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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023028162
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】基板及び基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20230224BHJP
   H05K 3/06 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
H05K1/02 D
H05K1/02 Q
H05K1/02 N
H05K3/06 A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021133687
(22)【出願日】2021-08-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】591094871
【氏名又は名称】板橋精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002826
【氏名又は名称】弁理士法人雄渾
(72)【発明者】
【氏名】多田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】久原 健二
(72)【発明者】
【氏名】三室 武
【テーマコード(参考)】
5E338
5E339
【Fターム(参考)】
5E338AA18
5E338BB13
5E338BB22
5E338BB80
5E338CC04
5E338CC08
5E338CD22
5E338CD25
5E338EE02
5E338EE26
5E339AB07
5E339AC01
5E339AD03
5E339AD05
5E339BC02
5E339BC03
5E339BD11
5E339BE11
5E339CD00
5E339GG10
(57)【要約】
【課題】基板の強度を向上させること及びその基板の製造方法を提供することである。
【解決手段】
圧延導電体からなる圧延金属体回路と、圧延導電体からなる補強構造体と、絶縁樹脂からなる絶縁体とを備える圧延金属層を有し、圧延金属体回路と補強構造体は、同一の平面内に設けられており、補強構造体は、基板の機械的強度を補強するものでありかつ圧延金属体回路の周囲を囲むように絶縁体で隔てられて配置された圧延金属層を有することを特徴とする。
本発明によれば、圧延導電体からなる圧延金属体回路と、圧延導電体からなる補強構造体とを同一平面内に設け、絶縁樹脂で隔て配置することで、基板の機械的強度である剛性が向上する。
【選択図】図1


【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧延導電体からなる圧延金属体回路と、圧延導電体からなる補強構造体と、絶縁樹脂からなる絶縁体と、を備える圧延金属層を有し、
前記圧延金属体回路と前記補強構造体は、同一の平面内に設けられており、
前記補強構造体は、基板の機械的強度を補強するものでありかつ前記圧延金属体回路の周囲を囲むように絶縁体で隔てられて配置された前記圧延金属層を有することを特徴とする、基板。
【請求項2】
前記補強構造体は、平面方向に広がるように網状であることを特徴とする、請求項1記載の基板。
【請求項3】
前記補強構造体は、平面方向に広がるように板状の連続体であることを特徴とする、請求項1記載の基板。
【請求項4】
前記圧延金属体回路は、平面方向に延びる圧延金属体平面回路と、
前記圧延金属体平面回路の一端の側に設けられた板厚方向に延びる圧延金属体層間回路とを有し、
前記圧延金属体平面回路と前記圧延金属体層間回路とが同一の圧延金属体から形成され、接続面のない導電体で形成されたことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の基板。
【請求項5】
前記圧延金属体回路は、電解金属層と連結されており、
前記電解金属層は、平面方向に延びる電解金属体平面回路と、
前記電解金属体平面回路の一端の側に設けられた板厚方向に延びる電解金属体層間回路とを有し、
前記電解金属体平面回路と前記電解金属体層間回路とが同一の電解金属体から形成され、接続面のない導電体で形成されたことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の基板。
【請求項6】
前記圧延金属体回路と電子部品とが、電気が流れるように接続されたことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の基板を有する、電子機器。
【請求項7】
前記圧延金属体回路と電子部品とが、熱が流れるように接続されたことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の基板を有する、電子機器。
【請求項8】
電子部品と前記電解金属層と前記圧延金属体回路とが熱が流れるように接続されたことを特徴とする請求項5に記載の基板を有する、電子機器。
【請求項9】
前記電解金属層が基板の表面に露出しており、圧延金属体回路の反対の側に熱を放出することを特徴とする請求項8に記載の基板を有する、電子機器。
【請求項10】
前記熱が、前記圧延金属体回路から前記絶縁体を経由して前記補強構造体に流れることを特徴とする請求項7~9のいずれか一項に記載の基板を有する、電子機器。
【請求項11】
圧延導電体準備工程と、
第一レジスト作成工程と、
第一エッチング工程と、
第一絶縁樹脂充填工程と、
第二レジスト作成工程と、
第二エッチング工程と、
を、含むことを特徴とする、圧延金属体回路と補強構造体とが同一の平面内に設けられた基板の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を構成する回路層の強度を上げ、基板全体の機械的強度を上げる。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、導体(銅箔)を一方の側からハーフエッチングをし、ハーフエッチングした部分に絶縁樹脂が充填され、その後、他方の面から導体をハーフエッチングして、絶縁樹脂を充填した基板が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-278379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された基板では、ハーフエッチングで設けられた導体の凹みに絶縁樹脂が充填されている。よって、従来のプリント板のように、ガラス繊維で作成されたシート体と絶縁樹脂とからなる基材を有していないため、基板の剛性を高くしにくく、基板が割れて破損したり、基板が曲がることにより回路の断線が発生したりする虞がある。
【0005】
そこで、本発明の課題は、基板の機械的強度を向上させること及びその基板の製造方法の提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記の課題について鋭意検討した結果、圧延導電体からなる圧延金属体回路と、圧延導電体からなる補強構造体とを同一平面内に設け、絶縁樹脂で隔て配置することで、基板の機械的強度の向上が図れることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
上記課題を解決するための本発明の基板は、圧延導電体からなる圧延金属体回路と、圧延導電体からなる補強構造体と、絶縁樹脂からなる絶縁体と、を備える圧延金属層を有し、圧延金属体回路と補強構造体は、同一の平面内に設けられており、補強構造体は、基板の機械的強度を補強するものでありかつ圧延金属体回路の周囲を囲むように絶縁体で隔てられて配置された圧延金属層を有することを特徴とするものである。
本発明の基板によれば、補強構造体が圧延金属体回路と同一の平面に設けられることにより、基板の機械的強度を向上できる効果がある。
【0008】
さらに、本発明の基板の一実施態様としては、補強構造体は、平面方向に広がるように網状であることを特徴とする。
この基板によれば、補強構造体は、平面方向に広がるように網状であることから、平面方向の寸法が伸縮することを抑制することができ、基板の全体の反りを抑制できる効果がある。
【0009】
さらに、本発明の基板の一実施態様としては、補強構造体は、平面方向に広がるように板状の連続体(本明細書内では、ベタ状とも表現される)であることを特徴とする。
この基板によれば、補強構造体は、平面方向に広がるように板状の連続体であることから、基板の全体の剛性をより向上させることができる。
【0010】
さらに、本発明の基板の一実施態様としては、圧延金属体回路は、平面方向に延びる圧延金属体平面回路と、圧延金属体平面回路の一端の側に設けられた板厚方向に延びる圧延金属体層間回路とを有し、圧延金属体平面回路と圧延金属体層間回路とが同一の圧延金属体から形成され、接続面のない導電体で形成されたことを特徴とする。
この基板によれば、圧延金属体平面回路と圧延金属体層間回路とに接続面がないことから、接続面が存在することによる電気抵抗がない。よって、電気が流れても接続面が存在することによる発熱を抑制できる効果がある。
また、圧延金属体平面回路と圧延金属体層間回路とに接続面がないことから、熱が繰り返し流され、熱膨張が繰り返された場合であっても、接続面から回路が剥離することがない。
【0011】
さらに、本発明の基板の一実施態様としては、圧延金属体回路は、積層回路と連結されており、積層回路は、平面方向に延びる電解金属体平面回路と、電解金属体平面回路の一端の側に設けられた板厚方向に延びる電解金属体層間回路とを有し、電解金属体平面回路と電解金属体層間回路とが同一の電解金属体から形成され、接続面のない導電体で形成されたことを特徴とする。
この基板によれば、電解金属体平面回路と電解金属体層間回路とに接続面がないことから、接続面が存在することによる電気抵抗がない。よって、電気が流れても発熱を抑制できる効果がある。
また、電解金属体平面回路と電解金属体層間回路とに接続面がないことから、熱が繰り返し流され、熱膨張が繰り返された場合であっても、接続面から回路が剥離することがない。
【0012】
さらに、本発明の基板を有する電子機器の一実施態様としては、圧延金属体回路と電子部品とが、電気が流れるように接続されたことを特徴とする。
この基板を有する電子機器によれば、補強構造体が圧延金属体回路と同一の平面に設けられることにより、基板の剛性を向上させた電子機器とすることができる。
【0013】
さらに、本発明の基板を有する電子機器の一実施態様としては、圧延金属体回路と電子部品とが、熱が流れるように接続されたことを特徴とする。
この基板を有する電子機器によれば、基板の全体の剛性を向上させることができ、さらに、電子部品が動作した際に発生した熱が圧延金属体回路に移動することで、電子部品の温度を低く保つことができる効果がある。
【0014】
さらに、本発明の基板を有する電子機器の一実施態様としては、電子部品と電解金属層と圧延金属体回路とが熱が流れるように接続されたことを特徴とする。
この基板を有する電子機器によれば、基板の全体の剛性を向上させることができ、さらに、電子部品が動作した際に発生した熱が、電解金属層と圧延金属体回路に移動することで、電子部品の温度を低く保つことができる効果がある。
【0015】
さらに、本発明の基板を有する電子機器の一実施態様としては、電解金属層が基板の表面に露出しており、圧延金属体回路の反対の側に熱を放出することを特徴とする。
この基板を有する電子機器によれば、基板の全体の剛性を向上させることができ、さらに、電子部品が動作した際に発生した熱が、基板の表面に露出した電解金属層から圧延金属体回路の反対の側に熱を放出するため、電子部品の温度を低く保つことができる効果がある。
【0016】
さらに、本発明の基板を有する電子機器の一実施態様としては、熱が圧延金属体回路から絶縁体を経由して補強構造体に流れることを特徴とする。
この基板を有する電子機器によれば、基板の全体の剛性を向上させることができ、さらに、電子部品が動作した際に発生した熱が圧延金属体回路から絶縁体を経由して補強構造体に移動することで、電子部品の温度を低く保つことができる効果がある。
【0017】
上記課題を解決するための基板の製造方法は、圧延導電体準備工程と、第一レジスト作成工程と、第一エッチング工程と、第一絶縁樹脂充填工程と、第二レジスト作成工程と、第二エッチング工程と、を、含むことを特徴とする。
本発明の基板の製造方法によれば、補強構造体が圧延金属体回路と同一平面に設けられることから、基板の剛性を向上させた基板の製造方法とすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、圧延導電体からなる圧延金属体回路と、圧延導電体からなる補強構造体とを同一平面内に設け、絶縁樹脂で隔て配置することで、基板の剛性の向上することを見出し、本発明を完成した。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】(A)図は、本発明の第1の実施態様の基板を板厚方向に切断した状態を示す概要図である。(B)図は、(A)図のA-A断面を示す概略図である。
図2】本発明の第1の実施態様の基板の製造工程を示す図である。
図3】本発明の第1の実施態様の基板の製造工程を示す図である。
図4】本発明の第1の実施態様の基板の製造工程を示す図である。
図5】本発明の第1の実施態様の基板の製造工程を示す図である。
図6】(A)図は、本発明の第1の実施態様の変形例の基板を板厚方向に切断した状態を示す概要図である。(B)図は、(A)図のA-A断面を示す概略図である。
図7】(A)図は、本発明の第2の実施態様の基板を板厚方向に切断した状態を示す概要図である。(B)図は、(A)図のA-A断面を示す概略図である。
図8】本発明の第3の実施態様の基板を板厚方向に切断した状態を示す概要図である。
図9】本発明の第3の実施態様の基板の製造工程を示す図である。
図10】本発明の第4の実施態様の基板を板厚方向に切断した状態を示す概要図である。
図11】本発明の第4の実施態様の基板を板厚方向に切断した状態を示す概要図である。
図12】本発明の第1の実施態様の変形例の基板を平面方向に切断した状態を示す概要図である。
図13】本発明の第2の実施態様の変形例の基板を平面方向に切断した状態を示す概要図である。
図14】本発明の第1の実施態様の基板に電子部品を設置した状態を示す概要図である。
図15】本発明の第4の実施態様の変形例の基板を示す斜視図である。
図16図15の板厚方向に切断されたA-A断面を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る基板及びその製造方法の実施態様を詳細に説明する。
なお、実施態様に記載する基板及び基板の製造方法については、本発明に係る基板及び基板の製造方法を説明するために例示したに過ぎず、これに限定されるものではない。
【0021】
本発明の基板は、導電体と絶縁体とを有し、基板の回路である導電体と電子部品とが、電気が流れるように接続されて電子機器を構成する。
本発明の基板は、補強構造体が圧延金属体回路と同一の平面に設けられることにより、基板の剛性を向上させた電子機器とすることができる。
本発明の基板の回路である導電体は、圧延された導電体とメッキ処理にて作成された導電体とからなる。導電体は、絶縁体よりも電気を流すことができる物質であれば特に限定されない。なお、以下、圧延された導電体を圧延導電体と呼ぶことがある。また、メッキ処理にて作成された導電体を電解導電体と呼ぶことがある。また、本明細書では、電解導電体で形成された回路を含む層を電解金属層とする。
【0022】
圧延導電体とは、原料となる導電体の鋳塊が、回転している二本のロールの間に挿入され、鋳塊が押しつぶされながら引き延ばされ、目的の厚みまで薄くして製造された導電体である。具体的には、圧延銅板又は圧延アルミニウム板が該当する。なお、本発明では、圧延板に限定されず、圧延された銅の塊、圧延されたアルミニウムの塊を用いることも可能である。
【0023】
電解導電体とは、メッキ処理にて作成された導電体であれば、特に限定されないが、具体的には、銅メッキ処理が例示できる。
【0024】
圧延された導電体は、圧延の方向(板状の導電体を使用した場合、基板の平面(X-Y軸)方向)に延びた層状の金属組織となる。また、基板の作成の過程における熱処理により、等軸に近い結晶粒となる特徴がみられる。
一方、メッキ処理にて形成された電解導電体は、厚さ方向(Z軸方向)に柱状の金属組織である特徴を有する。
圧延導電体と電解導電体では、これらの特徴の違いを有する。よって、同じ物質であっても、これらの特徴の違いから、圧延導電体の方が電解導電体よりも基板の剛性を向上させる効果を有する。
【0025】
[第1の実施態様]
〈基板〉
図1を参照し、発明を実施するための態様に係る基板の構造について説明する。本発明の基板1は、導電体と絶縁体とを含む回路層を有する。
本発明の基板1は、回路層が複数重ねられて設けられており、回路層とは、圧延金属層2と電解金属層3;4とが該当する。
圧延金属層2の表面に電解金属層3;4が設けられ、本発明の基板1となる。
【0026】
≪圧延金属層≫
圧延金属層2は、圧延された導電体からなる圧延金属体回路21と、圧延された導電体からなる補強構造体22と、絶縁樹脂からなる絶縁体23とを有する。なお、本明細書中では、圧延金属層2は、中敷きとも表現される。
圧延金属体回路21は、電気が流される役割を果たし、電解金属層3を介して電子部品と連結される。圧延金属体回路21と補強構造体22は、同一の平面内(図1のX-Y軸方向)に設けられており、補強構造体22は、圧延金属体回路21の周囲を連続して囲むように絶縁体23で隔てられて配置される。また、圧延金属体回路21と補強構造体22は、同一の圧延導電体から製造されている。
【0027】
補強構造体22が、圧延金属体回路21を連続して取り囲むように配置されていることから、補強構造体22がない場合と比較して、圧延金属層2の剛性が向上する。よって、圧延金属層2を有する基板1の全体の剛性を向上させる効果がある。この効果は、圧延金属体回路21と補強構造体22とが圧延導電体であり、同一の層内に設けられていることで、良好な効果を発揮する。
さらに、補強構造体22が、圧延金属体回路21を取り囲むように配置されていることから、圧延金属体回路21に電気が流され、熱が発生した際に、取り囲むように配置された補強構造体22に熱が伝わることで、圧延金属体回路21で生じた熱を放熱する効果もある。なお、熱は、電気が供給された電子部品から生じたり、圧延金属体回路21と接続した電解金属層3;4との接続面による抵抗から生じたりするものを含む。
【0028】
〔圧延金属体回路〕
圧延金属体回路21は、圧延金属体平面回路211と、圧延金属体層間回路212と、圧延金属体層間回路213とを有する。
【0029】
圧延金属体回路21は、平面方向(図1のX-Y軸方向)に延びる圧延金属体平面回路211と、圧延金属体平面回路211の一端の側に設けられた板厚方向(図1のZ軸方向)に延びる圧延金属体層間回路212とを有する。圧延金属体平面回路211と圧延金属体層間回路212とが同一の圧延金属体から形成され、接続面のない導電体で形成される。
言い換えると、圧延金属体平面回路と211圧延金属体層間回路212とが接続面のない一体の導電体で形成された状態である。
圧延金属体平面回路211と圧延金属体層間回路212との間には、平面方向及び板厚方向に接続面のない構造である。よって、接続面が存在することによる電気抵抗がなく、電気が流れても接続面が存在することによる発熱を抑制できる効果がある。また、接続面から剥離して、接続不良を抑制できる効果もある。
【0030】
また、圧延金属体回路21は、平面方向に延びる圧延金属体平面回路211と、圧延金属体平面回路211の他端の側に設けられた板厚方向に延びる圧延金属体層間回路213とを有する。圧延金属体平面回路211と圧延金属体層間回路213とが同一の圧延金属体から形成され、接続面のない導電体で形成される。
言い換えると、圧延金属体平面回路211と圧延金属体層間回路213とが接続面のない一体の導電体で形成された状態である。
圧延金属体平面回路211と圧延金属体層間回路213との間には、平面方向及び板厚方向に接続面のない構造である。よって、接続面が存在することによる電気抵抗がなく、電気が流れても接続面が存在することによる発熱を抑制できる効果がある。また、接続面から剥離して、接続不良を抑制できる効果もある。
【0031】
〔補強構造体〕
補強構造体22は、圧延金属体回路21と同一の平面に設けられることにより、圧延金属層2の剛性を向上させる機能を有する。
補強構造体22は、基板の機械的強度を補強するものである。なお、機械的強度とは、基板の剛性のことをいう。さらに、補強構造体22を有することにより、基板の反りを抑制し又は熱膨張による平面方向の寸法の変化を抑制する効果もある。また、補強構造体22は、圧延金属体回路21に電気が流された際に生じた熱を受け取ることで、圧延金属体回路21を放熱させる役割も果たす。
【0032】
補強構造体22が、圧延金属体回路21と同一の平面に設けられることにより、補強構造体22がないと比較して、圧延金属層2の剛性が向上する効果がある。補強構造体22の形状等は特に限定されないが、圧延金属体回路21と同じ厚み(高さ)であれば、強度の向上の点で好ましい。
【0033】
補強構造体22は、複数の第1構造体部221と、複数の第2構造体部222と、複数の交差部223とを有する。言い換えると、補強構造体22は、平面方向に広がるように網状となった構造である。
第1構造体部221は、平面上の一方の方向(図1のX軸方向)に延びる圧延導電体である。
第2構造体部222は、一方の方向と交差する方向(図1のY軸方向)に延びる圧延導電体である。
交差部223は、第1構造体部221と第2構造体部222との交点である。交差部223は、接続面のない一体の圧延導電体からなり、第1構造体部221と第2構造体部222との間には、平面方向及び板厚方向に接続面のない構造である。
複数の第1構造体部221と複数の第2構造体部222とで囲まれた隙間部分には、絶縁体23が充填された状態である。言い換えると、補強構造体22が網状に形成され、網目の隙間部分に絶縁体23が充填された構造となっている。
【0034】
補強構造体22は、平面方向に広がるように網状となった構造の場合、基板1の圧延導電体の熱膨張率と絶縁体の熱膨張率とを比較すると、圧延導電体の熱膨張率よりも絶縁体の熱膨張率の方が大きい。よって、基板1の全体に熱が加えられた場合において、補強構造体22を網状の構造とすることにより、補強構造体22がない場合と比較して、平面方向の寸法が伸縮することを抑制することができる。よって、基板1の全体の反りを抑制できる効果がある。
また、補強構造体22を網状とすることで、平面方向に広がるように板状の連続体(ベタ状)とする場合に比べ、基板を軽量化することができる。
【0035】
なお、補強構造体22は、平面方向に広がるように網状となった構造の場合を例示したが、図6に示すように、平面方向に広がるように板状の連続体(ベタ状)の補強構造体301としてもよい。
この構造の補強構造体301とすることにより、圧延金属層2を有する基板全体の剛性が高くなる効果がある。また、圧延金属体の熱膨張率と絶縁体の熱膨張率の違いによる寸法の変化を小さくできることから、基板の寸法精度を高くできる効果がある。基板の寸法精度とは、基板の温度が上昇または低下した場合における平面方向の基板寸法と、基板の温度が常温(25℃)の場合における平面方向の基板寸法とを比較し、その差が小さいことを基板寸法が高いという。基板の寸法精度が高い場合、基板の温度変化が生じても、平面方向の伸縮が小さいことから、回路の断線や基板の反りを抑制できる効果がある。
なお、網目状の補強構造体22と、平面方向に広がるように板状の連続体である補強構造体301とが組み合わされてもよい。
【0036】
また、補強構造体22は、圧延金属体回路21を取り囲むように絶縁体23で隔てられて配置される。補強構造体22が、圧延金属体回路21を取り囲むように配置されることにより、圧延金属体回路21に電気が流された際に生じた熱が、補強構造体22に向かって平面方向に均等に広がり、補強構造体22に熱が移動する。よって、圧延金属体回路21を均等に放熱させる効果がある。よって、圧延金属体回路21の熱膨張の平面方向の偏りを抑制でき、基板1の反りの抑制することができる。
【0037】
なお、図1のB図に示すように、一方の方向の距離224は、補強構造体22と圧延金属体回路21とにおける、平面上の一方の方向(図1のX軸方向)の距離である。
言い換えると、一方の方向の距離224は、圧延金属体回路21と第2構造体部222との距離である。
また、他方の方向の距離225は、補強構造体22と圧延金属体回路21とにおける、平面上の一方の方向と交差する方向(図1のY軸方向)の距離である。
言い換えると、他方の方向の距離225は、圧延金属体回路21と第1構造体部221との距離である。
一方の方向の距離224と、他方の方向の距離225との距離は特に限定されない。しかしながら、圧延金属体回路21に電気が流された場合に、補強構造体22と絶縁性を確保できる距離かつ熱が絶縁体23を経由して補強構造体22に伝わる距離であることが好ましい。
【0038】
圧延金属体回路21と補強構造体22との絶縁性を確保する観点から、一方の方向の距離224及び/又は他方の方向の距離225は、15μm以上が適用可能である。
また、圧延金属体回路21と補強構造体22との熱の伝わりやすさの観点から、一方の方向の距離224及び/又は他方の方向の距離225は、300μm以下が適用可能である。
なお、圧延金属体回路21と補強構造体22との絶縁性を確保する観点及び熱の伝わりの観点の両方の観点から、一方の方向の距離224及び/又は他方の方向の距離225は、下限値として好ましくは、25μm以上、さらに好ましくは40μm以上、最も好ましくは50μm以上が適用でき、上限値として、好ましくは200μm以下、さらに好ましくは170μm以下、最も好ましくは150μm以下が適用できる。
【0039】
また、一方の方向の距離224と他方の方向の距離225距離との比は、特に限定されないが、一方の方向の距離224と他方の方向の距離225距離が、25μm以上200μm以下の場合、2:1~1:2が適用可能である。
なお、一方の方向の距離224と他方の方向の距離225距離との比は、1.5:1~1:1.5が好ましく、より好ましくは、1.3:1~1:1.3であり、最も好ましくは、1.1:1~1:1.1以上である。
一方の方向の距離224と他方の方向の距離225の比が、同じ又は近似することにより、圧延金属体回路21から平面方向に均等に熱が補強構造体22に移る。よって、圧延金属体回路21が、平面方向に均等に放熱させやすくする効果がある。
【0040】
また、補強構造体22の体積は、圧延金属体回路21の体積以上であることが好ましい。補強構造体22が圧延金属体回路21で発生した熱を多く受け取ることができ、圧延金属体回路21の放熱効果を大きくすることができる。
さらに、補強構造体22の体積は、圧延金属体回路21の体積と後述する電解金属層3;4の導電体の体積とを足した体積より大きいことが、より好ましい。基板1の回路の全体に流される電気により、回路の全体で生じた熱を補強構造体22が多く受け取ることができるためより好ましい。
【0041】
〔絶縁体〕
絶縁体23は、導電体を流れる電気を絶縁する機能を有する。
絶縁体23は、インク状又は粉状の熱硬化性樹脂を用いることができる。インク状又は粉状の熱硬化性樹脂は、フィラーの入ったものが好ましい。フィラーは、導電性を有しないフィラーであり、インク状の熱硬化性樹脂よりも熱伝導率のよいフィラーを用いることが好ましい。
【0042】
絶縁体23は、図4のC図に示すように、絶縁樹脂231と絶縁樹脂232と絶縁樹脂233と絶縁樹脂234とを有する。なお、本発明では、圧延金属層2の絶縁体23は、基板1を補強するためのガラス繊維で編まれた平面方向に広がるシート状の補強部材を有しない。なお、フィラーと呼ばれる絶縁樹脂の強度を向上させる目的で添加される添加剤は、含有してもよい。
絶縁樹脂231は、圧延導電体に設けられた凹み部51に、板厚方向(図1のZ軸方向)の一方の側から充填された絶縁樹脂である。また、絶縁樹脂232は、圧延導電体に設けられた凹み部52に、板厚方向の他方の側から充填された絶縁樹脂である。
絶縁樹脂231と絶縁樹脂232には平面方向に延びる接続面235を有する。また、接続面235は、補強構造体22の板厚方向の中央部分に有する。
絶縁樹脂233は、圧延金属体平面回路211の一方の側の面(上面側)に設けられる凹み部53及び補強構造体22の一方の側の面に設けられる凹み部55に充填された絶縁樹脂である。絶縁樹脂233は、絶縁樹脂231と板厚方向に延びる接続面236を有する。
絶縁樹脂234は、圧延金属体平面回路211の他方の側の面(下面側)に設けられる凹み部54及び補強構造体22の他方の側の面に設けられる凹み部56に充填された絶縁樹脂である。絶縁樹脂234は、絶縁樹脂232と板厚方向に延びる接続面237を有する。
【0043】
≪電解金属層≫
電解金属層3及び電解金属層4は、圧延金属層2の表面に積層された回路である。
電解金属層3及び4は、メッキ処理にて作成された導電体である電解導電体である。なお、電解導電体であれば、導電体の種類は特に限定されないが、銅メッキ処理が好適に使用できる。
電解金属層3の電解導電体は、圧延金属体層間回路212と、電気が流れるように接続される。また、電解金属層4の電解導電体は、圧延金属体層間回路213と、電気が流れるように接続される。
電解金属層3は、平面方向に延びる電解金属体平面回路31を備える。また、電解金属層4は、平面方向に延びる電解金属体平面回路41を備える。
電解金属体平面回路31は、基板1の板厚方向の最も外側に位置し、電子部品と電気が流れるように接触して接続されたりする。電解金属体平面回路31と反対の側の面の電解金属体平面回路41は、基板1の板厚方向の最も外側に位置し、電子部品と電気が流れるように接続されたりする。
圧延金属体回路21と電子部品とは、電解金属体平面回路31又は電解金属体平面回路41を経由して電気が流れるように接続された状態となる。
【0044】
[基板の製造方法]
次に図2を参照し、本発明の基板1の製造方法について説明する。
まず、圧延導電体5が準備される。この工程を圧延導電体準備工程とする。
【0045】
次に、図2(A)図に示すように、圧延導電体5の表面にエッチングレジストが設けられる。圧延導電体5の一方の側の面に、補強構造体22となる部分と、圧延金属体回路21となる部分とをエッチングレジスト57で覆う工程を行う。この工程を、第一レジスト作成工程とする。
なお、第一レジスト作成工程では、圧延導電体5の他方の側の面の全体もエッチングレジスト57で保護される。
【0046】
次に第一レジスト作成工程のエッチングレジスト57で覆われた状態において、圧延導電体5がエッチングされる。この工程を第一エッチング工程とする。この工程により、圧延導電体5の一方の側の面に凹み51が形成される。そして第一レジスト工程で設けられたエッチングレジスト57が除去され、図2(B)に示す状態となる。
【0047】
次に、図2(C)示すように、一方の側の凹み部51に絶縁樹脂231が充填される工程が行われる。この工程を第一絶縁樹脂充填工程とする。
なお、第一絶縁樹脂充填工程の後に、絶縁樹脂231と圧延導電体5が平らな面となるように、一方の側の面が整面処理される。この工程を第一整面工程とする。
【0048】
図3(A)図に示すように、圧延導電体5の他方の側の面に、補強構造体22となる部分と、圧延金属体回路21となる部分とをエッチングレジスト58で覆う工程を行う。この工程を、第二レジスト作成工程とする。
なお、第二レジスト作成工程では、圧延導電体5の一方の側の面の全体もエッチングレジスト58で保護される。
【0049】
次に第二レジスト作成工程のエッチングレジスト58で覆われた状態において、圧延導電体5がエッチングされる。この工程を第二エッチング工程とする。この工程により、圧延導電体5の他方の側の面に凹み部52が形成される。そして第二レジスト工程で設けられたエッチングレジスト58が除去され、図3(B)に示す状態となる。なお、凹み部52は、絶縁樹脂231が露出した状体となるようにエッチングがされる。また、この工程により、圧延金属体回路中間体214と網状の補強構造体中間体226が形成される。
【0050】
次に、図3(C)に示すように、他方の側の凹み部52に絶縁樹脂232が充填される工程が行われる。この工程を第二絶縁樹脂充填工程とする。この工程により、圧延金属層中間体24となる。
なお、第二絶縁樹脂充填工程の後に、絶縁樹脂232と圧延導電体5が平らな面となるように、他方の側の面が整面処理される。この工程を第二整面工程とする。
【0051】
次に、図4(A)に示すように、圧延金属体回路中間体214の一方の側の面に、圧延金属体層間回路212となる部分が、エッチングレジスト59で覆われる。また、圧延金属体回路中間体214の他方の側の面に、圧延金属体層間回路213となる部分が、エッチングレジスト59で覆われる。この工程を第三レジスト作成工程とする。
【0052】
次に第三レジスト作成工程のエッチングレジスト59で覆われた状態において、圧延導電体5がハーフエッチングされる。この工程を第三エッチング工程とする。
この工程により、図4(B)に示すように、圧延金属体回路中間体214に凹み部53と凹み部54が設けられ、圧延金属体回路21が形成される。また、補強構造体中間体226に凹み部55と凹み部56とが設けられ、補強構造体22が形成される。
【0053】
次に、凹み部53と凹み部55とに絶縁樹脂233が充填されかつ凹み部54と凹み部56とに絶縁樹脂234が充填される工程が行われる。この工程を第三絶縁樹脂充填工程とする。この工程により、圧延金属層2が形成され、図4(C)に示す状態となる。
なお、第三絶縁樹脂充填工程の後に、一方の側の面の絶縁樹脂233と圧延金属体層間回路212とが平らな面となるように、一方の側の面が整面処理される。また、他方の側の面の絶縁樹脂234と圧延金属体層間回路213とが平らな面となるように、他方の側の面が整面処理される。この工程を第三整面工程とする。
【0054】
次に、図5(A)に示すように、圧延金属層2の表面にメッキ処理により、電解導電体6が設けられる。この工程を最外層メッキ工程とする。
【0055】
次に図5(B)に示すように、電解導電体に最外層の回路となる部分がエッチングレジスト65で覆われる。この工程を最外層レジスト作成工程とする。
そして、最外層レジスト作成工程のエッチングレジスト65で覆われた状態において、電解導電体6がエッチングされる。一方の側の面に最外層である電解金属体平面回路31が形成され、電解金属層3となる。また、他方の側の面に最外層である電解金属体平面回路34が形成され、電解金属層4となる。その後、エッチングレジスト65が除去され、図1(A)に示す基板1となる。
その後、ソルダーレジストが設けられ、表面の保護された基板1が作成される。
【0056】
[第2の実施形態]
〈基板〉
図7を参照し、発明を実施するための態様に係る基板の構造について説明する。なお、第1の実施形態の基板1と同じ構造のものは同一の符号とし、説明を省略する。本発明の基板12は、第1の実施形態の基板1の補強構造体の形状が相違する。
本実施態様では、補強構造体25は、圧延金属体回路21の周囲を連続して囲むように配置され、第1の実施態様の補強構造体22のように平面方向に広がる網状の補強構造体となっていない。
本実施の形態であっても、圧延金属層2に補強構造体25を有していることから、補強構造体25がない場合と比較して、圧延金属層2の剛性を向上させる効果がある。また、第1の実施形態と同様に、圧延金属体回路21の放熱性も有する。
[基板の製造]
基板の製造方法については、第一レジスト作成工程と第二のレジスト作成工程において、補強構造体25の形状となるように、エッチングレジストを設けることで、第1の製造方法と同様に製造することができる。
【0057】
[第3の実施形態]
図8を参照し、発明を実施するための態様に係る基板13の構造について説明する。なお、第1の実施形態の基板1と同じ構造のものは、同一の符号とし、説明を省略する。本発明の基板13は、第1の実施形態の基板1の圧延金属体回路21に変えて、圧延金属体回路26を有する。
また、電解金属層7と電解金属層8とを備える点が、第1の実施態様と異なる。
また、電解金属層3と電解金属層4は基板13の最も外側に配置された状態である。
【0058】
〔圧延金属体回路〕
圧延金属体回路26は、板厚方向に延びる圧延金属体層間回路261を有する。言い換えると、圧延金属体回路26は、第1の実施態様の圧延金属体回路21の圧延金属体平面回路211に相当する構造を有していない。
【0059】
〔電解金属層〕
電解金属層7は、電解導電体71からなる電解金属体層間回路72と絶縁体73を有する。絶縁体73は絶縁樹脂76であり、第1の実施態様の絶縁樹脂と同じものが使用できる。
電解金属層7は、圧延金属層2と電解金属層3との間に配置される。電解金属体層間回路72は、圧延金属体回路26及び電解金属層3の電解金属体平面回路31に渡って、電気が流れるように接続される。
また、電解金属体層間回路72と圧延金属体回路26の接続面は、平面方向に接続面を有するが、板厚方向に接続面を有しない状態である。電解金属体層間回路72と電解金属体平面回路31は、平面方向に接続面を有するが、板厚方向に接続面を有しない状態である。
【0060】
電解金属層8は、電解導電体81からなる電解金属体層間回路82と絶縁体83を有する。絶縁体83は絶縁樹脂86であり、第1の実施態様の絶縁樹脂と同じものが使用できる。
電解金属層8は、圧延金属層2と電解金属層4との間に配置される。電解金属体層間回路82は、圧延金属体回路26及び電解金属層4の電解金属体平面回路41に渡って、電気が流れるように接続される。
また、電解金属体層間回路82と圧延金属体回路26の接続面は、平面方向に接続面を有するが、板厚方向に接続面を有しない状態である。電解金属体層間回路82と電解金属体平面回路41は、平面方向に接続面を有するが、板厚方向に接続面を有しない状態である。
[基板の製造方法]
図9を参照し、本実施態様の基板13の製造方法について説明する。本実施態様の基板13の製造方法は、第1の実施態様の基板1の製造方法と同様に、圧延導電体準備工程から第二整面工程まで同じ工程を行う。
本実施態様では、第1の実施態様の圧延金属層中間体24の状態が、圧延金属層2に該当する。つまり、第二整面工程の後の状態において、圧延金属体回路26が作成された状態となる。
図9(A)に示すように、圧延金属層2の表面にメッキ処理により、電解導電体71及び81が設けられる。この工程を内部メッキ工程とする。
次に圧延金属体回路26を覆うように、電解導電体71及び81にエッチングレジスト74が設けられる。この工程を第四レジスト作成工程とする。
次に、第四レジスト作成工程のエッチングレジスト74で覆われた状態において、電解導電体71及び81がエッチングされる。この工程を第四エッチング工程とする。
この工程により、図9(B)に示すように、電解導電体71及び81に凹み部75と凹み部85が設けられ、電解金属体層間回路72及び82が形成される。
【0061】
次に、凹み部75に絶縁樹脂76が充填され、凹み部85に絶縁樹脂86が充填される工程が行われる。この工程を第四絶縁樹脂充填工程とする。この工程により、電解金属層7及び電解金属層8が形成され、図9(C)に示す状態となる。
なお、第四絶縁樹脂充填工程の後に、一方の側の面の絶縁樹脂76と電解金属体層間回路72とが平らな面となるように、一方の側の面が整面処理される。また、他方の側の面の絶縁樹脂86と電解金属体層間回路82とが平らな面となるように、他方の側の面が整面処理される。この工程を第四整面工程とする。
その後、第1の実施態様の最外層メッキ工程が行われ、電解金属層7及び電解金属層8の表面に電解導電体6が設けられる。続いて、最外層レジスト作成工程から最外層レジスト作成工程が行われ、電解金属体平面回路31及び電解金属体平面回路34が形成され、電解金属層3及び電解金属層4となり、基板13が製造される。
【0062】
[第4の実施態様]
図10を参照し、発明を実施するための態様に係る基板14の構造について説明する。なお、第1の実施形態の基板1と同じ構造のものは、同一の符号とし、説明を省略する。本発明の基板14は、電解金属層9;10を有する。また、電解金属層3;4が最も外側に配置される。
【0063】
基板14の圧延金属体回路21は、電解金属層9と連結されており、電解金属層9は、平面方向に延びる電解金属体平面回路91と、電解金属体平面回路91の一端の側に設けられた板厚方向に延びる電解金属体層間回路92とを有し、電解金属体平面回路91と電解金属体層間回路92とが同一の電解金属体から形成され、接続面のない導電体で形成されたことを特徴としている。
【0064】
[電解金属層]
電解金属層9は、圧延金属層2と電解金属層3の間に設けられ、平面方向に延びる電解金属体平面回路91と板厚方向に延びる電解金属体層間回路92と絶縁体93とを有する。電解金属体層間回路92は、電解金属体平面回路91の一端の側に設けられる。
電解金属体平面回路91と電解金属体層間回路92は、同一の電解金属体から形成され、接続面のない導電体として形成される。言い換えると、電解金属体平面回路91と電解金属体層間回路92は、接続面のない一体の電解導電体94で形成される。
電解金属体平面回路91と電解金属体層間回路92は、接続面がないことから、電気抵抗がない。よって、接続面が存在することによる電気抵抗がなく、電気が流れても接続面が存在することによる発熱を抑制できる効果がある。また、接続面から剥離して、接続不良を抑制できる効果もある。
電解金属体平面回路91の他端側は、圧延金属体回路26と電気が流れるように接続される。また、電解金属体層間回路92は、電解金属体平面回路31と電気が流れるように接続される。なお、絶縁体93は、絶縁樹脂として、第1の実施形態の絶縁樹脂と同じものが使用できる。
【0065】
電解金属層10は、圧延金属層2と電解金属層4の間に設けられ、平面方向に延びる電解金属体平面回路101と板厚方向に延びる電解金属体層間回路102と絶縁体103とを有する。電解金属体層間回路102は、電解金属体平面回路101の一端の側に設けられる。
電解金属体平面回路101と電解金属体層間回路102は、同一の電解金属体から形成され、接続面のない導電体として形成される。言い換えると、電解金属体平面回路101と電解金属体層間回路102は、接続面のない一体の電解導電体104で形成される。
電解金属体平面回路101と電解金属体層間回路102は、接続面がないことから、電気抵抗がない。よって、接続面が存在することによる電気抵抗がなく、電気が流れても接続面が存在することによる発熱を抑制できる効果がある。また、接続面から剥離して、接続不良を抑制できる効果もある。
電解金属体平面回路101の他端側は、圧延金属体回路26と電気が流れるように接続される。また、電解金属体層間回路102は、電解金属体平面回路41と電気が流れるように接続される。なお、絶縁体103は、絶縁樹脂として、第1の実施形態の絶縁樹脂と同じものが使用できる。
【0066】
電解金属層9及び/又は10とすることにより、板厚方向に配置された平面方向に延びる平面回路どうしを接続する際に、板厚方向に貫通するスルーホールを設ける必要がない。よって、回路設計の自由度が向上する効果がある。言い換えると、接続を望まない他の層の回路を避けるように、スルーホールを設計する必要がなくなる。
【0067】
本実施の形態では、電解金属層9が、圧延金属層2と電解金属層3の間に設けられ、かつ、電解金属層10が、圧延金属層2と電解金属層4の間に設けられた場合の基板14を例示した。しかしながら、本実施態様と第3の実施態様を組み合わせてもよい。具体的には、図11に示すように、電解金属層9が、電解金属層7と電解金属層3の間に設けられ、かつ、電解金属層10が、電解金属層8と電解金属層4の間に設けられた場合の基板15としてもよい。
【0068】
[その他の変形例]
本発明は、第1の実施形態から第4の実施態様を組み合わせて適用することが可能である。
第1の実施態様から第4の実施態様では、補強構造体22;25が圧延金属体回路21;26の周囲を連続して取り囲むように配置された場合を例示した。しかしながら、図12及び図13に示すように、補強構造体22;25が部分的に離れて圧延金属体回路21;26の周囲を取り囲むように配置されて状態であってよい。かかる場合であっても、基板1;14の剛性は向上するうえ、圧延金属体回路21;26の放熱の効果は有する。
しかしながら、補強構造体22;26が部分的に離れている場合、互いに向かい合うように配置されていることが望ましい。また、補強構造体22;26が部分的に離れている場合は、圧延金属体回路21;26の体積よりも、部分的に離れた補強構造体22;26を足した体積が同じ又は大きくすることが好ましい。この体積の関係とすることにより、圧延金属体回路21;26の放熱の効果を向上させることができる。
【0069】
第1の実施形態から第4の実施態様では、一方の面に電解金属層3;7:9を設け、他方の面に電解金属層4;8;10を設けた場合を例示したが、一方の面と他方の面との電解金属層の数が同じであっても、異なっていてもよい。
また、第4の実施態様において、一方の面に電解金属層9が1層設けられた場合を例示したが、電解金属層9が、2層、3層、4層以上のように複数層設けられてもよい。また、他方の面に電解金属層10が1層設けられた場合を例示したが、電解金属層10が、2層、3層、4層以上のように複数層設けられてもよい。図15及び図16は、第4の実施態様の変形例を示す図であり、電解金属層9及び10が2層設けられた場合の基板16を示す図である。なお、図16は絶縁樹脂が除去された状態における図15の一部分を示しており、圧延導電体からなる回路と電解導電体からなる回路の一部分を示している。
【0070】
本発明は、圧延金属層に補強構造体を設けることで基板全体の剛性を向上させる発明である。よって、ガラス繊維で編まれた平面方向に広がるシート状の補強部材を有する電解金属層が圧延金属層に組み合わされた基板であっても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0071】
第1の実施形態では、圧延金属体回路21と電子部品とが電気が流れるように接続される場合で説明したが、図14において、圧延金属体回路21と電子部品302とが電気が流れないように基板に配置されてもよい。
この場合、図示しない他の回路から電子部品302に電気が供給される。
電子部品302と電解金属層3とが接触して配置され、電子部品302が動作した際の熱303が、電解金属層3を経由して圧延金属体回路21に移動するように電子部品302が配置されている。そして、圧延金属体回路21から前記絶縁体23を経由して補強構造体22に熱304が流れるようにすることで、電子部品302の温度を低く保つことができる。
【0072】
また、電子部品302が取り付けられた状態の基板において、電子部品302の側の平面方向から見た場合、電解金属層3は、基板の外側の空間に露出した部分305を有することが好ましい。言い換えると、電解金属層3の露出した部分305は、電子部品302よりも平面方向の外側に広がる状態となっている。
電子部品302の取り付けられた基板が、電解金属層3の露出した部分305を有することにより、電子部品302で生じた熱303が、矢印306に示すように、圧延金属体回路21の板厚方向の反対の側に放出される。よって、放熱効果を高め、電子部品302の温度をより低く保つことができる。
つまり、電解金属層3が基板の表面に露出しており、圧延金属体回路21の反対の側に熱303を放出する特徴を有する。
【0073】
なお、ヒートシンクのような放熱部材が、露出した部分305に接触して設けられてもよい。かかる場合であっても、電子部品302で生じた熱303は、露出した部分305から圧延金属体回路21の板厚方向の反対の側(矢印306)に放出される効果を有する。
また、第2の実施形態から第4の実施形態においても同様に適用可能である。
【0074】
実施の形態1では、基板1は圧延金属層2と電解金属層3とを有する場合を説明したが、電解金属層3を有しない圧延金属層2を基板としもよく、電子部品302と圧延金属体回路21が接続された電子機器とし、電子部品302と圧延金属体回路21との間に電気が流れるようにしたり、電子部品302で発生した熱が圧延金属体回路21に流れるようにしたりしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の電子機器は、本発明の基板を備える電子機器であり、その用途は特に限定されないが、例えば、自動車、航空機、無人航空機、携帯電話、スマートフォン、パーソナルコンピューター、LEDモジュール、パワー半導体モジュールなどが挙げられる。この電子機器によれば、基板の剛性を向上させることができる。さらに、放熱効果の高い基板とすることができることから、基板の反りを抑制し、導電体どうしの接続不良を抑制することができる。
【符号の説明】
【0076】
1は基板、2は圧延金属層、3は電解金属層、4は電解金属層、5は圧延導電体、6は電解導電体、7は電解金属層、8は電解金属層、9は電解金属層、10は電解金属層、12は基板、13は基板、14は基板、15は基板、16は基板、21は圧延金属体回路、22は補強構造体、23は絶縁体、24は圧延金属層中間体、25は補強構造体、26は圧延金属体回路、31は電解金属体平面回路、34は電解金属体平面回路、41は電解金属体平面回路、51は凹み部、52は凹み部、53は凹み部、54は凹み部、55は凹み部、56は凹み部、57はエッチングレジスト、58はエッチングレジスト、59はエッチングレジスト、65はエッチングレジスト、71は電解導電体、72は電解金属体層間回路、73は絶縁体、74はエッチングレジスト、75は凹み部、76は絶縁樹脂、81は電解導電体、82は電解金属体層間回路、83は絶縁体、85は凹み部、86は絶縁樹脂、91は電解金属体平面回路、92は電解金属体層間回路、93は絶縁体、94は電解導電体、101は電解金属体平面回路、102は電解金属体層間回路、103は絶縁体、104は電解導電体、211は圧延金属体平面回路、212は圧延金属体層間回路、213は圧延金属体層間回路、214は圧延金属体回路中間体、221は第1構造体部、222は第2構造体部、223は交差部、224は距離、225は距離、226は補強構造体中間体、231は絶縁樹脂、232は絶縁樹脂、233は絶縁樹脂、234は絶縁樹脂、235は接続面、236は接続面、237は接続面、261は圧延金属体層間回路、301は補強構造体、302は電子部品、303は熱、304は熱、305は露出した部分、306は矢印。
図1
図2
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図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2022-07-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧延導電体からなる圧延金属体回路と、圧延導電体からなる補強構造体と、絶縁樹脂からなる絶縁体と、を備える圧延金属層を有し、
前記圧延金属体回路と前記補強構造体は、同一の平面内に設けられており、
前記補強構造体は、平面方向に広がるように網状であり、基板の機械的強度を補強するものでありかつ前記圧延金属体回路の周囲を囲むように絶縁体で隔てられて配置された前記圧延金属層を有することを特徴とする、基板。
【請求項2】
圧延導電体からなる圧延金属体回路と、圧延導電体からなる補強構造体と、絶縁樹脂からなる絶縁体と、を備える圧延金属層を有し、
前記圧延金属体回路と前記補強構造体は、同一の平面内に設けられており、
前記補強構造体は、上面側の全体及び下面側の全体に絶縁体が配置され平面方向に広がるように板状の連続体であり、基板の機械的強度を補強するものでありかつ前記圧延金属体回路の周囲を囲むように絶縁体で隔てられて配置された前記圧延金属層を特徴とする、基板。
【請求項3】
圧延導電体からなる圧延金属体回路と、圧延導電体からなる補強構造体と、絶縁樹脂からなる絶縁体と、を備える圧延金属層を有し、
前記圧延金属体回路と前記補強構造体は、同一の平面内に設けられており、
前記補強構造体は、基板の機械的強度を補強するものでありかつ前記圧延金属体回路の周囲を囲むように絶縁体で隔てられて配置され
前記圧延金属体回路は、平面方向に延びる圧延金属体平面回路と、
前記圧延金属体平面回路の一端の側に設けられた板厚方向に延びる圧延金属体層間回路とを有し、
前記圧延金属体平面回路と前記圧延金属体層間回路とが同一の圧延金属体から形成され、接続面のない導電体で形成された前記圧延金属層を有することを特徴とする、基板。
【請求項4】
前記圧延金属体回路は、電解金属層と連結されており、
前記電解金属層は、平面方向に延びる電解金属体平面回路と、
前記電解金属体平面回路の一端の側に設けられた板厚方向に延びる電解金属体層間回路とを有し、
前記電解金属体平面回路と前記電解金属体層間回路とが同一の電解金属体から形成され、接続面のない導電体で形成されたことを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の基板。
【請求項5】
前記圧延金属体回路と電子部品とが、電気が流れるように接続されたことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の基板を有する、電子機器。
【請求項6】
前記圧延金属体回路と電子部品とが、熱が流れるように接続されたことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の基板を有する、電子機器。
【請求項7】
電子部品と前記電解金属層と前記圧延金属体回路とが熱が流れるように接続されたことを特徴とする請求項に記載の基板を有する、電子機器。
【請求項8】
前記電解金属層が基板の表面に露出しており、圧延金属体回路の反対の側に熱を放出することを特徴とする請求項に記載の基板を有する、電子機器。
【請求項9】
前記熱が、前記圧延金属体回路から前記絶縁体を経由して前記補強構造体に流れることを特徴とする請求項のいずれか一項に記載の基板を有する、電子機器。
【請求項10】
圧延導電体が準備される、圧延導電体準備工程と、
前記圧延導電体の一方の側の面に、補強構造体となる部分と、圧延金属体回路となる部分とをエッチングレジストで覆う、第一レジスト作成工程と、
前記圧延導電体の一方の側の面に凹み部が形成される、第一エッチング工程と、
前記一方の側の凹み部に絶縁樹脂が充填される、第一絶縁樹脂充填工程と、
前記圧延導電体の他方の側の面に、補強構造体となる部分と、圧延金属体回路となる部分とをエッチングレジストで覆う、第二レジスト作成工程と、
前記圧延導電体の他方の側の面に凹み部が形成されて圧延金属体回路中間体が形成される、第二エッチング工程と、
前記他方の側の凹み部に絶縁樹脂が充填される、第二絶縁樹脂充填工程と、
前記圧延金属体回路中間体の一方又は他方の側の面に、圧延金属体層間回路となる部分が、エッチングレジストで覆われる、第三レジスト作成工程と、
前記圧延導電体がハーフエッチングされる、第三エッチング工程と、
を、含むことを特徴とする、圧延金属体回路と補強構造体とが同一の平面内に設けられた基板の製造方法。