(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023028598
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】トイレキャビネットの前方開閉の開閉扉本体およびそれを備えるトイレキャビネット
(51)【国際特許分類】
E06B 3/70 20060101AFI20230224BHJP
E03D 11/00 20060101ALI20230224BHJP
A47K 17/00 20060101ALI20230224BHJP
E05B 1/06 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
E06B3/70 F
E03D11/00 Z
A47K17/00
E05B1/06 103
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021134404
(22)【出願日】2021-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】安河内 友香
(72)【発明者】
【氏名】正 典子
【テーマコード(参考)】
2D037
2D039
2E016
【Fターム(参考)】
2D037EA04
2D039AA02
2D039CC07
2E016HA06
2E016HA08
2E016JA11
2E016JC03
2E016KA05
2E016LA01
2E016RA01
2E016RA03
(57)【要約】
【課題】便器本体の後側に配置されるトイレキャビネットにおける収納空間の出し入れ口に回動自在に配置される開閉扉本体において、容易に幅員調整をして設置を行うことができ、且つ開閉操作時には身体に何ら負担をかけることのないトイレキャビネットの前方開閉の開閉扉本体を提供する。
【解決手段】トイレキャビネットの前方開閉の開閉扉本体は、トイレキャビネットの左右側部に左右側収納空間部を形成し、各空間部の前側には扉本体を前方開閉状態に設けると共に、扉本体側縁部には扉本体と水タンクの仕切り板との間に介設した開閉ヒンジを設け、前記扉本体の開閉先端縁部には壁面に向けて補助扉を伸縮自在に連結し、前記補助扉の先端縁部は、左右の壁面に沿って作動するように構成し、その先端縁部には左右側壁面との間に前記補助扉の肉厚端面を利用した手懸け用空間を形成するための扉伸延プレートを延設してなることとした。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器本体の後側に連通連結する水タンクを収納するためのトイレキャビネットにおける前方開閉の開閉扉本体において、
トイレキャビネットの左右側部に左右側収納空間部を形成し、各空間部の前側には扉本体を前方開閉状態に設けると共に、扉本体側縁部には扉本体と水タンクの仕切り板との間に介設した開閉ヒンジを設け、
前記扉本体の開閉先端縁部には壁面に向けて補助扉を伸縮自在に連結し、
前記補助扉の先端縁部は、左右の壁面に沿って作動するように構成し、
その先端縁部には左右側壁面との間に前記補助扉の肉厚端面を利用した手懸け用空間を形成するための扉伸延プレートを延設したことを特徴とするトイレキャビネットの前方開閉の開閉扉本体。
【請求項2】
前記補助扉は先端縁部に前記扉延伸プレートを突設し、略L字状の空間部を前記手懸け用空間とすると共に、手懸け用空間の基部には該空間に左右壁面に向かって突出した手懸け突部を突設したことを特徴とする請求項1に記載のトイレキャビネットの前方開閉の開閉扉本体。
【請求項3】
前記補助扉は、横断面略コ字状ケース体に形成し、前記扉本体の端縁部前後方向を略コ字状のケース体で挟持するように構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載のトイレキャビネットの前方開閉の開閉扉本体。
【請求項4】
前記補助扉の横断面略コ字状ケースの後面プレート自由端縁は前面プレートより長く形成したことを特徴とする請求項3に記載のトイレキャビネットの前方開閉の開閉扉本体。
【請求項5】
前記補助扉の略L字状の先端縁部は可撓性素材より構成したことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のトイレキャビネットの前方開閉の開閉扉本体。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の開閉扉本体を備えるトイレキャビネット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管の取り回しや水タンクの載置が必要な便器の背面側に載置されるトイレキャビネットに設けられる前方開閉の開閉扉本体およびそれを備えるトイレキャビネットに関する。
【背景技術】
【0002】
大便器や小便器等の配管取り回しや水タンクの載置が必要な便器を載置するための構成として、便器の背面側に設けられるトイレキャビネットがある。トイレキャビネットは、便器の後側の壁面等に対して設置され、トイレキャビネットの前側に便器が設けられる。
【0003】
かかるトイレキャビネットの構造として、配管や水タンクが位置しない余剰空間を収納スペースとして利用した構成が知られている。収納スペースは、トイレキャビネットの前側に設置した扉本体を必要に応じて開閉作動させて、例えばトイレットペーパーや掃除道具を収納して隠すことができる。これにより、トイレキャビネットはトイレ空間における機能性及び意匠性の向上に寄与している。
【0004】
しかしながら、トイレキャビネットの扉本体を設置する際には次のような課題があった。
【0005】
すなわち、トイレキャビネットを設置するトイレ空間の縦横寸法はトイレ空間によって様々であるため、予め所定の寸法で構成された開閉扉本体を設置しようとすればトイレ空間内に納まらない虞があった。このような場合、開閉扉本体を設置現場で切断加工して幅員を調整するという煩雑な作業が発生し、結果、工期の延び或いは加工ミスによる完成品の見た目の悪さを引き起こす原因となっていた。
【0006】
このような課題を解決するために、トイレキャビネットの開閉扉本体を設置現場で容易に長さ調整可能とした構成が開示されている。具体的には、壁面と反対側を回動自在に支持する平板状の扉本体と、扉本体から壁面に向けて伸縮自在に連結可能な平面視略L字状の補助扉とより構成し、補助扉を扉本体の裏面にボルトで連結可能としたトイレキャビネットの前方開閉の開閉扉本体が提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したような従来のトイレキャビネットの前方開閉の開閉扉本体においては、特に、扉本体の裏面の一部と補助扉の表面の一部分とが重なり合うようにこれを連結した構成としているため、次のような問題がある。
【0009】
すなわち、開閉扉本体を所定の強度を保持させるために肉厚な構成とし、開閉扉本体が収納空間のスペースを圧迫して狭くする虞があった。また、開閉扉本体は、重量が増加するため開閉操作が円滑に行えない欠点があった。また、重量が増加した開閉扉本体は、開閉扉本体を回動させるためのヒンジ等の金具にも負荷をかけるため、経時劣化しやすいという欠点もあった。
【0010】
さらに、補助扉において、同扉を回動させる際に指を懸けるための手懸け部を、トイレ空間の壁面に対向する補助扉外側縁部から扉幅員方向の内側に突出して形成しているために、次のような問題がある。
【0011】
すなわち、便器本体をトイレキャビネットの前側中央に載置した構成のトイレ空間において、トイレキャビネットの開閉扉本体を正面視において逆側の手で開けるには、便器本体が障害物となるために体を前方に傾けたり捻ったりする必要があった。かかる動作は、傷病人や高齢者、妊婦等の身体の可動域が制限される者にとって大きな負担となっていた。一方で、トイレキャビネットの開閉扉本体を正面視で同じ側の手で開けるには、補助扉の手懸け部を逆手で把持して開閉操作するため、掌や腕の関節を傷める虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るトイレキャビネットの前方開閉の開閉扉本体は、便器本体の後側に連通連結する水タンクを収納するためのトイレキャビネットにおける前方開閉の開閉扉本体において、トイレキャビネットの左右側部に左右側収納空間部を形成し、各空間部の前側には扉本体を前方開閉状態に設けると共に、扉本体側縁部には扉本体と水タンクの仕切り板との間に介設した開閉ヒンジを設け、前記扉本体の開閉先端縁部には壁面に向けて補助扉を伸縮自在に連結し、前記補助扉の先端縁部は、左右の壁面に沿って作動するように構成し、その先端縁部には左右側壁面との間に前記補助扉の肉厚端面を利用した手懸け用空間を形成するための扉伸延プレートを延設したことを特徴とする。
【0013】
このような構成のトイレキャビネットの前方開閉の開閉扉本体によれば、トイレ空間の縦横寸法に合わせてサイズ調整を行いつつ組立設置を可能とするため、設置時の作業性を高めることができる。また、使用者は開閉扉本体の開閉操作を正面視で同じ側の手を順手で肉厚端面に係合させて行うことができる。すなわち、開閉扉本体の開閉操作時において、使用者は扉本体に対面した状態で体を前方に傾けたり、逆手で把持したりしなくて良いため、開閉扉本体の開閉操作性を向上させることができる。
【0014】
また、本発明のうち他の態様に係るトイレキャビネットの前方開閉の開閉扉本体における、前記補助扉は先端縁部に前記扉伸延プレートを突設し、略L字状の空間部を前記手懸け用空間とすると共に、手懸け用空間の基部には該空間に左右壁面に向かって突出した手懸け突部を突設したことを特徴とする。
【0015】
このような構成のトイレキャビネットの前方開閉の開閉扉本体によれば、使用者は手懸け用空間に開閉操作のための手指を侵入させ、手指の先端は手懸け突部に係合させて、そのまま前方に引っ張ることができるため、開閉扉本体の開閉操作性を更に向上させることができる。
【0016】
また、本発明のうち他の態様に係るトイレキャビネットの前方開閉の開閉扉本体における、前記補助扉は、横断面略コ字状ケース体に形成し、前記扉本体の端縁部を略コ字状のケース体で挟持するように構成したことを特徴とする。
【0017】
このような構成のトイレキャビネットの前方開閉の開閉扉本体によれば、補助扉が扉本体を前後から挟持するために、補助扉と扉本体とを強固に固定することができる。特に、扉本体を挟持しない構成(例えば、扉本体の前側または後側どちらか一方からネジを介して補助扉を連結させた構成)と比較して高い強度を得ることができるため、扉本体と補助扉とよりなる全体の厚みを薄くすることができる。これにより、開閉扉本体の堅牢な構成を実現すると共に、収納空間の前後幅を広げることによる収納性の向上や軽量化による開閉操作性の向上を奏することができる。
【0018】
また、本発明のうち他の態様に係るトイレキャビネットの前方開閉の開閉扉本体の前記補助扉の横断面略コ字状ケースの後面プレート自由端縁は前面プレートより長く形成したことを特徴とする。
【0019】
このような構成のトイレキャビネットの前方開閉の開閉扉本体によれば、前面プレートと比較して後面プレートの方が扉本体との接触面積が大きくなるため、開扉操作時に前方への引張回動させる際に扉本体に引っ張り回動応力がかかり、かつ広面積の後面プレート側に応力が分散されて円滑な開扉作動が行える。これにより、扉本体の円滑な開扉を可能とすると共に、継続使用に伴う扉本体と補助扉との連結の緩みを防ぐことができる。
【0020】
また、本発明のうち他の態様に係るトイレキャビネットの前方開閉の開閉扉本体の前記補助扉の略L字状の先端縁部は可撓性素材より構成したことを特徴とする。
【0021】
このような構成のトイレキャビネットの前方開閉の開閉扉本体によれば、補助扉を扉本体から壁面の際まで伸延させて連結させたとしても、扉本体の開閉操作に伴って補助扉が壁面を傷つけることを回避することができる。また、可撓性素材は切断加工しやすいため、例えば、トイレ空間を構成する巾木と開閉操作時に干渉する補助扉の先端縁部を切欠く作業を容易に行う等により施工性を高めることができる。
【0022】
また、上述した扉開閉本体の構成のうち少なくともいずれか1つを備えたことを特徴とするトイレキャビネットとする。
【0023】
このような構成のトイレキャビネットによれば、トイレ空間の寸法に合わせながら幅員を調整して設置することができ、また収納空間を使用する場合において使用者に身体的負担を強いることのないトイレキャビネットを提供することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、堅牢性を有するにも関わらず、軽量化とそれに伴う開閉操作性および収納空間を広げることによる収納機能性を向上させたトイレキャビネットの開閉扉本体を提供できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施形態に係る開閉扉本体を備えるトイレキャビネットを配置したトイレ空間を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る開閉扉本体を備えるトイレキャビネットを配置したトイレ空間を示す正面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る開閉扉本体を備えるトイレキャビネットの内部空間を断面視的に説明する平面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る扉本体と補助扉との連結状態を断面視的に説明する平面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る補助扉の構成を示す背面斜視図と正面斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る補助扉の構造を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、開閉扉本体において、補助扉と扉本体との連結構成、および開閉操作時に指を引懸けるための取っ手部の構成位置に工夫を施すことにより、堅牢性を保ちながらも可及的に薄くすることができる。また、正面視で開閉扉本体と同じ方向にある手で開閉操作をする場合、順手で開け閉めを可能とする。また、設置現場での開閉扉本体の幅員調整をするための加工を容易とする構成を実現しようとするものである。以下、本発明の実施例を図面に基づき詳説する。
【0027】
以下に説明する本発明の実施の形態では、扉本体の適用例として、大便器の後方に設置されるトイレキャビネットの前方開閉の開閉扉本体を例にとって説明する。ただし、本発明に係る開閉扉本体は、大便器の他、例えば小便器や洗面化粧台等を設置するための構成として提供することが可能である。
【0028】
図1および
図2に示すように、本実施形態に係る開閉扉本体1を備えるトイレキャビネット2は、トイレ空間の後側壁面6前方に一定のスペースを形成している。
【0029】
トイレキャビネット2は、
図2に示すように、後側壁面6前方には前側板8を配設し、天井板7の左右寸法は、左側壁面4から右側壁面5までの長さと略同一に形成する。また、前側板8の左右寸法は、
図3に示すように、左側壁面4と右側壁面5の少なくともどちらか一方(本実施形態では左右両側)に左右側収納空間12L、12Rの出し入れ口13となる隙間を形成し、且つ便器本体9に洗浄水を供給する水タンク10を少なくとも前方から遮蔽できる程度の大きさに構成する。
【0030】
したがって、便器本体9は前側板8の前方に載置され、前側板8の後方に形成される中央収納空間11に便器本体と連通連結する水タンク10が載置されることとなる。また、中央収納空間11の水タンク10の下部には、排水管が収納されている。
【0031】
トイレキャビネット2は、
図3に示すように、中央収納空間11の左右両側に左右側収納空間12L、12Rを形成している。左右側収納空間12L、12Rは、前側板8と左側壁面4との間隙部、前側板8と右側壁面5との間隙を出し入れ口13、13としている。この出し入れ口13から、例えばトイレットペーパーや掃除道具を左右側収納空間12L、12Rに収納するために出し入れ可能としている。
【0032】
左右側収納空間12L、12Rは、水タンク10を収納した中央収納空間11の左右側に形成されたスペースであり、左右側壁面4、5と中央収納空間11の後側に設けた後側壁面6とにより、略方形状に形成されている。
【0033】
これらの左右側収納空間12L、12Rは、出し入れ口13、13に設けた扉本体20及び補助扉30よりなる開閉扉本体1の開閉操作を行うことで密閉状態とすることができる。具体的には、水タンク10の左右に配置される左右仕切り板14L、14Rの上下部に複数個配置した開閉ヒンジ21を介して扉本体20を前方開閉可能に構成している。すなわち、開閉先端縁部22に設けた左右側壁面4、5に向けて補助扉30を連結することによって出し入れ口13、13を封することができるように構成している。
【0034】
扉本体20は、左右側収納空間12L、12Rの出し入れ口13の幅員よりも幅狭な寸法よりなる略方形状の板体20aより構成されている。また、板体20aの裏面には、
図6(a)に示すように、連結ネジ23を螺合するために幅員方向に一定間隔で設けた複数個のネジ位置調整用穴24が形成されている。
【0035】
補助扉30は、
図6(b)に示すように、互いに前後に配置した薄板状の前面プレート31、後面プレート32および肉厚端面34により平面視で略コ字状のケース体30aに構成している。前面プレート31および後面プレート32は、扉本体20の厚みと略同じ又はやや長めの間隔で前後に配置することにより、前面プレート31および後面プレート32の間に扉本体20を前後から挟持している。
【0036】
従って、
図6(a)に示すように、前後面プレート31、32よりなる補助扉30と、その間に挿入した扉本体20との接合調整により、開閉扉本体1全体の長さの調整が可能となり、補助扉30の前端に形成した手懸け用空間35の扉伸延プレート36先端が左右側壁面4、5との摺動可能でかつ補助扉30の左右側収納空間12L、12Rの閉塞、開放機能を果たす。
【0037】
更に、補助扉30は、後面プレート32に形成された幅員方向に長く略角丸四角形状のネジ挿通用長穴33に挿通した連結ネジ23を介して扉本体20と連結可能に構成している。
【0038】
これにより、補助扉30、30は、
図3に示すように、連結ネジ23とネジ位置調整用穴24との螺合位置を調整すると共に、連結ネジ23をネジ挿通用長穴33に挿入した状態で補助扉30を幅員方向にスライド調整することにより扉本体20と連結する補助扉30の先端位置を調整可能であるため、トイレ空間内の寸法に応じて補助扉30、30を隣接する左右側壁面4、5に接触または略接触する位置に固定することができる。
【0039】
また、補助扉30は、前面プレート31と後面プレート32とで扉本体20を前後から挟持連結する構成であるため、扉本体20の前側或いは後側の一方からネジを介して連結する構成と比較して、高い強度を得ることができる。これにより、補助扉30の前後幅(前面プレート31の前側から後面プレート32の後側までの幅)を可及的に小さくすることが可能となり、結果、扉本体20と補助扉30とよりなる開閉扉本体1の重量を軽量化することによる開閉作業の負担軽減化や左右側収納空間12L、12Rを広くする効果がある。
【0040】
また、補助扉30は、前面プレート31の幅員よりも後面プレート32の幅員を長く形成している。すなわち、後面プレート32の中央収納空間11側に位置する自由端縁は、前面プレート31の中央収納空間11側に位置する自由端縁よりも中央収納空間11の近くに位置する構成としている。ただし、補助扉30は、扉本体20を前後から挟持する構成であるため、後面プレート32の幅員は、前面プレート31と扉本体20の幅員の合計よりも幅狭としている。
【0041】
なお、補助扉30の開放時に補助扉30が回動して左右側収納空間12L、12R内に侵入するために干渉しがちになる。それを回避するために、後面プレート32の端縁部には、
図5に示すように、開閉ヒンジ21と対向する位置をコ字状に切り欠いて切欠き部38を形成している。なお、
図5(a)は補助扉30の構成を示す後側斜視図であり、
図5(b)は補助扉30の構成を示す前側斜視図である。
【0042】
後面プレート32の幅員を前面プレート31の幅員よりも長く形成することにより、扉本体20裏側と後面プレート32との接触面積は、扉本体20表側と前面プレート31との接触面積と比較して大きくなるため、開閉扉本体1を回動させる際には補助扉30から扉本体20への回動応力を広い面積で分散させることができる。これにより、開閉操作時のがたつきを可及的に抑制し開閉扉本体1の堅牢性を高める効果がある。
【0043】
補助扉30は、
図6に示すように、先端部分において、先端の肉厚端面34を利用した手懸け用空間35、すなわち、補助扉30の先端に連結した略L字状の扉伸延プレート36により形成されるL字状の空間部からなる手懸け用空間35を形成している。
【0044】
このように、補助扉30は、間に扉本体20を介在した前後面プレート31,32と、その先端に形成した扉伸延プレート36とより構成され、その先端の扉伸延プレート36における略L字状の先端縁部36aの先端が隣接する左右側壁面4、5の壁面に接触摺動するように構成して水タンク10両側の左右側収納空間12L、12Rの入口の開閉扉本体1を形成している。
【0045】
使用者が開閉扉本体1に対面した姿勢で立った場合、使用者の両手の伸延位置に補助扉30の手懸け用空間35が位置することになり、自然の立ち位置姿勢で効率良く手懸け用空間35を利用して補助扉30の開閉操作が可能となり、作業性の悪い逆手での開閉作動や体を捻った状態での作業を回避することができる。
【0046】
補助扉30の先端には上記したように略L字状の先端縁部36aを連設してL字状内空間部に手懸け突部37を形成している。しかも、略L字状の先端縁部36aの基部、すなわち、補助扉30における前側プレート31の基端伸延部は手懸け突部37の空間内部に突出した手懸け突部37を形成しており、L字空間内に4本の指を差し入れて指先の掌部をこの手懸け突部37に係合すれば補助扉30を開放する準備ができ、そのまま4本の指掌部で手懸け突部37を前方に引っ張ると自ずと補助扉30は前方に開放されて左右側収納空間12L、12Rを開放状態とする。
【0047】
なお、手懸け突部37は、4本指の掌部が係合するだけの幅員を有しておればよく、1mm~2mmの長さとする。
【0048】
このように、補助扉30に手懸け突部37を突設することにより、開閉扉本体1の開閉操作時に指を確実に補助扉30に係合させて開閉扉本体1を回動させることができるため、開閉操作性を高めることができる。
【0049】
また、略L字状の扉伸延プレート36の略L字状に折曲して形成した先端(以下、先端縁部36aともいう。)は、可撓性素材より構成している。可撓性素材は、例えば軟質なプラスチックであり、少なくとも簡単に切削できる素材を採用している。
【0050】
このように、扉伸延プレート36の先端縁部36aを可撓性素材とすることにより、補助扉30の先端縁部を左右側壁面4、5と接触するように扉本体20と連結させた場合でも、開閉扉本体1の開閉操作時に先端縁部36aが壁面を摺動して壁面を損傷させることを回避することができる。
【0051】
さらに、トイレ空間によっては壁面と床面との境に巾木が配置されている場合がある。扉伸延プレート36の先端縁部36aを可撓性素材とすれば、巾木の壁面からの突出長さに応じて先端縁部36aを設置現場で切削加工できる。これにより、巾木により前側板8の縁部から左右側壁面4、5までの距離が不均一となる場合であっても、扉伸延プレート36を適宜切欠して左右側壁面4、5と接触または略接触した状態に補助扉30を配置することができる。
【0052】
したがって、以上説明した本実施形態に係るトイレキャビネット2の前方開閉の開閉扉本体1によれば、扉本体20の開閉先端部に補助扉30を伸縮自在に連結し、補助扉30の肉厚端面34を利用した手懸け用空間35を形成したため、使用者の両手の伸延位置に補助扉30の手懸け用空間35が位置することになり、自然の立ち位置姿勢で効率良く手懸け用空間35を利用して開閉操作な開閉扉本体1を備えたトイレキャビネット2を容易に設置することができる。
【0053】
また、本実施形態に係る開閉扉本体1によれば、補助扉30の先端縁部には扉伸延プレート36を突設し、略L字状の空間部を手懸け用空間35とすると共に、手懸け用空間35の基部には該空間に左右側壁面4、5に向かって突出した手懸け突部37を突設したため、扉本体20の操作性を更に向上させることができる。
【0054】
また、本実施形態に係る開閉扉本体1によれば、補助扉30は、前後面プレート31、32とよりなる横断面略コ字状ケース体に形成したため、扉本体20を補助扉30で前後から挟持して強固に固定することができる。特に、扉本体20を挟持しない構成(例えば、扉本体の前側または後側どちらか一方からネジを介して補助扉を連結させた構成)と比較して高い強度を得ることができるため、扉本体20と補助扉30とよりなる全体の厚みを薄くすることができる。これにより、堅牢な開閉扉本体1の構成を実現すると共に、左右側収納空間12L、12Rの奥行を広げることによる収納性の向上と軽量化による開閉操作性との向上を奏することができる。
【0055】
また、補助扉の横断面略コ字状ケースの後面プレート自由端縁は前面プレートより長く形成したため、前面プレート31に比して後面プレート32の方が扉本体20との接触面積を大きくすることができる。これにより、開扉操作時に扉本体20への回動応力を広い面積で分散させ、開閉操作時のがたつきを防ぐことができる。また、がたつきを抑えることにより、扉本体20と開閉ヒンジ21との連結や扉本体20と補助扉30との連結の経時的な緩みを防ぐ効果がある。
【0056】
また、本実施形態に係る開閉扉本体1によれば、補助扉30略L字状の先端縁部は可撓性素材より構成したため、開閉操作時に補助扉30が壁面に摺動して傷つけることを回避することができる。また、可撓性素材は切断加工しやすいため、例えば、補助扉30の先端縁部を切欠くことにより、開閉作動時における補助扉30と壁面体に配された巾木との干渉を回避することができる。
【0057】
また、上述したような扉開閉本体1を備えたトイレキャビネット2によれば、トイレ空間の寸法に合わせながら幅員を調整して設置することができ、また左右側の収納空間12L、12Rを使用する場合において使用者に身体的負担を強いることを回避することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 開閉扉本体
2 トイレキャビネット
3 床面
4 左側壁面
5 右側壁面
6 後壁面
7 上面部
8 前面部
9 便器本体
10 水タンク
11 中央収納空間
12L 左側収納空間
12R 右側収納空間
13 出し入れ口
14L 左側仕切り板
14R 右側仕切り板
20 扉本体
20a 板体
21 開閉ヒンジ
22 開閉先端縁部
23 連結ネジ
24 ネジ位置調整用穴
30 補助扉
30a ケース体
31 前面プレート
32 後面プレート
33 ネジ挿通用長穴
34 肉厚端面
35 手懸け用空間
36 扉伸延プレート
36 先端縁部
37 手懸け突部
38 切欠き部