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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023028228
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】階段開口部用手摺枠
(51)【国際特許分類】
   E04G 5/14 20060101AFI20230224BHJP
【FI】
E04G5/14 302A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021133801
(22)【出願日】2021-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】000167233
【氏名又は名称】光洋機械産業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】西川 勇輔
(57)【要約】
【課題】現場作業者が足場上を歩行する際に下方へ墜落することがなく、容易な構成で安全性を高めることのできる階段開口部用手摺枠を提供する。
【解決手段】本発明の階段開口部用手摺枠1は、複数の建枠4が立設される枠組足場に用いられ、いずれかの建枠4の連結水平材7に仮設足場用階段2が掛止され、これによって生じる開口部3の周囲に設置されものであって、布地材15と、複数の枠部材によって枠状に形成される本体部16とを有し、仮設足場用階段2の昇降口とは反対側に設けられた第1枠部材21には、水平方向に延び建枠4の脚柱6に連結される妻側手摺材26が設けられ、妻側手摺材26の下方に、第1枠部材21から水平方向に延び建枠4の脚柱6に連結される妻側中さん40が設けられ、妻側中さん40は、開口部3の周囲に沿って、屈曲部分が湾曲した略L字状に形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の建枠が立設される枠組足場に用いられ、前記いずれかの建枠の連結水平材に仮設足場用階段が掛止され、これによって生じる開口部の近傍に設置される階段開口部用手摺枠であって、
両端につかみ部材を有し、前記連結水平材とそれに対向して配される他の連結水平材との間に掛け渡される布地材と、
前記布地材の上部に設けられ、複数の枠部材によって枠状に形成される本体部とを有し、
前記仮設足場用階段の昇降口とは反対側に設けられた前記枠部材には、
その上部から水平方向に延び前記建枠の脚柱に連結される妻側手摺材が設けられ、
前記妻側手摺材の下方に、前記枠部材から水平方向に延び前記建枠の脚柱に連結される妻側中さんが設けられ、
前記妻側中さんは、
前記開口部の周囲に沿って、屈曲部分が湾曲した略L字状に形成されていることを特徴とする、階段開口部用手摺枠。
【請求項2】
前記妻側中さんは、
略L字状に形成されたL字状部と、
前記L字状部と同方向に進退自在とされたスライド部と、
前記スライド部の軸心方向に回転自在に設けられ、前記建枠の脚柱を把持するためのクランプ部と、
を備えている、請求項1に記載の階段開口部用手摺枠。
【請求項3】
前記L字状部の基端側は、
水平方向に延びた前記枠部材に進退自在にかつその軸心方向に回転自在に支持されており、
前記スライド部と前記クランプとの間には、この手摺枠の梱包時に、前記布地材の前記つかみ部材に掛止するための掛止部が設けられている、請求項2に記載の階段開口部用手摺枠。
【請求項4】
前記妻側手摺材は、
上下方向に延びた前記枠部材にその軸心方向に回転自在に設けられたパイプ状部と、
前記パイプ状部に同方向に進退自在とされた手摺材用スライド部と、
前記手摺材用スライド部の軸心方向に回転自在に設けられ、前記建枠の脚柱を把持するための手摺材用クランプ部と、
を備えている、請求項1ないし3のいずれかに記載の階段開口部用手摺枠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築現場等で組み立てられる仮設足場に用いられ、仮設足場用階段によって生じる開口部の近傍に設置される階段開口部用手摺枠に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マンション等の増改築や改修工事(塗装、タイル貼り、防水補修又はひび補修等)が実施される建築現場においては、建築物の周囲に現場作業者が高所作業を行うための仮設足場が組み立てられる。
【0003】
図8は、従来の仮設足場、特に枠組足場(例えば、特許文献1参照)の構成を示す概略斜視図である。この図によれば、枠組足場では、鳥居型の建枠60が設置され、水平方向に配された、建枠60の連結水平材61同士に床付き布枠62が掛け渡される。床付き布枠62は、水平方向に並設されるとともに高さ方向にも配され、これにより複数の層が構築される。そして、現場作業者が異なる層に移動するために、異なる層の間に仮設足場用階段63(以下「階段63」という)が設置される。
【0004】
枠組足場では、階段63が斜め方向に設置されるため、それが設置された層において開口部64が生じることになる。そのため、現場作業者はその層の足場上を歩行する際、開口部64から下方へ墜落するおそれがある。したがって、開口部64の近傍には、通常、階段開口部用手摺枠65(以下「手摺枠65」という)が設置される。
【0005】
手摺枠65は、両端につかみ金具が設けられた布地材66を有し、布地材66から上下方向に延びた複数の枠部材67と、水平方向に延びる2本の手摺材68とが設けられている。そして、階段63の昇降口とは反対側に設けられた枠部材67には、現場作業者が開口部64の妻側から墜落するのを防止するための妻側手摺枠69が設けられている。
【0006】
この場合、建枠60には、上下方向に延びた脚柱70に沿って一対の補鋼材71が形成されているため、手摺枠65が設置されると、妻側手摺枠69が通路を塞ぐようになる。そのため、枠組足場では、図8及び図9に示すように、妻側手摺枠69を平面視で斜めに取付ける必要がある(なお、図9では、床付き布枠62及び階段63を省略している。)。
【0007】
しかしながら、妻側手摺枠69が斜めに取付けられると、妻側手摺枠69の下方に、平面視で略三角形状の開口72が生じることになる(図9参照)。そのため、現場作業者が足場上を歩行する際、開口72から下方へ墜落するおそれがあり、安全上好ましくないといった問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010-265743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、現場作業者が足場上を歩行する際に下方へ墜落することがなく、容易な構成で安全性を高めることのできる階段開口部用手摺枠を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によって提供される階段開口部用手摺枠は、複数の建枠が立設される枠組足場に用いられ、前記いずれかの建枠の連結水平材に仮設足場用階段が掛止され、これによって生じる開口部の近傍に設置される階段開口部用手摺枠であって、両端につかみ部材を有し、前記連結水平材とそれに対向して配される他の連結水平材との間に掛け渡される布地材と、前記布地材の上部に設けられ、複数の枠部材によって枠状に形成される本体部とを有し、前記仮設足場用階段の昇降口とは反対側に設けられた前記枠部材には、その上部から水平方向に延び前記建枠の脚柱に連結される妻側手摺材が設けられ、前記妻側手摺材の下方に、前記枠部材から水平方向に延び前記建枠の脚柱に連結される妻側中さんが設けられ、前記妻側中さんは、前記開口部の周囲に沿って、屈曲部分が湾曲した略L字状に形成されていることを特徴としている。
【0011】
本発明の階段開口部用手摺枠において、前記妻側中さんは、略L字状に形成されたL字状部と、前記L字状部と同方向に進退自在とされたスライド部と、前記スライド部の軸心方向に回転自在に設けられ、前記建枠の脚柱を把持するためのクランプ部と、を備えているとよい。
【0012】
本発明の階段開口部用手摺枠において、前記L字状部の基端側は、水平方向に延びた前記枠部材に進退自在にかつその軸心方向に回転自在に支持されており、前記スライド部と前記クランプとの間には、この手摺枠の梱包時に、前記布地材の前記つかみ部材に掛止するための掛止部が設けられているとよい。
【0013】
本発明の階段開口部用手摺枠において、前記妻側手摺材は、上下方向に延びた前記枠部材にその軸心方向に回転自在に設けられたパイプ状部と、前記パイプ状部に同方向に進退自在とされた手摺材用スライド部と、前記手摺材用スライド部の軸心方向に回転自在に設けられ、前記建枠の脚柱を把持するための手摺材用クランプ部と、を備えているとよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、仮設足場用階段によって生じる開口部の近傍に設置される階段開口部用手摺枠は、妻側手摺材と妻側中さんとを有し、妻側中さんは開口部の周囲に沿って屈曲部分が湾曲した略L字状に形成されているので、足場上を歩行する現場作業者の足元近傍において突き出る状態になる。そのため、現場作業者は、開口部に脚を踏み入れる可能性を極力なくすことができ、現場作業者の開口部からの墜落を防止することができる。よって、安全性の高い階段開口部用手摺枠を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る階段開口部用手摺枠の概略斜視図である。
図2図1に示す階段開口部用手摺枠の概略正面図である。
図3図1に示す階段開口部用手摺枠の概略平面図である。
図4】妻側手摺材の概略斜視図である。
図5】妻側中さんの概略斜視図である。
図6】階段開口部用手摺枠の梱包状態を示す概略正面図である。
図7】階段開口部用手摺枠の梱包状態を示す概略平面図である。
図8】従来の階段開口部用手摺枠の取付け状態を示す斜視図である。
図9図8に示す階段開口部用手摺枠の取付け状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0017】
図1は、本発明に係る階段開口部用手摺枠を示す概略斜視図であり、仮設足場である枠組足場に設置された状態の一例を示すものである。図2は、図1に示す階段開口部用手摺枠の概略正面図であり、図3は、同じく概略平面図である。なお、図1においては、建枠同士の間に取付けられる手前側の筋交い、図2においては、手前側の床付き布枠、図3においては、建枠及び仮設足場用階段等がそれぞれ省略されている。
【0018】
本実施形態に係る階段開口部用手摺枠1(以下「手摺枠1」という。)は、例えば建築現場等の枠組足場において主に用いられ、仮設足場用階段2(以下「階段2」という。)が設置されることによって生じる開口部3から現場作業者が下方へ墜落することを防止するためのものである。階段2は、現場作業者が枠組足場の上層と下層との間を昇り降りするために用いられる。
【0019】
枠組足場は、図1に示すように、上下左右に所定間隔を隔てて立設された複数の建枠4と、建枠4同士の間に設けられた複数の床付き布枠5等によって概略構成される。現場作業者は、この床付き布枠5上を歩行して枠組足場内を移動することができる。
【0020】
各建枠4は、いわゆる門型に形成され、上下方向に延びた一対の脚柱6と、水平方向に延び脚柱6の上部同士を接続する連結水平材7と、両脚柱6の内側において脚柱6と平行に延び、建枠4を補強するための一対の補剛材8とによって構成される。隣り合う建枠4の脚柱6には、図1に示すように、複数の筋交い9がそれぞれ取付けられている。
【0021】
階段2は、例えば地面と仮設足場の二層目との間、あるいは二、三層目の間といったように連続する層同士の間に配置される。階段2は、複数の踏板部材11と、これらの踏板部材11を左右から支持するための一対の支持部材12とによって概略構成されている。複数の踏板部材11は、その踏面が略水平方向に沿うようにして等間隔に並列配置されている。一対の支持部材12の両端(下端は図略)には、つかみ金具13がそれぞれ連結されている。つかみ金具13は、建枠4の連結水平材7に掛止される。
【0022】
手摺枠1は、上記階段2によって生じる開口部3の近傍に配置され、長尺状の布地材15と、布地材15の上方に設けられ枠状に形成された本体部16とによって概略構成されている。
【0023】
布地材15は、図2に示すように、その両端につかみ金具17がそれぞれ設けられている。各つかみ金具17は、建枠4の連結水平材7にそれぞれ掛止される。なお、各つかみ金具17は、布地材15の本体に対して進退自在とされており、これにより、手摺枠1は、長手方向に平行に並設される床付き布枠5の長さに合わせて配することができる。
【0024】
本体部16は、階段2の昇降口とは反対側に設けられ布地材15から上方向に延びた第1枠部材21と、第1枠部材21の中央付近で連結され水平方向に延びた第2枠部材22と、布地材15から上方向に延び途中で湾曲されて水平方向に延び、第1枠部材21の上部に接続された第3枠部材23と、水平方向に延びる第2枠部材22及び第3枠部材23をそれぞれ連結し上下方向に延びた第4枠部材24とによって枠状に形成されている。
【0025】
第1枠部材21の上部には、手摺枠1の本体部16に対して水平方向に回転可能に支持された妻側手摺材26が設けられている。妻側手摺材26は、手摺枠1の本体部16と建枠4の脚柱6とを連結しつつ、特に妻側において現場作業者の開口部3からの墜落を防止するために設けられるものである。なお、妻側手摺材26は、図1及び図4に示すように、平面視で妻側方向に対して斜めに配される。
【0026】
妻側手摺材26は、図2に示すように、第1枠部材21の上部においてその軸心方向に回転自在に支持された円筒基部27を有している。円筒基部27には、それから水平方向に延びたパイプ状のパイプ状部28が設けられている。パイプ状部28の先端側には、図3及び図4に示すように、パイプ状部28と同方向に進退自在とされた第1スライド部29が嵌合されている。第1スライド部29は、妻側手摺材26が建枠4の脚柱6に取り付けられる際、パイプ状部28の先端下部に設けられた蝶ボルトからなる第1固定金具30によってパイプ状部28に固定される。
【0027】
第1スライド部29の先端部には、その軸心方向に回転自在とされた円筒状の第1回転部31が設けられている。第1回転部31は、その側面に設けられた第1ロックピン32によって第1スライド部29に対して固定可能とされている。第1回転部31の先端には、所定方向(図4では上方向)に延びた棒状の延出部33が設けられ、延出部33の先端には第1クランプ部34が設けられている。第1クランプ部34は、延出部33に回転自在に支持された略円柱状の第1支持部35と、第1支持部35に連結された断面略コの字状の第1把持部36とからなる。第1クランプ部34は、建枠4の脚柱6を把持するためのものである。
【0028】
第1スライド部29は、その先端部が外部に露出しており、その最先端下部には、支持片37が固着されている。支持片37は、現場作業者が第1クランプ部34を建枠4の脚柱6に把持する際、脚柱6に当接され、現場作業者の作業が安定して行い得るように設けられたものである。
【0029】
また、本体部16の第2枠部材22であって第1枠部材21側の先端には、妻側中さん40が設けられている。妻側中さん40は、妻側手摺材26と同様に、手摺枠1の本体部16と建枠4の脚柱6とを連結しつつ、妻側において現場作業者の開口部3からの墜落を防止するためのものである。特に、妻側中さん40は、図1及び図3に示すように、開口部3の周囲に沿って開口部3から床付き布枠5の配置方向に突き出るように全体形状が略L字状に形成されている(詳細は後述)。
【0030】
妻側中さん40は、本体の途中で屈曲しその屈曲部分で湾曲して全体形状が平面視で略L字状に形成されたL字状部41を備えている。L字状部41は、その基端側において第2枠部材22に対して進退自在にかつその軸心方向に回転自在に支持されている。L字状部41は、第2枠部材22の先端上部に設けられた第2ロックピン42によって第2枠部材22に対して固定可能とされている。
【0031】
より詳細には、L字状部41は、妻側中さん40が建枠4の脚柱6に取り付けられる際、基端部分が高さ方向において所定の間隔を隔てて布地材15と平行に配され、折れ曲げ部以降の部分が高さ方向において所定の間隔を隔てて建枠4の連結水平材7と平行に配されるようになる。
【0032】
そのため、妻側中さん40は、妻側手摺材26の下方において妻側手摺材26より開口部3から床付き布枠5の配置方向に突き出るようになり、開口部3の特に略三角形状の開口(従来の開口72に相当)からの現場作業者の墜落を防止することができる。
【0033】
L字状部41の先端には、図3及び図5に示すように、それと同方向に進退自在とされた第2スライド部43が設けられている。第2スライド部43は、L字状部41の先端下部に設けられた蝶ボルトからなる第2固定金具44によってL字状部41に固定されている。
【0034】
第2スライド部43の先端部には、後述する第2クランプ部49を連結するための略円筒状の第2回転部45が設けられている。第2回転部45は、その側面に設けられた第3ロックピン46によって第2スライド部43に対して固定可能とされている。
【0035】
第2回転部45の反対側の側面には、略直方体形状の掛止部47が設けられている。掛止部47は、この手摺枠1の梱包時等に、布地材15のつかみ金具17に掛止され(詳細は後述)、妻側中さん40を固定するためのものである。掛止部47は、その先端部の中央に凹部48が形成されており、この凹部48によりつかみ金具17に掛止することができる。掛止部47は、第2回転部45の側面からその軸心に向かう方向に回転自在とされている。
【0036】
掛止部47には、断面コの字状の第2クランプ部49が設けられている。第2クランプ部49は、掛止部47に回転自在に支持された略円柱状の第2支持部50と、第2支持部50に連結された断面略コの字状の第2把持部51とからなる。第2クランプ部49は、建枠4の脚柱6であって妻側手摺材26の第1クランプ部34が把持された部位より下方において、脚柱6を把持するためのものである。
【0037】
上記の構成において、手摺枠1が開口部3の近傍に取り付けられる際には、布地材15の両端のつかみ金具17が、建枠4の連結水平材7にそれぞれ掛止される。次いで、妻側手摺材26が建枠4の脚柱6に取り付けられる。すなわち、本体部16と建枠4の脚柱6との距離に合わせて第1スライド部29をパイプ状部28に対して進退させ、支持片35が脚柱6に当接された状態で、第1固定金具30によって第1スライド部29がパイプ状部28に固定されることにより、妻側手摺材26の脚柱6に対する位置が決定される。その後、第1クランプ部34が脚柱6に把持されることにより、妻側手摺材26が脚柱6に連結される。
【0038】
その後、妻側中さん40が建枠4の脚柱6に取り付けられる。すなわち、本体部16の第2枠部材22と建枠4の脚柱6との位置関係に合わせてL字状部41を第2枠部材22に対して進退させ、第2クランプ部49が脚柱6に当接した状態で第2ロックピン42によってL字状部41が第2枠部材22に固定されることにより、妻側中さん40の脚柱6に対する位置が決定される。その後、第2クランプ部49が脚柱6に把持されることにより、妻側中さん40が脚柱6に連結される。なお、妻側中さん40は、妻側手摺材26より先に建枠4の脚柱6に取り付けられてもよい。
【0039】
このように、手摺枠1が開口部3の近傍に取り付けられると、略L字状の妻側中さん40が平面視で開口部3の周囲に沿うように開口部3から床付き布枠5の配置方向に突き出るようになる。そのため、従来の構成において生じていた平面視で略三角形状の開口72(図9参照)は、平面視で塞がれる格好になり(図3参照)、この場合、妻側中さん40は、現場作業者の足元近傍において突き出る状態であるので、現場作業者は、開口部3に脚を踏み入れる可能性を極力なくすことができる。そのため、現場作業者の開口部3からの墜落を防止することができ、安全性の高い手摺枠1を提供することができる。
【0040】
次に、本手摺枠1を梱包したり運搬したりする際の態様について説明する。
【0041】
このような手摺枠は、梱包や運搬をする場合、よりコンパクトな形状にすることが望ましく、そのため、本手摺枠1では、後述するように、妻側手摺材26を本体部16側に回転させたり妻側中さん40を布地材15側に回転させたりして平面視で略直線状になるようにしている。
【0042】
すなわち、妻側手摺材26では、第2ロックピン32を解除状態にして、図6に示すように、延出部33が下方を向くように第2回転部31を回転させる(矢印A参照)。この場合、第1クランプ部34は、延出部33に合わせて上方から下方に変位する。
【0043】
次いで、第1固定金具30を緩めて、第1スライド部29を進出または退入させるとともに(矢印B参照)、円筒基部27を第1枠部材21周りに約180°回転させる(矢印&#8557;参照)。そして、第1スライド部29の支持片37を第4枠部材24に当接させることにより妻側手摺材26の全体長さを調節する。その後、第1クランプ部34を第4枠部材24に把持させる。このようにすれば、妻側手摺材26は、図7に示すように、手摺枠1の本体部16の内側に隠れるようになる。
【0044】
一方、妻側中さん40では、第2ロックピン42を解除状態にして第2枠部材22に対してL字状部41を約90°回転させるとともに(矢印D参照)、L字状部41を第2枠部材22からある程度進出させる(矢印E参照)。
【0045】
次いで、第2固定金具44を緩めて、第2スライド部43をL字状部41側に退入させるとともに(矢印F参照)、掛止部47の凹部48が下側を向くように、掛止部47及び第2クランプ部49を約90°回転させる。そして、掛止部47の凹部48を布地材15のつかみ金具17に嵌合するように、L字状部41を本体部16側に変位させる(矢印G参照)。このようにすれば、妻側中さん40は、その延出方向が水平から下方に向くようになり、図7に示すように、手摺枠1の本体部16に対して直線状にすることができる。
【0046】
上記のように、手摺枠1を梱包したり搬送したりするときには、図6に示すように、妻側手摺枠26を本体部16側に向けたり妻側中さん40を下方に向くようにすれば、図7に示すように、手摺枠1全体を平面視で略直線状にすることができる。したがって、複数の手摺枠1を梱包、搬送する場合、複数の手摺枠1を小スペースで積み重ねることができ、梱包時のスペースの小型化を図ることができる。
【0047】
なお、本発明の範囲は上述した実施の形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。例えば上記実施形態では、妻側手摺材26は直線状に形成されていたが、妻側中さん40と同様に略L字状に形成されていてもよい。また、上記妻側手摺材、妻側中さん、本体部及び布地材等は、上記した実施形態の形状、大きさ、数量及び位置関係等に限るものではない。
【符号の説明】
【0048】
1 階段開口部用手摺枠
2 仮設足場用階段
3 開口部
4 建枠
5 床付き布枠
6 脚柱
7 連結水平材
15 布地材
16 本体部(階段開口部用手摺枠の)
21 第1枠部材
22 第2枠部材
23 第3枠部材
26 妻側手摺材
28 パイプ状部
29 第1スライド部
36 第1クランプ部
40 妻側中さん
41 L字状部
43 第2スライド部
49 第2クランプ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9