(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023028293
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】マンホール蓋の開閉器具
(51)【国際特許分類】
E02D 29/14 20060101AFI20230224BHJP
【FI】
E02D29/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021133909
(22)【出願日】2021-08-19
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和 2年8月20日に一般社団法人 日本人間工学会 56巻 Supplement号のウェブサイト(下記アドレス)にて公開 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jje/56/Supplement/56_2F3-03/_article/-char/ja
(71)【出願人】
【識別番号】304026696
【氏名又は名称】国立大学法人三重大学
(71)【出願人】
【識別番号】506304820
【氏名又は名称】株式会社富士製作所
(71)【出願人】
【識別番号】000213297
【氏名又は名称】中部電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池浦 良淳
(72)【発明者】
【氏名】立松 大輝
(72)【発明者】
【氏名】高井 昭義
(72)【発明者】
【氏名】杉本 敏文
(72)【発明者】
【氏名】熊澤 昌宏
【テーマコード(参考)】
2D147
【Fターム(参考)】
2D147BA11
(57)【要約】
【課題】作業性及び安全性を高めたマンホール蓋の開閉器具を提供する。
【解決手段】1つのマンホール蓋Mに対し、対向配置される2台が一組として用いられる、マンホール蓋の開閉器具10であって、車輪25を有するフレーム20と、一方の端部に操作部45を有し、他方の端部にマンホール蓋Mを吊下げる吊下げ部44を有するリフトレバー40と、リフトレバー40の回転中心となるローラー47と、を含み、フレーム20は、ローラー47がスライド可能に嵌合するレール部29と、吊下げ部44の水平方向の変位を規制する規制部34と、を有し、リフトレバー40の回転に伴って、ローラー47がレール部29内をスライドしつつ、吊下げ部44が垂直方向に変位することでマンホール蓋Mを引き上げる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つのマンホール蓋に対し、対向配置される2台が一組として用いられる、マンホール蓋の開閉器具であって、
車輪を有するフレームと、
一方の端部に操作部を有し、他方の端部に前記マンホール蓋を吊下げる吊下げ部を有するリフトレバーと、
前記リフトレバーの回転中心となるローラーと、を含み、
前記フレームは、前記ローラーがスライド可能に嵌合するレール部と、前記吊下げ部の水平方向の変位を規制する規制部と、を有し、
前記リフトレバーの回転に伴って、前記ローラーが前記レール部内をスライドしつつ、前記吊下げ部が垂直方向に変位することで前記マンホール蓋を引き上げる、マンホール蓋の開閉器具。
【請求項2】
請求項1に記載のマンホール蓋の開閉器具であって、
前記リフトレバーを初期位置からロック位置まで回転させた時に、前記ローラーが前記吊下げ部の真下にある中立位置を境にして、前記マンホール蓋の荷重による前記リフトレバーの回転方向が、前記初期位置に戻る方向から前記ロック位置に付勢する方向に切り換わる、マンホール蓋の開閉器具。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のマンホール蓋の開閉器具であって、
前記フレームは、前記フレームから垂下し、引き上げられた前記マンホール蓋に当接する当接部を有し、
前記当接部と前記吊下げ部を結ぶ方向と、対向する2台の前記開閉器具を結ぶ方向は、平面視にて交差する、マンホール蓋の開閉器具。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のマンホール蓋の開閉器具であって、
前記車輪は、オムニホイールである、マンホール蓋の開閉器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンホール蓋の開閉器具に関する。
【背景技術】
【0002】
マンホール蓋の開閉作業では、マンホール蓋の上面に形成された2つの摘み穴にそれぞれフックを掛け、2名の作業者がフックを把持して引き上げることでマンホール蓋をマンホール穴から取り外すことがある。この場合、作業者は、重量のあるマンホール蓋を手で引き上げる必要があり、身体的な負担が大きい。
【0003】
また、特許文献1に記載のマンホール蓋開閉移動車を用いると、作業者は、横棒5を押し下げることにより、横棒4から吊下げられたマンホール蓋を引き上げることができる。この構成では、梃子の作用により、作業者がマンホール蓋を引き上げるのに要する力は小さくて済む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のマンホール蓋開閉移動車は、枠体に対して左右の車輪や左右の吊り棒が一体化されている。そのため、大型で重いことから、扱い難く、マンホールを開閉する際に、作業者の負担が大きいと考えられる。また、マンホール蓋を引き上げた状態を維持するには、横棒5に下向きの力を加え続ける必要があり、作業者が横棒5から手を離すと、マンホール蓋は落下する。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、開閉器具を小型化、軽量化して、扱い易い形態とすることで、作業者によるマンホール蓋の開閉作業について、作業性を改善することを目的とする。さらに、一度引き上げたマンホール蓋が落下しないようにロック機能を設けることで、作業の安全性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つのマンホール蓋に対し、対向配置される2台が一組として用いられる、マンホール蓋の開閉器具であって、車輪を有するフレームと、一方の端部に操作部を有し、他方の端部に前記マンホール蓋を吊下げる吊下げ部を有するリフトレバーと、前記リフトレバーの回転中心となるローラーと、を含み、前記フレームは、前記ローラーがスライド可能に嵌合するレール部と、前記吊下げ部の水平方向の変位を規制する規制部と、を有し、前記リフトレバーの回転に伴って、前記ローラーが前記レール部内をスライドしつつ、前記吊下げ部が垂直方向に変位することで前記マンホール蓋を引き上げる。
【0008】
前記開閉器具の一実施態様として、前記リフトレバーを初期位置からロック位置まで回転させた時に、前記ローラーが前記吊下げ部の真下にある中立位置を境にして、前記マンホール蓋の荷重による前記リフトレバーの回転方向が、前記初期位置に戻る方向から前記ロック位置に付勢する方向に切り換わる構成でもよい。
【0009】
この構成では、リフトレバーが中立位置を越えて回転すると、その後、マンホール蓋の荷重により、リフトレバーはロック位置に向けて付勢される。そのため、リフトレバーをロック位置まで回転させた後、操作部から手を離しても、リフトレバーをロック位置に保持することができるから、マンホール蓋を引き上げた状態を維持できる。
【0010】
前記開閉器具の一実施態様として、前記フレームは、前記フレームから垂下し、引き上げられた前記マンホール蓋に当接する当接部を有し、前記当接部と前記吊下げ部を結ぶ方向と、対向する2台の前記開閉器具とを結ぶ方向は、平面視にて交差する構成でもよい。
【0011】
2台の開閉器具により引き上げたマンホール蓋は、それぞれの開閉器具の吊下げ部により、2点で吊られた状態であることから、2点を結ぶ線を軸として揺動しやすい。この構成では、マンホール蓋を引き上げたときに、2点を結ぶ線を軸とするマンホール蓋の揺動を抑制できる。
【0012】
前記開閉器具の一実施態様として、前記車輪は、オムニホイールでもよい。この構成によれば、オムニホイールにより、開閉器具の移動方向を切り換えることができる。そのため、マンホール蓋を引き上げた後、周囲の状況に応じて、引き上げたマンホール蓋の移動方向を任意に選択することができる。よって、引き上げたマンホールを、所定の位置まで運ぶ作業が行い易い。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、開閉器具を小型化、軽量化して、扱い易い形態とすることで、作業者によるマンホール蓋の開閉作業について、作業性を改善することができる。さらに、一度引き上げたマンホール蓋が落下しないようにロック機能を設けることで、作業の安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3】マンホール蓋の引き上げ動作の説明図(引き上げ前)
【
図4】マンホール蓋の引き上げ動作の説明図(初期位置)
【
図7】マンホール蓋の引き上げ動作の説明図(ロック位置)
【
図8】2台の開閉器具とマンホール蓋を示す図(引き上げ前)
【
図9】2台の開閉器具とマンホール蓋を示す図(引き上げ後、ロック位置)
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
以下に説明する開閉器具10は、対向配置される2台を一組として使用して、道路などに設置されたマンホール蓋Mの開閉に用いられるものである。
【0016】
1.マンホール蓋の開閉器具の構成
図1に開閉器具10の全体斜視図を示し、
図2にフレーム20周辺の拡大斜視図を示す。以下の説明において、
図1、2の左手前を「前側」として説明を行う。また、直交する3方向をX方向、Y方向、Z方向として、各図に示す。開閉器具10は、対称形状であるため、以下の説明では、原則として片側の構成について述べる。
【0017】
開閉器具10は、車輪を有するフレーム20、リフトレバー40及びローラー47(
図4参照)を含む。フレーム20は金属製であり、水平方向に延びる上部フレーム21と、上部フレーム21の後端部から下方に延びる下部フレーム22と、からなる。
図1に示すY方向から見ると、下部フレーム22は、下方に向かうにつれて、幅広くなる二等辺三角形状をしている。
【0018】
下部フレーム22の底面には、2つの取付けフレーム23が、
図2に示すX方向に間隔を空けて接続されている。取付けフレーム23は、下方に開く逆U字型であり、対向する面間に、オムニホイール(「車輪」の一例)25を軸支するホイール軸24が取り付けられている。
【0019】
オムニホイール25は、ホイール軸24に軸支されるホイール本体26と、ホイール本体26に対して回転可能に設けられた複数のバレル27とを有している。ホイール本体26には、外周の接線方向に配置されたバレル軸28が周方向に所定角度ごとに設けられ、それら複数のバレル軸28それぞれに、樽形状のバレル27が取り付けられる。バレル27が取り付けられるバレル軸28は、ホイール軸24の軸方向に対して直交している。
【0020】
バレル27の外周の少なくとも一部は、ホイール本体26の外周よりもさらに外側にあり、オムニホイール25は、バレル27の外周で接地している。開閉器具10がX方向に移動するときは、ホイール本体26がホイール軸24を中心に回転し、Y方向に移動するときは、接地しているバレル27がバレル軸28を中心に回転する。このような構成により、作業者は、開閉器具10を水平方向に自在に移動させることができる。
【0021】
上部フレーム21は、ベースパネル21Aと、ベースパネル21AのX方向両側に位置する一対のサイドパネル21Bとからなり、Y方向から見ると、U字状に繋がった形状をしている。一対のサイドパネル21Bの内面には、一対のレール部29が取り付けられている。レール部29は、Y方向に延びており、後述するローラー47がスライド可能に嵌合している。
【0022】
上部フレーム21の前端部には、下方に延びる4本のカラーを介して、X方向に長い板状のバランスプレート31が固定されている。バランスプレート31の下方には、キャスター30と、一対のバランスボルト(「当接部」の一例)32が取り付けられている。
【0023】
キャスター30は、一般的なキャスターであり、X方向の支軸と、支軸を中心に回転可能な車輪が取り付けられている。一対のバランスボルト32は、バランスプレート31におけるキャスター30の取付位置を中心として、X方向に対称の位置からそれぞれ垂下している。キャスター30の車輪の下端と、各バランスボルト32の下端の3箇所は略同じ高さに位置し、マンホール蓋Mに対し、3箇所が同時に当接する。
【0024】
ベースパネル21Aの、Y方向における中央付近には、貫通孔33が上下方向に貫設されている。ベースパネル21Aには、貫通孔33と同軸で、樹脂製のブッシュ(「規制部」の一例)34が取り付けられている。ブッシュ34は上下方向を軸とする円筒状であり、その内部には、後述するガイドシャフト49が挿通される。ブッシュ34は、ガイドシャフの上下方向の変位のみ許容し、水平方向の変位は規制する。
【0025】
リフトレバー40は、全体として略L字形状をしており、レバーパイプ41と、アームブロック42と、一対のアームプレート43と、吊下げ部44と、を有している。
【0026】
レバーパイプ41は、金属製の管体であり、
図1に示すように上端部にグリップ(「操作部」の一例)45を有している。
【0027】
レバーパイプ41の下端は、アームブロック42と嵌合して固定されている。アームブロック42には、さらに一対のアームプレート43が固定されており、レバーパイプ41、アームブロック42、一対のアームプレート43は一体である。
【0028】
アームプレート43は、金属製の板であり、基部46と、基部46から異なる方向に延びる第1アーム43Aと第2アーム43Bとを備える。基部46の外面には、ローラー47(
図4参照)が取り付けられている。ローラー47はサイドプレートの内面に取り付けられたレール部29に、スライド可能に嵌合する。ローラー47がレール部29に沿って移動することで、アームプレート43の全体がフレーム20に対してスライド可能となっている。
【0029】
第1アーム43Aは、基部46から上方に延びており、先端はアームブロック42に対して固定されている。第2アーム43Bは、基部46から前方に延び、先端には吊下げ部44が設けられている。この実施形態では、
図4に示すように、ローラー47グリップ45を結ぶ線L1と、ローラー47と吊下げ部44を結ぶ線L2とがなす角度θは、90°未満である。
【0030】
図2に示すように、吊下げ部44には、支軸48を介して、ガイドシャフト49がX軸周りに回転可能な状態で吊り下げられている。ガイドシャフト49は、ブッシュ34を貫通して、ベースパネル21Aの下方に延びている。
【0031】
ガイドシャフト49の下端には、略J字状のフック50が吊設されている。フック50はガイドシャフト49の下端に対してX軸周りに回転できる。フック50は、マンホール蓋Mの摘み穴M1に設けられた渡し棒M2に引っ掛けることができる(
図3参照)。
【0032】
リフトレバー40は、レバーパイプ41を後方に引くことで、
図4に示す初期位置から
図7に示すロック位置まで回転操作することができる。なお、
図4に示す初期位置では、支軸48がブッシュ34の上端に当接して、リフトレバー40の反時計方向への回転が規制される。
図7に示すロック位置では、アームプレート43がベースパネル21Aに当接して、リフトレバー40の時計方向への回転が規制される構造になっている。
【0033】
2.動作説明
次に、開閉器具10を用いたマンホール蓋Mの引き上げ動作について、
図3~
図9を参照して説明する。
図3、
図8に示すように、マンホール蓋Mは、引き上げ前の状態では、水平な地表面Gに掘られたマンホールHに上方から嵌め込まれており、マンホール蓋Mの上面と地表面Gとは面一状になっている。
【0034】
マンホール蓋Mの摘み穴M1は、マンホール蓋Mの両側に1つずつ設けられており、2台の開閉器具10をマンホール蓋Mの両側に対向配置して使用するが、2台の開閉器具10の動作は同一であるため、以降の説明では原則として一方の開閉器具10の動作について説明する。
【0035】
まず、作業者は、開閉器具10を作業対象となるマンホール蓋Mの付近に移動させる。次いで、
図3に示すように、レバーパイプ41を前方(キャスター30側、
図3の左方向)に倒し、フレーム20を傾けてキャスター30をマンホール蓋Mの上面に当接させる。そして、フック50の先端を摘み穴M1に挿入し、渡し棒M2に係合させる。
【0036】
次に、前方に倒れていたレバーパイプ41を、後方(
図3の右方向)に引いて、逆のオムニホイール25側に倒す。
図4は、レバーパイプ41を後方に引いて、略垂直になったときの状態を示している。リフトレバー40の回転とともに、傾いていたフレーム20が立ち上がり、同時にマンホール蓋Mが僅かに引き上げられる。
【0037】
その後、リフトレバー40の回転に伴って、ローラー47がレール部29内をスライドしつつ、吊下げ部44が垂直方向に変位することで、マンホール蓋Mを引き上げることができる(
図4~
図7)。
【0038】
そして、リフトレバー40が
図4に示す初期位置から
図7に示すロック位置まで回転すると、アームプレート43がベースパネル21Aに当接して、それ以上回転できなくなる。
【0039】
図7に示すロック位置では、引き上げられたマンホール蓋Mの上面に対して、キャスター30が当接することにより、マンホール蓋Mを上方向に引き上げる力と下方向に押し下げる力が同時に作用することから、マンホール蓋Mを、
図7に示す高さ位置にロックすることができる。
【0040】
図9は、2台の開閉器具10により、マンホール蓋Mが
図7に示すロック位置まで引き上げられたときの状態を示している。
図9に示すように、この実施形態では、ロック位置ではキャスター30に加えて、隣接する2本のバランスボルト32がマンホール蓋Mの上面に当接する。これにより、引き上げられたマンホール蓋Mのバランスを維持してマンホール蓋Mの姿勢を安定させることができる。
【0041】
また、リフトレバー40がロック位置まで回転すると、レバーパイプ41から手を離しても、初期位置に復帰せず、リフトレバー40を、マンホール蓋Mの荷重により、ロック位置に保持することができる。
【0042】
具体的に説明すると、
図4に示す初期位置では、吊下げ部44に対してローラー47が右側に位置する。そして、
図6に示す中立位置では、吊下げ部44の真下にローラー47が位置し、
図7に示すロック位置では、吊下げ部44の左側にローラー47が位置する。このように、中立位置を境にして、吊下げ部44とローラー47の位置関係が逆になる。
【0043】
そのため、リフトレバー40を初期位置からロック位置まで回転させた時に、中立位置を境にして、マンホール蓋Mの荷重によるリフトレバー40の回転方向が、初期位置に戻る方向からロック位置に向かう方向に切り換わる。以上のことから、マンホール蓋Mの荷重により、リフトレバー40をロック位置に保持することができる。
【0044】
そして、作業者は、2台の開閉器具10のレバー操作によりマンホール蓋Mを引き上げた後、引き上げたマンホール蓋Mを2台の開閉器具10を用いてマンホールH側方の空いたスペースに移動させることにより、マンホールHを開放することができる。
【0045】
3.効果説明
本構成では、2台の開閉器具10で1つのマンホール蓋Mを引き上げるため、マンホール蓋Mの荷重を、2台の開閉器具10に分散することができる。そのため、1台あたりの開閉器具10のサイズを小さくして小型化、軽量化できる。開閉器具10の小型化、軽量化により、開閉器具10をマンホール蓋Mに対して所定の位置にセットする作業や、マンホール蓋Mを引き上げた後に移動させる作業が容易になり、作業者の負担を軽減できる。
【0046】
また、特に、リフトレバー40の回転中心であるローラー47がレール部29内をスライドすることから、吊下げ部44を介してマンホール蓋Mを垂直方向に引き上げることができる。これにより、対向する2台の開閉器具10で1つのマンホール蓋Mの開閉を行うときに、開閉器具10間の距離をほぼ一定に保つことができ、マンホール蓋Mの開閉動作を安定して行うことができる。
【0047】
また、リフトレバー40が中立位置を越えて回転すると、その後、マンホール蓋Mの荷重により、リフトレバー40はロック位置に向けて付勢される。そのため、リフトレバー40をロック位置まで回転させた後、操作部45から手を離しても、リフトレバー40をロック位置に保持することができるから、マンホール蓋Mを引き上げた状態を維持できる。
【0048】
また、上部フレーム21の前端部に、バランスボルト32が設けられているから、引き上げたマンホール蓋Mをバランスさせて、姿勢を安定させることができる。そのため、引き上げたマンホール蓋Mを移動させる作業が行い易い。
【0049】
また、車輪としてオムニホイール25を用いており、車輪の向きを変えなくても、開閉器具10を任意の方向に自在に移動させることができる。そのため、マンホール蓋Mを引き上げた後、周囲の状況に応じて、引き上げたマンホール蓋Mの移動方向を任意に選択することができる。よって、引き上げたマンホール蓋Mを、所定の位置まで運ぶ作業が行い易い。
【0050】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0051】
(1)上述した実施形態では、角度θは90°未満としたが、90°未満に限定されるものではなく、90°以上であってもよい。
【0052】
(2)上述した実施形態では、車輪としてオムニホイール25を用いたが、車輪として、一方向にのみ回転する一般的なキャスターを用いてもよい。
【0053】
(3)上述した実施形態では、アームプレート43は基部46を境に折れ曲がる略L字状をしていた。アームプレート43の形状はこれに限らず、例えばローラー47、アームブロック42、吊下げ部44をそれぞれ頂点とする略三角形の部材であってもよい。
【0054】
(4)上述した実施形態では、リフトレバー40は、レバーパイプ41とアームプレート43が、アームブロック42を介して接続されたものである。リフトレバー40はこの構成に限らず、例えばローラー47、吊下げ部44、グリップ45をそれぞれ結ぶ略三角形の部材であってもよい。
【0055】
(5)上述した実施形態では、フック50として略J字状のものを用いたが、フックはこの形状に限定されない。例えば先端がT字状のフックでもよい。
【符号の説明】
【0056】
10 マンホール蓋の開閉器具(開閉器具)
20 フレーム
21 上部フレーム
22 下部フレーム
25 オムニホイール(「車輪」の一例)
29 レール部
30 キャスター
31 バランスプレート
32 バランスボルト
33 貫通孔
34 ブッシュ(「規制部」の一例)
40 リフトレバー
41 レバーパイプ
43 アームプレート
44 吊下げ部
45 グリップ(「操作部」の一例)
47 ローラー
49 ガイドシャフト
50 フック
M マンホール蓋
M1 摘み穴
M2 渡し棒