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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023028390
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】工作機械
(51)【国際特許分類】
   B23B 13/04 20060101AFI20230224BHJP
   B23B 3/30 20060101ALI20230224BHJP
   B23Q 3/155 20060101ALI20230224BHJP
   B23B 13/12 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
B23B13/04
B23B3/30
B23Q3/155 A
B23B13/12 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021134069
(22)【出願日】2021-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】000133593
【氏名又は名称】株式会社ツガミ
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100195648
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 悠太
(74)【代理人】
【識別番号】100175019
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 健朗
(74)【代理人】
【識別番号】100104329
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 卓治
(74)【代理人】
【識別番号】100194179
【弁理士】
【氏名又は名称】中澤 泰宏
(72)【発明者】
【氏名】井比 亨
(72)【発明者】
【氏名】風間 浩明
【テーマコード(参考)】
3C002
3C045
【Fターム(参考)】
3C002AA03
3C002BB02
3C002DD14
3C002KK02
3C002KK04
3C002LL02
3C002LL05
3C002LL09
3C045BA04
3C045BA06
3C045BA15
3C045BA23
3C045CA08
3C045DA06
3C045FC18
3C045FC39
(57)【要約】
【課題】多様な加工を実現しつつ、よりコンパクトに構成することができる工作機械を提供する。
【解決手段】工作機械1は、ワークWを保持しつつ回転させる第1主軸ユニット10と、ワークWを保持しつつ回転させる第2主軸ユニット20と、3軸方向に第2主軸ユニット20を移動させる主軸移動機構25と、第2主軸ユニット20により保持されたワークWを加工する工具35を保持し、移動不能に設けられる固定刃物台30と、第1主軸ユニット10又は第2主軸ユニット20により保持されたワークWを加工する工具70,80を保持する工具主軸ユニット50と、3軸方向に工具主軸ユニット50を移動させる工具移動機構42と、回転軸を中心にB軸方向に工具70,80を旋回させる工具旋回機構45と、工具主軸ユニット50との間で工具70,80を交換可能に複数の工具70,80を収容する工具マガジン60と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを保持しつつ回転させる第1主軸ユニットと、
前記第1主軸ユニットから前記ワークを受け取り可能に構成され、前記ワークを保持しつつ回転させる第2主軸ユニットと、
互いに交わるように異なる方向に延びる第1方向、第2方向及び第3方向に前記第2主軸ユニットを移動させる第2主軸移動機構と、
前記第2主軸ユニットにより保持された前記ワークを加工する第1工具を保持し、移動不能に設けられる固定刃物台と、
前記第1主軸ユニット又は前記第2主軸ユニットにより保持された前記ワークを加工する第2工具を保持する工具主軸ユニットと、
前記第1方向、前記第2方向及び前記第3方向に前記工具主軸ユニットを移動させる工具移動機構と、
回転軸を中心に前記第2工具を前記工具主軸ユニットとともに旋回させる工具旋回機構と、
前記工具主軸ユニットとの間で前記第2工具を交換可能に複数の前記第2工具を収容する工具収容部と、を備える、
工作機械。
【請求項2】
前記第1主軸ユニットは、移動不能に設けられる、
請求項1に記載の工作機械。
【請求項3】
前記工作機械は、棒材で形成されている前記ワークの加工専用であり、
前記第1主軸ユニットは、前記ワークをガイドブッシュレスで保持する、
請求項1又は2に記載の工作機械。
【請求項4】
前記ワークの回転軸に沿う方向に前記第1主軸ユニットを移動させる第1主軸移動機構と、
前記第1主軸ユニットにより保持された前記ワークを支持するガイドブッシュと、を備える、
請求項1に記載の工作機械。
【請求項5】
前記工具収容部は、前記第1主軸ユニットの上方に設けられる、
請求項1から4の何れか1項に記載の工作機械。
【請求項6】
前記工具移動機構を介して前記工具主軸ユニットを前記工具収容部に対向する位置まで移動させて前記工具主軸ユニット及び前記工具収容部の間で直接前記第2工具を交換する制御部を備える、
請求項1から5の何れか1項に記載の工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の工作機械は、Z軸方向に移動可能な第1ワーク保持部と、X軸方向及びZ軸方向に移動可能な第2ワーク保持部と、回転工具を含む複数の工具をX軸方向及びY軸方向に移動可能とする工具機構と、回転工具をB軸周りに回転可能とするB軸回転工具部と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-181653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の構成においては、多様な加工を実現するために工作機械が大型化していた。
【0005】
本発明は、上記実状を鑑みてなされたものであり、多様な加工を実現しつつ、よりコンパクトに構成することができる工作機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る工作機械は、ワークを保持しつつ回転させる第1主軸ユニットと、前記第1主軸ユニットから前記ワークを受け取り可能に構成され、前記ワークを保持しつつ回転させる第2主軸ユニットと、互いに交わるように異なる方向に延びる第1方向、第2方向及び第3方向に前記第2主軸ユニットを移動させる第2主軸移動機構と、前記第2主軸ユニットにより保持された前記ワークを加工する第1工具を保持し、移動不能に設けられる固定刃物台と、前記第1主軸ユニット又は前記第2主軸ユニットにより保持された前記ワークを加工する第2工具を保持する工具主軸ユニットと、前記第1方向、前記第2方向及び前記第3方向に前記工具主軸ユニットを移動させる工具移動機構と、回転軸を中心に前記第2工具を前記工具主軸ユニットとともに旋回させる工具旋回機構と、前記工具主軸ユニットとの間で前記第2工具を交換可能に複数の前記第2工具を収容する工具収容部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、工作機械において、多様な加工を実現しつつ、よりコンパクトに構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態に係る工作機械の正面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る工作機械の平面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る工作機械の側面図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る工作機械の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係る工作機械について、図面を参照して説明する。
図1及び図2に示すように、ターニングセンタである工作機械1は、工作機械1全体の台であるベッドSと、第1主軸11を有する第1主軸ユニット10と、第2主軸21を有する第2主軸ユニット20と、第2主軸移動機構25と、固定刃物台30と、工具主軸ユニット50と、工具移動機構42と、工具旋回機構45と、支持部材13と、工具マガジン60と、制御部300と、を備える。
以下では、第1主軸11及び第2主軸21の回転軸に沿う軸線方向をZ軸方向と規定し、Z軸方向に直交する高さ方向をX軸方向と規定し、X軸方向及びZ軸方向に直交する奥行き方向をY軸方向と規定する。
【0010】
第1主軸ユニット10は、ワークWを保持しつつ回転させる。具体的には、第1主軸ユニット10は、第1主軸11と、第1主軸11を回転可能に支持する第1主軸台12と、を備える。第1主軸11は、ワークWの一端を保持する。第1主軸台12には、第1主軸11を回転させるワーク回転用モータ(図示せず)が内蔵されている。第1主軸ユニット10は、ベッドSに対して移動不能に構成される。
本例では、図3に示すように、支持部材13は、ベッドSの上面に設置され、第1主軸ユニット10がベッドSからX軸方向に離れるように、第1主軸台12を側方から支持する。支持部材13は、Y軸方向において、第1主軸ユニット10の工具移動機構42に近い側に位置する。
【0011】
図1及び図2に示すように、第2主軸ユニット20は、Z軸方向に第1主軸ユニット10と向かい合う位置に設けられている。第2主軸ユニット20は、ワークWの他端を保持する第2主軸21と、第2主軸21を回転可能に支持する第2主軸台22と、を備える。第2主軸台22には、第2主軸21を回転させるワーク回転用モータ(図示せず)が内蔵されている。
【0012】
第2主軸移動機構25は、図2に示すように、第2主軸ユニット20をY軸方向(Y2軸方向)に移動させるY移動機構25Yと、図1に示すように、第2主軸ユニット20をX軸方向(X2軸方向)に移動させるX移動機構25Xと、第2主軸ユニット20をZ軸方向(Z2軸方向)に移動させるZ移動機構25Zと、を備える。
【0013】
工具移動機構42は、図2に示すように、工具主軸ユニット50をY軸方向(Y1軸方向)に移動させるY移動機構42Yと、図1に示すように、工具主軸ユニット50をX軸方向(X1軸方向)に移動させるX移動機構42Xと、工具主軸ユニット50をZ軸方向(Z1軸方向)に移動させるZ移動機構42Zと、を備える。
なお、図2に示すように、Z移動機構25ZのZ軸方向に移動するスライド台25SとZ移動機構42ZのZ軸方向に移動するスライド台42Sは、ベッドS上にZ軸方向に延びる共通の一対のレール29に沿って移動する。一対のレール29は、第1主軸ユニット10、第2主軸ユニット20及び固定刃物台30に並行するようにZ軸方向に沿って延びる。
【0014】
X移動機構25X,42X、Y移動機構25Y,42Y及びZ移動機構25Z,42Zは、それぞれ、モータ、ボールねじ及びナットを有し、モータの回転力をボールねじ及びナットにより直線運動に変換することにより、対応する第2主軸ユニット20又は工具主軸ユニット50を直線的に移動させる構成からなる。
【0015】
図1に示すように、工具旋回機構45は、工具主軸ユニット50を回転させることにより、工具主軸ユニット50に装着された工具70,80をB軸方向に旋回させる。B軸方向は、Y軸方向に沿う回転軸を中心とした回転方向である。
【0016】
工具マガジン60は、互いに異なる種類の複数の工具70,80を収容し、工具主軸ユニット50との間で工具70,80を授受する。工具マガジン60は、第1主軸台12の上方に位置する。工具マガジン60は、支持部材13により支持されている。
詳しくは、工具マガジン60は、工具支持部61と、駆動部62と、を備える。
工具支持部61は、略円環状をなし、Z軸方向に沿って延びる回転軸Cを中心に回転可能に支持される。図3に示すように、工具支持部61は複数の工具把持部61aを備える。複数の工具把持部61aは、工具支持部61の外周側に位置し、工具支持部61の回転方向に並ぶように配置される。各工具把持部61aは、工具支持部61の径方向外側に向けて開口するU字状の溝を有し、この溝に工具70,80が嵌まることにより工具70,80を保持する。工具把持部61aは、工具70,80をZ軸方向に沿う向きに保持する。
駆動部62は、例えば、モータを有し、回転軸Cを中心に工具支持部61を回転させる。駆動部62は、支持部材13に固定される。
【0017】
図1に示すように、工具主軸ユニット50は、例えば、ツールスピンドルであり、固定工具70又は回転工具80が装着可能に構成されている。工具主軸ユニット50は、固定工具70を軸回転不能に固定的に支持し、回転工具80を軸回転可能に支持する。固定工具70は、例えば、ターニング工具であり、回転工具80は、例えば、ミリング工具である。工具主軸ユニット50は、Z軸方向において、第1主軸ユニット10及び第2主軸ユニット20の間に位置する。
工具主軸ユニット50は、装着された固定工具70又は回転工具80により、第1主軸11により保持されたワークW又は第2主軸21により保持されたワークWを加工する。
【0018】
固定刃物台30は、第2主軸21により保持されたワークWを加工する複数の工具35が装着可能に構成される。複数の工具35は、X軸方向及びY軸方向それぞれに並べられるように固定刃物台30に取り付け可能である。固定刃物台30は、ベッドSの上面に設置され、第2主軸ユニット20が上方を通過可能な高さに設けられる。
図2に示すように、固定刃物台30は、Z軸方向において第1主軸ユニット10と並ぶように位置する。複数の工具35は、回転してワークWを加工するドリル又はエンドミル等の回転工具と、固定工具と、を含む。工具35は、Z軸方向に沿って延びた状態で固定刃物台30に装着される。固定刃物台30は、駆動部31と、駆動部31の駆動力を回転力として工具35(回転工具)に伝達する図示しないギヤトレーンと、を備える。
固定刃物台30の近傍には、ワークコンベア、アンローダー又はシュートボックス等の図示しないワーク排出部が設けられる。
【0019】
図1に示すように、制御部300は、第1主軸ユニット10、第2主軸ユニット20、第2主軸移動機構25、固定刃物台30、工具主軸ユニット50、工具移動機構42、工具旋回機構45及び工具マガジン60を制御する。制御部300は、例えば、図示しないCPU(Central Processing Unit)、CPUによる処理の手順を定義したプログラムを記憶するROM(Read Only Memory)等を備える。
【0020】
次に、制御部300により実行される加工処理について説明する。制御部300は、事前に作成されたNC(Numerical Control)プログラムに従って、この加工処理を実行する。
図1に示すように、制御部300は、図示しないワーク供給部により第1主軸ユニット10の後方からワークWを供給する。
【0021】
そして、制御部300は、第1主軸11により保持されたワークWを工具主軸ユニット50に装着された固定工具70又は回転工具80により第1加工を行う。
この第1加工において、例えば、工具主軸ユニット50に固定工具70が装着されている場合、固定工具70を利用してワークWの外周面を切削するターニング加工を行ってもよい。このターニング加工において、制御部300は、第1主軸11をワークWとともに軸回転させつつ、工具旋回機構45を介して固定工具70の刃先をX軸方向からワークWに向けた状態で、工具移動機構42を介して固定工具70をZ軸方向に送る。
また、この第1加工において、例えば、工具主軸ユニット50に回転工具80が装着されている場合、回転工具80を利用してワークWのミリング加工を行ってもよい。このミリング加工において、制御部300は、第1主軸11の軸回転及びZ軸方向への送り動作を停止させた状態で、工具主軸ユニット50を介して回転工具80を回転させつつ、工具移動機構42を介して回転工具80を移動させる。また、工具旋回機構45を介してX1軸方向に対して回転工具80の向きをB軸方向に傾けた状態で、ワークWの外周面及び端面にミリング加工を行ってもよい。これにより、ワークWに多様な加工を行うことができる。
【0022】
次に、制御部300は、第2主軸移動機構25を介して第2主軸21を第1主軸11に対向する位置まで移動させ、第1主軸11から第2主軸21へワークWを受け渡す。この際、第2主軸21は、固定刃物台30の上方を通過するように第1主軸11に向けてZ軸方向に移動させられる。
そして、制御部300は、第2主軸21により保持されたワークWを固定刃物台30に装着された工具35又は工具主軸ユニット50に装着された工具70,80により第2加工を行う。
この第2加工において、例えば、上記第1加工と同様に、工具主軸ユニット50に装着された固定工具70又は回転工具80により第2主軸21により保持されたワークWにターニング加工又はミリング加工を行ってもよい。
また、この第2加工において、例えば、第2主軸21及び工具35の少なくとも何れか一方を回転させた状態で、第2主軸21により保持されたワークWに固定刃物台30により保持された工具35の刃先を接触させつつ、Z移動機構25Zを介して工具35をワークWに対して相対的に送ることでミリング加工を行ってもよい。
【0023】
なお、制御部300は、固定刃物台30の工具35を利用した第2主軸21により保持されたワークWへの第2加工と同時に、工具主軸ユニット50の固定工具70又は回転工具80を利用した第1主軸11により保持されたワークWへの第1加工を行ってもよい。このように、第1加工の時間と第2加工の時間をオーバーラップさせることにより、1つのワークの加工に要する時間であるサイクルタイムを短縮することができる。
【0024】
そして、上記第2加工が完了すると、制御部300は、第2主軸移動機構25を介して、上記第2加工済みのワークWをワーク排出位置Po(図2参照)まで移動させて図示しないワーク排出部と協働して外部へ排出する。ワーク排出位置Poは、固定刃物台30の近傍であって、第2主軸21により保持されたワークWが固定刃物台30の工具35からZ軸方向に退避した位置に設定される。よって、固定刃物台30の工具35を利用した第2加工の後に、スムーズにワーク排出部を介して外部へワークWを排出できる。
以上で、加工処理を終了する。この加工処理は、ワークWが供給される毎に繰り返し実行される。
なお、制御部300は、上記第1加工又は上記第2加工においては、上記ターニング加工及び上記ミリング加工の何れか一方のみ行われてもよいし、上記ターニング加工及び上記ミリング加工の両方が所定の順番で行われてもよい。
【0025】
次に、工具主軸ユニット50が装着された工具70,80の種類を交換する工具交換処理について説明する。この工具交換処理は、上記加工処理中に実行され、例えば、ターニング加工とミリング加工の間、又は上記第1加工と上記第2加工の間に実行される。
以下では、工具主軸ユニット50に装着される工具を回転工具80から固定工具70に交換する例について説明する。
【0026】
まず、図1に示すように、制御部300は、駆動部62を介して工具支持部61を回転させて、工具支持部61の工具70,80が装着されていない工具把持部61aを工具交換位置Pcに移動させる。工具交換位置Pcは、工具支持部61の最下部に位置する。
次に、制御部300は、工具旋回機構45を介して工具主軸ユニット50に装着される回転工具80をB軸方向に回転させ、工具主軸ユニット50の先端側を工具マガジン60に向ける。そして、制御部300は、工具移動機構42を介して工具主軸ユニット50に装着される回転工具80を工具交換位置Pcに対して工具支持部61の径方向外側、本例では下側に移動させる。そして、制御部300は、工具移動機構42を介して工具主軸ユニット50に装着される回転工具80を工具交換位置Pcに対して工具支持部61の径方向内側、本例では上側に移動させて、工具支持部61の工具把持部61aにて回転工具80の工具ホルダを把持させる。そして、工具主軸ユニット50が回転工具80をクランプした状態を解除したうえで、工具移動機構42を介して工具主軸ユニット50を工具支持部61からZ軸方向に遠ざける。これにより、回転工具80が工具主軸ユニット50から離れ、回転工具80が工具支持部61の工具把持部61aに収容される。
【0027】
次に、制御部300は、駆動部62を介して工具支持部61を回転させて、工具支持部61に支持される固定工具70を工具交換位置Pcに移動させる。
そして、制御部300は、工具移動機構42を介して工具主軸ユニット50をZ軸方向において工具マガジン60に支持された固定工具70に近づけて、工具主軸ユニット50に固定工具70を装着する。この際、工具主軸ユニット50が固定工具70をクランプする。
そして、制御部300は、工具移動機構42を介して工具主軸ユニット50を工具支持部61の径方向外側、本例では下側に移動させて、固定工具70を工具支持部61から外す。最後に、工具主軸ユニット50に装着された固定工具70がワークWを向くようにB軸方向に旋回しつつX軸方向及びZ軸方向に移動する。以上で、工具交換処理が終了となる。
【0028】
(効果)
以上、説明した第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)工作機械1は、ワークWを保持しつつ回転させる第1主軸ユニット10と、第1主軸ユニット10からワークWを受け取り可能に構成され、ワークWを保持しつつ回転させる第2主軸ユニット20と、互いに交わるように異なる方向に延びる第1方向の一例であるX軸方向、第2方向の一例であるY軸方向及び第3方向の一例であるZ軸方向の3軸方向に第2主軸ユニット20を移動させる第2主軸移動機構25と、第2主軸ユニット20により保持されたワークWを加工する第1工具の一例である工具35を保持し、移動不能に設けられる固定刃物台30と、第1主軸ユニット10又は第2主軸ユニット20により保持されたワークWを加工する第2工具の一例である工具70,80を保持する工具主軸ユニット50と、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の3軸方向に工具主軸ユニット50を移動させる工具移動機構42と、Y軸方向に沿って延びる回転軸を中心にB軸方向に工具70,80を工具主軸ユニット50とともに旋回させる工具旋回機構45と、工具主軸ユニット50との間で工具70,80を交換可能に複数の工具70,80を収容する工具収容部の一例である工具マガジン60と、を備える。
この構成によれば、工具旋回機構45により工具主軸ユニット50が回転可能に構成されるため、ワークWに対する工具主軸ユニット50に装着される工具70,80の向きを変えることにより、ワークWの多様な加工を実現することができる。また、工具マガジン60との間で工具主軸ユニット50に装着される工具70,80が交換されることにより、1台の工作機械1で多様な加工を行うことができる。よって、複数台の工作機械にて工程分割する必要がなくなり、加工ラインを短縮できる。
さらに、固定刃物台30が移動不能に設けられるため、固定刃物台30を移動させるスペース及び機構が不要となり、工作機械1をコンパクトに構成できる。また、固定刃物台30を移動させる機構が不要であるため、コストを低減することができる。
また、固定刃物台30が移動不能に設けられても、第2主軸ユニット20がX軸方向(上下方向)に移動可能である。このため、固定刃物台30にはX軸方向に並ぶ複数の工具35が取り付け可能となる。また、これと同様に、第2主軸ユニット20がY軸方向(奥行き方向)に移動可能であると、固定刃物台30にはY軸方向に並ぶ複数の工具35が取り付け可能となる。よって、固定刃物台30をコンパクトにしつつ、工具35の本数を増やすことができる。
また、工具主軸ユニット50は、工具70,80を利用して、第1主軸ユニット10により保持されたワークWを加工することもできるし、第2主軸ユニット20により保持されたワークWを加工することもできる。また、工具主軸ユニット50が保持する工具70,80の種類を交換することにより、ミリング加工とターニング加工の何れも可能となる。
さらに、第2主軸ユニット20により保持されたワークWが固定刃物台30の工具35により加工されると同時に、第1主軸ユニット10により保持された別のワークWが工具主軸ユニット50の工具70,80により加工可能となる。これにより、ワークWの加工に要するサイクルタイムを短縮することができる。
また、ワークWが第1主軸ユニット10に供給され、第1主軸ユニット10が保持したワークWに対して工具70,80により第1加工が行われ、第1加工済みのワークWが第1主軸ユニット10から第2主軸ユニット20に受け渡され、第2主軸ユニット20が保持したワークWに対して工具35,70,80により第2加工が行われたうえでワークコンベア又はアンローダー等の図示しないワーク排出部を利用して外部にワークWが排出される。このように、工作機械1は、ワークWの供給から排出まで人手を介入させることなく、自動で加工を完了させることができる。また、人手が介入しないため、ワークWの設置不良を抑制することができる。
また、ワーク排出位置Poを固定刃物台30の近傍とすることにより、第2主軸ユニット20による工具35を利用したワークWの加工が完了した後、迅速に、ワークWを外部に排出することができる。
【0029】
(2)第1主軸ユニット10は、移動不能に設けられる。
この構成によれば、第1主軸ユニット10が移動不能に設けられるため、第1主軸ユニット10を移動させるスペース及び機構が不要となり、工作機械1をコンパクトに構成できる。また、第1主軸ユニット10を移動させる機構が不要であるため、コストを低減することができる。
【0030】
(3)工作機械1は、棒材で形成されているワークWの加工専用である。第1主軸ユニット10は、ワークWをガイドブッシュレスで保持する。
この構成によれば、加工中に第1主軸ユニット10のみでワークWを支持するガイドブッシュレスであるため、工作機械1をコンパクトに構成することができる。
また、工作機械1は、小径で、かつ短尺なワークWの加工に特化して構成されている。これにより、工作機械1をコンパクトに構成することができる。
詳しくは、ワークWの直径が小さいと、第1主軸11及び第2主軸21がワークWを保持する構造をコンパクトにすることができる。そこで、ワークWは、例えば、細長い(直径が長さよりも小さい)棒材で形成され、例えば、円柱状をなすことが好ましい。例えば、ワークWの直径は、約40mm以下であることが好ましい。
また、ワークWの長さを短くすることで、第2主軸ユニット20及び工具主軸ユニット50等のZ軸方向の移動距離を小さくすることができるとともに、第1主軸11により保持されたワークWをガイドブッシュで支持する必要がなく、ガイドブッシュレスとすることができる。そこで、ワークWは、第1主軸11によりガイドブッシュレスで保持可能な程度に長さが短い短尺ワークであることが好ましい。
また、ワークWが小径で、かつ短尺であると、ワークWが軽量化される。これにより、ワークWを回転させるために必要となるモータトルクが小さくて済み、第1主軸ユニット10及び第2主軸ユニット20のワーク回転用モータ(図示せず)の小型化を図ることができる。
【0031】
(4)工具マガジン60は、第1主軸ユニット10の上方に設けられる。
工具マガジン60を第1主軸ユニット10の上方以外の場所に設けると、工具マガジン60のためのスペースが別途必要となるが、工具マガジン60を第1主軸ユニット10の上方に設けることにより、このスペースが不要となる。よって、工作機械1をコンパクトに構成することができる。
また、第1主軸ユニット10により保持されたワークWの加工位置と工具マガジン60との工具交換位置Pcを近くに設定することができる。よって、工具主軸ユニット50は、工具交換から加工まで迅速に移行することができる。
【0032】
(5)工作機械1は、工具移動機構42を介して工具主軸ユニット50を工具マガジン60に対向する位置まで移動させて工具主軸ユニット50及び工具マガジン60の間で直接工具70,80を交換する制御部300を備える。
この構成によれば、工具主軸ユニット50及び工具マガジン60の間で工具70,80を交換する工具交換装置(ATC:Automatic Tool Changer)が不要となる。よって、工作機械1をコンパクトに構成することができる。
【0033】
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態に係る工作機械について、図面を参照して説明する。本実施形態では、工作機械は長尺ワークの加工に適しており、第1主軸ユニットが移動可能に構成され、ガイドブッシュが設けられている点が上記第1実施形態と相違する。以下、上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0034】
図4に示すように、工作機械1Aは、上記第1実施形態の構成に加えて、第1主軸移動機構15と、ガイドブッシュ18と、を備える。
第1主軸移動機構15は、制御部300による制御のもと、第1主軸ユニット10をZ軸方向に移動させる。第1主軸移動機構15は、Z移動機構25Z,42Zと同様に、モータ、ボールねじ及びナットを有する。第1主軸移動機構15は、例えば、第1加工中にワークWをZ軸方向に送る。
ガイドブッシュ18は、第1主軸11により保持されたワークWの先端側を支持する。ガイドブッシュ18は、第1主軸ユニット10とワークWの加工点の間に位置し、ベッドSに対して移動不能に設けられている。詳しくは、ガイドブッシュ18は、支持台19に固定されている。支持台19は、ベッドSの上面に設けられ、第1主軸移動機構15を支持する。ガイドブッシュ18がワークWを支持することにより、第1加工時のワークWの撓みや振動が抑制される。
【0035】
(効果)
以上、説明した第2実施形態によれば、以下の効果を奏する。
工作機械1Aは、ワークWの回転軸に沿うZ軸方向に第1主軸ユニット10を移動させる第1主軸移動機構15と、第1主軸ユニット10により保持されたワークWを支持するガイドブッシュ18と、を備える。
この構成によれば、ワークWが上記第1実施形態よりもワークWの長さが長い長尺ワークであっても、第1加工中に、ガイドブッシュ18によりワークWを安定的に支持できるとともに、第1主軸移動機構15によりZ軸方向にワークWを送ることができる。よって、ワークWが長尺ワークであっても、ワークWに多様な加工を行うことができ、ワークWを複雑な形状に加工することができる。
【0036】
なお、本開示は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本開示の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。以下に、変形の一例を説明する。
【0037】
(変形例)
上記各実施形態においては、工具マガジン60は、第1主軸ユニット10の上方に設けられていたが、他の位置に設けられていてもよい。例えば、工具マガジン60は、第1主軸ユニット10に対してZ軸方向にずれた位置に設けられてもよいし、第1主軸ユニット10の下方に設けられていてもよい。
上記各実施形態においては、ワークWは棒材で形成されていたが、これに限らず、円板状等の他の形状であってもよい。
【0038】
上記各実施形態においては、工具主軸ユニット50が工具マガジン60との間で直接工具70,80を交換していたが、これに限らず、ATCが工具主軸ユニット50と工具マガジン60の間で工具70,80の交換を行ってもよい。
【符号の説明】
【0039】
1…工作機械、10…第1主軸ユニット、11…第1主軸、12…第1主軸台、13…支持部材、15…第1主軸移動機構、18…ガイドブッシュ、19…支持台、20…第2主軸ユニット、21…第2主軸、22…第2主軸台、25…第2主軸移動機構、25S,42S…スライド台、25X,42X…X移動機構、25Y,42Y…Y移動機構、25Z,42Z…Z移動機構、29…レール、30…固定刃物台、31,62…駆動部、35,70,80…工具、42…工具移動機構、45…工具旋回機構、50…工具主軸ユニット、60…工具マガジン、61…工具支持部、61a…工具把持部、70…固定工具、80…回転工具、300…制御部、C…回転軸、S…ベッド、W…ワーク、Pc…工具交換位置、Po…ワーク排出位置
図1
図2
図3
図4