(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023028634
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】横型射出成形装置
(51)【国際特許分類】
B29C 45/54 20060101AFI20230224BHJP
【FI】
B29C45/54
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021134463
(22)【出願日】2021-08-20
(71)【出願人】
【識別番号】000227054
【氏名又は名称】日精樹脂工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(72)【発明者】
【氏名】村田 博文
(72)【発明者】
【氏名】加藤 利美
(72)【発明者】
【氏名】依田 穂積
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206AR12
4F206JA07
4F206JC06
4F206JD05
4F206JN15
(57)【要約】
【課題】水平長さが十分に小さな横型射出成形装置を提供する。
【解決手段】横型射出成形装置は、型締装置と射出装置40とを要部とする。射出装置40は、スクリュー47を内蔵し樹脂材料を混錬する加熱筒46と、混錬した樹脂材料をノズル66から金型へ射出する射出シリンダ43を備えている。スクリュー47のスクリュー軸47aは、鉛直に延び、射出シリンダ43のシリンダ軸43aは、水平に延びている。スクリュー軸47aが鉛直であるため、射出装置40の水平長さが十分に小さくなり、横型射出成形装置の水平長さが十分に小さくなる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
型締め軸が水平であり金型を型締めする型締装置と、この型締装置の側方に配置され樹脂材料を前記金型へ射出する射出装置とで構成される横型射出成形装置であって、
前記射出装置は、回転自在のスクリューを内蔵し前記樹脂材料を撹拌しつつ所定の温度に加熱する加熱筒と、この加熱筒に繋がり前記樹脂材料を貯留する材料貯留部材と、この材料貯留部材に設けられ前記金型へ延びるノズルと、前記材料貯留部材に設けられ前記樹脂材料を前記ノズルから射出する射出シリンダとを備え、
前記射出シリンダのシリンダ軸は、水平に延び、
前記スクリューのスクリュー軸は、鉛直に延びており、
前記スクリューは、前記スクリューの有効長さをL、前記スクリューの外径をDとしたときに、L/Dが、3を超えないことを特徴とする横型射出成形装置。
【請求項2】
請求項1記載の横型射出成形装置であって、
前記L/Dは、1.0であることを特徴とする横型射出成形装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の横型射出成形装置であって、
前記加熱筒は、底に樹脂材料を流出させる出口を備え、
前記加熱筒の底又は前記材料貯留部材に、前記出口を開閉する出口弁を備え、この出口弁を出口弁駆動手段で移動するようにしたことを特徴とする横型射出成形装置。
【請求項4】
請求項1記載の横型射出成形装置であって、
前記射出シリンダは、プランジャを備え、
前記材料貯留部材は、前記加熱筒の底に沿って水平に延びる第1横筒と、この第1横筒の先端から下へ延びる縦筒と、この縦筒の下部から水平に延びつつ前記プランジャを収納する第2横筒と、この第2横筒と同軸上に縦筒の下部から水平に延びて先端に前記ノズルを有する第3横筒とを備えていることを特徴とする横型射出成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横型射出成形装置において、水平方向の長さを短くすることができる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形装置は、金型を開閉しつつ型締めする型締装置と、型締めされた金型へ樹脂材料を射出する射出装置とを、主要素とする。
型締め軸が水平であるものは横型射出成形装置と呼ばれ、型締め軸が鉛直であるものは竪型射出成形装置と呼ばれる。
【0003】
横型射出成形装置は、各種のものが知られている(例えば、特許文献1(
図2)、特許文献2(
図1)参照。)。
【0004】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図7は従来のスクリューの概念図であり、スクリュー101の有効長さをL、外径をDとする。
【0005】
特許文献1の段落番号[0011]に「そして、実験を行ったスクリューの諸元は、有効長L=300mm、スクリュー外径D=45mm、ネジピッチP=24、L/D=6.66、」の説明がある。
また、特許文献1の段落番号[0013]に「比較例として、有効長L=540mm、スクリュー外径D=25mm、ネジピッチP=25、L/D=21.6、」の説明がある。
【0006】
すなわち、従来からL/D=約7又は約22のスクリュー101が使用されてきた。ただし、特許文献1の段落番号[0002]に「従来はL/Dが20近傍のものが使用されてきた。」との説明があり、この説明から、L/D=約22のスクリューが主流で、L/D=約7のスクリューは少数であると、解される。
【0007】
図8は従来の横型射出成形装置の正面図である。
横型射出成形装置100は、型締め軸102が水平であって、金型103を開閉しつつ型締めする型締装置110と、型締めされた金型103へ樹脂材料を射出する射出装置120とを、主要素とする。
【0008】
型締装置110は、ベース111に載っている固定盤112及び圧受け盤113と、固定盤112と圧受け盤113の間に水平移動可能に配置される可動盤114と、固定盤112から水平に延びて可動盤114を貫通するタイバー115と、このタイバー115に沿って可動盤114を移動するトグル機構116とからなる。
【0009】
射出装置120は、スクリュー101を内蔵する加熱筒121と、この加熱筒121を水平に移動する射出機移動機構122と、スクリュー101を回すスクリュー回転機構123と、スクリュー101を前後に移動するスクリュー移動機構124を、主要素とする。
【0010】
ホッパ125を介して加熱筒121へ投入した樹脂材料は、スクリュー回転機構123でスクリュー101を回すことで可塑化・計量される。
射出機移動機構122で加熱筒121が移動され、先端のノズル126が、金型103に当てられる。
スクリュー移動機構124で、スクリュー101が押出され、樹脂材料が金型103へ射出される。
【0011】
このような構造の横型射出成形装置100は、広く採用されている。
ただし、型締装置110は、トグルリンク127を主要素とする。このトグルリンク127が水平に延びているため、型締装置110の水平長さは大きくなる。
また、スクリュー101を内蔵する加熱筒121は、水平に延びており、加えてスクリュー移動機構124が水平に延びている。そのため、射出装置120の水平長さは大きくなる。
結果、従来の横型射出成形装置100は、装置高さは小さいものの、水平長さは必然的に大きくなる。
【0012】
横型射出成形装置100の水平長さが大きいほど、建屋における装置の設置面積(床面積)が大きくなる。
しかし、床面積に限りがある建屋に、複数の装置類を並べて配置すること及び装置類を効率よく配置することを考えると、横型射出成形装置であっても水平長さを小さくすることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平9-104056号公報
【特許文献2】特開2016-34751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、水平長さが十分に小さな横型射出成形装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1に係る発明は、型締め軸が水平であり金型を型締めする型締装置と、この型締装置の側方に配置され樹脂材料を前記金型へ射出する射出装置とで構成される横型射出成形装置であって、
前記射出装置は、回転自在のスクリューを内蔵し前記樹脂材料を撹拌しつつ所定の温度に加熱する加熱筒と、この加熱筒に繋がり前記樹脂材料を貯留する材料貯留部材と、この材料貯留部材に設けられ前記金型へ延びるノズルと、前記材料貯留部材に設けられ前記樹脂材料を前記ノズルから射出する射出シリンダとを備え、
前記射出シリンダのシリンダ軸は、水平に延び、
前記スクリューのスクリュー軸は、鉛直に延びており、
前記スクリューは、前記スクリューの有効長さをL、前記スクリューの外径をDとしたときに、L/Dが、3を超えないことを特徴とする。
【0016】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の横型射出成形装置であって、
前記L/Dは、1.0であることを特徴とする。
【0017】
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2記載の横型射出成形装置であって、
前記加熱筒は、底に樹脂材料を流出させる出口を備え、
前記加熱筒の底又は前記材料貯留部材に、前記出口を開閉する出口弁を備え、この出口弁を出口弁駆動手段で移動するようにしたことを特徴とする。
【0018】
請求項4に係る発明は、請求項1記載の横型射出成形装置であって、
前記射出シリンダは、プランジャを備え、
前記材料貯留部材は、前記加熱筒の底に沿って水平に延びる第1横筒と、この第1横筒の先端から下へ延びる縦筒と、この縦筒の下部から水平に延びつつ前記プランジャを収納する第2横筒と、この第2横筒と同軸上に縦筒の下部から水平に延びて先端に前記ノズルを有する第3横筒とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に係る発明では、横型射出成形装置の射出装置において、加熱筒及びスクリューは鉛直に延びるようにし、射出シリンダは水平に延びるように配置した。
スクリュー及び加熱筒を縦置きすることで、射出装置の水平長さを小さくすることができ、樹脂材料の均一加熱を図りつつ液状の樹脂材料を加熱筒の底に溜めることができる。
結果、樹脂材料の品質を維持しつつ、射出装置の水平長さを小さくすることができる。
その上、スクリューのL/Dは、3を超えないようにした。スクリューの有効長さLを3以下にすることで、射出装置の高さ寸法が大きくなることを防ぐ。
すなわち、本発明により、水平長さが十分に小さな横型射出成形装置が提供される。
【0020】
請求項2に係る発明では、L/Dは、1.0である。スクリューの有効長さLが1.0であれば、スクリューの長さは十分に短くなり、射出装置の高さ寸法をより小さくすることできる。
【0021】
請求項3に係る発明では、樹脂材料を流出させる出口及びこの出口を開閉する出口弁を備え、この出口弁を出口弁駆動手段で強制的に移動するようにした。
仮に、加熱筒の出口に逆止弁を設けても、樹脂材料の逆流は防ぐことができる。しかし、樹脂材料のカスが逆止弁の要部に堆積すると、逆止弁がリークし、逆流防止作用が低下する。
この点、本発明では、出口弁駆動手段で出口弁を強制的に移動する。強制的に移動される出口弁で、樹脂材料のカスを押出す又は削る。結果、信頼性の高い逆流防止作用が長期間にわたって維持できる。
【0022】
請求項4に係る発明では、材料貯留部材は、加熱筒の底に沿って水平に延びる第1横筒と、この第1横筒の先端から下へ延びる縦筒と、この縦筒の下部から水平に延びつつプランジャを収納する第2横筒と、この第2横筒と同軸上に縦筒の下部から水平に延びて先端にノズルを有する第3横筒とを備えている。
このような構造の材料貯留部材を採用することで、縦置きの加熱筒と横置きの射出シリンダとを、巧みに配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明に係る横型射出成形装置の全体構成を示す図である。
【
図5】横型射出成形装置の水平長さを説明する図である。
【
図7】従来のスクリューのL/Dを説明する図である。
【
図8】従来の横型射出成形装置の全体構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
【実施例0025】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、シリンダにおいて、「伸動」は、ピストンロッドを前進させてシリンダ全長が伸びることを意味し、「縮動」はピストンロッドを後退させてシリンダ全長が縮むことを意味する。
【0026】
図1に示すように、横型射出成形装置10は、ベース11と、このベース11に載せられる型締装置20及び射出装置40とを、主要素とし、型締め軸20aが水平であることを特徴とする装置である。ベース11は、ベッドや機台であってもよい。
【0027】
型締装置20は、ベース11に固定される固定盤22と、ベース11に移動可能に支えられる型締機構23と、この型締機構23と固定盤22の間に配置されベース11に移動可能に支えられる可動盤24と、固定盤22から延びて可動盤24及び型締機構23を貫通するタイバー25と、このタイバー25に沿って可動盤24を移動する型開閉機構26と、型締機構23に付属するハーフナット27と、このハーフナット27を開閉させるハーフナット開閉機構28と、可動盤24と型締機構23とに渡した位置調整機構29とを備えている。
【0028】
型締装置20は、ハーフナット式が好ましいが、トグル式、油圧式、ハイブリッド式であってもよく、構造、方式は実施例に限定するものではない。
【0029】
型締装置20で金型30が型締めされる。金型30は例えば、固定型31と可動型32とからなる。
固定盤22に固定型31が取付けられ、可動盤24に可動型32が取付けられる。
【0030】
好ましくは、ベース11にレール34を敷設し、このレール34にスライダ35、36を載せる。そして、一方のスライダ35で型締機構23を支え、他方のスライダ36で可動盤24を支えるようにする。
レール34とスライダ35、36の間に、鋼球を介在させることが推奨される。レール34とスライダ35、36の間の摩擦損失が小さくなり、型開閉機構26への負荷が軽減される。
【0031】
可動盤24は、位置調整機構29を介して型締機構23に機械的に連結されている。そのため、型開閉機構26で可動盤24を移動すると、型締機構23は一緒(ほぼ一緒を含む。)に移動する。
よって、型開閉機構26のピストンロッドは、可動盤24に連結する他、型締機構23に連結してもよい。また、型開閉機構26は、ベッド11に取付ける他、固定盤22に取付けてもよい。
【0032】
タイバー25には、必要な個所に周溝37が等ピッチで刻まれている。ハーフナット27は、閉じると、周溝37に噛み合う。噛み合うと、タイバー25に型締機構23は固定(ほぼ固定を含む。)される。
ハーフナット27を開くと、タイバー25に対して、型締機構23は移動可能となる。
【0033】
以上の構成からなる型締装置20の型締作用を次に説明する。
図1では金型30が開かれている。
ハーフナット開閉機構28により、ハーフナット27を開状態にする。
次に、型開閉機構26を縮動する。可動盤24と型締機構23と可動型32と位置調整機構29とハーフナット27が一緒に図右へ移動する。この移動は固定型31に可動型32が当たる(タッチする)まで継続される。
【0034】
固定型31に可動型32がタッチした後に、位置調整機構29で型締機構23を若干移動させることにより、周溝37の凹にハーフナット27の凸を位置合わせする。すなわち、周溝37の凹にハーフナット27の凸が合致しないで、噛み合わせ不十分の状態にあるときに、位置調整機構29で噛み合わせを十分な状態に是正する。
【0035】
次に、ハーフナット開閉機構28により、ハーフナット27を閉状態にする。閉状態では、タイバー25に型締機構23が固定されていることになる。
次に、型締機構23を伸動する。この伸動により、金型30が型締めされる。
【0036】
以上に説明した型開閉機構26、ハーフナット開閉機構28及び位置調整機構29は、油圧シリンダが好適であるが、電動シリンダであってもよく、要は伸動と縮動とが行える機構であればよく、種類や構造は限定されない。
【0037】
次に、射出装置の具体的な構造例を、
図2に基づいて説明する。
図2に示すように、射出装置40は、ベース11に載っているスライド盤41と、このスライド盤41に載っているプレート42と、このプレート42に載っている射出シリンダ43と、この射出シリンダ43に載っているサポート部材44と、射出シリンダ43から離れた位置にてスライド盤41に載っているブラケット45と、このブラケット45に載っている材料貯留部材60と、この材料貯留部材60に載っている加熱筒46と、この加熱筒46に回転自在に収納されるスクリュー47と、加熱筒46とサポート部材44とで支持されるトップ盤48と、このトップ盤48に取付けられるサーボモータ49と、トップ盤48の上に配置されるギヤ群50と、このギヤ群50を囲うカバー51と、加熱筒46に付設されるホッパ52とを備えている。
【0038】
射出シリンダ43のシリンダ軸43aは水平に延び、スクリュー47のスクリュー軸47aは鉛直に延びている。すなわち、射出シリンダ43は横置きされ、加熱筒46は縦置きされている。
【0039】
スライド盤41は、射出機移動機構53で、固定盤22に連結されている。
射出機移動機構53を縮動するとスライド盤41が固定盤22に接近し、伸動するとスライド盤41が固定盤22から離れる。
【0040】
射出シリンダ43は、油圧シリンダ54と、この油圧シリンダ54に収納されるピストン55と、このピストン55から固定盤22へ延びるプランジャ56とからなる。好ましくは、ピストン55からプランジャ56とは逆方向へロッド57を延ばす。このロッド57の位置をエンコーダなどの位置検知センサ58で検出する。
【0041】
材料貯留部材60は、加熱筒46の底に沿って水平に延びる第1横筒61と、この第1横筒61の先端から下へ延びる縦筒62と、この縦筒62から下へ延びてブラケット45に載る脚部63と、縦筒62の下部から水平に延びつつプランジャ56を収納する第2横筒64と、この第2横筒64と同軸上に縦筒62の下部から水平に延びて先端にノズル66を有する第3横筒65とを備えている。
【0042】
ブラケット45を上に延ばすことで、脚部63を省く、又は小型にすることは差し支えない。
材料貯留部材60及び加熱筒46に適宜ヒータ67が巻かれており、このヒータ67で材料貯留部材60及び加熱筒46は適温に保たれる。
好ましくは、第3横筒65にシャット弁68を設け、このシャット弁68をシャット弁開閉機構69で開閉するようにする。
【0043】
加熱筒46は、ボルト71でトップ盤48に連結されている。
加熱筒46は、軸ホルダー46Aを備え、この軸ホルダー46Aに軸受72を備える。軸ホルダー46Aは、軸受72を介してスクリュー47を回転自在に支える。
【0044】
軸ホルダー46Aは、加熱筒46に嵌め込まれ、ボルトで固定される。
また、加熱筒46の底が分離可能であれば、軸ホルダー46Aは加熱筒46に一体形成することができる。よって、軸ホルダー46Aは、設けるか否かを含め、形状、形態は任意である。
【0045】
加熱筒46の底に樹脂材料の出口73が設けられ、この出口73は出口弁74で閉じられる。この出口弁74は出口弁駆動手段75により開閉される。
出口弁74は、第1横筒61に移動可能に収納する。しかし、出口弁74は加熱筒46の底に設けてもよい。
すなわち、出口弁74は、加熱筒46の底又は材料貯留部材60(第1横筒61)に設けられる。
【0046】
仮に、加熱筒46の出口73に汎用の逆止弁を設けても、樹脂材料の逆流は防ぐことができる。しかし、樹脂材料のカスが逆止弁の要部に堆積すると、逆止弁がリークし、逆流防止作用が低下する。
この点、本実施例では、出口弁駆動手段75で出口弁74を強制的に移動する。強制的に移動される出口弁74で、樹脂材料のカスを押出す又は削る。結果、信頼性の高い逆流防止作用が長期間にわたって維持できる。
【0047】
ギヤ群50は、サーボモータ49の軸に設けた駆動ギヤ76と、この駆動ギヤ76で回される大径の中継ギヤ77と、この大径の中継ギヤ77と同軸の小径ギヤ78と、この小径ギヤ78で回される大径の従動ギヤ79とからなり、この従動ギヤ79がスクリュー47に連結される。
【0048】
サーボモータ49の回転は、小径の駆動ギヤ76と大径の中継ギヤ77とで減速され、小径ギヤ78と大径の従動ギヤ79とで更に減速される。
結果、スクリュー47は低速で回される。
【0049】
また、サーボモータ49の出力トルクは、小径の駆動ギヤ76と大径の中継ギヤ77とで増大され、小径ギヤ78と大径の従動ギヤ79とで更に増大される。サーボモータ49の出力トルクは小さくて済み、サーボモータ49は小さな出力の小型で軽量で安価な制御モータが採用可能となる。
【0050】
次に、スクリュー47について、説明する。
スクリュー47は、超短尺スクリューであって、有効長さをL、外径をDとしたときに、L/Dは、実施例では、L/Dを約1.0とした。
すなわち、スクリュー47の外周に設けた螺旋溝の長さを確保しつつ、LとDとを決めた。
スクリュー47のL/Dが1.0であれば、スクリュー47の長さは十分に短く、射出装置40の高さ寸法を小さくすることできる。
【0051】
従来、射出装置に使用されるスクリューは、従来の技術で説明したように、L/Dが約7又は約22であり、外径Dは小径である。小径で長いスクリューを、高速で回転させる。
対して、本発明に係るスクリュー47では、外径Dはかなり大きく、長さLはかなり短い。
【0052】
樹脂材料は、スクリュー47が外周に形成した螺旋溝に沿って移動する。スクリュー47の周速は外径Dに正比例する。従来と本発明との周速を一致させる場合、本発明に係るスクリュー47は、十分に低速で回転させることができる。
【0053】
なお、スクリュー47のL/Dは、1.0に限定するものではない。
本発明者らが検討したところでは、L/Dは、0.5~3.0の範囲であれば、採用できる。L/Dが0.5未満では、有効長さLが小さくなり、外周に十分な条数の螺旋溝が形成できなくなる。また、L/Dが3.0を超えると、射出装置40の高さ寸法を大きくなり、好ましくない。
よって、スクリュー47のL/Dは、0.5~3.0の範囲とし、好ましくは1.0とする。
【0054】
また好ましくは、スクリュー47の先端(下端)を円錐面とし、この円錐面に渦巻溝を設けてもよい。回転する渦巻溝で、加熱筒46の底に溜まった液状の樹脂材料に旋回力を付与することができる。旋回力により、液状の樹脂材料がさらに攪拌され、温度のさらなる均一化と材料のさらなる均質化とが図れる。
【0055】
次に、スクリュー47が縦向きに配置された理由を、
図3に基づいて説明する。
図3(a)に示すように、スクリュー軸47aが水平になるように、スクリュー47及び加熱筒46を配置した(比較例)を検討する。
第1に、加熱筒46において、下部分46aに対して、上部分46bが高温になる。すなわち、上下方向で温度差が不可避的に発生する。結果、樹脂材料に温度むらが発生し、好ましくない。
第2に、樹脂材料は、固体であったものが、加熱されつつ混錬・圧縮されることで、軟化し、液状材料になる。この液状材料が、加熱筒46の下部分46a付近に溜まる。加熱筒46の出口73から、樹脂材料を円滑に出すことが難しくなる。
【0056】
図3(b)に示すように、スクリュー軸47aが鉛直になるように、スクリュー47及び加熱筒46を配置した(実施例)を検討する。
第1に、樹脂材料は加熱筒46に投入された後、加熱、混錬・圧縮されつつ出口73に向かって流下する。スクリュー軸47aに沿った上部分と下部分とでは温度差が発生するが、スクリュー軸47aに直交する面(水平面)では、温度差は発生しない。よって、樹脂材料に温度むらが発生しない。
第2に、液状材料は、加熱筒46の底に溜まる。加熱筒46の出口73から、円滑に出すことが容易になる。
以上により、スクリュー軸47aは、鉛直に配置することが好ましい。
【0057】
図2において、スクリュー軸47aが鉛直になるように配置した理由は
図3で述べた通りである。
また、
図2において、射出シリンダ43は、長く突き出ているプランジャ56(及びロッド57)を考慮すると、全長は横に長い。長い射出シリンダ43を、軸が水平になるようにして配置することにより、射出装置40の高さ寸法を小さくすることができる。
スクリュー47においても、L/Dを3以下に留めて、長さLを小さくしたことにより、軸が鉛直になるように配置したにも拘わらず、射出装置40の高さ寸法を小さくすることができる。
【0058】
以上の構成からなる射出装置40の作用を、
図4に基づいて説明する。
図4のST01(ステップ番号01。以下同様)で、出口弁を開く。すなわち、
図2で、出口弁74を移動して出口73を開く。
ST02で、シャット弁を閉じる。すなわち、
図2で、シャット弁68を回してノズル66を閉じる。
ST03で、射出シリンダの背圧制御を実施する。すなわち、
図2で、プランジャ56に所定の反力(抵抗力)が加わるように、射出シリンダ43の背圧制御を開始する。
【0059】
ST04で、スクリューを回転しつつ樹脂材料を可塑化する。
図2において、樹脂材料は出口73、第1横筒61、縦筒62、第2横筒64、第3横筒65の順に流れて、これらに充満する。この充満により、プランジャ56が徐々に後退(図右へ移動)する。プランジャ56の断面積×プランジャ56の移動距離=計量値の算式により、樹脂材料が計量される。計量値が所定値になったら、計量が完了し、背圧制御も終了する。
【0060】
ST05で、計量完了を調べ、計量が完了したら、出口弁を閉じる(ST06)。
ST07で、型締めが完了していることを確認し、確認ができたら、シャット弁を開く(ST08)。
シャット弁68が開けられたら、プランジャ56は前進し、樹脂材料をノズル66から射出する(ST09)。
ST10で、射出が終了したことが確認できたら、シャット弁を閉じる(ST11)。
【0061】
次に、本発明に係る横型射出成形装置10の利点を、
図5に基づいて説明する。
図5(a)に従来の横型射出成形装置100を示す。
従来の型締装置110の水平長さをL110、射出装置120の水平長さをL120、横型射出成形装置100の水平長さをL100とする。L100は概ねL110とL120の和となる。
【0062】
図5(b)に本発明に係る横型射出成形装置10を示す。
実施例の型締装置20の水平長さをL20、射出装置40の水平長さをL40、横型射出成形装置10の水平長さをL10とする。L10は概ねL20とL40の和となる。
【0063】
図5(a)に示す従来の型締装置110は、トグルリンク方式である。対して、
図5(b)に示す型締装置20はハーフナット方式である。トグルリンク方式より、ハーフナット方式の方が、水平長さを小さくすることができる。
結果、L20はL110より、十分に小さくなった。
【0064】
また、
図5(a)では加熱筒121を横置きした。対して、
図5(b)では加熱筒46を縦置きした。縦横配置の違いにより、L40はL120より、小さくなった。
結果、本発明による横型射出成形装置10の水平長さL10は、従来の横型射出成形装置100の水平長さL100より、十分に小さくなった。
【0065】
次に、射出装置40の変更例を、
図6に基づいて説明する。
図6に示すように、スクリュー47のネックを延ばし、上の軸受72と下の軸受72との間に、水平に延びるピン81を立てる。併せて、加熱筒46側の軸ホルダー46Aにピン81を収納するカム溝82を設ける。カム溝82は、スクリュー47に設けた螺旋溝の0.2~1.0ピッチだけ上下に蛇行している。
【0066】
併せて、小径ギヤ78は、歯幅が十分に広いものに交換する。
サーボモータ49及びギヤ群50により、スクリュー47を所定方向へ回すと、ピン81がガイド溝82に沿って移動し、結果として、スクリュー47がスクリュー軸47aに沿って移動する(図では昇降する)。
【0067】
スクリュー47による旋回運動に、この軸方向運動が加わることで、樹脂材料のより好ましい混練が得られる。
したがって、カム溝82及びピン81は、必須ではないが、設けることが望まれる。
なお、カム溝82をスクリュー47側に設け、ピン81を加熱筒46側に設けることは差し支えない。
【0068】
また、
図2において、プレート42を省いて、射出シリンダ43を直接スライド盤41に載せてもよい。
また、
図2において、ギヤ群50は、プーリとベルトに変更してもよい。
10…横型射出成形装置、20…型締装置、20a…型締め軸、30…金型、40…射出装置、43…射出シリンダ、43a…シリンダ軸、46…加熱筒、47…スクリュー、47a…スクリュー軸、56…プランジャ、60…材料貯留部材、61…第1横筒、62…縦筒、64…第2横筒、65…第3横筒、66…ノズル、73…出口、74…出口弁、75…出口弁駆動手段、D…スクリューの外径、L…スクリューの有効長さ。
請求項1に係る発明は、型締め軸が水平であり金型を型締めする型締装置と、この型締装置の側方に配置され樹脂材料を前記金型へ射出する射出装置とで構成される横型射出成形装置であって、
前記射出装置は、回転自在のスクリューを内蔵し前記樹脂材料を撹拌しつつ所定の温度に加熱する加熱筒と、この加熱筒に繋がり前記樹脂材料を貯留する材料貯留部材と、この材料貯留部材に設けられ前記金型へ延びるノズルと、前記材料貯留部材に設けられ前記樹脂材料を前記ノズルから射出する射出シリンダとを備え、
前記射出シリンダのシリンダ軸は、水平に延び、
前記スクリューのスクリュー軸は、鉛直に延びており、
前記スクリューは、前記スクリューの有効長さをL、前記スクリューの外径をDとしたときに、L/Dが、0.5~3.0の範囲であることを特徴とする。