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特開2023-28508窒化物半導体発光素子および窒化物半導体発光素子の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023028508
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】窒化物半導体発光素子および窒化物半導体発光素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/343 20060101AFI20230224BHJP
   H01S 5/323 20060101ALI20230224BHJP
   H01S 5/22 20060101ALI20230224BHJP
   H01L 33/32 20100101ALI20230224BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
H01S5/343 610
H01S5/323 610
H01S5/22
H01L33/32
H01L21/205
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021134251
(22)【出願日】2021-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 重幸
(72)【発明者】
【氏名】難波江 宏一
【テーマコード(参考)】
5F045
5F173
5F241
【Fターム(参考)】
5F045AA04
5F045AA05
5F045AB14
5F045AB17
5F045AB18
5F045AD14
5F045AD15
5F045AF04
5F045AF13
5F045BB12
5F045BB13
5F045CA12
5F045DA53
5F045DA55
5F045DA59
5F173AA04
5F173AA08
5F173AA16
5F173AA47
5F173AH22
5F173AH47
5F173AP05
5F173AP09
5F173AP23
5F173AP24
5F173AQ12
5F173AR82
5F173AR84
5F241CA04
5F241CA05
5F241CA22
5F241CA40
5F241CA65
5F241CA66
5F241CA75
5F241CB04
5F241CB05
(57)【要約】
【課題】クラックの増大を抑制しつつ、平坦部を有する窒化物半導体層を形成する。
【解決手段】一態様に係る窒化物半導体発光素子によれば、平坦面に凹部が形成された窒化物半導体基板と、前記窒化物半導体基板の前記凹部から前記平坦面にかけて形成され、前記平坦面上に平坦部を有する窒化物半導体層と、前記凹部に隣接する前記平坦面の端部上の前記窒化物半導体層に形成された突起部とを備え、前記突起部の位置における前記窒化物半導体層の厚さは、前記平坦部の位置における前記窒化物半導体層の厚さの1.0倍以上1.2倍以下である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦面に凹部が形成された窒化物半導体基板と、
前記窒化物半導体基板の前記凹部から前記平坦面にかけて形成され、前記平坦面上に平坦部を有する窒化物半導体層と、
前記凹部に隣接する前記平坦面の端部上の前記窒化物半導体層に形成された突起部とを備え、
前記突起部の位置における前記窒化物半導体層の厚さは、前記平坦部の位置における前記窒化物半導体層の厚さの1.0倍以上1.2倍以下であることを特徴とする窒化物半導体発光素子。
【請求項2】
前記窒化物半導体層は、前記凹部の側面と底面の間の方向に窪んでいる窪みを備えることを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体発光素子。
【請求項3】
前記窒化物半導体基板は、面方位が(0001)面であり、<1-100>方向のオフ角の絶対値が0.1度以下であることを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体発光素子。
【請求項4】
前記窒化物半導体基板は、<11-20>方向のオフ角の絶対値が0.4度以上であることを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体発光素子。
【請求項5】
前記窒化物半導体層は、前記窒化物半導体層内に電流狭窄層が埋め込まれたインナーストライプ構造を備えることを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体発光素子。
【請求項6】
前記窒化物半導体層は、Al組成が8%以上の窒化物半導体からなる少なくとも一つのクラッド層を備えることを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体発光素子。
【請求項7】
発光波長が390nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体発光素子。
【請求項8】
前記凹部と前記平坦部との間に設けられ、前記平坦部より結晶欠陥の密度が大きな欠陥領域を備えることを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体発光素子。
【請求項9】
前記窒化物半導体層は、
Al組成が8%以上の窒化物半導体からなるクラッド層と、
前記クラッド層内に位置し、Alが含まれていない窒化物半導体からなる下地層を備え、
前記欠陥領域は、前記クラッド層と前記下地層との界面にかけて位置することを特徴とする請求項8に記載の窒化物半導体発光素子。
【請求項10】
面方位が(0001)面であり、<1-100>方向のオフ角の絶対値が0.1度以下かつ<11-20>方向のオフ角の絶対値が0.4度以上である窒化物半導体基板と、
前記窒化物半導体基板上に形成された窒化物半導体層とを備えることを特徴とする窒化物半導体発光素子。
【請求項11】
窒化物半導体基板の平坦面に凹部を形成する工程Aと、
前記窒化物半導体基板の平坦面上に平坦部を有するとともに、前記凹部に隣接する前記平坦面の端部上に突起部を有する窒化物半導体層を、前記窒化物半導体基板の前記凹部から前記平坦面にかけて形成する工程Bと備え、
前記工程Bは、前記突起部の位置における前記窒化物半導体層の厚さが、前記平坦部の位置における前記窒化物半導体層の厚さの1.0倍以上1.2倍以下になるように、前記窒化物半導体層の成長温度が設定されることを特徴とする窒化物半導体発光素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化物半導体発光素子および窒化物半導体発光素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
窒化物半導体は、ワイドバンドギャップ材料であり、混晶組成を変化させることで紫外領域から可視領域の発光波長範囲をカバーできる材料として注目されている。
【0003】
特許文献1には、表面に凹部と凸部を有する基板上に結晶成長した窒化物半導体多層膜構造が開示されている。同特許文献1では、凸部の上方において発光部を有するとともに、凹部の上方において結晶成長では完全に埋まらない窪みが表面に形成されている。また、基板は、サファイヤ基板等の窒化物半導体以外の基板上に窒化物半導体層が成長されてなり、窪みの幅は凹部の幅よりも狭い窒化物半導体発光素子が開示されている。
【0004】
特許文献2、3には、掘り込み領域内において、側面部と底面部の境界に窪みを形成するとともに、丘の両端部に突起部を形成することが開示されている。前記丘と前記掘り込み領域との間において、窒化物半導体薄膜の原料となる原子・分子がマイグレーションなどで行き来することを抑制することにより、丘上において表面平坦性が良好な窒化物半導体成長層が形成できる窒化物半導体発光素子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-311833号公報
【特許文献2】特開2006-93548号公報
【特許文献3】特開2010-251773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、平坦部に接続する凹部の両端の突起部の高さが高すぎると、窒化物半導体の組成によっては、クラックが増大することがあった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、クラックの増大を抑制しつつ、平坦部を有する窒化物半導体層を形成可能な窒化物半導体発光素子および窒化物半導体発光素子の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る窒化物半導体発光素子によれば、平坦面に凹部が形成された窒化物半導体基板と、前記窒化物半導体基板の前記凹部から前記平坦面にかけて形成され、前記平坦面上に平坦部を有する窒化物半導体層と、前記凹部に隣接する前記平坦面の端部上の前記窒化物半導体層に形成された突起部とを備え、前記突起部の位置における前記窒化物半導体層の厚さは、前記平坦部の位置における前記窒化物半導体層の厚さの1.0倍以上1.2倍以下である。
【0009】
これにより、窒化物半導体層の平坦部の平坦性を向上させるために、突起部を設けた場合においても、突起部の高さを低くすることができる。このため、発光波長が近紫外線領域に位置するように窒化物半導体層の組成を設定した場合においても、窒化物半導体層の平坦部の平坦性低下を抑制しつつ、クラックの増大を抑制することができる。
【0010】
また、本発明の一態様に係る窒化物半導体発光素子によれば、前記窒化物半導体層は、前記凹部の側面と底面の間の方向に窪んでいる窪みを備える。
【0011】
前記凹部の側面と底面の間の方向に窪んでいる窪みの周辺は欠陥や転移が集中生成されるポイントと成っていることを発明者は見出した。ここで、前記窪みが消失した状態、すなわち、前記側面上と前記底面上に十分な結晶成長が行われると、欠陥や転移が窒化物半導体層の平坦部の方向に成長する。しかし、本発明のように、窪みを備えていれば、窒化物半導体層に発生する転位および欠陥を突起部の近傍に集中させることができる。このため、窒化物半導体層の平坦部の方向に転位および欠陥が到達しにくくすることができ、窒化物半導体発光素子の信頼性を向上させることができる。
【0012】
また、本発明の一態様に係る窒化物半導体発光素子によれば、前記窒化物半導体基板は、面方位が(0001)面であり、<1-100>方向のオフ角の絶対値が0.1度以下である。
【0013】
これにより、窒化物半導体層の成長温度を上昇させることなく、突起部の高さを低くすることができ、窒化物半導体層の成長時のコンタミネーションを抑制しつつ、クラックの増大を抑制することができる。
【0014】
また、本発明の一態様に係る窒化物半導体発光素子によれば、前記窒化物半導体基板は、<11-20>方向のオフ角の絶対値が0.4度以上である。
【0015】
これにより、窒化物半導体層の平坦部の平坦性を向上させることができ、製造歩留まり(単に歩留まりとも記載する:1枚のウェハから取り出せる発光素子の数に対して所望のレーザ光を放射する発光素子の数を百分率で表したもの)を向上させることができる。
【0016】
また、本発明の一態様に係る窒化物半導体発光素子によれば、前記窒化物半導体層は、前記窒化物半導体層内に電流狭窄層が埋め込まれたインナーストライプ構造を備える。
【0017】
これにより、窒化物半導体層内に形成される活性層を導波する導波光を横方向に閉じ込め可能としつつ、活性層に注入される電流を狭窄させることができる。このため、窒化物半導体発光素子の閾値電流を低下させつつ、窒化物半導体発光素子の発熱を抑制することができ、窒化物半導体発光素子の高出力化を図ることができる。
【0018】
また、本発明の一態様に係る窒化物半導体発光素子によれば、前記窒化物半導体層は、Al組成が8%以上の窒化物半導体からなる少なくとも一つのクラッド層を備える。
【0019】
これにより、発光波長を紫外線領域に設定することができる。
【0020】
また、本発明の一態様に係る窒化物半導体発光素子によれば、発光波長が390nm以下である。
【0021】
これにより、発光波長をより放射エネルギーの高い近紫外線領域に設定することができ、窒化物半導体発光素子の用途を拡大することができる。
【0022】
また、本発明の一態様に係る窒化物半導体発光素子によれば、前記凹部と前記平坦部との間に設けられ、前記平坦部より結晶欠陥の密度が大きな欠陥領域を備える。
【0023】
これにより、窒化物半導体層の平坦部に転位および欠陥が集中するのを抑制することができ、窒化物半導体発光素子の信頼性を向上させることができる。
【0024】
また、本発明の一態様に係る窒化物半導体発光素子によれば、前記窒化物半導体層は、Al組成が8%以上の窒化物半導体からなるクラッド層と、前記クラッド層内に位置し、Alが含まれていない窒化物半導体からなる下地層を備え、前記欠陥領域は、前記クラッド層と前記下地層との界面にかけて位置する。
【0025】
これにより、平坦部のクラッド層と下地層との界面の歪が緩和され、転位および欠陥を凹部の近傍に集中させることができる。結果として、窒化物半導体層の平坦部の転位および欠陥が形成されるのを抑制することができる。
【0026】
また、本発明の一態様に係る窒化物半導体発光素子によれば、面方位が(0001)面であり、<1-100>方向のオフ角の絶対値が0.1度以下かつ<11-20>方向のオフ角の絶対値が0.4度以上である窒化物半導体基板と、前記窒化物半導体基板上に形成された窒化物半導体層とを備える。
【0027】
これにより、窒化物半導体層の平坦部の平坦性を向上させつつ、クラックの増大を抑制することができる。このため、窒化物半導体発光素子の製造歩留まりを向上させつつ、信頼性を向上させることができる。
【0028】
また、本発明の一態様に係る窒化物半導体発光素子の製造方法によれば、窒化物半導体基板の平坦面に凹部を形成する工程Aと、前記窒化物半導体基板の平坦面上に平坦部を有するとともに、前記凹部に隣接する前記平坦面の端部上に突起部を有する窒化物半導体層を、前記窒化物半導体基板の前記凹部から前記平坦面にかけて形成する工程Bとを備え、前記工程Bは、前記突起部の位置における前記窒化物半導体層の厚さが、前記平坦部の位置における前記窒化物半導体層の厚さの1.0倍以上1.2倍以下になるように、前記窒化物半導体層の成長温度が設定されている。
【0029】
これにより、発光波長が近紫外線領域に位置するように窒化物半導体層の組成を設定した場合においても、工程数の増大を抑制しつつ、窒化物半導体層の平坦部の平坦性の低下を抑制することが可能となるとともに、クラックの増大を抑制することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の一態様においては、クラックの増大を抑制しつつ、平坦部を有する窒化物半導体層を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】第1実施形態に係る半導体発光素子の構成を光導波方向に対して垂直方向に切断して示す断面図である。
図2図1の窒化物半導体層の層構造の一例を示す断面図である。
図3図1の窒化物半導体層の成長温度を変化させたときの窒化物半導体層の形状を示す断面図である。
図4A図1の窒化物半導体層の平坦部の厚さに対する突起部の厚さとn型窒化物クラッド層の成長温度との関係を示す図である。
図4B図1の窒化物半導体層の平坦部の厚さに対する突起部の厚さとn型窒化物クラッド層の成長温度との関係を示す図である。
図5A図1の窒化物半導体層の平坦部の厚さに対する突起部の厚さとクラック発生確率との関係を示す図である。
図5B図1の窒化物半導体層の突起部の厚さと信頼度および歩留まりとの関係を示す図である。
図6A図1の窒化物半導体基板の<1-100>方向のオフ角を変化させたときの窒化物半導体層の突起部の厚さとn型窒化物クラッド層の成長温度との関係を示す図である。
図6B図1の窒化物半導体基板の<1-100>方向のオフ角と窒化物半導体層のクラック発生確率との関係を示す図である。
図6C図1の窒化物半導体基板の<11-20>方向のオフ角と歩留まりとの関係を示す図である。
図7図7(a)は、第2実施形態に係る半導体発光素子の窒化物半導体層の欠陥の集中位置を示す平面図、図7(b)は、第2実施形態に係る半導体発光素子の窒化物半導体層の欠陥の集中位置を示す断面図である。
図8】第2実施形態に係る半導体発光素子の窒化物半導体層の成長温度を変化させたときの欠陥の状態を示す平面図である。
図9】第3実施形態に係る半導体発光素子の構成を光導波方向に対して垂直方向に切断して示す断面図である。
図10】第4実施形態に係る半導体発光素子の構成を光導波方向に対して垂直方向に切断して示す断面図である。
図11】第5実施形態に係る半導体発光素子の構成を光導波方向に対して垂直方向に切断して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は本発明を限定するものではなく、実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の構成に必須のものとは限らない。実施形態の構成は、本発明が適用される装置の仕様や各種条件(使用条件、使用環境等)によって適宜修正または変更され得る。本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって確定され、以下の個別の実施形態によって限定されない。また、以下の説明に用いる図面は、各構成を分かり易くするため、実際の構造と縮尺および形状などを異ならせることがある。
【0033】
図1は、第1実施形態に係る半導体発光素子の構成を光導波方向に対して垂直方向に切断して示す断面図である。
図1において、半導体レーザLAは、窒化物半導体基板11および窒化物半導体層MLを備える。なお、窒化物半導体は、例えば、InAlGa1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)という組成を持つことができる。窒化物半導体基板11は、面方位が(0001)面であり、<1-100>方向のオフ角の絶対値は0.1度以下とすることができる。また、窒化物半導体基板11は、<11-20>方向のオフ角の絶対値を0.4度以上とすることができる。なお、本明細書では、面方位の表記において、負の成分を持つ方向を示す数字の上にバーを付す代わりに、その数字の前に-を付す。
【0034】
窒化物半導体基板11の平坦面MHには凹部UBが形成されている。凹部UBは、例えば、窒化物半導体基板11上に形成された溝である。凹部UBは、窒化物半導体層MLを導波する光の導波方向に沿って形成することができる。このとき、光の導波方向は、[1-100]方向に設定することができる。また、光の導波方向に対する横方向は[11-20]方向、光の導波方向に対する縦方向は[0001]方向に設定することができる。
【0035】
窒化物半導体層MLは、窒化物半導体基板11の凹部UBから平坦面MHにかけて形成される。窒化物半導体層MLは、キャリアの再結合に基づいて光を発生させる発光層を備える。発光層の発光波長は近紫外線領域に設定することができる。このとき、発光波長が390nm以下となるように発光層の組成を設定することができる。また、窒化物半導体層MLは、Al組成が8%以上の窒化物半導体からなる少なくとも一つのクラッド層を備えることができる。
【0036】
窒化物半導体層MLは、平坦部PHおよび突起部PBを備える。平坦部PHは、窒化物半導体基板11の平坦面MH上に位置する。突起部PBは、凹部UBに隣接する平坦面MHの端部上に位置する。このとき、突起部PBの位置における窒化物半導体層MLの厚さTPは、平坦部PHの位置における窒化物半導体層MLの厚さTHの1.0倍以上1.2倍以下とすることができる。
【0037】
また、窒化物半導体層MLは、凹部UB内に窪みKMを有する。窪みKMは、凹部UBの側面KSと底面KBの間の方向に窪んでいる。窪みKMの形状は、例えば、楔形である。
【0038】
窒化物半導体層MLは、発光層を導波する光を横方向および縦方向に閉じ込めるリッジRGを備える。リッジRGは、窒化物半導体層MLの平坦部PHに位置する。リッジRGは、窒化物半導体層MLの端面間に渡って凹部UBに平行に形成することができる。このとき、半導体レーザLAは、リッジストライプ型レーザを構成している。
【0039】
窒化物半導体層ML上には、絶縁層23を介して電極24が形成されている。このとき、リッジRGのトップ面は絶縁層23から露出され、電極24に接続される。窒化物半導体基板11の裏面には電極22が形成される。電極22は、例えば、Ti/Pt/Auの積層構造とすることができる。電極24は、例えば、Pd/Ti/Pt/Auの積層構造とすることができる。絶縁層23、例えば、シリコン酸化膜またはシリコン窒化膜とすることができる。
【0040】
図2は、図1の窒化物半導体層の層構造の一例を示す断面図である。
図2において、図1の窒化物半導体層MLは、窒化物半導体基板11上に積層された活性層およびクラッド層を含む窒化物半導体積層構造を有することができる。
【0041】
例えば、窒化物半導体基板11は、GaN基板を用いることができる。窒化物半導体層MLは、n型GaNバッファ層12、n型AlGaN第1クラッド層13、InGaN下地層14、n型AlGaN第2クラッド層15、n型ガイド層16、活性層17、p型ガイド層18、p型キャリアブロック層19、p型AlGaNクラッド層20およびp型GaNコンタクト層21の積層構造で構成することができる。活性層17は、例えば、障壁層間に井戸層が挟まれた量子井戸層を用いることができる。ここで、発光波長を近紫外線領域に設定するために、n型AlGaN第2クラッド層15およびp型AlGaNクラッド層20は、AlGaNのAl組成を8%以上に設定している。
【0042】
窒化物半導体基板11上への窒化物半導体層MLの形成には、エピタキシャル成長を用いることができる。エピタキシャル成長は、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)であってもよいし、MBE(Molecular Beam Epitaxy)であってもよいし、HVPE(Hydride Vapor Phase Epitaxy)であってもよい。
【0043】
ここで、窒化物半導体層MLのクラックの増大を抑制するために、窒化物半導体基板11の平坦面MHに凹部UBを設けた場合において、発光波長が近紫外線領域に位置するように窒化物半導体層MLの組成を設定したものとする。この場合、凹部UBの脇の突起部PBの高さが高いと、窒化物半導体層MLのクラックの増大を抑えられなくなる。このとき、突起部PBの位置における窒化物半導体層MLの厚さTPを、平坦部PHの位置における窒化物半導体層MLの厚さTHの1.0倍以上1.2倍以下とすることにより、発光波長が近紫外線領域に位置するように窒化物半導体層MLの組成を設定した場合においても、窒化物半導体層MLの平坦部PHの平坦性の低下を抑制しつつ、クラックの増大を抑制することができる。
【0044】
ここで、n型AlGaN第1クラッド層13およびn型AlGaN第2クラッド層15の成長温度を高くすることにより、突起部PBの高さを低くすることができる。このため、発光波長が近紫外線領域に位置するように窒化物半導体層MLの組成を設定した場合においても、工程数の増大を抑制しつつ、窒化物半導体層MLの平坦部の平坦性PHの低下を抑制することが可能となるとともに、クラックの増大を抑制することができる。
【0045】
さらに、凹部UBの側面KSと底面KBの間の方向に窪みKMを設けることにより、窒化物半導体層MLに発生する転位および欠陥を突起部PBの近傍に集中させることができる。このため、窒化物半導体層MLの平坦部PHの方向に転位および欠陥が到達しにくくすることができ、半導体レーザLAの信頼性を向上させることができる。
【0046】
図3は、図1の窒化物半導体層の成長温度を変化させたときの窒化物半導体層の形状を示す断面図である。なお、図3(a)から図3(c)は、図2のn型AlGaN第1クラッド層13およびn型AlGaN第2クラッド層15の成長温度を1150℃、1100℃および1050℃にそれぞれ設定した場合を示す。
【0047】
図2に示したn型AlGaN第1クラッド層13およびn型AlGaN第2クラッド層15の成長温度を1150℃に設定した場合、図3(a)のように窒化物半導体基板11上に窒化物半導体層ML1が形成された。このとき、窒化物半導体層ML1の突起部PB1の位置における窒化物半導体層ML1の厚さTPは2.9μm、平坦部の位置における窒化物半導体層ML1の厚さは2.72μmであった。また、平坦面MHの位置における凹部UBの側面KS上に形成される窒化物半導体層ML1の厚さTSは2.74μmであった。
【0048】
同様に図2に示したn型AlGaN第1クラッド層13およびn型AlGaN第2クラッド層15の成長温度を1100℃に設定した場合、図3(b)のように窒化物半導体基板11上に窒化物半導体層ML2が形成された。このとき、窒化物半導体層ML2の突起部PB2の位置における窒化物半導体層ML2の厚さTPは3.3μm、平坦部の位置における窒化物半導体層ML2の厚さは2.73μmであった。また、平坦面MHの位置における凹部UBの側面KS上の窒化物半導体層ML2の厚さTSは1.3μmであった。また、凹部UBの側面KSと底面KBの間の方向に窪みKM2が形成された。
【0049】
更には、n型AlGaN第1クラッド層13およびn型AlGaN第2クラッド層15の成長温度を1050℃に設定した場合、図3(c)のように窒化物半導体基板11上に窒化物半導体層ML3が形成された。このとき、窒化物半導体層ML3の突起部PB3の位置における窒化物半導体層ML3の厚さTPは3.5μm、平坦部の位置における窒化物半導体層ML3の厚さは2.68μmであった。また、平坦面MHの位置における凹部UBの側面KS上の窒化物半導体層ML3の厚さTSは0.82μmであった。また、凹部UBの側面KSと底面KBの間の方向に窪みKM3が形成された。窪みKM3は図3(b)に示した窪みKM2よりも大きく窪んだ形状となっている。
【0050】
図4Aおよび図4Bは、図1の窒化物半導体層の突起部の厚さとn型窒化物クラッド層の成長温度(T n-clad)との関係を示す図である。
図4Aおよび図4Bにおいて、n型AlGaN第1クラッド層13およびn型AlGaN第2クラッド層15の成長温度T n-cladを上げることで突起部PBの高さを低くすることができた。例えば、図3(a)~図3(c)の例では、成長温度T n-cladを1100℃以上にすることで、突起部PBの全層厚と平坦部PHの全層厚の比を1.2倍以下にすることができた。
【0051】
図5Aは、図1の窒化物半導体層の突起部の厚さとクラック発生確率との関係を示し、図5Bは、図1の窒化物半導体層の突起部の厚さと信頼性および歩留まりとの関係を示す。窒化物半導体基板11の<1-100>方向のオフ角θ <1-100>は、0.32°とした。なお、クラック発生確率は、800μm×400μmのレーザ素子中にクラックが一本以上存在する確率である。
【0052】
図5Aおよび図5Bにおいて、突起部PBの全層厚と平坦部PHの全層厚の比を1.2倍以下にすることで、窒化物半導体層MLに発生するクラックを低減できる。これにより、半導体レーザLAの製造歩留まりを向上させつつ、信頼性を向上させることができる。このとき、半導体レーザLAの平均故障寿命(MTTF)を1万時間以上に改善できた。更には、歩留まりが上がった。
【0053】
なお、n型AlGaN第1クラッド層13およびn型AlGaN第2クラッド層15の成長温度を上げる方法以外にも、窒化物半導体基板11の<1-100>方向のオフ角θ <1-100>を小さくすることでも突起部PBの高さを低くできる。また、窒化物半導体基板11の<11-20>方向のオフ角θ<11-20>の絶対値を0.4°以上とすることで、窒化物半導体基板11の平坦部PHの平坦性が改善され歩留まりを向上させることができる。
【0054】
図6Aは、図1の窒化物半導体基板の<1-100>方向のオフ角(θ <1-100>)を変化させたときの窒化物半導体層の突起部の厚さについて、n型窒化物クラッド層の成長温度(T n-clad)との関係を示す図である。
図6Aにおいて、n型AlGaN第1クラッド層13およびn型AlGaN第2クラッド層15の成長温度T n-cladを1050℃とすると、窒化物半導体基板11の<1-100>方向のオフ角θ <1-100>が0.1より大きいオフ角であり、例えば0.32°の窒化物半導体基板11を使用した場合は、突起部PBの全層厚が平坦部PHの全層厚よりも1.3倍程厚くなる(突起部厚/平坦部厚=1.3)。一方、窒化物半導体基板11の<1-100>方向のオフ角θ <1-100>の絶対値が0.1°以下の窒化物半導体基板11を使用すると、n型AlGaN第1クラッド層13およびn型AlGaN第2クラッド層15の成長温度T n-cladが1050℃のままでも、突起部厚/平坦部厚が1.2以下となった。
【0055】
図6Bは、図1の窒化物半導体基板の<1-100>方向のオフ角(deg)と窒化物半導体層のクラック発生確率(%)との関係を示す図である。
図6Bにおいて、n型AlGaN第1クラッド層13およびn型AlGaN第2クラッド層15の成長温度T n-cladを1050℃とした。この場合においても、窒化物半導体基板11の<1-100>方向のオフ角θ <1-100>の絶対値が0.1°以下であればクラックの発生を抑制できることが判る。
【0056】
図6Cは、図1の窒化物半導体基板の<11-20>方向のオフ角と歩留まりとの関係を示す図である。
図6Cにおいて、窒化物半導体基板11の<11-20>方向のオフ角θ<11-20>の絶対値が0.4°よりも小さい場合、特に基板温度が低いと、ウェハ表面の平坦性が悪化する。その結果、半導体レーザLAの発散角およびキンクレベルなどの変動幅が大きくなり歩留まりが低下する。
一方、窒化物半導体基板11の<11-20>方向のオフ角θ<11-20>の絶対値が0.4°以上の場合、基板温度が低くても、ウェハの平坦性が維持され、発散角およびキンクレベルの変動幅も安定し歩留まりが改善する。
【0057】
以上説明したように、面方位が(0001)面であり、<1-100>方向のオフ角の絶対値が0.1度以下かつ<11-20>方向のオフ角の絶対値が0.4度以上である窒化物半導体基板11を用いることにより、基板温度が低い場合においても、窒化物半導体層MLの平坦部PHの平坦性を向上させつつ、クラックの増大を抑制することができる。このとき、基板温度を高くする必要がなくなり、図3(a)に示すように、凹部UBの側面KSと底面KBの間の方向に窪んでいる窪みKMが消失するのを防止することができる。このため、窒化物半導体層MLの平坦部PHの方向に転位および欠陥が到達しにくくすることができ、半導体レーザLAの信頼性を向上させることができる。
【0058】
図7(a)は、第2実施形態に係る半導体発光素子の窒化物半導体層の欠陥の集中位置を示す平面図、図7(b)は、第2実施形態に係る半導体発光素子の窒化物半導体層の欠陥の集中位置を示す断面図である。
図1の半導体レーザLAは、リッジRGの片側にのみ凹部UBが配置されている。これに対して、図7(a)の半導体レーザLBは、リッジRGの両側に凹部UBが配置されている。半導体レーザLBのそれ以外の点は、図1の半導体レーザLAと同様に構成することができる。
【0059】
ここで、窒化物半導体層MLは、欠陥領域KCを備える。欠陥領域KCは、窒化物半導体層MLの平坦部PHより欠陥KDの密度が大きい。欠陥領域KCは、窒化物半導体層MLの凹部UBと平坦部PHとの間に設けられる。このとき、窒化物半導体層MLの平面内では、欠陥KDは、凹部UBの側面KSの近傍に集中する。また、窒化物半導体層MLの膜厚方向では、欠陥KDは、図7(b)に示すように、InGaN下地層14とn型AlGaN第2クラッド層15の界面にかけて集中する。InGaN下地層14は、窒化物半導体基板11との格子不整合に起因するn型AlGaN第2クラッド層15の歪を緩和することができる。
【0060】
ここで、窒化物半導体層MLに欠陥領域KCを設けることにより、窒化物半導体層MLの平坦部PHに転位および欠陥の形成を抑制することができ、半導体レーザLBの信頼性を向上させることができる。また、n型AlGaN第1クラッド層13とn型AlGaN第2クラッド層15との間にInGaN下地層14を設けることにより、平坦領域PHでの積層方向における歪を緩和できる。これにより、転位および欠陥を凹部UBの近傍に集中させることができ、窒化物半導体層MLの平坦部PHに転位および欠陥の形成を抑制することができる。
【0061】
図8は、第2実施形態に係る半導体発光素子の窒化物半導体層の成長温度を変化させたときの欠陥の状態を示す平面図である。なお、図8(a)から図8(c)は、図2のn型AlGaN第1クラッド層13およびn型AlGaN第2クラッド層15の成長温度を1150℃、1100℃および1050℃にそれぞれ設定した場合を示す。すなわち、図8(a)は1150℃、図8(b)は1100℃、図8(c)は1050℃とした場合の状態を示している。
【0062】
図8(a)から図8(c)において、n型AlGaN第1クラッド層13およびn型AlGaN第2クラッド層15の成長温度T n-cladが高くなると、窒化物半導体層MLに発生する欠陥KDが増大する。ここで、図8(a)は、図3(a)に示すように、凹部UBの側面KSと底面KBの間の方向に窪みKMが形成されずに、凹部UBの側面KSから底面KBにかけて窒化物半導体層MLの横方向の厚さが厚くなるように傾斜している場合である。この場合、図8(a)に示すように、凹部UBの脇の突起部PBで発生した欠陥KDが平坦部PHの電流注入領域にまで延伸し、半導体レーザLAの動作中に欠陥KDが発光層にまで到達し、半導体レーザLAの急速な劣化を引き起こす危険がある。
【0063】
ここで、n型AlGaN第1クラッド層13およびn型AlGaN第2クラッド層15の成長温度T n-cladを低くすると、図3(b)および図3(c)に示すように、凹部UBの側面KSと底面KBの間の方向に窪みKMが形成され、成長温度T n-cladが低くなるに従って、窪みKMの深さが深くなる。その結果、窒化物半導体層MLに発生する欠陥KDを減少させることができる。このとき、凹部UBの脇の突起部PBで発生した欠陥KDは、図8(b)および図8(c)に示すように、凹部UBの脇の突起部PBに局所的に集中し、平坦部PHの電流注入領域ではほとんど存在しない。また、凹部UBの脇に欠陥KDが集中することで、レーザ素子全体の応力が緩和され、レーザ素子の動作中に欠陥KDが増殖しにくくなり、半導体レーザLAの信頼性を向上させることができる。
【0064】
図9は、第3実施形態に係る半導体発光素子の構成を光導波方向に対して垂直方向に切断して示す断面図である。
図9において、半導体レーザLCは、図1の半導体レーザLAの窒化物半導体層MLの代わりに窒化物半導体層ML´を備える。窒化物半導体層ML´は、図1のリッジRGの代わりに電流注入層25を備える。電流注入層25は、窒化物半導体層ML´の平坦部PHに位置する。電流注入層25は、図2のp型AlGaNクラッド層20およびp型GaNコンタクト層21の積層構造で構成することができる。電流注入層25は、窒化物半導体層ML´の端面間に渡って凹部UBに平行に形成することができる。電流注入層25には、図2の活性層17に注入される電流を狭窄する電流狭窄層26を備える。電流狭窄層26は、例えば、AlNからなる高抵抗層を用いることができる。電流狭窄層26には、電流注入層25を介して活性層17に電流を注入可能とする開口部27が形成されている。窒化物半導体層ML´のそれ以外の点は、図1の窒化物半導体層MLと同様に構成することができる。このとき、半導体レーザLCは、インナーストライプ型レーザを構成することができる。
【0065】
窒化物半導体層ML´上には、絶縁層28を介して電極29が形成されている。このとき、電流注入層25のトップ面は絶縁層28から露出され、電極29に接続される。
【0066】
ここで、突起部PBの位置における窒化物半導体層ML´の厚さTPを、平坦部PHの位置における窒化物半導体層ML´の厚さTHの1.0倍以上1.2倍以下としている。この構成により、発光波長が近紫外線領域に位置するように窒化物半導体層ML´の組成を設定した場合においても、窒化物半導体層ML´の平坦部PHの平坦性の低下を抑制しつつ、クラックの増大を抑制することができる。
さらに、電流注入層25に電流狭窄層26を設けることにより、活性層17を導波する導波光を横方向に閉じ込め可能としつつ、活性層17に注入される電流を狭窄させることができる。このため、半導体レーザLCの閾値電流を低下させつつ、半導体レーザLCの発熱を抑制することができ、半導体レーザLCの高出力化を図ることができる。
【0067】
なお、この半導体レーザLCにおいても、図7の欠陥領域KCを窒化物半導体層ML´の凹部UBと平坦部PHとの間に設けてもよい。
【0068】
図10は、第4実施形態に係る半導体発光素子の構成を光導波方向に対して垂直方向に切断して示す断面図である。
図1の半導体レーザLAは、凹部UBの両側の側面KSを含む。これに対して、図10の半導体レーザLDは、凹部UBの片側の側面KSのみを含む。半導体レーザLDのそれ以外の点は、図1の半導体レーザLAと同様に構成することができる。ここで、凹部UBの片側の側面KSのみを含むように半導体レーザLDを構成することにより、図7(a)の半導体レーザLBの欠陥領域KCをリッジRGの片側に残しつつ、半導体レーザLDの小型化を図ることができる。
【0069】
図11は、第5実施形態に係る半導体発光素子の構成を光導波方向に対して垂直方向に切断して示す断面図である。
図10の半導体レーザLDは、片側の側面KSのみを含む凹部UBがリッジRGの片側にのみ配置されている。これに対して、図11の半導体レーザLEは、片側の側面KSのみを含む凹部UBがリッジRGの両側に配置されている。半導体レーザLEのそれ以外の点は、図10の半導体レーザLDと同様に構成することができる。ここで、片側の側面KSのみを含む凹部UBをリッジRGの両側に配置することにより、図7(a)の半導体レーザLBの欠陥領域KCをリッジRGの両側に残した状態で、半導体レーザLEをウェハから切り出すことができる。この場合、凹部UBがレーザ素子の分割部分となり、分割幅に当たる部分に形成されていた欠陥が素子に残らず全体として欠陥が少なくなる。
【0070】
なお、図10図11では、図1のリッジストライプ型レーザに適用される場合を示したが、図10図11のそれぞれの構成を図9のインナーストライプ型レーザに適用してもよい。
【0071】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0072】
LA 半導体レーザ
11 窒化物半導体基板
ML 窒化物半導体層
MH 平坦面
UB 凹部
KB 平坦部
PB 突起部
KM 窪み
RG リッジ
23 絶縁層
22、24 電極
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10
図11