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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023028307
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】コントローラ
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/14 20060101AFI20230224BHJP
   B25J 19/00 20060101ALI20230224BHJP
   H05K 7/04 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
H05K7/14 G
B25J19/00 F
H05K7/04 M
H05K7/04 K
H05K7/04 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021133935
(22)【出願日】2021-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】齋地 正義
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 元
【テーマコード(参考)】
3C707
5E348
【Fターム(参考)】
3C707CY12
3C707CY34
3C707CY37
3C707JS05
3C707MT01
5E348AA16
5E348AA32
(57)【要約】
【課題】筐体の内部スペースを有効活用するとともに、筐体に対する基板の着脱作業および基板に対する検査やメンテナンスを容易にする。
【解決手段】コントローラ1は、筐体2に収容される駆動電源回路基板ユニット6を備える。駆動電源回路基板ユニット6は、第1基板61と、第1基板61と平行な第2基板62と、支持部材63を備える。支持部材63、第1基板61、および第2基板62はこの順に積層されている。筐体2は、支持部材63に当接する底板2eを備えており、支持部材63は、底板2eに設けられた固定孔2hと重なる中心孔67a、69aを備えており、筐体2の外側から支持部材63を底板2eにねじ止めすることができる。支持部材63には、位置決め凸部73が設けられ、底板2eには、位置決め孔74が設けられている。位置決め孔74は、支持部材63を固定するための固定孔2hを兼ねている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、前記第1基板と平行な第2基板と、前記第1基板および前記第2基板が固定される支持部材と、前記第1基板、前記第2基板、および前記支持部材を収容する筐体と、を有し、
前記支持部材、前記第1基板、および前記第2基板はこの順に積層され、
前記筐体は、前記支持部材に当接する外装板を備え、前記支持部材は、前記外装板に設けられた筐体側固定孔と重なる支持部材側固定孔を備え、
前記支持部材と前記外装板の一方には、複数の位置決め凸部が設けられ、前記支持部材と前記外装板の他方には、前記複数の位置決め凸部が嵌まる複数の位置決め孔が設けられていることを特徴とするコントローラ。
【請求項2】
前記支持部材は、前記第1基板に設けられた電子素子およびランドの少なくとも一部と対向する開口部を備えることを特徴とする請求項1に記載のコントローラ。
【請求項3】
前記支持部材は、前記第1基板および前記第2基板と平行な支持プレートと、前記支持プレートに接続される第2基板支持部と、を備え、
前記第1基板は、前記支持プレートに支持され、
前記第2基板は、前記第2基板支持部および前記第1基板に支持されることを特徴とする請求項1または2に記載のコントローラ。
【請求項4】
前記第1基板は、前記支持プレートから前記第1基板側に突出する第1支柱の先端に支持され、
前記第2基板支持部は、前記第1基板と同一面上に位置する板部と、前記板部と前記支持プレートとを接続する接続板部と、前記板部から前記第2基板とは反対側に突出する第2支柱と、を備え、
前記支持プレートおよび前記第2支柱は、それぞれ、前記外装板にねじ止めされることを特徴とする請求項3に記載のコントローラ。
【請求項5】
前記位置決め凸部は、前記第2支柱の先端に設けられ、
前記位置決め孔は、前記外装板に設けられていることを特徴とする請求項4に記載のコントローラ。
【請求項6】
前記筐体側固定孔および前記支持部材側固定孔を複数備え、
前記複数の支持部材側固定孔のうちの一部は、前記位置決め凸部に設けられ、
前記複数の筐体側固定孔のうちの一部は、前記位置決め孔を兼ねていることを特徴とする請求項5に記載のコントローラ。
【請求項7】
前記支持プレートと前記外装板との間に挟まれる板状部材を備え、
前記板状部材は、前記位置決め孔を囲む切欠き部を備えることを特徴とする請求項5または6に記載のコントローラ。
【請求項8】
前記板状部材は、所定の間隔を空けて複数枚配置され、
前記支持プレートと前記外装板との間には、前記板状部材が介在しない隙間が設けられ、
前記隙間にフラットケーブルが配置されることを特徴とする請求項7に記載のコントローラ。
【請求項9】
前記第2基板と前記第1基板の間に配置される導電性の第1スペーサを備えることを特徴とする請求項1から8の何れか一項に記載のコントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の基板を積層して筐体に収容するコントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ロボットを制御するコントローラとして、制御回路基板と、制御回路基板に接続される複数の駆動回路基板を備えるものが記載される。各駆動回路基板は、制御回路基板に対して垂直に立てた状態で配置される。各駆動回路基板には、パワーモジュールおよび金属製のヒートシンクが取り付けられている。
【0003】
特許文献1のコントローラは、直方体状の筐体を備えており、筐体内には、制御回路基板および駆動回路基板のほかに、電源回路基板、通信用インターフェース基板、駆動電圧生成基板(駆動電源回路基板)などの複数の基板が収容される。駆動電圧生成基板(駆動電源回路基板)は大型の基板であり、コンデンサーが搭載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5803213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コントローラの小型化を図るため、駆動電源回路基板を2つに分けて積層して基板ユニットを構成することにより、筐体の内部スペースを有効活用することが提案されている。しかしながら、1枚の基板を2枚に分割すると、筐体内に組み付ける際や、交換のために筐体から取り外す際に、1枚ずつ基板を着脱する作業や、基板間の配線を正しく接続する作業を行わなければならず、多くの手間がかかる。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、筐体の内部スペースを有効活用するとともに、筐体に対する基板の着脱作業および基板に対する検査やメンテナンスを容易にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、第1基板と、前記第1基板と平行な第2基板と、前記第1基板および前記第2基板が固定される支持部材と、前記第1基板、前記第2基板、および前記支持部材を収容する筐体と、を有し、前記支持部材、前記第1基板、および前記第2基板はこの順に積層され、前記筐体は、前記支持部材に当接する外装板を備え、前記支持部材は、前記外装板に設けられた筐体側固定孔と重なる支持部材側固定孔を備え、前記支持部材と前記外装板の一方には、複数の位置決め凸部が設けられ、前記支持部材と前記外装板の他方には、前記複数の位置決め凸部が嵌まる複数の位置決め孔が設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、第1基板、第2基板、および支持部材を積層してユニット化したので、1枚の大型基板に電子素子を搭載する場合と比較して、設置面積を小さくすることができる。従って、筐体内のスペースを有効活用できる。また、第1基板と第2基板を1つのユニットとして取り扱うことができ、筐体に対する着脱作業は、支持部材を外装板に固定するねじを筐体の外側から固定孔に着脱するだけでよい。加えて、支持部材と外装板との間に嵌合構造(位置決め凸部および位置決め孔)が設けられており、筐体に対する支持部材の位置決めが容易である。従って、第1基板および第2基板を筐体に対して容易に着脱
することができ、第1基板および第2基板に対する検査やメンテナンスが容易である。
【0009】
本発明において、前記支持部材は、前記第1基板に設けられた電子素子およびランドの少なくとも一部と対向する開口部を備えることが好ましい。このようにすると、第1基板、第2基板、および支持部材を組み立てたユニットを分解しなくても第1基板上の電子素子やランドにアクセスできる。従って、第1基板上の回路や電子素子に対する検査やメンテナンスを容易に行うことができる。また、開口部を設けた分、支持部材を軽量化することができる。
【0010】
本発明において、前記支持部材は、前記第1基板および前記第2基板と平行な支持プレートと、前記支持プレートに接続される第2基板支持部と、を備え、前記第1基板は、前記支持プレートに支持され、前記第2基板は、前記第2基板支持部および前記第1基板に支持されることが好ましい。このようにすると、第1基板と第2基板の形状および配置の自由度を高めることができる。例えば、第1基板と第2基板をずらして配置することができる。また、第2基板よりも第1基板を小さくすることができる。
【0011】
本発明において、前記第1基板は、前記支持プレートから前記第1基板側に突出する第1支柱の先端に支持され、前記第2基板支持部は、前記第1基板と同一面上に位置する板部と、前記板部と前記支持プレートとを接続する接続板部と、前記板部から前記第2基板とは反対側に突出する第2支柱と、を備え、前記支持プレートおよび前記第2支柱は、それぞれ、前記外装板にねじ止めされることが好ましい。このようにすると、第1支柱によって支持プレートと第1基板との間に隙間を確保できるので、第1基板に配置される電子素子が支持プレートに干渉することを避けることができる。また、第1基板と第2基板との間に配置されるスペーサと、板部と第2基板との間に配置される第2スペーサの長さを同一にすることができる。従って、部品の共通化を図ることができる。
【0012】
本発明において、前記位置決め凸部は、前記第2支柱の先端に設けられ、前記位置決め孔は、前記外装板に設けられていることが好ましい。このようにすると、第1基板、第2基板、および支持部材を組み立てたユニットを筐体に位置決めする際、外装板の位置決め孔を目視で確認しながら第2支柱の先端を位置決め孔に差し込むことができるので、位置決め作業が容易である。
【0013】
本発明において、前記筐体側固定孔および前記支持部材側固定孔を複数備え、前記複数の支持部材側固定孔のうちの一部は、前記位置決め凸部に設けられ、前記複数の筐体側固定孔のうちの一部は、前記位置決め孔を兼ねていることが好ましい。このように、ねじ固定のための固定孔のうちの一部を位置決め孔として兼用することにより、部品形状を単純化することができる。
【0014】
本発明において、前記支持プレートと前記外装板との間に挟まれる板状部材を備え、前記板状部材は、前記位置決め孔を囲む切欠き部を備えることが好ましい。このようにすると、第2支柱の先端が板状部材に干渉することを避けることができる。また、板状部材の切欠き部が位置決め孔を囲む目印になるので、位置決め孔を目視で見つけやすい。
【0015】
本発明において、前記板状部材は、所定の間隔を空けて複数枚配置され、前記支持プレートと前記外装板との間には、前記板状部材が介在しない隙間が設けられ、前記隙間にフラットケーブルが配置されることが好ましい。このようにすると、支持プレートと外装板との隙間にフラットケーブルを引き回すスペースを確保できるので、第1基板および第2基板がフラットケーブルと干渉することを回避できる。
【0016】
本発明において、前記第2基板と前記第1基板の間に配置される導電性の第1スペーサ
を備えることが好ましい。このようにすると、第1スペーサによって第1基板上の回路と第2基板上の回路との導通をとることができるので、配線作業が容易である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、第1基板、第2基板、および支持部材を積層してユニット化したので、1枚の大型基板に電子素子を搭載する場合と比較して、設置面積を小さくすることができる。従って、筐体内のスペースを有効活用できる。また、第1基板と第2基板を1つのユニットとして取り扱うことができ、筐体に対する着脱作業は、支持部材を外装板に固定するねじを筐体の外側から固定孔に着脱するだけでよい。加えて、支持部材と外装板との間に嵌合構造(位置決め凸部および位置決め孔)が設けられており、筐体に対する支持部材の位置決めが容易である。従って、第1基板および第2基板を筐体に対して容易に着脱することができ、第1基板および第2基板に対する検査やメンテナンスが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明を適用したコントローラの外観斜視図である。
図2】第2ケース、第1インターフェースパネル、および筐体フレームの一部を取り外したコントローラの斜視図である。
図3】第1ケース、背面フレーム、および駆動電源回路基板ユニットの分解斜視図である。
図4】駆動電源回路基板ユニットをZ1側から見た斜視図である。
図5】駆動電源回路基板ユニットおよび板状部材の分解斜視図である。
図6】第1ケースおよび駆動電源回路基板ユニットの断面図(図3のA-A位置で切断した断面図)である。
図7】第1ケースおよび駆動電源回路基板ユニットの拡大断面図(図6の領域Bの部分拡大図)である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、図面を参照して、本発明を適用したコントローラの実施形態を説明する。本実施形態のコントローラ1は、モータなどのアクチュエータを備えるロボット(マニピュレータ)に電力を供給する装置である。
【0020】
図1は本発明を適用したコントローラ1の外観斜視図である。図2は第2ケース22、第1インターフェースパネル23、および筐体フレーム25の一部を取り外したコントローラ1の斜視図である。本明細書において、XYZの3方向は互いに直交する方向である。本明細書では、便宜的に第1方向Zをコントローラ1の上下方向とする。Z1方向は下方であり、Z2方向は上方である。第2方向Xはコントローラ1の前後方向である。X1方向は前方であり、X2方向は後方である。第3方向Yはコントローラ1の幅方向である。Y1方向とY2方向は、第3方向Yの一方側と他方側である。なお、実際のコントローラ1の使用態様では、第1方向Zが上下方向(鉛直方向)と一致していなくてもよい。
【0021】
(全体構成)
図1図2に示すように、コントローラ1は、金属製の筐体2を備える。筐体2は直方体であり、X1方向を向く前板2aおよびX2方向を向く背面板2bと、Y1方向を向く第1側板2cおよびY2方向を向く第2側板2dと、Z1方向を向く底板2eおよびZ2方向を向く上板2fを備える。本形態では、筐体2を構成する部材は、底板2e、第1側板2c、および背面板2bを備える第1ケース21と、上板2fおよび第2側板2dを備える第2ケース22と、前板2aを構成する第1インターフェースパネル23および第2インターフェースパネル24と、筐体フレーム25と、を備える。筐体フレーム25は、前板2aが固定される矩形枠状の前面フレーム26と、背面板2bが固定される矩形枠状の背面フレーム27と、第2側板2dが固定される矩形枠状の側面フレーム28を備える
【0022】
図2に示すように、コントローラ1は、筐体2の内部に配置される通信基板ユニット3、制御回路基板4、駆動回路基板ユニット5、駆動電源回路基板ユニット6、および電源ユニット7を備える。また、コントローラ1は、筐体2の背面板2bに第3方向Yに並べて取り付けられた2個のファン8と、筐体2の内部において第3方向Yに架け渡されて上板2fを底板2e側(Z1側)から支持する補強部材9を備える。補強部材9は、筐体2に固定される電源カバー10と側面フレームとの間に架け渡される梁部材である。
【0023】
図2に示すように、通信基板ユニット3は、第1インターフェースパネル23の背面側(X2側)に配置される。通信基板ユニット3は、2枚の通信基板31、32を基板固定パネル33のZ2側にスペーサを介して積層して、基板固定パネル33にねじ止めしたユニットである。通信基板ユニット3に搭載される複数の外部接続用コネクタ34は、それぞれ、第1インターフェースパネル23に設けられた穴に配置される。基板固定パネル33は、第1インターフェースパネル23に固定される。従って、第1インターフェースパネル23を前面フレーム26に固定するねじを外すことにより、第1インターフェースパネル23と通信基板ユニット3を一体にして取り外すことができる。
【0024】
通信基板ユニット3の背面側(X2側)には、駆動電源回路基板ユニット6および駆動回路基板ユニット5がこの順で配置される。駆動電源回路基板ユニット6は、第1基板61と第2基板62を支持部材63(図3図6参照)のZ2側に積層して構成されており、底板2eにねじ止めされている。図2では、第1基板61と第2基板62に搭載される電子素子のうちでコンデンサー64のみを図示しており、他の電子素子は図示を省略している。
【0025】
図2に示すように、電源ユニット7は、筐体2のY1方向の端に配置される。電源ユニット7は、筐体2に対して着脱可能に構成されており、背面板2bのY1側の端部分に設けられた開口部からX2方向に取り外すことができる。電源ユニット7は、背面板2bから第2インターフェースパネル24のY1側の端に配置される外部電源コネクタ70の背面側まで延びる細長いユニットである。電源ユニット7の第2方向Xの途中部分は、筐体2に固定される電源カバー10の内側に配置される。
【0026】
図2に示すように、電源カバー10のZ2側には、外部電源コネクタ70に接続されるヒューズ11が配置される。ヒューズ11は、電源カバー10に対してY2方向で隣り合う位置に配置されるノイズフィルター12に接続される。ノイズフィルター12は、外部電源コネクタ70からヒューズ11を経由して供給される交流電流に重畳するノイズを除去するためのフィルター回路を備える。
【0027】
ノイズフィルター12から出力される交流電流は、駆動電源回路基板ユニット6および電源ユニット7に分配される。電源ユニット7は、ノイズフィルター12から分配される交流電流を5Vの直流電流および24Vの直流電流に変換して、筐体2の底板2eに固定される制御回路基板4(図3参照)に供給する。24Vの直流電流は、制御回路基板4を経由してファン8に供給される。また、電源ユニット7は、交流電流を15Vの直流電流に変換して駆動電源回路基板ユニット6に供給する。駆動電源回路基板ユニット6は、ノイズフィルター12から分配される交流電流を電源ユニット7からの供給電圧とは異なる電圧の駆動電流(直流電流)に変換して駆動回路基板ユニット5に供給する。
【0028】
図2に示すように、駆動回路基板ユニット5は、第3方向Yに一定間隔で並ぶ4枚の駆動回路基板51と、各駆動回路基板51に固定される放熱部材52と、基板ホルダ53を備える。駆動回路基板51には、IGBTモジュールなどのパワーモジュールが搭載され
る。放熱部材52は、パワーモジュールと接触もしくは対向するように取り付けられており、第2方向Xに延びるフィンを備えている。図3に示すように、基板ホルダ53は、筐体2の底板2eに固定される。4枚の駆動回路基板51は、基板ホルダ53により、XZ面に平行な姿勢で保持されており、筐体2の背面板2bに取り付けられた2個のファン8と第2方向Xで対向する。従って、ファン8を駆動すると、駆動回路基板51の隙間に送風され、駆動回路基板51および放熱部材52が冷却される。
【0029】
筐体2の底部には、底板2eに平行となるように制御回路基板4が配置される。制御回路基板4は、底板2eからZ2側に突出する段付きピン2g(図3参照)の先端にねじ止めされる。制御回路基板4の上方(Z2方向)には、制御回路基板4に対して垂直な姿勢で駆動回路基板51が配置される。駆動回路基板51は、第1方向Zに嵌合するコネクタを介して制御回路基板4に接続される。
【0030】
図2に示すように、各駆動回路基板51のX1側の端部には、出力コネクタ56が配置される。出力コネクタ56に接続される配線(図示せず)は、X1側へ引き出されて、第2インターフェースパネル24に設けられた外部出力コネクタ59に接続される。外部出力コネクタ59にマニピュレータ側のコネクタを接続すると、コントローラ1からマニピュレータに電力が供給される。
【0031】
(駆動電源回路基板ユニット)
図3は、第1ケース21、背面フレーム27、および駆動電源回路基板ユニット6の分解斜視図である。図4は、駆動電源回路基板ユニット6をZ1側から見た斜視図である。図5は、駆動電源回路基板ユニット6および板状部材60a、60b、60c、60dの分解斜視図である。図6は、第1ケース21および駆動電源回路基板ユニット6の断面図(図3のA-A位置で切断した断面図)である。図7は、第1ケース21および駆動電源回路基板ユニット6の部分拡大断面図(図6の領域Bの部分拡大図)である。
【0032】
駆動電源回路基板ユニット6は、XY面に平行な第1基板61および第2基板62と、第1基板61および第2基板62が固定される支持部材63を備える。支持部材63、第1基板61、および第2基板62は、この順に第1方向Zに積層されている。図3に示すように、底板2eには、支持部材63と重なる複数の位置に固定孔2hが設けられている。駆動電源回路基板ユニット6は、最下層に配置される支持部材63が筐体2の外側(すなわち、Z1側)から底板2eにねじ止めされることにより、筐体2に固定される。
【0033】
図2図3に示すように、最上層に配置される第2基板62にはコンデンサー64を含む電子素子、導体パターンおよびランドが配置される。第1基板61には、第2基板62に設けられた回路に接続される回路を構成する電子素子、導体パターンおよびランドが配置される。また、第2基板62のX1側の端縁には、コンデンサー64をX1側から囲うように絶縁紙65が配置される。
【0034】
図3に示すように、筐体2の底板2eには、金属製の板状部材60a、60b、60c、60dが固定される。従って、駆動電源回路基板ユニット6は、支持部材63と底板2eとの間に板状部材60a、60b、60c、60dが挟まれた状態となるように筐体2に取り付けられる。板状部材60a、60b、60c、60dは互いに離れているため、隣り合う板状部材の間の位置には、支持部材63と底板2eとの間に隙間S(図7参照)が形成される。駆動電源回路基板ユニット6のX2側に配置される制御回路基板4と駆動電源回路基板ユニット6のX1側に配置される通信基板ユニット3とを接続するフラットケーブル40は、最もY2側に配置される板状部材60aとその隣に配置される60bの間の隙間Sを通過するように引き回されている。フラットケーブル40は、アルミテープ41によりZ2側から覆われている。
【0035】
図4図5に示すように、支持部材63は、第1基板61および第2基板62と平行な支持プレート66と、支持プレート66からZ2側に突出する第1支柱67と、支持プレート66のY2側の端部に設けられた第2基板支持部68を備える。第1基板61は、第1支柱67の先端面に当接する。支持プレート66は、第1基板61に配置される電子素子やランドと対向する開口部66aを備える。
【0036】
第2基板支持部68は、支持プレート66のY2側の端部における第2方向Xの両端に1箇所ずつ設けられている。第2基板支持部68は、支持プレート66に対してZ2側に位置する板部68aと、板部68aと支持プレート66とを接続する接続板部68bと、板部68aからZ2方向へ突出する第2支柱69を備える。接続板部68bは、支持プレート66のX2側の端縁からZ2側へ屈曲して延びており、板部68aは接続板部68bの先端からX1側へ屈曲している。本形態では、板部68aは、第1支柱67に当接した第1基板61と同一面上に位置する。
【0037】
第1基板61と第2基板62の間には、第1方向Zに延びる柱状の第1スペーサ71が配置される。また、支持部材63と第2基板62との間には、第1方向Zに延びる柱状の第2スペーサ72が配置される。第1スペーサ71および第2スペーサ72は、図示しないねじにより、Z2側から第2基板62にねじ止めされる。第1スペーサ71は、第1基板61と第2基板62とが第1方向Zに対向する位置に配置される。第1スペーサ71のZ1方向の先端面には、Z1方向に突出する第1凸部71aが設けられている。
【0038】
第1スペーサ71は、支持部材63の第1支柱67と重なる位置に配置される2本の第1スペーサ71Aと、第1支柱67と重ならない位置に配置される5本の第1スペーサ71Bを含む。2本の第1スペーサ71Aに設けられた第1凸部71aは、第1基板61のX1側の縁に設けられた4箇所の貫通孔61aのうちの2箇所からZ1側に突出して第1支柱67を貫通する中心孔67aに嵌合する(図6図7参照)。また、5本の第1スペーサ71Bに設けられた第1凸部71aは、第1基板61に設けられた5箇所の貫通孔61bに嵌合する(図4参照)。
【0039】
第2スペーサ72は、支持部材63の第2基板支持部68と第2基板62とが第1方向Zに対向する位置に配置される。第2スペーサ72は、第2基板62のY2側の端部における第2方向Xの両端の2箇所に配置される。第2基板62のY2側の端部は、第1基板61のY2側の端部よりもさらにY2側に延びており、第2基板支持部68と第1方向Zに対向する。第2スペーサ72のZ1側の先端面は、第2基板支持部68の板部68aに当接する。第2スペーサ72のZ1側の先端面から突出する第2凸部72aは、板部68aおよび第2支柱69を貫通する中心孔69aに嵌合する(図6図7参照)。
【0040】
図3に示すように、底板2eのY1側の端部に固定される板状部材60aは、第2基板支持部68と対向する。板状部材60aは、Y2側の端の両端を切り欠いた2箇所の切欠き部60eを備える。切欠き部60eは、固定孔2hを囲む形状である。駆動電源回路基板ユニット6を底板2eに固定するときは、支持部材63のY2側の端に設けられる2本の第2支柱69の先端を切欠き部60eに向けて、第2支柱69の先端面から突出する位置決め凸部73を固定孔2hに嵌合させる。これにより、駆動電源回路基板ユニット6が底板2eに対して位置決めされる。
【0041】
図7に示すように、第2支柱69を貫通する中心孔69aは位置決め凸部73の先端面に開口する。底板2eのZ1側から固定孔2hにねじを挿入して中心孔69aにねじ止めすることにより、第2基板支持部68が底板2eねじ止めされる。図3に示すように、本形態では、底板2eに6箇所の固定孔2hが設けられているが、底板2eのY2側の端部
に配置される2箇所の固定孔2hは、支持部材63の位置決め凸部73と嵌合する位置決め孔74として兼用されている。他の4箇所の固定孔2hは、板状部材60c、60dに設けられた貫通孔60fと重なる。従って、底板2eのZ1側から固定孔2hにねじを挿入して貫通孔60fに通し、第1支柱67の中心孔67aにねじ止めすることにより、支持プレート66が底板2eねじ止めされる。
【0042】
(本形態の主な効果)
以上のように、本形態のコントローラ1は、筐体2に収容される駆動電源回路基板ユニット6を備える。駆動電源回路基板ユニット6は、第1基板61と、第1基板61と平行な第2基板62と、第1基板61および第2基板62が固定される支持部材63を備える。支持部材63、第1基板61、および第2基板62はこの順に積層されている。筐体2は、支持部材63に当接する外装板である底板2eを備えており、支持部材63は、底板2eに設けられた筐体側固定孔である固定孔2hと重なる支持部材側固定孔である中心孔67a、69aを備える。底板2eは、筐体2の外側から支持部材63にねじ止めされる。支持部材63には、位置決め凸部73が設けられ、底板2eには、位置決め凸部73が嵌まる位置決め孔74が設けられている。
【0043】
本形態によれば、第1基板61、第2基板62、および支持部材63を積層してユニット化したので、1枚の大型基板に電子素子を搭載する場合と比較して、駆動電源回路基板ユニット6の設置面積を小さくすることができる。従って、筐体2内のスペースを有効活用できる。また、第1基板61と第2基板62を1つのユニットとして取り扱うことができ、筐体2に対する着脱作業は、支持部材63を底板2eに固定するねじを筐体2の外側から底板2eの固定孔2h(筐体側固定孔)に差し込み、支持部材63の第1支柱67および第2支柱69に設けられた中心孔67a、69a(支持部材側固定孔)に着脱するだけでよい。また、支持部材63と底板2eとの間に嵌合構造(位置決め凸部73および位置決め孔74)が設けられているので、筐体2に対する支持部材63の位置決めが容易である。従って、第1基板61および第2基板62を筐体2に対して容易に着脱できるため、第1基板61および第2基板62に対する検査やメンテナンスが容易である。
【0044】
なお、本形態では、支持部材63に位置決め凸部73が設けられ、底板2eに位置決め孔74が設けられているが、位置決め用の嵌合構造の凹凸を逆にしてもよい。すなわち、支持部材63に位置決め孔を設け、底板2eに位置決め凸部を設けてもよい。
【0045】
本形態では、支持部材63は、第1基板61と平行な支持プレート66を備えており、支持プレート66は、第1基板61に設けられた電子素子およびランドの少なくとも一部と対向する開口部66aを備える。従って、駆動電源回路基板ユニット6を分解しなくても、開口部66aから第1基板61上の電子素子やランドにアクセスできるので、第1基板61上の回路や電子素子に対する検査やメンテナンスを容易に行うことができる。また、開口部66aを設けた分、支持部材63を軽量化することができ、駆動電源回路基板ユニット6を軽量化することができる。
【0046】
本形態では、支持部材63は、第1基板61および第2基板62と平行な支持プレート66と、支持プレート66に接続される第2基板支持部68を備える。第1基板61は、支持プレート66に支持され、第2基板62は、第2基板支持部68および第1基板61に支持される。このようにすると、第1基板61と第2基板62の形状および配置の自由度を高めることができる。例えば、第1基板61と第2基板62をずらして配置することができる。また、第2基板62よりも第1基板61を小さくすることができる。
【0047】
本形態では、第1基板61は、支持プレート66から第1基板61側に突出する第1支柱67の先端に支持される。第2基板支持部68は、第1基板61と同一面上に位置する
板部68aと、板部68aと支持プレート66とを接続する接続板部68bと、板部68aから第2基板62とは反対側に突出する第2支柱69を備えており、支持プレート66および第2支柱69は、それぞれ、底板2eにねじ止めされる。このようにすると、第1支柱67により、支持プレート66と第1基板61の間に隙間を確保できるので、第1基板61に配置される電子素子が支持プレート66に干渉することを避けることができる。また、第2基板支持部68は、第1基板61と同一面上に位置する板部68aを備えているので、第1基板61と第2基板62との間に配置される第1スペーサ71と、板部68aと第2基板62との間に配置される第2スペーサ72の長さを同一にすることができる。従って、部品の共通化を図ることができる。
【0048】
本形態では、第2支柱69の先端に位置決め凸部73が設けられ、底板2eに位置決め孔74が設けられている。従って、第1基板61、第2基板62、および支持部材63を組み立てた駆動電源回路基板ユニット6を筐体2に位置決めする際、底板2eの固定孔2h(位置決め孔74)を目視で確認しながら第2支柱69の先端を固定孔2h(位置決め孔74)に差し込むことができる。従って、位置決め作業が容易である。
【0049】
本形態では、第2支柱69を貫通する中心孔69aは、位置決め凸部73の先端に開口しており、底板2eに設けられた固定孔2hのうちの2箇所が、位置決め凸部73が嵌まる位置決め孔74として兼用されている。従って、底板2eの孔を少なくすることができるので、部品形状を単純化できる。
【0050】
本形態では、支持プレート66と底板2eとの間に挟まれる板状部材60aを備えており、板状部材60aは、位置決め孔74を囲む切欠き部60eを備える。従って、第2支柱69の先端が板状部材60aに干渉することを避けることができる。また、板状部材60aの切欠き部60eが位置決め孔74を囲む目印になるので、位置決め孔74を目視で見つけやすい。従って、位置決め作業が容易である。
【0051】
本形態では、複数枚の板状部材60a、60b、60c、60dが所定の間隔を空けて配置される。これにより、支持プレート66と底板2eとの間には、板状部材60aが介在しない隙間Sが形成され、この隙間Sにフラットケーブル40が配置される。従って、駆動電源回路基板ユニット6と底板2eとの間にフラットケーブル40を引き回すスペースを確保できるので、制御回路基板4と通信基板ユニット3を接続するフラットケーブル40が駆動電源回路基板ユニット6に干渉することを避けることができる。
【0052】
本形態では、第2基板62と第1基板61の間に配置される導電性の第1スペーサ71と、第2基板62と板部68aとの間に配置される第2スペーサ72を備える。このようにすると、第1スペーサ71によって第1基板61上の回路と第2基板62上の回路との導通をとることができる。従って、配線作業が容易である。
【符号の説明】
【0053】
1…コントローラ、2…筐体、2a…前板、2b…背面板、2c…第1側板、2d…第2側板、2e…底板、2f…上板、2g…段付きピン、2h…固定孔、3…通信基板ユニット、4…制御回路基板、5…駆動回路基板ユニット、6…駆動電源回路基板ユニット、7…電源ユニット、8…ファン、9…補強部材、10…電源カバー、11…ヒューズ、12…ノイズフィルター、21…第1ケース、22…第2ケース、23…第1インターフェースパネル、24…第2インターフェースパネル、25…筐体フレーム、26…前面フレーム、27…背面フレーム、28…側面フレーム、31、32…通信基板、33…基板固定パネル、34…外部接続用コネクタ、40…フラットケーブル、41…アルミテープ、51…駆動回路基板、52…放熱部材、53…基板ホルダ、56…出力コネクタ、59…外部出力コネクタ、60a、60b、60c、60d…板状部材、60e…切欠き部、60
f…貫通孔、61…第1基板、61a…貫通孔、61b…貫通孔、62…第2基板、63…支持部材、64…コンデンサー、65…絶縁紙、66…支持プレート、66a…開口部、67…第1支柱、67a…中心孔、68…第2基板支持部、68a…板部、68b…接続板部、69…第2支柱、69a…中心孔、70…外部電源コネクタ、71、71A、71B…第1スペーサ、71a…第1凸部、72…第2スペーサ、72a…第2凸部、73…位置決め凸部、74…位置決め孔、S…隙間、X…第2方向、Y…第3方向、Z…第1方向
図1
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図7