(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023028238
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】障害物表示装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20230224BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
G08G1/16 C
H04N7/18 U
H04N7/18 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021133812
(22)【出願日】2021-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩口 拓真
【テーマコード(参考)】
5C054
5H181
【Fターム(参考)】
5C054CA04
5C054CC02
5C054EA01
5C054EA05
5C054FC12
5C054FC14
5C054FD03
5C054FD07
5C054FE05
5C054FE06
5C054FE12
5C054FE25
5C054FE26
5C054FE28
5C054FF06
5C054HA30
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF33
5H181FF35
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
5H181MB01
(57)【要約】
【課題】自車両のどの部位が、障害物のどの部位と衝突するのかが表示画像を目視するだけで分かりやすい障害物表示装置を提供すること。
【解決手段】障害物表示装置Aは、自車両諸元記憶部31と、タイヤ角取得部32と、障害物認識部33と、衝突予測部34と、表示制御部35と、を備える。衝突予測部34は、自車両諸元記憶部31に記憶されている自車両OVの大きさと、障害物認識部33で認識した障害物OBの位置及び大きさと、タイヤ角取得部32で取得したタイヤ角に関する情報と、を用いて、自車両OVと障害物OBとが衝突するかどうかを予測する。表示制御部35は、衝突予測部34によって自車両OVと障害物OBとが衝突すると予測された場合、自車両OVの衝突が予測された部位と、障害物OBの衝突が予測された部位と、が関連性を備える障害物回避支援画像SIをディスプレイ装置4に表示する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の情報を記憶する自車両諸元記憶部と、
前記自車両のタイヤ角に関する情報を取得するタイヤ角取得部と、
前記自車両の周囲に存在する障害物の位置及び大きさを認識する障害物認識部と、
前記自車両諸元記憶部に記憶されている自車両の大きさと、前記障害物認識部で認識した障害物の位置及び大きさと、前記タイヤ角取得部で取得したタイヤ角に関する情報と、を用いて、前記自車両と前記障害物とが衝突するかどうかを予測する衝突予測部と、
前記衝突予測部によって前記自車両と前記障害物とが衝突すると予測された場合、前記自車両の衝突が予測された部位と、前記障害物の衝突が予測された部位と、が関連性を備える障害物回避支援画像を表示部に表示する表示制御部と、
を備えることを特徴とする障害物表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載された障害物表示装置において、
前記表示制御部は、前記障害物回避支援画像として、前記自車両の衝突が予測された部位が、そのときのタイヤ角により前記障害物に向かって移動すると予測したときの衝突予測移動軌跡を描画する
ことを特徴とする障害物表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載された障害物表示装置において、
前記表示制御部は、前記障害物回避支援画像を、前記自車両と前記障害物の三次元位置関係をあらわす3Dビュー画像に、前記衝突予測移動軌跡を描画した画像とし、
前記衝突予測移動軌跡は、前記自車両の衝突が予測された車体突出部を起点とし、前記自車両の進行方向及びタイヤ角に合わせて描画される移動軌跡部と、前記障害物への衝突予測位置から衝突予測部位の表面形状に沿って描画される衝突軌跡部と、を組み合わせて描画する
ことを特徴とする障害物表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載された障害物表示装置において、
前記表示制御部は、前記障害物回避支援画像を、前記衝突予測移動軌跡を描画した前記3Dビュー画像に、前記自車両が前記障害物への衝突を回避できない限界領域を示す回避不可能領域を描画により加えた画像とし、
前記回避不可能領域を、前記自車両の走行路面のうち前記障害物の衝突予測部位に接する路面表示部分に描画する
ことを特徴とする障害物表示装置。
【請求項5】
請求項2から請求項4までの何れか一項に記載された障害物表示装置において、
前記表示制御部は、前記自車両と前記障害物とが衝突すると予測されない場合、前記自車両と前記障害物の三次元位置関係をあらわす3Dビュー画像に、非衝突予測移動軌跡を描画した画像を表示し、
前記非衝突予測移動軌跡は、前記自車両の車体突出部を起点とし、前記自車両の進行方向及びタイヤ角に合わせて描画し、
前記非衝突予測移動軌跡の色を、前記衝突予測移動軌跡とは異ならせた色に設定する
ことを特徴とする障害物表示装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までの何れか一項に記載された障害物表示装置において、
前記表示部は、表示画面への表示画像を三次元表示画像とし、前記表示画面へのタッチ操作により前記三次元表示画像の俯瞰視点を移動させる俯瞰視点移動機能を有する
ことを特徴とする障害物表示装置。
【請求項7】
請求項2に記載された障害物表示装置において、
前記表示制御部は、前記障害物回避支援画像を、前記自車両と前記障害物の三次元位置関係をあらわす3Dビュー画像に、前記衝突予測移動軌跡と、衝突回避支援軌跡と、を描画した画像とし、
前記衝突回避支援軌跡は、前記自車両の衝突が予測された車体突出部を起点とし、障害物との衝突回避が可能なタイヤ角にしたときの予想軌跡を描画する
ことを特徴とする障害物表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、障害物表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、障害物と車両のどの部位が互いに衝突する危険があるのかを運転者が的確に認識できるようにする駐車支援装置が知られている(特許文献1を参照)。駐車支援装置は、車両の周囲の障害物を三次元座標により示す障害物情報と、車両の形状を三次元座標により示す車両形状情報を取得する。取得した障害物情報と車両形状情報とに基づいて、車両と障害物とで衝突する危険の有る部位を判定する。そして、駐車支援装置は、衝突する危険が有ると判定された部位を反映した内容の駐車支援画像を表示部に表示させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来装置にあっては、自車両の周囲に障害物がある場合、障害物の接触部分と、自車両の接触部分とを予測し、それぞれの予測接触部分をあらわす画像を別々に表示するだけである。このため、自車両のどの部位が、障害物のどの部位と衝突するのかが表示画像を目視しても直感的に分かりにくい。
【0005】
本開示は、上記課題に着目してなされたもので、自車両のどの部位が、障害物のどの部位と衝突するのかが表示画像を目視するだけで分かりやすい障害物表示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本開示の障害物表示装置は、自車両諸元記憶部と、タイヤ角取得部と、障害物認識部と、衝突予測部と、表示制御部と、を備える。自車両諸元記憶部は、自車両の情報を記憶する。タイヤ角取得部は、自車両のタイヤ角に関する情報を取得する。障害物認識部は、自車両の周囲に存在する障害物の位置及び大きさを認識する。衝突予測部は、自車両諸元記憶部に記憶されている自車両の大きさと、障害物認識部で認識した障害物の位置及び大きさと、タイヤ角取得部で取得したタイヤ角に関する情報と、を用いて、自車両と障害物とが衝突するかどうかを予測する。表示制御部は、衝突予測部によって自車両と障害物とが衝突すると予測された場合、自車両の衝突が予測された部位と、障害物の衝突が予測された部位と、が関連性を備える障害物回避支援画像を表示部に表示する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の障害物表示装置では、自車両と障害物とが衝突すると予測された場合、自車両と障害物の衝突が予測された2つの部位が関連性を備える障害物回避支援画像が表示部に表示される。この結果、自車両のどの部位が、障害物のどの部位と衝突するのかが表示画像を目視するだけで分かりやすい障害物表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施例1の障害物表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】実施例1の障害物表示装置における表示支援コントローラで実行される表示処理作用を示すフローチャートである。
【
図3】実施例1の障害物表示装置においてディスプレイ装置の表示画面に表示される障害物回避支援画像の一例を示す全体表示態様説明図である。
【
図4】
図3に示す障害物回避支援画像のうち衝突予測移動軌跡と衝突予測範囲と回避不可領域の一例を示す拡大表示態様説明図である。
【
図5】実施例1の障害物表示装置においてディスプレイ装置の表示画面に表示される非衝突予測移動軌跡の一例を示す表示態様説明図である。
【
図6】実施例1の障害物表示装置において3Dビュー画像の俯瞰視点を移動する前の障害物回避支援画像の一例を示す表示態様説明図である。
【
図7】実施例1の障害物表示装置において3Dビュー画像の俯瞰視点を移動した後の障害物回避支援画像の一例を示す表示態様説明図である。
【
図8】実施例2の障害物表示装置においてディスプレイ装置の表示画面に表示される障害物回避支援画像の他の例を示す表示態様説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示による障害物表示装置を実施するための形態を、図面に示す実施例1及び実施例2に基づいて説明する。
【実施例0010】
実施例1の障害物表示装置Aは、乗用車などに適用され、走行中の自車両が障害物に衝突しそうなシーンにおいて、自車両が障害物へ衝突するのを事前に回避するドライバー操作を促すための表示支援を行う装置である。なお、「衝突」は、自車両が障害物へ突き当たるという意味以外に自車両と障害物との接触や干渉の意味を含む文言として用いる。
【0011】
まず、
図1を参照し、自車両と障害物との衝突を事前に回避する表示支援を行う障害物表示装置Aの構成を説明する。以下、自車両を「自車両OV」といい、障害物を「障害物OB」という。
【0012】
障害物表示装置Aは、進行情報取得部1と、周囲状況取得部2と、表示支援コントローラ3と、ディスプレイ装置4(表示部)と、スピーカ5と、を備える。
【0013】
進行情報取得部1は、自車両OVの進行に関する情報(自車両OVの進行方向や進行速度など)を取得する。進行情報取得部1は、ナビゲーション装置11と、レンジ位置センサ12と、ハンドル角センサ13と、車速センサ14と、を有する。
【0014】
ナビゲーション装置11は、目的地を設定すると、GPSなどで自車両OVの現在位置を自動的に割り出し、装置に記録されている地図と照らし合わせて、画面上の地図への経路表示や音声などにより目的地までの道案内を行う装置である。なお、「GPS」とは、「Global Positioning System」の略称である。ナビゲーション装置11には、地形情報を含む3D地図データや施設情報データが記憶されているデータベースを有する。よって、ナビゲーション装置11からは、自車両位置情報、経路情報、3D地図情報、地形・施設情報などを取得できる。
【0015】
レンジ位置センサ12は、車載の自動変速機において選択されているレンジ位置を検出するセンサである。レンジ位置センサ12からは、自車両OVの進行方向情報を取得できる。即ち、Dレンジ位置などの前進方向レンジ位置が検出されると自車両OVの進行方向は前進方向であり、Rレンジ位置などの後退方向レンジ位置が検出されると自車両OVの進行方向は後退方向である。
【0016】
ハンドル角センサ13は、ハンドルへのドライバー操舵によるハンドル角を検出する。ハンドル角センサ13からはハンドル角情報を取得できる。ハンドル角情報が取得されると、ステアリングギヤ比などを用いる角度変換演算により、タイヤ角情報を求めることができる。
【0017】
車速センサ14は、自車両OVの車速を検出する。車速センサ14からは、自車両OVの車速情報を取得できる。車速情報が取得され、自車両OVと障害物OBとの距離情報が取得されると、車速と距離を用いる演算により、自車両OVが障害物OBに到達するまでの所要時間情報を求めることができる。
【0018】
周囲状況取得部2は、自車両OVの周囲の状況(走行環境)に関する情報を取得する。周囲状況取得部2は、カメラ21と、レーダー22と、ライダー23と、を有する。
【0019】
カメラ21は、画像データを取得するための撮像機器である。このカメラ21は、例えば、前方認識カメラ、後方認識カメラ、右方認識カメラ、左方認識カメラなどを組み合わせることにより構成され、画像処理用プロセッサなどを用いて画像解析をリアルタイムで行う。これにより、カメラ21は、自車両OVが走行する道路上の物体(自車走行路上物体)、車線、自車両OVが走行する道路外の物体(自車走行路外物体)、自車両OVが走行する道路(自車走行路)、道路標識などを検知できる。自車走行路外物体としては、例えば、電柱などの道路構造物、先行車、後続車、対向車、周囲車両、歩行者、自転車、二輪車などがある。自車走行路としては、例えば、道路白線、道路境界、停止線、横断歩道などがある。道路標識としては、制限速度などがある。なお、単眼カメラでは一般的に対象物までの距離の計測はできないが、ステレオカメラを用いて異なる視点から同時に撮影を行うことによって、対象物までの距離を計測することも可能となる。
【0020】
レーダー22は、電波を用いたレーダーと、超音波を用いたソナーと、を含む総称であり、反射信号を利用して距離データを取得する装置である。ここで、レーダー22としては、例えば、レーザーレーダー、ミリ波レーダー、超音波レーダー、レーザーレンジファインダーなどを用いることができる。レーダー22は、自車走行路上物体、自車走行路外物体(道路構造物、先行車、後続車、対向車、周囲車両、歩行者、自転車、二輪車)などの位置を検知できると共に、各物体までの距離を検知できる。
【0021】
ライダー23は、レーザー光を走査しながら対象物に照射してその散乱や反射光を観測することで、周囲に存在する対象物の位置(距離、方向)を測定すると共に対象物の形状を検出する装置である。ライダー23の特徴は、電波に比べて光束密度が高く、短い波長のレーザー光を利用することで高い精度で位置や形状などを検出できる点にある。ライダー23から得られる点群データの情報は「点群情報」と呼ばれる。点群情報とは、ビューアで見るとカメラ画像のようにも見える点の集まりであるが、一つ一つの点は、ライダー23での測位によって得られた三次元座標データ(x,y,z)によりあらわされる。よって、ライダー23から取得した点群情報は、視点を変えた点群情報に変換することができる。また、ライダー23から取得した点群情報は、点群情報の座標情報から距離別や高さ別の色分けなども可能であるし、反射率別に点群を色分けすることも可能である。
【0022】
表示支援コントローラ3は、進行情報取得部1や周囲状況取得部2などから必要情報を取得し、取得した情報に基づいて事前に障害物を回避する表示支援制御を行う。表示支援コントローラ3は、自車両諸元記憶部31と、タイヤ角取得部32と、障害物認識部33と、衝突予測部34と、表示制御部35と、車両3Dデータ保存部36と、音声制御部37と、を有する。
【0023】
自車両諸元記憶部31は、自車両OVの情報を記憶する。ここで、自車両OVの情報とは、障害物OBと衝突する可能性が高い自車両OVの車体から突出した部位(車体突出部)の位置や大きさに関する情報をいう。具体的には、ドアミラーの位置、ドアミラーを展開した場合の自車両OVの横幅寸法、バンパーの位置、バンパーの横幅寸法、ドアミラーやバンパーを含めた車両外形形状や車両外形寸法などをいう。
【0024】
タイヤ角取得部32は、進行情報取得部1のハンドル角センサ13からのハンドル角に基づいて、自車両OVの予測軌跡を得るための情報である自車両OVのタイヤ角に関する情報を取得する。ここで、ハンドル角情報がタイヤ角取得部32に入力されると、ハンドル角とステアリングギヤ比などを用いる角度変換演算により、タイヤ角に関する情報を取得する。なお、タイヤ角取得部32としては、例えば、進行情報取得部1にタイヤ角センサを有する場合、角度変換演算を行うことなく、自車両OVのタイヤ角に関する情報を直接的に取得するようにしても良い。
【0025】
障害物認識部33は、周囲状況取得部2からの入力情報に基づいて自車両OVの周囲に存在する障害物OBの位置及び大きさを認識する。ここで、ライダー23からの点群情報を取得する障害物認識部33では、自車両OVと障害物OBまでの距離と方向、及び、障害物OBの形状を認識する。点群情報はレーダー22からの点群情報であってもよい。
【0026】
衝突予測部34は、自車両OVの大きさと、障害物OBの位置及び大きさと、タイヤ角に関する情報と、を用いて、自車両OVと障害物OBとが衝突するかどうかを予測する。ここで、「自車両OVの大きさ」は自車両諸元記憶部31に記憶されている。「障害物OBの位置及び大きさ」は障害物認識部33で認識される。「タイヤ角に関する情報」はタイヤ角取得部32で取得される。
【0027】
表示制御部35は、衝突予測部34によって自車両OVと障害物OBとが衝突すると予測された場合、自車両OVの衝突が予測された部位と、障害物OBの衝突が予測された部位と、が関連性を備える障害物回避支援画像SIをディスプレイ装置4に表示する。
【0028】
障害物回避支援画像SIは、ディスプレイ装置4の表示画面41に表示される画像に、自車両OVの衝突が予測された部位が、そのときのタイヤ角により障害物OBに向かって移動すると予測したときの衝突予測移動軌跡MTを含む。即ち、自車両OVの衝突が予測された部位と、障害物OBの衝突が予測された部位と、を繋ぐ衝突予測移動軌跡MTを描画することにより、2つの部位が関連性を備える画像としている。
【0029】
ディスプレイ装置4に表示される障害物回避支援画像SIの全体画像は、自車両OVと障害物OBの三次元位置関係をあらわす3Dビュー画像に、衝突予測移動軌跡MTを描画した画像としている(
図3を参照)。
【0030】
ここで、「3Dビュー画像」とは、障害物OBを有する3D表示の走行環境画像(3D地図情報などにより取得)に、走行環境画像と同じ俯瞰視点からの3D表示による自車両画像を組み合わせた画像をいう。
【0031】
衝突予測移動軌跡MTは、自車両OVの衝突が予測された車体突出部を起点とし、起点部T0と、移動軌跡部T1と、衝突軌跡部T2と、を組み合わせて描画される。起点部T0は、車体突出部の障害物OBへの衝突予測面に沿って描画される。移動軌跡部T1は、自車両OVの進行方向及びタイヤ角に合わせて描画される。衝突軌跡部T2は、障害物OBへの衝突予測位置から衝突予測部位の表面形状に沿って描画される。
【0032】
障害物回避支援画像SIは、衝突予測移動軌跡MTを描画した3Dビュー画像に、自車両OVが障害物OBへの衝突を回避できない限界領域を示す回避不可能領域HAを描画により加えた画像表示とされる。ここで、回避不可能領域HAは、自車両OVの走行路面のうち障害物OBの衝突が予測された衝突予測部位に接する路面表示部分に、衝突予測部位の表面形状から所定距離だけ離れて沿う形状(所定のマージンを加えた領域)により描画し、明滅により表示する。
【0033】
表示制御部35は、自車両OVと障害物OBとが衝突すると予測されない場合、自車両OVと障害物OBの三次元位置関係をあらわす3Dビュー画像に、非衝突予測移動軌跡NTを描画した画像を表示している(
図5を参照)。
【0034】
非衝突予測移動軌跡NTは、自車両OVの車体突出部を起点とし、自車両OVの進行方向及びタイヤ角に合わせて描画する。そして、非衝突予測移動軌跡NTの色を、自車両OVと障害物OBとが衝突すると予測された場合の衝突予測移動軌跡MTとは異ならせた色に設定している。例えば、衝突予測移動軌跡MTの色を“赤色”に設定し、非衝突予測移動軌跡NTの色を“緑色”に設定する。
【0035】
車両3Dデータ保存部36は、視点変換に対応できる3D表示による自車両画像(3D車両外観画像、3D車両内部画像など)の情報を保存しておく。即ち、表示制御部35において、自車両OVと障害物OBの三次元位置関係をあらわす3Dビュー画像を生成する場合、3D表示の走行環境画像に組み合わせる3D表示による自車両画像の情報を提供する。
【0036】
音声制御部37は、衝突予測部34が自車両OVと障害物OBとが衝突すると予測した場合、所定の音声信号や警報信号をスピーカ5へ出力し、スピーカ5からそのときの状況や状況変化に応じた音を発する。なお、音声制御部37を表示制御部35と併用することで、自車両OVと障害物OBとの衝突が予測された場合、ドライバーの視覚と聴覚に訴えて衝突回避のドライバー操作を促すことができる。
【0037】
ディスプレイ装置4は、自車両OVのドライバーから視認し易い位置に配置され、表示制御部35からの画像表示指令に応じて表示画面41に障害物回避支援画像SIなどを表示する。ディスプレイ装置4は、表示画面41への表示画像を三次元表示画像とし、表示画面41へのタッチ操作により三次元表示画像の俯瞰視点を移動させる俯瞰視点移動機能を有する。ここで、表示画面41へのタッチ操作には、表示画面41に指を接触させて動かすスライド操作、接触させた2本の指を閉じるように動かすとピンチイン操作、接触させた2本の指を開くように動かすピンチアウト操作、などを含む。
【0038】
次に、
図2に示すフローチャートを参照し、表示支援コントローラ3で実行される自車両OVと障害物OBとの衝突を事前に回避する表示支援処理作用を説明する。
【0039】
ステップS1では、スタート、或いは、ステップS8又はステップS9に続き、ナビゲーション装置11のデータベースから地形・施設情報を取得し、ステップS2へ進む。ここで、必要情報に対して車載データベースから取得される情報が不足する場合、表示支援コントローラ3は、インフラ施設との双方向通信、自車両OVの周囲を走行している他車両との車車間通信、などにより情報を入手し、不足情報を補間しても良い。
【0040】
ステップS2では、ライダー23またはレーダー22から自車両OVの周辺環境の点群情報を取得し、ステップS3へ進む。ここで、「点群情報」とは、一つ一つの点がライダー23またはレーダー22での測位によって得られた三次元座標データ(x,y,z)を持つ三次元点群情報である。
【0041】
ステップS3では、カメラ21から周辺環境のカメラ映像を取得し、ステップS4へ進む。ここで、「カメラ映像」とは、自車両OVの前方、左側方、右側方、後方の4方向カメラ映像などをいう。
【0042】
ステップS4では、ハンドル角センサ13からのハンドル角に基づいて、現在のタイヤ角を取得し、ステップS5へ進む。ここで、「現在のタイヤ角」は、例えば、ハンドル角の検出値を、ステアリングギヤ比を用いてタイヤ角に変換する演算によって取得する。
【0043】
ステップS5では、自車両OVが現在のタイヤ角で進行した際、車体に接触する可能性のある障害物OBと、車体の最も突出している車体突出部と、の距離を算出し、ステップS6へ進む。ここで、障害物OBと車体突出部との距離は、レーダー22又はライダー23により検出された車両前部から障害物OBまでの測定距離と、自車両諸元記憶部31に記憶されている車体突出部の位置情報と、を用いて算出される。なお、算出された障害物OBと車体突出部との距離は、衝突が予測される場合、ディスプレイ装置4の表示画面41の距離表示部DDに表示するようにしている(
図3を参照)。
【0044】
ステップS6では、車体突出部を起点とし、自車両OVの進行方向及びタイヤ角に応じた軌跡を描く車体突出部の軌跡線を描画し、ステップS7へ進む。ここで、「車体突出部の軌跡線」は、衝突が予測される場合、衝突予測移動軌跡MTの移動軌跡部T1として描画され、衝突が予測されない場合、非衝突予測移動軌跡NTとして描画される。また、「車体突出部の軌跡線」は、カメラ映像の上から重畳させる画像ではなく、三次元座標(x,y,z)を持って描画される軌跡線である。よって、車体突出部の軌跡線は、自車両OVと障害物OBの3Dビュー画像の視点が変更されても、視点変更に追従して2つ部位を繋ぐことができる。
【0045】
ステップS7では、ステップS6で描画した車体突出部の軌跡線の線上に障害物OBが存在するとき、障害物OBの点群座標と軌跡線座標との重複を算出し、ステップS8へ進む。即ち、障害物OBの点群座標と軌跡線座標を照合したとき、軌跡線座標点の一部が、障害物OBの点群座標点に含まれるかどうかを算出する。
【0046】
ステップS8では、障害物OBの点群座標と軌跡線座標とに重複があるか否か、即ち、自車両OVがこのまま進行すると車体突出部が障害物OBに衝突するか否かを判断する。障害物OBの点群座標と軌跡線座標とに重複あると判断された場合、ステップS9へ進む。一方、障害物OBの点群座標と軌跡線座標とに重複がないと判断された場合、ステップS1へ戻る。
【0047】
ステップS9では、ステップS8での重複あるとの判断に続き、軌跡線と障害物OBとの接触開始点から接触終了点までを結ぶ線を障害物OBの点群上に描画し、ステップS1へ戻る。ここで、障害物OBの点群上に描画される接触線は、衝突が予測される場合における衝突予測移動軌跡MTの衝突軌跡部T2として描画される(
図3を参照)。
【0048】
なお、ステップS9では、3Dビュー画像に衝突予測移動軌跡MTを描画した画像を障害物回避支援画像SIとし、ディスプレイ装置4に表示する指令を出力する。衝突予測移動軌跡MTのうち移動軌跡部T1は、高輝度表示の軌跡線部から自車両OVの内側に向かってグラデーションにより徐々に輝度を低下させる軌跡表示とされる。衝突予測移動軌跡MTのうち衝突軌跡部T2は、衝突軌跡部T2の衝突予測範囲VAにおいて、点群データの一部を明滅させる表示とされる。さらに、障害物回避支援画像SIは、明滅する回避不可能領域HAを描画により加えた画像とされる(
図4を参照)。
【0049】
次に、
図2~
図5を参照し、自車両OVによる走行中に道路脇などに存在する障害物OBとの衝突を事前に回避する表示支援作用について説明する。以下、自車両OVの衝突が予測された部位(車体突出部)を左側のドアミラー100とし、障害物OBの衝突が予測された部位を電柱200のドアミラー100の高さ領域とする一例により説明する。
【0050】
現在主流となっている障害物を回避するガイドライン(表示支援画像)は、実際にカメラの死角になる自車両や障害物の箇所の形状を認識できないため、カメラ映像の上からガイドラインを重畳して表示する必要がある。しかし、カメラ映像の上からガイドラインを重畳すると、回避したい対象である障害物のうち衝突が予測される障害物部位にガイドラインが重なって隠してしまう。したがって、ガイドラインが表示された画面を見ても、ドライバーは、自車両と障害物との距離感がよくわからず、大きくマージンを取って障害物を回避する運転を行うことになる。この結果、自車両の回避進路が必要以上に大きく膨らむ。
【0051】
例えば、ドライバーが車両感覚になじみのないレンタカーや他人所有の車両などに乗車し、対向車などを除けるのに不安があるような細い道を走行しているとする。この場合、走行中、細い道の道路脇に電柱が存在すると、ドライバーは、ドアミラーが電柱に接触しないように大きくマージンを取って障害物である電柱を回避することになる。この結果、自車両の回避進路が必要以上に大きく膨らんでしまう。
【0052】
これに対し、実施例1では、自車両OVのドアミラー100と電柱200とが衝突すると予測された場合、
図2のフローチャートにおいて、S1→S2→S3→S4→S5→S6→S7→S8→S9へと進む流れが繰り返される。このため、表示制御部35からディスプレイ装置4への表示指令出力により、自車両OVのドアミラー100と、電柱200の衝突が予測された部位と、が関連性を備える障害物回避支援画像SIが表示画面41に表示される。
【0053】
このとき、障害物回避支援画像SIとしては、
図3に示すように、自車両OVの衝突が予測されたドアミラー100が、そのときのタイヤ角により電柱200に向かって移動すると予測したときの衝突予測移動軌跡MTを描画している。このため、ドアミラー100と電柱200の衝突予測部位との2つの部位が衝突予測移動軌跡MTにより繋がれ、障害物回避支援画像SIが表示される表示画面41を見ると、繋がれた2つの部位が関連性を備える部位であることが瞬時に把握される。
【0054】
したがって、ドライバーは、ディスプレイ装置4の表示画面41を見るだけで、このまま進行するとドアミラー100が電柱200に衝突することを容易に認識することができる。その結果、ドライバーは、何もしないで進行するとドアミラー100が電柱200に衝突するとの認識に基づいて、電柱200への衝突を回避するステアリング操作などへ移行することができる。
【0055】
実施例1において、衝突予測移動軌跡MTは、
図3に示すように、自車両OVのドアミラー100を起点とし、移動軌跡部T1と、衝突軌跡部T2と、を組み合わせて描画される。特に、衝突軌跡部T2は、電柱200への衝突開始予測部位から衝突終了予測部位までの間は半円弧状の衝突軌跡部T2が描画されることになる。
【0056】
したがって、ドライバーが衝突予測移動軌跡MTを見るだけで、衝突軌跡部T2により電柱200の形状を把握し易くなる。また、移動軌跡部T1と衝突軌跡部T2の組み合わせ描画により、ドアミラー100から電柱200までの距離感が認識し易くなる。その結果、ドライバーは、電柱200の形状認識や電柱200までの距離感の認識に基づく適切なハンドル操作ができ、ハンドル切り角が必要以上に大きくならず、自車両OVの進路が大きく膨らむことがない。
【0057】
実施例1において、衝突予測移動軌跡MTのドアミラー100から電柱200までの移動軌跡部T1は、
図3及び
図4に示すように、高輝度表示の軌跡線部から自車両OVの内側に向かってグラデーションにより徐々に輝度を低下させた軌跡表示とされる。さらに、衝突予測移動軌跡MTの衝突軌跡部T2は、
図4に示すように、高輝度表示とされる。そして、衝突軌跡部T2を中心とする上下方向の所定範囲による衝突予測範囲VAにおいて、ライダー23からの障害物OBをあらわす点群データを重ね合わせ、点群データの一部を明滅させる表示とされる。
【0058】
したがって、移動軌跡部T1のグラデーション表示により、ドライバーは、このまま進行するとドアミラー100が電柱200に接触することの視認性をより高めることができる。さらに、衝突軌跡部T2の衝突予測範囲VAにおける点群データの一部明滅表示により、ドライバーは、電柱200の形状をより的確に把握することができる。
【0059】
実施例1において、障害物回避支援画像SIは、
図3及び
図4に示すように、衝突予測移動軌跡MTを描画した3Dビュー画像に、自車両OVが電柱200への衝突を回避できない限界領域を示す回避不可能領域HAを描画により加えた画像表示とされる。ここで、回避不可能領域HAは、電柱200の表面形状から一定距離(衝突回避マージン分)だけ離れて沿わせた円形形状に描画され、かつ、明滅により表示される。
【0060】
したがって、ハンドル角を変えて電柱200を回避するステアリング操作を行うとき、明滅表示の回避不可能領域HAが、ドライバーに対して電柱200への衝突を回避するために必要なハンドル角の目安を与えることになる。その結果、ドライバーは、回避不可能領域HAの認識に基づくハンドル操作において、適切なハンドル切り角によってドアミラー100が電柱200へ衝突するのを回避することができる。
【0061】
実施例1では、自車両OVのドアミラー100と電柱200とが衝突すると予測されない場合、
図2のフローチャートにおいて、S1→S2→S3→S4→S5→S6→S7→S8へと進む流れが繰り返される。このため、表示制御部35からディスプレイ装置4への表示指令出力により、
図5に示すように、自車両OVのドアミラー100と電柱200の三次元位置関係をあらわす3Dビュー画像に、非衝突予測移動軌跡NTを描画した画像が表示される。ここで、非衝突予測移動軌跡NTは、ドアミラー100を起点とし、自車両OVの進行方向及びタイヤ角に合わせて描画される。なお、非衝突予測移動軌跡NTを表示するとき、移動軌跡部T1のグラデーション表示と同様に、自車両OVの内側に向かってグラデーション表示しても良い。
【0062】
したがって、自車両OVの走行中、前方に電柱200などの障害物OBが存在しても衝突すると予測されない間は、非衝突予測移動軌跡NTを描画した画像が表示される。このため、非衝突予測移動軌跡NTは、ドライバーに対し、このまま進行してもドアミラー100が電柱200に衝突することがないとの認識を与えることができる。
【0063】
一方、衝突予測移動軌跡MTと非衝突予測移動軌跡NTは、ドライバーがハンドル操作を行うと、タイヤ角の変化に合わせて刻々と変化する。そこで、衝突するとの予測により衝突予測移動軌跡MTが表示されているとき、衝突予測移動軌跡MTの表示に基づいてドライバーがハンドル操作を行ったとする。この場合、ドライバーのハンドル操作により電柱200を回避するタイヤ角になると、ディスプレイ装置4に表示される画像が、赤色の衝突予測移動軌跡MT(
図3を参照)から緑色の非衝突予測移動軌跡NT(
図5を参照)に切り替わる。このため、ドライバーは、ディスプレイ装置4に表示される画像の切り替えを参考にして電柱200を回避するステアリング操作を行うことができる。
【0064】
次に、
図6及び
図7を参照し、ディスプレイ装置4の表示画面41へのタッチ操作により三次元表示画像の俯瞰視点を移動させる俯瞰視点移動作用を説明する。
【0065】
ディスプレイ装置4の表示画面41には、
図6に示すように、自車両OVのドアミラー100と電柱200とが共に死角にならない自車両OVの左後方の斜め上の俯瞰視点(基準になる視点位置)から視た障害物回避支援画像SIが表示されているとする。例えば、表示画面41を1回タッチすると、表示画面41にそのときの俯瞰視点P1を示すマークが表されるとする。
【0066】
この表示状態で、表示画面41の俯瞰視点P1のマーク位置に指で接触し、
図6の矢印に示す右方向にスライドし、俯瞰視点P2まで移動する。このタッチ操作により、自車両OVの左後方の斜め上にあった俯瞰視点P1が、自車両OVの右後方の斜め上の俯瞰視点P2へと移動する。表示画面41の表示は、このタッチ操作により俯瞰視点を移動させた3D画像になるが、自車両OVの外観を示す3D画像が衝突予測移動軌跡MTの一部を隠すことがある。
【0067】
そのときは、視点移動により表示画面41に表示される自車両OVの位置を閉じた2本の指により接触する。そして、2本の指を上下方向に開くピンチアウト操作を行うと(
図6の上下方向矢印を参照)、自車両OVが外観をあらわす3D画像から車両内部をあらわす3D画像へと切り替えられる。
【0068】
よって、ディスプレイ装置4の表示画面41への表示画像が、
図6に示す障害物回避支援画像SIから、俯瞰視点と自車両OVの画像を変更した
図7に示す障害物回避支援画像SI’へと切り替えられることになる。なお、自車両OVの画像を、車両内部画像から車両外観画像に戻すときは、例えば、
図7に示す表示画面41に表示される自車両OVの位置を開いた2本の指により接触し、2本の指を閉じるピンチイン操作を行う。
【0069】
このように、実施例1のディスプレイ装置4は、表示画面41への表示画像を三次元表示画像とし、表示画面41へのタッチ操作により三次元表示画像の俯瞰視点を移動させる俯瞰視点移動機能を有している。このため、ドライバーは、表示画像の視認し易さや好みの表示画像などに応じて表示画面41へタッチ操作を行うと、表示画面41に表示される三次元表示画像の俯瞰視点などを移動させることができる。
【0070】
以上説明したように、実施例1の障害物表示装置Aにあっては、下記に列挙する効果が得られる。
【0071】
(1)障害物表示装置Aは、自車両諸元記憶部31と、タイヤ角取得部32と、障害物認識部33と、衝突予測部34と、表示制御部35と、を備える。衝突予測部34は、自車両諸元記憶部31に記憶されている自車両OVの大きさと、障害物認識部33で認識した障害物OBの位置及び大きさと、タイヤ角取得部32で取得したタイヤ角に関する情報と、を用いて、自車両OVと障害物OBとが衝突するかどうかを予測する。表示制御部35は、衝突予測部34によって自車両OVと障害物OBとが衝突すると予測された場合、自車両OVの衝突が予測された部位と、障害物OBの衝突が予測された部位と、が関連性を備える障害物回避支援画像SIを表示部(ディスプレイ装置4)に表示する。このため、自車両OVのどの部位が、障害物OBのどの部位と衝突するのかが表示画像を目視するだけで分かりやすい障害物表示装置Aを提供することができる。
【0072】
(2)表示制御部35は、障害物回避支援画像SIとして、自車両OVの衝突が予測された部位が、そのときのタイヤ角により障害物OBに向かって移動すると予測したときの衝突予測移動軌跡MTを描画する。このため、ドライバーは、何も回避操作をしないで進行すると自車両OVの衝突が予測された部位(ドアミラー100)が障害物OB(電柱200)に衝突するとの認識に基づいて、障害物OB(電柱200)への衝突を回避するステアリング操作へ移行することができる。
【0073】
(3)表示制御部35は、障害物回避支援画像SIを、自車両OVと障害物OBの三次元位置関係をあらわす3Dビュー画像に、衝突予測移動軌跡MTを描画した画像とする。衝突予測移動軌跡MTは、自車両OVの衝突が予測された車体突出部を起点とし、自車両OVの進行方向及びタイヤ角に合わせて描画される移動軌跡部T1と、障害物OBへの衝突予測位置から衝突予測部位の表面形状に沿って描画される衝突軌跡部T2と、を組み合わせて描画する。このため、ドライバーは、障害物OB(電柱200)の形状認識や障害物OB(電柱200)までの距離感の認識に基づいて、障害物OB(電柱200)への衝突を回避するハンドル操作を行うことができる。
【0074】
(4)表示制御部35は、障害物回避支援画像SIを、衝突予測移動軌跡MTを描画した3Dビュー画像に、自車両OVが障害物OBへの衝突を回避できない限界領域を示す回避不可能領域HAを描画により加えた画像とする。回避不可能領域HAを、自車両OVの走行路面のうち障害物OBの衝突予測部位に接する路面表示部分に描画する。このため、ドライバーは、回避不可能領域HAの認識に基づくハンドル操作において、適切なハンドル切り角によって自車両OVの車体突出部(ドアミラー100)が障害物OB(電柱200)へ衝突するのを回避することができる。
【0075】
(5)表示制御部35は、自車両OVと障害物OBとが衝突すると予測されない場合、自車両OVと障害物OBの三次元位置関係をあらわす3Dビュー画像に、非衝突予測移動軌跡NTを描画した画像を表示する。非衝突予測移動軌跡NTは、自車両OVの車体突出部を起点とし、自車両OVの進行方向及びタイヤ角に合わせて描画する。非衝突予測移動軌跡NTの色を、衝突予測移動軌跡MTとは異ならせた色に設定する。このため、非衝突予測移動軌跡NTが表示されていると、ドライバーに対し、このまま進行しても自車両OVの車体突出部(ドアミラー100)が障害物OB(電柱200)に接触することがないとの認識を与えることができる。加えて、タイヤ角の変化により衝突予測移動軌跡MTから非衝突予測移動軌跡NTへと切り替わることで、ドライバーは、ディスプレイ装置4に表示される画像の切り替えを参考にして障害物OB(電柱200)を回避するステアリング操作を行うことができる。
【0076】
(6)表示部(ディスプレイ装置4)は、表示画面41への表示画像を三次元表示画像とし、表示画面41へのタッチ操作により三次元表示画像の俯瞰視点を移動させる俯瞰視点移動機能を有する。このため、ドライバーは、表示画面41へのタッチ操作により、視認性や好みなどに応じて、表示画面41に表示される三次元表示画像の俯瞰視点を移動させることができる。
したがって、ハンドル角を変えて電柱200を回避するステアリング操作を行うとき、衝突回避支援軌跡STが、ドライバーに対して電柱200への衝突を回避するためにハンドルをどの方向にどの程度切るかの的確な目安になる。その結果、実施例2の障害物表示装置Aにあっては、下記の効果が得られる。
(7)表示制御部35は、障害物回避支援画像SIを、自車両OVと障害物OBの三次元位置関係をあらわす3Dビュー画像に、衝突予測移動軌跡MTと、衝突回避支援軌跡STと、を描画した画像とする。衝突回避支援軌跡STは、自車両OVの衝突が予測された車体突出部を起点とし、障害物OBとの衝突回避が可能なタイヤ角にしたときの予想軌跡を描画する。このため、衝突予測移動軌跡MTの表示により、何も回避操作をしないで進行すると自車両OVの衝突が予測された部位(ドアミラー100)が障害物OB(電柱200)に衝突するとの認識をドライバーに与えることができる。加えて、衝突回避支援軌跡STの表示により、自車両OVの衝突が予測された部位(ドアミラー100)が障害物OB(電柱200)へ衝突するのを回避するハンドル操作をドライバーに促すことができる。
以上、本開示の障害物表示装置を実施例1及び実施例2に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではない。特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加などは許容される。
実施例2では、衝突予測移動軌跡MTと、障害物OBとの衝突回避が可能なタイヤ角にしたときの予想軌跡である衝突回避支援軌跡STと、を描画する例を示した。しかし、自車両が走行する走行路面の両側に電柱などの2つの障害物などが存在し、2つの障害物との衝突回避が可能なタイヤ角が共に計算できないときは、ディスプレイ装置の表示画面にハンドル操作では衝突を回避できない旨の警告表示を行っても良い。なお、衝突を回避できない旨の警告表示としては、例えば、「直進できません。」や「バックして下さい。」との赤色の文字表示とアナウンス音声を組み合わせたり、又は、表示画面の自車両の色を赤色へ変更する表示とアナウンス音声を組み合わせたりしても良い。
実施例1,2では、障害物回避支援画像SIとして、自車両OVの衝突が予測された部位が、そのときのタイヤ角により障害物OBに向かって移動すると予測したときの衝突予測移動軌跡MTを描画する好ましい例を示した。しかし、障害物回避支援画像としては、衝突予測移動軌跡に限定されるものではなく、自車両の衝突が予測された部位と、障害物の衝突が予測された部位と、が関連性を備えるように表示される画像であれば良い。例えば、自車両の衝突予測部位と障害物の衝突予測部位とを太い直線、或いは、方形断面や円形断面を持つ柱状体などで繋ぐ画像としても良い。
実施例1,2では、表示部として、ドライバーから視認し易いインストルメントパネルなどの位置に設けられたディスプレイ装置の例を示した。しかし、表示部としては、これに限定されることなく、例えば、ヘッドアップディスプレイ装置などの車両に搭載された他のディスプレイ装置、自車両に外部から持ち込んで取り付け可能な携帯端末ディスプレイ装置などを用いることも可能である。
実施例1,2では、周囲状況取得部2として、カメラ21と、レーダー22と、ライダー23と、を有する例を示した。しかし、周囲状況取得部としては、これら3種類の周囲状況センサに限られるものではなく、周囲状況センサの種類や設置数を減らしたり加えたりする例としても良い。また、カメラ、レーダー、ライダーなどのうち2以上のセンサを組み合わせて周囲状況の情報を取得するセンサフュージョンを用いる例としても良い。
実施例1,2では、自車両と障害物との衝突が予測されるシーンにおいて、障害物を回避する表示支援を行う障害物表示装置の例を示した。しかし、衝突予測シーン以外の様々なシーンでの表示支援情報をドライバーに提供する表示支援システムに、本開示の障害物表示装置を表示支援の一つとして組み込むような例としても良い。
実施例1,2では、障害物表示装置を乗用車に適用する例を示した。しかし、本開示の障害物表示装置は、乗用車に限らず、トラック、バスなどの大型車両やその他の様々な車両に適用することができる。