(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023028542
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】ワークフロー装置、ワークフロー制御方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0633 20230101AFI20230224BHJP
【FI】
G06Q10/06 324
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021134303
(22)【出願日】2021-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】521532400
【氏名又は名称】jinjer株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119758
【弁理士】
【氏名又は名称】菊地 保宏
(72)【発明者】
【氏名】松葉 治朗
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA07
(57)【要約】
【課題】ワークフローの進行を止めることができる。
【解決手段】サーバ1は、所定の書類の申請に関するワークフローの承認経路を設定する承認経路設定部と、承認経路設定部により設定された承認経路に基づいてワークフローを制御するワークフロー制御部と、を備えたワークフロー装置であって、承認経路設定部は、設定された承認経路に含まれる一承認者をワークフローの停止点として設定すること(以下、停止設定という)が可能であり、ワークフロー制御部は、停止点が設定されている場合、ワークフローが停止点の承認者による承認まで進行した場合、ワークフローの進行を一旦停止させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の書類の申請に関するワークフローの承認経路を設定する承認経路設定部と、
前記承認経路設定部により設定された承認経路に基づいてワークフローを制御するワークフロー制御部と、
を備えたワークフロー装置であって、
前記承認経路設定部は、設定された承認経路に含まれる一承認者をワークフローの停止点として設定すること(以下、停止設定という)が可能であり、
前記ワークフロー制御部は、前記停止点が設定されている場合、ワークフローが前記停止点の承認者による承認まで進行した場合、ワークフローの進行を一旦停止させることを特徴とするワークフロー装置。
【請求項2】
前記停止設定は、前記所定の書類の申請者の入力により設定され、
前記承認経路設定部は、停止していたワークフローの進行を再開させる設定(以下、再開設定という)が可能であり、
前記再開設定は、前記所定の書類の申請者の入力により設定されることを特徴とする請求項1記載のワークフロー装置。
【請求項3】
前記承認経路は、
一事業体の承認経路である第一の承認経路と、
前記一事業体とは別の事業体の承認経路である第二の承認経路と、を備え、
最初に前記第一の承認経路、次に第二の承認経路を進行させるように設定されており、
前記停止点は、前記第一の承認経路の最後の承認者であることを特徴とする請求項1又は2のワークフロー装置。
【請求項4】
前記第一の承認経路の最終の承認者は、第一の決裁者であり、
前記第二の承認経路の最終の承認者は、第二の決裁者であり、
前記第一の決裁者及び前記第二の決裁者のそれぞれの承認を経て、ワークフローが完了することを特徴とする請求項3記載のワークフロー装置。
【請求項5】
前記第二の承認経路は、複数存在し、それぞれの前記第二の承認経路が並列に分岐していることを特徴とする請求項3又は4記載のワークフロー装置。
【請求項6】
コンピュータによるワークフロー制御方法であって、
所定の書類の申請に関するワークフローの承認経路を設定する承認経路設定ステップと、
前記承認経路設定ステップにより設定された承認経路に基づいてワークフローを制御するワークフロー制御ステップと、
を備え、
前記承認経路設定ステップは、設定された承認経路に含まれる一承認者をワークフローの停止点として設定すること(以下、停止設定という)が可能であり、
前記ワークフロー制御ステップは、前記停止点が設定されている場合、ワークフローが前記停止点の承認者による承認まで進行した場合、ワークフローの進行を一旦停止させることを特徴とするワークフロー制御方法。
【請求項7】
ワークフローのためのコンピュータプログラムであって、
所定の書類の申請に関するワークフローの承認経路を設定する承認経路設定ステップと、
前記承認経路設定ステップにより設定された承認経路に基づいてワークフローを制御するワークフロー制御ステップと、
をコンピュータに実行させ、
前記承認経路設定ステップは、設定された承認経路に含まれる一承認者をワークフローの停止点として設定すること(以下、停止設定という)が可能であり、
前記ワークフロー制御ステップは、前記停止点が設定されている場合、ワークフローが前記停止点の承認者による承認まで進行した場合、ワークフローの進行を一旦停止させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークフローを電子化したワークフローシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、業務効率化のため、稟議書、各種報告書、各種申請書など様々な書類を関係部署に回付し、承認や決裁を得るワークフローシステムが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ワークフローの設定をより簡易に実現するワークフロー設定装置が開示されている。また、特許文献2には、マスタメンテナンスが未完であってもワークフロー申請を可能とする情報処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-96221号公報
【特許文献2】特開2021-51507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ワークフローシステムでは、一度申請者により申請が行われると、決裁者により決裁が行われるか承認者又は決裁者に否認されるまでは、その流れを止めることができないという問題がある。
【0006】
本発明は上記の事情を鑑みてなされたものであり、その課題の一例としては、ワークフローの進行を止めることができるワークフロー装置、ワークフロー制御方法及びコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を達成するため、本発明に係るワークフローシステムは、その一態様として、
所定の書類の申請に関するワークフローの承認経路を設定する承認経路設定部と、
前記承認経路設定部により設定された承認経路に基づいてワークフローを制御するワークフロー制御部と、
を備えたワークフロー装置であって、
前記承認経路設定部は、設定された承認経路に含まれる一承認者をワークフローの停止点として設定すること(以下、停止設定という)が可能であり、
前記ワークフロー制御部は、前記停止点が設定されている場合、ワークフローが前記停止点の承認者による承認まで進行した場合、ワークフローの進行を一旦停止させることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るワークフロー制御方法は、その一態様として、
コンピュータによるワークフロー制御方法であって、
所定の書類の申請に関するワークフローの承認経路を設定する承認経路設定ステップと、
前記承認経路設定部により設定された承認経路に基づいてワークフローを制御するワークフロー制御ステップと、
を備え、
前記承認経路設定ステップは、設定された承認経路に含まれる一承認者をワークフローの停止点として設定すること(以下、停止設定という)が可能であり、
前記ワークフロー制御ステップは、前記停止点が設定されている場合、ワークフローが前記停止点の承認者による承認まで進行した場合、ワークフローの進行を一旦停止させることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るコンピュータプログラムは、その一態様として、
ワークフローのためのコンピュータプログラムであって、
所定の書類の申請に関するワークフローの承認経路を設定する承認経路設定ステップと、
前記承認経路設定部により設定された承認経路に基づいてワークフローを制御するワークフロー制御ステップと、
コンピュータに実行させ、
前記承認経路設定ステップは、設定された承認経路に含まれる一承認者をワークフローの停止点として設定すること(以下、停止設定という)が可能であり、
前記ワークフロー制御ステップは、前記停止点が設定されている場合、ワークフローが前記停止点の承認者による承認まで進行した場合、ワークフローの進行を一旦停止させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ワークフローの進行を止めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態に係るワークフローシステムの概略構成図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係るワークフローの一例を示す図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係るワークフローの別の一例を示す図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係るワークフローシステムにおいて管理されるデータの内容を模式的に示す図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係るワークフローシステムの申請処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
【0013】
<ワークフローシステムの概要>
図1は、本発明の実施の形態に係るワークフローシステム100の概略構成図である。ワークフローシステム100は、複数の事業体(例えば、企業、組織、集団など)に跨ってワークフローを実現する情報処理システムであり、電子契約を支援する情報処理システムである。
【0014】
本実施の形態では、X社とY社に跨るワークフローを例に挙げて説明するが、ワークフローシステム100は、これに限定されるものではない。3社以上の事業体に跨るワークフローシステム100に適用してもよいのは勿論である。また、必ずしも複数の事業体に跨る必要もなく、一事業体内のワークフローシステム100に適用してもよい。また、本実施の形態では、ワークフローに回付される書類として契約書を例に挙げて説明するが、ワークフローシステム100に回付される書類は契約書に限定されるものではない。例えば、書類として他に規約書や申込書などが挙げられ、当事者間の話し合いの有無や、閲覧条件の設定の有無、署名の数などに限定されることなく、任意の電子書類の電子契約の締結に適用できる。
【0015】
ワークフローシステム100では、ワークフローを止めることが可能となっている。ここで、ワークフローを止めるとは、例えば、申請者が一旦申請した書類の不備に気づいて、書類自体を削除したり、書類を申請者に戻したりすることではなく、また、例えば、承認者が承認するまでに多大な時間を要するといった人為的な要因により流れを止めるといったことでもない。本実施の形態でいうワークフローを止めるとは、申請者が申請した申請内容を、申請内容を変えることなく意図する所定の工程で一旦ワークフローの進行を停止することを意味する。なお、ワークフローシステム100では、一旦停止したワークフローを、所定のタイミングで再開することが可能となっている。
【0016】
なお、本実施の形態において、「申請者」とは、書類を起案し、起案した書類を申請する利用者をいい、「承認者」とは、申請に対して承認する役割を持つ利用者をいい、「決裁者」とは、申請に対して決裁する権限を持つ利用者をいう。決裁者は書類に関わる業務(例えば、事業業務や管理業務など)の責任を負うものである。例えば、決裁者は承認者よりも強い権限を有しており、一事業体内の最終承認者が決裁者となる。したがって、X社とY社に跨るワークフローの場合、X社の決裁者及びY社の決裁者のそれぞれが存在する。
【0017】
図2を用いて、ワークフローの停止について具体的に説明する。
図2は、所定の契約書をX社とY社との間で締結する場合のワークフローを示している。
図2は、X社が起案した契約書を、まずX社で承認、決裁した後、契約書をY社に送って、Y社にて承認、決裁されるワークフローを示している。なお、
図1及び
図2において、Y社の利用者を便宜上、関係者と表記しているが、関係者は、承認者又は決裁者としての機能を有している。
【0018】
ワークフローシステム100では、申請者がワークフローの承認経路の所定の工程に割り当てられた承認者又は決裁者の地点(以下、停止点という)においてワークフローを一旦止めることができるようになっている。つまり、申請者が所定の工程における承認者又は決裁者を停止点として設定することにより(以下、「送信待ち」の設定ともいう)、停止点の次の工程に自動的に申請書類が流れないようになっている。
図2は、契約書を起案した申請者が、X社における決裁者の決裁が得られた後に契約書が自動的にY社に流れないように「送信待ち」を設定したことを示している。この場合、X社における承認経路を経て最終的にX社の決裁者による決裁が得られても、契約書はY社に自動的に流れることはない。申請者は、X社の決裁者の決裁が得られた後、設定した「送信待ち」を自らの意図するタイミングで解除することにより、契約書をY社に流して確認依頼をすることができる。
【0019】
このようにワークフローシステム100によれば、申請者が意図する工程で一旦ワークフローを止めることができ、その後、好適なタイミングで契約書をY社に流すことができるので、一方の事業体にて承認された契約書を、申請者にとって最適なタイミングで他方の事業体に送信することができる。特に申請者が当該業務の実働者の場合、実働者の意思で送信タイミングを調整できるので、複数の企業間の電子契約を円滑に進捗させることが可能となる。
【0020】
なお、ワークフローシステム100では、申請者が「送信待ち」の設定及び解除を行うことができるようにしているが、「送信待ち」の設定及び解除を行うことができるのは、申請者に限定されない。例えば、申請者が申請時に「送信待ち」に設定したX社の他の者により「送信待ち」の設定及び解除が行われるようにしてもよい。
【0021】
また、
図2に示したワークフローシステム100では、一の事業体から他の事業体に契約書が送信される工程で「送信待ち」の設定が行われるようになっているが、停止点の設定はこれに限定されるものではない。申請者が他の工程を停止点として設定してもよい。また、複数の停止点を設定するようにしてもよい。これにより、業務の内容に応じてワークフローの進行を柔軟に制御することが可能となる。
【0022】
また、
図2に示したY社のワークフローは、1工程からなるワークフローを例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、
図3(a)に示すように、直列的な複数の工程からなるワークフローであってもよい。また、
図3(b)に示すように、並列的な分岐を有する工程からなるワークフローであってもよい。また、
図3(c)に示すように、X社、Y社、Z社が順列になる直列的な複数の工数からなるワークフローであってもよい。また、
図3(a)、
図3(b)及び
図3(c)の組み合わせでもよい。いずれにしても、最終的には、X社で決裁された後、Y社やZ社などの最終工程の者(関係者)で決裁されてワークフローは完了することとなる。
【0023】
<ワークフローシステムの機能構成>
ワークフローシステム100は、
図1に示すように、サーバ1と、利用者端末2と、通信ネットワーク3と、を備えている。サーバ1は、ワークフローシステム100を管理する事業者が備えるコンピュータである。利用者端末2は、詳しくは、X社に所属する利用者(具体的には、申請者、承認者、決裁者が含まれる)が利用する利用者端末2と、Y社に所属する利用者(具体的には、関係者)が利用する利用者端末2と、が存在する。通信ネットワーク3は、サーバ1と利用者端末2を相互に通信可能とする、例えば、公衆回線網、インターネット網、専用通信網などの有線又は無線のネットワークである。
【0024】
サーバ1は、複数の企業間に跨るワークフローを一元的に管理可能なワークフロー装置である。サーバ1は、ワークフローを管理するためのデータを記憶し、ワークフローの書類(例えば、契約書)を作成し、作成した書類を承認経路に従って回送することにより、ワークフローの進行を制御する。なお、サーバ1は、物理的に一つからなる装置でもよいし、複数の装置がネットワーク接続されたシステムから構成されてもよい。
【0025】
サーバ1は、記憶部11と、制御部12と、通信部13と、を具備する。サーバ1は、少なくとも演算機能及び制御機能を備えた中央演算装置(CPU)、プログラムやデータを格納する機能を有するROM、RAM等からなる主記憶装置(メモリ)を有する電子的な装置から構成されている。また、サーバ1は、主記憶装置の他、ハードディスクなどの補助記憶装置を具備していてもよい。記憶部11は、上記主記憶装置及び補助記憶装置の機能を備えたものであり、制御部12は、上記CPUによる演算制御機能を具体的に示したものに他ならない。通信部13は、利用者端末2のそれぞれと通信ネットワーク3を介して、お互いに通信をすることができる通信インターフェースである。
【0026】
記憶部11は、ワークフローシステム100を管理するためのデータを記憶する。詳しくは、記憶部11は、利用者データ14と、申請書類データ15と、承認経路データ16と、を記憶する。
【0027】
図4(a)は、利用者データ14の内容を模式的に示す図である。利用者データ14は、利用者個人の情報であり、少なくとも、利用者ID、氏名、所属、権限、メールアドレスなどの項目を有する。利用者IDは、ワークフローシステム100において利用者を一意に識別可能なコードである。例えば、複数の企業に亘って利用者の情報を管理する場合、企業を一意に識別可能な企業コードとの組み合わせにより利用者IDを作成してもよい。また、一の企業の社員マスタをベースにして作成し、他の企業の利用者は、外部の者を示すコードを用いて利用者IDを用いて作成してもよい。氏名は、利用者の氏名、所属は、利用者が所属する企業、部署に関する情報であり、権限は利用者の承認に関する権限(例えば、役職など)である。メールアドレスは、利用者のメールアドレスである。本実施の形態では、次の回付先の利用者に対しては、このメールアドレスに従って承認依頼メールが送信されるようになっている。
【0028】
図4(b)は、申請書類データ15の内容を模式的に示す図である。申請書類データ15は、申請書類に関するデータであり、書類ID、種別、書類データなどの項目を有する。書類IDは、ワークフローシステム100において申請書類を一意に識別可能なコードであり、種別は、申請書類の種別(例えば、契約書、規約書、申込書、稟議書、報告書、申請書など)を示すコードであり、書類データは、申請書類のデータである。書類データについて、予め種別ごとにテンプレートを記憶部11に格納しているので、テンプレートを利用して書類データを作成することが可能である。
【0029】
図4(c)は、承認経路データ16の内容を模式的に示す図である。承認経路データ16は、承認経路に関するデータであり、申請ID、申請者、書類、承認経路、停止点、進捗状況などの項目を有する。
【0030】
申請IDは、ワークフローシステム100において申請を一意に識別可能なコードであり、申請ごとに付与される。申請者には、申請者の利用者IDが記憶される。書類は、申請者が起案した書類を意味し、書類には、書類IDが記憶される。承認経路には、申請された書類が承認を経て最終的に決裁されるまでの経路を示すデータが記憶される。例えば、
図2に示したワークフローの場合、X社内の承認経路としては、第1承認者として承認者A、第2承認者として承認者B又は承認者C、第3承認者として承認者C及び承認者D、最終承認者として決裁者という流れを示すデータが記憶されている。また、X社内の承認経路を経た後、Y社の関係者Aに移行する流れを示すデータが記憶されている。
【0031】
ここで、第2承認者として承認者B又は承認者Cを設定した場合には、承認者B又は承認者Cのいずれか一人の承認が必要であり、承認者B又は承認者Cのいずれか一人の承認が得られた場合、次の承認者に申請書類が流れるようになっている。また、第3承認者として承認者C及び承認者Dを設定した場合には、承認者B及び承認者Cの両方の承認が必要であり、承認者B及び承認者Cの両方の承認が得られた場合、次の承認者に申請書類が流れるようになっている。このように本実施の形態では、一工程において複数の人に承認してもらうワークフローを設定することが可能となっている。
【0032】
停止点には、ワークフローの進行を止める承認者(決裁者)を示すデータが記憶されている。例えば、
図2に示したワークフローの場合、X社の決裁者が停止点となる。したがって、X社の決裁者による決裁が行われると、
図2に示したワークフローの進行は一旦停止する。進捗状況には、ワークフローの進行の進捗状況に関するデータが記憶される。例えば、各承認者に対して承認フラグを設けるようにしてもよい。この場合、承認フラグは、承認を済ませたか否かを示すフラグであり、承認だけでなく、否認、差戻し、保留など他のアクションの情報も含まれる。
【0033】
また、記憶部11には、ワークフローシステム100のサーバ1側の各処理を実行するプログラムPが記憶されている。このプログラムPは、記憶部11のメモリに格納されるほか、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体としては、例えば、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD-ROM、MO、DVD-ROMが挙げられる。また、プログラムPは、通信ネットワーク3を介して配信されてもよい。
【0034】
制御部12は、プログラムPを実行することにより、ワークフローシステム100のサーバ1側の各処理を実行する。制御部12は、詳しくは、申請処理部17と、ワークフロー制御部18と、承認処理部19と、を有する。
【0035】
申請処理部17は、申請人による申請処理を実行する。
図5を用いて、申請人による申請処理について説明する。
図5は、申請人による申請処理の流れを示すフローチャートである。
【0036】
まず、申請人は、利用者端末2を介してサーバ1にアクセスした後、申請のための書類を作成する(ステップS1)。この際、申請人は、テンプレートを用いて各種書類を作成することができる。具体的には、サーバ1は利用者端末2からサーバ1に入力されたデータを用いて各種書類作成を行う。これにより、申請処理部17は、記憶部11に申請書類データ15を記憶する(
図4(b)参照)。例えば、
図2に示すワークフローの場合には、所定の契約書が申請書類データ15として記憶部11に記憶される。
【0037】
次に、申請人は、承認経路を設定する(ステップS2)。具体的には、サーバ1は利用者端末2からサーバ1に入力されたデータを用いて承認経路を設定する。
図2に示すワークフローの場合には、X社においては、申請者→承認者A→申請者B又はC→承認者D及びE→決裁者という流れ、X社の承認経路の後にY社の関係者Aという流れのワークフローを設定する。このワークフローは、一企業内においては、例えば、人事情報から自動的に作成されるようにしてもよいし、ステップS1の書類作成とともに同時に作成されるようにしてもよい。勿論、手動で承認経路を作成してもよい。これにより、申請処理部17は、記憶部11に承認経路データ16を記憶する(
図4(c)参照)。
【0038】
次に、申請人は、ワークフローの一工程において進行を一旦停止させる場合(ステップS3:YES)には、停止点の設定を行う(ステップS5)。具体的には、サーバ1は利用者端末2からサーバ1に入力された停止点設定に関する入力情報を用いて停止点の設定を行う。例えば、停止点設定画面(図示せず)からワークフローの一工程に割り当てられた利用者(例えば、X社の決裁者)に対して「送信待ち」の指示を設定してもよい。これにより、申請処理部17は、記憶部11に記憶された承認経路データ16に停止点に関する情報を反映する(
図4(c)参照)。
【0039】
次に、申請人は、利用者端末2を介して申請を行う(ステップS6)。具体的には、サーバ1は利用者端末2からサーバ1に入力された申請処理に関する入力情報を用いて申請処理を行う。これにより、後述するワークフロー制御部18は、ワークフローの進行を開始するので、申請書類は承認経路に従って回付されることとなる。
【0040】
次に、サーバ1は、ワークフローが一旦停止中の場合(ステップS7:YES)、停止解除のタイミングであるか否かを判定する(ステップS8)。該判定について、サーバ1は利用者端末2を介して申請者から停止解除の入力情報を受信すると、サーバ1は停止解除のタイミングであると判断する。ここでいう利用者端末2を介して申請者から停止解除の入力情報は、ワークフローの進行を再開するための入力情報のことをいう。サーバ1が停止解除のタイミングであると判断した場合(ステップS8:YES)、ワークフローの進行を再開する(ステップS9)。これにより、後述するワークフロー制御部18は、ワークフローの進行を再開するので、申請書類は停止点の次の承認者に回付されることとなる。
【0041】
なお、ワークフローの一工程において進行を停止させない場合(ステップS3:NO)には、サーバ1は、利用者端末2を介した申請人からの入力データにより、申請人は、書類を作成し(ステップS1)、承認経路を設定する(ステップS2)。承認経路を設定した後、サーバ1は利用者端末2からサーバ1に入力された申請処理に関する入力情報を用いて申請処理を行う(ステップS4)。これにより、後述するワークフロー制御部18は、ワークフローの進行を開始するので、申請書類は承認経路に従って回付されることとなる。
【0042】
ワークフロー制御部18は、承認経路データ16の承認経路に基づいてワークフローの進行を制御する。
【0043】
例えば、申請処理部17において申請が行われると(ステップS4、ステップS6)、ワークフロー制御部18は、承認経路データ16の承認経路に基づいて1次承認者に申請の承認が求められている旨の電子メールを送信する。1次承認者は、受信した電子メールに基づいて、申請書類にアクセスする。例えば、承認者が利用者端末2において受信した電子メールに記載されたURLをクリックすることにより、利用者端末2のWebブラウザ上には該当する申請書類が表示されるようにしてもよい。
【0044】
また、例えば、申請処理部17において停止点が設定された場合(ステップS5)、ワークフロー制御部18は、停止点に対応する承認者(
図2の場合には決裁者)による承認(
図2の場合には決裁)後、ワークフローの進行を一旦停止させる。つまり、停止点の次の承認者に対しては申請書類の回付を行わない。
【0045】
また、例えば、申請処理部17においてワークフローの再開指示が行われた場合(ステップS9)、ワークフロー制御部18は、一旦停止していたワークフローの進行を再開する。つまり、承認経路データ16の承認経路に基づいて、停止点の次の承認者に対して申請の承認が求められている旨の電子メールを送信する。
【0046】
また、例えば、後述する承認処理部19において、承認が行われと、ワークフロー制御部18は、承認経路データ16の承認経路に基づいて次の承認者に申請の承認が求められている旨の電子メールを送信する。
【0047】
承認処理部19は、承認者による承認処理、決裁者による決裁処理を実行する。なお、ワークフローシステム100において、決裁者は、一企業における最終承認者であり、決裁処理は、一企業における最終承認処理でもある。
【0048】
例えば、承認者が、利用者端末2のWebブラウザ上に該当する申請書類を表示し、該申請書類を承認した場合、サーバ1は、承認経路データ16の進捗状況を更新する。例えば、該当する承認者の承認フラグを承認済みとして進捗状況を更新する。
【0049】
利用者端末2は、利用者が用いるコンピュータであり、本実施の形態では、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット装置などが想定される。利用者端末2は、少なくとも演算機能及び制御機能を備えた中央演算装置(CPU)、プログラムやデータを格納する機能を有するROM、RAM等からなる主記憶装置(メモリ)を有する電子的な装置から構成されている。また、利用者端末2は、ハードウェア構成として、キーボード、マウス、タッチパネル、マイク、カメラなどの入力装置、液晶ディスプレイに代表される表示装置やスピーカなどの出力装置で構成されている。
【0050】
本実施の形態の利用者端末2は、Webブラウザの機能を用いて、サーバ1にアクセスし、ワークフローシステム100の利用者端末側の処理(例えば、書類作成、承認経路設定、停止点設定、申請、承認など)を実行するようになっている。
【0051】
以上、本実施の形態のワークフローシステム100によれば、申請者が停止点を設定することにより、意図する工程で一旦ワークフローを止めることができる。また、申請者が意図するタイミングにて停止させたワークフローを再開させることができる。これにより、申請者が諸事情に合わせてワークフローの進行を柔軟に制御することができる。
【0052】
特に、複数の事業体に跨るワークフロー、例えば、ワークフローが一の事業体から他の事業体に流れる場合には、一の事業体の決裁者に対して停止点を設けることにより、申請書類が一の事業体から他の事業体に流れるタイミングを制御することができるので、一の事業体と他の事業体の関係性を加味して、好適なタイミングで申請書類を回付することができる。したがって、電子契約など複数の事業体が関係する書類のワークフローに好適に適用することができる。
【0053】
なお、上記実施の形態のワークフローシステム100は、利用者端末2がWebブラウザを用いることにより、ワークフローシステム100の利用者端末2側の処理を実行したが、これに限定されない。例えば、利用者端末2はWebブラウザを用いなくてもよく、利用者端末2に専用アプリをインストールすることで、利用者端末2側の処理を実行してもよい。
【0054】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、本発明の実施の形態に対して種々の変形や変更を施すことができ、そのような変形や変更を伴うものもまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0055】
1 サーバ
2 利用者端末
3 通信ネットワーク
11 記憶部
12 制御部
13 通信部
14 利用者データ
15 申請書類データ
16 承認経路データ
17 申請処理部
18 ワークフロー制御部
19 承認処理部
100 ワークフローシステム
P プログラム