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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023028167
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】支保の設置方法及び支保の設置装置
(51)【国際特許分類】
   E03F 7/00 20060101AFI20230224BHJP
   E03F 3/06 20060101ALI20230224BHJP
   F16L 1/00 20060101ALN20230224BHJP
【FI】
E03F7/00
E03F3/06
F16L1/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021133702
(22)【出願日】2021-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】508100055
【氏名又は名称】日本ノーディッグテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119091
【弁理士】
【氏名又は名称】豊山 おぎ
(72)【発明者】
【氏名】日吉 徹二
(72)【発明者】
【氏名】山根 歩
【テーマコード(参考)】
2D063
【Fターム(参考)】
2D063BA01
2D063BA37
2D063EA07
(57)【要約】
【課題】本発明は、支保の運搬及び設置を容易にする支保の設置方法及び支保の設置装置を提供する。
【解決手段】本発明の支保の設置方法は、更生管の内部に設置する支保を複数吊り下げる吊下工程と、吊り下げられた複数の前記支保を、間隔を空けて連結する連結固定工程と、互いに連結された前記複数の支保の吊り下げを解いて、連結された前記複数の支保を更生管内の所定位置に設置する運搬工程と、連結された前記複数の支保を更生管内に固定する設置工程とを有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
更生管の内部に設置する支保を複数吊り下げる吊下工程と、
吊り下げられた複数の前記支保を、間隔を空けて連結する連結固定工程と、
互いに連結された前記複数の支保の吊り下げを解いて、連結された前記複数の支保を更生管内の所定位置に設置する運搬工程と、
連結された前記複数の支保を更生管内に固定する設置工程とを有する支保の設置方法。
【請求項2】
前記吊下工程において、既設管の内壁面に前記支保を吊り下げる吊下装置を設置する請求項1に記載の支保の設置方法。
【請求項3】
前記吊下装置は、電動ホイストにより構成されている請求項2に記載の支保の設置方法。
【請求項4】
前記支保は、少なくとも多角形又は円形のリング部を有し、
前記連結固定工程において、棒状又は板状の連結部材を用いて前記リング部の互いに対向する位置同士の間隔を固定して保持する請求項1から3のいずれか一項に記載の支保の設置方法。
【請求項5】
前記運搬工程において、前記連結された複数の支保を台車により更生管内に移動させる請求項1から4のいずれか一項に記載の支保の設置方法。
【請求項6】
間隔を空けて複数の支保を連結する連結部材を備えた支保の設置装置。
【請求項7】
既設管の内壁面に支保を吊り下げる吊下装置を更に備えた請求項6に記載の支保の設置装置。
【請求項8】
前記吊下装置は、電動ホイストにより構成されている請求項7に記載の支保の設置装置。
【請求項9】
前記連結部材は、棒状又は板状の部材により構成されている請求項6から8のいずれか一項に記載の支保の設置装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設管に更生管を形成する際に適用される支保の設置方法及び支保の設置装置に関する。
【背景技術】
【0002】
老朽化した下水道管等の既設管を更生する方法として、既設管内に硬質塩化ビニル等の合成樹脂製の更生管を製管した後、既設管と更生管との間隙に裏込め材を注入して硬化させる方法が広く採用されている。裏込め材の注入においては、裏込め材の荷重や注入圧力によって更生管が座屈変形したり、浮力により更生管の既設管に対する位置が所定の位置からずれたりするのを防止するため、更生管の内部に管軸方向に間隔を空けて支保が設置されることがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
支保の設置においては、支保の多角形状フレームを形成するコーナー部材及びサイド部材をそれぞれ更生管内に搬入し、組み立て、フレームを立てて更生管に固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-256854号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
更生管は、口径が大きくなると物によっては2m以上になることがある。このような大口径の更生管に設置する支保は、組み立てて更生管の内壁面に沿わせるように立ち上げた状態にすると、その大きさと荷重でふらつきが生じやすく非常に不安定な設置状態となる。したがって、支保の設置においては、支保を立てた状態で保持して更生管に固定するために1基につき3名以上の作業人員を要していた。作業者を3名以上確保したとしても、非常に大きく重い支保の保持には相当の注意力を要するため、大きな労力を要していた。
そこで、本発明は、支保の運搬及び設置を容易にする支保の設置方法及び支保の設置装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の支保の設置方法は、更生管の内部に設置する支保を複数吊り下げる吊下工程と、吊り下げられた複数の前記支保を、間隔を空けて連結する連結固定工程と、互いに連結された前記複数の支保の吊り下げを解いて、連結された前記複数の支保を更生管内の所定位置に設置する運搬工程と、連結された前記複数の支保を更生管内に固定する設置工程とを有する。
この構成によれば、複数の支保を吊り下げた状態にして互いに連結させるため、水平方向に互いに支え合った支保が倒れにくくなる。また、複数の支保を吊り下げておくため、支保の保持に当てる作業者が低減される。
【0007】
本発明の支保の設置方法は、前記吊下工程において、既設管の内壁面に前記支保を吊り下げる吊下装置を設置してもよい。
この構成によれば、更生管に近い既設管内で作業を行うことができる。
【0008】
本発明の支保の設置方法において、前記吊下装置は、電動ホイストにより構成されていてもよい。
この構成によれば、支保の吊り下げが容易となる。
【0009】
本発明の支保の設置方法で用いられる前記支保は、少なくとも多角形又は円形のリング部を有し、前記連結固定工程において、棒状又は板状の連結部材を用いて前記リング部の互いに対向する位置同士の間隔を固定して保持してもよい。
この構成によれば、複数の支保同士の間隔を決めた状態で容易に固定することができる。
【0010】
本発明の支保の設置方法は、前記運搬工程において、前記連結された複数の支保を台車により更生管内に移動させてもよい。
この構成によれば、支保の設置位置への移動が安定的で容易となる。
【0011】
本発明の支保の設置装置は、間隔を空けて複数の支保を連結する連結部材を備えている。
この構成によれば、複数の支保を所定の間隔で容易に連結しユニット化することができる。
【0012】
本発明の支保の設置装置は、既設管の内壁面に支保を吊り下げる吊下装置を更に備えていてもよい。
また、本発明の支保の設置装置の前記吊下装置は、電動ホイストにより構成されていてもよい。
この構成によれば、支保の吊り下げが容易かつ安定的となる。
【0013】
本発明の支保の設置装置の前記連結部材は、棒状又は板状の部材により構成されていてもよい。
この構成によれば、連結部材の構成がシンプルとなる。
【発明の効果】
【0014】
本願の各発明は、支保の運搬及び設置を容易にすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態の支保の設置方法又は設置装置に適用される支保を示した正面図である。
図2】本発明の一実施形態の支保の設置方法又は設置装置に用いられる連結部材を示した斜視図である。
図3】本発明の一実施形態の支保の設置方法又は設置装置に用いられる吊り金具を示した斜視図である。
図4】(a),(b)本発明の一実施形態の支保の設置方法の吊下工程を示した概略図である。
図5】本発明の一実施形態の支保の連結固定及び運搬を行う連結台車を示した斜視図である。
図6】本発明の一実施形態の支保の設置方法の連結固定工程を示した概略図である。
図7】本発明の一実施形態の支保の設置方法の運搬工程を示した概略図である。
図8】本発明の一実施形態の支保の設置方法において、支保が更生管に固定された状態を示す写真である。
図9】本発明の一実施形態の支保の設置方法の設置工程を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図を参照して本発明の支保の設置装置及び支保の設置方法の一実施形態について説明する。
【0017】
図1に示すように、支保1は、多角形状(本実施形態では8角形)のリング部2を有している。大口径に用いられる支保1の場合、リング部2の内側に架けられた2本の垂直補強部材3とリング部2の上下間のほぼ中央に設けられた水平補強部材4とを備えていることもある。なお、支保1としては、上記態様以外にも四角形以上の又は円形のリング部2に、多様な向きの補強部材が設けられたものも本発明の適用の対象である。
【0018】
図2に示すように、本発明の一実施形態の支保1の設置装置(以下、単に「設置装置」という)5は、複数の支保1,1同士を間隔を設けて連結する装置である。
具体的に設置装置5は、複数の連結部材6を備えている。
連結部材6は、角柱の棒状の鋼材(棒部材)7により構成されている。棒部材は、支保1を設置する寸法分の長さを有するよう形成されている。なお、連結部材6には、剛性が担保される限り長尺な鋼板を用いることも可能である。
【0019】
棒部材7の両端には、支保1を固定する固定部8が設けられている。
固定部8は、連結部材6の一つの面の両端において設けられた一対の立ち上がり壁部9,9と、一対の立ち上がり壁部9,9の先端部に挿通されるボルト10とにより構成されている。
一対の立ち上がり壁部9,9は、連結部材6の両端のそれぞれにおいて長手方向に支保1を大きな隙間を形成することなく挟み込むことができる間隔を空けて設けられている。
【0020】
ボルト10は、一対の立ち上がり壁部9,9の間に支保1を配置した際に棒部材7との間に支保1をほぼちょうど挟み込むことができる立ち上がり壁部9の先端側に挿通されるようになっている。
【0021】
設置装置5には、図3に示すように、支保1を吊り下げる際に支保1を保持する起点を作る吊り金具11を更に備えていてもよい。
吊り金具11は、支保1を把持する逆U字型の把持部11aと、把持部11aの上方に突出して他の装置の部材を挿通させる孔hを形成した吊り下げ部11bと、把持部11aに挟んだ支保1を留め置くボルト10とを備えているとよい。
【0022】
また、設置装置5には、連結部材6に加えて、図4(a)に示す吊下装置15を更に備えていてもよい。
吊下装置15としては、公知の電動ホイストを好適に用いることができる。吊下装置15の他の例としては、支保1を安定的に吊り下げることができれば、手動ホイストやチェーンブロックなどを採用することも可能である。
【0023】
また、設置装置5には、連結部材6に加えて、図5に示すように、連結部材6の立ち上がり壁部9が設けられた面と反対側の面に駒16を設けた連結台車17を更に備えていてもよい。
【0024】
以上の連結部材6、吊下装置15、吊り金具11、連結台車17によって、支保1は以下のようにして更生管X内に設置される。
【0025】
<吊り下げ準備工程>
図4(a)に示すように、更生管Xの外すなわち更生管Xが設けられていない既設管Y内に支保を形成する支保材を搬入し、図1に示す支保1を組み立てておく。本実施形態では、支保1は2基を1組として組み立てる。
【0026】
吊り金具11の吊り下げ部11bは、支保1を立ち上がらせた際に上端部を成すリング部2に取り付ける。吊り金具11の向きは、支保1を立ち上がらせた際に吊り下げ部11bが上方を向くように把持部11aをリング部2に嵌合させる。把持部11aは、リング部2を収めた下方でボルト10を挿通させてナットを締めて固定する。
【0027】
一方、既設管Yの管頂面(内壁面)には、電動ホイスト等の吊下装置15を2つ、間隔を空けてアンカーを打ち込み、固定しておく。吊下装置15同士の間隔は、連結部材6で決められる支保1同士の間隔とほぼ同じ間隔とする。
【0028】
<吊下工程>
図4(b)に示すように、吊り下げ工程では、支保1と吊下装置15とをロープ15aでつなぐ。本実施形態では具体的には、吊り金具11の吊り下げ部11bと電動ホイスト15との間をロープ15aで連結し、2基の支保1をリング部2の全体が互いに対向するようにすなわち更生管Xに設置する向きにして吊り下げる。
【0029】
<連結固定工程>
互いに対向するように吊り下げられた2基の支保1は、図6に示すように、連結部材6で連結させる。
具体的には、リング部2の上下左右部の互いに対向するそれぞれの位置において、連結部材6の固定部8を外側からはめ込んで、リング部2の先端部にボルト10を通して固定する。なお、リング部2の左右に取り付ける連結部材6は、リング部2の内側から嵌めてもよい。連結部材6で固定する支保1の箇所は、2基の支保1が立ち上げられた状態で安定的に固定される限りどこに設けてもよいが、リング部2の上下左右に固定すると安定的となる。
なお、リング部2の下方には、連結部材6に駒16のついた連結台車17を固定させておく。
【0030】
<運搬工程>
2基の支保1が吊り下げられた状態で連結部材6によって安定的に連結されたら、図7に示すように、図4(b)に示す吊り金具11をリング部2の上端部から取り外し、連結台車17の駒16の回転を利用して、2基の支保1を更生管Xの所定の設置位置まで移動させる。
【0031】
<設置工程>
設置工程において、連結部材6により連結させた複数の支保1,1を更生管Xに固定する。
すなわち、支保1,1を更生管Xに固定するために、更生管X内の支保1,1を設置する位置に支保1のリング部2を更生管Xの鉛直断面に合わせるように立ち上げてしっかりと保持した状態で、更生管Xの座屈防止処置、更生管Xへの詳細位置決め処置、更に浮力防止処置を行う。
【0032】
具体的に、座屈防止処置は、図8又は図9に例示するように、支保1のリング部2と更生管Xとの間に腹起し材50を配し、更生管Xの四隅付近を含む周方向の位置において腹起し材50によって更生管Xを内面から外側(既設管側)に押圧可能にすることで更生管Xの変形を矯正及び/又は防止する作業である。これは、特に更生管Xの自重による変形時の形状補正(=矯正)及び裏込め材注入時の座屈の防止のために行われる。腹起し材50の配置は、リング部2に設けた雌螺子孔に寸切りボルト51を螺合させて固定し、寸切りボルト51の先端にコ字状の板部材52を固定し、棒状鋼材53を更生管Xの内面に当てた状態で板部材52で把持し、寸切りボルト51を螺合して棒状鋼材53を更生管Xの内面に押し当てて行う。
【0033】
上記作業は、縦横約230cmもある略矩形又は馬蹄形の支保1の場合、一つの支保1に20~25個もの腹起し材50を組み付けることになる。
【0034】
更生管Xは、2m以上もの大口径のものがあり、内部に大量の水が流れたりその他の大きな外力が掛かったりすることを考慮して、耐荷重性及び耐久性を有効に発揮し得る設計がなされている。そこで、自重で偏平に変形した更生管Xを腹起し材50の寸切りボルト51の調整で設計された形状に戻すよう矯正する。その後、更生管へXの詳細位置決め処置として、上下左右の腹起し材の寸切りボルト51を用いて、更生管Xの上下左右の寸法出しを設計されたとおりに行う微調整を行う。
【0035】
更生管Xの形状を正確に設定することができた後、リング部2の上部から突出させた不図示の浮上防止柱が対向する更生管Xの位置に孔を開け、浮上防止柱を挿通させてその先端を既設管の内頂面に突き当てて、浮上防止処置を行う。
以上の作業によって、支保1,1の更生管Xへの固定と更生管Xの形状出しが完了し、更生管Xの既設管に対する位置決めができた状態となる。
以上の支保1の設置工程は、設置装置5により支保1を安定的に立てた状態で行われることになる。
【0036】
<裏込め材注入作業>
更生管X内に全ての支保1が設置された後、既設管Yと更生管Xとの間にモルタル等の裏込め材を充填する。裏込め材がある程度養生固化したら、上述した支保1を設置時の手順と逆の手順で撤去し、更生管Xの外で解体する。
【0037】
このように、本発明の支保1の設置装置5及び設置方法によれば、支保1を立ち上げた際に倒れやすい水平方向に支保1,1同士を互いに対向させ、連結部材6によって支保1,1同士を堅固に連結する。したがって、作業者が支保1を支えていなくても、支保1,1を安定的に立設させておくことができる。
したがって、本願発明の設置装置5及び設置方法によれば、支保1,1の更生管X内への運搬が非常に容易となるという効果を奏する。
【0038】
また、更生管X内の所定の位置に支保1,1を安定的に立ち上げた状態で更生管Xに固定し、その後で連結部材6を取り外せる手順となっている。すなわち、従来であれば、支保1を更生管X内で一つずつ組み立てて、立ち上げた状態を作業者が保持した状態で、上述したように200cm~230cm程度の大口径の更生管Xにおいては20~25個程度もの腹起し材を配さなければならなかったため、非常に神経を使う長時間の重労働であった。しかし、本願発明の設置装置5によれば、支保1,1を立ち上げた状態で管路の軸方向に固定され、支持された状態となる。
【0039】
したがって、本発明によれば、支保1の運搬及び設置時において、非常に荷重が大きい支保1が倒れないようにするために多大な人的労力を払う必要性を極力抑えて、安心して安定的に支保1を取り扱うことができるという効果を奏する。
【0040】
また、本願発明の支保の設置方法によれば、支保1,1を設置装置5によってユニット化することができる。しかも、支保1,1を更生管X内における設置間隔で固定することで、設置装置5によって連結させた支保1,1を更生管X内の所定位置に複数同時に配置することができる。したがって、支保1を複数同時に更生管X内に運搬及び設置することができ、更に支保1,1を安定的に立ち上げておくことができることで、作業者を複数の支保1,1への腹起し材50の固定等に集中させることができ、支保1,1の設置効率を各段に上げることができるという効果を奏する。
【0041】
また、従来であれば、一つの支保1を更生管X内で立ち上げた状態で出来るだけ安定的に維持するため、更生管Xに孔を開けて不図示の浮上防止棒を支保1と既設管との間に突っ張らせるとともに、下部の腹起し材50を固定して上下で支保を仮保持し、その上で作業者が支保1を左右で保持して残りの腹起し材50を取り付けるという方法を採っていた。しかし、その場合、更生管Xに先に孔を開けることになるため、腹起し材50で更生管Xの形状を補正した場合、浮上防止棒の間隔が変わりハの字又は逆ハの字状に立てられてしまって、浮上防止寸法が若干不正確になってしまうという場合があった。
【0042】
しかし、本願発明の設置装置5及び設置方法を使えば、支保1,1を安定的に立ち上げていられるため、先に浮上防止棒を突っ張らせる必要がなくなる。
したがって、本願発明の設置装置5及び設置方法によれば、浮上防止棒の設置も適切に行うことができ、浮上防止寸法を正確に出すことができるという効果を奏する。
【0043】
また、吊下装置15として電動ホイストにより支保1を吊り下げるため、人の労力を極力省いて、容易かつ安定的に支保1を立ち上げることができるという効果を奏する。
【0044】
また、リング部2の下方には、駒16を有した連結部材6により構成された連結台車17を取り付けられるため、2基の支保1を連結させた後、吊下装置15からの吊り下げを解いて、そのまま更生管X内に支保1,1を押して、非常に簡便に移動させることができるという効果を奏する。
【0045】
なお、上記実施形態では、2基の支保1を一組として連結させ、更生管Xに設置する例を示したが、支保1は複数基を一組としていれば2基に限定されるわけではなく3基以上であってもよい。
また、吊り金具11は、支保1のリング部2に固定することが好適であるが、吊下装置15に安定的に連結させる箇所をリング部2自体に有していれば必須ではない。
【0046】
また、支保1を更生管X内に運搬する台車としては、連結部材6の固定部8を設けた反対側の面に駒16を設けた連結台車17が好適であるが、支保1を運搬できるものであればどのようなものであってもよい。
また、連結部材6は、支保1,1が倒れる方向に揺動不能に固定し得る限り、リング部2同士で連結することは必須ではなく、リング部2内の2点に固定して架けた垂直補強部材3又は水平補強部材4或いは不図示の斜めに架けた補強部材に固定してもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 支保
5 設置装置
6 連結部材
7 棒部材
8 固定部
9 立ち上がり壁部
10 ボルト
11 吊り金具
15 吊下装置(電動ホイスト)
16 駒
17 連結台車(連結部材)
X 更生管
Y 既設管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9