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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023028306
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】コントローラ
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/02 20060101AFI20230224BHJP
   H05K 7/20 20060101ALN20230224BHJP
【FI】
H05K5/02 H
H05K7/20 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021133934
(22)【出願日】2021-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】齋地 正義
【テーマコード(参考)】
4E360
5E322
【Fターム(参考)】
4E360AB02
4E360AB20
4E360AB21
4E360CA02
4E360EA12
4E360EC13
4E360ED02
4E360ED03
4E360GA47
4E360GB92
4E360GC02
5E322AA03
5E322AB01
5E322BB03
(57)【要約】
【課題】筐体内に配置される電源供給系の部品の交換作業を容易にする。
【解決手段】コントローラ1では、外部電源コネクタ70が設けられた筐体2と、外部電源コネクタ70から供給される交流電流を直流電流に変換する電源供給部14と、電源供給部14から直流電流が供給される制御回路基板4と、を有する。電源供給部14は、筐体2に対して着脱可能なフレーム72およびフレーム72に固定される第1電子素子71を備える電源ユニット7と、筐体2に固定される第2電子素子15と、を備える。筐体2は、電源ユニット7が挿抜される開口部20を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源コネクタが設けられた筐体と、
前記外部電源コネクタから供給される交流電流を直流電流に変換する電源供給部と、
前記電源供給部から直流電流が供給される基板と、を有し、
前記電源供給部は、
前記筐体に対して着脱可能なフレームおよび前記フレームに固定される第1電子素子を備える電源ユニットと、
前記筐体に固定される第2電子素子と、を備え、
前記筐体は、前記電源ユニットが挿抜される開口部を備えることを特徴とするコントローラ。
【請求項2】
前記筐体に対して前記電源ユニットを挿抜する方向を着脱方向とするとき、
前記電源ユニットの前記着脱方向の長さは、前記電源ユニットの前記着脱方向と交差する方向の最大寸法よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のコントローラ。
【請求項3】
前記電源ユニットは、前記筐体に対して前記着脱方向に当接するストッパを備えることを特徴とする請求項2に記載のコントローラ。
【請求項4】
前記筐体は、前記フレームを前記着脱方向にガイドするガイド部を備えることを特徴とする請求項2または3に記載のコントローラ。
【請求項5】
前記第2電子素子は、前記電源ユニットに対して前記着脱方向と交差する方向で隣り合う位置に配置されるノイズフィルターを備えることを特徴とする請求項2から4の何れか一項に記載のコントローラ。
【請求項6】
前記筐体は、前記開口部を補強する補強部材を備えることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載のコントローラ。
【請求項7】
前記筐体内に固定される電源カバーを有し、
前記電源カバーの内側に前記電源ユニットが挿抜され、
前記第1電子素子は、少なくとも一部が前記フレームの外部に露出しており、前記電源カバーによって覆われることを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載のコントローラ。
【請求項8】
前記電源カバーに、前記電源ユニットが接続される中継コネクタが配置されることを特徴とする請求項7に記載のコントローラ。
【請求項9】
前記電源カバーに、前記第2電子素子の少なくとも一部が固定されることを特徴とする請求項7または8に記載のコントローラ。
【請求項10】
前記筐体は、前記外部電源コネクタが設けられたインターフェースパネル、および、前記インターフェースパネルと対向する背面板を備え、
前記開口部は、前記背面板に設けられており、
前記電源ユニットの前記インターフェースパネル側の先端に、前記第2電子素子を経由して前記外部電源コネクタに接続される入力端子が配置されることを特徴とする請求項1から9の何れか一項に記載のコントローラ。
【請求項11】
前記筐体は、前記背面板と交差する底板を備え、
前記電源ユニットは、出力端子を備え、
前記出力端子は、前記フレームにおける前記底板とは反対側の端部に配置されることを特徴とする請求項10に記載のコントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源ユニットおよび筐体を備えるコントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ロボットを制御するコントローラとして、制御回路基板と、制御回路基板に接続される複数の駆動回路基板を備えるものが記載される。各駆動回路基板は、制御回路基板に対して垂直に立てた状態で配置される。各駆動回路基板には、パワーモジュールおよび金属製のヒートシンクが取り付けられている。
【0003】
特許文献1のコントローラは、直方体状の筐体を備えており、筐体内には、制御回路基板および駆動回路基板のほかに、電源回路基板、通信用インターフェース基板、駆動電圧生成基板などの複数のユニットが収容される。筐体は、底面パネルの両端に右側パネルおよび左側パネルが接続される下側の筐体部材と、多数のI/Oポートが配置される正面パネルおよび天面パネルを備える上側の筐体部材とを組み立てて構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5803213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のコントローラは、正面パネルに配置される外部電源コネクタと、外部電源コネクタから入力される交流電流からノイズを除去するフィルター回路が設けられたノイズフィルターと、ノイズが除去された交流電流を直流電流に変換する直流交流変換回路が設けられた電源回路基板などの電源供給系の部品を備えている。
【0006】
従来のコントローラを組み立てるとき、電源供給系の部品は概して他の部品と比較すると大きく重量もある為、一般的に最初に筐体に取り付けてから他の部品を取り付ける。そのため、電源供給系の部品を交換するときには、他の部品を取り外してからでないと交換できない。また、交換時には、電源供給系の部品に接続される配線を外す必要があるが、部品間に引き回された配線を取り出すためには、配線が通された位置の部品を取り外さなければならない。そのため、電源供給系の部品に不具合が発生したときに交換作業に手間がかかる。
【0007】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、筐体内に配置される電源供給系の部品の交換作業を容易にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、外部電源コネクタが設けられた筐体と、前記外部電源コネクタから供給される交流電流を直流電流に変換する電源供給部と、前記電源供給部から直流電流が供給される基板と、を有し、前記電源供給部は、前記筐体に対して着脱可能なフレームおよび前記フレームに固定される第1電子素子を備える電源ユニットと、前記筐体に固定される第2電子素子と、を備え、前記筐体は、前記電源ユニットが挿抜される開口部を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、電源供給部を構成する電子素子の一部(第1電子素子)をフレームに搭載して電源ユニットを構成し、電源ユニットを挿抜できる開口部を筐体に設けている。
従って、電源ユニット以外の部品を筐体から取り外すことなく、電源ユニットを筐体から容易に取り外すことができる。よって、第1電子素子に不具合が発生したときに容易に交換することができる。また、電源供給部を構成する電子素子を選別して一部の電子素子(第2電子素子)は電源ユニットに搭載せずに筐体に固定したので、電源ユニットを小型化できるとともに、電源ユニットを着脱するための筐体の開口部を小さくできる。従って、筐体の剛性が低下することを抑制でき、筐体の変形を抑制できる。
【0010】
本発明において、前記筐体に対して前記電源ユニットを挿抜する方向を着脱方向とするとき、前記電源ユニットの前記着脱方向の長さは、前記電源ユニットの前記着脱方向と交差する方向の最大寸法よりも大きいことが好ましい。このようにすると、筐体の開口部を小さくできる。従って、筐体の剛性が低下することを抑制でき、筐体の変形を抑制できる。
【0011】
本発明において、前記電源ユニットは、前記筐体に対して前記着脱方向に当接するストッパを備えることが好ましい。このようにすると、電源ユニットを容易に位置決めできる。また、電源ユニットを固定位置よりも奥に挿入することを規制できるので、電源ユニットの装着時に他の部品との衝突によって不具合が発生することを避けることができる。
【0012】
本発明において、前記筐体は、前記フレームを前記着脱方向にガイドするガイド部を備えることが好ましい。このようにすると、電源ユニットを正しい位置に装着できる。また、電源ユニットの装着時に他の部品との衝突によって不具合が発生することを避けることができる。
【0013】
本発明において、前記第2電子素子は、前記電源ユニットに対して前記着脱方向と交差する方向で隣り合う位置に配置されるノイズフィルターを備える構成を採用することができる。このようにすると、電源ユニットとノイズフィルターとを接続する配線の経路を短くすることができる。
【0014】
本発明において、前記筐体は、前記開口部を補強する補強部材を備えることが好ましい。このようにすると、開口部を設けたことによる筐体の剛性低下を抑えることができ、筐体の変形を抑制できる。
【0015】
本発明において、前記筐体内に固定される電源カバーを有し、前記電源カバーの内側に前記電源ユニットが挿抜され、前記第1電子素子は、少なくとも一部が前記フレームの外部に露出しており、前記電源カバーによって覆われることが好ましい。このようにすると、電源カバーの外側に他の部品を設置するスペースを確保できるので、筐体内のスペースを有効活用することができる。また、電源ユニットを構成するフレームは、電源カバーと重ならない形状にすることでその部分の電源ユニットのフレームを省くことでき、電源ユニットを小型化できる。従って、電源ユニットの小型化および軽量化を図ることができる。
【0016】
本発明において、前記電源カバーに、前記電源ユニットが接続される中継コネクタが配置されることが好ましい。このようにすると、電源ユニットから出力される直流電流を、中継コネクタを介して基板に供給するように構成できる。従って、電源ユニットの着脱時に配線を外す際、中継コネクタに対して作業を行えばよいので、他の部品に隠れた配線を引き出す必要がない。よって、電源ユニットの配線を外す作業、および、電源ユニットの配線を接続する作業が容易である。
【0017】
本発明において、前記電源カバーに、前記第2電子素子の少なくとも一部が固定されることが好ましい。このようにすると、電源ユニットの近傍に第2電子素子を設置するスペ
ースを確保することができる。
【0018】
本発明において、前記筐体は、前記外部電源コネクタが設けられたインターフェースパネル、および、前記インターフェースパネルと対向する背面板を備え、前記開口部は、前記背面板に設けられており、前記電源ユニットの前記インターフェースパネル側の先端に、前記第2電子素子を経由して前記外部電源コネクタに接続される入力端子が配置されることが好ましい。このようにすると、外部電源コネクタの近くに入力端子を配置できるので、配線経路を短くすることができ、配線作業が容易である。
【0019】
本発明において、前記筐体は、前記背面板と交差する底板を備え、前記電源ユニットは、出力端子を備え、前記出力端子は、前記フレームにおける前記底板とは反対側の端部に配置されることが好ましい。このようにすると、筐体の上板を外したときに出力端子が他部品に隠れずにアクセスしやすい位置にある。従って、出力端子に対する作業が容易であり、他の部品に隠れた配線を引き出す必要がない。よって、電源ユニットから配線を外す作業、および、電源ユニットの配線を接続する作業が容易である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、電源供給部を構成する電子素子の一部(第1電子素子)をフレームに搭載して電源ユニットを構成し、電源ユニットを挿抜できる開口部を筐体に設けている。従って、電源ユニット以外の部品を筐体から取り外すことなく、電源ユニットを筐体から容易に取り外すことができる。よって、第1電子素子に不具合が発生したときに容易に交換することができる。また、電源供給部を構成する電子素子を選別して一部の電子素子(第2電子素子)は電源ユニットに搭載せずに筐体に固定したので、電源ユニットを小型化できるとともに、電源ユニットを着脱するための筐体の開口部を小さくできる。従って、筐体の剛性が低下することを抑制でき、筐体の変形を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明を適用したコントローラの外観斜視図である。
図2】コントローラの筐体から電源ユニットを取り外した状態を示す斜視図である。
図3】電源ユニットを装着した筐体の内部構造を示す平面図である。
図4】電源ユニットを装着した筐体の内部構造を示す分解斜視図である。
図5】電源ユニットを取り外した筐体の内部構造を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、図面を参照して、本発明を適用したコントローラの実施形態を説明する。本実施形態のコントローラ1は、モータなどのアクチュエータを備えるロボット(マニピュレータ)に電力を供給する装置である。
【0023】
図1は、本発明を適用したコントローラ1の外観斜視図である。図2は、コントローラ1の筐体2から電源ユニット7を取り外した状態を示す斜視図である。図3は、電源ユニット7を装着した筐体2の内部構造を示す平面図であり、筐体2から第2ケース22を取り外してZ2側から見た平面図である。図4は、電源ユニット7を装着した筐体2の内部構造を示す分解斜視図であり、筐体2から第2ケース22を取り外すとともに第2インターフェースパネル24を筐体フレーム25からX1側に取り外した状態を示す分解斜視図である。図5は、電源ユニット7を取り外した筐体2の内部構造を示す分解斜視図であり、筐体2から第2ケース22を取り外して電源ユニット7をX2側に取り外すと共に第2インターフェースパネル24を筐体フレーム25からX1側に取り外した状態を示す分解斜視図である。
【0024】
本明細書において、XYZの3方向は互いに直交する方向である。本明細書では、便宜
的に第1方向Zをコントローラ1の上下方向とする。Z1方向は下方であり、Z2方向は上方である。第2方向Xはコントローラ1の前後方向である。X1方向は前方であり、X2方向は後方である。第3方向Yはコントローラ1の幅方向である。Y1方向とY2方向は、第3方向Yの一方側と他方側である。なお、実際のコントローラ1の使用態様では、第1方向Zが上下方向(鉛直方向)と一致していなくてもよい。
【0025】
(全体構成)
図1図5に示すように、コントローラ1は、金属製の筐体2を備える。筐体2は直方体であり、X1方向を向く前板2aおよびX2方向を向く背面板2bと、Y1方向を向く第1側板2cおよびY2方向を向く第2側板2dと、Z1方向を向く底板2eおよびZ2方向を向く上板2fを備える。本形態では、筐体2を構成する部材は、底板2e、第1側板2c、および背面板2bを備える第1ケース21と、上板2fおよび第2側板2dを備える第2ケース22と、前板2aを構成する第1インターフェースパネル23および第2インターフェースパネル24と、筐体フレーム25と、を備える。
【0026】
図2図4に示すように、筐体フレーム25は、前板2aが固定される矩形枠状の前面フレーム26と、背面板2bが固定される矩形枠状の背面フレーム27と、第2側板2dが固定される矩形枠状の側面フレーム28を備える。側面フレーム28は、X1側の端部が前面フレーム26に固定され、X2側の端部が背面板2bのY2側の縁に固定される。図4図5に示すように、第2インターフェースパネル24のZ1側の端部の内側(X2側)には、筐体2を接地するための接地部材29が配置される。
【0027】
図3に示すように、コントローラ1は、筐体2の内部に配置される通信基板ユニット3、制御回路基板4、駆動回路基板ユニット5、駆動電源回路基板ユニット6、および電源ユニット7を備える。また、コントローラ1は、筐体2の内部において第3方向Yに並べて取り付けられた2個のファン8と、駆動電源回路基板ユニット6のZ2側において第3方向Yに架け渡されて上板2fを底板2e側(Z1側)から支持する補強部材9を備える。補強部材9は、筐体2に固定される電源カバー10と側面フレーム28との間に架け渡される梁部材である。
【0028】
図3に示すように、通信基板ユニット3は、第1インターフェースパネル23の背面側(X2側)に配置される。通信基板ユニット3は、2枚の通信基板および基板固定パネルをスペーサを介して第1方向Zに積層したユニットである。通信基板ユニット3に搭載される複数の外部接続用コネクタ34は、それぞれ、第1インターフェースパネル23に設けられた穴に配置される(図1参照)。
【0029】
通信基板ユニット3の背面側(X2側)には、駆動電源回路基板ユニット6および駆動回路基板ユニット5がこの順で配置される。駆動電源回路基板ユニット6は、2枚の駆動電源回路基板および支持プレートをスペーサを介して第1方向Zに積層したユニットであり、底板2eに固定される。駆動電源回路基板には、コンデンサーなどの電子素子が搭載される。
【0030】
電源ユニット7は、筐体2のY1方向の端に配置される。電源ユニット7は、背面板2bから第2インターフェースパネル24のY1側の端に配置される外部電源コネクタ70の背面側まで延びる細長いユニットである。電源ユニット7の第2方向Xの途中部分は、筐体2に固定される電源カバー10の内側に配置される。電源ユニット7は、後述するように、直流交流変換回路を構成する第1電子素子71を備える。
【0031】
図4に示すように、電源カバー10のZ2側には、外部電源コネクタ70に接続されるヒューズ11が配置される。ヒューズ11は、電源カバー10に対してY2方向で隣り合
う位置に配置されるノイズフィルター12に接続される。ノイズフィルター12は、外部電源コネクタ70からヒューズ11を経由して供給される交流電流に重畳するノイズを除去するためのフィルター回路を備える。図4に示すように、ノイズフィルター12は、板金製のブラケット13を介して底板2eに固定される。
【0032】
電源ユニット7は、ノイズフィルター12から分配される交流電流を5Vの直流電流および24Vの直流電流に変換して、筐体2の底板2eに固定される制御回路基板4(図3参照)に供給する。24Vの直流電流は、制御回路基板4を経由してファン8に供給される。また、電源ユニット7は、交流電流を15Vの直流電流に変換して駆動電源回路基板ユニット6に供給する。駆動電源回路基板ユニット6は、ノイズフィルター12から分配される交流電流を電源ユニット7からの供給電圧とは異なる電圧の駆動電流(直流電流)に変換して駆動回路基板ユニット5に供給する。
【0033】
駆動回路基板ユニット5は、第2インターフェースパネル24に設けられた外部出力コネクタ59に接続される。外部出力コネクタ59にマニピュレータ側のコネクタを接続すると、駆動回路基板ユニット5から出力される駆動電流がマニピュレータに供給される。
【0034】
駆動回路基板ユニット5は、複数の駆動回路基板と、複数の駆動回路基板をXZ面に平行な姿勢で保持する基板ホルダを備える。基板ホルダは、筐体2の底板2eに固定される。各駆動回路基板には、IGBTモジュールなどのパワーモジュールが搭載されており、放熱部材が固定される。駆動回路基板ユニット5は、筐体2の背面板2bに取り付けられた2個のファン8と第2方向Xで対向する。従って、ファン8を駆動すると、駆動回路基板の隙間に冷却風が送風される。
【0035】
制御回路基板4は、筐体2の底部において底板2eに平行となるように配置される。制御回路基板4の上方(Z2方向)には、制御回路基板4に対して垂直な姿勢で駆動回路基板が配置される。駆動回路基板は、第1方向Zに嵌合するコネクタを介して制御回路基板4に接続される。
【0036】
(電源供給部)
コントローラ1は、外部電源コネクタ70から供給される交流電流を直流電流に変換して制御回路基板4および駆動電源回路基板ユニット6に供給する電源供給部14を備える。図3図4図5に示すように、電源供給部14は、筐体2に対して着脱可能な電源ユニット7と、筐体2に固定される第2電子素子15を備える。本形態では、第2電子素子15は、ヒューズ11およびノイズフィルター12を含む。
【0037】
図2図5に示すように、電源ユニット7は、背面板2bのY1側の端部分に設けられた開口部20からX2方向に取り外すことができる。従って、第2方向Xは、筐体2に対する電源ユニット7の着脱方向である。電源ユニット7の外形は、第2方向Xの長さが第3方向Yの最大幅および第1方向Zの最大高さよりも大きい(図2図5参照)。従って、本形態では、電源ユニット7の投影面積が最も小さい方向が、筐体2に対する電源ユニット7の着脱方向になっている。筐体2の開口部20は、電源ユニット7の着脱方向の投影面積に対応する大きさになっている。
【0038】
電源ユニット7は、第2方向Xに延びる筒状のフレーム72と、フレーム72のX2側の端部に固定されるファンカバー73と、ファンカバー73の内側(X1側)に配置されるファン74(図2参照)を備える。また、電源ユニット7は、フレーム72のX1側の端部に配置される入力端子75と、フレーム72のY2側の側面に配置される出力端子76を備える。入力端子75のX2側には、ノイズフィルター12から分配される交流電流を直流電流に変換する直流交流変換回路を構成する第1電子素子71が配置される。
【0039】
図2に示すように、筐体2の背面フレーム27は、開口部20のZ2側の縁に沿って第3方向Yに直線状に延びる第1補強フレーム31と、開口部20のY2側の縁に沿って第1方向Zに直線状に延びる第2補強フレーム32を備える。第1補強フレーム31および第2補強フレーム32は、開口部20を補強する補強部材である。電源ユニット7は、ファンカバー73の外周縁を第1補強フレーム31および第2補強フレーム32にX2側から当接させてねじ止めすることにより、筐体2に固定される。すなわち、ファンカバー73の外周縁は、筐体2に対して第2方向X(すなわち、電源ユニット7の着脱方向)に当接するストッパとして機能する。
【0040】
図5に示すように、フレーム72は、XY面に平行なフレーム上板72aおよびフレーム底板72bと、XZ面に平行なフレーム側板72c、72dを備える。フレーム側板72cは、フレーム上板72aとフレーム底板72bのY1方向の端縁を接続し、フレーム側板72dは、フレーム上板72aとフレーム底板72bのY2方向の端縁を接続する。Y2側のフレーム側板72dには、出力端子76(図3参照)に対するコネクタの着脱を行うための孔が設けられている。フレーム底板72bおよびフレーム側板72cは、背面板2bから第2インターフェースパネル24まで延びているが、フレーム上板72aおよびフレーム側板72dは、電源カバー10のX2側までの長さである(図4参照)。従って、フレーム底板72b上に配置される第1電子素子71の一部はフレーム72から露出し、電源カバー10に覆われている。
【0041】
図4図5に示すように、電源カバー10は、XY面に平行なカバー上板10aと、カバー上板10aのY2側の端縁からZ1側へ屈曲したカバー側板10bを備える。電源カバー10は、カバー上板10aのY1側の端縁に設けられた取付板部(図示省略)を第1側板2cに固定するとともに、カバー側板10bのZ1側の端縁に設けられた取付板部(図示省略)を底板2eに固定することにより、筐体2に固定される。
【0042】
カバー上板10aには2本のヒューズ11が固定される。また、カバー側板10bには、複数の中継コネクタ16が固定される。中継コネクタ16のうちの一部は、カバー側板10bのZ2側の端部に配置される。中継コネクタ16には、電源ユニット7の配線(図示せず)が接続される。電源ユニット7は、中継コネクタ16を経由して制御回路基板4および駆動電源回路基板ユニット6に直流電流を供給する。複数の中継コネクタ16からは、それぞれ、異なる電圧の直流電流が供給される。
【0043】
図4図5に示すように、ノイズフィルター12には、3本の出力端子12a、12b、12cが設けられている。ノイズフィルター12から出力される交流電流は、出力端子12a、12bから駆動電源回路基板ユニット6に分配される。また、ノイズフィルター12から出力される交流電流は、出力端子12cから電源ユニット7に分配される。
【0044】
図3図4に示すように、電源ユニット7の入力端子75は、フレーム72のX1方向の先端に配置される。従って、入力端子75は、ノイズフィルター12のX1側の端部に配置される出力端子12a、12b、12cと隣り合う位置に配置されており、出力端子12cと入力端子75とを接続する配線の経路が短い。入力端子75のZ2側には、第2インターフェースパネル24に取り付けられた外部電源コネクタ70が配置される。外部電源コネクタ70は、電源カバー10のZ2側の表面に設置されるヒューズ11と第2方向Xに対向する。
【0045】
(電源ユニットの着脱方法)
電源ユニット7を筐体2から取り外すときには、まず、筐体2から第2ケース22を取り外す。これにより、中継コネクタ16にアクセス可能になるので、中継コネクタ16か
ら電源ユニット7に接続される配線を取り外す。また、入力端子75および出力端子76にもアクセス可能になるので、入力端子75および出力端子76からも配線を取り外す。本形態では、中継コネクタ16の一部は電源カバー10のZ2側の端に配置され、出力端子76はフレーム側板72dのZ2側の端に配置されるので、第2ケース22を取り外したときに他の部品に隠れておらず、アクセスしやすい。従って、配線を取り外す作業、および、配線を接続する作業が容易である。続いて、ファンカバー73を背面フレーム27に固定するねじを外して、電源ユニット7を筐体2からX2方向に抜き出す。
【0046】
なお、本形態では、図3図4に示すように、電源ユニット7のフレーム上板72aには回生回路モジュール77が固定されるので、電源ユニット7を筐体から抜き出す前に、回生回路モジュール77をフレーム上板72aから取り外しておく。
【0047】
次に、電源ユニット7を筐体2に装着するときには、開口部20にフレーム72のX1方向の先端を挿入する。そして、フレーム底板72bおよびフレーム側板72cをそれぞれ筐体2の底板2eおよび第1側板2cに摺動させながら、電源カバー10の内側にフレーム72を挿入する。すなわち、本形態では、筐体2の底板2eおよび第1側板2cは、電源ユニット7のフレーム72を着脱方向にガイドするガイド部として機能する。そして、ファンカバー73が背面フレーム27に当接する位置まで電源ユニット7を挿入し、ファンカバー73を背面フレーム27にねじ止めする。
【0048】
(本形態の主な効果)
以上のように、本形態のコントローラ1では、外部電源コネクタ70が設けられた筐体2と、外部電源コネクタ70から供給される交流電流を直流電流に変換する電源供給部14と、電源供給部14から直流電流が供給される制御回路基板4と、を有する。電源供給部14は、筐体2に対して着脱可能なフレーム72およびフレーム72に固定される第1電子素子71を備える電源ユニット7と、筐体2に固定される第2電子素子15と、を備える。筐体2は、電源ユニット7が挿抜される開口部20を備える。
【0049】
本形態によれば、電源供給部14を構成する電子素子の一部(第1電子素子71)をフレーム72に搭載して電源ユニット7を構成し、電源ユニット7を挿抜できる開口部20を筐体2に設けている。従って、電源ユニット7以外の部品を筐体2から取り外すことなく、電源ユニット7を容易に筐体2から取り外すことができる。よって、第1電子素子71を含む電源ユニット7の構成部品に不具合が発生したときに、容易に交換することができる。また、電源供給部14を構成する電子素子を選別して一部の電子素子(第2電子素子15)は電源ユニット7に搭載せずに筐体2に固定したので、電源ユニット7を小型化できるとともに、電源ユニット7を着脱するための筐体2の開口部20を小さくできる。従って、筐体2の剛性が低下することを抑制でき、筐体2の変形を抑制できる。また、第1電子素子71として、交換頻度が高い電子素子だけを選別して電源ユニット7に搭載すれば、メンテナンスが容易である。
【0050】
また、電源供給部14を構成する部品の一部をユニット化し、筐体2への着脱を容易にすると、電源ユニット7を取り外すことによって、電源ユニット7の周囲に配置される部品へのアクセスも容易になる。従って、電源ユニット7の周囲の部品に対する作業を行いやすくなるので、メンテナンスが容易である。
【0051】
なお、本形態では、電源ユニット7がファン74を備えているが、ファン74は筐体2に固定されている構成を採用することもできる。また、電源ユニット7に搭載される第1電子素子71は、直流交流変換回路を構成するものに限定されず、他の電子素子を含んでいてもよい。
【0052】
本形態では、筐体2に対して電源ユニット7を挿抜する方向(着脱方向)は第2方向Xであり、電源ユニット7の第2方向Xの長さは、電源ユニット7の第1方向Zの最大高さおよび第3方向Yの最大幅(すなわち、着脱方向と交差する方向の最大幅)よりも大きい。このように、電源ユニット7の投影面積が小さい方向を着脱方向とすることにより、筐体2の開口部20を小さくすることができる。従って、開口部20を設けて電源ユニット7を着脱可能にしたことによる筐体2の剛性低下を抑制でき、筐体2の変形を抑制できる。
【0053】
本形態では、筐体2に開口部20を補強する補強部材が設けられており、背面フレーム27は、開口部20の縁を囲む補強部材である第1補強フレーム31および第2補強フレーム32を備える。従って、補強部材により、開口部20を設けたことによる筐体2の剛性低下を抑えることができるので、筐体2の変形を抑制できる。
【0054】
本形態では、電源ユニット7は、筐体2に対して着脱方向に当接するファンカバー73を備えており、電源ユニット7の着脱時にファンカバー73がストッパとして機能する。従って、電源ユニット7を容易に位置決めできる。また、電源ユニット7を固定位置よりも奥に挿入することを規制できるので、電源ユニット7の装着時に他の部品との衝突によって不具合が発生することを避けることができる。なお、ストッパは、ファンカバー73とは異なる部位に設けてもよい。例えば、フレーム72にストッパを設けることもできる。
【0055】
本形態では、筐体2の底板2eおよび第1側板2cは、フレーム72を着脱方向にガイドするガイド部として機能する。従って、電源ユニット7を正しい位置に装着でき、他の部品との衝突によって不具合が発生することを避けることができる。例えば、電源ユニット7が斜めに挿入されて電源カバー10に衝突して損傷することを避けることができる。
【0056】
本形態では、第2電子素子15は、電源ユニット7に対して第3方向Yで隣り合う位置に配置されるノイズフィルター12を備える。このように、ノイズフィルター12を電源ユニット7に搭載しないようにすれば、電源ユニット7を小型化できる。また、電源ユニット7とノイズフィルター12とを接続する配線の経路を短くすることができる。
【0057】
本形態では、筐体2内に固定される電源カバー10を有しており、電源カバー10の内側に電源ユニット7が挿抜される。電源ユニット7は、第1電子素子71の一部がフレーム72から露出しており、電源ユニット7を筐体2に装着すると、フレーム72から露出した第1電子素子71の部分は、電源カバー10によって覆われる。このようにすると、電源カバー10により、電源ユニット7の近傍に他の部品を設置するスペースを確保できる。例えば、本形態では、電源カバー10のZ2側にヒューズ11を固定しており、電源カバー10によりヒューズ11の設置スペースを確保している。従って、筐体2内のスペースを有効活用することができるとともに、電源ユニット7の近傍にヒューズ11を設置できる。また、電源ユニット7は、電源カバー10と干渉しないようにフレーム上板72aおよびフレーム側板72dの第2方向Xの長さを短くしており、フレーム72を小型化している。従って、電源ユニット7の小型化および軽量化を図ることができる。
【0058】
なお、本形態では、電源供給部14を構成する電子素子のうちで筐体2に固定される第2電子素子15は、ヒューズ11とノイズフィルター12であるが、他の電子素子を第2電子素子15に含めてもよい。また、第2電子素子15は、少なくとも一部を電源カバー10に固定する構成とすることができ、電源カバー10にノイズフィルターを固定する構成を採用することもできる。
【0059】
本形態では、電源カバー10に、電源ユニット7が接続される中継コネクタ16が配置
される。従って、電源ユニット7から出力される直流電流を、中継コネクタ16を介して制御回路基板4等に供給するように構成できる。このような中継コネクタを設けることにより、電源ユニット7の配線を外す際、中継コネクタ16に対して作業を行えばよいので、電源ユニット7の配線を外す作業が容易である。特に、本形態では、中継コネクタ16は、カバー側板10bのZ2側の端に配置され、周囲の部品を取り外さなくてもアクセスできる位置にある。従って、他の部品に隠れた配線を引き出す必要がないので、電源ユニット7の配線を外す作業、および、電源ユニット7の配線を接続する作業が容易である。
【0060】
本形態では、筐体2は、外部電源コネクタ70が設けられた第2インターフェースパネル24、および、第2インターフェースパネル24と対向する背面板2bを備える。開口部20は背面板2bに設けられており、電源ユニット7の第2インターフェースパネル24側の先端に、第2電子素子15(ヒューズ11およびノイズフィルター12)を経由して外部電源コネクタ70に接続される入力端子75が配置される。このような配置にすることで、入力端子75を外部電源コネクタ70の近くに配置できる。従って、配線経路を短くすることができ、配線作業も容易である。
【0061】
本形態では、筐体2は、背面板2bと交差する底板2eを備える。電源ユニット7は、フレーム72における底板2eとは反対側(Z2側)の端部に配置される出力端子76を備える。従って、上板2fを備える第2ケース22を取り外したときに出力端子76が他の部品に隠れずにアクセスしやすい位置にあるので、出力端子76に対する作業が容易であり、他の部品に隠れた配線を引き出す必要がない。よって、電源ユニット7の配線を外す作業、および、電源ユニット7の配線を接続する作業が容易である。
【符号の説明】
【0062】
1…コントローラ、2…筐体、2a…前板、2b…背面板、2c…第1側板、2d…第2側板、2e…底板、2f…上板、3…通信基板ユニット、4…制御回路基板、5…駆動回路基板ユニット、6…駆動電源回路基板ユニット、7…電源ユニット、8…ファン、9…補強部材、10…電源カバー、10a…カバー上板、10b…カバー側板、11…ヒューズ、12…ノイズフィルター、12a、12b、12c…出力端子、13…ブラケット、14…電源供給部、15…第2電子素子、16…中継コネクタ、20…開口部、21…第1ケース、22…第2ケース、23…第1インターフェースパネル、24…第2インターフェースパネル、25…筐体フレーム、26…前面フレーム、27…背面フレーム、28…側面フレーム、29…接地部材、31…第1補強フレーム、32…第2補強フレーム、34…外部接続用コネクタ、59…外部出力コネクタ、70…外部電源コネクタ、71…第1電子素子、72…フレーム、72a…フレーム上板、72b…フレーム底板、72c、72d…フレーム側板、73…ファンカバー、74…ファン、75…入力端子、76…出力端子、77…回生回路モジュール、X…第2方向、Y…第3方向、Z…第1方向
図1
図2
図3
図4
図5