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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023028571
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】コネクタ及びコネクタセット
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/648 20060101AFI20230224BHJP
   H01R 13/6473 20110101ALI20230224BHJP
【FI】
H01R13/648
H01R13/6473
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021134362
(22)【出願日】2021-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】390012977
【氏名又は名称】イリソ電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浦 貴洋
(72)【発明者】
【氏名】行武 広章
(72)【発明者】
【氏名】新井 隆之
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA09
5E021FA14
5E021FB02
5E021FC23
5E021FC40
5E021LA10
5E021LA15
(57)【要約】
【課題】接続軸交差方向への体格の小型化を図る。
【解決手段】基板コネクタ12は、内側導体部52と接続される接続部26Dを有する内側端子26と、外側端子28と、端子ユニット側誘電体40と、を備えている。外側端子28は、接続部26Dが外側へ突出している状態で内側端子26を覆う端子側被覆部38と、端子側被覆部38から延出していると共に接続部26Dに沿って延びる端子側延出部34Bと、を備えている。端子ユニット側誘電体40は、内側端子26と外側端子28との間かつ端子側被覆部38の内側に設けられ、内側端子26を支持する。
【選択図】図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側導体部と接続される接続部を有する内側端子と、
前記接続部が外側へ突出している状態で前記内側端子を覆う端子側被覆部と、該端子側被覆部から延出していると共に前記接続部に沿って延びる端子側延出部と、を有する外側端子と、
前記内側端子と前記外側端子との間かつ前記端子側被覆部の内側に設けられ、前記内側端子を支持する端子側誘電体と、
を備えたコネクタ。
【請求項2】
前記外側端子は、金属板で形成された第1端子形成板と、金属板で形成された第2端子形成板と、を含んで構成され、
前記第1端子形成板と前記第2端子形成板とによって、前記端子側被覆部が形成されている請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
複数の前記内側端子を有し、
前記外側端子は、単一の前記第1端子形成板と、複数の前記第2端子形成板と、を含んで構成され、
単一の前記第1端子形成板と複数の前記第2端子形成板との間には、複数の前記内側端子をそれぞれ覆う複数の前記端子側被覆部が形成されている請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記第1端子形成板は、第1主板部を備えていると共に、前記第2端子形成板は、第1主板部と間隔をあけて配置された第2主板部を備えており、
前記第1端子形成板は、前記第1主板部から前記第2主板部側へ向けて延出する第1側板部を備えていると共に、前記第2端子形成板は、前記第2主板部から前記第1主板部側へ向けて延出する第2側板部を備えており、
前記端子側被覆部が、前記第1主板部と、前記第2主板部と、前記第1側板部及び前記第2側板部の少なくとも一方と、によって形成されている請求項2又は請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
内側端子と接続される内側導体部と、
前記内側導体部を覆うと共に前記内側端子が接続される側の外周部に切欠部が形成された導体部側被覆部を有する外側導体部と、
前記内側導体部と前記外側導体部との間かつ前記導体部側被覆部の内側に設けられ、前記内側導体部を支持し、その外周の一部が前記切欠部において露出している導体部側誘電体と、
を備えたコネクタ。
【請求項6】
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のコネクタである第1コネクタと、
請求項5に記載のコネクタである第2コネクタと、
を備え、
前記第1コネクタが前記第2コネクタに接続された状態で、前記内側端子の前記接続部が前記内側導体部に接続されると共に、前記端子側延出部が前記切欠部を閉止するように配置された状態で前記外側端子が前記外側導体部に接続され、前記内側端子の前記接続部と前記内側導体部との接続部分が前記外側導体部と前記端子側延出部によって覆われるコネクタセット。
【請求項7】
前記端子側延出部は、前記導体部側誘電体において前記切欠部で露出している部分に沿って配置される基板部と、前記切欠部の縁に沿って配置される接触部と、を含んで構成され、
前記接触部が前記切欠部の縁側へ向けて付勢された状態で前記切欠部の縁に接触する請求項6に記載のコネクタセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ及びコネクタセットに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、ジャックコネクタ及びこのジャックコネクタと接続されるプラグコネクタが開示されている。ジャックコネクタは、その中心部に配置されたジャック側中心コンタクトと、ジャック側中心コンタクトを覆う筒状のジャック側外部コンタクトと、ジャック側中心コンタクトとジャック側外部コンタクトとの間に設けられたジャック側絶縁基体と、を備えている。また、プラグコネクタは、その中心部に配置されたプラグ側中心コンタクトと、プラグ側中心コンタクトを覆う筒状の円筒部と、プラグ側中心コンタクトと円筒部との間に設けられたプラグ側絶縁基体と、を備えている。そして、ジャックコネクタとプラグコネクタとが接続されることで、ジャック側中心コンタクトとプラグ側中心コンタクトとが接続されると共に、ジャック側外部コンタクトと円筒部とが接続されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-92844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載されたジャックコネクタ及びプラグコネクタは、ジャック側外部コンタクトと円筒部とが径方向に重なった状態で両者が接続される構成となっている。そのため、ジャックコネクタとプラグコネクタとの接続部分の径方向(接続軸交差方向)への体格の小型化を図るという観点で改善の余地がある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、接続軸交差方向への体格の小型化を図ることができるコネクタ及びコネクタセットを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様のコネクタは、内側導体部と接続される接続部を有する内側端子と、前記接続部が外側へ突出している状態で前記内側端子を覆う端子側被覆部と、該端子側被覆部から延出していると共に前記接続部に沿って延びる端子側延出部と、を有する外側端子と、前記内側端子と前記外側端子との間かつ前記端子側被覆部の内側に設けられ、前記内側端子を支持する端子側誘電体と、を備えている。
【0007】
第1の態様のコネクタは、内側端子と、外側端子と、端子側誘電体と、を備えている。外側端子は、内側端子の接続部が外側へ突出している状態で内側端子を覆う端子側被覆部と、当該端子側被覆部から延出していると共に接続部に沿って延びる端子側延出部と、を備えている。このコネクタの構成では、当該コネクタと接続される相手側コネクタの一部と端子側延出部によって、内側導体部と内側端子の接続部との接続部分を覆うことができる。この構成では、内側導体部と内側端子の接続部との接続部分を覆うために、外側端子と相手側コネクタの一部とを内側導体部と内側端子の接続部との接続方向と交差する方向(接続軸交差方向)に重ねて配置することが不要となる。これにより、コネクタの接続軸交差方向への体格の小型化を図ることができる。
【0008】
第2の態様のコネクタは、第1の態様のコネクタにおいて、前記外側端子は、金属板で形成された第1端子形成板と、金属板で形成された第2端子形成板と、を含んで構成され、前記第1端子形成板と前記第2端子形成板とによって、前記端子側被覆部が形成されている。
【0009】
第2の態様のコネクタでは、第1端子形成板と第2端子形成板とによって、端子側被覆部を有する構成の外側端子を安価に形成することができる。
【0010】
第3の態様のコネクタは、第2の態様のコネクタにおいて、複数の前記内側端子を有し、前記外側端子は、単一の前記第1端子形成板と、複数の前記第2端子形成板と、を含んで構成され、単一の前記第1端子形成板と複数の前記第2端子形成板との間には、複数の前記内側端子をそれぞれ覆う複数の前記端子側被覆部が形成されている。
【0011】
第3の態様のコネクタでは、単一の第1端子形成板に沿って複数の端子側被覆部を形成することができる。
【0012】
第4の態様のコネクタは、第2の態様又は第3の態様のコネクタにおいて、前記第1端子形成板は、第1主板部を備えていると共に、前記第2端子形成板は、第1主板部と間隔をあけて配置された第2主板部を備えており、前記第1端子形成板は、前記第1主板部から前記第2主板部側へ向けて延出する第1側板部を備えていると共に、前記第2端子形成板は、前記第2主板部から前記第1主板部側へ向けて延出する第2側板部を備えており、前記端子側被覆部が、前記第1主板部と、前記第2主板部と、前記第1側板部及び前記第2側板部の少なくとも一方と、によって形成されている。
【0013】
第4の態様のコネクタでは、端子側被覆部が、第1主板部と、第2主板部と、第1側板部及び第2側板部の少なくとも一方と、によって形成されている。この構成では、例えば、屈曲又は湾曲している形状の内側端子に対応させた端子側被覆部を容易に形成することができる。
【0014】
第5の態様のコネクタは、内側端子と接続される内側導体部と、前記内側導体部を覆うと共に前記内側端子が接続される側の外周部に切欠部が形成された導体部側被覆部を有する外側導体部と、前記内側導体部と前記外側導体部との間かつ前記導体部側被覆部の内側に設けられ、前記内側導体部を支持し、その外周の一部が前記切欠部において露出している導体部側誘電体と、を備えている。
【0015】
第5の態様のコネクタは、内側導体部と、外側導体部と、導体部側誘電体と、を備えている。外側導体部は、内側導体部を覆うと共に内側端子が接続される側の外周部に切欠部が形成された導体部側被覆部を備えている。また、導体部側誘電体は、その外周の一部が前記切欠部において露出している。このコネクタの構成では、当該コネクタと接続される相手側コネクタの一部を切欠部に沿わせて配置させることができる。これにより、相手側コネクタの一部と外側導体部とによって、内側導体部と内側端子との接続部分を覆うことができる。この構成では、内側導体部と内側端子との接続部分を覆うために、外側導体部と相手側コネクタの一部とを内側導体部と内側端子との接続方向と交差する方向(接続軸交差方向)に重ねて配置することが不要となる。これにより、コネクタの接続軸交差方向への体格の小型化を図ることができる。
【0016】
第6の態様のコネクタセットは、第1の態様~第4の態様のいずれか1つの態様のコネクタである第1コネクタと、第5の態様のコネクタである第2コネクタと、を備え、前記第1コネクタが前記第2コネクタに接続された状態で、前記内側端子の前記接続部が前記内側導体部に接続されると共に、前記端子側延出部が前記切欠部を閉止するように配置された状態で前記外側端子が前記外側導体部に接続され、前記内側端子の前記接続部と前記内側導体部との接続部分が前記外側導体部と前記端子側延出部によって覆われる。
【0017】
第6の態様のコネクタセットでは、第1コネクタが第2コネクタに接続された状態で、内側端子の接続部が内側導体部に接続されると共に、端子側延出部が切欠部を閉止するように配置された状態で外側端子が外側導体部に接続される。また、内側端子の接続部と内側導体部との接続部分が外側導体部と端子側延出部によって覆われる。この構成では、内側端子の接続部と内側導体部との接続部分を覆うために、外側導体部と外側端子とを内側導体部と内側端子との接続方向と交差する方向(接続軸交差方向)に重ねて配置することが不要となる。これにより、コネクタセットの接続軸交差方向への体格の小型化を図ることができる。
【0018】
第7の態様のコネクタセットは、第6の態様のコネクタセットにおいて、前記端子側延出部は、前記導体部側誘電体において前記切欠部で露出している部分に沿って配置される基板部と、前記切欠部の縁に沿って配置される接触部と、を含んで構成され、前記接触部が前記切欠部の縁側へ向けて付勢された状態で前記切欠部の縁に接触する。
【0019】
第7の態様のコネクタセットでは、導体部側誘電体において切欠部で露出している部分を端子側延出部の基板部によって覆うことができる。また、端子側延出部の接触部が、切欠部の縁側へ向けて付勢された状態で当該切欠部の縁に接触することで、外側端子と外側導体部との安定した導通状態を確保することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るコネクタ及びコネクタセットは、接続軸交差方向への体格の小型化を図ることができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】コネクタセットを示す斜視図である。
図2】基板コネクタを示す斜視図である。
図3】基板コネクタを図2とは反対側から見た斜視図である。
図4】端子ユニットハウジングを示す斜視図である。
図5】端子ユニットハウジングを図4とは反対側から見た斜視図である。
図6】端子ユニットを示す斜視図である。
図7】端子ユニットを示す斜視図である。
図8】端子ユニットを分解して示す分解斜視図である。
図9】端子ユニットを図8とは反対側から見た分解斜視図である。
図10】端子ボディ及び支持部材の図示を省略した端子ユニットを示す斜視図である。
図11】端子ボディの図示を省略した端子ユニットを示す斜視図である。
図12】端子ユニットハウジング内に配列された複数の端子ユニットと連結部材とを示す斜視図である。
図13】電線コネクタと接続保持部材とを示す斜視図である。
図14】導体ユニットハウジングを分解して示す分解斜視図である。
図15】導体ユニットハウジングを図14とは反対側から見た分解斜視図である。
図16】導体ユニットを示す斜視図である。
図17】導体ユニットを分解して示す分解斜視図である。
図18】接続される前の状態の導体ユニット及び端子ユニットを示す斜視図である。
図19】接続される前の状態の導体ユニット及び端子ユニットを図19とは反対側から見た斜視図である。
図20】接続される前の状態の導体ユニット及び端子ユニットを示す側面図である。
図21】接続完了時の導体ユニット及び端子ユニットを示す斜視図である。
図22】接続完了時の導体ユニット及び端子ユニットを図21とは反対側から見た斜視図である。
図23】接続完了時の導体ユニット及び端子ユニットを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1図23を用いて、本発明の実施形態に係るコネクタセット10について説明する。
【0023】
図1に示されるように、コネクタセット10は、図示しない回路基板に固定されるコネクタ及び第1コネクタとしての基板コネクタ12と、電線14の端部に固定されるコネクタ及び第2コネクタとしての電線コネクタ16と、を含んで構成されている。なお、基板コネクタ12と電線コネクタ16とが接続される方向を接続軸方向と呼ぶ。また、接続軸方向と直交する方向でかつ後述する複数の端子ユニット20、22が並べられている方向を幅方向と呼ぶ。さらに、接続軸方向及び幅方向と直交する方向を上下方向と呼ぶ。また、接続軸方向一方側を矢印Zで示し、幅方向一方側を矢印Wで示し、上下方向の上側を矢印Uで示す。
【0024】
(基板コネクタ12の構成)
図2及び図3に示されるように、基板コネクタ12は、端子ユニットハウジング18と、端子ユニットハウジング18に収容された複数の端子ユニット20、22と、端子ユニットハウジング18に係止された連結部材24と、を含んで構成されている。
【0025】
図4及び図5に示されるように、端子ユニットハウジング18は、矩形枠状に形成されている。この端子ユニットハウジング18は、幅方向に間隔をあけて配置された一対の側壁部18Aと、一対の側壁部18Aの上端を幅方向につなぐ上壁部18Bと、一対の側壁部18Aの下端を幅方向につなぐ下壁部18Cと、を備えている。
【0026】
一対の側壁部18Aにおける接続軸方向一方側の部分は、上壁部18B及び下壁部18Cに対して接続軸方向一方側へ向けて延出している分離規制部18Dとなっている。一対の側壁部18Aのそれぞれの分離規制部18Dには、上方側が開放された係止溝18Eが形成されている。
【0027】
上壁部18Bにおける幅方向の中央部には、接続保持部としての第1保持部18Fが形成されている。また、上壁部18Bにおける接続軸方向一方側の端部は、後述する複数の端子ユニット20、22の上方側の部分が係止される上側係止部18Gとなっている。この上側係止部18Gは、上下方向を厚み方向として幅方向に延在する上側基板部18Hと、上側基板部18Hにおける接続軸方向一方側の端から上方側へ向けて屈曲して延びる上側フランジ部18Jと、を含んで構成されている。また、上側係止部18Gには、幅方向に間隔をあけて配置された複数の上側係止溝18Kが接続軸方向に沿って形成されている。この上側係止溝18Kの数は、後述する端子ユニット20、22の数と一致している。すなわち、本実施形態では、上側係止部18Gには、14個の上側係止溝18Kが形成されている。また、上側係止溝18Kは、上側基板部18Hを貫通するように形成されていると共に上側フランジ部18Jの下方側の部分において下方側が開放するように形成されている。
【0028】
下壁部18Cにおける接続軸方向一方側の端部は、後述する複数の端子ユニット20、22の下方側の部分が係止される下側係止部18Lとなっている。この下側係止部18Lは、下壁部18Cにおける接続軸方向一方側の端から上方側へ向けて屈曲して延びる下側フランジ部18Mを備えている。また、下側フランジ部18Mには、幅方向に間隔をあけて配置された複数の下側係止溝18Nが接続軸方向に沿って形成されている。この下側係止溝18Nの数は、後述する端子ユニット20、22の数と一致している。すなわち、本実施形態では、下側フランジ部18Mには、14個の下側係止溝18Nが形成されている。また、下側係止溝18Nは、下側フランジ部18Mの上方側の部分において上方側が開放するように形成されている。
【0029】
図3図6及び図7に示されるように、本実施形態の基板コネクタ12は、8個の端子ユニット20及び6個の端子ユニット22を含んで構成されている。ここで、図6及び図7に示されるように、端子ユニット20及び端子ユニット22の構成は、内側端子26の数が異なることを除いては同様に構成されている。そのため、以下においては、端子ユニット20の構成について説明し、端子ユニット22の構成の説明を省略する。なお、端子ユニット22において端子ユニット20と対応する部材及び部分には、端子ユニット20と対応する部材及び部分と同じ符号を付すことにする。
【0030】
図6図8及び図9に示されるように、端子ユニット20は、2つの内側端子26と、2つの内側端子26を覆う外側端子28と、を備えている。また、端子ユニット20は、端子ボディ30と、2つの支持部材32と、を備えている。
【0031】
一方の内側端子26は、導電性の金属材料を用いて棒状に形成された部材が所定の形状に折り曲げられること等により形成されている。この内側端子26は、当該内側端子26の一方側の端部を構成する嵌合側伸長部26Aと、内側端子26の他方側の端部を構成する基板側伸長部26Bと、嵌合側伸長部26Aと基板側伸長部26Bとをつなぐ中間伸長部26Cと、を備えている。嵌合側伸長部26Aは、接続軸方向に伸びており、その端部側が後述する導体ユニット44の内側導体部52が接続される接続部26Dとなっている。基板側伸長部26Bは、上下方向に伸びており、その端部側が図示しない回路基板に接続される部分となっている。中間伸長部26Cは、接続軸方向一方側へ向かうにつれて下方側へ傾斜するように伸びている。
【0032】
他方の内側端子26は、一方の内側端子26よりも短い棒状の部材が所定の形状に折り曲げられること等により、一方の内側端子26と同様に形成されている。なお、他方の内側端子26において一方の内側端子26と対応する部分には、一方の内側端子26と対応する部分と同じ符号を付している。また、他方の内側端子26の嵌合側伸長部26Aは、一方の内側端子26の嵌合側伸長部26Aに対して下方側において一方の内側端子26の嵌合側伸長部26Aと平行に伸びている。さらに、他方の内側端子26の基板側伸長部26Bは、一方の内側端子26の基板側伸長部26Bに対して接続軸方向他方側において一方の内側端子26の基板側伸長部26Bと平行に伸びている。また、他方の内側端子26の中間伸長部26Cは、一方の内側端子26の中間伸長部26Cに対して下方側及び接続軸方向他方側において一方の内側端子26の中間伸長部26Cと平行に伸びている。
【0033】
図8及び図9に示されるように、外側端子28は、金属板で形成された単一の第1端子形成板34と、金属板で形成されていると共に第1端子形成板34に対して幅方向他方側に配置された2つの第2端子形成板36と、を含んで構成されている。
【0034】
第1端子形成板34は、所定の形状に裁断された金属板が折り曲げられること等により形成されている。この第1端子形成板34は、幅方向を厚み方向として上下方向及び接続軸方向に延在する矩形状の第1主板部34Aと、第1主板部34Aにおける接続軸方向他方側の端から接続軸方向他方側へ向けて延在する矩形状の端子側延出部34Bと、を備えている。第1主板部34Aと端子側延出部34Bとの境目には、幅方向に高さの差を有する段差部34Cが形成されている。これにより、端子側延出部34Bが、第1主板部34Aに対して幅方向一方側にオフセットしている。ここで、端子側延出部34Bは、平板状に形成された基板部34Dと、基板部34Dに対して幅方向他方側に向けて切り起された複数の接触部34Eと、を含んで構成されている。本実施形態では、4つの接触部34Eが上下方向に間隔をあけて配置されている。また、図8に示されるように、第1端子形成板34は、その一部分が切り起されることによって形成された3つの第1側板部34Fを備えている、これら3つの第1側板部34Fは、第1主板部34Aから後述する第2端子形成板36の第2主板部36A側へ向けて延出する舌片状に形成されている。また、第1端子形成板34は、第1主板部34Aから突出すると共に図示しない回路基板に接続される接続片部34Gを備えている。
【0035】
図8及び図9に示されるように、一方の第2端子形成板36は、所定の形状に裁断された金属板が折り曲げられること等により形成されている。この第2端子形成板36は、幅方向を厚み方向として上下方向及び接続軸方向に延在する第2主板部36Aを備えている。第2主板部36Aの形状は、幅方向から見て一方の内側端子26と対応する形状となっている。また、第2端子形成板36は、第2主板部36Aの端から第1端子形成板34の第1主板部34A側へ向けて延出する複数の第2側板部36Bを備えている。さらに、第2端子形成板36は、第2主板部36Aから突出すると共に図示しない回路基板に接続される接続片部36Cを備えている。
【0036】
他方の第2端子形成板36は、一方の第2端子形成板36よりも小さな所定の形状に裁断された金属板が折り曲げられること等により形成されている。この第2端子形成板36は、一方の第2端子形成板36の第2主板部36A及び複数の第2側板部36Bとそれぞれ対応する第2主板部36A及び複数の第2側板部36Bを備えている。他方の第2端子形成板36の第2主板部36Aの形状は、幅方向から見て他方の内側端子26と対応する形状となっている。
【0037】
そして、図6図10及び図11に示されるように、第1端子形成板34と一方の第2端子形成板36とによって、一方の内側端子26の大部分を覆う端子側被覆部38が形成される。また、第1端子形成板34と他方の第2端子形成板36とによって、他方の内側端子26の大部分を覆う端子側被覆部38が形成される。ここで、一方の端子側被覆部38及び他方の端子側被覆部38は、第1主板部34Aと、第2主板部36Aと、第1側板部34F及び第2側板部36Bの少なくとも一方と、によって形成されている。
【0038】
詳述すると、一方の端子側被覆部38において一方の内側端子26の嵌合側伸長部26A及び基板側伸長部26Bを覆っている部分は、第1主板部34Aと、第2主板部36Aと、第2側板部36Bと、によって形成されている。また、一方の端子側被覆部38において一方の内側端子26の中間伸長部26Cを覆っている部分の中央部分は、第1主板部34Aと、第2主板部36Aと、第2側板部36Bと、によって形成されている。さらに、一方の端子側被覆部38において一方の内側端子26の中間伸長部26Cを覆っている部分の両側部分は、第1主板部34Aと、第2主板部36Aと、第1側板部34Fと、第2側板部36Bと、によって形成されている。
【0039】
また、他方の端子側被覆部38において一方の内側端子26の嵌合側伸長部26A及び基板側伸長部26Bを覆っている部分は、第1主板部34Aと、第2主板部36Aと、第2側板部36Bと、によって形成されている。また、他方の端子側被覆部38において他方の内側端子26の中間伸長部26Cを覆っている部分は、第1主板部34Aと、第2主板部36Aと、第1側板部34Fと、第2側板部36Bと、によって形成されている。
【0040】
一方の内側端子26の接続部26Dは、一方の端子側被覆部38から接続方向他方側へ向けて突出していると共に、一方の内側端子26の基板側伸長部26Bの端部は、一方の端子側被覆部38から下方側へ向けて突出している。また、他方の内側端子26の接続部26Dは、他方の端子側被覆部38から接続方向他方側へ向けて突出していると共に、他方の内側端子26の基板側伸長部26Bの端部は、他方の端子側被覆部38から下方側へ向けて突出している。さらに、一方の内側端子26の接続部26D及び他方の内側端子26の接続部26Dは、第1端子形成板34の端子側延出部34Bの基板部34Dに沿って当該基板部34Dと平行に伸びている。換言すると、第1端子形成板34の端子側延出部34Bの基板部34Dが、一方の内側端子26の接続部26D及び他方の内側端子26の接続部26Dに沿って延びている。
【0041】
図8及び図9に示されるように、端子ボディ30は、樹脂材料を用いて矩形の箱状に形成されている。この端子ボディ30には、幅方向他方側が開放されていると共に2つの内側端子26及び2つの支持部材32がそれぞれ配置される内側端子配置凹部30Aが形成されている。この内側端子配置凹部30Aの底部分は、内側端子26を支持する支持壁部30Bとなっている。また、支持壁部30Bには、内側端子26が嵌まり込む支持溝30Cが形成されている。なお、端子ボディ30の支持壁部30Bには、第1端子形成板34の第1側板部34F及び第2端子形成板36の第2側板部36Bが挿通される開口が形成されている。また、第1端子形成板34の第1側板部34F、第2端子形成板36の第2主板部36A及び第2側板部36Bは、内側端子配置凹部30A内に配置されるようになっている。
【0042】
図8に示されるように、端子ボディ30は、幅方向他方側が開放された孔が形成されたボス部分である3つの被嵌合部30Dを備えている。また、図9に示されるように、端子ボディ30は、幅方向一方側へ向けて突出する突起部分である3つの嵌合部30Eを備えている。そして、幅方向に隣り合う一方の端子ユニット20の端子ボディ30の嵌合部30Eと他方の端子ユニット20の端子ボディ30の被嵌合部30Dとが嵌合することで、一方の端子ユニット20の他方の端子ユニット20に対する接続軸方向及び上下方向への相対変位が制限されようになっている。なお、第1端子形成板34の第1主板部34Aには、3つの嵌合部30Eが挿通される開口が形成されている。
【0043】
図6及び図8に示されるように、端子ボディ30の上部における幅方向の中央部には、上方側へ向けて突出する上側係止突起30Fが接続軸方向に沿って形成されている。また、端子ボディ30の下部における幅方向の中央部には、下方側へ向けて突出する下側係止突起30Gが接続軸方向に沿って形成されている。さらに、図9に示されるように、端子ボディ30の接続軸方向側の端部における幅方向の中央部には、後述する連結部材24が係止される連結部材係止部30Hが上下方向に沿って形成されている。
【0044】
図8及び図9に示されるように、2つの支持部材32は、それぞれ樹脂材料を用いてブロック状に形成されている。2つの支持部材32は、2つの第2端子形成板36において第2主板部36A及び第2側板部36Bによって囲まれた空間内にそれぞれ配置されるようになっている。2つの支持部材32における幅方向一方側には、内側端子26が嵌まり込む支持溝32Aが形成されている。
【0045】
そして、図6に示されるように、端子ユニット20が組み立てられた状態では、内側端子26の大部分が、外側端子28の端子側被覆部38内に配置された状態で端子ボディ30の支持壁部30B及び支持部材32によって支持されている。ここで、端子ボディ30の支持壁部30B及び支持部材32は、内側端子26と外側端子28との間に配置された端子側誘電体としての端子ユニット側誘電体40を構成している。
【0046】
図12に示されるように、連結部材24は、金属板を用いて形成されている。この連結部材24は、接続軸方向を厚み方向として幅方向及び上下方向に延びる矩形状に形成されている。連結部材24の下部には、端子ボディ30の連結部材係止部30Hが嵌まり込む複数の係止溝24Aが形成されている。複数の係止溝24Aは、幅方向に間隔をあけて配置されている。また、係止溝24Aの数は、端子ユニット20、22の数と一致している。すなわち、本実施形態では、連結部材24には、14個の係止溝24Aが形成されている。また、連結部材24の幅方向の両端部は、端子ユニットハウジング18の分離規制部18Dに形成された係止溝18Eに係止されるハウジング係止部24Bとなっている。
【0047】
図2図3図4図5図6図7図8図9及び図12に示されるように、本実施形態の基板コネクタ12は以下の手順で組み立てられる。
【0048】
先ず、隣接するもの同士が互いに接している状態で複数の端子ユニット20、22を幅方向に並べる。このとき、端子ユニット20、22の端子ボディ30の嵌合部30Eを隣接する他の端子ユニット20、22の端子ボディ30の被嵌合部30Dへ嵌合させる。なお、本実施形態では、幅方向一方側にスペーサ41が設けられている。このスペーサ41には、幅方向一方側の端部に配置された端子ユニット20の端子ボディ30の嵌合部30Eが嵌合している。
【0049】
次に、幅方向に並べられた複数の端子ユニット20、22を端子ユニットハウジング18に組み付ける。すなわち、幅方向に並べられた複数の端子ユニット20、22を接続方向他方側へ移動させることで、幅方向に並べられた複数の端子ユニット20、22を端子ユニットハウジング18に挿入する。このとき、各端子ユニット20、22の端子ボディ30の上側係止突起30Fを端子ユニットハウジング18に形成された上側係止溝18K内に配置させると共に、各端子ユニット20、22の端子ボディ30の下側係止突起30Gを端子ユニットハウジング18に形成された下側係止溝18N内に配置させる。そして、各端子ユニット20、22の端子ボディ30の上側係止突起30Fが、端子ユニットハウジング18の上側係止部18Gを乗り越えて、上側係止部18Gに係止される。また、各端子ユニット20、22の端子ボディ30の下側係止突起30Gが、端子ユニットハウジング18の下側係止部18Lを乗り越えて、下側係止部18Lに係止される。これにより、端子ユニット20、22が端子ユニットハウジング18に組み付けられた状態となる。
【0050】
次に、連結部材24のハウジング係止部24Bを端子ユニットハウジング18の分離規制部18Dに形成された係止溝18Eに係止させると共に、連結部材24の各係止溝24Aに各端子ユニット20、22の端子ボディ30の連結部材係止部30Hを係止させる。
【0051】
以上の工程を経て、基板コネクタ12が組み立てられる。
【0052】
(電線コネクタ16の構成)
図13に示されるように、電線コネクタ16は、導体ユニットハウジング42と、導体ユニットハウジング42に支持された2種類の導体ユニット44、46と、を含んで構成されている。
【0053】
図14及び図15に示されるように、導体ユニットハウジング42は、矩形ブロック状に形成された導体ユニットハウジング本体48と、導体ユニットハウジング本体48に係止される抜止部材50と、を含んで構成されている。
【0054】
導体ユニットハウジング本体48には、後述する複数の導体ユニット44、46がそれぞれ収容される複数の導体ユニット収容部48Aが形成されている。複数の導体ユニット収容部48Aは、導体ユニットハウジング本体48を接続軸方向に貫通するように形成されている。なお、本実施形態では、複数の導体ユニット収容部48Aの数は、後述する複数の導体ユニット44、46の数と一致している。すなわち、導体ユニットハウジング本体48には、28個の導体ユニット収容部48Aが形成されている。詳述すると、導体ユニットハウジング本体48の上部には、14個の導体ユニット収容部48Aが形成されており、導体ユニットハウジング本体48の下部には、14個の導体ユニット収容部48Aが形成されている。
【0055】
ここで、各導体ユニット収容部48A内の形状及び寸法は、後述する導体ユニット44、46を接続軸方向他方側から挿入可能な形状及び寸法となっている。また、各導体ユニット収容部48A内の形状及び寸法は、導体ユニット収容部48A内に挿入された導体ユニット44、46が接続軸方向一方側から抜け出さない形状及び寸法に設定されている。
【0056】
導体ユニットハウジング本体48の上部における幅方向の中央部には、接続保持部としての第2保持部48Bが形成されている。
【0057】
抜止部材50は、幅方向を長手方向とする本体板50Aと、本体板50Aから接続軸方向一方側に向けて突出すると共に幅方向に間隔をあけて配置された複数の仕切板50Bと、本体板50Aの幅方向の両端部から接続軸方向一方側へ向けて突出する一対の係止板50Cと、を含んで構成されている。そして、図13に示されるように、抜止部材50の一対の係止板50Cが、導体ユニットハウジング本体48の幅方向の両端部に係止されることで、抜止部材50が導体ユニットハウジング本体48に取り付けられるようになっている。また、抜止部材50が導体ユニットハウジング本体48に取り付けられた状態では、各導体ユニット収容部48A内に収容された各導体ユニット44、46が、各導体ユニット収容部48A内から接続軸方向他方側へ抜け出さないようになっている。
【0058】
図6図7及び図13に示されるように、16個の導体ユニット44は、前述の8個の端子ユニット20に接続される。また、12個の導体ユニット46は、前述の6個の端子ユニット22に接続される。ここで、導体ユニット44及び導体ユニット46の構成は、内側導体部52の数が異なることを除いては同様に構成されている。そのため、以下においては、導体ユニット44の構成について説明し、導体ユニット46の構成の説明を省略する。なお、導体ユニット46において導体ユニット44と対応する部材及び部分には、導体ユニット44と対応する部材及び部分と同じ符号を付すことにする。
【0059】
図16及び図17に示されるように、導体ユニット44は、内側導体部52と、内側導体部52を覆う外側導体部54と、内側導体部52と外側導体部54との間に設けられていると共に内側導体部52を支持する導体部側誘電体としての一対の導体ユニット側誘電体56と、を備えている。
【0060】
図17に示されるように、内側導体部52は、金属板が筒状に曲げられること等により形成されている。この内側導体部52における接続軸方向他方側の端部は、電線14の芯線14Aに固定されている。
【0061】
外側導体部54は、所定の形状に裁断された金属板が折り曲げられること等により形成されている。この外側導体部54は、導体部側被覆部58と、外部導体固定部60と、を備えている。なお、外部導体固定部60は、電線14の外部導体14Bに固定される。
【0062】
導体部側被覆部58は、幅方向を厚み方向として接続軸方向及び上下方向に延びる矩形状の第1導体板58Aを備えている。また、導体部側被覆部58は、第1導体板58Aの上端及び下端から幅方向一方側へ向けて屈曲して延びる一対の第2導体板58Bを備えている。一対の第2導体板58Bは、上下方向を厚み方向として接続軸方向及び幅方向に延びる矩形状に形成されていると共に、互いに平行に延びている。さらに、導体部側被覆部58は、一対の第2導体板58Bにおける幅方向一方側の端から上方側及び下方側へ向けてそれぞれ延びる一対の第3導体板58Cを備えている。一対の第3導体板58Cは、幅方向を厚み方向として接続軸方向及び上下方向に延びる矩形状に形成されていると共に、第1導体板58Aと平行に延びている。また、一対の第3導体板58Cにおける一対の第2導体板58Bとは反対側の端は、互いに当接又は近接している。これにより、第1導体板58A、一対の第2導体板58B及び一対の第3導体板58Cの間には、内側導体部52及び一対の導体ユニット側誘電体56の大部分が内部に配置される筒状の空間が形成されている。ここで、本実施形態では、一対の第3導体板58Cが、一対の第2導体板58Bにおける接続軸方向の中央部から接続軸方向他方側の端にかけての範囲から延出している構成となっている。これにより、導体部側被覆部58における接続軸方向一方側には、当該導体部側被覆部58の一部が切り欠かれた切欠部58Dが形成された構成となっている。
【0063】
一対の導体ユニット側誘電体56は、ブロック状に形成されている。一方の導体ユニット側誘電体56における他方の導体ユニット側誘電体56側には、内側導体部52が嵌まり込む支持溝56Aが形成されていると共に、他方の導体ユニット側誘電体56における一方の導体ユニット側誘電体56側には、内側導体部52が嵌まり込む支持溝56Aが形成されている。そして、図16及び図17に示されるように、一対の導体ユニット側誘電体56が幅方向に嵌合して、内側導体部52が一対の導体ユニット側誘電体56の間に配置されることで、内側導体部52が一対の導体ユニット側誘電体56に支持されるようになっている。また、一対の導体ユニット側誘電体56は、外側導体部54の導体部側被覆部58内に配置される。一対の導体ユニット側誘電体56が外側導体部54の導体部側被覆部58内に配置された状態では、一対の導体ユニット側誘電体56の一部56Bが切欠部58Dにおいて露出している。
【0064】
図13図15に示されるように、本実施形態の電線コネクタ16は以下の手順で組み立てられる。
【0065】
先ず、複数の導体ユニット44、46を導体ユニットハウジング本体48の複数の導体ユニット収容部48Aにそれぞれ挿入する。次に、抜止部材50の一対の係止板50Cを導体ユニットハウジング本体48の幅方向の両端部に係止させることで、抜止部材50を導体ユニットハウジング本体48に取り付ける。これらの工程を経て、複数の導体ユニット44、46が幅方向に14列でかつ上下方向に2列で並べて配置された本実施形態の電線コネクタ16が組み立てられる。
【0066】
(本実施形態の作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0067】
図1図2図13に示されるように、電線コネクタ16の導体ユニットハウジング本体48における接続軸方向側の部分を基板コネクタ12の端子ユニットハウジング18に挿入することによって、本実施形態の基板コネクタ12と電線コネクタ16とは接続される。
【0068】
また、基板コネクタ12と電線コネクタ16とが接続された状態では、端子ユニットハウジング18の第1保持部18Fと導体ユニットハウジング本体48の第2保持部48Bとが係合している。これにより、基板コネクタ12と電線コネクタ16との接続状態を容易に保持することができる。さらに、本実施形態では、接続保持部材62を第2保持部48Bに係合させる。これにより、第1保持部18Fと第2保持部48Bとの係合を解除することが接続保持部材62によって制限される。なお、接続保持部材62を第2保持部48Bから取り外して、第1保持部18Fと第2保持部48Bとの係合を解除することで、基板コネクタ12と電線コネクタ16との接続を解除することができる。
【0069】
ここで、基板コネクタ12と電線コネクタ16とが接続されると、複数の端子ユニット20、22と複数の導体ユニット44、46とがそれぞれ同時に接続される。これにより、本実施形態の構成は、複数の端子ユニット20、22と複数の導体ユニット44、46とをそれぞれ個別に接続する構成と比べて、作業性を良好にすることができる。以下、1つの端子ユニット20と一対の導体ユニット44との接続について説明する。
【0070】
図18図20には、接続前の状態の端子ユニット20及び一対の導体ユニット44が示されており、図21図23には、接続完了時の状態の端子ユニット20及び一対の導体ユニット44が示されている。これらの図に示されるように、端子ユニット20と一対の導体ユニット44とが接続された状態では、端子ユニット20の一方の内側端子26の接続部26Dと一方の導体ユニット44の内側導体部52(図16参照)とが接続されると共に、端子ユニット20の他方の内側端子26の接続部26Dと他方の導体ユニット44の内側導体部52(図16参照)とが接続される。
【0071】
また、端子ユニット20と一対の導体ユニット44とが接続された状態では、端子ユニット20の外側端子28の端子側延出部34Bの基板部34Dが、一方の導体ユニット44の外側導体部54の導体部側被覆部58の切欠部58Dを閉止するように配置されると共に他方の導体ユニット44の外側導体部54の導体部側被覆部58の切欠部58Dを閉止するように配置される。
【0072】
また、端子ユニット20と一対の導体ユニット44とが接続された状態では、端子ユニット20の外側端子28の端子側延出部34Bの一対の接触部34Eが、一方の導体ユニット44の外側導体部54の導体部側被覆部58の切欠部58Dの縁(一対の第2導体板58Bの端)に接触する。さらに、端子ユニット20の外側端子28の端子側延出部34Bの他の一対の接触部34Eが、他方の導体ユニット44の外側導体部54の導体部側被覆部58の切欠部58Dの縁(一対の第2導体板58Bの端)に接触する。これにより、端子ユニット20の外側端子28と一対の導体ユニット44の外側導体部54とが接続される。ここで、本実施形態では、端子ユニット20の外側端子28と一対の導体ユニット44の外側導体部54とが接続される際に、接触部34Eが切欠部58Dの縁とは反対側へ撓む。これにより、接触部34Eが切欠部58Dの縁側へ向けて付勢された状態で当該切欠部58Dの縁に接触している。
【0073】
ここで、本実施形態の基板コネクタ12は、内側端子26と、外側端子28と、端子ユニット側誘電体40と、を有する複数の端子ユニット20、22を備えている。そして、複数の端子ユニット20、22は、隣接するもの同士が互いに接している状態で幅方向に並べられて配置されている。このように、本実施形態の基板コネクタ12の構成では、複数の端子ユニット20、22の数を適宜設定することにより、電線コネクタ16のバリエーションに対応させた基板コネクタ12のバリエーション展開を容易にすることができる。
【0074】
また、図2図3図8及び図9に示されるように、本実施形態の基板コネクタ12では、一の端子ユニット20、22の嵌合部30Eが、当該一の端子ユニット20、22と隣接する他の端子ユニット20、22の被嵌合部30Dに嵌合している。これにより、一の端子ユニット20、22の他の端子ユニット20、22に対する相対変位が制限される。その結果、複数の端子ユニット20、22を一の方向へ並べる際に、一の端子ユニット20、22の他の端子ユニット20、22に対する位置決めを容易にすることができる。
【0075】
さらに、本実施形態の基板コネクタ12では、嵌合部30Eと被嵌合部30Dとが嵌合する方向が、接続軸方向に対して交差する(直交する)方向となっている。これにより、基板コネクタ12と電線コネクタ16とを接続する際に、一の端子ユニット20、22の嵌合部30Eが他の端子ユニット20、22の被嵌合部30Dから外れることを抑制することができる。
【0076】
また、図6図11に示されるように、本実施形態の基板コネクタ12では、端子ユニット20、22の外側端子28が、第1端子形成板34と第2端子形成板36とによって構成されている。これにより、端子側被覆部38を有する構成の外側端子28を安価に形成することができる。さらに、本実施形態の基板コネクタ12では、単一の第1端子形成板34と2つの第2端子形成板36とを組み合わせることにより、単一の第1端子形成板34に沿って2つの端子側被覆部38を形成することができる。
【0077】
さらに、本実施形態の基板コネクタ12では、端子側被覆部38が、第1主板部34Aと、第2主板部36Aと、第1側板部34F及び第2側板部36Bの少なくとも一方と、によって形成されている。この構成では、本実施形態のように屈曲している形状の内側端子26に対応する端子側被覆部38を容易に形成することができる。なお、この構成では、湾曲している形状の内側端子に対応する端子側被覆部38も容易に形成することができる。
【0078】
また、図3に示されるように、本実施形態の基板コネクタ12では、複数の端子ユニット20、22が端子ユニットハウジング18の一対の分離規制部18Dの間に配置されることにより、複数の端子ユニット20、22の幅方向への分離を一対の分離規制部18Dによって規制することができる。
【0079】
さらに、本実施形態では、連結部材24の各係止溝24Aに各端子ユニット20、22の端子ボディ30の連結部材係止部30Hを係止させている。これにより、複数の端子ユニット20、22との連結状態を容易に保つことができる。これに加えて、連結部材24のハウジング係止部24Bを端子ユニットハウジング18の分離規制部18Dに形成された係止溝18Eに係止させている。これにより、複数の端子ユニット20、22と端子ユニットハウジング18とを強固に一体化させることができる。
【0080】
また、図13図16に示されるように、本実施形態の電線コネクタ16は、複数の導体ユニット収容部48Aを有する導体ユニットハウジング42を備えている。これにより、複数の導体ユニット44、46を複数の導体ユニット収容部48Aにそれぞれ収容させることで、複数の導体ユニット44、46を導体ユニットハウジング42の所定の位置に容易に支持させることができる。
【0081】
さらに、図18図23に示されるように、本実施形態では、基板コネクタ12が電線コネクタ16に接続された状態で、内側端子26の接続部26Dが内側導体部52に接続されると共に、端子側延出部34Bが切欠部58Dを閉止するように配置された状態で外側端子28が外側導体部54に接続される。また、内側端子26の接続部26Dと内側導体部52との接続部分が外側導体部54と端子側延出部34Bによって覆われる。この構成では、内側端子26の接続部26Dと内側導体部52との接続部分を覆うために、外側導体部54と外側端子28とを接続軸方向と交差する方向(接続軸交差方向)に重ねて配置することが不要となる。これにより、コネクタセット10の接続軸交差方向への体格の小型化を図ることができる。
【0082】
また、本実施形態では、外側端子28の端子側延出部34Bの接触部34Eが、外側導体部54(導体部側被覆部58)の切欠部58Dの縁側へ向けて付勢された状態で当該切欠部58Dの縁に接触している。これにより、外側端子28と外側導体部54との安定した導通状態を確保することができる。
【0083】
また、本実施形態では、内側端子26が外側端子28の端子側被覆部38に覆われると共に、内側導体部52が外側導体部54の導体部側被覆部58に覆われる。これにより、対電磁ノイズ性能を確保することができる。また、本実施形態では、内側端子26を支持する端子ユニット側誘電体40が外側端子28の端子側被覆部38の内部に設けられていることに加えて、内側導体部52を支持する導体ユニット側誘電体56が外側導体部54の導体部側被覆部58の内部に設けられている。この構成では、端子ユニット側誘電体40及び導体ユニット側誘電体56の体積を調節することにより、インピーダンスマッチングを容易にすることができる。
【0084】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0085】
10 コネクタセット
12 基板コネクタ(コネクタ、第1コネクタ)
16 電線コネクタ(コネクタ、第2コネクタ)
26 内側端子
26D 接続部
28 外側端子
34 第1端子形成板
34A 第1主板部
34B 端子側延出部
34D 基板部
34E 接触部
34F 第1側板部
36 第2端子形成板
36A 第2主板部
36B 第2側板部
38 端子側被覆部
40 端子ユニット側誘電体(端子側誘電体)
52 内側導体部
54 外側導体部
56 導体ユニット側誘電体(導体部側誘電体)
56B 導体部側誘電体の外周の一部
58 導体部側被覆部
58D 切欠部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23