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  • 特開-飲用または調理用の容器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023028529
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】飲用または調理用の容器
(51)【国際特許分類】
   A47J 36/00 20060101AFI20230224BHJP
   B65D 25/20 20060101ALI20230224BHJP
   A47J 27/00 20060101ALI20230224BHJP
   A47G 19/22 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
A47J36/00 A
B65D25/20 K
A47J27/00 101B
A47G19/22 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021134284
(22)【出願日】2021-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】595136357
【氏名又は名称】株式会社丸モ高木陶器
(74)【代理人】
【識別番号】100098741
【弁理士】
【氏名又は名称】武蔵 武
(72)【発明者】
【氏名】高木 正治
【テーマコード(参考)】
3B001
3E062
4B055
【Fターム(参考)】
3B001AA02
3B001AA03
3B001AA40
3B001BB01
3B001CC01
3B001CC02
3B001CC07
3E062AA10
3E062AB02
3E062AC01
3E062BA07
3E062BB06
3E062BB10
3E062DA01
3E062DA09
3E062JA03
3E062JA07
3E062JB26
3E062JB30
3E062JC07
4B055AA15
4B055BA42
4B055CA01
4B055CA25
4B055CB22
4B055CB27
4B055CD12
4B055CD43
4B055FA09
4B055FB33
4B055FC16
4B055FD05
(57)【要約】
【課題】使用と洗浄を繰り返しても可逆性感温変色層に傷が付きにくく、したがって、見栄えの良い状態を保ちつつ長期間使用することができる容器を提供する。
【解決手段】飲用又は調理用の液体を入れる容器1であって、内面又は外面の一部に常温から所定の温度に変化すると変色する可逆性感温変色層8をプライマー層12を介して設けると共にその可逆性感温変色層8の表面を樹脂製透明カバー層13で覆うようにした。この容器1の可逆性感温変色層8は、樹脂製透明カバー層13で表面が覆われているため、容器1の使用と洗浄を繰り返しても傷が付きにくい。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲用又は調理用の液体を入れる容器であって、
内面又は外面の一部に常温から所定の温度に変化すると変色する可逆性感温変色層をプライマー層を介して設けると共にその可逆性感温変色層の表面を樹脂製透明カバー層で覆うようにしたことを特徴とする飲用又は調理用の容器。
【請求項2】
前記樹脂製透明カバー層は、前記可逆性感温変色層を前記内面又は前記外面の一部に定着させるための前記プライマー層と同じ材料で形成されていることを特徴とする請求項1記載の飲用又は調理用の容器。
【請求項3】
上面が開口する容器本体と、その容器本体の前記開口を塞ぐ蓋体と、からなることを特徴とする請求項1又は2記載の調理用の容器。
【請求項4】
前記可逆性感温変色層は、蓋体に設けられていることを特徴とする請求項3記載の調理用の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酒などの飲用の液体又はスープなどの調理用の液体を入れる飲用又は調理用の容器に関する。
【背景技術】
【0002】
スープや水などの調理用の液体を入れ、必要に応じて具材などと一緒に加熱する調理用の容器の代表例として鍋がある。そのような鍋の外面の一部に常温から所定の温度に変化すると変色する可逆性感温変色層を帯状に設け、その可逆性感温変色層の変色によって鍋の温度を視認しうるようにしたものが例えば特許文献1に記載されている。
また、コーヒーなどの飲用の液体を入れる飲用の容器の代表例としてカップがあるが、そのようなカップの外面の一部に可逆性感温変色層を設けるようにしたものも従来より存在する(特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-334290号公報
【特許文献2】実願昭47-102793号(実開昭49-59872号)のマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、容器に設けられた可逆性感温変色層は、容器の使用と洗浄を繰り返すことにより傷みが生じやすい問題があった。もちろん可逆性感温変色層が傷んでも容器としての基本機能に問題はなく、したがってそのまま使うことは可能なものの、当然見栄えが悪い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題を解決するため本発明は、
飲用又は調理用の液体を入れる容器であって、
内面又は外面の一部に常温から所定の温度に変化すると変色する可逆性感温変色層をプライマー層を介して設けると共にその可逆性感温変色層の表面を樹脂製透明カバー層で覆うようにした飲用又は調理用の容器を提供する。
【0006】
また、請求項2に記載したように、前記樹脂製透明カバー層は、前記可逆性感温変色層を前記内面又は前記外面の一部に定着させるための前記プライマー層と同じ材料で形成されている請求項1記載の飲用又は調理用の容器を提供する。
【0007】
また、請求項3に記載したように、上面が開口する容器本体と、その容器本体の前記開口を塞ぐ蓋体と、からなる請求項1又は2記載の調理用の容器を提供する。
【0008】
また、請求項4に記載したように、前記可逆性感温変色層は、蓋体に設けられている請求項3記載の調理用の容器を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の容器の可逆性感温変色層は、樹脂製透明カバー層で表面が覆われているため、容器の使用と洗浄を繰り返しても傷が付きにくく、したがって、見栄えの良い状態を保ちつつ長期間使用することができる。
【0010】
また、請求項2によれば、樹脂製透明カバー層と、可逆性感温変色層を容器に定着させるためのプライマー層とを同じ材料で形成することにより、両者の間に温度の変化による膨張・収縮差が生じ難いため、間に挟まれた可逆性感温変色層に熱によるストレスが生じ難く、また、二種の材料を扱うより材料の調達や保管などの管理が容易になるため低コストにすることができる、等の効果がある。
【0011】
また、請求項3に記載したように容器本体と蓋体とからなる調理用の容器は、飲用の容器に比べて加熱条件が過酷になるため、上記の効果がより顕著に現れる。
【0012】
また、可逆性感温変色層は、容器本体より蓋体の方が見栄えのウェイトが大きくなるため、請求項4に記載したように、可逆性感温変色層を蓋体に設けることでより大きな利益をうることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】調理用の容器の斜視図である。
図2図1の容器本体と蓋体を分離させた斜視図である。
図3】拡大図を含む調理用の容器の縦断面図である。
図4】転写紙の一部を示す拡大縦断面図である。
図5】昇温による変色時の状態を示す調理用の容器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
実施形態の容器1は、図2に示したように、上面が開口する丸い陶器製の容器本体2と、その容器本体2の前記開口を塞ぐ丸い陶器製の蓋体3と、からなり、容器本体2側にスープや水などの調理用の液体と必要に応じて具材などを入れ、上面の開口に蓋体3を被せて加熱調理するいわゆる土鍋である。
【0015】
前記容器本体2は、図示を省略するが底面を除いてほぼ黒色の釉薬層で覆われている。容器本体2には鍔状の把手片2aが外向きに形成され、また、上面の開口内周に前記蓋体3を載せる円形の段部2bが形成されている。
【0016】
前記蓋体3は、丸い逆さ腕形状の蓋本体部3aと、その蓋本体部3aの中心に形成された把手部3bと、からなる。
蓋体3は、蓋本体部3aの表裏を含む全面がほぼ黄色の釉薬層4(図3拡大図参照)で覆われており、したがって蓋本体部3aの地色はほぼ黄色である。
また、蓋体3の把手部3bは、中心に凹部3cを有する逆さ高台形状であって蓋本体部3aと一体に成形されている。この把手部3bは、外周面と上端面が前記容器本体2と同じほぼ黒色の釉薬層4で覆われ、凹部3c内が蓋本体部3aと同じほぼ黄色の釉薬層4で覆われている。
【0017】
しかして容器1を構成する蓋体3は、図1図2に示したように蓋本体部3aの周縁から中央の把手部3bに亘って釉薬層4の上面(外面)に形成された第1の模様5と、前記把手部3bの凹部3cの底に形成された周知の家紋の「半月」をモチーフとする第2の模様6によって装飾されている。
【0018】
前記第1の模様5は、蓋本体部3aのほぼ周縁からほぼ把手部3bに亘る範囲を装飾領域7としてそこに形成されており、平面視で把手部3bの中央を中心とする全ての仮想円(図示せず)のうち前記装飾領域7にある全ての仮想円が、前記模様5のどこかと少なくとも一回は交差しうる状態に設けられている。具体的には、図1に示した実施形態の模様5、すなわち周知の家紋の「中陰三つ地紙」(※地紙=扇子に貼る紙)をモチーフとする三つの地紙枠線5aを有する模様5であれば、一つの地紙枠線5aのみでその条件を満たす。この地紙枠線5aの縦枠線5bが装飾領域7にある全ての前記仮想円と一回以上交差するからである。同様に地紙枠線5a内の逆さハート枠線5cも前記条件を満たす。もし仮に第1の模様5が複数の水玉の一見ランダムな配列であったとしても、全ての水玉を総合して前記の条件が満たされればよい。
なお、上記の条件を満たす模様5の効果については後述する。
【0019】
この第1の模様5と前記第2の模様6は、所定の温度になると変色する可逆性感温変色層8からなる。実施形態の可逆性感温変色層8は、温度が約55℃以上になると赤色から黄色に変色し、常温に下がると元の赤色に戻る変化を繰り返す可逆性感温インキ(例えば、サクラクレパス社製「サクラTCカラー」)で形成されている。
したがって、第1の模様5と第2の模様6は、常温では、蓋本体部3aと把手部3bの凹部3cの地色である黄色に可逆性感温インキの赤色が重なってオレンジ色を呈するため、図1に示したように地色(黄色)との対比で明確に認識できる。
一方、第1の模様5と第2の模様6は、蓋体3が常温から約55℃以上に昇温すると蓋本体部3a等とほぼ同じ黄色に変色するため、図5に示したように地色(黄色)に紛れて目立ち難くなる。
【0020】
可逆性感温変色層8による模様5,6は、転写紙9により形成される。具体的な転写紙9は図4に拡大して示したように、下から順に、台紙10と、その台紙10上に塗布された水溶性糊層11と、その水溶性糊層11の上に塗布された例えばエポキシ樹脂クリアーからなるプライマー層12と、そのプライマー層12の上に第1の模様5又は第2の模様6形状に塗布された前記可逆性感温インキからなる可逆性感温変色層8と、その可逆性感温変色層8の上に塗布された前記プライマー層12と同じ材料からなる樹脂製透明カバー層13と、その樹脂製透明カバー層13の上面をカバーするセロファン製の透明シート14と、からなる。
【0021】
かかる構成の転写紙9を水に浸して台紙10を剥がし、そうして濡れたままの転写紙9を蓋本体部3aと、把手部3bの凹部3cの所定の位置に貼って乾燥させ、最後に表面の透明シート14を剥がす。
これにより蓋体3の外面に、プライマー層12と可逆性感温変色層8と樹脂製透明カバー層13が積み重なった状態に貼り付くため、その蓋体3を約170℃で40~60分程度焼成用の窯で加熱し、その後常温になるまで冷ます。
【0022】
そうするとプライマー層12と樹脂製透明カバー層13を構成するエポキシ樹脂クリアーが適度に溶融して固化するため、固化したプライマー層12を介して可逆性感温変色層8が蓋体3に定着し、樹脂製透明カバー層13が可逆性感温変色層8の表面に密着してカバーする。
【0023】
上記実施形態の調理用容器1は、容器本体2にスープや水などの調理用の液体と、必要に応じて具材などを入れ、上面の開口に蓋体3を被せてコンロ等で加熱するが、加熱開始直後の容器1はほぼ常温であるため、図1に示したように可逆性感温変色層8によるオレンジ色のくっきりとした模様5,6で装飾されている。
この状態から加熱が進むと、先ず容器本体2の下側の温度が上昇し、次に容器本体2の段部2bから蓋体3の蓋本体部3aに熱が伝わり、その熱が中心の把手部3bに向かって伝わる。
そして、可逆性感温変色層8の温度が55℃を越えた部分から、つまり蓋本体部3aの周縁側から中心の把手部3bに向かって逆さ碗状の曲面を登るようにゆっくり黄色に変色し、最終的に把手部3bの第2の模様6がほぼ黄色に変化する。前記のように蓋本体部3aと把手部3bの凹部3cの地色もほぼ黄色であるため、模様5,6は図5のように蓋体3の地色に紛れて目立ち難くなる。このように模様5,6が地色に紛れる外観上の変化、具体的には模様5の鮮やかな色が山の麓から頂きに向かって吸い上げられて消えていくかのような外観上の動的変化により、温度の変化を装飾的な面白さとして演出することができ、且つ、容器1の内部に斑無く熱が行き渡っていること及び蓋体3が熱くなっていて触れると危ないことを調理者等に知らせることができる。
【0024】
なお、既に述べたように蓋体3の熱は、蓋本体部3aの周縁側から中心の把手部3bに向かって徐々に伝わる。これに対し第1の模様5は、前記したように、蓋本体部3aのほぼ周縁からほぼ把手部3bに亘る範囲を装飾領域7としてそこに形成され且つ平面視で把手部3bの中央を中心とする全ての仮想円(図示せず)のうち前記装飾領域7にある全てのものと少なくとも一回交差しうる状態、つまり仮に模様5が一見ばらばらの水玉であったとしても、その水玉の一つのどこかの部位が必ず前記仮想円と交差する状態とすることで、熱の移動方向に対して可逆性感温変色層8の変化が模様を構成する水玉のどこかで起きているため、熱の移動をほぼ連続して視覚的に表すことができる。ちなみに、模様が蓋本体部3aの周縁から中央に亘って連続しない状態、つまり熱の移動方向に対して模様が途切れる場合、その部分で模様の変化が見えなくなるため、それを見ている者の関心が急激に低下するおそれがある。
【0025】
ここまで説明した容器1は、特許文献1に存在する次のような課題と、その課題を解決するための次のような技術的手段の実施形態でもある。
【0026】
[特許文献1の課題]
特許文献1の可逆性感温変色層は、調理用容器の容器本体の外周面に帯状に設けられており、容器本体の熱さを可逆性感温変色層の色の変化で視覚的に伝えることができる。
しかしながら、調理用容器の中で実際に触れる機会が多いのは容器本体の上面に被せた蓋体であり、特許文献1の調理用容器では、熱くなった蓋体に不用意に触れて火傷を負う事故が防げない。
【0027】
[技術的思想1]
かかる課題を解決するため本発明は、
上面が開口する容器本体と、その容器本体の前記開口に被せる蓋体と、からなり、前記容器本体に少なくとも調理用の液体を入れると共にその容器本体の前記開口に前記蓋体を被せて加熱する調理用容器であって、
前記蓋体の外面の一部に常温から所定の温度に昇温すると変色する可逆性感温変色層を設けたことを特徴とする調理用容器を提供する。
かかる調理用容器によれば、可逆性感温変色層の昇温による変色で蓋体の熱さが視覚的に認識できるため、熱くなった蓋体に不用意に触れて火傷を負う事故が未然に防止できる。
【0028】
[技術的思想2]
前記蓋体は、逆さ腕形状の蓋本体部と、その蓋本体部の中心に形成された把手部と、を備えており、
前記可逆性感温変色層は、前記把手部の中央を中心とする全ての仮想円のうち前記蓋本体部のほぼ周縁からほぼ前記把手部に亘る装飾領域にある全ての仮想円と何れかの部位で少なくとも一回交差しうる模様を形成するものであることを特徴とする技術的思想1記載の調理用容器。
蓋体の熱は、蓋本体部の周縁側から中心の把手部に向かって徐々に伝わる。これに対し前記模様は、そのどこかの部位が、蓋本体部のほぼ周縁からほぼ把手部に亘る範囲を装飾領域としてそこに形成され且つ平面視で把手部の中央を中心とする全ての仮想円のうち装飾領域にある全てのものと少なくとも一回交差しうる状態、つまり仮に模様が一見ばらばらの水玉であったとしても、その水玉の一つのどこかの部位が必ず仮想円と交差する状態とすることで、厳密には若干の斑が生じることはやむを得ないものの、熱の移動方向に対して可逆性感温変色層の変化が模様を構成する水玉のどこかでほぼ起きていることになるため、熱の移動をほぼ連続して視覚的に表すことができる。ちなみに、模様が蓋本体部の周縁から中央に亘って連続しない状態、つまり熱の移動方向に対して模様が途切れる場合、その部分で模様の変化が判らなくなるため、それを見ている者の関心が急激に低下するおそれがある。
また、可逆性感温変色層を帯のような単なる記号ではなく模様としたことにより、長期の使用で可逆性感温変色層が正常に機能しなくなったとしても、模様としての装飾的価値は損なわれないため、そのまま模様付きの調理用容器として使い続けることができる。
【0029】
[技術的思想3]
前記蓋体の前記把手部は、中央に凹部を有する逆さ高台形状であり、その凹部の底にも前記可逆性感温変色層を設けてなることを特徴とする技術的思想1又は2記載の調理用容器。
蓋体の中央にある把手部は最後に昇温する部分であり、その部分に設けられた可逆性感温変色層の変色により把手部にも熱が回っていることを調理者等に知らせることができる。また、凹部を有する逆さ高台形状にした把手部のその凹部の底に可逆性感温変色層を設けたことにより、可逆性感温変色層に物が擦れ難くなるため傷み難い。
【0030】
[技術的思想4]
前記可逆性感温変色層は、昇温により変化した色が蓋体の地色とほぼ同色であることを特徴とする技術的思想1乃至3の何れか1つに記載の調理用容器。
この場合、可逆性感温変色層が昇温により変色すると、蓋体の地色にほぼ同色が塗り重なって同じ色でも濃く見えるため、可逆性感温変色層の模様が地色に紛れつつも視認可能な程度に残る。これにより可逆性感温変色層が昇温により変化した状態でも模様としての機能を損なわず、調理者等の注意を惹きやすい。
【0031】
以上本発明を実施の形態について説明したが、もちろん本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、容器1の地色や可逆性感温変色層の変化の前後の色はどのようなものであってもよい。また、模様5,6も単なる記号や文字と認識されるもの以外の装飾性を有するものであれば、本発明の要件を逸脱しない範囲においてどのようなものであってもよい。
【0032】
また、実施形態では容器1を調理用の容器である土鍋について説明したが、盃やグラス或はマグカップなどの飲用の容器に本発明を適用することもできる。この場合、可逆性感温変色層は、冷たい日本酒を注ぐと温度が下がって盃の内面に設けた模様が変わるようにしたり、冷たい飲料を注ぐと温度が下がってグラスの外面に設けた模様が変わるようにしたり、或は熱湯を注ぐと温度が上がってマグカップの外面に設けた模様が変わるようにするなどすればよい。このような場合でも樹脂製透明カバー層13により使用と洗浄に対する可逆性感温変色層8の耐久性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0033】
1 …容器
2 …容器本体
2a …把手片
2b …段部
3 …蓋体
3a …蓋本体部
3b …把手部
3c …凹部
4 …釉薬層
5 …第1の模様
5a …地紙枠線
5b …縦枠線
5c …逆さハート枠線
6 …第2の模様
7 …装飾領域
8 …可逆性感温変色層
9 …転写紙
10 …台紙
11 …水溶性糊層
12 …プライマー層
13 …樹脂製透明カバー層
14 …透明シート
図1
図2
図3
図4
図5