(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023028399
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】ポンプユニット
(51)【国際特許分類】
F04B 23/02 20060101AFI20230224BHJP
A62C 35/68 20060101ALI20230224BHJP
F04D 9/00 20060101ALI20230224BHJP
C02F 1/44 20230101ALI20230224BHJP
C02F 1/58 20230101ALI20230224BHJP
C02F 1/42 20230101ALI20230224BHJP
C02F 1/461 20230101ALI20230224BHJP
【FI】
F04B23/02 Z
A62C35/68
F04D9/00 Z
C02F1/44 A
C02F1/58 J
C02F1/42 A
C02F1/461 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021134079
(22)【出願日】2021-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】及川 直輝
(72)【発明者】
【氏名】坂谷 哲則
(72)【発明者】
【氏名】葛籠 佑斗
(72)【発明者】
【氏名】高橋 利造
【テーマコード(参考)】
2E189
3H071
3H130
4D006
4D025
4D038
4D061
【Fターム(参考)】
2E189MA05
3H071AA01
3H071BB00
3H071CC41
3H071DD61
3H071DD71
3H071EE07
3H130AA03
3H130AB25
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3H130AC06
3H130BA44J
3H130BA44Z
3H130DG05Z
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3H130EA04J
3H130EA04Z
3H130EC17Z
4D006GA03
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4D006PB04
4D006PB05
4D006PC80
4D025AA01
4D025AB17
4D025AB19
4D025BA09
4D025BA14
4D025BA22
4D025BB04
4D025BB07
4D038AA02
4D038AB59
4D038BA02
4D061DA02
4D061DB05
4D061DC18
4D061DC19
4D061EA02
4D061EA05
4D061EB02
4D061EB04
(57)【要約】
【課題】スケールの固着を防止することができるポンプユニットを提供すること。
【解決手段】 本発明の一態様にかかるポンプユニットは、ポンプ装置と、前記ポンプ装置の流路に接続され、前記ポンプ装置に供給される呼水を収容する呼水槽を備える呼水装置と、イオン交換装置、凝析沈殿装置、逆浸透膜装置、あるいは電気分解装置、のいずれかであり、前記呼水の流路に設けられる濾過装置と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプ装置と、
前記ポンプ装置の流路に接続され、前記ポンプ装置に供給される呼水を収容する呼水槽を備える呼水装置と、
イオン交換装置、凝析沈殿装置、逆浸透膜装置、あるいは電気分解装置、のいずれかであり、前記呼水の流路に設けられる濾過装置と、を備える、ポンプユニット。
【請求項2】
前記ポンプ装置は消火ポンプ装置である、請求項1に記載のポンプユニット。
【請求項3】
前記呼水装置は、前記呼水槽の底部と前記ポンプ装置の流路とを接続する呼水流路を備え、
前記濾過装置は、前記呼水槽の底部に配される、請求項1または2に記載のポンプユニット。
【請求項4】
前記濾過装置は、濾過材を保持するとともに通水可能に構成された濾過容器を備える、請求項1乃至3のいずれかに記載のポンプユニット。
【請求項5】
前記濾過容器は、前記呼水槽に着脱可能に係合する係合部を備える、請求項4に記載のポンプユニット。
【請求項6】
前記濾過装置はイオン交換装置であり、濾過材としての陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂を備える、請求項1乃至5のいずれかに記載のポンプユニット。
【請求項7】
前記呼水装置は、前記呼水槽に水を補給する補給部を備え、
前記濾過装置は前記補給部に設けられる、請求項1または2に記載のポンプユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明呼水槽を備えるポンプユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
ビル等の建造物の火災時に、消火栓又はスプリンクラヘッド等の放水装置へ給水する消火ポンプユニットが知られている。例えばホースを介して人手により放水する消火栓や、火災発生を検出して自動放水するスプリンクラー設備がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-107970号公報
【特許文献2】特開2016-142184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような消火ポンプユニットは、火災発生時に確実に作動することが求められるが、常時停止した状態であるため、ポンプ内部には長期にわたり水が滞留している。例えば、消火ポンプユニットに供給される水は、地下水や河川水を水源とする場合、水源のある地域によって、含まれる硬度成分が高い場合がある。このため、陽イオンであるカルシウム、マグネシウムイオンや陰イオンである二酸化珪素イオンが、ポンプの軸シール部やインペラマウスなどポンプ内部に析出していわゆるスケールとなって固着することがある。
そこで本発明は、スケールの固着を防止することができるポンプユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様にかかるポンプユニットは、ポンプ装置と、前記ポンプ装置の流路に接続され、前記ポンプ装置に供給される呼水を収容する呼水槽を備える呼水装置と、イオン交換装置、凝析沈殿装置、逆浸透膜装置、あるいは電気分解装置、のいずれかであり、前記呼水の流路に設けられる濾過装置と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、スケールの固着を防止することができるポンプユニットを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る消火ポンプユニットの構成を示す側面図。
【
図2】同消火ポンプユニットの濾過装置の構成を示す上面図。
【
図3】同消火ポンプユニットの濾過装置の構成を示す側面図。
【
図4】同消火ポンプユニットの濾過装置の構成を示す下面図。
【
図5】本発明の第2実施形態に係る消火ポンプユニットの構成を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施形態)
以下に本発明の第1実施形態にかかる消火ポンプユニットについて、
図1乃至
図4を参照して説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る消火ポンプユニット1の構成を示す説明図である。
図2は濾過装置40の上面図、
図3は同側面図、
図4は同下面図、をそれぞれ示す。
【0009】
図1に示されるポンプユニットとしての消火ポンプユニット1は、例えば建造物に設けられた消火設備に用いられる。消火ポンプユニット1は、例えば、建物に設置してある自動消火設備としてのスプリンクラー設備等の放水装置90に接続される。消火ポンプユニット1は、例えば屋外に設置されて使用される。
【0010】
図1に示されるように、消火ポンプユニット1は、ベース10と、ポンプ装置としての消火ポンプ装置20と、呼水装置30と、濾過装置40と、制御盤と、を備える。
【0011】
ベース10は、例えば複数本のフレーム部材が箱枠状に組まれてなる架台11と、消火ポンプ装置20が載置される底板12と、を備える。ベース10は、消火ポンプユニット1を設置する設置面に固定される。ベース10において、架台11上に呼水槽31が設置され、底板12上であって呼水槽31下の空間に消火ポンプ装置20が配置される。すなわち、ベース10によって、呼水槽31が消火ポンプ装置20の上方に配置される。ベース10は、地上から所定の高さに呼水装置30の呼水槽31を支持する。
【0012】
消火ポンプ装置20は、単数又は複数台設けられる。本実施形態においては、消火ポンプ装置20が単数設けられる構成を用いて説明する。消火ポンプ装置20は、モータ21と、モータ21に接続された回転軸と、回転軸に接続されたポンプ23と、吸込配管27と、吐出配管28と、を備える。また、消火ポンプ装置20のポンプ23の二次側の吐出流路には、蓄圧が可能な圧力容器29が設けられている。
【0013】
モータ21は、制御盤に信号線を介して接続される。モータ21は、制御盤から電力が供給される。モータ21は、インバータから入力された周波数に応じた回転数でポンプ23を駆動する。
【0014】
ポンプ23は、例えば、複数のインペラを有する多段ポンプである。ポンプ23は、例えばベース10の底板12上において横置きされる。ポンプ23は、ポンプケーシング24と、ポンプケーシング24に収容され、回転軸に接続された複数のインペラと、ポンプケーシング24及び回転軸の間を軸封する軸シール部25と、を備える。ポンプケーシング24は内部にインペラを収容する。ポンプケーシング24は、吸込口24a及び吐出口24bを有する。吸込口24aには吸込配管27が接続される。吐出口24bには吐出配管28が接続される。また、ポンプケーシング24にはポンプケーシング24内の水を排出するドレン配管24cを備える。ドレン配管24cはポンプケーシング24の下端部から延出するとともに、配管内の排水路を開閉可能な開閉弁24dを備える。
【0015】
吸込配管27は、ポンプ23の一次側に吸込流路を構成する。吸込配管27は、貯水槽や水道本管等の給水源Cに接続される。
【0016】
吐出配管28は例えば1以上の管部材が連結され、ポンプ23の二次側に吐出流路を構成する。例えば吐出配管28は、ポンプケーシング24から上方に向けて延出する。吐出配管28は吐出流路において順番に設けられた逆止弁28a及び開閉弁28bを備える。吐出配管28の二次側は放水装置90に接続される。
【0017】
吐出配管28は、吐出流路の所定箇所から分岐して設けられる逃がし配管39を備える。逃がし配管39は、吐出配管28の、ポンプの吐出口24bよりも二次側の部位から、呼水槽31の内部に延びる。逃がし配管39の先端39aは、排出管34の上端部の開口内開口している。逃がし配管39は、消火ポンプ装置20により増圧された水を呼水槽31の排出管34に逃す。逃がし配管39は逆止弁と、開閉弁と、を備える。
【0018】
吐出配管28は、吐出流路の所定箇所から分岐して設けられる試験配管46を備える。試験配管46は、流路を開閉する開閉弁46a、流量を検出する流量検出器、及び圧力を検出する圧力検知器、を備える。
【0019】
吐出配管28の所定箇所には、呼水装置30の呼水管32が接続される。呼水管32は吐出配管28の、ポンプの吐出口24bよりも二次側の連結部位に接続される。
【0020】
呼水装置30は、例えば、呼水を貯水する呼水槽31と、呼水管32と、補給部33と、排出管34と、を備える。呼水装置30は、例えば消火ポンプ装置20の初動運転時に、ポンプ23のポンプケーシング24内に呼水を充填することが可能である。
【0021】
呼水槽31は、槽本体35と、槽本体35の開口を塞ぐ蓋部36と、を備える。槽本体35は鋼板製の底壁(底部)35aと側壁35bとを有し、上部に開口を有する箱形状に構成され、貯水可能な収容部を形成する。呼水槽31は、消火ポンプ装置20より高位置に配置される。呼水槽31は、ベース10の架台11上に設置されている。呼水槽31収容部内に、逃がし配管39の先端39aが配される。呼水槽31の蓋部36には、水位を検出する水位検出器としての電極棒36aが設けられている。
【0022】
呼水槽31の底壁35aは呼水管32が接続される流出口35cが形成される。例えば流出口35cは円形状に構成された貫通孔であり、この流出口35cを通って呼水が呼水管32へ流れる。また、呼水槽31の底壁35aにおいて流出口35cが形成される部位上には濾過装置40が設けられる。
【0023】
呼水管32は、例えば1つ以上の管部材を備えて構成される。呼水管32は、一端が底壁35aの流出口35cに接続され、他端が吐出配管28の中途部に接続される。呼水管32は、呼水槽31内部の収容部と吐出流路とを連通する呼水流路を構成する。呼水管32は、流路を開閉する開閉弁37と、消火ポンプ装置20から呼水装置30への通水を防止する逆止弁38と、を備える。
【0024】
補給部33は呼水槽31の側壁35bに設けられ、例えば水の補給を行う水道配管に接続される補給管33aと、ボールタップ33bと、を備える。補給部33は、ボールタップ33bが水位に応じて開閉する動作により補給管33aが開閉することで、呼水槽31内に所要水量の水を補給し、水位を維持する。
【0025】
排出管34は、槽本体35の下方から底壁35aを通って上方に向けて延び、上端部が槽本体35内部で開放される。排出管34の他端部は、排水部に接続されている。この排出管34の上端部の開口内に、逃がし配管39の先端が配置されている。
【0026】
図1乃至
図4に示す濾過装置40は、濾過容器41と、濾過容器41に保持される濾過材42と、を備える。濾過容器41は、矩形の底板41aと、底板の周縁から立設される側板41bと、を備え、上側に開口する通過口部43を有する有底の矩形の箱状に構成される。底板41aは例えば円形状に開口する通過口部44を有する。通過口部43は濾過容器41の流入口となる。また、通過口部44は濾過容器41の流出口35cに対向配置され、呼水管32の流入口となる。
【0027】
両側の通過口部43,44は、濾過材42が通過せず、かつ通水可能に構成される。一例として、濾過容器41の上側の通過口部43と、下側の通過口部44には、それぞれフィルタ部材43a、44aが設けられる。フィルタ部材43a,44aはそれぞれ通過口部43,44と同じ形状に構成され、通過口部43,44を覆うとともに、例えば複数の細孔を有する、多孔構造、あるいはメッシュ状に構成される。例えばフィルタ部材43a,44aの細孔のサイズやフィルタの目開きの大きさは、濾過材42の後述するイオン交換樹脂の有効径よりも小さい。フィルタ部材43a,44aの一例として、樹脂スクリーンが用いられる。例えばイオン交換樹脂の有効径が0.4mm以上である場合、フィルタ部材43a,44aは目開き0.3、nmの50メッシュを用いる。フィルタ部材43a,44aは、通水可能であるとともに濾過材42の流出を防止する。すなわち、濾過容器41は、フィルタ部材43a、44aが設けられた通過口部43,44によって、通水可能であり、かつ、通過口部43と通過口部44との間に形成される内部空間に濾過材42を保持可能に、構成される。
【0028】
濾過容器41は、係合部としての一対の取付金具45を備える。例えば取付金具45は締結具が締結される締結座部45aを有し、呼水槽31の底壁35a着脱可能に構成される。取付金具45は例えば側板41bの外側に設けられるプレート部材である。
【0029】
濾過材42は、例えばイオン交換樹脂である。一例として、濾過材42は、例えば粒状の陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂を備える。陽イオン交換樹脂としては例えばスルホン酸基を交換基とする強酸性陽イオン交換樹脂を備える。また、例えば陰イオン交換樹脂として、トリメチルアンモニウム基を交換基とする強塩基性陰イオン交換樹脂を備える。
【0030】
濾過装置40は、濾過容器41が呼水槽31の底壁35aに設置され、呼水槽31の内部空間と呼水流路に連通する濾過流路を形成するとともに、当該濾過流路に濾過材42を保持する。
【0031】
制御盤は、インバータと、このインバータやポンプユニットを制御すると共に及び各部に設けられた検出器からの出力信号に基づいて各種演算を行う制御回路(制御部)と、を備える。例えば制御回路は、火災時の放水運転や定期点検運転等を行う。
【0032】
放水装置90は、吐出配管28に接続されるとともに吐出配管28の二次側で分岐する流路と、建造物のフロア毎に設けられた複数の放水器91と、各部に設けられた火災検出部92と、を備える。放水装置90は、例えば、建物の天井部等に設けられ、消火ポンプ装置20で増圧された水を散水する。例えば放水器91はスプリンクラーである。
【0033】
以上のように構成された消火ポンプユニット1において、呼水装置30の呼水槽31はポンプ23より高い位置に配置されており、ポンプ23の初動運転時に、呼水槽31から呼水管32を通ってポンプケーシング24内に呼水を充填可能に構成されている。
【0034】
消火ポンプユニット1は、制御回路により、放水運転、試運転、定期点検運転を含む複数の運転モードにて作動する。なお、消火ポンプユニット1は、固着などによる始動不良を検出した場合に電力供給を継続して複数回起動動作を繰り返すリトライ機能を有していてもよい。
【0035】
例えば火災発生時の放水運転として、制御回路は、火災検出器からの情報、検出圧力、検出流量、放水器91の開閉状態等の各種検出情報に基づき、火災発生条件を満たす場合に、ポンプを駆動することにより、放水器から散水する。
【0036】
なお、消火ポンプ装置においてはポンプケーシング内に消火水槽から揚水した消火用水が充満している場合があり、このような場合、例えば消火水槽がコンクリート製であれば、消火水槽から溶出した水酸化カルシウムが消火用水に含まれる可能性がある。したがって、一例として、消火ポンプユニット1において、試運転時及び定期点検時に、消火用水を排水して、ポンプケーシング24内に呼水を充水させる。試運転及び定期点検動作において、最初に吐出側の開閉弁28bを閉じ、試験配管46の開閉弁46aを開いて、試験配管46に設けられた流量計及び圧力計により、流量や圧力を検出する性能試験を行う。そして、呼水管32の開閉弁37を閉じた後、ポンプケーシング24に設けられたドレン配管24cの開閉弁24dを開いて、ポンプケーシング24内の消火用水の排水を行う。消火用水の排水後は、ポンプケーシング24のドレン配管24cの開閉弁24dを閉じ、呼水管32の開閉弁37を開いて、ポンプケーシング24内に呼水を充水させる。呼水の充水完了後、試験配管46の開閉弁46aを閉じて、吐出し側の開閉弁28bを開き、制御装置を待機状態とする。以上の消火用水排水及び濾過処理を伴う呼水充水により、消火水槽がコンクリート製である場合にあっても、スケールの固着が防止できる。
【0037】
以上のように構成された消火ポンプユニット1は、以下のような効果を奏する。すなわち、消火ポンプユニット1において、呼水槽31から呼水管32を通ってポンプケーシング24内に呼水が充填される際、呼水は濾過装置40を通過するため、呼水に含まれる陽イオンと陰イオンが濾過材42に吸着される。すなわち濾過材42における強酸性陽イオン交換樹脂により、カルシウムやマグネシウムなどの硬度成分が吸着され、強塩基性陰イオン交換樹脂により、イオン状のシリカが吸着される。したがって、呼水槽31の二次側に、陽イオン及び陰イオンが流出することを防止できる。このため、例えば水源の地域によって水中に含まれる二酸化酸素が化合して炭酸カルシウムとなりスケールが発生することや、二酸化ケイ素がゲル状被膜を形成し硬度成分と化合してスケールが発生することを、防止できる。したがって、スケールの固着によってポンプ始動時に拘束電流が流れて過電流警報が発生することや、いわゆるポンプロック状態となるような不具合も防止できる。特に、消火ポンプの場合、常時停止状態にあり、制御装置の自動点検機能により、頻繁に点検始動を行うこともできないため、インペラやメカニカルシールなど、ポンプ内部の固着を未然に防ぐことが困難となるが、本実施形態によれば、簡単な構成で、容易に、ポンプ内部の固着を防止できる。したがって、ポンプ内部の固着により、始動に必要なトルクが増大して起動を妨げるなどの各種の不具合を抑制できる。また、例えば固着による拘束の対策としてリトライ機能を有する場合もあるが、リトライによる始動の遅れや起動の不確実性などの懸念が残る。これに対し、上記本実施形態によれば、呼水の濾過により固着を未然に防止できるため、起動の確実性を一層向上することができる。
【0038】
また、濾過装置40は取付金具45によって着脱可能に構成されているため、設置が容易で取り扱い性が高い。例えば濾過装置40は既存の呼水槽に後付けすることが可能であり、汎用性も高い。呼水槽31の底部の流出口35c上に配置するだけの簡単な構成で、効果的な濾過処理が可能である。
【0039】
また、消火ポンプユニット1において、逃がし配管39の先端39aは呼水槽31内の排出管34内に開口しているため、定期点検時に消火用水が呼水槽31に充満することを防止できる。
【0040】
また、一般的に、濾過装置においてイオン交換樹脂を使用する場合、再生剤として塩化ナトリウムや水酸化ナトリウム水溶液が必要となるが、消火ポンプは起動頻度が極端に少ない為、日常的な再生工程は不要である。したがって、例えば、消防法に定められる定期点検のタイミングで、イオン交換樹脂の濾過容器ごと交換を行えば足り、メンテナンス性が良く、経済的である。また、濾過装置40としてイオン交換装置を採用したことにより、装置構成が簡易で事前処理や排水処理が不要となり、経済的である。例えば他の方式として凝析沈殿方式では強アルカリの添加が必要であり、スラリーの排水処理が必要となるが、イオン交換式としたことにより、添加や排水等の煩雑な処理が不要となる。また、イオン交換式としたことで、事前の薬品追加工程も不要であるため、逆浸透(RO)膜に通水する逆浸透膜装置や電気分解を利用する場合よりも経済的である。
【0041】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されない。例えば、消火ポンプユニット1は、消火ポンプ装置20を複数備える構成であってもよい。
【0042】
例えば、濾過装置40は上記のイオン交換装置に限られるものではない。例えば他の実施形態として、強アルカリを利用して炭酸カルシウムを晶析させる凝析沈殿装置、逆浸透(RO)膜に通水してろ過する逆浸透膜装置、電気分解によりスケールを強制析出させて分離させる電気分解装置、など、他の方式の濾過装置を用いてもよい。
【0043】
また濾過装置40の構成も上記に限られるものではない。例えば上記実施形態においては濾過容器41が矩形状で円形の通過口部43を備える例を示したが、濾過容器が円形や長方形、その他の形状であってもよく、また通過口部43の形状が矩形状など他の形状であってもよい。また、上記実施形態においては1つの呼水槽31に1つの濾過装置40が設けられる例を示したが、複数の濾過装置40を備えてもよい。例えば複数種類の濾過材42を、種類毎に複数の濾過容器41に分けて配置してもよく、1つの濾過容器に複数種類の濾過材42を配置してもよい。
【0044】
また、濾過装置の設置箇所も上記実施形態の例に限定されない。例えば、上記実施形態において濾過装置40が呼水槽31の流出口35cに設置された例を示したが、他の位置に配置してもよい。
図5は第2実施形態にかかる消火ポンプユニット1Aの構成を示す側面図である。消火ポンプユニット1Aにおいて、濾過装置140は、呼水槽31の一次側の補給部33に設けられている。なお、消火ポンプユニット1Aの他の構成は、上記第1実施形態にかかる消火ポンプユニット1と同様である。例えば濾過装置140は補給管33aの一次側であって補給水の水源との間に設けられる。本実施形態において濾過装置140が複数設けられる。濾過装置140は円筒状の濾過容器141と、濾過容器141内に収容される濾過材142と、を備える。濾過容器141は濾過材142を保持するとともに通水可能に構成される。本実施形態の消火ポンプユニット1Aにおいても、呼水が消火ポンプ装置20の流路に連結される部位よりも一次側において濾過されることで、スケールの固着を防止できる。
【0045】
また、上記実施形態において係合部として濾過容器41に取付けられた取付金具45を例示したがこれに限られるものではない。例えば係合部は、濾過容器41側と、呼水槽31の底壁35a側の、両方にそれぞれ設けられ互いに係合する複数の部材で構成されていてもよいし、どちらか一方に設けられた部材のみで構成されていてもよい。
【0046】
すなわち、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0047】
1、1A…消火ポンプユニット、10…ベース、11…架台、12…底板、20…消火ポンプ装置、21…モータ、23…ポンプ、24…ポンプケーシング、24a…吸込口、24b…吐出口、24c…ドレン配管、24d…開閉弁、25…軸シール部、27…吸込配管、28…吐出配管、28a…逆止弁、28b…開閉弁、29…圧力容器、30…呼水装置、31…呼水槽、32…呼水管、33…補給部、33a…補給管、33b…ボールタップ、34…排出管、35a…底壁、35b…側壁、35c…流出口、36…蓋部、36a…電極棒、37…開閉弁、38…逆止弁、39…配管、39a…先端、40…濾過装置、41…濾過容器、41a…底板、41b…側板、42…濾過材、43…通過口部、43a…フィルタ部材、44…通過口部、44a…フィルタ部材、45…取付金具、45a…締結座部、46…試験配管、46a…開閉弁、90…放水装置、91…放水器、92…火災検出部、140…濾過装置、141…濾過容器、142…濾過材。