(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023028163
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】カップリング装置
(51)【国際特許分類】
F16L 37/32 20060101AFI20230224BHJP
F16L 55/24 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
F16L37/32
F16L55/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021133688
(22)【出願日】2021-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】391003989
【氏名又は名称】株式会社コスメック
(72)【発明者】
【氏名】有里 明
【テーマコード(参考)】
3J106
【Fターム(参考)】
3J106CA08
3J106CA13
3J106GA02
3J106GA04
3J106GA05
3J106GA12
3J106GA14
3J106GA23
(57)【要約】
【課題】 コンパクトなカップリング装置を提供する。
【解決手段】
本発明のカップリング装置は、第1継手(3)と第2継手(4)とを有する。その第2継手(4)内に副弁室(27)と主弁室(28)とが上下方向に連続するように形成される。その副弁室(27)内に副弁部材(33)が上下方向に移動可能で保密状に挿入される。その副弁部材(33)が、前記副弁室(27)内に形成される副弁座(32)に向けて下方に閉弁バネ(40)によって付勢される。その副弁部材(33)内に連通路(35)が形成される。その連通路(35)が、前記副弁室(27)と前記主弁室(28)とを連通させる流路の一部を構成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1継手(3)と、
前記第1継手(3)に着脱可能に接続される第2継手(4)と、
前記第1継手(3)内に設けられる第1給排路(5)と、
前記第2継手(4)内に設けられると共に、前記第1給排路(5)に着脱可能に接続される第2給排路(6)と、
前記第2継手(4)内に軸方向の先端側から基端側に連続するように形成される副弁室(27)と主弁室(28)と、
前記副弁室(27)内に前記軸方向に移動可能で封止部材(34)を介して保密状に挿入されると共に、前記副弁室(27)内に形成される副弁座(32)に向けて先端側に閉弁バネ(40)によって付勢される副弁部材(33)であって、前記副弁座(32)に当接可能な副弁面(41)を有する副弁部材(33)と、
前記主弁室(28)内に前記軸方向に移動可能で保密状に挿入されると共に、前記副弁部材(33)に当接可能となっている主弁部材(43)であって、前記主弁室(28)内に形成される主弁座(42)に向けて先端側に閉弁バネ(48)によって付勢される主弁部材(43)と、を備え、
前記第2給排路(6)の一部としての連通路(35)が前記副弁部材(33)内に形成される、ことを特徴とするカップリング装置。
【請求項2】
請求項1のカップリング装置において、
前記副弁部材(33)の外周面上であって、前記封止部材(34)によって封止される部分と前記副弁面(41)との間に前記連通路(35)の一端部が開口され、
前記連通路(35)の他端部が、前記副弁部材(33)と前記主弁部材(43)との間であって、前記副弁室(27)に連通される、ことを特徴とするカップリング装置。
【請求項3】
請求項1または2のカップリング装置において、
前記連通路(35)の途中部にフィルタ(38)が装着される、
ことを特徴とするカップリング装置。
【請求項4】
請求項3のカップリング装置において、
前記連通路(35)の壁面から突設される支持部材(36)が、円盤状の前記フィルタ(38)を支持し、
前記副弁部材(33)が前記支持部材(36)と前記フィルタ(38)とを介して前記主弁部材(43)に当接可能となっている、
ことを特徴とするカップリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、第1継手および第2継手に形成された給排路を分離可能に接続するカップリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のカプラには、従来では、特許文献1(日本国・特開昭60-67042号公報)および特許文献2(日本国・特開2003-117748号公報)に記載されたものがある。その従来技術は、次のように構成されている。
【0003】
特許文献1のカップリングは、雄栓と雌栓とを有している。その雌栓の栓ケース内に出入口弁と主弁とが直列に設けられている。その出入口弁の弁室と主弁の弁室とを連通させる流路が栓ケース内であってそれらの弁室の径方向の外側に設けられている。その流路の途中部に形成される環状空間にリング状の防護フィルタが装着される。
【0004】
特許文献2の急速継手は、第1継手としてのプラグと第2継手としてのソケットとを有している。そのプラグのハウジング内に第2流路と逆止弁室とが直列上に設けられているその第2流路に第2閉止部材が挿入されると共に、逆止弁室に逆止部材が挿入されている。その第2流路と逆止弁室とを連通させる流路がハウジング内であって第2閉止部材の径方向の外側に形成される。その流路に円筒フィルタが装着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭60-67042号公報
【特許文献2】特開2003-117748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のカップリングの雌栓では、主弁の弁室と出入口弁の弁室を連通する流路が当該弁室の外側に形成され、その流路の途中部にフィルタが装着されている。このため、雌栓の径方向の寸法が流路やフィルタの距離分だけ大きくなっている。
【0007】
また、特許文献2の急速継手のプラグでは、第2流路と逆止弁室とを連通させる流路が第2閉止部材の径方向の外側に形成され、その流路の途中部に筒状のフィルタが装着されている。このため、プラグの径方向の寸法が流路やフィルタの距離分だけ大きくなっている。
【0008】
特許文献1および2のカップリング装置(カップリングや急速継手等)の直径は一般的に小さく、例えば、20mm程度である。その小さなカップリング装置内に流すことができる流体の流量を維持または従来よりも増加すると共に、その全体寸法を従来のカップリング装置よりもコンパクトにすることが求められている。
【0009】
本発明の目的は、コンパクトなカップリング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明は、例えば、
図1から
図3,
図4から
図6に示すように、カップリング装置を次のように構成した。
上記カップリング装置は、第1継手3と、前記第1継手3に着脱可能に接続される第2継手4とを有している。前記第1継手3内に第1給排路5が設けられる。前記第1給排路5に着脱可能に接続される第2給排路6が、前記第2継手4内に設けられる。前記第2継手4内に副弁室27と主弁室28とが軸方向の先端側から基端側に連続するように形成される。前記副弁室27内に副弁部材33が前記軸方向に移動可能で封止部材34を介して保密状に挿入される。その副弁部材33が、前記副弁室27内に形成される副弁座32に向けて先端側に第2閉弁バネ40によって付勢される。その副弁部材33が、前記副弁座32に当接可能な副弁面41を有する。前記主弁室28内に主弁部材43が前記軸方向に移動可能で保密状に挿入される。その主弁部材43が前記副弁部材33に当接可能となっている。また、主弁部材43が、前記主弁室28内に形成される主弁座42に向けて先端側に閉弁バネ48によって付勢される。前記第2給排路6の一部としての連通路35が前記副弁部材33内に形成される。
【0011】
本発明は、上記の本発明は次の作用効果を奏する。
本発明のカップリング装置では、第2給排路の一部としての連通路が前記副弁部材内に形成される。このため、副弁室と主弁室とを接続する連通路が弁室の外側に形成される前述した従来のカップリング装置に比べて、本発明のカップリング装置をコンパクトに作ることができる。
【0012】
本発明は、下記(1)から(3)の構成を加えることが好ましい。
(1)例えば、
図1から
図3,
図4から
図6に示すように、前記副弁部材33の外周面上であって、前記封止部材34によって封止される部分と前記副弁面41との間に前記連通路35の一端部が開口される。前記連通路35の他端部が、前記副弁部材33と前記主弁部材43との間であって、前記副弁室27に連通される。
この場合、副弁室内に挿入される副弁部材内に連通路が形成される。言い換えると、連通路が副弁室内に収まるように形成される。また、その連通路によって連通される2つの空間(副弁室の内周面と副弁部材の外周面とに区画形成される空間であって、封止部材と副弁面および副弁座とによって封止される空間と、連通路によって副弁部材と主弁部材との間に形成される空間)も副弁室内に収まるように設けられている。このため、連通路が弁室の外側に形成される前述の従来のカップリング装置に比べて、本発明のカップリング装置をコンパクトに作ることができる。
【0013】
(2)前記連通路35の途中部にフィルタ38が装着される。
この場合、副弁室内に挿入された副弁部材の内部に連通路とフィルタを収めることができる。このため、弁室の外側に連通路とフィルタを設ける従来のカップリング装置に比べて、本発明のカップリング装置をコンパクトに作ることができる。
【0014】
(3)前記連通路35の壁面から突設される支持部材36が、円盤状のフィルタ38を支持する。前記副弁部材33が前記支持部材36と前記フィルタ38とを介して前記主弁部材43に当接可能となっている。
この場合、円盤状のフィルタにおいて、支持部材に当接する部分(以下、被支持部分)などの当該フィルタを支持する部分は、異物除去する機能を発揮しない。このため、フィルタを支持する部分をできるだけ少なくすることで、カップリング装置の全体寸法を小さくすることにつながる。本発明のカップリング装置では、異物除去機能を発揮しない部分を外周縁部と被支持部分のみにしている。このため、従来技術(特許文献1)のように中央開口部、およびその中央開口部の内周縁部と外周縁部を必要とするのに比べて、本発明では、従来の内周縁部の押さえ代を必要としないので、カップリング装置の全体寸法を小さく作ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態を示し、カップリング装置の第1継手と第2継手とが分離された状態を示す断面図である。
【
図2】
図2は、上記カップリング装置の第1継手と第2継手とが連結された状態を示す断面図であり、
図1に類似する図である。
【
図4】
図4は、本発明の第2実施形態を示し、カップリング装置の第1継手と第2継手とが分離された状態を示す断面図である。
【
図5】
図5は、上記カップリング装置の第1継手と第2継手とが当接された状態を示す断面図であり、
図4に類似する図である。
【
図6】
図6は、上記カップリング装置の第1継手と第2継手とが連結された状態を示す断面図であり、
図4に類似する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の第1実施形態を
図1から
図3によって説明する。
図1および
図2に示すカップリング装置は、第1継手3と、その第1継手3に着脱自在に先端側から接続される第2継手4とを備える。前記第1継手3内に設けられた第1給排路5と第2継手4内に設けられた第2給排路6とを分離可能に接続する。
【0017】
上記の第1ブロック1に形成される圧縮空気(圧力流体)の流路7が、第1ブロック1の上面に開口される装着孔8に連通される。その装着孔8に第1継手3の第1ケーシング9が保密状に螺合される。また、第2ブロック2に圧縮空気の流路10が形成され、その流路10が、第2ブロック2の下面に開口される装着孔11に連通される。その装着孔11に第2継手4の第2ケーシング12が保密状に挿入される。
【0018】
上記カップリング装置の第1継手3では、第1ケーシング9の下面に開口される孔によって給排口13が構成され、第1ケーシング9の上部に第1弁室14が形成される。その第1弁室14と給排口13とは、仕切壁15によって隔てられており、その仕切壁15に形成される6つの貫通孔16(
図1および
図2中には2つの貫通孔16をのみを図示する)によって接続されている。
【0019】
上記の給排口13を覆うように第1フィルタ17が当該給排口13の内周壁に装着される。これにより、供給源からの圧縮空気に含まれるゴミなどの異物が第1フィルタ17によって除去される。
【0020】
上記の第1弁室14内に筒状の第1弁部材18が保密状で上下方向に移動可能に挿入される。その第1弁部材18の筒孔19の上側内周壁が上方(先端側)に向かうにつれて広がるようにテーパ状に形成される。そのテーパ状の部分に第1弁面20が環状に形成される。その第1弁面20の外側であって第1弁部材18の先端面に溝が周方向に開口され、その溝に環状封止部材21が装着される。
【0021】
上記の第1ケーシング9内の仕切壁15から略円柱状の弁座部材22が第1弁室14内に上方に突設される。その弁座部材22の上部は、上方に向かうにつれて広がるようにテーパ状に形成されている。その弁座部材22のテーパ面に第1弁座23が周方向に形成される。その第1弁座23に第1弁面20が当接可能となっている。
【0022】
上記の筒状の第1弁部材18と仕切壁15との間に第1閉弁バネ24が装着され、その第1閉弁バネ24が第1弁部材18を弁座部材22の先端部に向けて上方に付勢している。
【0023】
本実施形態において、第1ケーシング9の給排口13と貫通孔16と第1弁室14と第1弁部材18の筒孔19とによって第1給排路5が構成される。
【0024】
上記の第2継手4は次のように構成される。その第2継手4の第2ケーシング12からプラグ部25が下方に突出するように当該第2ケーシング12と一体的に形成され、そのプラグ部25の下面に受け面26が形成される。その受け面26が第1継手3の第1弁部材18に装着される封止部材21に当接可能となっている。そのプラグ部25が第1継手3の第1弁室14内に挿入可能となっている。
【0025】
上記の第2ケーシング12内に第2弁室(副弁室)27および第3弁室(主弁室)28が下側から順に形成される。第2弁室27と第3弁室28とは、第2ケーシング12内に形成される仕切壁29によって隔てられている。その仕切壁29の中央に貫通される案内孔30が、第2弁室27と第3弁室28とを連通させている。その案内孔30の周壁に連通溝31が上下方向に形成される。その第2弁室27はプラグ部25の下面に開口されている。また、第3弁室28は第2ケーシング12の上面に開口されている。
【0026】
上記の第2弁室27の開口部付近の内周壁に第2弁座(副弁座)32が下方に向かうにつれて狭まる(軸心に近づく)ように周方向に形成される。その第2弁室27に第2弁部材(副弁部材)33が封止部材34によって保密状で上下方向(第2ケーシング12の軸方向)に移動可能に挿入される。その第2弁部材33の上部に凹部35aが形成され、その底壁から支持ピン(支持部材)36が上方に突設される。その凹部35aの内周壁に段差部37が設けられ、その段差部37に円盤状の第2フィルタ(フィルタ)38が装着され、その第2フィルタ38の中央部が支持ピン36に下方から支持されている。その凹部35aの内周壁と第2フィルタ38とによって区画された室が、第2弁部材33の筒壁に6つの貫通孔35b(
図1から
図3には貫通孔35bを2つだけ図示する)を通して、第2弁部材33の外周面と第2弁室28の内周面によって区画形成される室に連通される。ここで、凹部35aと貫通孔35bとによって連通35が構成される。また、貫通孔35bが第2弁部材33の外周面に開口される。より詳しく言うと、その開口部は、上記の封止部材34に当接する第2弁部材33の外周面上の封止部分から後述する第2弁面41までの間に開口される。また、仕切壁29と凹部35aの段差部37との間に第2閉弁バネ40が第2フィルタ38を介して装着されて、仕切壁29に対して第2閉弁バネ40が第2弁部材33を第2弁座32に向けて下方に付勢する。その第2弁部材33の下側外周壁にテーパ面が形成され、そのテーパ面に収容溝が周方向に開口される。その収容溝に封止部材が装着され、その封止部材の外周面によって第2弁面(副弁面)41が構成される。その第2弁面41が第2弁座32に当接可能となっている。
【0027】
上記の第3弁室28の内周壁の下部が下方に向かうにつれて狭まる(軸心に近づく)ようにテーパ状に形成され、そのテーパ面に第3弁座(主弁座)42が周方向に形成される。その第3弁室28に第3弁部材(主弁部材)43が上下方向(第2ケーシング12の軸方向)に移動可能で保密状に挿入される。その第3弁部材43が下側から順に円柱部44とテーパ部45とを有する。その円柱部44が案内孔30に移動可能に挿入される。その円柱部44の下端面(先端面)が第2フィルタ38の中央部に対して所定の間隔をあけて当接可能となっている。また、テーパ部45が上方に向かうにつれて広がるように形成される。その第3弁部材43の上部に凹部46が形成される。その凹部46の底壁と、第2ケーシング12の内周壁に装着される円盤状の第3フィルタ47との間に第3閉弁バネ48が装着される。その第3閉弁バネ48が第2ケーシング12に対して第3弁部材43を第3弁座42に向けて下方に付勢する。その第3弁部材43のテーパ部45の外周壁に収容溝が周方向に形成される。その収容溝に封止部材が装着され、その封止部材の外周面に第3弁面49が形成される。なお、本実施形態では、第2弁面41が第2弁座3に係合すると共に第3弁面49が第3弁座42に係合した状態で、円柱部44の下端面が第2フィルタ38の中央部に対して所定の間隔をあけているが、上記状態で円柱部44の下端面が第2フィルタ38の中央部に当接していてもよい。
【0028】
前述したように、第3閉弁バネ48は、第3弁部材43と厚みの薄い第3フィルタ47との間に装着される。このため、第3閉弁バネ48の付勢力によって第3フィルタ47が塑性変形されたり、破損されたりしないようにする必要がある。従って、第3閉弁バネ48の最大付勢力は、第2閉弁バネ40の最大付勢力に比べて十分に小さく設定されている。しかしながら、所定の場合において第3閉弁バネ48が第3弁部材43を押動させる必要もある。このため、第3閉弁バネ48の付勢力は、第3弁部材43の自重および摺動抵抗などの抵抗力を上回る程度の付勢力となるように設定する必要がある。
【0029】
上記の第2フィルタ38と第3フィルタ47とは、略同じように構成される。その構成を、第2フィルタ38を示す
図3を参照して説明する。フィルタ38は、下側から順に設けられる下支持部材50と下スペーサ51と金網52と上スペーサ53と上支持部材54とを有している。その下支持部材50は、円盤状の板であって、複数の円形孔を有している(いわゆるパンチングメタルである)。その中央部分が上方に突出するように形成されている。その下支持部材50の外縁部分上に環状の下スペーサ51が装着され、その下スペーサ51の上に円形の金網52が装着される。これにより、下支持部材50と金網52との間に下スペーサ51の厚み程度の隙間が形成され、その隙間によって圧縮空気がスムーズに流される。また、その金網52の外縁部上に(下スペーサと同じ部材である)上スペーサ53が装着され、その上スペーサ53の上に円盤状の上支持部材54が装着される。これにより、金網52と上支持部材54との間にも隙間が形成され、その隙間に圧縮空気がスムーズに流される。なお、上支持部材54は、下支持部材50と同じ素材によって構成され、その外形寸法や厚みも同じに設定されているが、下支持部材50のような突出部55を有していない。その下支持部材50の突出部55と上支持部材54の中央部分とによって金網52が挟まれている。
【0030】
上記の第2フィルタ38が第2弁部材33の凹部35aに挿入されて、第2弁部材33の段差部37に下方から受け止められている。その第2フィルタ38の上方から固定リング56が第2弁部材33の凹部35aに圧入固定され、もしくは、固定リング56が凹部35aに挿入された状態で当該凹部35aの内周壁の一部を塑性変形させて固定される。
【0031】
上記のカップリング装置は、
図1および
図2に示すように、次のように連結および離脱される。まず
図1に示すように、第1ブロック1から第2ブロック2が離間されており、カップリング装置は離脱状態となっている。その離脱状態の第1継手3では、第1閉弁バネ24によって第1弁部材18が第1ケーシング9の仕切壁15に対して弁座部材22の先端部に向けて付勢されている。このため、第1弁部材18の第1弁面20が弁座部材22の第1弁座23に係合されて、閉弁されている。
【0032】
上記の離脱状態の第2継手4では、第2閉弁バネ40によって第2弁部材33が第2弁座32に向けて下方に付勢されている。このため、第2弁部材33の第2弁面41が第2弁座32に係合されて、閉弁されている。また、第3閉弁バネ48によって第3弁部材43が第3弁座42に向けて下方へ付勢されている。このため、第3弁部材43の第3弁面49が第3弁座42に係合されて、閉弁されている。
【0033】
上記の離脱状態から、第2ブロック2を第1ブロック1に連結させるために近づけていくと、まず、第2継手4のプラグ部25の受け面26が第1継手3の封止部材21に係合される。このとき、第1継手3の弁座部材22に第2継手4の第2弁部材33が係合する。次いで、そのプラグ部25が第1弁部材18を第1閉弁バネ24の付勢力に抗して下方へ移動させる。これにより、第1弁面20が第1弁座23から離間されて、開弁される。また、プラグ部25を第1弁室14内に挿入していくときに、第2弁部材33が弁座部材22に受け止められるので、プラグ部25に対して第2弁部材33が当該弁座部材22との係合位置に置き残される。これにより、第2弁面41が第2弁座32から離間されて、開弁される。次いで、第3弁部材43が第2フィルタ38に当接して、その第3弁部材43が第2フィルタ38と支持ピン36とを介して第2弁部材33に受け止められるので、プラグ部25に対して第3弁部材43が第2フィルタ38との係合位置に置き残される。これにより、第3弁面49が第3弁座42から離間されて、開弁される。引き続いて、第2ケーシング12の下面が第1ケーシング9の上面に受け止められて、
図1に示す第1継手3と第2継手4との離脱状態から
図2に示す連結状態に切り換えられる。
【0034】
本実施形態のカップリング装置では、第1ブロック1に形成される流路7の途中部に(図示しない)切換え弁が設けられている。その切換え弁によって、カップリング装置と圧縮空気の供給源とが接続された状態とカップリング装置と排出口とが接続された状態とに切り換えられる。
【0035】
図2に示すカップリング装置の連結状態において、圧縮空気の供給源から圧縮空気がカップリング装置を通して(図示しない)アクチュエータに供給されるときには、圧縮空気はカップリング装置内で次のように流れる。まず、供給源からの圧縮空気が流路7を通って第1継手3の給排口13に流入される。すると、第1フィルタ17と貫通孔16を通って第1弁室14に供給される。その第1弁室14の圧縮空気が第1弁面20および第1弁座23の間に形成される開弁隙間と、第2弁面41および第2弁座32の間に形成される開弁隙間を通って第2弁室27に流入される。次いで、その第2弁室27の圧縮空気が第2フィルタ38と、連通溝31と、第3弁面49および第3弁座42との間に形成される開弁隙間と、第3フィルタ47を通ってアクチュエータに供給される。
【0036】
上記アクチュエータ内の圧縮空気を外部へ排出するときには、切換え弁によってカップリング装置が排出口に連通されるように切り換える。するとアクチュエータ内の圧縮空気が、前述した順とは逆の順をたどって排出口から外部に排出される。
【0037】
上記の第1実施形態は次の長所を奏する。
上記の第2弁部材33の上部に形成される凹部35aおよび貫通孔35bが第2給排路6の一部を構成している。すなわち、第2弁部材33の内部に第2給排路6の一部が設けられている。このため、弁部材の外側に給排路やリング状のフィルタを設ける前述の従来技術に比べて、本実施形態の第2継手4の径方向の寸法を小さく作ることができる。
【0038】
また、第2弁部材33の内部であって、第2給排路6としての凹部35aに第2フィルタ38が装着されている。この点でも、リング状のフィルタを弁室の外周側に設ける従来技術に比べて、本実施形態における第2継手4の径方向の寸法を小さく作ることができる。
【0039】
ここで、前述した従来のカップリング装置では、中央に開口部を有するリング状の薄いフィルタを備えている。このような場合には、フィルタが圧縮空気の圧力に押されることにより隙間ができてフィルタの機能が低下するのを防止するために、フィルタの開口部の内縁部分と外縁部分を押さえて固定する必要がある。このため、フィルタの開口部および内周縁部分と外周縁部分には、圧縮空気を流すことができないので、フィルタを径方向の外方に十分に広いものを備えるようにする必要がある。これに対して、本実施形態の第2継手4では、第2弁部材33の段差部37に第2フィルタ38の外周縁部分が支持されると共に、第2弁部材33の支持ピン36に第2フィルタ38の中央部が支持される。このため、外周縁部分と、支持ピン36との当接部分には圧縮空気が流れないが、外周縁部分および当接部分以外の部分には圧縮空気が流れるので、従来技術に比べて、圧縮空気を流すことができるエリアを内周縁部分の押さえ代の分だけ広くすることができる。よって、従来技術のリング状のフィルタよりも、本実施形態の第2フィルタを、径方向に小さく作ることができる。従って、カップリング装置の全体寸法を小さく作ることができる。
【0040】
上記第2フィルタ38の下支持部材50の中央に突出部55が形成されることにより、その突出部55と上支持部材54の中央部とによって金網52が挟まれる。すなわち、金網52と突出部55および上支持部材54の中央部とは、当接されて、それらの部材の間に隙間がない、又は、近接していてほとんど隙間がない。これにより、第2弁部材33が支持ピン36と第2フィルタ38とを介して第3弁部材43を上方に押したり、下方に戻したりするときに、フィルタ38を構成する部材が第3弁部材43と支持ピン36とによって撓まされたり戻されたりされにくいので、その繰り返し荷重または交番荷重によって第2フィルタ38が破損や摩耗するのを防止できる。
【0041】
また、下支持部材50の外縁部と金網52との間に下スペーサ51が装着されると共に、上支持部材54と金網52との間に上スペーサ53が装着される。これにより、金網52と下支持部材50との間、または、金網52と上支持部材54との間に空間が形成され、その空間に圧縮空気が流される。下支持部材50の孔位置と上支持部材54の孔位置とが水平方向にずれている場合でも、下支持部材50の孔からの圧縮空気が上記の空間と金網52等を通って上支持部材54の孔に確実に流れる。
【0042】
また、上記の第2フィルタ38と第2弁部材33と第2弁室27と第3弁室28と第3フィルタ47とによって区画された室内に第3弁部材43が挿入されている。これにより、供給源からの圧縮空気に含まれるゴミなどの異物は、第1フィルタ17によって除去され、アクチュエータからの圧縮空気に含まれる異物は、第2フィルタ47によって除去される。その結果、第2継手の閉弁時において、第3弁部材の第3弁面と第3弁座との間に異物が挟まって流体が漏れ流れることが防止される。
【0043】
図4から
図6は、本発明の第2実施形態を示している。この第2実施形態においては、上記の第1実施形態の構成部材と同じ部材(または類似する部材)には原則として同一の参照数字を付けて説明する。
【0044】
この第2実施形態が上記の第1実施形態と異なる点は次の通りである。
上記第2実施形態のカップリング装置において、第1継手3の第1ケーシング9の外周壁に溝が周方向であって、高さが異なるように3つ形成され、その3つの溝のうちの最も上の溝と最も下の溝には封止部材が装着される。その3つの溝のうちの真ん中の溝に、第1ブロック1内に形成される第1流路7が連通されている。その真ん中の溝の底面に開口される孔によって給排口13が構成される。その給排口13が、第1ケーシング9の上部に形成される第1弁室14に連通される。なお、本実施形態において、第1フィルタ17は省略されているが、給排口13を覆うように設けてもよい。
【0045】
上記の第1弁室14の底壁から筒状の支持筒60が突設され、その支持筒60の筒孔61内に弁座部材62が上下方向に移動可能に挿入される。その弁座部材62の下部に装着溝が形成され、その装着溝にストッパとしての止め輪が装着されている。その止め輪によって弁座部材62が支持筒60の筒孔61から上方に抜け出るのを防止している。また、弁座部材62の上部は、上方に向かうにつれて広がるようにテーパ状に形成されている。その弁座部材62のテーパ面に第1弁座63が周方向に形成される。その第1弁座63に第1弁面20が当接可能となっている。また、上記の第1弁室14の底壁と筒状の第1弁部材18との間に第1閉弁バネ24が装着され、その第1閉弁バネ24が第1弁部材18を弁座部材62の先端部に向けて上方に付勢している。
【0046】
上記第1弁室14の下側に形成される仕切壁65を隔ててシリンダ孔66が形成される。その仕切壁65に貫通孔67が形成され、その貫通孔67によって第1弁室14とシリンダ孔66とが連通されている。そのシリンダ孔66にピストン68が保密状で上下方向に移動可能に挿入される。そのピストン68の下側に作動室69が形成され、供給源からの圧縮空気が、第1ブロック1に形成される給排路70を通って作動室69に供給および排出される。なお、本実施形態において、第1ケーシング9の給排口13と第1弁室14と第1弁部材18の筒孔19とによって第1給排路5が構成される。また、本実施形態では、ピストン68と弁座部材62とを別々の部材で構成しているが、一体に形成するようにしてもよい。
【0047】
本実施形態の第2継手4では、第2ケーシング12の下面に受け面71が形成される。その受け面71が、第1継手3の第1弁部材18に装着される封止部材21に当接可能となっている。本実施形態の第2継手4では、第1実施形態の第2継手3のプラグ部25が省略されている。
【0048】
上記のカップリング装置は、
図4から
図6に示すように、次のように連結および離脱される。まず、
図4に示すカップリング装置の離脱状態において、第1継手3では、第1閉弁バネ24が第1弁部材18を上方に押して、その第1弁部材18が弁座部材62を上限位置に押動している。このため、第1弁部材18の第1弁面20が弁座部材62の第1弁座63に係合されて、閉弁されている。
【0049】
上記の離脱状態の第2継手4では、第2閉弁バネ40が第2弁部材33を第2弁座32に向けて下方に押している。このため、第2弁部材33の第2弁面41が第2弁座32に係合されて、閉弁されている。また、第3閉弁バネ48が第3弁部材43を第3弁座42に向けて下方へ付勢している。このため、第3弁部材43の第3弁面49が第3弁座42に係合されて、閉弁されている。
【0050】
上記の離脱状態から、第2ブロック2を第1ブロック1に連結させるために近づけていくと、まず、第2継手4の受け面71が第1継手3の第1弁部材18の封止部材21に係合される。次いで、
図5に示すように、その第2ケーシング12が第1弁部材18を第1閉弁バネ24の付勢力に抗して下方へ移動させると共に、第2ケーシング12が第2閉弁バネ40と第2弁部材33とを介して弁座部材62を下方へ移動させる。このとき、第1弁面20が第1弁座63に係合されており、閉弁された状態が維持されると共に、第2弁面41が第2弁座32に係合されており、閉弁された状態が維持される。その後、第2ケーシング12が第1ケーシング9に受け止められる。次いで、供給源からの圧縮空気が給排路70を通って作動室69に供給されると、ピストン68が上昇して弁座部材62に当接する。引き続いて、ピストン68が弁座部材62を介して第2弁部材33を第2閉弁バネ40の付勢力に抗して上昇させていく。これにより、第1弁面20が第1弁座63から離間されて、開弁されると共に、第2弁面41が第2弁座32から離間されて、開弁される。次いで、第2弁部材33に装着された第2フィルタ38が第3弁部材43に係合する。その後、ピストン68が弁座部材62と第2弁部材33と第2フィルタ38とを介して第3弁部材43を上昇させる。これにより、第3弁面49が第3弁座42から離間されて、開弁される。その後、ピストン68が、シリンダ孔66の内周壁に形成される段差部に受け止められる。これにより、
図4に示す第1継手3と第2継手4との離脱状態から
図6の連結状態に切り換えられる。
【0051】
上記の給排路7の途中部に設けられる(図示しない)切換え弁が、カップリング装置と排出口とが接続された状態からカップリング装置と圧縮空気の供給源とが接続された状態に切り換える。すると、供給源からの圧縮空気がカップリング装置の第1給排路5と第2給排路6とを通って(図示しない)アクチュエータに供給される。このとき、供給源からの圧縮空気はカップリング装置内で次のように流れる。まず、供給源からの圧縮空気が流路7と第1給排口13とを通って第1弁室14に供給されて、その第1弁室14の圧縮空気が第1弁面20および第1弁座63の間に形成される開弁隙間と、第2弁面41および第2弁座32の間に形成される開弁隙間を通って第2弁室27に流入される。次いで、その第2弁室27の圧縮空気が第2フィルタ38と、連通溝31と、第3弁面49および第3弁座42との間に形成される開弁隙間と、第3フィルタ47と、流路10とを通ってアクチュエータに供給される。
【0052】
上記アクチュエータ内の圧縮空気を外部へ排出するときには、切換え弁によってカップリング装置が排出口に連通されるように切り換える。するとアクチュエータ内の圧縮空気が、前述した順とは逆の順をたどって排出口から外部に排出される。
【0053】
上記の各実施形態は次のように変更可能である。
上記の圧力流体は、例示した圧縮空気に換えて、他の気体または圧油等の液体であってもよい。
上記の第2ケーシング12の下面が第1ケーシング9の上面に受け止められることに代えて、
図4中に示すように、第1ブロック1上に設けられた支持部材72に、第2ブロック2に設けられた被支持部材73が受け止められるようにしてもよい。
上記の第2弁室27の内周壁に周方向に形成される収容溝内に封止部材34が装着されることに代えて、第2弁部材33の外周壁に形成される収容溝内に封止部材34が装着されるようにしてもよい。この場合、封止部材34とその封止部材34が当接する第2弁室27の内周壁との当接部分を封止部分という。
その他に、当業者が想定できる範囲で種々の変更を行えることは勿論である。
【符号の説明】
【0054】
3:第1継手,4:第2継手,5:第1給排路,6:第2給排路,27:第2弁室(副弁室),28:第3弁室(主弁室),32:第2弁座(副弁座),33:第2弁部材(副弁部材),34:封止部材,35:連通路,36:支持ピン(支持部材),38:第2フィルタ(フィルタ),40:閉弁バネ,41:副弁面(第2弁面),42:第3弁座(主弁座),43:第3弁部材(主弁部材),48:閉弁バネ.