(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023028349
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】回路遮断器
(51)【国際特許分類】
H01H 73/12 20060101AFI20230224BHJP
H01H 71/04 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
H01H73/12
H01H71/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021134002
(22)【出願日】2021-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】平下 英里
【テーマコード(参考)】
5G030
【Fターム(参考)】
5G030BA06
5G030CA00
5G030EA01
5G030XX08
5G030YY04
(57)【要約】
【課題】大型化を抑制しつつ補助接点を設けることができる回路遮断器を提供する。
【解決手段】
回路遮断器は、電源に電気的に接続可能な複数の電源側端子と、負荷装置に電気的に接続可能な複数の負荷側端子と、1つの電源側端子と1つの負荷側端子とをそれぞれ電気的に接続可能な複数の接点部と、を備え、複数の接点部のうち負荷装置に応じて選択される接点部は、電源と負荷装置とを電気的に接続する主電路が形成される閉状態と主電路が形成されていない開状態とを開閉動作により切り替え可能な主接点部を構成し、複数の接点部のうち主接点部以外の余剰の少なくとも1以上の接点部は、主接点部における閉状態及び開状態を検出する補助接点部を構成する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源に電気的に接続可能な複数の電源側端子と、
負荷装置に電気的に接続可能な複数の負荷側端子と、
1つの前記電源側端子と1つの前記負荷側端子とをそれぞれ電気的に接続可能な複数の接点部と、
を備え、
前記複数の接点部のうち前記負荷装置に応じて選択される前記接点部は、前記電源と前記負荷装置とを電気的に接続する主電路が形成される閉状態と前記主電路が形成されていない開状態とを開閉動作により切り替え可能な主接点部を構成し、
前記複数の接点部のうち前記主接点部以外の余剰の少なくとも1以上の前記接点部は、前記主接点部における前記閉状態及び前記開状態を検出する補助接点部を構成する、
回路遮断器。
【請求項2】
前記補助接点部は、前記主接点部の開閉動作に連動して、前記主接点部が閉状態のときは前記閉状態を示す第1接続状態と前記主接点部が前記開状態のときは開状態を示す第2接続状態とを切り替える、請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項3】
前記補助接点部は、
当該補助接点部に対応する負荷側端子に対して電気的に接続される第1補助接点と、
前記主接点部が前記閉状態のときに前記第1補助接点に接触する第2補助接点と、
前記主接点部が前記開状態のときに前記第1補助接点に接触する第3補助接点と、
を有する、請求項1又は2に記載の回路遮断器。
【請求項4】
複数の前記電源側端子、複数の前記負荷側端子及び複数の前記接点部が設けられる本体部と、
前記本体部に対して相対的に移動可能に支持され、前記主接点部及び前記補助接点部における開閉動作を制御する接点移動部と、
をさらに備え、
前記接点移動部が一方に移動することにより、前記主接点部が前記閉状態となり、かつ、前記補助接点部において前記第1補助接点と前記第2補助接点とが接触して第1補助電路を形成し、
前記接点移動部が他方に移動することにより、前記主接点部が前記開状態となり、かつ、前記補助接点部において前記第1補助接点と前記第3補助接点とが接触して第2補助電路を形成する、
請求項3に記載の回路遮断器。
【請求項5】
3以上の前記電源側端子と、
3以上の前記負荷側端子と、
3以上の前記接点部と、
を備え、
前記主接点部は、前記3以上の接点部のうち前記負荷装置に応じて選択される2つの前記接点部である、
請求項1~4の何れか一項に記載の回路遮断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回路遮断器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、補助接点装置を備えている回路遮断器が知られている。特許文献1には、回路遮断器の回路が遮断された状態を外部に報知するための外部出力用の補助接点装置を備えている回路遮断器が開示されている。回路遮断器は、電路に介在した接点と、接点の遮断開閉機構の付勢力を蓄積する連結バーと、異常電流が流れた際に接点を強制的に開離する引き外し部材と、引き外し部材により駆動する連結バーの当接によって信号を出力する補助接点装置とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の回路遮断器に対して補助接点装置を適用させる場合には、特許文献1に記載されているように、電路に介在する接点及び遮断開閉機構とは別の位置に、補助接点装置並びに補助接点装置を駆動させる連結バー及び引き外し部材を設ける必要がある。このため、回路遮断器内において、補助接点装置に係る機構を設置可能な十分なスペースを確保する必要がある。
【0005】
ところで、回路遮断器の一例として3以上の負荷側端子を有する回路遮断器が知られている。当該回路遮断器では、回路遮断器に接続される負荷装置の使用電力に応じて3以上の負荷側端子のうち2つの負荷側端子を選択して当該負荷装置から延びる配線を接続させることができる。一方で、選択されなかった1つの負荷側端子、及び当該負荷側端子に接続される接点等の部材は、負荷装置の導電に利用されないため、端子の選択後における有効活用が求められている。
【0006】
本開示は、大型化を抑制しつつ補助接点を設けることができる回路遮断器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面に係る回路遮断器は、電源に電気的に接続可能な複数の電源側端子と、負荷装置に電気的に接続可能な複数の負荷側端子と、1つの電源側端子と1つの負荷側端子とをそれぞれ電気的に接続可能な複数の接点部と、を備え、複数の接点部のうち負荷装置に応じて選択される接点部は、電源と負荷装置とを電気的に接続する主電路が形成される閉状態と主電路が形成されていない開状態とを開閉動作により切り替え可能な主接点部を構成し、複数の接点部のうち主接点部以外の余剰の少なくとも1以上の接点部は、主接点部における閉状態及び開状態を検出する補助接点部を構成する。
【0008】
この回路遮断器は、複数の電源側端子と、複数の負荷側端子と、複数の接点部とを備える。各接点部において、1つの電源側端子と1つの負荷側端子とが電気的に接続できる。複数の接点部のうち負荷装置に応じて主接点部が選択される。主接点部は、電源と負荷装置とを電気的に接続する主電路が形成される閉状態と、主電路が形成されていない開状態とを切り替える。ここで、接点部のうち主接点部以外の余剰の少なくとも1以上の接点部は、補助接点部として閉状態及び開状態を検出する。よって、複数の接点部を有する回路遮断器において、主接点部の選択後、余剰の接点部を補助接点部として活用することができる。このため、この回路遮断器において、接点部以外の空間において新たに補助接点部を設ける空間を確保する必要がなくなる。したがって、この回路遮断器は、大型化を抑制しつつ補助接点を設けることができる。
【0009】
一実施形態に係る回路遮断器において、補助接点部は、主接点部の開閉動作に連動して、主接点部が閉状態のときは閉状態を示す第1接続状態と主接点部が開状態のときは開状態を示す第2接続状態とを切り替えてもよい。この場合、主接点部の開閉動作を行うことで、補助接点部において第1接続状態と第2接続状態とを切り替えられるため、効率よく主接点部における閉状態及び開状態を検出することができる。また、補助接点部は、主接点部の閉状態及び開状態にそれぞれ対応した第1接続状態及び第2接続状態に切り替わる。このため、例えば、主接点部が閉状態又は開状態のいずれか一方のみを検出する補助接点に比べて、上記補助接点部は、主接点部が閉状態及び開状態のいずれであるかをそれぞれ適切に検出することができる。
【0010】
一実施形態に係る回路遮断器において、補助接点部は、当該補助接点部に対応する負荷側端子に対して電気的に接続される第1補助接点と、主接点部が閉状態のときに第1補助接点に接触する第2補助接点と、主接点部が開状態のときに第1補助接点に接触する第3補助接点と、を有してもよい。この場合、例えば、第1補助接点は、主電路を構成し得ない負荷側端子に係る構成を活用することができる。補助接点部は、第1補助接点と第2補助接点とが接触することで、主接点部における閉状態を検出することができる。補助接点部は、第1補助接点と第3補助接点とが接触することで、主接点部における開状態を検出することができる。
【0011】
一実施形態に係る回路遮断器においては、複数の電源側端子、複数の負荷側端子及び複数の接点部が設けられる本体部と、本体部に対して相対的に移動可能に支持され、主接点部及び補助接点部における開閉動作を制御する接点移動部と、をさらに備え、接点移動部が一方に移動することにより、主接点部が閉状態となり、かつ、補助接点部において第1補助接点と第2補助接点とが接触して第1補助電路を形成し、接点移動部が他方に移動することにより、主接点部が開状態となり、かつ、補助接点部において第1補助接点と第3補助接点とが接触して第2補助電路を形成してもよい。この場合、接点移動部の一方又は他方への移動によって主接点部における閉状態及び開状態と、補助接点部における各補助電路の形成とが一体的に完了する。例えば、第1補助電路及び第2補助電路の形成において、主電路の形成と独立した機構を必要としない。したがって、主接点部における閉状態のときの第1補助電路と、主接点部における開状態のときの第2補助電路とを効率よく形成することができる。
【0012】
一実施形態に係る回路遮断器においては、3以上の電源側端子と、3以上の負荷側端子と、3以上の接点部と、を備え、主接点部は、3以上の接点部のうち負荷装置に応じて選択される2つの接点部であってもよい。この場合、3以上の接点部を有する回路遮断器においても、上述した効果と同様の効果を奏する。
【発明の効果】
【0013】
本開示に係る回路遮断器によれば、大型化を抑制しつつ補助接点を設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態に係る回路遮断器の一例を示す斜視断面図である。
【
図2】実施形態に係る回路遮断器の閉状態の一例を示す断面図である。
【
図3】実施形態に係る回路遮断器の開状態の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本開示の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は繰り返さない。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。「上」「下」「左」「右」の語は、図示する状態に基づくものであり、便宜的なものである。
【0016】
図1は、実施形態に係る回路遮断器の一例を示す斜視断面図である。
図2は、実施形態に係る回路遮断器の閉状態の一例を示す断面図である。
図3は、実施形態に係る回路遮断器の開状態の一例を示す断面図である。図中のX方向及びY方向が水平方向であり、Z方向が垂直方向である。X方向、Y方向及びZ方向は、3次元空間の直交座標系における互いに直交する軸方向である。以下では、XY平面に沿った方向を水平方向、Z方向を上下方向ともいう。
図1~
図3に示される回路遮断器1は、不図示の電源と不図示の負荷装置とを電気的に接続する。
【0017】
回路遮断器1は、電源に電気的に接続可能な複数の電源側端子30と、負荷装置に電気的に接続可能な複数の負荷側端子40と、1つの電源側端子30と1つの負荷側端子40とをそれぞれ電気的に接続可能な複数の接点部10と、を備える。回路遮断器1は、例えば、3つの接点部10a,10b,10cと、3つの電源側端子30a,30b,30cと、3つの負荷側端子40a、40b,40cとを備える。回路遮断器1は、本体部3と、漏電を検出する零相変流器5と、プランジャ7aを有する電磁引き外し装置7と、プリント基板9と、接点移動部20とをさらに備える。プリント基板9は漏電が発生したら電磁引き外し装置7を引き外し動作させる漏電検出回路を組み付けている。なお、プリント基板9に搭載されている素子は省略してある。
【0018】
本体部3は、零相変流器5、電磁引き外し装置7、プリント基板9、3つの接点部10、接点移動部20、3つの電源側端子30及び3つの負荷側端子40を収容する筐体である。本体部3は、
図1~
図3に示される右側ケース3aと不図示の左側ケースとを有する。右側ケース3aと左側ケースとが係合することで後述の操作ハンドル21の一部を除く各構成物が本体部3内に収容される。右側ケース3aと左側ケースとは略対称に形成されている。
【0019】
3つの電源側端子30a,30b,30cは、本体部3においてX方向の負方向を向く面(背面)に沿って配置される。3つの負荷側端子40a,40b,40cは、本体部3においてX方向の正方向を向く面(前面)に沿って配置される。例えば、電源側端子30及び各負荷側端子40ともに上下方向に沿って3つの端子が整列して配置されている。本体部3の背面側において、下方に向かって、電源側端子30a,30b,30cが順に配置されている。本体部3の前面側において、下方に向かって、負荷側端子40a,40b,40cが順に配置されている。複数の接点部10は、X方向において、複数の電源側端子30と複数の負荷側端子40との間に配置される。下方に向かって、接点部10a,10b,10cが順に配置されている。
【0020】
3つの電源側端子30を設けた背面は上下方向に沿って延在する面で形成され、3つの負荷側端子40を設けた前面は負荷装置から延在する電線の接続操作がし易いように傾斜して形成されている。また、
図1~3に示されるように一番下の負荷側端子40cの前面側において、3つの孔部を有する閉塞板90により本体部3内外が仕切られている。このように負荷装置と接続されない負荷側端子40cの前面は、閉塞板90により施蓋され、余計な塵等の侵入を抑制している。
【0021】
まず、複数の接点部10について説明する。各接点部10a,10b,10cは、電源側端子30a,30b,30cと、負荷側端子40a,40b,40cとをそれぞれ電気的に接続する。複数の接点部10のうち不図示の負荷装置に応じて選択される接点部10は主接点部11を構成し、複数の接点部10のうち主接点部11以外の余剰の少なくとも1以上の接点部10は補助接点部15を構成する。例えば、主接点部11は、負荷装置の使用時の電圧値又は電流値に応じて選択される。本実施形態においては、主接点部11は、複数の接点部10のうち上方に位置する2つの接点部10a,10bから構成される。補助接点部15は、複数の接点部10のうち下方に位置する1つの接点部10cから構成される。
【0022】
主接点部11は、電源側端子30と負荷側端子40とを繋ぐ主電路が形成される閉状態と主電路が形成されていない開状態とを接点移動部20による開閉動作により切り替えることができる。主接点部11は、例えば、2つの電源側端子30a,30bにそれぞれ電気的に接続される第1電源接点12a及び第2電源接点12bと、2つの負荷側端子40a,40bにそれぞれ電気的に接続される第1負荷接点13a及び第2負荷接点13bと、を有する。第1負荷接点13a及び第2負荷接点13bは、本体部3内において位置が固定されている。
【0023】
第1電源接点12aは、後述の接点移動部20により第1負荷接点13aに対して相対的に移動し、互いに接触又は離間が可能である。第2電源接点12bは、後述の接点移動部20により第2負荷接点13bに対して相対的に移動し、互いに接触又は離間が可能である。第1電源接点12aと第1負荷接点13aとが接触すると共に、第2電源接点12bと第2負荷接点13bとが接触しているとき、主電路が形成される閉状態となる。第1電源接点12aと第1負荷接点13aとが離間する、又は、第2電源接点12bと第2負荷接点13bとが離間しているとき、主電路が形成されていない開状態となる。第1電源接点12a及び第2電源接点12bと、第1負荷接点13a及び第2負荷接点13bとのそれぞれの接触又は離間状態とが接点移動部20の開閉動作により切り替えられる。
【0024】
閉状態においては、電源と負荷装置とを電気的に接続する主電路が形成される。主電路は、例えば、電源から発された電流が電源側端子30a、第1電源接点12a、第1負荷接点13a、負荷側端子40a、負荷装置、負荷側端子40b、第2負荷接点13b、第2電源接点12b、電源側端子30bを順に通り、最終的に電源に戻るように構成された回路である。主電路の詳細な形成方法については後述する。
【0025】
補助接点部15は、主接点部11における閉状態及び開状態を検出する。補助接点部15は、主接点部11の開閉動作に連動して、主接点部11が閉状態のときは閉状態を示す第1接続状態と、主接点部11が開状態のときは開状態を示す第2接続状態とを切り替える。補助接点部15は、閉状態を検出する場合の第1接続状態を示す信号を外部に出力すると共に、開状態を検出する場合の第2接続状態を示す信号を外部に出力する。
【0026】
補助接点部15は、当該補助接点部15に対応する負荷側端子40cに対して電気的に接続される第1補助接点16cと、主接点部11が閉状態のときに第1補助接点16cに接触する第2補助接点16aと、主接点部11が開状態のときに第1補助接点16cに接触する第3補助接点16bと、を有する。
【0027】
第1補助接点16cは、上下両面に電気的に接続可能な金属面を有する。第1補助接点16cは、本体部3内において位置が固定されている。第2補助接点16aは、第1補助接点16cより上方に位置する。第2補助接点16aは、後述の接点移動部20により第1補助接点16cに対して相対的に移動し、互いに接触又は離間が可能である。第3補助接点16bは、第1補助接点16cより下方に位置する。第3補助接点16bは、後述の接点移動部20により第1補助接点16cに対して相対的に移動し、互いに接触又は離間が可能である。
【0028】
補助接点部15は、負荷側端子40cを介して第1補助接点16cに電気的に接続される導線17cと、第2補助接点16aに電気的に接続される導線17aと、第3補助接点16bに電気的に接続される導線17bと、をさらに有する。導線17a,17b,17cは、閉塞板90に設けられた3つの孔部にそれぞれ挿通される。導線17a,17b,17cは、例えば、回路遮断器1外に設けられた不図示の報知装置に接続される。報知装置は、導線17cと導線17aとに接続される第1報知部と、導線17cと導線17bとに接続される第2報知部とを有する。第1報知部及び第2報知部は、例えば、外部に向かって発光する発光素子と、補助電源とをそれぞれ有する。
【0029】
第1補助接点16cと第2補助接点16aとが接触しているとき、導線17c,17a及び第1報知部により第1補助電路が形成される第1接続状態となる。第1補助接点16cと第3補助接点16bとが接触しているとき、導線17c,17b及び第2報知部により第2補助電路が形成される第2接続状態となる。第1補助接点16cと、第2補助接点16a及び第3補助接点16bとのそれぞれの接触状態が接点移動部20の開閉動作により切り替えられ、第1補助電路又は第2補助電路が形成される。
【0030】
接点移動部20は、本体部3に対して相対的に移動可能に支持され、主接点部11及び補助接点部15における開閉動作を制御する。接点移動部20は、操作ハンドル21と、セパレータ23と、開閉機構部25と、コイルばね27を有する。操作ハンドル21は、主電路と、第1補助電路と、第2補助電路とに対して通電(オン)操作又は遮断(オフ)操作可能な治具である。
【0031】
セパレータ23は接点部10を開閉操作する。セパレータ23は、上下方向に延在し、筒状に形成されている。セパレータ23は、コイルバネ27により常時上方に付勢された状態で本体部3の前面に沿って配置されている。セパレータ23は、各接点部10を収容する。セパレータ23内において、第1負荷接点13a、第2負荷接点13b及び第1補助接点16cは、セパレータ23と共に移動せず、本体部3に対して位置を変えないように固定されている。セパレータ23内において、第1電源接点12a、第2電源接点12b、第2補助接点16a及び第3補助接点16bは、それぞれセパレータ23と共に移動可能なように、セパレータ23に固定されて設けられている。
【0032】
開閉機構部25はラッチ機構を有する。開閉機構部25は、漏電又は過電流等の電路異常が発生した際にセパレータ23を動作させて接点部10を遮断動作させる開閉機構を有する。開閉機構部25はセパレータ23の上部に一体に形成され、
図2に示される閉状態(オン状態)ではラッチ状態にあり、セパレータ23を下方にスライドした状態を維持している。セパレータ23は、上方に付勢された状態にあるため、漏電又は過電流等の電路異常が発生した際には後述の引き外し部材35の係合動作により開閉機構部25の内部のラッチ機構(不図示)がラッチ解除動作し、セパレータ23は開放されて
図3に示されるように上方にスライドして遮断動作(開状態へ移行)する。
【0033】
3つの電源側端子30は、電源からの電流を接点部10に通電可能に構成されると共に、接点部10からの電流を電源へ通電可能に構成されている。3つの電源側端子30は、3つの端子金具31、2つの帯板32、2つのバイメタル片33、2つの可動電磁片34及び引き外し部材35を有する。電源側端子30a,30b,30cは、それぞれ略C字状に形成された端子金具31,31,31を有する。端子金具31は、分電盤内に配設された導体バー(不図示)を挿入するだけで接続されるプラグイン式の端子として形成されている。電源側端子30b,30cの端子金具31,31には帯板(導体板)32,32が延設されている。
【0034】
帯板32のX方向の前面側には、バイメタル片33及び可動電磁片34が取り付けられている。バイメタル片33は、過電流を検知する。可動電磁片34は、短絡を検知する。バイメタル片33及び可動電磁片34は、双方ともX方向の前面側に向けて配置され、過電流又は短絡電流を検知した際に上方に変形或いは回動動作するよう取り付けられている。なお、バイメタル片33と可動電磁片34は、電磁引き外し装置7と合わせて電路の異常を検知する異常検出部を構成している。
【0035】
引き外し部材35は、電磁引き外し装置7、バイメタル片33及び可動電磁片34、の動作を開閉機構部25に伝達し、開閉機構部25のラッチを解除して遮断動作させる。引き外し部材35は、3つの電源側端子30の配列に合わせた長さを有し、異常検出部を挟んで3つの電源側端子30に近接して端子配列と並行に上下方向に配置される。引き外し部材35は、電磁引き外し装置7、並びに2つの電源側端子30b,30cの電路に設けられたバイメタル片33及び可動電磁片34に係合して開閉機構部25に異常検出動作を伝達するための複数の係合部(不図示)を備えている。
【0036】
3つの負荷側端子40は、接点部10からの電流を負荷装置に通電可能に構成されると共に、負荷装置からの電流を接点部10へと通電可能に構成されている。各負荷側端子40は、端子金具41を有する。端子金具41は、挿入した導線(負荷側端子40a,40bに係る導線は不図示)を係止して電気的な接続が成される速結端子として形成されている。例えば、補助接点部15と接続される負荷側端子40cは、導線17cと電気的に接続されている。また、各端子金具41は後方へ延びた帯板42を有する。各帯板42は、各先端に第1負荷接点13a、第2負荷接点13b、及び第1補助接点16cがそれぞれ接続されている。
【0037】
次に、回路遮断器1における閉状態及び開状態の検出動作について説明する。まず、
図2に示される主電路の閉状態の検出動作について説明する。接点移動部20において、例えば手動により操作ハンドル21で通電操作することで、セパレータ23は下方(一方)に移動する。
【0038】
このとき、通電操作によるセパレータ23の移動と共に、第1電源接点12aは下方に移動し、第1負荷接点13aの上面と接触する。セパレータ23と共に第2電源接点12bは、下方に移動して第2負荷接点13bの上面と接触する。第1電源接点12aと第1負荷接点13aとの接触、及び第2電源接点12bと第2負荷接点13bとの接触が行われることで、電源と負荷装置とを電気的に接続する主電路が形成される。このように、主接点部11及び接点移動部20により主電路が形成され、閉状態となる。
【0039】
また、通電操作によるセパレータ23の移動と共に、第2補助接点16aは下方に移動し、第1補助接点16cの上面と接触する。このとき、通電操作によるセパレータ23の移動と共に、第3補助接点16bは下方に移動し、第1補助接点16cの下面から離間する。これにより、第1補助電路が閉状態となり第1報知部において補助電源からの電流が発光素子に供給されることで発光信号を報知することができる。一方で、第2補助電路が開状態となり第2報知部において補助電源からの電流が発光素子に供給できないため、第2報知部から発光信号を報知することができない。このように、補助接点部15は、第1補助電路を形成し、第2補助電路を形成しないことで、主接点部11が閉状態のときは閉状態を示す第1接続状態とすることができる。よって、接点部10及び接点移動部20により主電路が閉状態となると共に、第1補助電路が形成され、第1報知部により主電路が閉状態となったことが報知される。
【0040】
続いて、
図3に示される主電路の開状態の検出動作について説明する。接点移動部20において、例えば手動による操作ハンドル21の遮断操作、又は開閉機構部25のラッチ解除動作により、セパレータ23は上方(他方)に移動する。
【0041】
このとき、遮断動作によるセパレータ23の移動と共に、第1電源接点12aは上方に移動し、第1負荷接点13aの上面から離間する。遮断動作によるセパレータ23の移動と共に、第2電源接点12bは上方に移動して第2負荷接点13bの上面から離間する。このように、主接点部11及び接点移動部20により主電路が形成されなくなり、開状態となる。
【0042】
また、遮断動作によるセパレータ23の移動と共に、第2補助接点16aは上方に移動し、第1補助接点16cの上面から離間する。遮断動作によるセパレータ23の移動と共に、第3補助接点16bは上方に移動し、第1補助接点16cの下面と接触する。これにより、第2補助電路が閉状態となり第2報知部において補助電源からの電流が発光素子に供給されることで発光信号を報知することができる。一方で、第1補助電路が開状態となり第1報知部において補助電源からの電流が発光素子に供給できないため、第1報知部から発光信号を報知することができない。このように、補助接点部15は、第2補助電路を形成し、第1補助電路を形成しないことで、主接点部11が開状態のときは開状態を示す第2接続状態とすることができる。よって、接点部10及び接点移動部20により主電路が開状態となると共に、第2補助電路が形成され、第2報知部により主電路が開状態となったことが報知される。
【0043】
以上のように、本実施形態の回路遮断器1は、複数の接点部10のうち負荷装置に応じて主接点部11が選択される。主接点部11は、電源と負荷装置とを電気的に接続する主電路が形成される閉状態と、主電路が形成されていない開状態とを開閉動作により切り替える。ここで、接点部10のうち主接点部11以外の余剰の少なくとも1以上の接点部10は、補助接点部15として閉状態及び開状態を検出する。よって、複数の接点部10を有する回路遮断器1において、主接点部11の選択後、余剰の接点部10を補助接点部15として活用することができる。このため、この回路遮断器1において、接点部10以外の空間において新たに補助接点部15を設ける空間を確保する必要がなくなる。したがって、この回路遮断器1は、大型化を抑制しつつ補助接点(補助接点部15)を設けることができる。なお、本実施形態の一例として、回路遮断器1は、3以上の電源側端子30と、3以上の負荷側端子40と、3以上の接点部10と、を備え、主接点部11は、3以上の接点部10のうち負荷装置に応じて選択される2つの接点部10である。
【0044】
また、回路遮断器1において、補助接点部15は、主接点部11の開閉動作に連動して、主接点部11が閉状態のときは閉状態を示す第1接続状態と主接点部11が開状態のときは開状態を示す第2接続状態とを切り替える。この場合、主接点部11の開閉動作を行うことで、補助接点部15において第1接続状態と第2接続状態とを切り替えられるため、効率よく主接点部11における閉状態及び開状態を検出することができる。また、補助接点部15は、主接点部11の閉状態及び開状態にそれぞれ対応した第1接続状態及び第2接続状態に切り替わる。このため、例えば、主接点部11が閉状態又は開状態のいずれか一方のみを検出する補助接点に比べて、上記補助接点部15は、主接点部11が閉状態及び開状態のいずれであるかをそれぞれ適切に検出することができる。
【0045】
また、回路遮断器1において、補助接点部15は、当該補助接点部15に対応する負荷側端子40cに対して電気的に接続される第1補助接点16cと、主接点部11が閉状態のときに第1補助接点16cに接触する第2補助接点16aと、主接点部11が開状態のときに第1補助接点16cに接触する第3補助接点16bと、を有する。この場合、例えば、第1補助接点16cは、主電路を構成し得ない負荷側端子40cに係る構成を活用することができる。補助接点部15は、第1補助接点16cと第2補助接点16aとが接触することで、主接点部11における閉状態を検出することができる。補助接点部15は、第1補助接点16cと第3補助接点16bとが接触することで、主接点部11における開状態を検出することができる。
【0046】
また、回路遮断器1においては、複数の電源側端子30、複数の負荷側端子40及び複数の接点部10が設けられる本体部3と、本体部3に対して相対的に移動可能に支持され、主接点部11及び補助接点部15における開閉動作を制御する接点移動部20と、をさらに備え、接点移動部20が下方(一方)に移動することにより、主接点部11が閉状態となり、かつ、補助接点部15において第1補助接点16cと第2補助接点16aとが接触して第1補助電路を形成し、接点移動部20が上方(他方)に移動することにより、主接点部11が開状態となり、かつ、補助接点部15において第1補助接点16cと第3補助接点16bとが接触して第2補助電路を形成してもよい。この場合、接点移動部20の下方(一方)又は上方(他方)への移動によって主接点部11における閉状態及び開状態と、補助接点部15における各補助電路の形成とが一体的に完了する。例えば、第1補助電路及び第2補助電路の形成において、主電路の形成と独立した機構を必要としない。したがって、主接点部11における閉状態のときの第1補助電路と、主接点部11における開状態のときの第2補助電路とを効率よく形成することができる。
【0047】
[変形例]
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、本開示は、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な省略、置換、及び変更がなされてもよい。例えば、回路遮断器1の他に、電源、負荷装置、第1報知部及び第2報知部の少なくとも1つを備える回路遮断器システムを一体的に形成してもよい。
【0048】
例えば、回路遮断器1において、3つの接点部10に対していずれの接点部10を主接点部11として選択してもよく、いずれの接点部10を余剰の接点部10として補助接点部15として選択してもよい。例えば、上述の実施形態では、2つの接点部10a、10bを2つの主接点部11としたがこの態様に限定されない。例えば、回路遮断器1において、2つの主接点部11として接点部10a,10cを選択する場合、補助接点部15として接点部10bが選択されてもよい。また、2つの主接点部11として接点部10b,10cを選択する場合、補助接点部15として接点部10aが選択されてもよい。このとき、選択された主接点部11の位置に応じて、負荷装置と接続する負荷側端子40が決定される。
【0049】
また、例えば、回路遮断器1において、接点部10の数は複数であればよく、接点部10の数は限定されない。例えば、回路遮断器1は、2の接点部10を有してもよいし、4以上の接点部10を有してもよい。このとき、複数の接点部10に対していずれの接点部10を主接点部11として選択してもよく、いずれの接点部10を余剰の接点部10として補助接点部15として選択してもよい。回路遮断器1が4以上の接点部10を有する場合、回路遮断器1は、接点部10のうち1つの接点部10を補助接点部15としてもよいし、複数の接点部10を複数の補助接点部15としてもよい。回路遮断器1が複数の補助接点部15を有する場合、各補助接点部15において第1接続状態及び第2接続状態を切り替えることができるので、より確実に主電路の閉状態及び開状態を報知することができる。
【0050】
また、補助接点部15は、閉状態及び開状態を検出可能な態様であれば、補助接点部15の数、並びに、補助接点部15に係る電路及び報知部等の構成は任意に設定されてよい。例えば、補助接点部15は、主接点部11の開閉動作に連動して、主接点部11が閉状態のときと主接点部11が開状態のときとのいずれか一方を示す接続状態と、他方を示す非接続状態とを切り替えてよい。例えば、接続状態とは、補助接点部15によって補助電路が形成された状態であり、非接続状態とは、当該補助電路が形成されていない状態を指す。補助接点部15は、接続状態と非接続状態とにより主接点部11の開状態及び閉状態を検出する。具体的には、補助接点部15は、第1補助電路又は第2補助電路のいずれかを有さなくてもよい。例えば、補助接点部15は、第2補助電路の構成である第3補助接点16b、導線17b及び第2報知部を有さなくてもよい。このとき、主接点部11において主電路が形成される閉状態の場合、第1補助電路が形成され、第1報知部において発光素子が発光する接続状態となる。一方で、主接点部11において主電路が形成されない開状態の場合、第1補助電路が形成されず、第1報知部において発光素子が発光しない非接続状態となる。よって、補助接点部15は、主電路の閉状態を第1報知部における発光素子の発光により検出する接続状態と、主電路の開状態を第1報知部における発光素子の消光により検出する非接続状態とを切り替えることができる。なお、例えば、補助接点部15は、第2補助電路の構成を有した上で、第1補助電路の構成である第2補助接点16a、導線17a及び第1報知部を有さなくてもよい。
【0051】
回路遮断器1は、本体部3及び接点移動部20を備えなくてもよい。この場合、例えば、閉状態の主電路により供給される電流を利用して、補助接点部15において第1接続状態となるように第2補助接点16aを第1補助接点16cに向けて移動させてもよい。開状態の主電路から電流が供給されなくなると、第2補助接点16aが第1補助接点16cから離間するようにばね等の付勢力を利用して物理的に離間させてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1…回路遮断器、3…本体部、10,10a,10b,10c…接点部、11…主接点部、12a…第1電源接点、12b…第2電源接点、13a…第1負荷接点、13b…第2負荷接点、15…補助接点部、16a…第2補助接点、16b…第3補助接点、16c…第1補助接点、17a,17b,17c…導線、20…接点移動部、21…操作ハンドル、23…セパレータ、25…開閉機構部、30,30a,30b,30c…電源側端子、40,40a,40b,40c…負荷側端子。