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特開2023-28477浴槽水位計の殺菌装置及び殺菌システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023028477
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】浴槽水位計の殺菌装置及び殺菌システム
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/18 20060101AFI20230224BHJP
   G01F 23/24 20060101ALI20230224BHJP
   A47K 3/00 20060101ALI20230224BHJP
   B08B 3/08 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
A61L2/18
G01F23/24 A
A47K3/00 M
A47K3/00 Z
B08B3/08 Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021134200
(22)【出願日】2021-08-19
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】301079707
【氏名又は名称】川幸産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090985
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100093506
【弁理士】
【氏名又は名称】小野寺 洋二
(74)【代理人】
【識別番号】100206302
【弁理士】
【氏名又は名称】落志 雅美
(72)【発明者】
【氏名】川原 義幸
【テーマコード(参考)】
2D005
2F014
3B201
4C058
【Fターム(参考)】
2D005FA01
2F014AA07
2F014AB02
2F014AC01
2F014DA01
3B201AA47
3B201AB53
3B201BB87
3B201BB92
3B201CD43
4C058AA30
4C058BB07
4C058CC05
4C058CC06
4C058CC07
4C058EE29
4C058JJ06
4C058JJ24
(57)【要約】
【課題】分解や再組立ての作業を必要としないで、水位計の内部を効果的に殺菌処理する。
【解決手段】水位計本体(100)の本体中間部(2)の内部にある複数の検出電極(11a、11b、11c)のうちの上レベル水位を検出する電極の先端より上方で、多孔ノズル(6a)とした一端が本体上部(1)の絶縁体層(5)の下方の側壁を貫通して設置され、他端が圧送ポンプ(63)を介して殺菌薬液タンク(64)に連結され殺菌薬液を噴霧して供給する流体注入管(6)を設けた。流体注入管(6)の先端から殺菌薬液を内部に高圧で噴射することで、水位計の内壁全域と検出電極全体を余すところなく殺菌処理し、水位計の殺菌効果を向上させた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽の温泉水位を検出する浴槽水位計の殺菌装置であって、
絶縁材で形成されて、上下の一方向に長い筒状の水位計本体の本体上部の内部に、一端が互いに絶縁して固定され、他端が該水位計本体の長さ方向に沿って延び、終端部に前記浴槽と連通する開口を有する本体下部の前記開口の端縁から後退した位置となる如き長さで設置されて、前記浴槽に満たされた温泉水位のレベルを検出するための長さの異なる複数の検出電極を備えてなり、
前記本体上部の内部に、前記複数の検出電極の基部とその近傍を埋設して充填された絶縁体層を有し、
本体中間部の前記複数の検出電極のうちの上レベル水位を検出する電極先端より上方で、多孔ノズルを備えた一端を前記絶縁体層の下方の側壁を貫通して設置され、他端が圧送ポンプを介して殺菌薬液タンクに連結された流体注入管と、
前記流体注入管の近傍で、前記本体中間部の空間と前記水位計本体の外部空間を相通させる如く一端が前記水位計本体の本体中間部の側壁を貫通して設置され、他端が外部空間に開放された通気管と、
を備えてなり、
前記流体注入管の前記他端に連結された殺菌薬液タンクから前記圧送ポンプを介して供給される殺菌薬液が、前記流体注入管の一端に備えた多孔ノズルから前記本体中間部の空間にその内側全体を前記殺菌薬液で浸すがごとく噴霧され、
前記殺菌薬液の噴霧による余剰圧を前記通気管から前記外部空間に放出することにより、前記水位計本体の内部全域を前記殺菌薬液で殺菌処理することを特徴とする浴槽水位計の殺菌装置。
【請求項2】
前記流体注入管が、その一端に備えられた多孔ノズルと前記他端に前記圧送ポンプを介して連結された殺菌薬液タンクとの間に、第1切替弁を備え、前記第1切替弁にエアーポンプが接続されて、本体中間部内部の水分除去のための乾燥機構を備えたことを特徴とする請求項1に記載の浴槽水位計の殺菌装置。
【請求項3】
前記流体注入管が、その一端に備えられた多孔ノズルと前記他端に前記圧送ポンプを介して連結された殺菌薬液タンクとの間に、第2切替弁を備え、前記第2切替弁に排水管が連結され、前記排水管に殺菌薬液の中和剤を混入するための中和剤タンクが中和剤圧送ポンプを介して配設された洗浄機構を備えてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の浴槽水位計の殺菌装置。
【請求項4】
前記流体注入管が、その他端に配設された前記圧送ポンプと殺菌薬液タンクとの間に第3切替弁を備え、前記第3切替弁に洗浄水タンクが連結され、流体注入管や前記圧送ポンプの洗浄又は殺菌薬液を希釈するための洗浄水を選択的に供給可能としたことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の浴槽水位計の殺菌装置。
【請求項5】
前記水位計本体の本体上部を形成する絶縁体層の下面に、複数の検出電極の固定部に水切り用の切欠き部が形成されてなることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の浴槽水位計の殺菌装置。
【請求項6】
浴槽の水位を検出する浴槽水位計の殺菌システムであって、
水位計本体、殺菌薬液タンク、洗浄水タンク、圧送ポンプ、エアポンプ及び中和剤タンクとで構成され、それぞれ切替弁を介して接続されてなり、
前記水位計本体は、絶縁材で形成されて、上下の一方向に長い筒状の水位計本体の本体上部の内部に、一端が互いに絶縁して固定され、他端が該水位計本体の長さ方向に沿って延び、終端部に前記浴槽と連通する開口を有する本体下部の前記開口の端縁から後退した位置となる如き長さで設置されて、前記浴槽に満たされた水の水位レベルを検出するための長さの異なる複数の検出電極を備えてなり、
前記本体上部の内部に、前記複数の検出電極の基部とその近傍を埋設して充填された絶縁体層を有し、
本体中間部の前記複数の検出電極のうちの上レベル水位を検出する電極先端より上方で、多孔ノズルを備えた一端を前記絶縁体層の下方の側壁を貫通して設置され、他端が前記圧送ポンプを介して殺菌薬液タンク及び洗浄水タンクに連結された流体注入管と、
前記流体注入管の近傍で、前記本体中間部の空間と前記水位計本体の外部空間を相通させる如く一端が前記水位計本体の本体中間部の側壁を貫通して設置され、他端が外部空間に開放された通気管と、
を備えてなり、
前記流体注入管に連結された殺菌薬液タンクから前記圧送ポンプを介して供給される殺菌薬液が、前記流体注入管の一端に備えた多孔ノズルから前記本体中間部の空間にその内側全体を前記殺菌薬液で浸すがごとく噴霧され、
前記殺菌薬液の噴霧による余剰圧を前記通気管から前記外部空間に放出することにより、前記水位計本体の内部全域を前記殺菌薬液で殺菌処理し、
前記エアポンプは、前殺菌処理された水位計本体の本体中間部にエアを送り、水位計本体内部の水分除去及び乾燥処理し、
前記中和剤タンクは、前記圧送ポンプを洗浄した洗浄水を排水する排水管に中和剤を送り、排水される殺菌薬液を中和処理することを特徴とする浴槽水位計の殺菌システム。
【請求項7】
前記各切替弁に弁切替器を備えると共に、前記圧送ポンプにポンプ制御器を備え、
前記ポンプ制御器、弁切替器を手動又は自動で制御して殺菌薬液の供給および/又は洗浄を行うことを特徴とする請求項6に記載の浴槽水位計の殺菌システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺菌装置に係り、特に温泉場などの浴場に備える浴槽の水位を監視する浴槽水位計の殺菌装置及び殺菌システムに関する。
【背景技術】
【0002】
温泉あるいは公衆浴場、これに類する施設における浴場にある浴槽には、その水位を定められた所定値に維持するための水位計が設置されているのが普通である。
この種の水位計には、フロート式、電極式などの様々な形式のものがあり、浴槽の内側に設置するものもあれば、外側に設置するものもある。公衆浴場を典型例とした大きな浴槽では、浴槽の設置エリアから隔離した壁裏に設け、水管で湯水を結合しているものが多い。
【0003】
例えば、公衆浴場における水位計は浴場エリアとは壁面で隔離された場所に水管で接続されている。水管は浴槽の水面と同じ水面を水位計に反映する。この水面の変化を監視し、水面が低下すれば湯水の量を追加するようにしている。
【0004】
一般に、浴槽の温度は25度から40度の間に設定してあるのが多い。もちろん25℃以下の冷水風呂もあるし、40度を超える高温浴槽を設置してある施設もある。このような温度の浴槽のなかには、レジオネラ菌の繁殖にとって好適な温度で運用されているものも結構多い。レジオネラ属の細菌は20℃から30℃程度の停滞水を好むといわれている。水位計は浴槽と水管で接続され、浴槽の水位を水位計の水位に反映している。しかしながら、水位計と浴槽を連通する水管は比較的細管である場合が殆どなので、水位計の湯水の温度は浴槽の湯水の温度よりも低いのが普通である。そのため、水位計の内部はレジオネラ菌の繁殖に適した温度になっていることが多い。
【0005】
温泉や公衆浴場(以下、温泉と称する)では、浴槽の定期的な殺菌あるいは滅菌処理を行うことが求められている。殺菌あるいは滅菌処理を以下では殺菌と称する。水管で連通している水位計も、当然にレジオネラ菌が繁殖しているので、この水位計の内部も殺菌処理が必要である。水位計の中では、上記した理由から、湯水が滞留しているために浴槽よりも多くのレジオネラ菌はどの有害細菌(以下、レジオネラ菌と称する)が繁殖している場合もあるので、この水位計の内部の殺菌処理は非常に重要である。
【0006】
水位計のレジオネラ菌除去のために広く行われている殺菌方法は、水管から水位計を外し、電極部を引き抜いて分解し、殺菌液や消毒に浸漬あるいはシャワー処理をしている。しかしながら、水位計の分解、殺菌、再組立ては手間と時間、殺菌液との意図しない接触等の問題がある。
【0007】
浴槽と共に、その水位計の内部に繁殖するレジオネラ菌の殺菌に関する従来技術を開示したものとしては特許文献1を挙げることができる。
【0008】
特許文献1は、上記した水位計の殺菌に分解を要しない方法を開示するもので、水位計に水道水導入口と殺菌剤の投入口を設けて置く。浴槽の水を抜き、水道水で水位計の内部を洗う。その後に浴槽に水を張って投入口から殺菌剤を投入して循環させることで浴槽の内部を殺菌すると共に水位計の殺菌を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003-35586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記した特許文献1に開示の殺菌方法は、水位計の分解は要しないので、前記したような分解と再組み立ての手間は必要としない。水位計の内部を殺菌するための殺菌剤は液体または固体(タブレット)で、これを水位計の内部に貯留した水に投入して内壁の殺菌を行うようにしている。水位計内部の水位は浴槽の水位を反映するものであることから、水位計の内部の水位は電極棒の中ほどまでであり、上部の電極棒は殺菌剤を含んだ水から隔離されている。
【0011】
したがって、この水面上に出ている上部の電極棒および水面から出ている水位計の内壁には殺菌剤が到達できないことになり、水位計の十分な殺菌処理を行うことはできない。浴槽の湯水を循環させて行うこの方法では、水位計の内部のみの水位を浴槽の水位と独立させて上昇させるには、複雑なバルブ操作が必要になり、現実的でない。
【0012】
本発明の目的は、水位計の分解を必要とすることなく、比較的容易に内部を殺菌可能とした浴槽水位計の殺菌装置及び殺菌システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の代表的な構成を以下に記載する。なお、ここでは本発明の各構成要素に後述する実施例の図面に付した参考符号を併記するが、本発明はこれらの参照符号で示される構成に限定されるものではない。
【0014】
本発明は、浴槽200の水の浴槽水位を検出する浴槽水位計の殺菌装置であって、
(1)絶縁材で形成されて、上下の一方向に長い筒状の水位計本体100の本体上部1の内部に、一端が互いに絶縁して固定され、他端が該水位計本体100の長さ方向に沿って延び、終端部に前記浴槽200と連通する水管と接続するための開口3aを有する本体下部3の前記開口3aの端縁から後退した位置となる如き長さで設置されて、前記浴槽200に満たされた温泉水位のレベルを検出するための長さの異なる複数の検出電極11a、11b、11cを備えている。
【0015】
そして、本体上部1の内部に、複数の検出電極11a、11b、11cの基部とその近傍を埋設して充填された絶縁体層(耐薬品性樹脂層)5を有し、本体中間部2の複数の検出電極11a、11b、11cのうちの上レベル水位を検出する電極先端より上方で、多孔ノズルとした一端が絶縁体層5の下方の側壁を貫通して設置され、他端が圧送ポンプ63を介して殺菌薬液タンク64に連結された流体注入管6を有する。
【0016】
また、流体注入管6の近傍(流体注入管6よりも下側が好ましい)で、本体中間部2の空間と水位計本体100の外部空間を相通させる如く一端が水位計本体100の本体中間部2の側壁を貫通して設置され、他端が外部空間に開放された通気管7を備えている。
【0017】
流体注入管6の他端の殺菌薬液タンク64から供給される殺菌薬液を本体中間部2の空間に多孔ノズル6aから噴霧し、殺菌薬液委の供給による余剰圧を通気管7から外部空間に放出することにより、水位計本体100の内部を殺菌剤で殺菌処理することを特徴とする。
【0018】
(2)また、本発明は、前記流体注入管6が、その一端に備えられた多孔ノズル6aと前記他端に前記圧送ポンプ63を介して連結された殺菌薬液タンク64との間に、第1切替弁9aを備え、前記第1切替弁9aにエアーポンプ65が接続されて、本体中間部2内部の水分除去のための乾燥機構を備えたことを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、前記流体注入管6が、その一端に備えられた多孔ノズル6aと前記他端に前記圧送ポンプ63を介して連結された殺菌薬液タンク64との間に、第2切替弁9bを備え、前記第2切替弁9bに排水管66が連結され、前記排水管66に殺菌薬液の中和剤を混入するための中和剤タンク67が中和剤圧送ポンプを介して配設された洗浄機構を備えてなることを特徴とする。
【0020】
(3)また、本発明は、前記流体注入管6が、その他端に配設された前記圧送ポンプ63と殺菌薬液タンク64との間に第3切替弁9cを備え、前記第3切替弁9cに洗浄水タンク68が連結され、流体注入管6や前記圧送ポンプ63の洗浄又は殺菌薬液を希釈するための洗浄水を選択的に供給可能としたとしたことを特徴とする。
【0021】
(4)また、本発明は、前記水位計本体100の本体上部1を形成する絶縁体層5の下面に、複数の検出電極の固定部に水切り用の切欠き部が形成されてなることを特徴とする。
【0022】
(5)さらに、本発明は、浴槽200の水位を検出する浴槽水位計の殺菌システムであって、水位計本体100、殺菌薬液タンク64、洗浄水タンク68、圧送ポンプ63、エアポンプ65及び中和剤タンク67とで構成され、それぞれ切替弁9a、9b、9cを介して接続されてなり、前記水位計本体100は、絶縁材で形成されて、上下の一方向に長い筒状の水位計本体100の本体上部1の内部に、一端が互いに絶縁して固定され、他端が該水位計本体100の長さ方向に沿って延び、終端部に前記浴槽200と連通する開口3aを有する本体下部3の前記開口3aの端縁から後退した位置となる如き長さで設置されて、前記浴槽200に満たされた水の水位レベルを検出するための長さの異なる複数の検出電極11a、11b、11cを備えてなり、
前記本体上部1の内部に、前記複数の検出電極11a、11b、11cの基部とその近傍を埋設して充填された絶縁体層5を有し、
本体中間部2の前記複数の検出電極11a、11b、11cのうちの上レベル水位を検出する電極先端より上方で、多孔ノズル6aを備えた一端を前記絶縁体層5の下方の側壁を貫通して設置され、他端が前記圧送ポンプ63を介して殺菌薬液タンク64及び洗浄水タンク68に連結された流体注入管6と、
前記流体注入管6の近傍で、前記本体中間部2の空間と前記水位計本体100の外部空間を相通させる如く一端が前記水位計本体100の本体中間部2の側壁を貫通して設置され、他端が外部空間に開放された通気管7とを備えてなり、
前記流体注入管6に連結された殺菌薬液タンク64から前記圧送ポンプ63を介して供給される殺菌薬液が、前記流体注入管6の一端に備えた多孔ノズル6aから前記本体中間部2の空間にその内側全体を前記殺菌薬液で浸すがごとく噴霧され、
前記殺菌薬液の噴霧による余剰圧を前記通気管7から前記外部空間に放出することにより、前記水位計本体100の内部全域を前記殺菌薬液で殺菌処理し、
前記エアポンプ65は、前殺菌処理された水位計本体100の本体中間部2にエアを送り、水位計本体100内部の水分除去及び乾燥処理し、
前記中和剤タンク67は、前記圧送ポンプ63を洗浄した洗浄水を排水する排水管66に中和剤を送り、排水される殺菌薬液を中和処理することを特徴とする。
【0023】
そして、本発明にかかる浴槽水位計の殺菌システムは、前記切替弁9a、9b、9cに弁切替器91を備えると共に、前記圧送ポンプ63にポンプ制御器63aを備え、前記ポンプ制御器63a、弁切替器91を手動又は自動で制御して殺菌薬液の供給および/又は洗浄を行うことを特徴とする。
なお、本発明は上記の構成及び後述する実施例の構成に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、分解や再組立ての作業を必要としないで、水位計の内部を効果的に殺菌処理することができる。
【0025】
水位計の本体上部の内部に、複数の検出電極の基部とその近傍を埋設して充填された絶縁体層(耐薬品性樹脂層)を備えたことで、薬剤を用いた殺菌処理時に検出電極の基部とその近傍に当該殺菌薬液が付着して残留することで生じる腐食等の発生を低減できる。
また、本体中間部の複数の検出電極のうちの上レベル水位を検出する電極先端より上方で、多孔ノズルとした一端が絶縁体層の下方の側壁を貫通して設置され、他端が圧送ポンプを介して殺菌薬液タンクに連結された流体注入管を設け、
前記多孔ノズルから前記本体中間部の空間にその内側全体を前記殺菌薬液で浸すがごとく圧のかかった殺菌薬液が一斉に噴霧され、前記水位計本体の内部全域を前記殺菌薬液で殺菌処理することができるので、未殺菌の箇所がなく、水位計の内壁全域と検出電極の全体に殺菌効果を発揮する。
【0026】
流体注入管の近傍で、本体中間部の空間と水位計本体の外部空間を相通させる如く一端が水位計本体の本体中間部の側壁を貫通して設置され、他端が外部空間に開放された通気管を備えたことで、前記殺菌薬液の噴霧による余剰圧を前記通気管から前記外部空間に放出することにより、外気圧と同じ雰囲気中での殺菌処理が可能となり、殺菌薬液の不要な漏れを回避して水位計の内部構造をスムーズに殺菌処理することができる。
【0027】
さらに、本発明によれば、第1切替弁にエアーポンプが接続されて、本体中間部内部の水分除去のための乾燥機構を備えているので、水位計本体の内部の水分を確実に除去でき、乾燥させることができ、より衛生的な状態にすることができる。
【0028】
そして、本発明は、第2切替弁に排水管が連結され、前記排水管に殺菌薬液の中和剤を混入するための中和剤タンクが中和剤圧送ポンプを介して配設された洗浄機構を備えているので、殺菌薬液を無害にして排水処理でき、環境に配慮したものとなる。
【0029】
また、本発明は、第3切替弁に洗浄水タンクが連結され、流体注入管や前記圧送ポンプの洗浄又は殺菌薬液を希釈するための洗浄水を選択的に供給可能としているので、分解作業等をすることなく、流体注入管や圧送ポンプを切替弁の制御だけで洗浄でき、殺菌薬液が内部に残留するのを防止し、劣化しにくく長期間使用可能なものとなっている。
【0030】
加えて、水位計本体の本体上部を形成する絶縁体層の下面で、複数の検出電極の固定部に水切り用の切欠き部を形成してなるので、絶縁体層の下面や、検出電極に雑菌薬液が付着したままにならず、しっかりと水切りができるので、腐食等の発生を低減でき、長期使用に耐えうるものとなっている。
【0031】
検出電極は、上レベル水位を検出する第1電極、下レベルを検出する第2電極、およびアース電極の3本で構成して2レベルの水位検出を行う例を示すが、本発明はこれに限るものではなく、長さが異なる5本の電極で4レベルの水位検出を行うものや、あるいはそれ以上の多レベルの水位検出を行うものも含むことができる。
【0032】
本発明は、流体注入管の他端に圧送ポンプを備え、殺菌薬液タンクから殺菌薬液を吸い上げて流体注入管の一端の多孔ノズルから水位計本体の内部に殺菌薬液を噴射する構成なので、切替弁に弁切替器を備え、前記圧送ポンプにポンプ制御器を備えることで、前記ポンプ制御器により手動あるいは自動で圧送ポンプを制御でき、弁切替器で各切替弁を制御することで、殺菌薬液の供給および/又は洗浄が、手動や自動を簡単に切り替えることができ、環境や状況に合わせて手動にしたり、リモートやタイマーでの制御もでき、殺菌作業忘れ等の問題を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明に係る浴槽水位計の殺菌装置の実施例1を説明する要部断面した模式図
図2】本発明に係る浴槽水位計の殺菌装置の実施例1の機能を説明する模式図
図3】本発明に係る浴槽水位計の殺菌装置の実施例2を説明する模式図
図4】本発明に係る浴槽水位計の殺菌装置の実施例3を説明する模式図
図5】本発明に係る浴槽水位計の殺菌装置の実施例4を説明する模式図
図6】本発明に係る浴槽水位計の殺菌装置の実施例5を説明する模式図
図7】殺菌薬液の排水方法の例の説明図
図8】本発明に係る浴槽水位計の殺菌システムの一例を説明する模式図
図9】本発明に係る水位計の殺菌装置に備えた通気管の配置例を説明する模式図
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態について、実施例の図面を参照して詳細に説明する。
【0035】
〈実施例1〉
図1は本発明に係る浴槽水位計の殺菌装置の実施例1を説明する要部断面した模式図、図2図1に示す実施例1の機能を説明する模式図である。
図中、100は水位計本体、1は本体上部、2は本体中間部、3は本体下部で、3aは本体下部の開口である。5は本体上部1内部の絶縁体層である。
5aは絶縁体層の下面、50a、50b、50cは水切り用の切欠き部である。
また、11a、11b、11cは、検出電極であり、それぞれ異なる長さで水位を検出する。
【0036】
そして、200は本実施例の殺菌対象となる浴槽水位計が設置される浴槽等であり、この浴槽には、温泉の浴槽を始め、一般的な大衆浴場、水風呂、プールなど水、湯(温泉湯を含む)を溜め、その溜めた水や湯の水位を計測する必要がある施設全般を含める。
【0037】
本発明において、浴槽水位計は、プラスチック等の絶縁材で形成されて、上下の一方向に長い筒状の水位計本体100からなる。そして、本体上部1の内部に一端が互いに絶縁して固定され、本体中間部2の中に本体100の長さ方向に沿って延びる長さの異なる複数の検出電極11a、11b、11cを備えている。
【0038】
この検出電極11a、11b、11cの他端(遊端)は、浴槽200と水管150で連通する開口3aを有する本体下部3の当該開口3aの端縁から後退した位置となる如き長さで設置されている。実施例1において各検出電極11a、11b、11cの長さは、湯水面の上レベル電位、同下レベル電位、アース電位に対応している。
【0039】
前記水位計本体100は、前記本体上部1の内部の前記複数の検出電極11a、11b、11cの基部とその近傍を埋設して絶縁体層5が充填されている。
絶縁体層5は、本体上部1の内部に耐薬品性の硬化性樹脂で形成されるのが好ましいが、絶縁効果を有する材料であれば限定されない。なお、前記絶縁体層5の下面5aは、前記多孔ノズル6aから噴霧される殺菌薬液が接触する部分となるので、噴霧された殺菌薬液を弾く程度の硬さや弾力性があれば、より望ましい。
本実施例において、水位計本体100の本体上部1は、本体中間部2と羅合されており、上端を閉鎖している部分(蓋体)は、図1には示していないが、着脱可能に構成することもできる。なお、本体上部1及び本体中間部2の形状や構成は、特に本実施例に限定されるものではなく、一般的な水位計の形状や構成に適用可能である。
【0040】
本実施例における水位計本体100において、各検出電極11a、11b、11cの電極部4a、4b、4cには検出信号伝送用の信号線が取り付けられており、引き出し端子部4から引き出されて検出線42として監視制御器43に接続されている。監視制御器43は水位計の水位検出状態を監視し、上下レベル範囲を逸脱した場合には警報を発するなどの機能を有する。引き出し端子部4は端子引き出し部41aとスリーブ41bとで防水構造を構成している。
【0041】
本体中間部2の前記複数の検出電極11a、11b、11cのうちの上レベル水位を検出する電極11aの先端より上方で、端部を多孔ノズル6aとした一端を前記絶縁体層5よりも下方の側壁を貫通して流体注入管6が設置されており、流体注入管6の他端は圧送ポンプ63を介して殺菌薬液タンク64に接続されている。
そして、圧送ポンプ63を介して殺菌薬液タンク64から、流体注入管6の一端に設置された多孔ノズル6aに高圧の殺菌薬液が送られ、水位計本体100の本体中間部2の内部に勢いよく殺菌薬液αが噴射される。
この高圧の噴射により、殺菌薬液αは図2に示すように勢いよく水位計の内壁面にぶつかって弾かれ内部空間全体にあまねく行き渡り、また、噴射圧によって内壁面、電極表面、絶縁体層5の下面5aにも殺菌薬液が十分に行き渡る。
【0042】
また、図1(a)、(b)に示すように、前記絶縁体層の下面5aに、複数の検出電極の固定部に水切り用の切欠き部50a、50b、50cを形成してもよい。
切欠き部を形成することで、絶縁体層の下面5aに付着する殺菌薬液の水切りができ、前記下面5aに滞留することを防止でき、電極周りに殺菌薬液が留まって腐食するのを防止できる構造となる。
【0043】
本実施例において、流体注入管6が貫通している側壁の前記貫通箇所の下側近傍には、本体中間部2の空間と前記水位計本体100の外部空間を相通させる如く一端が水位計本体100の本体中間部2の側壁を貫通して設置され、他端が外部空間に開放された通気管7を備えている。
【0044】
この通気管7は、流体注入管6の他端から本体中間部2の空間に殺菌薬液を噴霧、供給して殺菌処理する場合では、殺菌薬液の噴霧による余剰圧を前記通気管7から外部空間に放出することにより、水位計本体100の内部圧力を周囲圧力と同じにして水位計本体100の内部での殺菌薬液の均等な散布を保証する。
また、殺菌処理をしていない通常の浴槽稼働時では、水位計内の水位変動による圧力変動を開放して、水位計内の水面位置(水位)と浴槽内の水面(水位)を均等にする作用を与える。
なお、前記多孔ノズル6aからの殺菌薬液の噴霧により余剰圧を放出する際に、噴霧された殺菌薬液が通気管7内にも入り込むため、前記通気管7内も本体中間部2内の殺菌処理と同時に殺菌される。
【0045】
図3~6は、本発明に係る浴槽水位計の殺菌装置の様々な構成を説明する実施例の模式図である。
図3は、本発明に係る浴槽水位計の殺菌装置の実施例2を説明する模式図、図4は実施例3を説明する模式図、図5は実施例4を説明する模式図、図6は実施例5を説明する模式図である。
【0046】
〈実施例2〉
本発明に係る浴槽水位計の殺菌装置の実施例2は、図3に示すように、水位計本体100と、一端に多孔ノズル6aを備え、水位計本体100の壁面に貫通して備えられた流体注入管6と、前記流体注入管6の他端に圧送ポンプ63を介して設置された殺菌薬液タンク64とで構成される本発明の基本構成である。
前記殺菌薬液タンク64から圧送ポンプ63を介して、高圧の殺菌薬液が水位計本体100の内部に、多孔ノズル6aから噴霧されることで、浴槽水位計を分解することなく、殺菌処理を行うことができる構成となっている。
【0047】
〈実施例3〉
本発明に係る浴槽水位計の殺菌装置の実施例3は、図4に示すように、水位計本体100と、一端に多孔ノズル6aを備え、水位計本体100の壁面に貫通して備えられた流体注入管6と、前記流体注入管6の他端に圧送ポンプ63を介して設置された殺菌薬液タンク64と、前記流体注入管6に一端の多孔ノズル6aと前記圧送ポンプ63を介して連結された殺菌薬液タンク64との間に、第1切替弁9aを備え、前記第1切替弁9aにエアーポンプ65が接続され、本体中間部2内部の水分除去のための乾燥機構を備えた構成である。
実施例3の構成は、前記殺菌薬液タンク64から圧送ポンプ63を介して、高圧の殺菌薬液が水位計本体100の内部に、多孔ノズル6aから噴霧されることで、浴槽水位計を分解することなく、殺菌処理を行うことができることに加えて、殺菌処理後に、第1切替弁9aを切り替えることで、本体中間部2にエアーを送ることができ、本体中間部2内部をエアーで水分を除去し乾燥させることができる構成となっている。乾燥機構を備えることにより、水位計本体100の内部の雑菌の繁殖を抑えるとともに、腐食を防止することができ、各設備の長期利用を可能とする。
【0048】
〈実施例4〉
本発明に係る浴槽水位計の殺菌装置の実施例4は、図5に示すように、水位計本体100と、一端に多孔ノズル6aを備え、水位計本体100の壁面に貫通して備えられた流体注入管6と、前記流体注入管6の他端に圧送ポンプ63を介して設置された殺菌薬液タンク64と、前記流体注入管6に一端の多孔ノズル6aと前記圧送ポンプ63を介して連結された殺菌薬液タンク64との間に、第2切替弁9bを備え、前記第2切替弁9bに排水管66が連結され、前記排水管66に殺菌薬液の中和剤を混入するための中和剤タンク67が中和剤圧送ポンプを介して配設された洗浄機構を備えた構成である。
【0049】
実施例4の構成は、前記殺菌薬液タンク64から圧送ポンプ63を介して、高圧の殺菌薬液が水位計本体100の内部に、多孔ノズル6aから噴霧されることで、浴槽水位計を分解することなく、殺菌処理を行うことができることに加えて、殺菌処理後に、第2切替弁9bを切り替えることで、余剰の殺菌薬液や、圧送ポンプ63を洗浄した排水などを排水管66に送ることができ、かつ、前記排水に中和剤タンク67から中和剤を中和剤圧送ポンプで混入させることで、殺菌薬液のまま排水に流すことなく、中和され自然に害のない状態で排水処理が可能となる洗浄機構を備える。
【0050】
〈実施例5〉
本発明に係る浴槽水位計の殺菌装置の実施例5は、図6に示すように、水位計本体100と、一端に多孔ノズル6aを備え、水位計本体100の壁面に貫通して備えられた流体注入管6と、前記流体注入管6の他端に圧送ポンプ63を介して設置された殺菌薬液タンク64と、前記流体注入管6に一端の多孔ノズル6aと前記圧送ポンプ63を介して連結された殺菌薬液タンク64との間に、第3切替弁9cを備え、前記第3切替弁9cに洗浄タンク66が連結され、流体注入管6や圧送ポンプ63の洗浄や殺菌薬液を希釈するための洗浄水を選択的に供給可能とした構成である。
【0051】
実施例5の構成は、前記殺菌薬液タンク64から圧送ポンプ63を介して、高圧の殺菌薬液が水位計本体100の内部に、多孔ノズル6aから噴霧されることで、浴槽水位計を分解することなく、殺菌処理を行うことができることに加えて、殺菌処理後に、第3切替弁9cを切り替えることで、洗浄タンク68から圧送ポンプ63に洗浄水が流れ圧送ポンプ63を洗浄し、また殺菌薬液を噴霧した後の水位計本体100の内部を水洗浄する必要が生じた時に、簡単に洗浄水を供給可能とした。
殺菌効果の高い殺菌薬液は、各装置を腐食させてしまう恐れがあるので、洗浄水タンク68を備えることで、水位計本体100の内部だけでなく、任意に装置自体の洗浄が可能となる洗浄機構を備える。
【0052】
〈浴槽水位計の殺菌方法〉
浴槽水位計を殺菌する場合には、浴槽の湯水レベルはそのまま、又は浴槽の湯水を下げ、あるいは湯水を抜いた状態で、流体注入管6に連結した圧送ポンプ63を駆動することで、殺菌薬液タンク64から殺菌薬液が水位計の内部に高圧で噴射される。
この噴射により、殺菌薬液が勢いよく水位計の内部空間に噴霧され、内部空間で跳ねまくり全体にあまねく行き渡る。また、噴射圧によって内壁面、電極表面、絶縁体層5の下面にも殺菌薬液が十分に行き渡る。
そして、殺菌後に、必要に応じて第3切替弁で切り替えて、洗浄水タンク68を接続して水洗浄を行う。水位計本体100の大きさ等によって、ポンプ制御器63aで加圧量、噴霧量等を調整をする。
【0053】
本発明によれば、水位計を分解して殺菌浴に浸し、洗浄処理して再組立てをする必要がなく、手間の掛からない殺菌処理が可能となる。なお、水だけの洗浄もできることから、必要に応じて水位計を水洗浄することで殺菌薬液の使用頻度、使用量の調整もできる。
【0054】
図7(a)は、浴槽200の底に近い側壁に水管150を通して水位計本体100と接続している場合の殺菌薬液の排水方法の説明図である。
図に示すように、浴槽200の底に近い側壁に水管150を通して水位計本体100が設置されている場合、水位計本体100の内部の殺菌処理をした後、浴槽200の水を抜くと、殺菌薬液を含んだ水が水管150を通って浴槽200内の水と一緒に排水される。
したがって、浴槽200の清掃と同時に水位計の殺菌処理を行うよう制御すれば、水位計の殺菌処理を忘れることがなく、常に衛生的な状態を維持できる。
【0055】
図7(b)は、浴槽200の底面に水管150を通して水位計本体100が設置されている場合の殺菌薬液の排水方法の説明図である。
このような場合、浴槽200の水を排水しただけでは、水管150内の水は排水されない。そのため、水管150内は、沈殿物が堆積したり、滞留水が溜まり、衛生上問題が生じやすい。
そこで、水位計本体100の内部を余すこと無く殺菌薬液を噴霧して浸し殺菌処理をすることで、殺菌薬液が水管150の滞留水に混ざり、水管150内も殺菌処理し、その殺菌薬液が混ざった水は浴槽200側へ押し出されて、浴槽200から排水する。
【0056】
〈浴槽水位計の殺菌システム〉
図8は本発明に係る浴槽水位計の殺菌システムの一例を説明する模式図である。
本実施例は、水位計本体100は前記した実施例1と同じ構造で、複数の水位計本体100を統括的に殺菌処理可能な構成に特徴を有する。
すなわち、本実施例では、例えば一施設の中の複数の様々な浴槽200の水位を計測している水位計本体100を連結し、切替弁9dの切り替えにより、全体あるいは個々に殺菌処理が可能な構成となっている。
【0057】
詳細には、本発明に係る浴槽水位計の殺菌システムの一例は、水位計本体100、殺菌薬液タンク64、洗浄水タンク68、圧送ポンプ63、エアポンプ65及び中和剤タンク67とで構成され、それぞれ切替弁9a、9b、9c、9dを介して接続されてなる。
そして、前記水位計本体100は、前述と同様に絶縁材で形成されて、上下の一方向に長い筒状の水位計本体100の本体上部1の内部に、一端が互いに絶縁して固定され、他端が該水位計本体100の長さ方向に沿って延び、終端部に前記浴槽200と連通する開口3aを有する本体下部3の前記開口3aの端縁から後退した位置となる如き長さで設置されて、前記浴槽200に満たされた水の水位レベルを検出するための長さの異なる複数の検出電極11a、11b、11cを備えてなる。
【0058】
前記本体上部1の内部には、前記複数の検出電極11a、11b、11cの基部とその近傍を埋設して充填された絶縁体層5を有し、本体中間部2の前記複数の検出電極11a、11b、11cのうちの上レベル水位を検出する電極先端より上方で、かつ前記絶縁体層5の下方の側壁に流体注入管6が貫通して設置される。
そして、流体注入管6は、その一端に多孔ノズル6aを備え、前記多孔ノズル6aは、前記本体中間部2内に殺菌薬液を噴霧可能に配置され、他端が前記圧送ポンプ63を介して殺菌薬液タンク64及び洗浄水タンク68に連結されてなる。
【0059】
また、前記流体注入管6の近傍で、前記本体中間部2の空間と前記水位計本体100の外部空間を相通させる如く一端が前記水位計本体100の本体中間部2の側壁を貫通して設置され、他端が外部空間に開放された通気管7を備えてなる。
そして、切替弁9aを制御し、前記流体注入管6に連結された殺菌薬液タンク64から、前記圧送ポンプ63を介して殺菌薬液が供給される。
前記流体注入管6の一端に備えた多孔ノズル6aから前記本体中間部2の空間にその内側全体を前記殺菌薬液で浸すがごとく噴霧され、前記殺菌薬液の噴霧による余剰圧を前記通気管7から前記外部空間に放出することにより、前記水位計本体100の内部全域を前記殺菌薬液で殺菌処理する構成となっている。
【0060】
また、切替弁9bを制御することで、前記エアポンプ65から、前殺菌処理された水位計本体100の本体中間部2にエアを送り、水位計本体100内部の水分除去及び乾燥処理することが可能となっている。これらは、切替弁9dを制御することで連結された全ての水位計本体100に対して、あるいは個別に処理することもできる。
これら切替弁9a~9dの制御は、手動であってもよいが、弁切替器91で総括的に制御するものであってもよい。
【0061】
そして、本発明に係る浴槽水位計の殺菌システムは、前記中和剤タンク67を備え、切替弁9bを介して接続された排水管66に、前記圧送ポンプ63を洗浄した洗浄水を排水する構成とし、前記排水管66に前記中和剤タンク67から中和剤圧送ポンプを介して中和剤を送り、排水される殺菌薬液を中和処理することもできる構成となっている。
上記システムの制御は、圧送ポンプ63にポンプ制御器63aを備えることで、弁切替器91とともに統括的に行うことが可能となっている。
例えば、水位計本体100の複数の検出電極11a、11b、11cから検出線42を介して送信される水位検出信号を受ける監視制御器43により、検出線42を介して送信される水位検出信号に基づいてポンプ制御器65、弁切替器91を制御して、水位計内に殺菌薬液を噴霧して殺菌処理するように制御することもできる。
【0062】
本実施例によれば、複数の水位計の定期的な殺菌処理に加えて必要に応じた随時の殺菌処理を管理室などに設置した監視制御器でリモート実行することができ、作業環境が快適なものとなる。
【0063】
図9は本発明に係る水位計の殺菌装置に備えた通気管の配置例を説明する模式図である。
前記図1では、通気管7の遊端(開放端)を当該水位計本体100の直近に開放しているが、図9に示した例では、遊端を浴場等の建屋の外壁300から屋外に出して水位計の内部の余剰空気(殺菌薬液を含有)が屋内に放出されないようにしている。
【産業上の利用可能性】
【0064】
温泉や銭湯などの湯船(浴槽)の水位計を殺菌するものに限らず、スイミングプールやその他の水槽等の水位計の殺菌にも同様に適用できる。
【符号の説明】
【0065】
1 本体上部
2 本体中間部
3 本体下部
3a 開口
4 引き出し端子部
4a、4b、4c 電極部
5 絶縁体層
6 流体注入管
7 通気管
9a、9b、9c、9d 切替弁
11a、11b、11c 検出電極
41a 端子引き出し部
41b スリーブ
42 検出線
43 監視制御器
63 圧送ポンプ
63a ポンプ制御器
64 殺菌薬液タンク
65 エアーポンプ
66 中和剤タンク
67 排水管
68 洗浄水タンク
91 バルブ切替器
100 水位計本体
150 水管
200 浴槽
300 外壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9