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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023028644
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】高分子化合物の残存モノマー低減方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 6/10 20060101AFI20230224BHJP
   C09J 133/04 20060101ALI20230224BHJP
   A61K 31/137 20060101ALI20230224BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20230224BHJP
   A61P 11/08 20060101ALI20230224BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20230224BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
C08F6/10
C09J133/04
A61K31/137
A61P11/06
A61P11/08
A61K9/70 401
A61K47/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021134477
(22)【出願日】2021-08-20
(71)【出願人】
【識別番号】501296380
【氏名又は名称】コスメディ製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】権 英淑
(72)【発明者】
【氏名】蒋 融融
(72)【発明者】
【氏名】金 永日
(72)【発明者】
【氏名】神山 文男
【テーマコード(参考)】
4C076
4C206
4J040
4J100
【Fターム(参考)】
4C076AA72
4C076BB31
4C076CC15
4C076EE10
4C076EE12
4C076EE48
4C076GG50
4C206AA10
4C206FA08
4C206MA02
4C206MA05
4C206MA52
4C206MA83
4C206NA20
4C206ZA59
4J040DF02
4J040JB09
4J040LA07
4J100AJ02Q
4J100AL04P
4J100AL04Q
4J100AL05R
4J100AQ08Q
4J100CA04
4J100CA05
4J100CA31
4J100DA00
4J100GB09
4J100HA01
4J100HB08
4J100HE14
4J100HG27
4J100JA05
4J100JA53
(57)【要約】
【課題】残存モノマーなどを含有する高分子化合物から効率よく残存モノマーを除去、低減させる手段を提供する。
【解決手段】重合性不飽和二重結合を有する化合物を重合させてなる高分子化合物の溶液にオゾンガスを導入することを特徴とする残存モノマーの低減方法。オゾンガス導入量は、1~100mg/分で前記高分子化合物の溶液に添加することが好ましい。オゾンガス導入の別法として、オゾンガスを有機溶媒に吹き込み、得られたオゾン含有有機溶媒を高分子化合物の溶液に添加する方法が挙げられる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合性不飽和二重結合を有する化合物を重合させてなる高分子化合物の溶液にオゾンガスを導入することを特徴とする残存モノマーの低減方法。
【請求項2】
前記オゾンガス導入が1~100mg/分で、前記高分子化合物の溶液に添加する、請求項1に記載の低減方法。
【請求項3】
前記オゾンガスを有機溶媒に吹き込み、得られたオゾン含有有機溶媒を前記高分子化合物の溶液に添加する、請求項1に記載の低減方法。
【請求項4】
前記有機溶媒中のオゾン含有量が20~1,000mg/Lである、請求項3に記載の低減方法。
【請求項5】
前記オゾン含有有機溶媒を2回以上に分けて前記高分子化合物の溶液に添加する、請求項3又は4に記載の低減方法。
【請求項6】
前記オゾンガス又はオゾン含有有機溶媒を低温~常温において前記高分子化合物の溶液に添加し攪拌する、請求項2~5のいずれか1項に記載の低減方法。
【請求項7】
前記攪拌時間が前記オゾン含有有機溶媒添加後1時間以上である、請求項6に記載の低減方法。
【請求項8】
前記オゾンガス又はオゾン含有有機溶媒を前記高分子化合物の溶液に添加した後、さらに窒素ガスを添加し攪拌する工程を含む、請求項2~7のいずれか1項に記載の低減方法。
【請求項9】
重合性不飽和二重結合を有する化合物を重合させてなる高分子化合物の溶液を、請求項1~8のいずれか1項に記載の残存モノマーの低減方法により、残存モノマーを低減させる工程、及び
残存モノマーの低減した高分子化合物の溶液に薬物又は有価物質を混合し、経皮吸収製剤を製造する工程、
を含む、経皮吸収製剤の製造方法。
【請求項10】
前記高分子化合物の溶液がアクリル酸2-エチルへキシル・メタクリル酸2エチルエキシル・メタクリル酸ドデシル共重合体の溶液である、請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
前記経皮吸収製剤の製造工程において、前記高分子化合物の溶液がツロブテロールを含有する、請求項9又は10に記載の製造方法。
【請求項12】
アクリル酸2-エチルへキシル・メタクリル酸2エチルエキシル・メタクリル酸ドデシル共重合体溶液を、請求項1~8のいずれか1項に記載の残存モノマーの低減方法により、残存モノマーを低減させる工程、及び
残存モノマーの低減したアクリル酸2-エチルへキシル・メタクリル酸2エチルエキシル・メタクリル酸ドデシル共重合体溶液を用いて、粘着剤を製造する工程、
を含む、粘着剤の製造方法。
【請求項13】
アクリル酸2-エチルへキシル・アクリル酸共重合体溶液、又はアクリル酸2-エチルへキシル・ビニルピロリドン共重合体溶液を、請求項1~8のいずれか1項に記載の残存モノマーの低減方法により、残存モノマーを低減させる工程、及び
残存モノマーの低減したアクリル酸2-エチルへキシル・アクリル酸共重合体溶液、又はアクリル酸2-エチルへキシル・ビニルピロリドン共重合体溶液を用いて、粘着剤を製造する工程、
を含む、粘着剤の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子化合物の残存モノマー低減方法に関する。詳しくは、重合性不飽和二重結合を有する残存モノマーの低減方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原料として、ビニル系化合物、アリル系化合物などの重合性不飽和二重結合を有する化合物が用いられた高分子化合物は、種々の分野で使用されている。これらの高分子化合物のなかには、例えば、人体に使用されたり、その加工をする際に人体と接触するものがあり、その高分子化合物のなかに含有されている未重合の微量のモノマーを主とする化合物により、人体に悪影響を及ぼすことがある。また、高分子化合物の中に含有されている微量化合物が、高分子化合物の分子量や粘度、安定性といった項目に対して悪影響を及ぼすこともある。
【0003】
そこで、これらの高分子化合物に含まれている微量のモノマーを除去する方法として、重合体を溶解する溶剤とモノマーを溶解するが重合体を溶解しない非溶剤との混合液と重合体とを混合し、未反応モノマーをこの混合液に溶出させる方法(例えば、特許文献1参照)、蒸発缶内の回転軸を回転させ、その遠心力を利用して蒸発缶内に配設されたパイプでポリマーラテックスを吸い上げて蒸発缶の伝熱面に付着させることにより、未反応残留モノマーを除去する方法(例えば、特許文献2参照)、ポリマー溶液にレドックス開始剤を徐々に配合する方法(例えば、特許文献3参照)、重合性不飽和二重結合を有する高分子化合物溶液に水素ガスを導入することを特徴とする方法(例えば、特許文献4参照)などが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5-310816号公報
【特許文献2】特開2000-264915号公報
【特許文献3】特表2001-516774号公報
【特許文献4】特開2007-063352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、これらの方法には、その操作が煩雑であり、残存しているモノマーを除去するのに長時間を要し、作業効率が悪く、残存しているモノマー量を微量にまで低減させることが困難であるという問題点がある。
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、残存モノマーなどを含有する高分子化合物から効率よく残存モノマーを除去、低減させる方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、この課題を解決すべく研究を進め、以下に詳述する発明を完成するに至った。
本発明は、以下に示す通りである。
〔1〕 重合性不飽和二重結合を有する化合物を重合させてなる高分子化合物の溶液にオゾンガスを導入することを特徴とする残存モノマーの低減方法。
〔2〕 前記オゾンガス導入が1~100mg/分で、前記高分子化合物の溶液に添加する、〔1〕に記載の低減方法。
〔3〕 前記オゾンガスを有機溶媒に吹き込み、得られたオゾン含有有機溶媒を前記高分子化合物の溶液に添加する、〔1〕に記載の低減方法。
〔4〕 前記有機溶媒中のオゾン含有量が20~1,000mg/Lである、請求項3に記載の低減方法。
〔5〕 前記オゾン含有有機溶媒を2回以上に分けて前記高分子化合物の溶液に添加する、〔3〕又は〔4〕に記載の低減方法。
〔6〕 前記オゾンガス又はオゾン含有有機溶媒を低温~常温において前記高分子化合物の溶液に添加し攪拌する、〔2〕~〔5〕のいずれかに記載の低減方法。
〔7〕 前記攪拌時間が前記オゾン含有有機溶媒添加後1時間以上である、〔6〕に記載の低減方法。
〔8〕 前記オゾンガス又はオゾン含有有機溶媒を前記高分子化合物の溶液に添加した後、さらに窒素ガスを添加し攪拌する工程を含む、〔2〕~〔7〕のいずれかに記載の低減方法。
〔9〕 重合性不飽和二重結合を有する化合物を重合させてなる高分子化合物の溶液を、〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の残存モノマーの低減方法により、残存モノマーを低減させる工程、及び
残存モノマーの低減した高分子化合物の溶液に薬物又は有価物質を混合し、経皮吸収製剤を製造する工程、
を含む、経皮吸収製剤の製造方法。
〔10〕 前記高分子化合物の溶液がアクリル酸2-エチルへキシル・メタクリル酸2エチルエキシル・メタクリル酸ドデシル共重合体の溶液である、〔9〕に記載の製造方法。
〔11〕 前記経皮吸収製剤の製造工程において、前記高分子化合物の溶液がツロブテロールを含有する、〔9〕又は〔10〕に記載の製造方法。
〔12〕 アクリル酸2-エチルへキシル・メタクリル酸2エチルエキシル・メタクリル酸ドデシル共重合体溶液を、〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の残存モノマーの低減方法により、残存モノマーを低減させる工程、及び
残存モノマーの低減したアクリル酸2-エチルへキシル・メタクリル酸2エチルエキシル・メタクリル酸ドデシル共重合体溶液を用いて、粘着剤を製造する工程、
を含む、粘着剤の製造方法。
〔13〕 アクリル酸2-エチルへキシル・アクリル酸共重合体溶液、又はアクリル酸2-エチルへキシル・ビニルピロリドン共重合体溶液を、〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の残存モノマーの低減方法により、残存モノマーを低減させる工程、及び
残存モノマーの低減したアクリル酸2-エチルへキシル・アクリル酸共重合体溶液、又はアクリル酸2-エチルへキシル・ビニルピロリドン共重合体溶液を用いて、粘着剤を製造する工程、
を含む、粘着剤の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、例えば、人体に使用される高分子化合物や、その加工をする際に人体と接触する高分子化合物をより安全なものとすることができる。
本発明によれば、残存モノマーなどを含有する高分子化合物に対して効率よく残存モノマーを低減させることができる。本発明の高分子化合物の残存モノマー低減方法によれば、残存モノマーが原因で発生する、高分子化合物の分子量変化や粘度変化、安定性低下などが抑制されるという効果が奏される。特に残存モノマーに起因するモノマー類縁物質の発生を抑制し、高分子化合物の安定化をもたらす。
【発明を実施するための形態】
【0008】
重合性不飽和二重結合を有する化合物としては、例えば、スチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルピロリドンなどのビニル化合物、 (メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸オクチル、などの(メタ)アクリル系化合物などの炭素-炭素間不飽和二重結合を有する化合物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0009】
本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」または「メタクリル」を意味する。
【0010】
重合性不飽和二重結合を有する化合物を重合させることによって得られる高分子化合物としては、前記重合性不飽和二重結合を有する化合物の1種または2種以上を重合させることによって得られる重合体が挙げられる。
【0011】
前記高分子化合物の溶液は、例えば、前記高分子化合物を溶媒に溶解させた溶液であってもよく、溶液重合法などの方法により、重合性不飽和二重結合を有する化合物を溶媒中で重合させることによって得られた反応混合物であってもよい。
【0012】
前記高分子化合物の溶液に用いられる溶媒の種類は、その高分子化合物の種類などによって異なるので一概には決定することができないため、通常、前記高分子化合物の種類などに応じて適宜選択することが好ましい。
【0013】
なお、本発明においては、前記高分子化合物の溶液として、高分子化合物を単離する前の反応混合物を用いることが、わざわざ高分子化合物を溶媒に溶解させるという煩雑な操作を必要としないので、好ましい。
【0014】
前記高分子化合物の溶液における高分子化合物の濃度は、特に限定されないが、通常、5~70質量%、好ましくは10~50質量%程度であることが望ましい。
【0015】
前記高分子化合物の溶液にオゾンを導入する方法としては特に制限はない。市販のオゾン発生器を使用し精製したオゾンガスを前記高分子化合物の溶液にバブラーなどを用いて吹き込む方法などが挙げられる。この方法を採用する場合、オゾンガス発生及び吹き込み量は高分子溶液の量によって異なるが、1~100mg/分が好ましい。
オゾンの添加量は、高分子化合物の溶液の量に対し、好ましくは20~1,000mg/L、より好ましくは50~500mg/Lである。添加量が高すぎると、オゾンによる酸化作用が強く他の酸化不純物が増える恐れがあり、添加量が少ないと、残存モノマーを低下させる効果が不充分になる。
【0016】
別の添加方法として、事前に有機溶媒にオゾンガスを高濃度に充填し、そのオゾン含有有機溶媒を高分子化合物の溶液に攪拌しながら添加する。それにより希釈されたオゾン濃度での高分子処理が可能となる。高濃度オゾン含有有機溶媒を添加する回数、間隔は、残存モノマーを低下させたいレベルに合わせて、2回以上に分けて添加することが好ましい。1回あたりの添加量は、高分子化合物の溶液の量1リットルあたり、オゾン量5~50mgが好ましく、添加間隔は、前に添加したオゾンが消失もしくはそれに近い極低濃度になってから、次の添加を行う。添加間隔30分以上が好ましく、1時間以上がより好ましい。添加間隔の上限は12時間が望ましい。
上記オゾン含有可能な有機溶媒としては酢酸エチル、アセトン、等を用いることができ、オゾンによる酸化が起こる溶媒でない限り特に制限はない。有機溶媒中のオゾンの含有量は、20~1000mg/Lであり、100~500mg/Lが望ましい。
【0017】
前記高分子化合物の溶液にオゾンガスを導入する際の溶液の温度は、特に限定されないが、高分子化合物を効率よく無毒化させる観点および作業の際の安全性の観点から、低温~常温の範囲に設定することが望ましく、好ましくは-20~50℃、より好ましくは5~30℃である。
【0018】
なお、前記高分子化合物の溶液にオゾンガスを導入するのに要する時間は、前記高分子化合物の種類、導入されるオゾンガス量、溶液の温度などによって異なるので、一概には決定することができないことは、言うまでもない。
【0019】
かくして、前記高分子化合物の溶液にオゾンガスを導入した場合には、前記高分子化合物の溶液に含まれている残存モノマーや、不均化反応によって生成するポリマー鎖に含まれている不飽和二重結合が酸化開裂により切断され、水酸基やカルボキシル基を含む末端となる。
【0020】
反応釜は小スケールであればガラス容器を使用し、大スケールになれば表面ガラスコーティングしたステンレス反応釜が好適に用いられる。釜に高分子化合物の溶液を入れて溶液を均一に攪拌、混合するための攪拌羽及び攪拌のためのモーターが付属する。反応釜の温度調節装置があることが望ましい。オゾンの導入管及び内部気体の外部導出のための管を付属する。
【0021】
モノマーが低減された高分子化合物は、人体に使用される高分子化合物や、その加工をする際に人体と接触する高分子化合物などとして好適に使用することができる。人体に使用される高分子化合物や、その加工をする際に人体と接触する高分子化合物としては、例えば、化粧料、医薬品、食品、包装材料、塗料などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0022】
本発明の残存モノマーの低減方法により残存モノマーの低減した高分子化合物の溶液を用いて、粘着剤又は粘着剤の医薬品用途である経皮吸収製剤を好適に製造することができる。
粘着剤又は経皮吸収製剤の原料である前記高分子化合物の溶液の一例として、アクリル酸2-エチルへキシル・メタクリル酸2エチルエキシル・メタクリル酸ドデシル共重合体の溶液、アクリル酸2-エチルへキシル・アクリル酸共重合体の溶液、及びアクリル酸2-エチルへキシル・ビニルピロリドン共重合体の溶液が挙げられる。
粘着剤又は経皮吸収製剤を形成する粘着層は、前記高分子化合物の溶液をフィルム(例えば、離形PET)上に塗布し乾燥して成形することができる。
経皮吸収製剤の製造工程において、高分子化合物の溶液中に所定の薬物又は有価物質を混合して医薬品、医薬部外品又は化粧品を製造することができる。
【0023】
前記薬物及び有価物質としては、経皮的に生体膜を透過しうるものであればよい。
【0024】
薬物の例としては、たとえば解熱消炎鎮痛剤、抗てんかん剤、抗精神病剤、抗うつ・抗不安剤、抗パーキンソン病剤、抗そう剤、抗認知症剤、催眠剤、鎮静剤、鎮痙剤、筋弛緩剤、自立神経作用剤、脳循環・代謝改善剤、強心剤、抗狭心症剤、高血圧・不整脈用剤、血管拡張剤、血圧降下剤、昇圧剤、利尿剤、呼吸促進剤、鎮咳去痰剤、気管支拡張剤、喘息・鼻アレルギー治療剤、呼吸器用剤、感冒用剤、制吐剤、制酸剤、抗潰瘍剤、などが例示される。
【0025】
化粧品の有価物質として配合可能な成分の例としては、美白成分、抗シワ成分、抗炎症成分、血行促進成分、抗菌成分、抗そう痒成分、各種ビタミン及びその誘導体、抗酸化成分、抗アレルギー成分、香料等が挙げられる。
【実施例0026】
以下、本発明を下記実施例によりさらに詳しく説明する。これら実施例は、単に本発明を具体的に説明するための例であり、本発明の範囲がこれら実施例に限定されるものではない。
本実施例において、室温は、 20~25℃の範囲であった。
【0027】
実施例1
2-エチルヘキシルアクリレート50g、アクリル酸5g、酢酸エチル145gおよびアゾビスイソブチロニトリル0.5gを500ccセパラブルフラスコ反応容器に入れ、75℃に加熱しながら攪拌羽で溶液を攪拌しつつ重合反応を24時間行った。その結果、2-エチルヘキシルアクリレートとアクリル酸の共重合体が収率98%で得られた。
【0028】
重合反応の終了後、得られた反応混合物に含まれている残存モノマーをガスクロマトグラフにて、内部標準法による定量分析を行った結果、2-エチルヘキシルアクリレート4,000ppmおよびアクリル酸12,000ppmが含まれていた。この反応混合物をサンプルAと称する。
【0029】
次に、オゾン発生器(Jupeto社、GL-3189A)を用いて流速10mg/分で反応混合物に室温で攪拌下に30分間吹き込んだ。オゾン吹き込み終了後、25℃で12時間攪拌した。その後、残留オゾンを揮散させるため、室温で窒素ガスを6時間吹き込んだ。反応混合物に含まれている残存モノマーをガスクロマトグラフにて、内部標準法による定量分析を行ったところ、2-エチルヘキシルアクリレートおよびアクリル酸の残存量は、いずれも、50ppm以下であった。
【0030】
以上の結果から、重合性不飽和二重結合を有する化合物を重合させてなる高分子化合物の溶液にオゾンガスを導入すると残存モノマーを効率よく除去できることがわかる。
【0031】
実施例2
MAS811B粘着剤溶液(コスメディ製薬(株)製、残存モノマー量2,000ppm)の200ccを500ccセパラブルフラスコ反応容器に入れ、攪拌羽で溶液を攪拌しつつ室温下で実施例1のオゾン発生器で実施例1と同条件でオゾンを発生させつつ3時間処理した。処理後の粘着剤溶液中の残存モノマー濃度を測定すると、ガスクロマトグラフの検出限界(50ppm)以下の濃度であった。
【0032】
実施例3
MAS811B粘着剤溶液(コスメディ製薬(株)製、残存モノマー量2,000ppm)の50ccを100ccガラス反応容器に入れた。別途、酢酸エチル50ccにオゾン発生器(Jupeto社、GL-3189A)を用いて流速10mg/分でオゾンガスを1時間吹き込みオゾンガス飽和酢酸エチルを得た。オゾンガス飽和酢酸エチルの2ccを上記MAS811B粘着剤溶液に添加し、よく振り混ぜて4時間室温で静置してオゾン処理した。
その後2回同様な処理を行った。オゾン処理前及びオゾン処理後の粘着剤溶液にツロブテロールを添加し、乾燥後の厚さが50μmであり、ツロブテロールを4質量%含有するテープ医薬を得た。
本テープ医薬からエタノールによりツロブテロール及びその他の低分子化合物を抽出し、高速液体クロマトグラフィーによるクロマトグラムからツロブテロール及び低分子化合物のピークを確認した。ツロブテロールを含まないMAS811Bからも同様なクロマトグラムを測定して比較し、ツロブテロールに由来するピークを同定した。本テープ医薬にはツロブテロール由来の類縁物質が生成するが、その生成がオゾン処理によって抑制された。以下の表1を参照。本表において、RRTとはツロブテロールの溶離時間を1とする相対的な溶離時間である。
【0033】
【表1】
【0034】
オゾン処理により残存モノマーが減少し、それに起因して類縁物質量が減少した。