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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023028476
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】遠隔操作具
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/02 20060101AFI20230224BHJP
   B25B 7/12 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
H02G1/02
B25B7/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021134199
(22)【出願日】2021-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】000207311
【氏名又は名称】大東電材株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591080678
【氏名又は名称】株式会社中電工
(74)【代理人】
【識別番号】110001553
【氏名又は名称】アセンド弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】大久保 和典
(72)【発明者】
【氏名】近藤 文昭
(72)【発明者】
【氏名】金澤 範之
【テーマコード(参考)】
3C020
5G352
【Fターム(参考)】
3C020SS01
5G352AE05
(57)【要約】
【課題】操作性を向上させつつ小型化を実現できる遠隔操作具を提供する。
【解決手段】遠隔操作具(10)は、主操作棒(11)と、固定把持部材(12)と、可動把持部材(13)と、副操作棒(14)と、主操作棒(11)に対して副操作棒(14)を揺動させるための操作レバー(15)と、を備える。操作レバー(15)は、支点部(151)と、作用点部(152)と、本体部(153)と、操作部(154)と、を含む。支点部(151)は、主操作棒(11)を貫通する軸部(112)によって、主操作棒(11)に軸支される。作用点部(152)は、副操作棒(14)の後端で副操作棒(14)に軸支される。本体部(153)は、支点部(151)と作用点部(152)とをつなぐ。操作部(154)は、本体部(153)から副操作棒(14)の後方に突出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配電工事に用いられる遠隔操作具であって、
主操作棒と、
前記主操作棒の先端に固定された固定把持部材と、
前記固定把持部材に軸支された可動把持部材と、
前記主操作棒と並列に配置され、前記可動把持部材に軸支された副操作棒と、
前記主操作棒に対して前記副操作棒を揺動させるための操作レバーと、を備え、
前記操作レバーは、
前記主操作棒を貫通する軸部によって、前記主操作棒に軸支された支点部と、
前記副操作棒の後端で前記副操作棒に軸支された作用点部と、
前記支点部と前記作用点部とをつなぐ本体部と、
前記本体部から前記副操作棒の後方に突出する操作部と、を含む、遠隔操作具。
【請求項2】
請求項1に記載の遠隔操作具であって、
操作前の状態で、前記主操作棒に沿う方向において、前記支点部は、前記作用点部よりも後方に位置する、遠隔操作具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の遠隔操作具であって、
前記操作部は、前記本体部のうち前記作用点部寄りの部分から突出する、遠隔操作具。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の遠隔操作具であって、
前記操作部は、
前記本体部と接続する第1直線部と、
前記第1直線部の後端と接続し、前記主操作棒の先端側から後端側に向かうにつれて、前記主操作棒との距離が小さくなるように湾曲する湾曲部と、
前記湾曲部の後端と接続する第2直線部と、を含む、遠隔操作具。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の遠隔操作具であって、
前記操作レバーの位置を固定するためのロック機構を備え、
前記ロック機構は、前記支点部から前記本体部と反対方向に向かって突出する突出部と、前記突出部に取り付けられたロックギアと、前記ロックギアと噛み合う鋸歯状の面を有するロックレバーと、を含む、遠隔操作具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配電工事に用いられる遠隔操作具に関する。
【背景技術】
【0002】
配電設備の工事の際、安全な作業が求められる。例えば配電線に対する作業では、作業者と配電線との離隔距離を確保する必要がある。この作業に、遠隔操作具が用いられる。この遠隔操作具は、間接活線把持工具又はヤットコとも称される。遠隔操作具は、主操作棒及び副操作棒を備え、それらの先端には把持部が設けられる。遠隔操作具の操作には、主操作棒に併設された操作レバーが用いられる。
【0003】
操作レバーは、軸部と、操作部とを含んでいる。作業者が主操作棒と共に操作部を握ったり、操作部から手を離したりすると、操作レバーは軸部を中心に回動する。操作レバーは、副操作棒の後端で副操作棒に軸支されている。このため、副操作棒は、操作レバーの動きに対応して前後方向に揺動する。把持部は、副操作棒の揺動と連動して開閉する。操作レバーを操作する前、把持部は開いた状態である。操作レバーを操作することにより把持部が閉じ、電線類や、それ以外の資機材等を把持することができる。
【0004】
操作前の状態で操作部が主操作棒に対して大きく開いていると、主操作棒から操作部までの距離が大きい。この場合、手の小さな作業者が操作レバーを操作するのは困難である。このような不都合に対する改善のために、例えば、特許文献1には、主操作棒に対する操作部の開き角度を調整可能な間接活線把持工具が開示されている。特許文献1の間接活線把持工具では、固定部に設けられた第1の歯合部と、操作レバーに設けられた第2の歯合部を有し、第1の歯合部に対する第2の歯合部の円周方向の相対位置を変更することが可能である。これにより、操作部の開き角度を調整することができる。このような間接活線把持工具によれば、作業者の手の大きさに合うように操作部の開き角度を調整できる。このため、操作レバーを操作しやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-50053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した通り、遠隔操作具では、操作レバーを操作することにより、把持部を閉じた状態(把持状態)にすることができる。遠隔操作具の操作性の観点から、操作レバーにおいて、把持状態にするのに必要な操作角は、極力小さいことが好ましい。把持状態にするのに必要な操作角が小さくなれば、主操作棒から操作部までの距離を小さくすることができる。これにより、手の小さな作業者が操作レバーを操作しやすくなる。しかしながら、特許文献1の間接活線把持工具は、単に主操作棒に対する操作レバーの開き角度を調節できるにすぎず、把持状態にするのに必要な操作角を小さくできるものではない。
【0007】
また、従来の遠隔操作具では、操作レバーは主操作棒に併設されている。この場合、操作レバーが、主操作棒の外部に大きく張り出している。このため、遠隔操作具全体が大型化する。
【0008】
本開示は、操作性を向上させつつ小型化を実現できる遠隔操作具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る遠隔操作具は、配電工事に用いられる。遠隔操作具は、主操作棒と、固定把持部材と、可動把持部材と、副操作棒と、主操作棒に対して副操作棒を揺動させるための操作レバーと、を備える。固定把持部材は、主操作棒の先端に固定される。可動把持部材は、固定把持部材に軸支される。副操作棒は、主操作棒と並列に配置され、可動把持部材に軸支される。操作レバーは、支点部と、作用点部と、本体部と、操作部と、を含む。支点部は、主操作棒を貫通する軸部によって、主操作棒に軸支される。作用点部は、副操作棒の後端で副操作棒に軸支される。本体部は、支点部と作用点部とをつなぐ。操作部は、本体部から副操作棒の後方に突出する。
【発明の効果】
【0010】
本開示に係る遠隔操作具によれば、操作性を向上させつつ小型化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態に係る遠隔操作具の側面図である。
図2図2は、図1の部分拡大図である。
図3図3は、図1に示す遠隔操作具の一部を拡大した断面図である。
図4図4は、実施形態に係る遠隔操作具の側面図である。
図5図5は、図4に示す遠隔操作具の一部を拡大した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施形態に係る遠隔操作具は、配電工事に用いられる。遠隔操作具は、主操作棒と、固定把持部材と、可動把持部材と、副操作棒と、主操作棒に対して副操作棒を揺動させるための操作レバーと、を備える。固定把持部材は、主操作棒の先端に固定される。可動把持部材は、固定把持部材に軸支される。副操作棒は、主操作棒と並列に配置され、可動把持部材に軸支される。操作レバーは、支点部と、作用点部と、本体部と、操作部と、を含む。支点部は、主操作棒を貫通する軸部によって、主操作棒に軸支される。作用点部は、副操作棒の後端で副操作棒に軸支される。本体部は、支点部と作用点部とをつなぐ。操作部は、本体部から副操作棒の後方に突出する(第1の構成)。
【0013】
第1の構成に係る遠隔操作具では、操作レバーの支点部は、主操作棒を貫通する軸部によって、主操作棒に軸支される。さらに、操作レバーの操作部は、支点部と作用点部とをつなぐ本体部から、副操作棒の後方に突出する。このような構成では、本体部の長さが大きい。本体部の長さが大きいほど、支点部から作用点部の長さが大きい。この場合、操作レバーの回転による副操作棒の変位量が大きい。したがって、操作レバーにおいて、把持状態にするのに必要な操作角を減少させることができる。また、操作レバーの支点部が主操作棒を貫通する軸部によって、主操作棒に軸支されることにより、遠隔操作具を小型化することができる。なぜなら、操作レバーの回転の支点部が主操作棒の外部にある場合と比較して、主操作棒からの操作レバーの張り出し量が小さくなるからである。したがって、第1の構成の遠隔操作具によれば、操作性を向上させつつ小型化を実現できる。
【0014】
操作前の状態で、主操作棒に沿う方向において、支点部は、作用点部よりも後方に位置することが好ましい(第2の構成)。この場合、操作レバーの操作角を十分に確保することができる。
【0015】
操作部は、本体部のうち作用点部寄りの部分から突出してもよい(第3の構成)。
【0016】
操作部は、第1直線部と、湾曲部と、第2直線部と、を含んでいてもよい。第1直線部は、本体部と接続する。湾曲部は、第1直線部の後端と接続し、主操作棒の先端側から後端側に向かうにつれて、主操作棒との距離が小さくなるように湾曲する。第2直線部は、湾曲部の後端と接続する(第4の構成)。
【0017】
作業者は、遠隔操作具を操作する際、操作レバーの第2直線部を主操作棒と共に把持する。第2直線部が接続する湾曲部は、主操作棒の先端側から後端側に向かうにつれて、主操作棒との距離が小さくなるように湾曲している。このため、主操作棒と第2直線部との距離が小さくなる。よって、第4の構成によれば、操作レバーの操作性をさらに向上させることができる。
【0018】
遠隔操作具は、操作レバーの位置を固定するためのロック機構を備えていてもよい。ロック機構は、支点部から本体部と反対方向に向かって突出する突出部と、突出部に取り付けられたロックギアと、ロックギアと噛み合う鋸歯状の面を有するロックレバーと、を含む(第5の構成)。
【0019】
作業者は、操作レバーを任意の位置まで回転させた状態で、ロックレバーを操作することができる。ロックレバーを操作すれば、ロックレバーの鋸歯状の面がロックギアと噛み合う。この状態では、操作レバーは、回動することができない。つまり、ロックレバーを操作することにより、操作レバーの位置を固定することができる。操作レバーの位置の固定に伴って、副操作棒及び可動把持部材の位置も固定される。これにより、遠隔操作具において、任意の把持状態を維持することができる。
【0020】
以下に、図面を参照しながら、実施形態に係る遠隔操作具についてその具体例を説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0021】
[遠隔操作具10の構成]
図1は、実施形態に係る遠隔操作具10の側面図である。図1には、操作前の遠隔操作具10が示される。遠隔操作具10は、配電工事に用いられる。図1を参照して、遠隔操作具10は、主操作棒11と、固定把持部材12と、可動把持部材13と、副操作棒14と、操作レバー15と、を備えている。
【0022】
主操作棒11は、円形断面を有し、中空の棒状の部材である。ただし、主操作棒11は中実であってもよい。主操作棒11は、絶縁性を有する。主操作棒11の材料は、好ましくは、繊維強化プラスチック(FRP)である。主操作棒11の長手方向の適所に、水滴除けの傘部111が設けられる。固定把持部材12は、主操作棒11の長手方向の一方の端に固定される。
【0023】
本明細書において、主操作棒11のうち、固定把持部材12が固定される側の端を先端、他方の端を後端と言う。また、遠隔操作具10において、主操作棒11に沿う方向を前後方向とも言う。説明の便宜上、前後方向において、先端側を前、後端側を後と言う場合がある。
【0024】
可動把持部材13は、固定把持部材12に軸支される。可動把持部材13は、軸部131を中心に、固定把持部材12に対して回動可能なように取り付けられる。
【0025】
遠隔操作具10を操作する前の状態では、固定把持部材12と可動把持部材13とは、開状態である。つまり、遠隔操作具10の操作前、可動把持部材13は固定把持部材12と離間している。
【0026】
副操作棒14は、主操作棒11と並列に配置される。副操作棒14は、実質的に前後方向に延びており、主操作棒11に対して少し傾いて配置される。つまり、副操作棒14と主操作棒11との間隔は、先端側よりも後端側でやや広い。副操作棒14は、その一方の端が可動把持部材13に軸支される。副操作棒14において、可動把持部材13に軸支される側の端を先端、他方の端を後端と言う。副操作棒14は、先端に取付け部142を有する。この取付け部142に、可動把持部材13が取り付けられる。可動把持部材13は、副操作棒14の動きに連動して、固定把持部材12に対して回動することができる。
【0027】
主操作棒11の先端の位置は、副操作棒14の先端の位置とほぼ一致する。副操作棒14の先端から後端までの長さは、主操作棒11の先端から後端までの長さよりも短い。
【0028】
副操作棒14は、円形断面を有し、中空の棒状の部材である。ただし、副操作棒14は中実であってもよい。副操作棒14は、絶縁性を有する。副操作棒14の材料は、主操作棒11と同じであってもよく、好ましくは繊維強化プラスチック(FRP)である。副操作棒14の長手方向(前後方向)の適所に、水滴除けの傘部141が設けられる。
【0029】
図2は、図1の部分拡大図である。図3は、図1に示す遠隔操作具10の一部を拡大した断面図である。図2及び図3には、操作前の遠隔操作具10が示され、遠隔操作具10のうち、操作レバー15の付近が示される。図2及び図3を参照して、操作レバー15は、支点部151と、作用点部152と、本体部153と、操作部154と、を含む。
【0030】
支点部151は、主操作棒11を貫通する軸部112によって、主操作棒11に軸支される。本実施形態の例では、軸部112は主操作棒11に固定されている。操作レバー15の支点部151の位置に孔が形成されていて、この孔に軸受(例えばドライベアリング)155が取り付けられている。操作レバー15への軸受155の取付け方法は、例えば圧入である。軸部112が軸受155に挿入される。これにより、操作レバー15は軸部112に対して回動することができる。つまり、操作レバー15は主操作棒11に対して支点部151で支持され、軸部112(支点部151)を中心に回動可能である。ただし、軸部112が操作レバー15に固定されていてもよい。この場合、軸部112の両端のそれぞれに軸受が配置され、各軸受が主操作棒11に固定される。
【0031】
副操作棒14の後端には、軸部143が設けられる。作用点部152は、副操作棒14に軸支される。操作レバー15は、軸部143に対して回動可能なように副操作棒14に取り付けられる。詳細は後述するように、操作レバー15の回動に連動して、副操作棒14が前後方向に揺動する。つまり、操作レバー15は、主操作棒11に対して副操作棒14を揺動させるために設けられる。
【0032】
本体部153は、支点部151と作用点部152とをつなぐ。本体部153は、支点部151及び作用点部152との間で実質直線状に延び、支点部151及び作用点部152の各々と接続されている。操作前の状態で、前後方向において、支点部151は、作用点部152よりも後方に位置する。
【0033】
遠隔操作具10が操作される際、操作部154は、作業者によって把持される部分である。操作部154は、本体部153から副操作棒14の後方に突出する。操作部154が本体部153から突出する位置は、支点部151と作用点部152との間である限り、特に限定されるものではない。操作部154は、例えば、本体部153のうち作用点部152寄りの部分から突出していてもよい。作用点部152寄りの部分とは、支点部151と作用点部152との間の中央位置から作用点部152側の部分を意味する。
【0034】
図2及び図3を参照して、例えば、操作部154は、第1直線部154aと、湾曲部154bと、第2直線部154cと、を含む。
【0035】
湾曲部154bは、第1直線部154aの後端と接続する。湾曲部154bは、主操作棒11の先端側から後端側に向かうにつれて、主操作棒11との距離が小さくなるように湾曲する。第2直線部154cは、湾曲部154bの後端と接続する。第2直線部154cは、第1直線部154aと実質的に平行である。作業者が遠隔操作具10を操作する際、作業者は第2直線部154cを把持する。また、作業者は、主操作棒11のグリップ部113を掴んで、配電工事を実施する。グリップ部113は、主操作棒11のうち、軸部112よりも後方の部分である。
【0036】
[遠隔操作具10の操作]
図1図5を参照して、遠隔操作具10の操作を説明する。図4は、実施形態に係る遠隔操作具10の側面図である。図5は、図4に示す遠隔操作具10の一部を拡大した断面図である。図4及び図5には、操作後の遠隔操作具10が示される。図1図5に示す遠隔操作具10はいずれも一例である。
【0037】
遠隔操作具10を用いて電線等の対象物を把持する際、作業者は、主操作棒11のグリップ部113と共に操作レバー15の操作部154を握りこむ。このとき、操作レバー15は、支点部151を回転中心として回転する。図5に示すように、操作レバー15全体が回転することにより、操作部154は主操作棒11と近接する。作業者が操作部154を握りこむことで、操作レバー15が回転した角度を操作角と言う。
【0038】
上記操作に伴い、操作レバー15の作用点部152は、操作前と比較して後方に変位する。本実施形態の例では、操作後の状態で、前後方向において、支点部151は作用点部152よりも前方に位置する。
【0039】
図4を参照して、副操作棒14は、作用点部152の変位に連動して、後方に変位する。副操作棒14が変位すると、副操作棒14の先端の取付け部142も変位する。取付け部142の変位に伴い、可動把持部材13は、軸部131を中心に固定把持部材12に対して回転する。これにより、可動把持部材13は固定把持部材12に近接する。
【0040】
要するに、作業者は、操作レバー15を操作することにより、副操作棒14を介して可動把持部材13を回転させることができる。これにより、可動把持部材13が固定把持部材12に近接し、対象物を可動把持部材13と固定把持部材12とで把持することができる。
【0041】
図2を参照して、遠隔操作具10は、ねじりコイルばね20を備える。ねじりコイルばね20は、操作レバー15を元の状態、すなわち操作前の状態に戻す役割を担う。例えば、ねじりコイルばね20は、操作レバー15の本体部153に引っ掛けられ、支点部151を中心に本体部153を後から前に向けて常時押圧する。
【0042】
作業者が操作レバー15を操作すると、操作レバー15は支点部151を回転中心として回転する。このとき、操作レバー15は、ねじりコイルばね20から、回転方向とは逆向きの力を受けている。このため、作業者が操作レバー15を回転させた後に、操作レバー15から手を離すと、操作レバー15は自動で操作前の状態に戻る。
【0043】
図3及び図5を参照して、遠隔操作具10は、ロック機構16を備える。ロック機構16は、可動把持部材13を任意の位置に固定するために用いられる。ロック機構16は、支点部151から本体部153と反対方向に向かって突出する突出部161と、突出部161に取り付けられたロックギア162と、ロックレバー163と、を含む。本実施形態の例では、突出部161は、操作レバー15と一体成形されている。
【0044】
ロックギア162は、遠隔操作具10を側方から見て円弧形状を有しており、その外周面162aは鋸歯状である。ロックギア162は、例えばボルトによって突出部161に固定される。ロックレバー163は、軸部163aと、操作部163bと、噛合部163cと、を含む。作業者が操作部163bを操作することにより、ロックレバー163は、軸部163aを中心に回動することができる。噛合部163cは、ロックギア162と噛み合う鋸歯状の面を有する。
【0045】
作業者は、操作レバー15を握りこみ、操作レバー15を任意の位置まで回転させた状態で、ロックレバー163を操作してもよい。ロックレバー163の操作部163bにより、ロックレバー163が軸部163aを中心に回動する。これにより、噛合部163cがロックギア162の外周面162aから離間した状態(図3)と、噛合部163cがロックギア162の外周面162aと噛み合った状態(図5)とを取り得る。前者がロック解除状態であり、後者がロック状態である。要するに、ロックレバー163の操作により、ロック解除状態とロック状態とを切り替えることができる。
【0046】
ロック状態では、噛合部163cがロックギア162の外周面162aと噛み合っているため、操作レバー15は回動することができない。このため、ロックレバー163によって操作レバー15の位置を固定することができる。操作レバー15の位置の固定に伴って、副操作棒14及び可動把持部材13の位置も固定される。これにより、遠隔操作具10において、任意の把持状態を維持することができる。
【0047】
図1図5を参照して、主操作棒11は、操作レバー15に向かって突出する突起114を含む。突起114は、支点部151よりも後方に設けられる。作業者は、操作レバー15を握りこむ際、この突起114に人差し指を引っ掛けてもよい。これにより、遠隔操作具10を片手で操作する場合であっても、操作が安定する。
【0048】
[効果]
実施形態に係る遠隔操作具10では、操作レバー15の支点部151は、主操作棒11を貫通する軸部112によって、主操作棒11に軸支される。つまり、操作レバー15の支点部151が主操作棒11内に存在する。さらに、操作レバー15の操作部154は、支点部151と作用点部152とをつなぐ本体部153から、副操作棒14の後方に突出する。このような構成では、本体部153の長さが大きい。支点部151と作用点部152との間に操作部154が設けられるため、必然的に本体部153がある程度の長さを有するからである。本体部153の長さが大きいほど、支点部151から作用点部152の長さが大きい。この場合、操作レバー15の回転による副操作棒14の変位量が大きい。したがって、把持状態にするのに必要な操作レバー15の操作角を減少させることができる。また、操作レバー15の支点部151が主操作棒11を貫通する軸部112によって、操作レバー15が主操作棒11に軸支されることから、主操作棒11から作用点部152の端までの長さが大きくなりすぎることはない。つまり、主操作棒11からの操作レバー15の張り出し量が小さい。したがって、本実施形態に係る遠隔操作具10によれば、操作性を向上させつつ小型化を実現できる。
【0049】
本実施形態において、支点部151は、操作前の状態で、前後方向において、作用点部152よりも後方に位置する。これにより、操作レバー15の操作角を十分に確保することができる。
【0050】
本実施形態では、操作レバー15は、湾曲部154bと、湾曲部154bの後端と接続する第2直線部154cとを含む。作業者は、遠隔操作具10を操作する際、第2直線部154cを主操作棒11と共に把持する。湾曲部154bは、主操作棒11の先端側から後端側に向かうにつれて、主操作棒11との距離が小さくなるように湾曲する。このため、主操作棒11と第2直線部154cとの距離が小さくなる。これにより、操作レバー15の操作性をさらに向上させることができる。
【0051】
以上、本開示の実施の形態を説明した。しかしながら、上述した実施の形態は本開示を実施するための例示に過ぎない。したがって、本開示は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0052】
10:遠隔操作具
11:主操作棒
12:固定把持部材
13:可動把持部材
14:副操作棒
15:操作レバー
151:支点部
152:作用点部
153:本体部
154:操作部
図1
図2
図3
図4
図5