(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023028177
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】除菌機能付きレジスタ装置
(51)【国際特許分類】
B60H 1/34 20060101AFI20230224BHJP
B60H 3/00 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
B60H1/34 651Z
B60H3/00 Z
B60H1/34 611
B60H1/34 631
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021133719
(22)【出願日】2021-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今井 純
(72)【発明者】
【氏名】戸谷 千春
(72)【発明者】
【氏名】寺井 伸弘
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 廣人
【テーマコード(参考)】
3L211
【Fターム(参考)】
3L211BA10
3L211BA60
3L211DA14
3L211DA71
3L211DA91
(57)【要約】
【課題】光触媒作用によりレジスタ壁面部内に流れる空気を浄化するうえで、光源の照射した光が吹出口から車室内側に漏れるのを防止すること。
【解決手段】除菌機能付きレジスタ装置は、一端が空調装置に接続しかつ他端が吹出口として室内に開口し、空調装置からの空気が流れる通風路を形成する筒状のレジスタ壁面部と、レジスタ壁面部内における吹出口近傍に配置され、吹出口からの空気の吹出方向を調整するフィンと、レジスタ壁面部内におけるフィンよりも風上側に配置された光触媒部材と、光が前記フィンよりも風上側の領域へ照射されるように配置され、光触媒部材に光を照射する光源と、を備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が空調装置に接続しかつ他端が吹出口として室内に開口し、前記空調装置からの空気が流れる通風路を形成する筒状のレジスタ壁面部と、
前記レジスタ壁面部内における前記吹出口近傍に配置され、前記吹出口からの前記空気の吹出方向を調整するフィンと、
前記レジスタ壁面部内における前記フィンよりも風上側に配置された光触媒部材と、
光が前記フィンよりも風上側の領域へ照射されるように配置され、前記光触媒部材に光を照射する光源と、
を備える、除菌機能付きレジスタ装置。
【請求項2】
前記光源は、前記レジスタ壁面部内における前記フィンよりも風上側に配置されている、請求項1に記載された除菌機能付きレジスタ装置。
【請求項3】
前記光触媒部材は、前記レジスタ壁面部の内壁に沿うように配置されている、請求項1又は2に記載された除菌機能付きレジスタ装置。
【請求項4】
前記光触媒部材は、前記レジスタ壁面部の前記内壁の周方向一部の領域に配置されており、
前記光源は、前記レジスタ壁面部における前記光触媒部材の配置領域に対向する周方向対向領域に配置されている、請求項3に記載された除菌機能付きレジスタ装置。
【請求項5】
前記光触媒部材は、前記レジスタ壁面部の前記内壁の周方向全域に亘るように環状に配置されており、
前記光源は、前記レジスタ壁面部の全周に亘るように光を照射する、請求項3に記載された除菌機能付きレジスタ装置。
【請求項6】
前記レジスタ壁面部内における前記フィンよりも風上側に配置され、前記通風路に流れる前記空気の風量を調節するダンパと、
前記光源が前記光触媒部材に光を照射する際に、前記ダンパを、前記通風路に流れる前記空気が前記光触媒部材に導かれ易くなるように作動させるダンパ制御装置と、
を備える、請求項3乃至5の何れか一項に記載された除菌機能付きレジスタ装置。
【請求項7】
前記光触媒部材は、前記通風路内に配置されたメッシュ状の部材である、請求項1又は2に記載された除菌機能付きレジスタ装置。
【請求項8】
前記光源が前記光触媒部材に光を照射する際に、前記光触媒部材を、前記通風路に流れる前記空気に晒されない状態から前記通風路に流れる前記空気に晒される状態へ移動させる光触媒制御装置を備える、請求項7に記載された除菌機能付きレジスタ装置。
【請求項9】
前記光源は、前記光触媒部材よりも風下側に配置され、配置位置から光を風上側に向けて照射する、請求項5、7、及び8の何れか一項に記載された除菌機能付きレジスタ装置。
【請求項10】
前記光源は、紫外線を照射する、請求項1乃至9の何れか一項に記載された除菌機能付きレジスタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除菌機能付きレジスタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両などに搭載されるレジスタ装置が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1記載のレジスタ装置は、エアフィルタと、エアフィルタを再生する再生装置と、を備えている。エアフィルタは、レジスタ壁面部内に流れる空気中の有機物や細菌,ウィルスなどの物質を捕集するフィルタであって、酸化チタンなどからなる光触媒部材である。再生装置は、エアフィルタに紫外線などの光を照射する光源を有している。光源からエアフィルタに光が照射されると、触媒作用によりエアフィルタに捕集された物質が分解除去されてエアフィルタが除菌される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載のレジスタ装置では、光源からの光の照射方向が定められていない。このため、仮に光触媒部材と光源との配置位置関係が、光源からの光が室内に漏れ得るように設定されていると、その漏れた光が室内の人の眼に入るおそれがある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、光触媒作用によりレジスタ壁面部内に流れる空気を浄化するうえで室内への光の漏れを防止することが可能な除菌機能付きレジスタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、一端が空調装置に接続しかつ他端が吹出口として室内に開口し、前記空調装置からの空気が流れる通風路を形成する筒状のレジスタ壁面部と、前記レジスタ壁面部内における前記吹出口近傍に配置され、前記吹出口からの前記空気の吹出方向を調整するフィンと、前記レジスタ壁面部内における前記フィンよりも風上側に配置された光触媒部材と、光が前記フィンよりも風上側の領域へ照射されるように配置され、前記光触媒部材に光を照射する光源と、を備える、除菌機能付きレジスタ装置である。
【0007】
この構成によれば、光触媒作用によりレジスタ壁面部内に流れる空気を浄化するうえで、光源の照射した光が吹出口から室内側に漏れるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る除菌機能付きレジスタ装置の斜視図である。
【
図2】第一実施形態の除菌機能付きレジスタ装置の上面図である。
【
図3】第一実施形態の除菌機能付きレジスタ装置の右側面図である。
【
図4】第一実施形態の除菌機能付きレジスタ装置の左側面図である。
【
図5】第一実施形態の除菌機能付きレジスタ装置の分解斜視図である。
【
図6】第一実施形態の除菌機能付きレジスタ装置が備えるダンパ及び光触媒部材それぞれの回動を説明するための図である。
【
図7】第一実施形態の除菌機能付きレジスタ装置の光源と光触媒部材との位置関係を表した図である。
【
図8】本発明の第二実施形態に係る除菌機能付きレジスタ装置の光源と光触媒部材との位置関係を表した図である。
【
図9】本発明の第三実施形態に係る除菌機能付きレジスタ装置の光源と光触媒部材との位置関係を表した図である。
【
図10】
図9に示す除菌機能付きレジスタ装置のダンパの動きを表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る除菌機能付きレジスタ装置の具体的な実施形態について説明する。
【0010】
[第一実施形態]
本実施形態の除菌機能付きレジスタ装置1(以下、単にレジスタ装置1と称す。)は、空調装置(図示せず)から送られる空気(すなわち、空調用空気)を室内に送り込む装置である。レジスタ装置1は、例えば車両に搭載されており、車室内の前席前方のインストルメントパネルや前席側方のセンタコンソール若しくはドアパネルなどの基材に組み込まれ、その基材に設けられた開口スリットごとに配置される。
【0011】
レジスタ装置1は、
図1、
図2、
図3、
図4、及び
図5に示す如く、レジスタ壁面部10と、フィン20と、ダンパ30と、光触媒部材40と、光源50と、操作機構60と、を備えている。尚、レジスタ装置1は、車室内の前方のインストルメントパネルに左右方向に延びて後方に向けて開いた開口スリットに配置されるものとし、適宜、左右方向をX方向とし、車両前後方向をY方向とし、上下方向をZ方向とする。
【0012】
レジスタ壁面部10は、空調装置からの空気が流れる通風路11を形成する管状の部材である。レジスタ壁面部10は、一端が空調装置に直接に又はダクトを介して接続しかつ他端が吹出口12として車室内に開口している。レジスタ壁面部10は、筒状(例えば、四角筒状)に形成されている。レジスタ壁面部10は、フィン20、ダンパ30と、光触媒部材40、光源50、及び操作機構60を保持するリテーナをなす。
【0013】
レジスタ壁面部10は、ロアリテーナ13と、アッパリテーナ14と、ベゼル15と、を有している。以下、空気が空調装置から吹出口12へ流れる方向を基準にして、空調装置に近い側を「風上」側とし、吹出口12に近い側を「風下」側とする。吹出口12は、通風路11の風下端に設けられている。吹出口12は、例えば細長い横長の略四角状に形成されている。吹出口12は、例えば、長手方向がX方向であるように延びている。
【0014】
ロアリテーナ13及びアッパリテーナ14はそれぞれ、風上端及び風下端がそれぞれ開放され、断面(具体的には、Y方向に直交する面(XZ平面)に沿った断面)の形状がU字状やコの字状になるように形成されている。ロアリテーナ13及びアッパリテーナ14は、互いに組み付けられた状態で内部が通風路11の一部をなすように形成される。ロアリテーナ13とアッパリテーナ14とは、フィン20、光触媒部材40、光源50、及び操作機構60を保持した状態で、互いに係止等により組み付けられる。
【0015】
ベゼル15は、吹出口12が形成される枠状の部材である。ベゼル15の表面は、車室内側に露出する。ベゼル15は、吹出口12を有している。ベゼル15は、レジスタ壁面部10の最風下側に配置されている。ベゼル15は、吹出口12が通風路11の風下端に位置するようにロアリテーナ13及びアッパリテーナ14に係止等により組み付けられる。
【0016】
フィン20は、吹出口12から吹き出す空気の吹出方向を調整する部材である。尚、フィン20は、空気の吹出方向が調整されるものであればよく、後述の如く可動型であってもよいし、或いは、ルーバーやグリルなどの如く固定型であってもよい。フィン20は、通風路11内に設けられており、レジスタ壁面部10の吹出口12近傍に配置されている。フィン20は、吹出口12からの空気の吹出方向が変更するようにレジスタ壁面部10に対して傾動することが可能である。フィン20は、水平フィン21と、縦フィン22と、を有している。
【0017】
水平フィン21は、通風路11に流れた空気が車室内に吹き出される際のその空気の吹出方向をZ方向に調整する板状の部材である。水平フィン21は、吹出口12の長手方向であるX方向に延在している。水平フィン21は、X方向に延びるX方向軸を中心にして傾動することが可能である。水平フィン21は、レジスタ壁面部10(具体的には、ベゼル15の裏面側の側壁)に傾動可能に支持されている。水平フィン21は、互いに平行にX方向に延びる複数(例えば、二つや三つ)設けられている。複数の水平フィン21は、吹出口12の内でZ方向に離れて配置されている。複数の水平フィン21は、互いに連動して傾動する。
【0018】
縦フィン22は、通風路11に流れた空気が車室内に吹き出される際のその空気の吹出方向をX方向に調整する板状の部材である。縦フィン22は、吹出口12の短手方向であるZ方向に延在している。縦フィン22は、Z方向に延びるZ方向軸を中心にして傾動することが可能である。縦フィン22は、レジスタ壁面部10(具体的には、ロアリテーナ13の下壁及びアッパリテーナ14の上壁)に傾動可能に支持されている。縦フィン22は、水平フィン21よりも風上側に配置されている。縦フィン22は、X方向に離間して複数(
図5では7つ)設けられている。各縦フィン22は、互いに連動して傾動する。
【0019】
ダンパ30は、通風路11に流れる空気の風量を調整する部材である。ダンパ30は、通風路11内に配置されている。ダンパ30は、通風路11内においてフィン20よりも風上側に配置されている。ダンパ30は、通風路11の通路断面に対応した大きさ及び形状に形成されており、例えば四角板状に形成されている。
【0020】
ダンパ30は、レジスタ壁面部10に移動可能(具体的には、回動可能)に支持されている。ダンパ30は、例えば水平な軸を中心にして回動することが可能である。ダンパ30の回動軸は、通風路11内の上下中央に設けられている。ダンパ30は、回動により通風路11における空気が流れる有効断面積を拡縮するように作動する。ダンパ30は、通風路11を塞いで空気の流れを断つ状態(以下、シャット状態と称す。)と通風路11に沿って平行になって大量の空気の流れを許容する状態(以下、全開状態と称す。)との間で回動することが可能である。ダンパ30は、全開状態において通風路11内の上下中央に位置する。ダンパ30は、後述の如く、操作機構60の作動により回動する。
【0021】
光触媒部材40は、通風路11に流れる空気を浄化し或いは消臭する装置である。光触媒部材40は、光源50の照射した光を吸収して触媒作用を示し、空気中の有機物や細菌,ウィルスなどの物質を分解除去する。光触媒部材40は、酸化チタンなどの材料により形成されている。光触媒部材40は、通風路11内に配置されている。光触媒部材40は、レジスタ壁面部10内におけるフィン20よりも風上側に配置されている。
【0022】
光触媒部材40は、メッシュ状(例えば、ハニカム状や格子状など)に形成された部材であって、例えばメッシュ状基材の表面に光触媒の層が形成された部材であってよい。光触媒部材40は、通風路11の通路断面に対応した大きさ及び形状に形成されており、例えば四角板状に形成されている。光触媒部材40のメッシュは、通風路11での空気の流れを阻害せず圧損を生じさせない程度(例えば、120cm3の風量を確保できる程度)に粗目に設定されている。
【0023】
光触媒部材40は、レジスタ壁面部10に移動可能(具体的には、回動可能)に支持されており、ダンパ30の回動軸と同軸上で支持されている。光触媒部材40は、通風路11の通路断面内で大きく広がって通風路11に流れる空気に晒される状態(以下、作動状態と称す。)と通風路11に沿って平行になって通風路11に流れる空気に晒されない状態(以下、格納状態と称す。)との間で回動することが可能である。光触媒部材40は、後述の如く、操作機構60の作動により回動する。
【0024】
光源50は、光触媒部材40に光を照射する発光装置である。光源50は、光触媒部材40が触媒作用を示す波長(主に400nm以下の紫外線の波長)の光を照射するLED(light emitting diode)である。光源50は、筐体51に囲まれており、筐体51の一面から光を照射する。光源50の光が光触媒部材40に照射されると、光触媒部材40が触媒作用を示す。
【0025】
レジスタ壁面部10は、光導入路16を有している。光導入路16は、ロアリテーナ13及びアッパリテーナ14の側壁に一体でその側壁からレジスタ壁面部10の外側方へ突出するように形成されている。光導入路16は、レジスタ壁面部10本体との接続部から先端入口にかけて吹出口12側に傾斜するように延びている。光源50は、光照射部がレジスタ壁面部10の内方へ露出するように光導入路16の先端入口に取り付けられている。
【0026】
光源50は、レジスタ壁面部10内におけるフィン20よりも風上側に配置されている。光源50は、光がレジスタ壁面部10におけるフィン20(特に水平フィン21)よりも風上側の領域へ照射されるように配置されている。光源50は、照射光が吹出口12から漏れないように、光源50の配置位置から風上側に向けて光を照射する。光源50からの光は、光導入路16を通ってレジスタ壁面部10本体の通風路11に導かれ、光触媒部材40に照射される。
【0027】
操作機構60は、フィン20、ダンパ30、及び光触媒部材40をそれぞれ操作するための機構である。操作機構60は、フィン20を操作するフィン操作装置61と、ダンパ30を操作するダンパ操作装置62と、光触媒部材40を操作する光触媒操作装置63と、を有している。
【0028】
フィン操作装置61は、車両乗員の手動操作によりフィン20の傾動角度を変更させるための機構である。フィン操作装置61は、車両乗員によりZ方向及びX方向の双方に操作可能なフィン操作ノブ61aと、フィン操作ノブ61aのX方向の操作を受ける操作受け部61bと、を有している。フィン操作ノブ61aは、水平フィン21の前面(具体的には、二つの水平フィン21の間)から車室内側に露出しつつ吹出口12からの空気の流れを妨げないするように設けられている。フィン操作ノブ61aは、Z方向には水平フィン21と一体に移動し、X方向には水平フィン21に対して相対移動する。操作受け部61bは、縦フィン22に設けられている。フィン操作ノブ61aの後部は、操作受け部61bに連結されている。
【0029】
フィン操作ノブ61aがZ方向(すなわち上下方向)に操作されると、水平フィン21がX方向軸を中心にしてZ方向に傾動し、吹出口12からの空気の吹出方向がZ方向に調整される。尚、フィン操作ノブ61aのZ方向の操作では、その力が操作受け部61bを介して縦フィン22に伝達されず、縦フィン22が傾動することは無い。また、フィン操作ノブ61aがX方向(すなわち左右方向)に操作されると、その力が操作受け部61bを介して縦フィン22に伝達され、縦フィン22がZ方向軸を中心にしてX方向に傾動し、吹出口12からの空気の吹出方向がX方向に調整される。尚、フィン操作ノブ61aのX方向の操作では、水平フィン21が傾動することは無い。
【0030】
ダンパ操作装置62は、車両乗員の手動操作によりダンパ30の回動角度を変更させるための機構である。ダンパ操作装置62は、車両乗員により回転操作されるダンパ操作ダイアル62aと、ダンパ操作ダイアル62aの回転操作をダンパ30に伝達するダンパリンクアーム部62bと、を有している。
【0031】
ダンパ操作ダイアル62aは、円盤状に形成されている。ダンパ操作ダイアル62aは、レジスタ壁面部10のベゼル15の裏側に回転可能に支持されている。ダンパ操作ダイアル62aは、ベゼル15に設けられた開口から車室内側に露出するように設けられている。ダンパリンクアーム部62bの一端は、ダンパ操作ダイアル62aの回転中心からオフセットした位置に接続されている。ダンパリンクアーム部62bの他端は、ダンパ30の回動軸に接続されている。ダンパリンクアーム部62bは、ダンパ操作ダイアル62aの回転操作をダンパ30の回動に変換するように作動する。
【0032】
ダンパ操作ダイアル62aは、インジケータ62cを有している。インジケータ62cは、ダンパ30の回動位置(すなわち、シャット状態と全開状態との間の位置)を示す表示であって、ダンパ操作ダイアル62aの操作位置に応じて露出表面に現れる例えば凹みなどである。尚、インジケータ62cは、ベゼル15の表面側に設けられた、ダンパ操作ダイアル62aの操作位置に合わせて点灯する可視光LEDであってもよい。
【0033】
光触媒操作装置63は、車両乗員の手動操作により光触媒部材40の回動角度を変更させるための機構である。光触媒操作装置63は、ダンパ30がシャット状態にあるときはダンパ30とは独立して光触媒部材40を回動させることができると共に、ダンパ30がダンパ操作装置62によりシャット状態から回動されたときはそのダンパ30に追従して光触媒部材40を回動させる。光触媒操作装置63は、車両乗員により回転操作される光触媒操作ダイアル63aと、光触媒操作ダイアル63aの回転操作を光触媒部材40に伝達する光触媒リンクアーム部63bと、を有している。
【0034】
光触媒操作ダイアル63aは、円盤状に形成されている。光触媒操作ダイアル63aは、レジスタ壁面部10のベゼル15の裏側に回転可能に支持されている。光触媒操作ダイアル63aは、ベゼル15に設けられた開口から車室内側に露出するように設けられている。光触媒操作ダイアル63aは、ダンパ操作ダイアル62aと並んで設けられている。光触媒リンクアーム部63bの一端は、光触媒操作ダイアル63aの回転中心からオフセットした位置に接続されている。光触媒リンクアーム部63bの他端は、光触媒部材40の回動軸に接続されている。光触媒リンクアーム部63bは、光触媒操作ダイアル63aの回転操作を光触媒部材40の回動に変換するように作動する。
【0035】
光触媒操作ダイアル63aは、インジケータ63cを有している。インジケータ63cは、光触媒部材40の回動位置(すなわち、作動状態と格納状態との間の位置)を示す表示であって、光触媒操作ダイアル63aの操作位置に応じて露出表面に現れる例えば凹みなどである。尚、インジケータ63cは、ベゼル15の表面側に設けられた、光触媒操作ダイアル63aの操作位置に合わせて点灯する可視光LEDであってもよい。
【0036】
レジスタ装置1は、また、光源50に光照射を実行させるか否かを決定するための作動スイッチ(図示せず)を備えている。この作動スイッチは、光触媒部材40が格納状態にある際にオフし、光触媒部材40が格納状態とは異なる状態(例えば作動状態)になった際にオンして光源50に光照射を実行させる。この作動スイッチは、操作が行われる光触媒操作ダイアル63aとその操作によって回動が生じる光触媒部材40との間で動くリンク機構の何れかの部位を対象としてオン/オフすればよく、例えば、圧力や磁気で反応するリミットスイッチやマグネットスイッチであってよい。
【0037】
次に、レジスタ装置1の動作について説明する。
レジスタ装置1は、例えば、通常送風モードと、シャットモードと、除菌送風モードと、の3つのモードに切り替え可能である。
【0038】
通常送風モードは、空調装置から送られる空気を通風路11に通して吹出口12から車室内側へ吹き出すモードである。通常送風モードは、ダンパ操作ダイアル62aがダンパ30をシャット状態以外の状態(全開状態を含む。)とする回転位置にあるときに実現される。ダンパ操作ダイアル62aがダンパ30をシャット状態以外の状態とする回転位置にあるときは、ダンパ30がシャット状態に無いので、空調装置から送られる空気が通風路11を流通して吹出口12から車室内側へ吹き出される。
【0039】
上記の通常送風モードにおいて、吹出口12から車室内側へ吹き出される空気の量は、ダンパ30のシャット状態と全開状態との間の回動角度に応じたものとなり、シャット状態に近いほど少量となり、全開状態に近いほど多量となり、全開状態(
図6(A)に示す状態)で最大となる。ダンパ30の回動角度は、ダンパ操作ダイアル62aの回転により調整可能である。このため、車両乗員によるダンパ操作ダイアル62aの回転位置の設定により吹出口12から車室内側へ吹き出される空気の量を調整することができる。
【0040】
また、上記の通常送風モードにおいて、フィン操作装置61のフィン操作ノブ61aがZ方向及びX方向の少なくとも何れかに操作されると、その操作に合わせてフィン20(具体的には、水平フィン21及び縦フィン22)が傾動する。この場合、吹出口12から車室内側へ送られる空気は、水平フィン21の傾動角度及び縦フィン22の傾動角度に応じた方向へ吹き出される。このため、車両乗員によるフィン操作ノブ61aの操作により吹出口12から車室内側へ吹き出される空気の吹出方向を調整することができる。
【0041】
シャットモードは、空調装置から送られる空気をダンパ30で遮断して吹出口12から車室内側への空気の吹き出しを規制するモードである。シャットモードは、ダンパ操作ダイアル62aがダンパ30をシャット状態とする回転位置にあるときに実現される。ダンパ操作ダイアル62aがダンパ30をシャット状態とする回転位置にあるときは、
図6(E)に示す如くダンパ30がシャット状態にあるので、空調装置から送られる空気がダンパ30で遮断される。
【0042】
除菌送風モードは、光源50の光を光触媒部材40に照射してその光触媒部材40を除菌するモードである。除菌送風モードは、ダンパ操作ダイアル62aがダンパ30を全開状態とする回転位置にありかつ光触媒操作ダイアル63aが光触媒部材40を作動状態とする回動位置にあるときに実現される。光触媒操作ダイアル63aが光触媒部材40を作動状態とする回動位置にあるときは、光触媒部材40が通風路11に流れる空気に晒されるので、空調装置から送られる空気が通風路11に流れる際、その空気が光触媒部材40を通過する。
【0043】
ダンパ操作ダイアル62aがダンパ30を全開状態とする回転位置にある状況で光触媒操作ダイアル63aが光触媒部材40を格納状態とする回動位置から作動状態側へ回動されると、光触媒部材40が作動状態になると共に、作動スイッチがオンして光源50がその光触媒部材40に光を照射する。光源50による光の照射は、
図7に示す如く、作動状態の光触媒部材40の全面に亘って行われる。
【0044】
光源50からの光が光触媒部材40に照射されると、光触媒部材40がその光を吸収して触媒作用を示すことで、空調装置から通風路11に流れる空気が光触媒部材40を通過する際にその空気中の有機物や細菌,ウィルスなどの物質が分解除去される。従って、空調装置から通風路11に流れる空気を光触媒部材40で浄化するので、浄化された空気を吹出口12から車室内側に送り込むことができる。
【0045】
また、光源50は、
図7に網掛けで示す範囲の如く、照射光が吹出口12から漏れないように、光源50の配置位置から風上側に向けて光を照射する。かかる構成においては、光触媒作用によりレジスタ壁面部10内の通風路11に流れる空気を浄化するうえで、光源50の照射した光が吹出口12から車室内側に漏れるのを防止することができる。このため、光源50の光の照射が車室内側の車両乗員に影響を与えるのを回避することができる。
【0046】
また、除菌送風モードでは、光触媒部材40が作動状態で通風路11に流れる空気に晒されるが、その光触媒部材40は、通風路11での空気の流れを阻害せず圧損を生じさせない程度に粗目のメッシュ状に形成されている。このため、光触媒部材40は、空気中の有機物などの物質を捕集する捕集型のフィルタでないので、光触媒部材40の存在に起因して通風路11での風量や風圧が低下するのを抑えることができる。従って、上記の捕集型フィルタに起因した通風路11での風量や風圧の低下を考慮して空調装置の送風能力を上げることは不要であり、空調装置の低機能化や低コスト化を図ることができる。
【0047】
[第二実施形態]
上記の第一実施形態では、レジスタ装置1が、光触媒部材40が光触媒操作装置63により移動される触媒移動型のレジスタ装置である。これに対して、本実施形態の除菌機能付きレジスタ装置100(以下、単にレジスタ装置100と称す。)は、光触媒部材110が固定されている触媒固定型のレジスタ装置である。
【0048】
レジスタ装置100において第一実施形態のレジスタ装置1の構成と同一の構成については、同一の符号を付してその説明を省略又は簡略する。レジスタ装置100は、
図8に示す如く、レジスタ壁面部10と、フィン20と、ダンパ120と、光触媒部材110と、光源130と、操作機構140と、を備えている。
【0049】
ダンパ120は、通風路11に流れる空気の風量を調整する部材である。ダンパ120は、通風路11内に配置されている。ダンパ120は、通風路11内においてフィン20よりも風上側に配置されている。ダンパ120は、通風路11の通路断面に対応した大きさ及び形状に形成されており、例えば四角板状に形成されている。
【0050】
ダンパ120は、レジスタ壁面部10に移動可能(具体的には、回動可能)に支持されている。ダンパ120は、例えば水平な軸を中心にして回動することが可能である。ダンパ120の回動軸は、レジスタ壁面部10の内壁(例えば上壁)に沿うように設けられている。ダンパ120は、回動により通風路11における空気が流れる有効断面積を拡縮するように作動する。ダンパ120は、シャット状態と全開状態との間で回動することが可能である。ダンパ120は、全開状態においてその全面がレジスタ壁面部10の上壁に沿うように位置し、シャット状態でその下端がレジスタ壁面部10の下壁に接するように位置する。ダンパ120は、後述の如く、操作機構140の作動により回動する。
【0051】
光触媒部材110は、通風路11に流れる空気を浄化し或いは消臭する装置である。光触媒部材110は、光源130の照射した光を吸収して触媒作用を示し、空気中の有機物や細菌,ウィルスなどの物質を分解除去する。光触媒部材110は、酸化チタンなどの材料により形成されている。光触媒部材110は、通風路11内に配置されている。光触媒部材110は、レジスタ壁面部10内におけるフィン20よりも風上側に配置されている。
【0052】
光触媒部材110は、板状(具体的には、平板状)に形成された部材であって、例えば板状基材の表面に光触媒の層が形成された部材であってよい。光触媒部材110は、レジスタ壁面部10の内壁に沿うように配置されており、具体的には、その内壁の周方向一部の領域(例えば、通風路11を囲む四つの壁のうち下壁のみ)に配置されている。光触媒部材110は、レジスタ壁面部10の内壁に移動不能に取り付け固定されている。尚、光触媒部材110は、レジスタ壁面部10に着脱可能すなわち交換可能に取り付けられるものであってもよい。
【0053】
光源130は、光触媒部材110に光を照射する発光装置である。光源130は、光触媒部材110が触媒作用を示す波長(主に400nm以下の紫外線の波長)の光を照射するLEDである。光源130の光が光触媒部材110に照射されると、光触媒部材110が触媒作用を示す。
【0054】
光源130は、レジスタ壁面部10内におけるフィン20よりも風上側に配置されている。光源130は、光がレジスタ壁面部10におけるフィン20(特に水平フィン21)よりも風上側の領域へ照射されるように配置されている。具体的には、光源130は、レジスタ壁面部10における光触媒部材110の配置領域に対向する周方向対向領域(例えば、通風路11を囲む四つの壁のうち上壁のみ)に配置されている。光源130は、光を吹出口12から漏らすことなく光源130の配置位置から光触媒部材110の配置領域に向けて照射する。光源130からの光は、通風路11を横切って光触媒部材110に照射される。
【0055】
操作機構140は、フィン20及びダンパ120をそれぞれ操作すると共に、光源130に光照射を実行させるための機構である。操作機構140は、上記第一実施形態と同様のフィン操作装置61と、ダンパ120の回動角度を変更させるためのダンパ操作装置142と、光触媒部材110を作動させる触媒操作装置143と、を有している。
【0056】
ダンパ操作装置142は、車両乗員により開操作又は閉操作されるダンパ操作スイッチ142aと、ダンパ操作スイッチ142aの操作に応じてダンパ120の回動角度を変更させる制御を行う制御部142bと、を有している。触媒操作装置143は、光源130の光照射を実行させるために操作される光触媒作動スイッチ143aと、光触媒作動スイッチ143aの操作に応じて光触媒部材110を作動させる制御を行う制御部143bと、を有している。尚、ダンパ操作スイッチ142a及び光触媒作動スイッチ143aはそれぞれ、例えばプッシュ式のボタンなどであってよい。また、ダンパ操作装置142及び触媒操作装置143は、ダンパ120を回動させる共通のモータ144を有している。
【0057】
ダンパ操作装置142において、ダンパ操作スイッチ142aが開操作されると、制御部142bの制御によりモータ144が開動作してダンパ120がシャット状態側から全開状態側へ移動する。また、ダンパ操作スイッチ142aが閉操作されると、制御部142bの制御によりモータ144が閉動作してダンパ120が全開状態側からシャット状態側へ移動する。尚、モータ144の動作は、ダンパ操作スイッチ142aの一回の押下操作で全開状態へ又はシャット状態へ行われるものであってもよいし、ダンパ操作スイッチ142aの押下操作が継続している時間だけシャット状態側から全開状態側へ又はその逆側へ行われるものであってもよい。
【0058】
触媒操作装置143において、光触媒作動スイッチ143aがオン操作されると、制御部143bの制御により、光源130が光触媒部材110に光を照射すると共に、モータ144が動作してダンパ120がシャット状態から僅かに開いた所定開状態(
図8に実線で示す状態)に維持される。
【0059】
次に、レジスタ装置100の動作について説明する。
レジスタ装置100は、例えば、通常送風モードと、シャットモードと、除菌送風モードと、の3つのモードに切り替え可能である。
【0060】
通常送風モードは、空調装置から送られる空気を通風路11に通して吹出口12から車室内側へ吹き出すモードである。通常送風モードは、ダンパ120が開状態にあるときに実現される。ダンパ操作スイッチ142aが開操作されたときは、ダンパ120がシャット状態に無いので、空調装置から送られる空気が通風路11を流通して吹出口12から車室内側へ吹き出される。
【0061】
上記の通常送風モードにおいて、吹出口12から車室内側へ吹き出される空気の量は、ダンパ120のシャット状態と全開状態との間の回動角度に応じたものとなり、シャット状態に近いほど少量となり、全開状態に近いほど多量となり、全開状態で最大となる。また、ダンパ120が全開状態になくかつシャット状態にないときは、空調装置から送られる空気がダンパ120の避けるように通風路11の例えば下部を流通して吹出口12から吹き出される。ダンパ120の回動角度は、ダンパ操作スイッチ142aの操作により調整可能である。このため、車両乗員によるダンパ操作スイッチ142aの操作より吹出口12から車室内側へ吹き出される空気の量を調整することができる。また、この通常送風モードにおいて、車両乗員によるフィン操作ノブ61aの操作により吹出口12から車室内側へ吹き出される空気の吹出方向を調整することができる。
【0062】
シャットモードは、空調装置から送られる空気をダンパ120で遮断して吹出口12から車室内側への空気の吹き出しを規制するモードである。シャットモードは、ダンパ120がシャット状態にあるときに実現される。ダンパ操作スイッチ142aが閉操作されたときは、ダンパ120がシャット状態(
図8に破線で示す状態)になるので、空調装置から送られる空気がダンパ120で遮断される。
【0063】
除菌送風モードは、光源130の光を光触媒部材110に照射してその光触媒部材110を除菌するモードである。除菌送風モードは、光触媒作動スイッチ143aがオン操作されたときに実現される。光触媒作動スイッチ143aがオン操作されると、光源130が光触媒部材110に光を照射すると共に、ダンパ120が所定開状態になる。
【0064】
光源130からの光が光触媒部材110に照射されると、光触媒部材110がその光を吸収して触媒作用を示すことで、空調装置から通風路11に流れる空気が光触媒部材110を通過する際にその空気中の有機物や細菌,ウィルスなどの物質が分解除去される。従って、空調装置から通風路11に流れる空気を光触媒部材110で浄化するので、浄化された空気を吹出口12から車室内側に送り込むことができる。
【0065】
また、光源130からの光が光触媒部材110に照射される際、ダンパ120が所定開状態になる。ダンパ120は、回動軸がレジスタ壁面部10の内壁(例えば上壁)に沿うように設けられているので、ダンパ120の所定開状態では、ダンパ120とその回動軸が設けられた内壁とは対向側の内壁(例えば下壁)との間に、空気が流れる流路が形成される。
【0066】
上記の流路は、通風路11の通路断面のうち光触媒部材110が設けられたレジスタ壁面部10の内壁側に形成される。この構成では、空調装置から通風路11に流れる空気が光触媒部材110に導かれ易くなり、光触媒部材110の表面に当たり易くなる。空気が光触媒部材110に導かれ易いと、通風路11に流れる空気のうち大部分の空気を光触媒部材110で浄化することができる。従って、この構成によれば、除菌送風モード時、通風路11にダンパ120がシャット状態よりも僅かに開いて流路を形成することで、空気の浄化効率を上げることができる。
【0067】
また、光源130は、
図8に網掛けで示す範囲の如く、照射光が吹出口12から漏れないように、光源130の配置位置から光触媒部材110の配置領域に向けて光を照射する。かかる構成においては、光触媒作用によりレジスタ壁面部10内の通風路11に流れる空気を浄化するうえで、光源130の照射した光が吹出口12から車室内側に漏れるのを防止することができる。このため、光源130の光の照射が車室内側の車両乗員に影響を与えるのを回避することができる。
【0068】
尚、光触媒作動スイッチ143aのオン操作により光触媒部材110での空気浄化が完了した後は、自動的に除菌送風モードから通常送風モード又はシャットモードへの切り替えが行われてよい。例えば、この切り替えは、レジスタ装置100の除菌性能と車室内の体積との関係から算出される車室内全体の空気を浄化できる除菌時間に基づいてタイマ管理で行われるものとしてよい。
【0069】
[第三実施形態]
上記の第二実施形態では、レジスタ装置100が、光触媒部材110がレジスタ壁面部10の内壁に沿うと共にその内壁の周方向一部の領域(例えば、通風路11を囲む四つの壁のうち下壁のみ)に配置されるレジスタ装置である。これに対して、本実施形態の除菌機能付きレジスタ装置200(以下、単にレジスタ装置200と称す。)は、光触媒部材210がレジスタ壁面部10の内壁に沿うと共にその内壁の周方向全域(例えば、通風路11を囲む四つの壁のすべて)に亘るように環状に配置されるレジスタ装置である。
【0070】
レジスタ装置200において第一実施形態のレジスタ装置1の構成と同一の構成については、同一の符号を付してその説明を省略又は簡略する。レジスタ装置200は、
図9及び
図10に示す如く、レジスタ壁面部10と、フィン20と、ダンパ220と、光触媒部材210と、光源230と、操作機構240と、を備えている。
【0071】
ダンパ220は、通風路11に流れる空気の風量を調整する部材である。ダンパ220は、通風路11内に配置されている。ダンパ220は、通風路11内においてフィン20よりも風上側に配置されている。ダンパ220は、通風路11の通路断面に対応した大きさ及び形状に形成されており、例えば四角板状に形成されている。
【0072】
ダンパ220は、レジスタ壁面部10に移動可能に支持されている。ダンパ220は、通風路11の通路中心を中心にして拡縮することが可能である。ダンパ220は、回動により通風路11における空気が流れる有効断面積を拡縮するように作動する。ダンパ220は、シャット状態と全開状態との間で拡縮することが可能である。ダンパ220は、シャット状態で通風路11の全域を塞ぐように拡大し、全開状態で通風路11の有効断面積が最大となるように収縮する。ダンパ220は、後述の如く、操作機構240の作動により回動する。
【0073】
光触媒部材210は、通風路11に流れる空気を浄化し或いは消臭する装置である。光触媒部材210は、光源230の照射した光を吸収して触媒作用を示し、空気中の有機物や細菌,ウィルスなどの物質を分解除去する。光触媒部材210は、酸化チタンなどの材料により形成されている。光触媒部材210は、通風路11内に配置されている。光触媒部材210は、レジスタ壁面部10内におけるフィン20よりも風上側に配置されている。
【0074】
光触媒部材210は、板状(具体的には、平板状)に形成された部材であって、例えば板状基材の表面に光触媒の層が形成された部材であってよい。光触媒部材210は、レジスタ壁面部10の内壁に沿うように配置されており、具体的には、その内壁の周方向全域(例えば、通風路11を囲む四つの壁のすべて)に亘るように環状に配置されている。光触媒部材210は、レジスタ壁面部10の内壁に移動不能に取り付け固定されている。尚、光触媒部材210は、レジスタ壁面部10に着脱可能すなわち交換可能に取り付けられるものであってもよい。
【0075】
光源230は、光触媒部材210に光を照射する発光装置である。光源230は、光触媒部材210が触媒作用を示す波長(主に400nm以下の紫外線の波長)の光を照射するLEDである。光源230の光が光触媒部材210に照射されると、光触媒部材210が触媒作用を示す。
【0076】
光源230は、レジスタ壁面部10内におけるフィン20よりも風上側に配置されている。光源230は、光がレジスタ壁面部10におけるフィン20(特に水平フィン21)よりも風上側の領域へ照射されるように配置されている。具体的には、光源230は、レジスタ壁面部10における光触媒部材210の配置領域全域に亘るように光を照射する。光源230は、光を吹出口12から漏らすことなく光源230の配置位置から光触媒部材210の配置領域に向けて照射する。光源230からの光は、通風路11の通路中心から放射状に光触媒部材110に照射される。
【0077】
操作機構240は、フィン20及びダンパ220をそれぞれ操作すると共に、光源230に光照射を実行させるための機構である。操作機構240は、上記第一実施形態と同様のフィン操作装置61と、ダンパ220の回動角度を変更させるためのダンパ操作装置242と、光触媒部材210を作動させる触媒操作装置243と、を有している。
【0078】
ダンパ操作装置242は、車両乗員により開操作又は閉操作されるダンパ操作スイッチ242aと、ダンパ操作スイッチ242aの操作に応じてダンパ220の回動角度を変更させる制御を行う制御部242bと、を有している。触媒操作装置243は、光源230の光照射を実行させるために操作される光触媒作動スイッチ243aと、光触媒作動スイッチ143aの操作に応じて光触媒部材110を作動させる制御を行う制御部243bと、を有している。尚、ダンパ操作スイッチ242a及び光触媒作動スイッチ243aはそれぞれ、例えばプッシュ式のボタンなどであってよい。また、ダンパ操作装置242及び触媒操作装置243は、ダンパ120を回動させる共通のモータ244を有している。
【0079】
ダンパ操作装置242において、ダンパ操作スイッチ242aが開操作されると、制御部242bの制御によりモータ244が開動作してダンパ220がシャット状態側から全開状態側へ拡大移動する。また、ダンパ操作スイッチ242aが閉操作されると、制御部242bの制御によりモータ244が閉動作してダンパ220が全開状態側からシャット状態側へ収縮移動する。尚、モータ244の動作は、ダンパ操作スイッチ242aの一回の押下操作で全開状態へ又はシャット状態へ行われるものであってもよいし、ダンパ操作スイッチ242aの押下操作が継続している時間だけシャット状態側から全開状態側へ又はその逆側へ行われるものであってもよい。
【0080】
触媒操作装置243において、光触媒作動スイッチ243aがオン操作されると、制御部243bの制御により、光源230が光触媒部材210に光を照射すると共に、モータ244が動作してダンパ220がシャット状態から僅かに開いた所定開状態(
図10に実線で示す状態)に維持される。
【0081】
次に、レジスタ装置200の動作について説明する。
レジスタ装置200は、例えば、通常送風モードと、シャットモードと、除菌送風モードと、の3つのモードに切り替え可能である。
【0082】
通常送風モードは、空調装置から送られる空気を通風路11に通して吹出口12から車室内側へ吹き出すモードである。通常送風モードは、ダンパ220が開状態にあるときに実現される。ダンパ操作スイッチ242aが開操作されたときは、ダンパ120がシャット状態に無いので、空調装置から送られる空気が通風路11を流通して吹出口12から車室内側へ吹き出される。
【0083】
上記の通常送風モードにおいて、吹出口12から車室内側へ吹き出される空気の量は、ダンパ220のシャット状態と全開状態との間の拡縮状態に応じたものとなり、シャット状態に近いほど少量となり、全開状態に近いほど多量となり、全開状態で最大となる。また、ダンパ220が全開状態になくかつシャット状態にないときは、空調装置から送られる空気がダンパ220の避けるように通風路11の例えば下部を流通して吹出口12から吹き出される。ダンパ220の回動角度は、ダンパ操作スイッチ242aの操作により調整可能である。このため、車両乗員によるダンパ操作スイッチ242aの操作より吹出口12から車室内側へ吹き出される空気の量を調整することができる。また、この通常送風モードにおいて、車両乗員によるフィン操作ノブ61aの操作により吹出口12から車室内側へ吹き出される空気の吹出方向を調整することができる。
【0084】
シャットモードは、空調装置から送られる空気をダンパ220で遮断して吹出口12から車室内側への空気の吹き出しを規制するモードである。シャットモードは、ダンパ220がシャット状態にあるときに実現される。ダンパ操作スイッチ242aが閉操作されたときは、ダンパ220がシャット状態(
図10に破線で示す状態)になるので、空調装置から送られる空気がダンパ220で遮断される。
【0085】
除菌送風モードは、光源230の光を光触媒部材210に照射してその光触媒部材210を除菌するモードである。除菌送風モードは、光触媒作動スイッチ243aがオン操作されたときに実現される。光触媒作動スイッチ243aがオン操作されると、光源230が光触媒部材210に光を照射すると共に、ダンパ220が所定開状態になる。
【0086】
光源230からの光が光触媒部材210に照射されると、光触媒部材210がその光を吸収して触媒作用を示すことで、空調装置から通風路11に流れる空気が光触媒部材210を通過する際にその空気中の有機物や細菌,ウィルスなどの物質が分解除去される。従って、空調装置から通風路11に流れる空気を光触媒部材210で浄化するので、浄化された空気を吹出口12から車室内側に送り込むことができる。
【0087】
また、光源230からの光が光触媒部材210に照射される際、ダンパ220が所定開状態になる。ダンパ220は、通風路11の通路中心を中心にして拡縮するので、ダンパ120の所定開状態では、レジスタ壁面部10の内壁全周に亘ってその内壁とダンパ120の外縁端との間に空気が流れる流路が形成される。
【0088】
上記の如く、光触媒部材210は、レジスタ壁面部10の内壁に沿うように配置されており、具体的には、その内壁の周方向全域に亘るように環状に配置されている。この構成では、空調装置から通風路11に流れる空気が環状の光触媒部材210に万遍なく導かれ易くなり、光触媒部材210の表面に当たり易くなる。空気が光触媒部材210に導かれ易いと、通風路11に流れる空気のうち大部分の空気を光触媒部材210で浄化することができる。従って、この構成によれば、除菌送風モード時、通風路11にダンパ220がシャット状態よりも僅かに開いて流路を形成することで、空気の浄化効率を上げることができる。
【0089】
また、光源230は、
図9に網掛けで示す範囲の如く、照射光が吹出口12から漏れないように、光源230の配置位置から光触媒部材210の配置領域に向けて光を照射する。かかる構成においては、光触媒作用によりレジスタ壁面部10内の通風路11に流れる空気を浄化するうえで、光源230の照射した光が吹出口12から車室内側に漏れるのを防止することができる。このため、光源230の光の照射が車室内側の車両乗員に影響を与えるのを回避することができる。
【0090】
尚、光触媒作動スイッチ243aのオン操作により光触媒部材210での空気浄化が完了した後は、自動的に除菌送風モードから通常送風モード又はシャットモードへの切り替えが行われてよい。例えば、この切り替えは、レジスタ装置200の除菌性能と車室内の体積との関係から算出される車室内全体の空気を浄化できる除菌時間に基づいてタイマ管理で行われるものとしてよい。
【0091】
ところで、上記の第二及び第三実施形態においては、除菌送風モードにおいて、レジスタ装置200の除菌性能と車室内の体積との関係から算出される車室内全体の空気を浄化できる除菌時間に基づいて、その除菌の進行度合いを表示出力や音声出力などで車両乗員に提示することとしてもよい。
【0092】
また、上記の第一~第三実施形態においては、光源50,130,230の光が光触媒部材40,110,210に直接に照射される。しかし、本発明は、これに限定されるものではなく、レジスタ壁面部10の内壁に光を反射させる表面処理(例えば、アルミニウムやメッキ)を施し、光源50,130,230の光をレジスタ壁面部10の内壁に反射させて光触媒部材40,110,210に導くものとしてもよい。
【0093】
また、上記の第一~第三実施形態においては、車両乗員の操作により除菌操作モードを実現することとしている。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、除菌送風モードを実現するタイミングを、空調装置が通風路11に送る空気が設定温度に達する前としてもよい。この場合、空調装置が通風路11に送る空気が設定温度に達した以後は、除菌送風モードが停止されて、モードが除菌送風モードから通常送風モードへ切り替わるものとしてよい。
【0094】
尚、本発明は、上述した実施形態や変形形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0095】
1,100,200:除菌機能付きレジスタ装置(レジスタ装置)、10:レジスタ壁面部、11:通風路、12:吹出口、13:ロアリテーナ、14:アッパリテーナ、15:ベゼル、20:フィン、21:水平フィン、22:縦フィン、30,120,220:ダンパ、40,110,210:光触媒部材、50,130,230:光源、60,140,240:操作機構、61:フィン操作装置、61a:フィン操作ノブ、62:ダンパ操作装置、62a:ダンパ操作ダイアル、63:光触媒操作装置、63a:光触媒操作ダイアル。