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特開2023-28191情報処理システム、周辺装置、及び設定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023028191
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】情報処理システム、周辺装置、及び設定方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/10 20180101AFI20230224BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20230224BHJP
   H04W 92/18 20090101ALI20230224BHJP
   G06F 13/00 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
H04W76/10
H04W84/12
H04W92/18
G06F13/00 510A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021133745
(22)【出願日】2021-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池岡 政輝
【テーマコード(参考)】
5B084
5K067
【Fターム(参考)】
5B084AA02
5B084AA06
5B084AB36
5B084AB38
5B084BA09
5B084BB03
5B084DA12
5B084DA21
5B084DB02
5B084DB08
5B084DC05
5K067AA34
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE25
5K067HH21
(57)【要約】
【課題】 周辺装置の設定を容易にする情報処理システムを提供することを目的とする。
【解決手段】 情報処理システムは、コンピュータ端末と、周辺装置とを含む情報処理システムであって、前記コンピュータ端末は、既定のアクセスポイントに無線接続するための第1の無線接続情報を格納する接続情報格納部と、前記接続情報格納部により格納されている第1の無線接続情報を用いて、無線接続を要求する接続要求部とを有し、前記周辺装置は、前記第1の無線接続情報とは異なる第2の無線接続情報による無線接続を確立する無線接続部と、前記無線接続部が使用している第2の無線接続情報を、前記第1の無線接続情報に切り替える接続情報切替部とを有する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ端末と、周辺装置とを含む情報処理システムであって、
前記コンピュータ端末は、
既定のアクセスポイントに無線接続するための第1の無線接続情報を格納する接続情報格納部と、
前記接続情報格納部により格納されている第1の無線接続情報を用いて、無線接続を要求する接続要求部と
を有し、
前記周辺装置は、
前記第1の無線接続情報とは異なる第2の無線接続情報による無線接続を確立する無線接続部と、
前記無線接続部が使用している第2の無線接続情報を、前記第1の無線接続情報に切り替える接続情報切替部と
を有する
情報処理システム。
【請求項2】
前記接続情報格納部は、前記周辺装置を制御するソフトウェアに関連付けて、前記第1の無線接続情報を格納している
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記コンピュータ端末は、
前記第1の無線接続情報を用いた無線接続を用いて、無線接続に関する設定情報を前記周辺装置に送信する設定情報送信部
をさらに有し、
前記周辺装置は、
前記設定情報送信部により、無線接続に関する設定情報が送信されたことを条件として、前記第1の無線接続情報から前記第2の無線接続情報に戻す接続情報戻し部
をさらに有する
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記接続情報格納部は、複数の周辺装置で共通するSSID及びパスワードを前記第1の無線接続情報として格納しており、
前記接続情報切替部は、前記周辺装置それぞれに固有のSSID及びパスワードから、前記共通するSSID及びパスワードに切り替え、
前記接続情報戻し部は、前記共通するSSID及びパスワードから、前記固有のSSID及びパスワードに戻す
請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記接続情報切替部は、既定の起動操作が行われたことを条件として、無線接続の設定情報を受信する時に用いる前記第1の無線接続情報に切り替える
請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
既定の無線接続情報による無線接続を受け付ける無線接続部と、
前記無線接続部の無線接続情報を、この無線接続情報とは異なる設定用の無線接続情報に切り替える接続情報切替部と、
前記設定用の無線接続情報を用いて設定情報を受信したことを条件として、無線接続情報を既定の無線接続情報に戻す接続情報戻し部と
を有する周辺装置。
【請求項7】
既定の無線接続情報を、この無線接続情報とは異なる設定用の無線接続情報に切り替える接続情報切替ステップと、
前記設定用の無線接続情報を用いて設定情報を受信したことを条件として、前記接続情報切替ステップにより切り替えられた設定用の無線接続情報から、前記既定の無線接続情報に戻す接続情報戻しステップと
を有する設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、周辺装置、及び設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、第1の通信方式によって通信を行う第1通信インターフェースと、前記第1の通信方式とは異なる第2の通信方式によって通信を行う第2通信インターフェースと、画像処理部と、制御部と、を備える画像処理装置において、前記第1の通信方式の設定情報を情報処理装置のオペレーティングシステムから受け取る手順を含む特定設定プロトコルに準拠しており、前記制御部は、前記第2通信インターフェースを介して、自装置が前記特定設定プロトコルに準拠していることを示す情報を情報処理装置に送信する第1送信処理と、前記第1送信処理を通じて前記情報処理装置と互いに前記特定設定プロトコルに準拠しているとの共有がなされた後、前記第2通信インターフェースを介して、前記情報処理装置のオペレーティングシステムから送信された前記第1の通信方式の設定情報を前記特定設定プロトコルに従い受信する第1受信処理と、前記第1受信処理にて前記第1の通信方式の設定情報を受信した場合に、受信した前記設定情報を用いて、前記第1の通信方式の設定を行う設定処理と、を実行することを特徴とする画像処理装置が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、近距離無線通信方式により外部装置と通信する第1通信部と、前記近距離無線通信方式とは異なる無線通信方式により外部装置と通信する第2通信部と、通信制御プログラムに割り当てられる第1記憶領域を含む記憶部と、制御部とを備えた通信装置の、前記制御部が実行可能な通信制御プログラムであって、前記第2通信部を介した無線通信を行うための無線設定が、前記第1記憶領域に記憶されているかを判断する第1判断手段と、前記第1通信部を介して外部装置と通信が可能である場合、前記第1通信部を介して、前記外部装置と前記第2通信部を介した無線通信を行うための無線設定を前記外部装置に要求する要求手段と、前記第1判断手段により前記無線設定が前記第1記憶領域に記憶されていないと判断された場合、かつ、前記要求手段による要求に応じて、前記外部装置から、当該外部装置と前記第2通信部を介した無線通信を行うための無線設定を、前記第1通信部を介して取得した場合、当該取得した無線設定を、前記第2通信部を介した無線通信を行うための無線設定として設定する通信制御手段として、前記制御部を機能させることを特徴とする通信制御プログラムが開示されている。
【0004】
また、特許文献3には、端末装置のためのコンピュータプログラムであって、前記端末装置は、表示部と、無線インターフェースと、OS(Operating Systemの略)プログラムを記憶するメモリと、コンピュータと、を備え、前記コンピュータプログラムは、前記コンピュータを、以下の各部、即ち、所定操作を前記端末装置に実行すべきことを示す案内画面を前記表示部に表示させる第1の表示制御部であって、前記所定操作は、前記OSプログラムによって前記表示部に表示される無線設定画面において、無線ネットワークの親局として動作する通信装置を識別する第1の識別子を選択するための操作である、前記第1の表示制御部と、前記所定操作が前記端末装置に実行されることに起因して、前記端末装置と前記通信装置との間に前記無線インターフェースを介した第1の無線接続が確立される場合に、前記無線インターフェースを介して、アクセスポイントとの第2の無線接続を確立するための接続情報を前記通信装置に送信する送信部と、として機能させる、コンピュータプログラムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-177542
【特許文献2】特開2014-195150
【特許文献3】特開2021-057804
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
周辺装置の設定を容易にする情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る情報処理システムは、コンピュータ端末と、周辺装置とを含む情報処理システムであって、前記コンピュータ端末は、既定のアクセスポイントに無線接続するための第1の無線接続情報を格納する接続情報格納部と、前記接続情報格納部により格納されている第1の無線接続情報を用いて、無線接続を要求する接続要求部とを有し、前記周辺装置は、前記第1の無線接続情報とは異なる第2の無線接続情報による無線接続を確立する無線接続部と、前記無線接続部が使用している第2の無線接続情報を、前記第1の無線接続情報に切り替える接続情報切替部とを有する。
【0008】
好適には、前記接続情報格納部は、前記周辺装置を制御するソフトウェアに関連付けて、前記第1の無線接続情報を格納している。
【0009】
好適には、前記コンピュータ端末は、前記第1の無線接続情報を用いた無線接続を用いて、無線接続に関する設定情報を前記周辺装置に送信する設定情報送信部をさらに有し、前記接続情報切替部は、前記設定情報送信部により、無線接続に関する設定情報が送信されたことを条件として、前記第1の無線接続情報から前記第2の無線接続情報に戻す接続情報戻し部をさらに有する。
【0010】
好適には、前記接続情報格納部は、複数の周辺装置で共通するSSID及びパスワードを前記第1の無線接続情報として格納しており、前記接続情報切替部は、前記周辺装置それぞれに固有のSSID及びパスワードから、前記共通するSSID及びパスワードに切り替え、前記接続情報戻し部は、前記共通するSSID及びパスワードから、前記固有のSSID及びパスワードに戻す。
【0011】
好適には、前記接続情報切替部は、既定の起動操作が行われたことを条件として、無線接続の設定情報を受信する時に用いる前記第1の無線接続情報に切り替える。
【0012】
また、本発明に係る周辺装置は、既定の無線接続情報による無線接続を受け付ける無線接続部と、前記無線接続部の無線接続情報を、この無線接続情報とは異なる設定用の無線接続情報に切り替える接続情報切替部と、前記設定用の無線接続情報を用いて設定情報を受信したことを条件として、無線接続情報を既定の無線接続情報に戻す接続情報戻し部とを有する。
【0013】
また、本発明に係る設定方法は、既定の無線接続情報を、この無線接続情報とは異なる設定用の無線接続情報に切り替える接続情報切替ステップと、前記設定用の無線接続情報を用いて設定情報を受信したことを条件として、前記接続情報切替ステップにより切り替えられた設定用の無線接続情報から、前記既定の無線接続情報に戻す接続情報戻しステップとを有する。
【発明の効果】
【0014】
周辺装置の設定を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】情報処理システム1の全体構成を例示する図である。
図2】情報処理システム1におけるWiFi設定方法の概要を説明する図である。
図3】コンピュータ端末2のハードウェア構成を例示する図である。
図4】スキャナ4のうち、制御部分のハードウェア構成を中心に例示する図である。
図5】コンピュータ端末2の機能構成を例示する図である。
図6】スキャナ4の機能構成を例示する図である。
図7】接続情報データベース570に登録される接続情報を例示する図である。
図8】情報処理システム1における全体動作(S10)を説明するシーケンス図である。
図9】情報処理システム1におけるコンピュータ端末側の処理(S20)をより詳細に説明するフローチャートである。
図10】情報処理システム1におけるスキャナ側の処理(S30)をより詳細に説明するフローチャートである。
図11】スキャナ4に対する特定の起動方法のバリエーションを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、情報処理システム1の全体構成を例示する図である。
図1に例示するように、情報処理システム1は、コンピュータ端末2と、スキャナ4と、WiFiルータ6とを含み、コンピュータ端末2は、WiFiルータ6に無線接続している。
コンピュータ端末2は、ユーザが操作するコンピュータ端末であり、スキャナ4の設定操作を行う。例えば、コンピュータ端末2は、スマートフォンやタブレット端末などのモバイル端末、及び、パーソナルコンピュータである。
スキャナ4は、原稿から光学的に画像を読み取る画像読取装置である。スキャナ4は、WiFi(Wireless Fidelity)などの無線ネットワークにおけるアクセスポイント(親機)としての機能と、子機としての機能を有しており、コンピュータ端末2と直接無線接続(ダイレクト接続)することも、WiFiルータ6経由でコンピュータ端末2と接続することもできる。なお、スキャナ4は、本発明に係る周辺装置の一例である。
WiFiルータ6は、無線ネットワークにおけるアクセスポイントである。WiFiルータ6は、例えば、無線接続情報に基づいて、コンピュータ端末2からの無線接続を可能にする。無線接続情報は、無線接続を可能にするための情報であり、例えば、SSID(Service Set Identifier)及びパスワードのセットである。
【0017】
上記構成において、スキャナやカメラなどの周辺装置を、コンピュータ端末2(モバイル端末など)により無線ネットワーク経由で接続・利用する際、一般的にその無線接続の設定が必要となる。
その接続方法は一般的に2種類ある。一つは、「ダイレクト接続」である。スキャナ4などの周辺装置自身がアクセスポイント(AP)になり、コンピュータ端末2がそのネットワークに入ることで接続される形態である。もう一つは、「AP接続」である。WiFiルータ6などのアクセスポイントを介して、周辺装置(スキャナ4)とコンピュータ端末2がつながる形態である。
ここで、AP接続を利用するためには、APの無線接続情報(SSIDなど)を機器に書き込む必要があるが、その通信手段が限られることから、一般にダイレクト接続を利用してコンピュータ端末2と周辺装置(スキャナ4など)を暫定的に接続し、AP接続の設定をユーザが設定する形態が多い。
【0018】
この際に、ダイレクト接続の無線接続情報は、第三者に不正に設定が行われないように、個体ごとに工場出荷時に割り振った、ユニークなSSIDとパスワードを用いる(多くの場合、周辺装置自体にシール等で貼られている)ことで、周辺装置の保有者以外からの接続制限を行っていることが多い。
一方で、この方法では、まずダイレクト接続のためにユーザが能動的にOS(Operating System)の無線設定を変更し、AP接続の設定を完了後、再度、無線設定を戻す、など、設定が複雑でわかりづらく、手順を説明しても使用するまでの負担が大きいと感じるユーザが多い。
つまり、AP接続の設定をしたいために、ダイレクト接続の設定を要することが、問題であった。
【0019】
そこで、本実施形態の情報処理システム1では、AP接続の設定の過程におけるダイレクト接続の設定作業を無くす(ユーザから見て存在を感じさせない)ことを目的とし、周辺装置を特定の起動方法で起動し、機種ごとに共通の無線接続情報を使用することで、周辺装置とWiFiルータ6の無線接続を自動化し、ユーザの手間を削減する。より具体的には、図2に例示するように、ユーザが、スキャンボタンを押下しながら、スキャナ4のカバーを開けると(「特定の起動方法」に相当)、スキャナ4が、共通の無線接続情報(SSID及びパスワード)を採用したアクセスポイントとなり、コンピュータ端末2が、予め格納されている共通の無線接続情報によりスキャナ4と自動的にダイレクト接続し、AP接続の設定作業に移行する。
【0020】
図3は、コンピュータ端末2のハードウェア構成を例示する図である。
図3に例示するように、コンピュータ端末2は、CPU200、メモリ202、HDD204、ネットワークインタフェース206(ネットワークIF206)、表示装置208、及び、入力装置210を有し、これらの構成はバス212を介して互いに接続している。
CPU200は、例えば、中央演算装置である。
メモリ202は、例えば、揮発性メモリであり、主記憶装置として機能する。
HDD204は、例えば、ハードディスクドライブ装置であり、不揮発性の記録装置としてコンピュータプログラム(例えば、図5のドライバプログラム3)やその他のデータファイルを格納する。
ネットワークIF206は、有線又は無線で通信するためのインタフェースであり、例えば、スキャナ4やWiFiルータ6への接続を実現する。
表示装置208は、例えば、液晶ディスプレイである。
入力装置210は、例えば、キーボード及びマウスである。
【0021】
図4は、スキャナ4のうち、制御部分のハードウェア構成を中心に例示する図である。
図4に例示するように、スキャナ4は、CPU400、揮発性のメモリ402、不揮発性メモリ404、ネットワークインタフェース406(ネットワークIF406)、及び、タッチパネル408を有し、これらの構成はバス412を介して互いに接続している。
CPU400は、例えば、中央演算装置である。
メモリ402は、例えば、揮発性メモリであり、主記憶装置として機能する。
不揮発性メモリ404は、例えば、不揮発性の記録装置としてコンピュータプログラム(例えば、図6のスキャナプログラム5)やその他のデータファイルを格納する。
ネットワークIF406は、有線又は無線で通信するためのインタフェースである。
タッチパネル408は、例えば、液晶タッチパネルである。
【0022】
図5は、コンピュータ端末2の機能構成を例示する図である。
図5に例示するように、本例のコンピュータ端末2には、ドライバプログラム3がインストールされ、動作すると共に、接続情報データベース370(接続情報DB370)が構成される。ドライバプログラム3は、例えば、CD-ROM等の記録媒体に格納されており、この記録媒体を介して、コンピュータ端末2にインストールされる。
ドライバプログラム3は、スキャナ4を制御するドライバプログラムであり、接続要求部300、設定情報送信部310、設定補助部320、及び、スキャナ制御部330を有する。
なお、ドライバプログラム3の一部又は全部は、ASICなどのハードウェアにより実現されてもよく、また、OS(Operating System)の機能を一部借用して実現されてもよい。
【0023】
ドライバプログラム3において、接続要求部300は、接続情報DB370に格納されている無線接続情報(設定用の無線接続情報)を用いて、スキャナ4に無線接続を要求する。接続情報DB370は、ドライバプログラム3をインストールする際に構成され、設定用の無線接続情報(共通のSSID及びパスワード)は、このドライバプログラム3に関連付けられてコンピュータ端末2内に格納される。本例の接続要求部300は、スキャナ4の無線設定を行う際に、この接続情報DB370に登録されている共通のSSID及びパスワードを用いて、自動的にスキャナ4にアクセスする。
【0024】
設定情報送信部310は、設定用の無線接続情報(第1の無線接続情報)を用いた無線接続を用いて、無線接続に関する設定情報をスキャナ4に送信する。すなわち、設定情報送信部310は、接続要求部300により確立された無線接続を用いて、スキャナ4をWiFiルータ6に接続するための設定情報(具体的には、WiFiルータ6のSSID及びパスワード)をスキャナ4に送信する。
【0025】
設定補助部320は、スキャナ4をWiFiルータ6に接続するための設定作業を支援するための情報をコンピュータ端末2に表示させる。本例の設定補助部320は、
図2に例示するように、「特定の起動方法」をユーザに示すガイダンス画像や、WiFiルータ6のパスワードを入力するための入力画面等をコンピュータ端末2に表示させる。
【0026】
スキャナ制御部330は、スキャナ4のドライバプログラムとして、ユーザの操作に応じてスキャナ4を制御する。例えば、スキャナ制御部330は、ユーザの操作に応じて、スキャナ4の動作方法(カラー/白黒、片面/両面、解像度、スキャンデータの出力先等)を指定する。
【0027】
接続情報DB370は、スキャナ4の機種毎に共通するSSID及びパスワードを格納する。接続情報DB370に予め登録されるSSID及びパスワードは、ドライバプログラム3の種別毎に共通するものであってもよい。
【0028】
図6は、スキャナ4の機能構成を例示する図である。
図6に例示するように、本例のスキャナ4には、スキャナプログラム5がインストールされ、動作すると共に、接続情報データベース570(接続情報DB570)が構成される。本例のスキャナプログラム5は、スキャナ4に予めインストールされているが、これに限定されるものではなく、例えば、CD-ROM等の記録媒体に格納されており、この記録媒体を介して、スキャナ4にインストールされてもよい。
スキャナプログラム5は、無線接続部500、接続情報切替部510、設定情報受信部520、接続設定部530、及び、接続情報戻し部540を有する。
なお、スキャナプログラム5の一部又は全部は、ASICなどのハードウェアにより実現されてもよく、また、OS(Operating System)の機能を一部借用して実現されてもよい。
【0029】
スキャナプログラム5において、無線接続部500は、設定用の無線接続情報(第1の無線接続情報)とは異なる固有の無線接続情報(第2の無線接続情報)による無線接続を確立する。固有の無線接続情報とは、スキャナ4それぞれにユニークな無線接続情報であり、例えば、スキャナ4がアクセスポイントとして機能するときのSSID及びパスワードである。
【0030】
接続情報切替部510は、既定のトリガーが検知された場合に、無線接続部500が使用している固有の無線接続情報を、設定用の無線接続情報に切り替える。例えば、接続情報切替部510は、既定の起動操作が行われたことを条件として、無線接続部500が使用している固有の無線接続情報を、設定用の無線接続情報に切り替える。本例の接続情報切替部510は、既定の起動操作が行われ、設定モードで起動した場合に、無線接続部500が使用している固有のSSID及びパスワードを、機種毎に共通のSSID及びパスワードに切り替える。
【0031】
設定情報受信部520は、設定用の無線接続情報を用いた無線接続を介して、設定情報をコンピュータ端末2から受信する。本例の設定情報受信部520は、設定用の無線接続情報を用いてコンピュータ端末2とダイレクト接続し、この無線接続を介して、WiFiルータ6に接続するための設定情報(SSID及びパスワード)を受信する。
接続設定部530は、設定情報受信部520により受信した設定情報に基づいて、WiFiルータ6に接続するための設定を行う。
【0032】
接続情報戻し部540は、設定情報受信部520により無線接続に関する設定情報が受信されたことを条件として、設定用の無線接続情報から固有の無線接続情報に戻す。本例の接続情報戻し部540は、設定情報受信部520が無線接続に関する設定情報を受信し、その旨をコンピュータ端末2に通知した後で、無線接続部500が使用している無線接続情報(共通するSSID及びパスワード)を、スキャナ4に固有のSSID及びパスワードに戻す。
接続情報DB570は、図7に例示するように、設定モードに使用する共通のSSIDと、通常モードで使用する固有のSSID及びパスワードとを格納する。共通のSSID及びパスワードは、例えば、スキャナの機種毎に共通するSSID及びパスワードである。例えば、固有のSSIDには、スキャナ4のシリアル番号が含まれ、固有のパスワードには、ランダムな文字列が含まれており、スキャナ毎に異なるものとなる。
【0033】
図8は、情報処理システム1における全体動作(S10)を説明するシーケンス図である。
図8に例示するように、ステップ100(S100)において、コンピュータ端末2は、ドライバプログラム3を起動させ、スキャナ4のWiFi設定を開始すると、予め登録されている共通のSSIDに基づいて、アクセスポイントを探索する。
ステップ105(S105)において、スキャナ4は、ユーザが特定の起動方法で電源ボタンが押下されると、起動を開始する。
ステップ110(S110)において、スキャナ4は、設定モードで起動し、共通のSSID及びパスワードを用いて無線アクセスポイントとなる。
【0034】
ステップ115(S115)において、コンピュータ端末2は、共通のSSIDにより、スキャナ4をアクセスポイントとして発見し、共通のパスワードにより、スキャナ4にダイレクト接続する。
ステップ120(S120)において、コンピュータ端末2は、パスワード入力画面(図2)を表示して、ユーザによるパスワード入力を受け付ける。入力されるパスワードは、WiFiルータ6にアクセスするためのものである。
ステップ125(S125)において、コンピュータ端末2は、ユーザにより入力されたパスワードと、WiFiルータ6のSSIDをWiFi設定情報としてスキャナ4に送信する。
【0035】
ステップ130(S130)において、スキャナ4は、コンピュータ端末2から受信したWiFi設定情報を用いて、WiFiルータ6に接続するための設定を行い、WiFiルータ6との無線接続を確立する。
ステップ135(S135)において、スキャナ4は、設定モードから通常モードに戻り、無線アクセスポイントとして機能する際の無線接続情報を固有のSSID及びパスワードに戻す。
【0036】
ステップ140(S140)において、コンピュータ端末2は、WiFiルータ6に接続して、このWiFiルータ6経由で、スキャナ4を探索する。
ステップ145(S145)において、コンピュータ端末2は、スキャナ4を発見すると、WiFiルータ6経由でスキャナ4と接続し、スキャナ4の利用を開始する。
【0037】
図9は、情報処理システム1におけるコンピュータ端末側の処理(S20)をより詳細に説明するフローチャートである。
図9に示すように、ステップ200(S200)において、コンピュータ端末2は、ユーザの操作に応じて、ドライバプログラム3(図5)を起動させると、ドライバプログラム3は、スキャナ4のWiFi設定操作が開始されるまで待機し(S200:No)、WiFi設定操作が開始されると(S200:Yes)、S205の処理に移行する。
【0038】
ステップ205(S205)において、接続要求部300は、予め接続情報DB370に格納されている共通のSSID及びパスワードを読み出し、読み出された共通のSSIDを用いて、アクセスポイント(スキャナ4)を探索する。また、設定補助部320は、特定の起動方法を示す画像をコンピュータ端末2に表示させて、スキャナ4に対する特定の操作をユーザに促す。
ステップ210(S210)において、接続要求部300は、アクセスポイント(スキャナ4)を発見するまで探索を継続し(S210:No)、アクセスポイント(スキャナ4)を発見すると(S210:Yes)、S215の処理に移行する。
【0039】
ステップ215(S215)において、接続要求部300は、発見されたスキャナ4(アクセスポイント)に、接続情報DB370から読み出されたパスワードを送信して、スキャナ4と自動的にダイレクト接続する。
ステップ220(S220)において、設定補助部320は、パスワード入力画面を表示して、ユーザによるパスワードの入力を受け付ける。
【0040】
ステップ225(S225)において、設定情報送信部310は、設定補助部320により受け付けたパスワードと、予め格納されているWiFiルータ6のSSIDとをWiFi設定情報として、接続要求部300によりダイレクト接続したスキャナ4に送信する。
ステップ230(S230)において、接続要求部300は、設定情報送信部310によるWiFi設定情報の送信が成功したことを確認すると、スキャナ4とのダイレクト接続を切断し、WiFiルータ6に接続し、WiFiルータ6のLAN(Local Area Network)内でスキャナ4を探索する。
ステップ235(S235)において、接続要求部300は、WiFiルータ6のLAN内でスキャナ4を発見すると、WiFiルータ6経由でスキャナ4に接続し、スキャナ制御部330は、スキャナ4に対する制御を開始する。
【0041】
図10は、情報処理システム1におけるスキャナ側の処理(S30)をより詳細に説明するフローチャートである。
図10に示すように、ステップ300(S300)において、スキャナ4(スキャナプログラム5)は、特定の起動方法で起動したか否かを判定し、特定の起動方法で起動した場合に、S310の処理に移行し、特定の起動方法ではなかった場合に、S305の処理に移行する。特定の起動方法とは、例えば、図11(A)に例示するように、スキャンボタンを押下した状態でカバーを開けて起動する方法である。
【0042】
ステップ305(S305)において、スキャナプログラム5(図6)は、通常モードで起動し、固有のSSID及びパスワードを用いたアクセスポイントとして機能する。
ステップ310(S310)において、スキャナプログラム5は、設定モードで起動する。
ステップ315(S315)において、接続情報切替部510は、無線接続部500の無線接続情報を、共通のSSID及びパスワードに切り替える。
【0043】
ステップ320(S320)において、無線接続部500は、接続情報切替部510により切り替えられた共通のSSID及びパスワードを用いた無線アクセスポイントとして、無線接続の要求があるまで待機し(S320:No)、無線接続の要求があると、S325の処理に移行する。
ステップ325(S325)において、無線接続部500は、無線接続要求に応じて、共通のパスワードで認証を行い、接続要求した端末(コンピュータ端末2)とのダイレクト接続を確立する。無線接続部500は、ダイレクト接続が確立すると、他の端末からのアクセス要求を拒否し、ダイレクト接続が確立した端末のみと通信する。
【0044】
ステップ330(S330)において、設定情報受信部520は、無線接続部500が確立したダイレクト接続を用いて、WiFi設定情報を受信する。設定情報受信部520は、WiFi設定情報を受信すると、正常に受信できた旨をコンピュータ端末2に返信する。
ステップ335(S335)において、接続設定部530は、設定情報受信部520により受信したWiFi設定情報を用いて、WiFiルータ6に接続するための設定を行い、WiFiルータ6に無線接続する。
【0045】
ステップ340(S340)において、スキャナプログラム5は、WiFiルータ6への無線接続に成功したか否かを判定し、無線接続に成功した場合に、S345の処理に移行し、無線接続に失敗した場合に、S350の処理に移行する。
ステップ345(S345)において、接続情報戻し部540は、無線接続情報を固有のSSID及びパスワードに戻し、通常モードに復帰させる。
ステップ350(S350)において、スキャナプログラム5は、エラー通知を行う。
【0046】
以上説明したように、本実施形態の情報処理システム1によれば、スキャナ4を特定の起動方法で起動させた場合に、スキャナ4を設定モードで起動させ、機種に共通するSSID及びパスワードを用いた無線アクセスポイントとして機能させることにより、コンピュータ端末2とスキャナ4のダイレクト接続を自動化し、このダイレクト接続を用いてスキャナ4のWiFi設定を可能にする。つまり、スキャナ4を起動し、WiFiルータ6のパスワードを入力するだけでスキャナ4とWiFiルータ6の無線接続設定を行うことができ、その結果、スキャナ4の使用までの手間を大幅に軽減し、ユーザ負担を減らすとともに、使用するまでの時間を大幅に短縮することができる。
また、共通のSSID及びパスワードが有効な期間を短期間に制限することにより、簡易なダイレクト接続を実現しつつ、セキュリティのリスクを最小化できる。
【0047】
次に、上記実施形態の変形例を説明する。
図11は、スキャナ4に対する特定の起動方法のバリエーションを例示する図である。
上記実施形態では、図11(A)の起動方法を「特定の起動方法」として説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図11(B)に例示するように、「スキャナの起動後に、スキャンボタンを長押しする操作」を特定の起動方法としてもよい。また、図11(C)に例示するように、スキャナの初回起動操作を「特定の起動方法」としてもよい。また、図11(D)に例示するように、「スキャナの起動後に、スキャンボタンを5回連続して押下する操作」を特定の起動方法としてもよい。また、図11(E)に例示するように、「スキャナの起動前に、スキャンボタンを5秒間長押しする操作」を特定の起動方法としてもよいし、図11(F)に例示するように、「スキャナの起動前に、スキャンボタンを5回連続して押下する操作」を特定の起動方法としてもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、共通のSSID及びパスワードを用いる形態を説明したが、共通のSSIDのみを用いて、パスワード無しとしてもよい。また、一部のみを共通としたSSIDと、共通のパスワードのセットを用いてもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、スキャナ4が1台だけ発見されることを前提として説明したが、複数台のスキャナ4が発見された場合には、コンピュータ端末2上で選択できるように構成してもよい。スキャナの選択方法としては、以下2パターンがある。1つ目のパターンは、複数台のスキャナ4が見つかった際に、見つかった順に、共通のSSID及びパスワードで接続した後、スキャナ4の情報から、スキャナ名を取得し、画面に表示し、「このスキャナのセットアップを行いますか?」のようなメッセージを表示し、ユーザに選択してもらう。
2つ目のパターンは、SSIDを「共通部分+個別部分」(例えば、ABCD-EFGH)で構成にする。つまり、共通部分(ABCD)を共通のSSIDとし、個別部分(EFGH)をスキャナ個々で違う文字列にし、SSIDの共通部分(初め)がABCDかどうかを判断し、見つかったSSIDが一つであれば接続し、複数個ある場合は、個別部分(EFGH)の部分でどのスキャナのことかを判断できるようにユーザに通知し、選択してもらう。
【符号の説明】
【0050】
1…情報処理システム
2…コンピュータ端末
3…ドライバプログラム
4…スキャナ
5…スキャナプログラム
6…WiFiルータ
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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図10
図11