IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ロイヤリティバンクの特許一覧

<>
  • 特開-商品又はサービスの付録の作製方法 図1
  • 特開-商品又はサービスの付録の作製方法 図2
  • 特開-商品又はサービスの付録の作製方法 図3
  • 特開-商品又はサービスの付録の作製方法 図4
  • 特開-商品又はサービスの付録の作製方法 図5
  • 特開-商品又はサービスの付録の作製方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023028578
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】商品又はサービスの付録の作製方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/18 20120101AFI20230224BHJP
【FI】
G06Q50/18 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021134371
(22)【出願日】2021-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】521048749
【氏名又は名称】株式会社ロイヤリティバンク
(74)【代理人】
【識別番号】100105946
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 富彦
(72)【発明者】
【氏名】前田 融
(72)【発明者】
【氏名】吉田 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 太清
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC16
(57)【要約】
【課題】価値ある大量の付録を低コストで提供可能な、商品又はサービスの付録の作製方法を提供する。
【解決手段】ユーザの端末に読み取らせることで、ノンファンジブルトークン(以下「NFT」という。)を付したデジタルコンテンツに対して該デジタルコンテンツと異なるコンテンツを合成したコンテンツを出力させることを可能とするQRコード、を有する付録の作製方法であって、NFT発行手数料を安くするため、NFT発行元が、複数のNFTの発行の処理を一度で実行するステップと、印刷コストを下げるため、内容が異なる複数のQRコードを、付録原紙における付録部の領域にそれぞれオンデマンド印刷するステップと、を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの端末に読み取らせることで、ノンファンジブルトークン(以下「NFT」という。)を付したデジタルコンテンツに対して該デジタルコンテンツと異なるコンテンツを合成したコンテンツを出力させることを可能とするQRコード、を有する、商品又はサービスの付録の作製方法であって、
NFT発行手数料を安くするため、NFT発行元が、複数の前記NFTの発行の処理を一度で実行するステップと、
印刷コストを下げるため、内容が異なる複数の前記QRコードを、付録原紙における各付録部の領域にそれぞれオンデマンド印刷するステップと、
を含む、商品又はサービスの付録の作製方法。
【請求項2】
管理者サーバに前記複数のNFTをそれぞれ保管する複数のデジタルウォレットがあり、
前記複数のQRコードは、それぞれ対応する前記デジタルウォレットが保有する情報を復号化するプライベートキーの情報を含む、請求項1に記載の商品又はサービスの付録の作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品の付録又はサービスの付録を作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
書籍や雑誌といった出版物は、付録が添えられた状態で販売されることがある。このように出版物本体に付録を添えることで、その価値を付加的に高め、出版物をそれ単体で販売する場合に比べて、販売数量や売上を拡大させ、利益増大を図ることができる。従って、このような付録は、入手意欲を掻き立てるような価値を有するものが好ましい。
【0003】
また、近年、コピーが容易なデジタルデータに対して唯一無二の資産的価値を付与することができる、ノンファンジブルトークン(以下、「NFT」という。)が注目されている(下記非特許文献1参照)。NFTとは、代替不可能トークンであり、仮想通貨等のブロックチェーン技術を使った改竄できない証明書である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】藤森みすず他2名“NFTとは何かを基礎から徹底解説、なぜデジタルデータに数億円の価値が付くのか?”、[online]、令和3年5月27日、[令和3年8月4日検索]、インターネット<URL:https://www.sbbit.jp/article/fj/60992>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、上記したNFTに着目し、NFTを付したデジタルデータを商品又はサービスの付録に利用する、という着想を得た。
【0006】
商品の販売やサービスの提供の際に付録を付するための追加的なコストについては、その目的である利益増大をかえって抑制する結果とならないよう、低く抑える必要がある。
【0007】
とりわけ、雑誌や書籍などの同時期に大量数が店頭に並ぶような商品に対する付録としてNFT付デジタルデータを用いる場合には、大量の商品のそれぞれに対応する大量のNFTを短期間で用意しなければならないところ、そのようなコストを低く抑える必要がある。しかし、従来、NFTのニーズそのものが少なかったこともあり、とりわけNFTを大量にかつ安く生成する技術は未だ乏しい状況にある。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、価値ある大量の付録を低コストで提供可能な、付録の作製方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明では、ユーザの端末に読み取らせることで、ノンファンジブルトークンを付したデジタルコンテンツに対してこのデジタルコンテンツと異なるコンテンツを合成したコンテンツを出力させることを可能とするQRコード(登録商標)、を有する、商品の付録又はサービスの付録の作製方法であって、NFT発行手数料を安くするため、NFT発行元が、複数のNFTの発行の処理を一度で実行するステップと、印刷コストを下げるため、内容が異なる複数のQRコードを、付録原紙における各付録部の領域にそれぞれオンデマンド印刷するステップと、を含む、付録作製方法を提供する。
【0010】
また、前述の付録作成方法において、管理者サーバに複数のNFTをそれぞれ保管する複数のデジタルウォレットがあり、複数のQRコードは、それぞれ対応するデジタルウォレットが保有する情報を復号化するプライベートキーの情報を含ませてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、NFT発行元が複数のNFTの発行を一度で実行するので、大量のNFTを低コストで取得することができる。また、本発明では、大量のQRコードを、付録部の各領域にそれぞれオンデマンド印刷するので、大量のQRコードを低コストで印刷することができる。また、本発明が作製する付録は、ユーザの端末に読み取らせることでNFTを付したデジタルコンテンツに対して該デジタルコンテンツと異なるコンテンツを合成したコンテンツを表示させることを可能とするQRコードを有する。よって、本発明によれば、このような価値の高い大量の付録を低コストで提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】出版物本体及びカードの一例を示す概略図である。
図2】付録作製方法を実行するシステムの一例を示す概略図である。
図3】付録作製方法の一例を示すフローチャートである。
図4】付録作製方法の工程を説明するための図である。
図5】付録原紙の一例を示す図である。
図6】合成したコンテンツを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。ただし、本発明の技術的範囲は以下の説明に限定されるものではない。以下に説明する実施形態の付録作製方法が作製する付録は、書籍や雑誌といった出版物に添えられるカード1である。図1は、出版物本体P及びカード1の一例を示す概略図。である。カード1は、出版物本体Pの一部に対して一枚付され、例えば図1に示す状態で出版物本体Pに添えられる。カード1の表面には、QRコード2が印刷されている。ユーザは、出版物を購入することで付録のカード1を入手する。そして、ユーザは、カード1を出版物本体Pと分けて保管したり利用したりすることができると共に、後述するユーザ端末50(図4参照)を用いてQRコード2を自由に読み取ることができる。ユーザがQRコード2をユーザ端末50に読み取らせることにより、ユーザ端末50に所定のコンテンツが表示(出力)される。
【0014】
先ず、実施形態にかかる付録作製方法を実行するシステムについて、図2を参照しつつ説明する。図2は、付録作製方法に用いるシステム100の一例を示す概略図である。図2に示すように、システム100は、管理者サーバ10と、NFT発行元サーバ20と、デジタルコンテンツサーバ30と、印刷機40とを含み構成されている。これら管理者サーバ10、NFT発行元サーバ20、デジタルコンテンツサーバ30、及び印刷機40は、例えばインターネットなどの通信ネットワークNetに接続されている。
【0015】
管理者サーバ10は、カード1の作製と共にQRコード2に紐付けられたNFTなどの情報を管理する管理者側に設けられたコンピュータであり、いずれも不図示の通信部と処理部と記憶部とを備える。通信部は、NFT発行元サーバ20及び印刷機40とそれぞれ相互にデータ通信可能となっている。処理部は、後述するデータ処理などを実行する。記憶部には、後述するマイページに関するデータや、後述するウォレットW内の情報とQRコード2とを対応付けた情報などが記憶される。また、記憶部には、後述するカード1作製に関する処理を実現するためのプログラムが記憶されており、当該プログラムの実行により、管理者サーバ10の通信部、処理部、及び記憶部の各機能が構成される。
【0016】
NFT発行元サーバ20は、NFTの発行元側に設けられたコンピュータであり、いずれも不図示の通信部と処理部と記憶部とを備える。通信部は、管理者サーバ10と通信可能となっている。処理部は、後述するNFT発行などの処理を実行する。記憶部は、例えば、後述するトランザクションの処理(計算)結果や発行したNFTなどを一時的に保存する。また、記憶部には、NFT発行などに関する後述する処理を実現するためのプログラムが記憶されており、当該プログラムの実行により、NFT発行元サーバ20の通信部、処理部、及び記憶部の各機能が構成される。
【0017】
デジタルコンテンツサーバ30は、後述するデジタルコンテンツIM(図5参照)のデータを記憶する記憶部を有するコンピュータであり、例えば通信ネットワークNetを介して、管理者サーバ10や端末などからアクセスがあるとデジタルコンテンツIMのデータを返送するウェブサーバとして機能する。なお、当該記憶部には、上記データの送信などを実行させるプログラムが記憶されており、これによりウェブサーバとしての機能が構成される。
【0018】
印刷機40は、版不要で印刷を行うオンデマンド印刷機の構成である。また、印刷機40は、QRコード2に係る情報を管理者サーバ10から受信する通信部を備え、受信したデータに基づきオンデマンド印刷でQRコード2を印刷可能となっている。
【0019】
次に、付録作製方法について、図3のフローチャートに沿って説明する。図3は、付録作製方法の一例を示すフローチャートである。以下、本実施形態では、出版物の発行部数が一万部であることを前提とし、これら一万部の出版物本体Pのそれぞれに添える一万枚のカード1を作製する場合を例にとって説明する。
【0020】
図3に示すように、先ず、デジタルコンテンツサーバ30にデジタルコンテンツを保存する(ステップS01)。ステップS01では、デジタルコンテンツIMが作成され、そのデータが、デジタルコンテンツサーバ30の記憶部に保存される。保存されたデジタルコンテンツIMは、通信ネットワークNet上の固有のアドレス(URL)を有する。デジタルコンテンツとは、電子化された情報のデータをいい、文章や、静止画、動画、音楽などの作品をデジタルデータ化したものである。即ち、デジタルコンテンツとしては、例えば、出版される電子書籍や、ストリーミング配信やダウンロードされる、音楽、ゲーム、映像なども含まれる。本実施形態においてデジタルコンテンツIMは、デジタル化された静止画である。もっとも、デジタルコンテンツIMは、これに限定されず、例えば、デジタル化された動画や、デジタル化された音声や音楽などであっても構わない。
【0021】
次に、管理者サーバ10が一万個のNFTを取得する(ステップS02)。ステップS02では、NFT発行元サーバ20が、管理者サーバ10からの要求を受けて、NFTを発行し、管理者サーバ10内の一万個のウォレットWのそれぞれに異なるNFTを保存させる。NFT発行元サーバ20は、次のステップS11及びステップS12の処理を実行する。
【0022】
ステップS02におけるNFT取得の工程では、先ず、NFT発行元サーバ20が、NFTを発行するトランザクションを実行するスマートコントラクト(SC)を作成する(ステップS11)。スマートコントラクトとは、ブロックチェーン上のトランザクションを自動的に実行するためのコンピュータプロトコルである。実施形態において、ブロックチェーンが利用するプラットフォームは、イーサリアム(Ethereum)である。イーサリアムでは、ブロックチェーン上でのNFTの発行や取引などに係るスマートコントラクトの作製やその実行が可能であり、これらの履行履歴がブロックチェーンに記録される。NFTは、例えば、ERC-721トークン規格に基づいて発行される。
【0023】
ステップS11で作製されるスマートコントラクトは、管理者サーバ10あるいはNFT発行元サーバ20において予め作成され保存されているデジタルウォレットW内にNFTを発行するトランザクションを実行させる。かかるNFT発行のスマートコントラクトは、上記のブロックチェーン上で動くように設定される。
【0024】
実施形態にかかる付録作製方法は、カード1を一万枚作製する。そして、各カード1のQRコード2をそれぞれNFTに対応させる。このため、一万枚の各カード1に対応する一万個のNFTを発行する必要がある。そこでステップS11では、NFT発行のトランザクションを実行するスマートコントラクトが一万とおり作成される。
【0025】
ステップS11の後、一万個のNFTの発行の処理を一度で実行する(ステップS12)。即ち、ステップS12では、NFT発行元サーバ20が、一万個のNFT発行のトランザクションを、一つにまとめて同時に実行する。このとき、発行する一万個のNFTをそれぞれデジタルコンテンツサーバ30に保存されているデジタルコンテンツと対応させる。これにより、一万個のデジタルウォレットWのそれぞれに、デジタルコンテンツIMに対応したNFTが生成される。生成された一万個のNFTは、それぞれ、例えば、デジタルコンテンツIMのネットワーク上のアドレスに紐付けられる。
【0026】
ここで、ステップS12における、NFT作成のトランザクションの実行時のデータ処理について詳細に説明する。
先ず、上記ブロックチェーン(イーサリアム)上にNFTを発行するトランザクション(TR)をレイヤー2に集める(ステップS21)。即ち、一万個の上記トランザクションをレイヤー2に集める。レイヤー2は、当該ブロックチェーンのネットワーク(以下「レイヤー1」という。)の上に重ねて、レイヤー1の外部に設けられ、レイヤー1の情報に基づいてデータ処理を行い、その結果をレイヤー1に記録する層である。つまり、レイヤー1はメインのブロックチェーンのネットワークであり、レイヤー2は、例えば、サイドチェーンや、ライトニングネットワークなどである。
【0027】
次いで、レイヤー2において、集めた上記トランザクションの処理(計算)の一部を実行する(ステップS22)。かかる処理(計算)は、例えば、上記トランザクションがレイヤー2において予め設定された所定の個数(例えば一万個)蓄積された段階で開始される。また、一万個のNFTを発行するトランザクションは、レイヤー2においてかかる処理(計算)が実行されると、トランザクション数が減少し、圧縮された状態となる。
【0028】
そして、ステップS22の処理(計算)の結果をレイヤー1に記録する(ステップS23)。即ち、NFTが発行されるブロックチェーンネットワーク(レイヤー1)の外部(レイヤー2)において、上記したレイヤー1のNFT発行の処理(計算)の一部を実行させ、その処理(計算)の結果をレイヤー1に記録する。その後、一万個のNFTの発行の処理を一度で同時に実行する(ステップS24、上記ステップS12)。このように、レイヤー1における一万個のNFTを発行する上記トランザクションを、レイヤー2で圧縮した後に実行させるので、より確実に同時かつ一度で実行させることができる。
【0029】
ところで、複数個のNFTを発行する場合、一つのNFTを発行するトランザクションを複数回実行させるのが一般的である。また、近年、イーサリアムのブロックチェーンが混雑化しており、それに起因してNFT発行のネットワーク手数料(ガス代、Gas fees)が高騰している。このネットワーク手数料は、トランザクション数に応じて発生する。従って、一万個のNFT発行のトランザクションを、それぞれ個別に実行させると高額なネットワーク手数料がかかってしまう。ところが、本実施形態の方法では、一万個のNFT発行のトランザクションを一度に実行させるので、ネットワーク手数料を低減させることができる。
【0030】
図3の付録作製方法の説明に戻り、ステップS12の処理が完了すると、一万個のデジタルウォレットWのそれぞれにデジタルコンテンツIMに対応したNFTが生成される。一万個のデジタルウォレットWは管理者サーバ10において保存する。そして、ステップS02に続いて、一万個のQRコードを生成する(ステップS03)。ステップS03は、管理者サーバ10において実行される。ステップS03の詳細は次のとおりである。
【0031】
図4は、付録作製方法の工程を説明するための図である。図4(a)に示すように、上記ステップS12で生成された一万個のNFTを保有するデジタルウォレットW内の情報をそれぞれQRコードに置き換える。具体的には、デジタルコンテンツIMのネットワークアドレス並びに対応するNFTの両方の情報がデジタルウォレットW内に保存されているので、これらデジタルコンテンツIMのネットワークアドレス(URL)並びに対応するNFTの両方の情報に対してこれらにそれぞれ対応するQRコードを用意する。
【0032】
ステップS12で一万個のデジタルウォレットWが作成されるので、ここでは、これらデジタルウォレットWにそれぞれ紐づいた一万個のQRコード2のデータを用意する。そして、QRコード2のデータのそれぞれに、対応するデジタルウォレットW内の情報の閲覧を可能にするプライベートキー(秘密鍵)を付与する。このため、QRコード2のデータに付与されるプライベートキーはそれぞれ異なるものとなる。従って、QRコード2は、例えば次の情報を保有する。即ち、読み取ることでマイページにアクセスさせるためにマイページのネットワークアドレス情報(例えばURL)を保有すると共に、読み取ったQRコード2に対応するデジタルウォレットW内の情報を読み取り可能となるような上記プライベートキーの情報をQRコード2は保有する。このように、プライベートキーと、デジタルウォレットW内の情報(NFTと、これ対応するデジタルコンテンツIMのURLとを含む)とが互いに対応付けられる。そして、例えば図4(b)に示すデータベースが作成される。かかるデータベースは管理者サーバ10の記憶部に保存される。デジタルウォレットWの情報がそれぞれプライベートキーに紐付けられることで、QRコード2はそれぞれデジタルウォレットWに対応付けられている。マイページは、例えばユーザごとに設定され、QRコード2を保有する(つまりプライベートキーを有する)ユーザがログインするとNFTやそれが付されたデジタルコンテンツIMを含む合成されたコンテンツを表示する。マイページは管理者側で管理され、マイページのデータは例えば管理者サーバ10の記憶部に保存される。
【0033】
ここで生成される一万個のQRコード2は、読み取られたときに異なる情報を認識させるように、それぞれ形状を異ならせる必要がある。このため、生成された一万個のQRコード2は、例えば、それぞれコード内容が異なる。これら一万個のQRコード2のデータは、印刷機40に送信される。
【0034】
そして、ステップS03で作製された一万個のQRコード2を付録原紙60にオンデマンド印刷する(ステップS04)。QRコード2を印刷する工程の詳細は、次のとおりである。
【0035】
先ず、QRコード2の印刷に先立ち、一枚の付録原紙60が用意される。図5は、付録原紙60の一例を示す概略図である。付録原紙60は、例えば紙製であり、図5に示すように、一枚のカード1を構成するカード部61を一万枚有する。つまり、一万枚のカード部61を並べて一体化した状態の一枚の付録原紙60が用意される。付録原紙60において各カード部61は、その表面にそれぞれQRコード印刷領域62及びデザイン印刷領域63を有する。QRコード印刷領域62は、QRコード2が印刷される領域であり、空白になっている。デザイン印刷領域63は、QRコード印刷領域62と重ならない領域に設定される。デザイン印刷領域63には、カード1に共通するデザイン画(絵や模様など)がオフセット印刷される。デザイン画は、例えば一枚の版を用いて、各デザイン印刷領域63に連続的に印刷される。オフセット印刷は、予め用意した版を使用してインクを紙に密着させて印刷する手法である。一般的に、オフセット印刷は、後述するオンデマンド印刷に比べて仕上がりの品質が高い。
【0036】
次いで、用意した付録原紙60を印刷機40に供給し、QRコード印刷領域62にそれぞれコード内容が異なる一万個のQRコードを連番でオンデマンド印刷する。具体的には、一万か所のQRコード印刷領域62に、一万個の異なるQRコード2を連続的にオンデマンド印刷していく。オンデマンド印刷は、上記した版を用いずに、レーザープリンタなどによって印刷する手法である。一般的に、オンデマンド印刷は、大量印刷する場合においてはオフセット印刷する場合に比べてコストや時間がかかる。印刷機40は、予め管理者サーバ10から一万個のQRコード2のデータを受信し、かかるデータを用いてオンデマンド印刷する。かかるQRコード2のオンデマンド印刷は、上述したデザイン印刷領域63のオフセット印刷の前又は後のいずれのタイミングで行っても構わない。
【0037】
実施形態では、付録原紙60に対して、カード1に共通するデザイン画を一枚の版を用いてオフセット印刷すると共に、カード1ごとに異なる個別のQRコード2をオンデマンド印刷により印刷する。このため、それぞれ異なるQRコード2を印刷して作製するカード1を、一枚の版を用いて大量に低コストで作製することができる。
【0038】
最後に、ステップS04に引き続き、付録原紙60を個別化する(ステップS05)。
ステップS04では、付録原紙60を個別化して個々のカード1に切り分ける。以上の工程により、QRコード2を有する一万枚もの大量のカード1が完成する。作製された一万枚のカードは、それぞれ、出版物の付録として出版物本体Pに添えられる。
【0039】
上述したように、カード1は、その表面にQRコード2を有する。そして、QRコード2は、、デジタルウォレットW内の情報(即ち、デジタルコンテンツのネットワークアドレス並びにこれらのそれぞれに対応するNFTを含む)を閲覧可能にするプライベートキーの情報を含んでいる。
【0040】
続いて、カード1の利用方法の一例について説明する。
ユーザは、ユーザ端末50を用いてカード1のQRコード2を読み取る。ユーザ端末50は、外部と通信可能に構成され、QRコードを認識して読み取り可能な読取部51と、デジタルコンテンツなどを表示可能な表示部52とを有する(図4(a)参照)。ユーザ端末50は、例えば、スマートフォンや、QRコードリーダ、カメラ機能付き携帯電話などである。読取部51がQRコード2を読み取ると、プライベートキーを用いて認証するマイページのログイン機能によりマイページにログインし、ユーザ端末50の表示部にマイページが表示されると共に、デジタルウォレットW内の情報が復号化される。これにより、ユーザは、マイページ上でデジタルウォレットW内のNFTを閲覧できる。このように、ユーザは、ユーザ端末50にQRコード2を読み取らせることで、当該QRコード2に紐づいたデジタルウォレットWに保管されているNFTを閲覧できる。
【0041】
また、ユーザがマイページ上で当該NFTを選択すると、管理者サーバ10(マイページ)からデジタルコンテンツサーバ30にアクセスし、マイページ上にコンテンツが表示される。このとき表示されるコンテンツは、デジタルコンテンツIMに対して該デジタルコンテンツIMと異なるコンテンツIM2,IM3を合成したコンテンツである。本実施形態にかかるコンテンツIM2及びコンテンツIM3は、いずれもデジタルコンテンツであり、具体的にはデジタル化された静止画である。もっとも、これらコンテンツIM2及びコンテンツIM3は、これに限定されず、例えばデジタル化された動画や、デジタル化された音声や音楽などであっても構わない。図6は、合成したコンテンツを説明するための図である。管理者サーバ10に、例えば図6に示すような「Illegal browsing」の文字と図形とを有するNFT付きのデジタルコンテンツIMが保存されているときに、ユーザがQRコード2を用いてマイページを介してデジタルコンテンツIMにアクセスした場合、「Illegal browsing」の文字を含む領域を隠すコンテンツIM2をデジタルコンテンツIMに重ね(図6(b)参照)、さらに「ロイヤリティバンク」の文字を有するコンテンツIM3をコンテンツIM2に重ねて、これら3つのコンテンツIM,IM2,IM3を合成したコンテンツ(図6(c)参照)を表示させる。コンテンツIM2,IM3はユーザが自由に作成することが可能であり、デジタルコンテンツIMはユーザが自由に上書きして(コンテンツIM2,IM3を重ねて)出力(表示)可能な形式のデータである。なお、デジタルコンテンツIMに重ねて上書き表示するコンテンツIM2,IM3は、例えば、管理者サーバ10の記憶部に保存される。なお、上記した合成後のコンテンツにおいてデジタルコンテンツIMに重ねて表示(上書して表示)させるコンテンツIM2,IM3の有無、内容、及び枚数はいずれも任意である。
【0042】
このように、システム100では、ユーザがカード1のQRコード2をユーザ端末50の読取部51を介して読み取らせてデジタルコンテンツIMにアクセスすると、ユーザ端末50の表示部52にデジタルコンテンツIMに対して該デジタルコンテンツIMと異なるコンテンツIM2,IM3を合成したコンテンツを表示(表示部52に出力)させることが可能となっている。その一方で、カード1(QRコード2)を保有しない者がデジタルコンテンツIMにアクセスした場合は、「Illegal browsing」の文字の入ったコンテンツをその者の端末に表示して出力させると共に、デジタルコンテンツIMに対して上書きを自由に行えない(上書きを禁止する)仕組みとなっている。
【0043】
以上説明した付録作製方法によれば、一万個のNFTの発行の処理を一度で実行するステップS22を有することに加え、さらに、内容が異なる一万個のQRコード2を、付録原紙60におけるQRコード印刷領域62にそれぞれオンデマンド印刷するステップと、を含む。これにより、それぞれ異なるNFTに紐付いたQRコード2が印刷された一万枚のカード1を低コストで作製することができる。また、ユーザがQRコード2をユーザ端末50に読み取らせることでNFTを付したデジタルコンテンツIMに対してデジタルコンテンツIMと異なるコンテンツIM2,IM3を合成したコンテンツをユーザ端末50に表示させることが可能となる。従って、上記した付録作製方法によれば、このような価値を有する大量のカード1を低コストで提供することができ、ひいては、かかるカード1を出版物本体Pに添えることで出版物の拡売を図ることができる。
【0044】
また、上記した付録作製方法によれば、管理者サーバ10に一万個のNFTをそれぞれ保管する一万個のデジタルウォレットWがあり、これらに対応する一万個のQRコード2は、それぞれ対応するデジタルウォレットWが保有する情報を復号化するプライベートキーの情報を含む。これにより、カード1(QRコード2)を保有していないなどの理由でデジタルコンテンツIMにマイページを介してアクセスしていない場合、つまりプライベートキーを保有しない場合、表示部52に表示させるコンテンツについて、プライベートキーを用いてマイページを介してアクセスした場合に比べて制限を加えることで、出版物を購入せずカード1を保有しないユーザを牽制することができる。
【0045】
以上、実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、上述した説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、上記の実施形態で説明した要件やステップの一つ以上は、省略されることがある。そのような変更または改良、省略した形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0046】
例えば、上記した説明において付録作製方法が作製する付録のカード1は、出版物に添えられるものであったが、これに限定されず、出版物以外の各種商品を販売する際に添えられるものであってもよいし、所定のサービス(役務)の提供を受ける者又は受けた者に対して付与するものであってもよい。つまり、上記付録作製方法が作製する付録は、種々の商品又はサービスの付録であっても構わない。出版物以外の各種商品又はサービスの付録を作製する方法についても、上記した付録作製方法と同様である。また、上記説明では、付録作製方法が作製する付録としてカードを例にとって説明したが、付録は、カードの構成に限定されず、例えば、接着面を有するシールや着磁シートを有するマグネットなど、種々の構成が適用可能である。かかる場合、シールやマグネットなどは、その表面に印刷されたQRコード2を有する。
【0047】
また、上記した付録作製方法が作製する付録(カード1)の数については、上記した例では一万枚であったが、複数であればよく、大量であるほど好ましい。例えば、付録作製方法により作製するカード1の枚数は、10万枚や100万枚などであってもよい。かかる場合についても、これらのカード1は、上記した作製方法と同様の工程で作製され、例えば、上記ステップS02において付録数と同数のNFTが発行されると共に、上記ステップS03及びステップS04において付録数と同数のQRコード2が作成され印刷される。
【0048】
また、上記した付録作製方法では、一万個のQRコード2を、一万枚のカード1を多面取りする一枚の付録原紙60に印刷していたが、これに代えて、予め付録原紙60を一万枚のカード部61に切り分けておき、個別化した各カード部61に対して連続的に印刷してもよい。
【符号の説明】
【0049】
IM デジタルコンテンツ
IM2,IM3 コンテンツ
W デジタルウォレット
1 カード(付録)
2 QRコード
20 NFT発行元サーバ(NFT発行元)
50 ユーザ端末(端末)
60 付録原紙
61 カード部(付録部)
62 QRコード印刷領域(領域)
図1
図2
図3
図4
図5
図6