情報(例えば、シリアル、組付けLot部品ID、作業者ID)を示すデータを生成する生成部(例えば、個体管理シリアル読取部33、組付けLot部品ID読取部34、作業者ID読取部35、プログラム選択部38の1つ以上)と、生成部が生成したデータを制御装置に送信可能な通信部(例えば、通信部31)とを備える。制御装置は、機器から送信されたデータを受信可能な通信部(例えば、通信部21)と、予め登録された識別情報を示すデータ(例えば、工程リストD1、工程順序マスターD2、工程マスターD3、入数マスターD4、認定作業者リストD5、管理個体シリアルマスターD6、製品マスターD7、個体管理ワーク状態テーブルT、実績登録データM、Lot部品カウンタLC等)を記憶する記憶部(例えば、記憶部22)と、機器から送信されたデータに含まれる識別情報と記憶部に記憶された識別情報とに基づいて複数の工程のいずれかに異常が生じているか判定する判定部(例えば、演算部23)とを備える。これによって、機器から送信された識別情報と制御装置の記憶部に予め記憶された識別情報との移動に基づいて複数の工程のいずれかに異常が生じていることを判定できる。従って、複数の工程を含む製品の製造工程で生じた異常を検知可能になる。
【0337】
さらに、生成部は、製造に用いる部品の各々に与えられた第1識別情報(シリアル)を読み取る第1読取部(例えば、個体管理シリアル読取部33)を含み、機器を用いた工程の開始及び完了の少なくとも一方を示す情報に第1読取部で読み取った第1識別情報と当該工程に予め与えられた第2識別情報(例えば、工程ID)を含ませる。記憶部は、複数の工程の一部を完了した中間製品を個別に識別可能な一時データ(例えば、個体管理ワーク状態テーブルT)を記憶部に記憶する。一時データは、中間製品(例えば、実施形態における「ワーク」)の製造に用いられた部品に与えられた第1識別情報(例えば、親部品のシリアル)と、当該中間製品の製造に関与した最後の工程を示す第2識別情報(例えば、工程ID)と、滞留カウントの値が中間製品毎に対応付けられる。判定部は、滞留カウントの値と所定の閾値とに基づいて複数の工程のいずれかに異常が生じているか判定する。滞留カウントが増加するということは、ある中間製品が何らかの理由によって次の工程を開始されない状態であることが示唆される。これによって、滞留カウントの値に基づいて複数の工程のいずれかに異常が生じていることを判定できる。従って、複数の工程を含む製品の製造工程で生じた異常を検知可能になる。
【0338】
さらに、実施形態によれば、「異常完了」のワークが解体用機器15に移動されずに放置されている異常をさらに検知可能である。これによって、「異常完了」のワークが放置されていることによる問題の発生(例えば、「正常完了」のワークとの混同等)を抑制できる。
【0339】
さらに、所定の閾値は、複数の機器のうち少なくとも最後の工程で用いられる機器を停止させるための第1閾値(停止閾値)を含み、判定部は、滞留カウントの値と第1閾値とに基づいて複数の機器のうち少なくとも最後の工程で用いられる機器を停止させるか判定する。従って、滞留カウントの値に基づいて複数の工程のいずれかに異常が生じていることが検知された場合に機器を停止できる。
【0340】
さらに、複数の機器及び制御装置の少なくとも一方は、機器の作業者に報知を行う報知部(例えば、報知部37、報知部24)を備え、所定の閾値は、報知部の動作の是非を判定するための第2閾値(警告閾値)を含み、判定部は、滞留カウントの値と第2閾値とに基づいて報知部を動作させるか判定する。従って、滞留カウントの値に基づいて複数の工程のいずれかに異常が生じていることが検知された場合にその旨に関する報知を行える。
【0341】
さらに、生成部は、複数の同一部品を含むロット管理部品(例えば、Lot部品)にロット単位で与えられる第2識別情報(例えば、LPART001等の組付けLot部品IDが与えられた現品票)を読み取る第2読取部(例えば、組付けLot部品ID読取部34)を含む。識別情報を示すデータは、第2識別情報を与えられた複数の同一部品が用いられる工程を特定可能な情報(例えば、工程マスターD3)を含む。判定部は、1つの機器から第2識別情報を含むデータを受信した場合、当該機器が当該第2識別情報を複数の同一部品が用いられる工程の機器であるか判定する。従って、ロット管理部品のように個々に識別情報を与えることが困難な部品について、係る部品が用いられる工程が適正であるか、すなわち、異常でないか判定できる。
【0342】
さらに、生成部は、工程の進捗を示す工程情報を生成する。工程情報は、当該機器を用いた工程の開始又は完了に対応して生成される。上述の
図56及び
図57を参照したフローチャートとの対応関係で説明すると、工程の開始に対応して生成される工程情報とは、例えば、ステップS51の処理をもたらす、ステップS41の処理で言及された「工程の開始を示す情報」である。また、工程の完了に対応して生成される工程情報とは、例えば、ステップS78の処理をもたらす、ステップS71の処理で言及された「工程の完了を示す情報」である。判定部は、1つの機器から第2識別情報を含むデータを受信した場合、当該第2識別情報を与えられたロット管理部品の使用数を計数するカウンタ(例えば、Lot部品カウンタLC)を設定し、当該機器からの工程情報を含むデータの受信に応じて当該機器で使用されたロット管理部品の使用数を当該第2識別情報単位でカウンタによって計上し、ロット管理部品の使用数(出数)が予め定められたロット部品数(入数)と等しくなった場合、第2読取部による新たな第2識別情報の読み取り要求処理を行う。従って、ロット管理部品の使用数が適正であるか、すなわち、異常でないか判定できる。
【0343】
さらに、生成部は、作業者に与えられた第3識別情報(例えば、認定作業者ID)を読み取る第3読取部(例えば、作業者ID読取部35)を含む。識別情報を示すデータは、機器の利用が許可された認定作業者に与えられる第3識別情報を複数の工程の各々で個別に特定可能な情報(例えば、認定作業者リストD5)を含む。判定部は、1つの機器から第3識別情報を含むデータを受信した場合、当該機器を用いる工程で当該第3識別情報が認定作業者に該当するか判定する。従って、工程を担当する作業者が適正な認定作業者であるか、すなわち、認定作業者でない作業者が工程を担当する異常がないか判定できる。
【0344】
さらに、生成部は、各機器で選択可能な複数のプログラムのうち作業者によって選択されたプログラムを示す第4識別情報(例えば、
図52のフローチャートにおけるステップS21の処理で言及された「選択動作中Prg.情報」)を生成する選択部(例えば、プログラム選択部38)を含む。識別情報を示すデータは、製品の製造に適したプログラムを示すデータ(例えば、工程マスターD3)を含む。判定部は、1つの機器から第4識別情報を含むデータを受信した場合、製品の製造に適したプログラムに該当するか判定する。従って、工程で選択されるプログラムが適正であるか、すなわち、不適正なプログラムが選択される異常がないか判定できる。なお、ステップS1の処理で「生産品番」のIDの取得が行われたことに伴い、製品の製造に適したプログラムを示す情報を制御装置20が機器10に送信し、当該機器10で適用されるプログラムを自動的に切り替えるようにしてもよい。
【0345】
なお、各部品へのシリアルの付与方法は任意である。例えば、シリアルを生成して各部品に付与するための回路が設けられ、当該回路が、シリアルとして機能する文字列を順番又はランダムに生成して各部品に付してから、付された番号を管理個体シリアルマスターD6等の各種データに記録するようにしてもよい。係るシリアルは、各部品に付された国、施設(工場等)、ライン毎に識別可能に重複しないよう予め規則が定められて当該規則を遵守する範囲内で生成される。
【0346】
また、Lot部品の入数は固定(不変)でなくてもよい。入数に変動がある想定の場合、現品票の読み取りによって取得可能な情報に当該現品票の読み取りに応じて導入されるLot部品の入数を示す情報が含まれる。演算部23は、当該情報に応じて入数を設定、管理する。
【符号の説明】
【0347】
10 機器
15 解体用機器
20 制御装置
21 通信部
22,32 記憶部
23 演算部
24,37 報知部
25 入力部
31 通信部
33 個体管理シリアル読取部
41 動作制御部
152 タッチパネル