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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023028352
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20210101AFI20230224BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20230224BHJP
   H04N 23/57 20230101ALI20230224BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20230224BHJP
【FI】
G02B7/02 E
H04N5/225 100
H04N5/225 700
G02B7/02 D
G02B7/02 Z
G03B17/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021134008
(22)【出願日】2021-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】日本電産コパル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109896
【弁理士】
【氏名又は名称】森 友宏
(72)【発明者】
【氏名】万代 晴彦
【テーマコード(参考)】
2H044
2H100
5C122
【Fターム(参考)】
2H044AD02
2H044AE06
2H044AJ02
2H100BB06
2H100BB11
5C122EA55
5C122FB20
5C122GE01
5C122GE05
5C122GE11
5C122GE21
(57)【要約】
【課題】2つの回路基板を安価な構成で電気的に接続することができる撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置1は、レンズ鏡筒3が取り付けられるフロントケース10と、フロントケース10に並べて配置されるリアケース20と、フロントケース10とリアケース20との間を封止する防水パッキン41と、XY平面上で位置が調整された状態でフロントケース10に固定される第1の回路基板51と、第1の回路基板51に並べて配置される第2の回路基板52とを備える。第2の回路基板52は第1の回路基板51のコネクタ54と嵌合するコネクタ55を有する。防水パッキン41はフロントケース10の対向面16に形成された凹部17に収容される。リアケース20はフロントケース10の対向面16に当接する当接部26を有する。リアケース20の当接部26の幅WRA,WRBは、フロントケース10の凹部17の幅WFA,WFBよりも許容移動量TA,TBだけ大きい。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのレンズを保持するレンズ鏡筒と、
前記レンズ鏡筒が取り付けられる第1のケースと、
第1の方向に沿って前記第1のケースに並べて配置される第2のケースと、
前記第1のケースと前記第2のケースとの間を封止する封止部材と、
前記第1の方向と垂直な第2の方向に調整された位置で前記第1のケースに固定される第1の回路基板であって、
前記少なくとも1つのレンズを通過した光が結像する位置に配置される撮像素子と、
前記撮像素子と電気的に接続される第1のコネクタと
を有する第1の回路基板と、
前記第1の方向に沿って前記第1の回路基板に並べて配置される第2の回路基板であって、
前記第1の回路基板の前記第1のコネクタと嵌合し、前記第1のコネクタと電気的に接続される第2のコネクタと、
前記第2のコネクタと電気的に接続される第3のコネクタと
を有する第2の回路基板と
を備え、
前記第1のケースは、前記第2のケースに対向し、前記封止部材を収容する凹部が形成された対向面を有し、
前記第2のケースは、
前記第2の回路基板の前記第3のコネクタを保持するコネクタ保持部と、
前記第1の方向において前記第1のケースの前記対向面に当接する当接部と
を有し、
前記第2の方向における前記第2のケースの前記当接部の幅は、前記第2の方向における前記第1のケースの前記凹部の幅よりも第1の許容移動量だけ大きい、
撮像装置。
【請求項2】
前記第1のケースは、前記第2の方向において前記第2のケースの前記当接部の外側を覆う第1の保護壁をさらに有する、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第1の保護壁は、前記第2のケースが設計位置から前記第2の方向に前記第1の許容移動量だけ移動した場合においても前記第1の保護壁の外面が前記第2のケースの外面よりも外側に位置するように構成される、請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第1の回路基板は、前記第1の方向と垂直な第3の方向に調整された位置で前記第1のケースに固定され、
前記第3の方向における前記第2のケースの前記当接部の幅は、前記第3の方向における前記第1のケースの前記凹部の幅よりも第2の許容移動量だけ大きい、
請求項1から3のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第1のケースは、前記第3の方向において前記第2のケースの前記当接部の外側を覆う第2の保護壁をさらに有する、請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第2の保護壁は、前記第2のケースが設計位置から前記第3の方向に前記第2の許容移動量だけ移動した場合においても前記第2の保護壁の外面が前記第2のケースの外面よりも外側に位置するように構成される、請求項5に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に係り、特に2つの回路基板を含む撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、カメラなどの撮像装置においては、例えば2つのケースからなるハウジングの内部に撮像素子やレンズなどが収容される(例えば、特許文献1参照)。近年では、カメラに内蔵される電気部品の数が増えているため、ハウジング内に複数の回路基板が収容されることも多くなってきている。この場合において、撮像素子が実装される回路基板はレンズの光軸に対して調心する必要があるため、2つの回路基板の位置が光軸に垂直な方向にずれることが考えられる。
【0003】
従来から、このような光軸に垂直な方向に位置がずれる可能性がある2つの回路基板を電気的に接続する構造として、変形可能な曲げ部を有するリジッドフレキシブル基板が用いられている。このようなリジッドフレキシブル基板を用いた場合には、その曲げ部によって2つの回路基板の間の位置ずれを吸収することが可能である。しかしながら、このようなリジッドフレキシブル基板は、一般的なコネクタ構造に比べて高価なものである。このため、撮像装置のハウジング内の2つの回路基板をより安価な構成で電気的に接続することができる技術が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-162556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、2つの回路基板を安価な構成で電気的に接続することができる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、2つの回路基板を安価な構成で電気的に接続することができる撮像装置が提供される。この撮像装置は、少なくとも1つのレンズを保持するレンズ鏡筒と、上記レンズ鏡筒が取り付けられる第1のケースと、第1の方向に沿って上記第1のケースに並べて配置される第2のケースと、上記第1のケースと上記第2のケースとの間を封止する封止部材と、上記第1の方向と垂直な第2の方向に調整された位置で上記第1のケースに固定される第1の回路基板と、上記第1の方向に沿って上記第1の回路基板に並べて配置される第2の回路基板とを備える。上記第1の回路基板は、上記少なくとも1つのレンズを通過した光が結像する位置に配置される撮像素子と、上記撮像素子と電気的に接続される第1のコネクタとを有する。上記第2の回路基板は、上記第1の回路基板の上記第1のコネクタと嵌合し、上記第1のコネクタと電気的に接続される第2のコネクタと、上記第2のコネクタと電気的に接続される第3のコネクタとを有する。上記第1のケースは、上記第2のケースに対向し、上記封止部材を収容する凹部が形成された対向面を有する。上記第2のケースは、上記第2の回路基板の上記第3のコネクタを保持するコネクタ保持部と、上記第1の方向において上記第1のケースの上記対向面に当接する当接部とを有する。上記第2の方向における上記第2のケースの上記当接部の幅は、上記第2の方向における上記第1のケースの上記凹部の幅よりも第1の許容移動量だけ大きい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本発明の一実施形態における撮像装置を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示す撮像装置の分解斜視図である。
図3図3は、図1に示す撮像装置の縦断面図である。
図4A図4Aは、図1に示す撮像装置におけるフロントケースを示す斜視図である。
図4B図4Bは、図4Aに示すフロントケースの背面図である。
図5図5は、図1に示す撮像装置におけるリアケースを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る撮像装置の実施形態について図1から図5を参照して詳細に説明する。図1から図5において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。また、図1から図5においては、各構成要素の縮尺や寸法が誇張されて示されている場合や一部の構成要素が省略されている場合がある。以下の説明では、特に言及がない場合には、「第1」や「第2」などの用語は、構成要素を互いに区別するために使用されているだけであり、特定の順位や順番を表すものではない。
【0009】
図1は本発明の一実施形態における撮像装置1を示す斜視図、図2は分解斜視図、図3は縦断面図である。図1から図3に示すように、撮像装置1は、フロントケース10(第1のケース)とリアケース20(第2のケース)とから構成されるハウジング2と、フロントケース10に取り付けられるレンズ鏡筒3とを有している。なお、本実施形態では、便宜的に、図1における+Z方向を「前」又は「前方」といい、-Z方向を「後」又は「後方」ということとする。
【0010】
図4Aはフロントケース10の斜視図、図4B図4Aに示すフロントケースの背面図である。図2図4A、及び図4Bに示すように、フロントケース10は、略直方体状の基部11と、基部11から+Z方向に延びる円筒部12とを有している。図2に示すように、フロントケース10の円筒部12の内側の開口部12Aにはレンズ鏡筒3がOリング42(図3参照)を介して固定されている。フロントケース10の基部11の内側には後述する回路基板51を収容する収容空間11Aが形成されている。また、フロントケース10の基部11の四隅には-Z方向に延びる脚部13が形成されており、それぞれの脚部13にはネジ孔14が形成されている。
【0011】
図3に示すように、レンズ鏡筒3は、6枚のレンズ31~36と、赤外線波長の光をカットするIRカットフィルタ37と、これらのレンズ31~36及びIRカットフィルタ37を保持するレンズバレル38とを備えている。レンズ31とレンズバレル38との間にはOリング43が配置されている。
【0012】
図2に示すように、リアケース20は、矩形枠状の基部21と、基部21から-Z方向に延びるコネクタ接続部22とを有している。リアケース20の基部21の内側には後述する回路基板52を収容する収容空間21Aが形成されている。リアケース20の基部21の四隅にはZ方向に延びる挿通孔23が形成されている。
【0013】
リアケース20をフロントケース10に固定する際は、フロントケース10とリアケース20とをZ方向(第1の方向)に並べて配置し、リアケース20の挿通孔23にネジ40(図1参照)を挿通する。そして、このネジ40をフロントケース10のネジ孔14に螺合させる。これにより、図1に示すようにリアケース20がフロントケース10に固定される。このとき、図3に示すように、フロントケース10とリアケース20との間には、これらの間を封止する防水パッキン41(封止部材)が配置されており、フロントケース10とリアケース20との間に形成される空間が外部から封止される。
【0014】
図2に示すように、フロントケース10とリアケース20との間に形成される空間(11A,21A)には、Z方向に並べて配置される2つの回路基板51,52が収容されている。第1の回路基板51の+Z方向側の面には、撮像素子53が実装されている。この撮像素子53は、レンズ鏡筒3内のレンズを通過した光が結合する位置に配置される。また、図3に示すように、第1の回路基板51の-Z方向側の面には、撮像素子53と電気的に接続されるコネクタ54(第1のコネクタ)が設けられている。
【0015】
第2の回路基板52の+Z方向側の面には、第1の回路基板51のコネクタ54と嵌合してこれと電気的に接続されるコネクタ55(第2のコネクタ)が設けられている。さらに、第2の回路基板52の-Z方向側の面には、コネクタ55と電気的に接続される略円筒状のコネクタ56(第3のコネクタ)が設けられている。
【0016】
図5は、リアケース20を示す正面図である。図2及び図5に示すように、リアケース20の基部21には、第2の回路基板52のコネクタ56を挿通するためのコネクタ孔24が形成されている。図3に示すように、このコネクタ孔24の-Z方向側には、第2の回路基板52のコネクタ56を保持する円筒状のコネクタ保持部25が形成されている。第2の回路基板52のコネクタ56は、リアケース20のコネクタ孔24を通ってコネクタ保持部25の内側に挿入され、その端部がコネクタ保持部25から-Z方向に突出するようになっている。第2の回路基板52のコネクタ56の外径はリアケース20のコネクタ保持部25の内径と略同一であり、第2の回路基板52とリアケース20は、コネクタ56とコネクタ保持部25との嵌合によりXY平面上で一体となって移動するようになっている。
【0017】
コネクタ保持部25から-Z方向に突出する第2の回路基板52のコネクタ56には、図示しない制御部から延びる信号線の端部に設けられた相手方コネクタ(図示せず)が接続されるようになっている。第2の回路基板52のコネクタ56は-Z方向に延びる端子56Aを有しており、相手方コネクタがコネクタ56に接続されると、端子56Aと制御部から延びる信号線が接続されるようになっている。これにより、第1の回路基板51上の撮像素子53がコネクタ54,55,56及び信号線を介して制御部に接続される。
【0018】
図2に示すように、第1の回路基板51には挿通孔51Aが形成されており、フロントケース10には、図4A及び図4Bに示すように、これらの挿通孔51Aに対応してネジ孔15が設けられている。第1の回路基板51の挿通孔51Aにネジ(図示せず)を挿通させ、このネジをフロントケース10のネジ孔15に螺合させることにより、第1の回路基板51がフロントケース10に取り付けられる。ここで、第1の回路基板51に実装された撮像素子53をレンズ鏡筒3内のレンズ31~36の光軸に対して調心する必要があるため、第1の回路基板51の挿通孔51Aの内径はネジの外径よりも大きくなっている。これにより、XY平面上で第1の回路基板51の位置を調整しつつ第1の回路基板51をフロントケース10に固定することができる。
【0019】
図4A及び図4Bに示すように、フロントケース10は、基部11の内側の収容空間11Aを取り囲むように延びる対向面16を有している。この対向面16は、X方向に延びる対向面16Aと、Y方向に延びる対向面16Bとを含んでいる。対向面16には、上述した防水パッキン41を収容する凹部17が全周にわたって形成されている。凹部17は、X方向に延びる凹部17Aと、Y方向に延びる凹部17Bとを含んでいる。
【0020】
図5に示すように、リアケース20は、基部21の内側の収容空間21Aを取り囲むように+Z方向に突出する当接部26を有している。この当接部26は、X方向に延びる当接部26Aと、Y方向に延びる当接部26Bとを含んでいる。リアケース20をフロントケース10に固定した際には、Z方向においてリアケース20の当接部26がフロントケース10の対向面16に対向及び当接するようになっている。
【0021】
リアケース20の当接部26Aはフロントケース10の対向面16Aに当接することになるが、リアケース20の当接部26AのY方向に沿った幅WRA図5参照)は、フロントケース10の凹部17AのY方向に沿った幅WFA図4B参照)よりも所定の許容移動量TAだけ大きくなっている。同様に、リアケース20の当接部26Bはフロントケース10の対向面16Bに当接することになるが、リアケース20の当接部26BのX方向に沿った幅WRB図5参照)は、フロントケース10の凹部17BのX方向に沿った幅WFB図4B参照)よりも所定の許容移動量TBだけ大きくなっている。
【0022】
許容移動量TAは、調心の際にY方向(例えば上記第1の方向に対して第2の方向ということができる)において第1の回路基板51に対して許容する設計位置からの移動量であり、例えば0.3mm程度の量とすることができる。許容移動量TBは、調心の際にX方向(例えば上記第1の方向に対して第3の方向ということができる)において第1の回路基板51に対して許容する設計位置からの移動量であり、例えば0.3mm程度の量とすることができる。本実施形態では、許容移動量TAと許容移動量TBとは等しく設定されているが、これらは異なっていてもよい。また、本実施形態では、X方向に延びるフロントケース10の凹部17Aの幅WFAとY方向に延びるフロントケース10の凹部17Bの幅WFBとが等しく設定されているが、これらは異なっていてもよい。したがって、本実施形態においては、X方向に延びるリアケース20の当接部26Aの幅WRAとY方向に延びるリアケース20の当接部26Aの幅WRBとが等しくなっているが、これらは異なっていてもよい。
【0023】
このような撮像装置1を組み立てる際には、まず、撮像素子53の調心のために第1の回路基板51のXY平面上での位置を調整しつつ第1の回路基板51をフロントケース10にネジ止めする。その後、第1の回路基板51のコネクタ54に第2の回路基板52のコネクタ55を嵌合させる。次に、第2の回路基板52のコネクタ56をリアケース20のコネクタ孔24及びコネクタ保持部25の内側に挿入し、第2の回路基板52のコネクタ56をリアケース20のコネクタ保持部25に嵌合させる。最後に、リアケース20の挿通孔23にネジ40を挿通して、このネジ40をフロントケース10のネジ孔14に螺合させ、リアケース20をフロントケース10に固定する。
【0024】
上述したように、第1の回路基板51のコネクタ54と第2の回路基板52のコネクタ55とは互いに嵌合され、第2の回路基板52のコネクタ56とリアケース20のコネクタ保持部25とは互いに嵌合されている。このため、撮像素子53の調心のために第1の回路基板51をXY平面上で移動させてフロントケース10に固定した場合、フロントケース10に対する第2の回路基板52及びリアケース20のXY平面上の位置が設計位置からずれることとなる。しかしながら、本実施形態では、フロントケース10に対する第2の回路基板52及びリアケース20のXY平面上の位置が設計位置からずれたとしても、防水パッキン41によってフロントケース10とリアケース20との間が封止されるようになっている。
【0025】
例えば、第1の回路基板51を設計位置からY方向に移動させて固定した場合には、リアケース20も設計位置からY方向に移動した状態でフロントケース10に固定されるが、上述したようにリアケース20の当接部26Aの幅WRA図5参照)がフロントケース10の凹部17Aの幅WFA図4B参照)よりも許容移動量TAだけ大きくなっているため、第1の回路基板51の移動量が許容移動量TA未満であれば、フロントケース10の凹部17Aが常にリアケース20の当接部26Aで塞がれ、凹部17A内の空間が外部と連通することがないため、防水パッキン41による封止を維持することができる。
【0026】
同様に、第1の回路基板51を設計位置からX方向に移動させて固定した場合には、リアケース20も設計位置からX方向に移動した状態でフロントケース10に固定されるが、上述したようにリアケース20の当接部26Bの幅WRB図5参照)がフロントケース10の凹部17Bの幅WFB図4B参照)よりも許容移動量TBだけ大きくなっているため、第1の回路基板51の移動量が許容移動量TB未満であれば、フロントケース10の凹部17Bが常にリアケース20の当接部26Bで塞がれ、凹部17A内の空間が外部に露出することがないため、防水パッキン41による封止を維持することができる。
【0027】
また、リアケース20の当接部26に外部から水などが直接かかると、凹部17A内にも水が入りやすいため、フロントケース10にリアケース20の当接部26の外側を覆う保護壁19を設けることが好ましい。本実施形態におけるフロントケース10には、Y方向においてリアケース20の当接部26Aの外側を覆う保護壁19A(例えば第1の保護壁)と、X方向においてリアケース20の当接部26Bの外側を覆う保護壁19B(例えば第2の保護壁)とが設けられている。
【0028】
また、保護壁19Aは、リアケース20が設計位置からY方向に許容移動量TAだけ移動した場合においても保護壁19Aの外面がリアケース20の外面よりも外側に位置するように構成され、リアケース20の外面がフロントケース10の外面から出っ張らないようにすることが好ましい。同様に、保護壁19Bは、リアケース20が設計位置からX方向に許容移動量TBだけ移動した場合においても保護壁19Bの外面がリアケース20の外面よりも外側に位置するように構成され、リアケース20の外面がフロントケース10の外面から出っ張らないようにすることが好ましい。
【0029】
ここで、コネクタ同士を嵌合させて両者を接続する嵌合型コネクタ構造は、上述したリジッドフレキシブル基板よりも安価に入手できる。本実施形態では、第1の回路基板51のコネクタ54と第2の回路基板52のコネクタ55とをこのような安価な嵌合型コネクタ構造により構成している。このような安価な嵌合型コネクタ構造を採用しても、上述したように、フロントケース10のY方向及びX方向における移動量がそれぞれ許容移動量TA,TB未満であれば、防水パッキン41が収容された凹部17を常にリアケース20の当接部26で塞ぐことができるため、凹部17内の空間を外部と連通させることがなく、防水パッキン41による封止を維持することができる。このように、本実施形態によれば、リジッドフレキシブル基板よりも安価な嵌合型コネクタ構造(コネクタ54,55)を用いて2つの回路基板51,52を電気的に接続することができる。
【0030】
本実施形態では、フロントケース10の基部11及びリアケース20の基部21が直方体状であるが、フロントケース10の基部11及びリアケース20の基部21の形状はこれに限られるものではなく、例えば円筒状にしてもよい。この場合において、任意の半径方向におけるリアケース20の当接部26の幅がフロントケース10の凹部17の幅よりも所定の許容移動量だけ大きくなっていれば、防水パッキン41による封止を維持することができる。
【0031】
以上述べたように、本発明の一態様によれば、2つの回路基板を安価な構成で電気的に接続することができる撮像装置が提供される。この撮像装置は、少なくとも1つのレンズを保持するレンズ鏡筒と、上記レンズ鏡筒が取り付けられる第1のケースと、第1の方向に沿って上記第1のケースに並べて配置される第2のケースと、上記第1のケースと上記第2のケースとの間を封止する封止部材と、上記第1の方向と垂直な第2の方向に調整された位置で上記第1のケースに固定される第1の回路基板と、上記第1の方向に沿って上記第1の回路基板に並べて配置される第2の回路基板とを備える。上記第1の回路基板は、上記少なくとも1つのレンズを通過した光が結像する位置に配置される撮像素子と、上記撮像素子と電気的に接続される第1のコネクタとを有する。上記第2の回路基板は、上記第1の回路基板の上記第1のコネクタと嵌合し、上記第1のコネクタと電気的に接続される第2のコネクタと、上記第2のコネクタと電気的に接続される第3のコネクタとを有する。上記第1のケースは、上記第2のケースに対向し、上記封止部材を収容する凹部が形成された対向面を有する。上記第2のケースは、上記第2の回路基板の上記第3のコネクタを保持するコネクタ保持部と、上記第1の方向において上記第1のケースの上記対向面に当接する当接部とを有する。上記第2の方向における上記第2のケースの上記当接部の幅は、上記第2の方向における上記第1のケースの上記凹部の幅よりも第1の許容移動量だけ大きい。
【0032】
このような構成によれば、撮像素子の調心のために第1の回路基板の位置を調整しつつ第1の回路基板を第1のケースに取り付けるとともに、第1の回路基板の第1のコネクタと第2の回路基板の第2のコネクタとを嵌合構造により連結した場合においても、第1の回路基板の第2の方向における移動量が第1の許容移動量未満であれば、封止部材が収容された凹部を常に第2のケースの当接部で塞ぐことができる。したがって、凹部内の空間を外部と連通させることがなく、封止部材による封止を維持することができる。このように、本発明によれば、リジッドフレキシブル基板よりも安価な嵌合型コネクタ構造を用いて2つの回路基板を電気的に接続することができる。
【0033】
第2のケースの当接部に外部から水などが直接かかることを防止するために、上記第1のケースは、上記第2の方向において上記第2のケースの上記当接部の外側を覆う第1の保護壁をさらに有することが好ましい。この場合において、上記第1の保護壁は、上記第2のケースが設計位置から上記第2の方向に上記第1の許容移動量だけ移動した場合においても上記第1の保護壁の外面が上記第2のケースの外面よりも外側に位置するように構成され、第2のケースの外面が第1のケースの外面から出っ張らないようにすることが好ましい。
【0034】
上記第1の回路基板は、上記第1の方向と垂直な第3の方向に調整された位置で上記第1のケースに固定され、上記第3の方向における上記第2のケースの上記当接部の幅は、上記第3の方向における上記第1のケースの上記凹部の幅よりも第2の許容移動量だけ大きくてもよい。
【0035】
このような構成によれば、撮像素子の調心のために第1の回路基板の位置を調整しつつ第1の回路基板を第1のケースに取り付けるとともに、第1の回路基板の第1のコネクタと第2の回路基板の第2のコネクタとを嵌合構造により連結した場合においても、第1の回路基板の第3の方向における移動量が第2の許容移動量未満であれば、封止部材が収容された凹部を常に第2のケースの当接部で塞ぐことができる。したがって、凹部内の空間を外部と連通させることがなく、封止部材による封止を維持することができる。
【0036】
第2のケースの当接部に外部から水などが直接かかることを防止するために、上記第1のケースは、上記第3の方向において上記第2のケースの上記当接部の外側を覆う第2の保護壁をさらに有することが好ましい。この場合において、上記第2の保護壁は、上記第2のケースが設計位置から上記第3の方向に上記第2の許容移動量だけ移動した場合においても上記第2の保護壁の外面が上記第2のケースの外面よりも外側に位置するように構成され、第2のケースの外面が第1のケースの外面から出っ張らないようにすることが好ましい。
【0037】
これまで本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0038】
1 撮像装置
2 ハウジング
3 レンズ鏡筒
10 フロントケース(第1のケース)
11 基部
12 円筒部
16 対向面
17 凹部
19 保護壁
20 リアケース
21 基部
22 コネクタ接続部
25 コネクタ保持部
26 当接部
31~36 レンズ
37 IRカットフィルタ
38 レンズバレル
41 防水パッキン(封止部材)
42,43 Oリング
51 (第1の)回路基板
52 (第2の)回路基板
53 撮像素子
54 (第1の)コネクタ
55 (第2の)コネクタ
56 (第3の)コネクタ
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5