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特開2023-28574部材計測装置、部材計測方法、及び部材計測プログラム
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  • 特開-部材計測装置、部材計測方法、及び部材計測プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023028574
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】部材計測装置、部材計測方法、及び部材計測プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20230224BHJP
   G01B 11/02 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
G01B11/00 H
G01B11/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021134365
(22)【出願日】2021-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 良平
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA03
2F065AA07
2F065AA22
2F065CC13
2F065FF01
2F065GG07
2F065GG23
2F065HH02
2F065HH14
2F065JJ03
2F065JJ05
2F065JJ26
2F065NN01
2F065QQ03
2F065QQ21
2F065QQ28
2F065QQ33
(57)【要約】
【課題】部材の端部を抽出する際に、部材と下地の誤認識を低減可能な部材計測装置、部材計測方法、及び部材計測プログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】部材計測装置10は、載置された下地19から部材18の上面にかけて部材18の厚さが徐々に厚くなる傾斜形状18Aを有する部材18の傾斜形状18Aの傾斜方向に傾いて設けられ、傾斜方向に沿って青色の光を照射する青色LED14と、傾斜形状18Aに対向して設けられ、傾斜形状18Aに対して赤色の光を照射する赤色LED16と、部材18及び部材18が載置された下地19を撮像するカメラ12と、カメラ12の撮像結果から部材の端部を抽出する処理を行う計測コントローラと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面端部から表面内側に向かって厚さが徐々に厚くなるように傾斜する傾斜形状を有する部材の前記傾斜形状の傾斜方向に傾いて設けられ、前記傾斜方向に沿って予め定めた第1の色の光を照射する第1照射部と、
前記傾斜形状に対向して設けられ、前記傾斜形状に対して前記第1の色と異なる第2の色の光を照射する第2照射部と、
前記部材及び前記部材が載置された面を撮像する撮像部と、
前記撮像部の撮像結果から前記部材の端部を抽出する抽出部と、
を含む部材計測装置。
【請求項2】
前記第1の色は、青色及び赤色の2色のうちの一方の色であり、前記第2の色は前記2色のうちの他方の色である請求項1に記載の部材計測装置。
【請求項3】
前記抽出部によって抽出された前記部材の端部に基づいて、前記部材の長さを計測する計測部を更に含み、
前記撮像部が、前記部材の先端及び後端を撮像し、
前記抽出部が、前記撮像部によって前記部材の先端及び後端を撮像した撮像画像から、前記部材の先端及び後端を抽出し、
前記計測部が、前記抽出部によって抽出された前記部材の先端及び後端から前記部材の長さを計測する請求項1又は請求項2に記載の部材計測装置。
【請求項4】
前記計測部は、前記部材の先端と後端の位置と、予め定めた基準位置とを比較することで、前記部材の長さを計測する請求項3に記載の部材計測装置。
【請求項5】
コンピュータが、
底面端部から表面内側に向かって厚さが徐々に厚くなるように傾斜する傾斜形状を有する部材の前記傾斜形状の傾斜方向に傾いて設けられた第1照射部から予め定めた色の第1の光を照射し、
前記傾斜形状に対向して設けられた第2照射部から前記傾斜形状に対して前記予め定めた色とは異なる第2の色の光を照射し、
前記部材及び前記部材が載置された面を撮像部によって撮像し、
前記撮像部の撮像結果から前記部材の端部を抽出する処理を行う部材計測方法。
【請求項6】
コンピュータに、
底面端部から表面内側に向かって厚さが徐々に厚くなるように傾斜する傾斜形状を有する部材の前記傾斜形状の傾斜方向に傾いて設けられた第1照射部から予め定めた色の第1の光を照射し、
前記傾斜形状に対向して設けられた第2照射部から前記傾斜形状に対して前記予め定めた色とは異なる第2の色の光を照射し、
前記部材及び前記部材が載置された面を撮像部によって撮像し、
前記撮像部の撮像結果から前記部材の端部を抽出する処理を実行させるための部材計測プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部材計測装置、部材計測方法、及び部材計測プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、白色のスリット光を照射する投光手段とスリット光の照射部を撮影するカラーCCDカメラにより、回転テーブル上に搭載されたタイヤを回転させながら撮影し、座標演算手段及び輝度演算手段により、上記得られた画像データから上記タイヤの座標と輝度とを検出し、形状画像構成手段及び外観画像構成手段において上記得られたタイヤの形状データと輝度データとからタイヤの三次元座標データとカラー画像を再構成し、形状判定手段、外観判定手段において、タイヤ情報記憶手段に予め記憶されたタイヤ外観・形状データと比較して外観及び形状の良否を判定する被検体の外観・形状検査方法が提案されている。
【0003】
特許文献2には、タイヤの表面の外観を評価する装置であって、リニアカラーカメラを有し、カメラが、タイヤの表面により反射されてカメラに入った光ビームを所与の波長の少なくとも2つの基本色に分離し、基本色の各々についてグレーレベルの基本的画像を得ることができる等しい数のセンサに光ビームを差し向けるようにする手段と、基本色と同数の照明手段とを有し、照明手段は、互いに異なる角度で評価されるべき表面を照明するよう差し向けられ、照明手段の各々は、その他の照明手段の光とは異なる光を発生させ、この光の波長は、カメラにより選択された基本色のうちの1つの波長に実質的に一致していることを特徴とする装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-240521号公報
【特許文献2】特表2011-511932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
部材先端を撮像して、撮像結果から部材端部を抽出しようとした場合、部材が載置された下地にシミや汚れなどが付着する場合があり、部材と下地との境界の判別が難しく、部材と下地とを誤認識することがあった。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮して成されたもので、部材の端部を抽出する際に、部材と下地の誤認識を低減可能な部材計測装置、部材計測方法、及び部材計測プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本開示の一態様は、
底面端部から表面内側に向かって厚さが徐々に厚くなるように傾斜する傾斜形状を有する部材の前記傾斜形状の傾斜方向に傾いて設けられ、前記傾斜方向に沿って予め定めた第1の色の光を照射する第1照射部と、
前記傾斜形状に対向して設けられ、前記傾斜形状に対して前記第1の色と異なる第2の色の光を照射する第2照射部と、
前記部材及び前記部材が載置された面を撮像する撮像部と、
前記撮像部の撮像結果から前記部材の端部を抽出する抽出部と、
を含む部材計測装置である。
【0008】
第2態様は、
コンピュータが、
底面端部から表面内側に向かって厚さが徐々に厚くなるように傾斜する傾斜形状を有する部材の前記傾斜形状の傾斜方向に傾いて設けられた第1照射部から予め定めた色の第1の光を照射し、
前記傾斜形状に対向して設けられた第2照射部から前記傾斜形状に対して前記予め定めた色とは異なる第2の色の光を照射し、
前記部材及び前記部材が載置された面を撮像部によって撮像し、
前記撮像部の撮像結果から前記部材の端部を抽出する処理を行う部材計測方法である。
【0009】
第3態様は、
コンピュータに、
底面端部から表面内側に向かって厚さが徐々に厚くなるように傾斜する傾斜形状を有する部材の前記傾斜形状の傾斜方向に傾いて設けられた第1照射部から予め定めた色の第1の光を照射し、
前記傾斜形状に対向して設けられた第2照射部から前記傾斜形状に対して前記予め定めた色とは異なる第2の色の光を照射し、
前記部材及び前記部材が載置された面を撮像部によって撮像し、
前記撮像部の撮像結果から前記部材の端部を抽出する処理を実行させるための部材計測プログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、部材の端部を抽出する際に、部材と下地の誤認識を低減することが可能となる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係る部材計測装置の部材を計測する計測部の概略構成を示す図である。
図2】本実施異形態に係る部材計測装置の概略構成を示すブロック図である。
図3】2つの計測部の配置関係の一例を示す図である。
図4】本実施形態に係る部材計測装置の計測コントローラで行われる計測処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図5】撮像処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6】先端側の計測部の撮像画像の一例を示す図である。
図7】後端側の計測部の撮像画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本開示の技術を実現する実施形態を詳細に説明する。なお、作用、機能が同じ働きを担う構成要素及び処理には、全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明を適宜省略する場合がある。また、本開示は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
【0013】
実施形態では、部材の一例としてタイヤの部材を適用し、タイヤの部材の長さを計測する部材計測装置を一例として説明する。
【0014】
図1は、本実施形態に係る部材計測装置の部材を計測する計測部の概略構成を示す図である。
【0015】
本実施形態に係る部材計測装置は、タイヤの部材18を撮像して、撮像結果からタイヤの部材18の端部を抽出するための光学機器20を備えている。
【0016】
タイヤの部材18は、図1に示すように、部材18の底面端部から表面内側に向かって部材18の厚さが徐々に厚くなるように傾斜する傾斜形状18Aを有する。本実施形態では、部材18は長尺状の形状とされ、傾斜形状18Aは、部材18の長尺状の長辺となる側面に設けられている。
【0017】
本実施形態では、光学機器20は、撮像部の一例としてのカメラ12、第1照射部の一例としての青色LED(Light Emitting Diode)14、及び第2照射部の一例としての赤色LED16を備えている。
【0018】
カメラ12は、本実施形態では、カラー画像を撮像するカラーカメラが適用される。カメラ12は、部材18の側面端部の上方に設けられ、部材18及び部材18が載置された面となる下地19を含む領域を撮像する。本実施形態では、カメラ12は、視野中心が部材18の端部に相当する位置に固定する。
【0019】
青色LED14は、部材18の傾斜形状18Aの傾斜方向に傾いて設けられ、傾斜形状18Aの傾斜方向に沿って予め定めた第1の色として青色の光を照射する。具体的には、青色LED14は、部材18の上部に配置し、部材18の側面の傾斜形状18Aをできるだけ照射しないように、鉛直に対して傾斜形状18Aの傾斜方向に予め定めた角度を傾けて配置されている。青色LED14は、図1に示すように、部材18の傾斜形状18Aに沿うように光を照射し、主に下地19に青色の光を照射する。なお、予め定めた角度としては、例えば、15度等の角度が一例として適用される。
【0020】
赤色LED16は、傾斜形状18Aに対向して設けられ、傾斜形状18Aに対して第1の色と異なる第2の色として赤色の光を照射する。具体的には、赤色LED16は、部材18の傾斜形状18Aに対向する位置に配置され、部材18の下地19と部材18の側面となる傾斜形状18Aに赤色の光を照射する。
【0021】
すなわち、部材18が載置された下地19は赤色と青色の光が共に照射されて紫色となり、部材18の側面の傾斜形状18Aは主に赤色の光が照射され、部材18の上面は主に青色の光が照射される。
【0022】
続いて、本実施形態に係る部材計測装置の構成について説明する。図2は、本実施異形態に係る部材計測装置の概略構成を示すブロック図である。
【0023】
本実施形態に係る部材計測装置10は、抽出部及び計測部の一例としての計測コントローラ22及び装置全体を制御するPLC(Programmable Logic Controller)24を備えている。
【0024】
計測コントローラ22は、上述したカメラ12、青色LED14、及び赤色LED16を含む光学機器20の制御を行うと共に、部材18の端部を撮影画像から抽出する処理、及び抽出した端部から部材18の長さを計測する処理を行う。計測コントローラ22は、CPU(Central Processing Unit)22A、ROM(Read Only Memory)22B、RAM(Random Access Memory)22C、ストレージ22D、及びI/O(Input/Output)22Eを含む。CPU22Aは計測コントローラ22の動作を司る。RAM22Cは、CPU22Aによる各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられる。ROM22Bは、各種制御プログラムや各種パラメータ等が予め記憶される。ストレージ22Dには、各種のデータやアプリケーションプログラム等が記憶される。ストレージの一例としてはするHDD(hard disk drive)やSSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等が用いられる。I/O22Eには、上述の光学機器20が接続され、計測コントローラ22によって光学機器20が制御される。そして、計測コントローラ22の各部は、システムバス22Fによって電気的に接続されている。
【0025】
PLC24は、図示しない、演算部、記憶部、及び入出力部を含み、計測コントローラ22との通信、光学機器20を位置決めする位置決め装置26の制御、及び装置全体の制御等を行う。
【0026】
光学機器20は、部材18の長さを計測する目的として設けられており、図1、2では、単一の光学機器20のみを示すが、詳細には、2つの光学機器20を備える。部材18の長さの計測を実施するために、2つの光学機器20が設けられ、その配置関係は、図3に示す配置関係となっている。すなわち、カメラ12、青色LED14、及び赤色LED16を1組の光学機器20として、部材18の先端側と後端側のそれぞれの位置に1組の光学機器20を配置する。
【0027】
本実施形態では、タイヤの部材18の長さは予め分かっており、先端側のカメラ12と後端側のカメラ12の中心間の距離が部材18の長さに相当するように位置決めを行う。そのため、カメラは図示しないカメラ位置決め装置に設置され、当該位置決め装置の位置決めはPLC24が担う。
【0028】
ここで、本実施形態に係る部材計測装置10における全体の動作の流れについて簡単に説明する。
【0029】
まず、PLC24は、部材18の長さを予め把握しており、カメラ間距離が予め定めた距離になるように、位置決め装置26を制御して先端側のカメラ12を位置決めする。なお、後端側のカメラ12を位置決めする形態としてもよい。
【0030】
続いて、PLC24は、予め定めた長さに切断されたタイヤの部材18をカメラ12の測定ポイントに位置決めする。ここで、部材18をドラムに巻き付ける準備が整ったら、直ちに部材18の長さの計測を開始する。
【0031】
部材18の長さの計測を行うために、PLC24は、計測コントローラ22に対して撮像指示を出力する。
【0032】
計測コントローラ22は、PLC24からの撮像指示を受信すると、図4に示す計測処理(詳細は後述)を実行して、部材18の特徴点を抽出して部材18の長さを計測し、計測結果をPLC24に返信する。
【0033】
PLC24は、計測コントローラ22から受信した計測結果を部材18の巻き付け制御に反映して部材18のドラムへの巻き付けを実施する。
【0034】
続いて、上述の計測処理の詳細な流れについて説明する。図4は、本実施形態に係る部材計測装置10の計測コントローラ22で行われる計測処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、図4の処理は、計測コントローラ22からPLC24から撮像指示を受信した場合に開始する。
【0035】
ステップ100では、CPU22Aが、撮像処理を実行してステップ102へ移行する。カメラ12は、撮像素子の分光感度特性のバラツキが大きいため、ホワイトバランスを予め調整して計測に使用するのが一般的である。光学機器20は経年劣化により感度特性が変わることが知られており、光学機器20自体も製造現場の環境により汚れが付着することで撮像環境が刻々と変化するため、一意にホワイトバランスを設定してもロバスト性が損なわれてしまう。そこで、撮像処理では、ロバスト性を維持するための撮像処理を実施する。具体的には、図5に示す撮像処理を実行する。図5は、撮像処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0036】
すなわち、ステップ200では、CPU22Aが、撮像パラメータを設定してステップ202へ移行する。撮像パラメータの一例としては、露光時間:1.5[msec](任意)、カメラ赤色ゲインGr:1.0(デフォルト、任意)、カメラ青色ゲインGb:1.0(デフォルト、任意)、青色LEDゲインB:15(任意)、赤色LEDゲインR:127(任意)として設定する。
【0037】
ステップ202では、CPU22Aが、1回目の撮像を行ってステップ204へ移行する。本実施形態では、撮像を2回実施し、1回目の撮像は、カメラ12のRGB感度、露光時間、照明ゲインを固定にして故意に暗めに撮像する。
【0038】
ステップ204では、CPU22Aが、下地19の濃淡検査を行ってステップ206へ移行する。下地19の濃淡検査では、RとBの平均濃淡値を取得する。具体的には、1回目の撮像画像を調査し、2回目の撮像に必要とされる各パラメータを算出する。初めに明るさを決定するために露光時間を決定する。撮像画像は、図1から分かるように、画像の左右方向の片側半分の領域に部材18が撮像され、反対側は主に下地19が撮像されることから、この下地19の任意の領域の濃淡分布を調査することで2回目の撮像に必要とされる露光時間を算出することが可能となる。この濃淡部分布の調査は、光学機器20の状態だけでなく下地19の汚れ具合も同時に取得することができる。
【0039】
ステップ206では、CPU22Aが、カメラ感度倍率を設定してステップ208へ移行する。詳細には、下地19の状態を基準にホワイトバランスの調整を実施する。例えば、RとBの濃淡比9:10と定めておき、1回目の撮像画像の調査結果を基に2回目の撮像に必要とされるカメラ12のRGB感度を算出することができる。カメラ感度倍率の設定の一例としては、明るさ調整として露光時間:1.5[msec]に調整し、ホワイトバランス調整としては、濃度比R/B=0.9となるようにカメラゲインを設定する。具体的には、R/B≦0.9の時、Gr=B平均濃度値/R平均濃度値×0.9、Gb=1.0(デフォルト)とし、R/B>0.9の時、Gr=1.0(デフォルト)、Gb=R平均濃度値/B平均濃度値/0.9とする。
【0040】
ステップ208では、CPU22Aが、2回目の撮像を行って、一連の撮像処理を終了する。すなわち、上述のように算出したパラメータを用いて2回目の撮像を行うことで安定した撮像画像の取得が可能となる。
【0041】
撮像処理が終了すると、図4のステップ102へ移行して、ステップ102では、CPU22Aが、先端特徴点抽出処理を実行してステップ104へ移行する。
【0042】
ステップ104では、CPU22Aが、後端特徴点抽出処理を行ってステップ106へ移行する。
【0043】
ここで、ステップ104の先端特徴点抽出処理及びステップ106の後端特徴点抽出処理について説明する。なお、ステップ104及びステップ106は抽出部の一例に相当する。
【0044】
図1図3に示す光学機器20と部材18の配置関係から、先端側の光学機器20の取得画像は、図6に示すようになる。すなわち、先端側の光学機器20の撮像画像は、部材18の側面は赤色(図6中の横線ハッチング領域)が強調され、下地19は赤色(図6中の横線ハッチング)及び青色(図6中の縦線ハッチング)の両方による紫色(図6中のクロスハッチング領域)が強調され、かつホワイトバランスの均一性が確保されている。また、下地19の汚れ有無に関わらずその性質は変わらないことが特徴である。
【0045】
部材長さを測定するために必要となる検出対象は、部材18の角点となる。検出対象は、青成分が少ない領域に属するため、その領域を抽出した後、幾何学的に部材18の角点と特定することができる。これにより、部材18の下地19となるコンベア等に汚れやシミが発生しても色のコントラストにより、角点を正確に抽出することができる。また、本実施形態では、波長が短い青色と、波長が長い赤色を用いているため、他の色を用いるよりも、部材の角点を正確に抽出できる。
【0046】
また、後端の光学機器20の取得画像は、図7に示すようになり、先端側と同様の観点で部材18の角を特定することができる。なお、図7中の縦線ハッチングは青色、横線ハッチングは赤色、クロスハッチングは紫色が強調された領域をそれぞれ示す。
【0047】
次に、ステップ106では、CPU22Aが、部材長さ計測を行ってステップ108へ移行する。詳細には、先後端それぞれの角点を抽出後、基準位置としての計測基準と角点の位置を比較し、計測基準からのズレ量を算出することで部材18の長さを算出できる。例えば、図3より先後端のカメラ間の距離は、部材18の長さに予め位置決めされているため、先後端画像の計測基準間の距離は既知とされる。従って計測基準からのずれ量を加算することで部材18の長さを算出することができる。なお、ステップ106は計測部の一例に相当する。
【0048】
ステップ108では、CPU22Aが、結果返信処理を行って一連の計測処理を終了する。すなわち、計測コントローラ22からPLC24に対して、部材18の長さの計測結果を送信する。これにより、PLC24は、計測コントローラ22から受信した計測結果を部材18の巻き付け制御に反映して部材18のドラムへの巻き付けを実施することが可能となる。
【0049】
ところで、レーザ変位計を用いて部材18の長さを計測することが考えられるが、レーザ変位計では、撮像対象が固定されている状態でセンサを移動させるため、撮像時間を要するため、計測時に撮像対象が変形してしまい正確に計測できない場合がある。また、センサが固定で部材を移動させる場合は、下地と部材とがスリップしてしまい、長さが正確に計測できない。これに対して、本実施形態では、部材18の先端と後端を撮像して、先後端の端部から部材18の長さを計測するため、計測時に部材18が変形する前に撮像することができ、部材18の長さをレーザ変位計よりも正確に計測することが可能となる。
【0050】
なお、上記の実施形態は、第1照射部として青色LED14を適用し、第2照射部として赤色LED16を適用したが、青色と赤色の2色に限るものではなく、他の色の組み合わせを適用してもよい。
【0051】
また、上記の実施形態では、青色LED14を鉛直に対して傾斜形状18Aの傾斜方向に予め定めた角度を傾けて配置し、赤色LED16を部材18の傾斜形状18Aに対向する位置に配置した例を説明したが、これに限るものではない。例えば、赤色と青色を逆に配置してもよい。すなわち、赤色LED16を鉛直に対して傾斜形状18Aの傾斜方向に予め定めた角度を傾けて配置し、青色LED14を部材18の傾斜形状18Aに対向する位置に配置してもよい。
【0052】
また、上記の実施形態では、2つの光学機器20を用いて部材18を計測する例を説明したが、これに限るものではない。例えば、単一の光学機器20を用いて光学機器20を移動して部材18の先端及び後端を抽出して長さを計測してもよい。或いは、3以上の光学機器20を用いる形態としてもよい。
【0053】
また、上記の実施形態では、タイヤの部材18を一例として説明したが、タイヤの部材18に限定されるものではなく、傾斜形状18Aを有する部材であれば、他の部材を適用してもよい。
【0054】
また、上記の各実施形態における計測コントローラ22で行われる処理は、プログラムを実行することにより行われるソフトウエア処理として説明したが、これに限るものではない。例えば、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、及びFPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウエアで行う処理としてもよい。或いは、ソフトウエア及びハードウエアの双方を組み合わせた処理としてもよい。また、ソフトウエアの処理とした場合には、プログラムを各種記憶媒体に記憶して流通させるようにしてもよい。
【0055】
また、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0056】
10 部材計測装置
12 カメラ
14 青色LED
16 赤色LED
18 部材
18A 傾斜形状
19 下地
20 光学機器
22 計測コントローラ
22A CPU
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7